JP2733671B2 - 新規な腸溶性分子カプセル - Google Patents

新規な腸溶性分子カプセル

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JP2733671B2
JP2733671B2 JP63212006A JP21200688A JP2733671B2 JP 2733671 B2 JP2733671 B2 JP 2733671B2 JP 63212006 A JP63212006 A JP 63212006A JP 21200688 A JP21200688 A JP 21200688A JP 2733671 B2 JP2733671 B2 JP 2733671B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、薬物の腸溶性担体として優れた特性を有す
る、新規な腸溶性分子カプセルに関する。
〔発明の背景〕
薬物の腸溶性担体は、エリスロマイシンやジゴキシン
等の薬剤を胃の強酸から保護する、サリチル酸やアスピ
リン等の薬剤の刺激による胃痛や吐き気を防止する、等
を目的として、或は腸内殺菌剤等の薬剤のように腸内局
部作用を目的とする場合や腸内で高濃度で吸収されるこ
とを期待する場合等に於て有用であり、現在は腸溶性コ
ーティング剤がその主流である。
しかしながら、腸溶性コーティング剤の場合には、主
たる構成成分である皮膜形成物質が高皮膜性であると共
に、作業性の面からはその溶液が低粘度であることが求
められている一方、最近では従来のアセトン、アルコー
ル等の有機溶媒を用いるコーティング方法に付随する問
題点を回避すべく、水系のコーティング剤が求められて
いる等、コーィング上克服すべき困難な問題が多い。
また、近年、局方に於ける腸溶性の基準となるpHが7.
5から6.8に移行する等、腸溶性製剤が胃を通過後十二指
腸付近のpH4〜5、及び小腸上部のpH5〜6の環境下で迅
速に溶解又は崩壊する特性が重要視され、それらの特性
を具備した安定で薬物の腸溶性担体として優れた特性を
示す新しいタイプの化合物の出現が強く望まれていた。
一方、シクロデキストリン(以下、CyDと略記す
る。)は、グルコピラノースがα−1,4−グリコシド結
合により環状に結合した環状オリゴ糖同族体であり、結
合したグルコピラノースが各々6、7、8個のα−Cy
D、β−CyD、γ−CyDの三種がよく知られている。
これら一連のCyDは、CyD空洞の比較的広い一端の開口
部にグルコピラノースの2−及び3−位の2級−OH基を
有し、他端の開口部に6−位の1級−OH基を有する環状
構造で、分子内に疎水性空洞を有し、この空洞に他の原
子や分子を一定の組成比で取り込み包装複合体を形成す
るので、分子カプセルとも呼ばれている。
しかしながら、現在までに知られているCyD及びその
誘導体の用途としては、難溶性物質の可溶化、不安定物
質の安定化、油状物質の粉体化、揮散性物質の揮散防
止、矯味,矯臭,局所刺激性の軽減等を目的としたもの
が主体であり、これを腸溶性分子カプセルとして使用し
た例は、これまでのところ未だない。
〔発明の目的〕
本発明は、例えば胃で溶解せず、十二指腸から小腸上
部に於ける環境下で迅速に溶解若しくは崩壊し、薬物の
腸溶性担体として優れた特性を示す安定な腸溶性分子カ
プセルを提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
本発明は、一般式〔I〕 [式中、nは6〜8の整数を表わし、Rは炭素数2〜4
のカルボキシアルキル基及びアルキル基並びに水素原子
を表わす(但し、3×n個のRの内、少くとも1は炭素
数2〜4のカルボキシアルキル基であり、3〜(3n−
1)は炭素数2〜4のアルキル基であり、残りは水素原
子である。)。]で示されるCyD誘導体を含んで成る腸
溶性分子カプセルの発明である。
また本発明は、腸溶性分子カプセルとして特に有用な
一般式[II] [式中、Rは炭素数2〜4のカルボキシアルキル基、炭
素数2〜4のアルキル基並びに水素原子を表わす(但
し、3×n個のRの内、少くとも1は炭素数2〜4のカ
ルボキシアルキル基であり、3〜(3n−1)は炭素数2
〜4のアルキル基であり、残りは水素原子であ
る。)。]で示され、且つその37℃に於ける0.1N塩酸水
溶液に対する溶解度が3(W/W)%以下であるβ−CyD誘
導体の発明である。
即ち、本発明者らは、腸溶性分子カプセルに関する研
究の途上、CyD誘導体の中に、酸性領域とアルカリ性領
域とで溶解度が著しく異なるものがあること、更に詳し
くは炭素数2〜4のカルボキシアルキル基と炭素数2〜
4のアルキル基とを有するCyD誘導体が、中性乃至アル
カリ性側と酸性側とでは、その溶解度に著しい差を生じ
ることに着目し、鋭意研究の結果、同化合物が胃の環境
下で溶解せず、十二指腸から小腸上部に於ける環境下で
極めて迅速に溶解又は崩壊すること、またこれを利用す
れば薬物の腸溶性担体として優れた特性を示す安定な分
子カプセルを調製し得ることを見出し、本発明を完成す
るに到った。
一般式[I]に於けるnは6,7又は8を表わし、一般
式[I]及び[II]に於けるRは炭素数2〜4のカルボ
キシアルキル基、即ちカルボキシメチル基,カルボキシ
エチル基,又はカルボキシプロプル基、炭素数2〜4の
アルキル基、即ちエチル基,プロピル基,ブチル基、及
び水素原子を表わす。但し、3×n個のRの内、少くと
も1は炭素数2〜4のカルボキシアルキル基であり、3
〜(3n−1)は炭素数2〜4のアルキル基であり、残り
は水素原子である。但し、水素原子の内の一部又は全て
が他の上に挙げた以外の基に置き換っているものでもそ
れらの置換基が本発明の効果を損わないような基である
ならば、これを妨げない。また、これらカルボキシアル
キル基、アルキル基、水素原子の数は必ずしも整数であ
ることを要さない。
上記一般式[I]で示されるCyD誘導体はいずれも本
発明の目的に充分適うものであるが、特に本発明の目的
にとって好ましいものとしては、その溶解性に於て、5
%重曹水溶液に対する溶解度が0.1N塩酸水溶液に対する
それの5倍以上であること、37℃に於ける0.1N塩酸水溶
液に対する溶解度が3(W/W)%以下、好ましくは1%
以下、より好ましくは0.5%以下であること等の性質を
有しているものが挙げられ、更に好ましいものとして
は、一般式[II]で示されるβ−CyDの誘導体であっ
て、37℃に於ける0.1N塩酸水溶液に対する溶解度が3%
以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下
であり、且つ20℃の水に対する溶解度が8%以下である
ものが挙げられる。
尚、置換基としてアルキル基とカルボキシアルキル基
を有するCyD誘導体としては、特開昭60−152503号公報
にそのβ−CyD誘導体が、また、特開昭61−275301号公
報にそのγ−CyD誘導体が夫々開示されている。しかし
ながら、特開昭60−152503号公報に於けるβ−CyD誘導
体は、β−CyDの溶解性を向上させる目的(20℃に於け
る溶解度が10%以上)で開発されたものであり、また、
特開昭61−275301号公報に於けるγ−CyD誘導体は、γ
−CyDと薬剤との包接化合物の水に対する溶解性が低い
ことに着目し、その可溶化を目的として開発されたもの
であって、これらCyD誘導体が腸溶性分子カプセルとし
て使用できるか否かについては、そのどちらにも何らの
開示も示唆もされていない。
また、これら二つの文献中には、上記一般式[II]で
示され、且つその37℃に於ける0.1N塩酸水溶液に対する
溶解度が3(W/W)%以下であるβ−CyD誘導体について
は全く開示がない。
本発明に係るCyD誘導体は、一般に、相当するCyDと相
当するモノハロ脂肪酸(又はその塩)、即ちモノハロ酢
酸、モノハロプロピオン酸又はモノハロ絡酸(又はこれ
らの塩)とをアルカリ存在下で反応させるか、又は相当
するCyDと相当するβ−プロピオラクトン、γ−ブチロ
ラクトン等のラクトン類とをアルカリ存在下に反応させ
て、カルボキシアルキル−CyDとし、次いで得られたカ
ルボキシアルキル体をジアルキル硫酸やハロゲン化アル
キル等のアルキル化剤と反応させる常法により容易に製
造することができる。
尚、カルボキシアルキル化とアルキル化とは、その反
応の順序を逆にすることも勿論可能である。また、CyD
に対するモノハロ脂肪酸及びアルカリ或はβ−ラクト
ン,γ−ラクトン等の使用量を変化させたり、得られた
カルボキシアルキル体のアルキル化回数を増減させるこ
とにより、CyD誘導体のカルボキシアルキル基及びアル
キル基の置換度を調節することができる。その他、反応
試剤、溶媒等の使用量、反応温度、反応時間、後処理等
は上方に従うことで足りる。
一般にCyDの水酸基をメトキシ基で置換すると水溶性
が増大するが、エトキシ基、又はそれ以上の炭素数を持
つアルコキシ基で置換すると、一転して疎水性が強くな
る。この疎水性の度合はアルコキシ基の炭素数と置換基
数の増加に従って高まるが、あまり大きな置換基を導入
するとCyD誘導体自身の包接作用が低下するので、炭素
数2−4のアルコキシ基が適当である。更にこの疎水性
となったCyD誘導体にカルボキシアルキル基が導入され
るとpH4以上で可溶化する性質が発現し、所謂腸溶性機
能を持つようになる。この導入されるカルボキシアルキ
ル基の数としては、1以上であれば特に限定されない
が、少ない方が溶解速度が速いため、通常は少ない方が
望ましい。
本発明に係るCyD誘導体は、pH4を越えるころから急速
に溶解性を増すことから(第2図及び第4図参照。)十
二指腸から小腸上部に於ける環境下で極めて迅速に溶解
し、薬物の腸溶性担体として有効な優れた特性を示す。
また、本発明に係るCyD誘導体は、腸溶性機能に加えC
yDの本来の特性である、薬剤等の安定化、油状物の粉体
化、揮散性物質の揮散防止、矯味,矯臭,局所刺激性の
軽減等の作用を兼ね備えていることは言うまでもない。
また、本発明に係るCyD誘導体は、分子中にエステル結
合をもたないエーテル化合物であるため、極めて安定な
腸溶性分子カプセルとして作用する。
更に、本発明に係るCyD誘導体は、腸溶性分子カプセ
ルとして種々の薬物に対し何等の支障無く有効に適用す
ることができ、例えばこれを作用時間依存型抗癌薬とし
て知られる5−フルオロウラシル(5−FU)に適用した
場合は、5−FUが胃の粘膜を刺激して副作用をおこすの
を防止し、且つ小腸に達した時点で溶解するため腸での
徐放性が充分期待される等、薬物の腸溶性分子カプセル
として著しく優れた作用効果を示す。
本発明に係るCyD誘導体は、その置換基であるカルボ
キシアルキル基が遊離の形のもの(塩の形になっていな
いもの。以下、フリー体と略す。)の方がナトリウム
塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩や、アンモニウム塩
等のように、塩の形となっているものに比べて水に対す
る溶解度が低い。そのため、本発明に係るCyD誘導体と
薬剤等との包接化合物を形成させた後に錠剤型としたも
のを服用する場合、フリー体の方が、唾液等による溶解
等を防止でき、より好ましい。しかしながら、前記した
如き塩の形となった本発明のCyD誘導体の胃の環境下に
於ける溶解度は、フリー体のそれとほぼ同等であるの
で、これと薬剤との包接化合物を錠剤型とした後に、更
に糖類等により何らかのコーティングを施すのであれ
ば、特に問題なく使用できる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によ
って何等の制約を受けるものではない。
尚、実施例中、カルボキシメチル基,エチル基等の置
換度(D.S.)は、CyDの3×n個の水酸基に対する値で
ある。
〔実施例〕
実施例 1 (1)水300ml、β−CyD100g、モノクロル酢酸ナトリウ
ム108.3gを混合し、これに水酸化ナトリウム44gを水100
mlに溶かした溶液を70〜80℃で75分間かけて滴下し、同
温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を濃塩酸
で中和し、活性炭処理後、メタノールを加えて晶出さ
せ、取、洗浄、乾燥してβ−CyDのカルボキシメチル
体(CM−β−CyD)147gを得た。
得られたCM−β−CyDのカルボキシメチル基置換度
(D.S.)は4.67(局方準拠−カルボキシメチルセルロー
スナトリウムの項のナトリウム定量法による。)であっ
た。尚、本CM−β−CyDは、比旋光度[α]+115゜を示
し、水及び0.1N塩酸に対する溶解度は50W/W%以上であ
った。
(2)上記CM−β−CyD50gをトルエン500mlに懸濁し、
これに30%水酸化ナトリウム水溶液58.7gを60〜80℃で
約5〜10分かけて滴下し、次いで80〜90℃でジエチル硫
酸30.8gを約20分を要して滴下した。滴下後2時間還流
反応させ、その後還流反応下に1時間を要して水を共沸
留去し、更に2時間反応させた。反応終了後、第1回目
の反応と同様にて30%水酸化ナトリウム水溶液及びジエ
チル硫酸を添加し反応させて第2回目の反応を行なっ
た。第2回目の反応終了後、水250mlを加えてトルエン
層を分離し、水層を濃塩酸でpH2.5とした後、デカンテ
ーションにより上部水槽を除き、得られたシラップ状物
にアセトン150mlを加えて溶解し、不溶物を去後、減
圧加熱下に濃縮乾固して目的のカルボキシメチルエチル
−β−CyD(CME−β−CyD)44gを得た。
得られたCME−β−CyDのエチル基置換度(D.S.)は6.
3(局外規−カルボキシメチルエチルセルロースの項の
カルボキシメチル基、エトキシ基の含量測定法によ
る。)であった。尚、本CME−β−CyDの比旋光度[α]
は+104゜を示し、5%NaHCO3水溶液に対する溶解度は3
5%(37℃)、0.1N塩酸水溶液に対する溶解度は約4
%、と、その間に約9倍の大きさ差が認められた。
別に、上記カルボキシメチル基置換度(D.S.)=4.67
の中間体CM−β−CyDを用いて4回及び8回エチル化し
て相当するCME−β−CyDを得た。また、(1)に於てモ
ノクロル酢酸ナトリウムの量を適宜増減することによっ
て合成したカルボキシメチル基置換度(D.S.)=1.73及
び6.45のCM−β−CyDを用いて夫々2回、4回及び8回
エチル化して相当するCME−β−CyDを得た。尚、30%水
酸化ナトリウム水溶液の代わりに粒状の水酸化ナトリウ
ムを使用すると、反応回数及び反応時間が短縮できた。
これら各種CME−β−CyDの溶解度及び比旋光度のデー
タを表1に併せて示す。
表1からも明らかなように、本発明に係る化合物の示
す溶解度は、酸性とアルカリ性とでは、いずれの場合も
著しく大きく異なっており、エチル基の置換度が増すと
中性及び酸性側での溶解度が低下する現象が見られ、ま
た、低温(5℃)より37℃の方が溶解度が低下するのが
判る。
実施例 2 実施例1で得たカルボキシメチル基置換度(D.S.)=
1.73,エチル基置換度(D.S.)=9.1のCME−β−CyDを用
い5−フルオロウラシル(5−FU)10mgを含む5−FU/C
ME−β−CyD複合体からなる錠剤を調製し、これと5−F
U単独で調製した錠剤の、溶媒中への5−FU放出率とpH
及び放出時間との関係を求めた。
尚、溶媒は日本局方(第11局改正)の崩壊試験法に於
て用いられる第一液(pH1.2)、0.05M酢酸緩衝液(pH4.
0)、日本局方(第11局改正)の崩壊試験法に於て用い
られる第二液(pH6.8)を使用し、5−FUの定量は液体
クロマトグラフィーを用い265nmの吸光度を測定する常
法により求めた。
結果を第1図に示す。図中、実線 は5−FU/CME−β−CyDから調製した本発明に係る錠剤
により得られた結果を、一点鎖線 は5−FU単独で調製した錠剤により得られた結果を夫々
示す。また、点線 はpHの変化を示す。尚、測定に使用した自動溶解pH検出
システムを参考までに第3図に示す。また、CME−β−C
yDの溶解度のpH依存性について測定した結果(25℃)を
第2図に示す。
第1図及び第2図から明らかなように、本発明のCME
−β−CyDは、pH3.3を越えるころから急速に溶解性を増
し、5−FUを著しく放出した。また、エチル基の置換度
が増すと全てのpHで一様に溶解度が低下し5−FUの放出
速度が遅延して徐放効果が現われた。この傾向はカルボ
キシメチル基の代りにカルボキシエチル基又はカルボキ
シプロピル基を置換しても同様であり、また、エチル基
の代りにn−プロピル基、iso−プロピル基,n−ブチル
基,t−ブチル基,sec−ブチル基を用いても同様であっ
た。
実施例 3 実施例1で得たカルボキシメチル基置換度(D.S.)=
1.73、エチル基置換度(D.S.)=9.1のCME−β−CyDを
用い、塩酸ジルチアゼム(DIH)6.0mgを含むDIH/CME−
β−CyD複合体(1:1)から成る錠剤(径4mm)を成型
し、この錠剤と、DIHと澱粉より成型した錠剤の、溶媒
中へのDIH放出率と、pH及び放出時間との関係を実施例
2と同様にして求めた。結果を第4図に示す。図中、実
はDIH/CME−β−CyD複合体から成型した本発明に係る錠
剤により得られた結果を、一点鎖線 はDIHと澱粉から成型した錠剤により得られた結果を夫
々示す。また点線 はpHの変化を示す。
第4図から明らかなように、DIHと澱粉から成型した
錠剤では、試験開始後10分以内にDIHの溶出が完了する
のに対し、DIH/CME−β−CyD複合体から成型した本発明
に係る錠剤では、pH上昇に伴い溶出速度が増大し、腸溶
性及び放出遅延性製剤として優れた機能を有することが
わかる。
実施例 4 生後約1年の雄性ビーグル犬(13〜15kg)4匹を24時
間絶食後、DIH30mg相当量を含有するDIH−澱粉錠、又は
DIH/CME−β−CyD複合体錠(直径7mm)を、水100mlと共
に経口投与した後、所定時間毎にクエン酸ナトリウムを
含む採血管を用いて前肢静脈より血液を3ml採血して血
漿を分離し、各血漿中のDIH濃度を測定した。測定結果
を第5図に示す。また、第5図より得られた種々のデー
タを表2に示す。尚、血漿DIH濃度の測定は、液体クロ
マトグラフィーを用い245nmの吸光度を測定する常法に
より求めた。また、第5図に於て、 は本発明に係るDIH/CME−β−CyD複合体錠により得られ
た結果を、 はDIH−澱粉錠により得られた結果を夫々示す。
図5及び表2より明らかな如く、DIH−澱粉錠を投与
した場合には、投与1時間後に血漿中濃度は最高とな
り、その後速やかに消失して24時間後には血漿中にDIH
を検出しなくなったのに対し、DIH/CEM−β−CyD複合体
錠を投与した場合には、DIHの血漿濃度は投与3時間後
に最高に達し、更に4時間目以降もDIH−澱粉錠を投与
した場合に比べて有意に高濃度を持続した。また、DIH
の平均滞留時間及びその時間的分散、平均吸収時間に於
てもDIH/CEM−β−CyD複合体錠を投与した場合にはDIH
−澱粉錠を投与した場合に比較して有意に延長が観察さ
れ、相対バイオアベイラビリティーは約2倍の値を示し
た。
以上の結果より、本発明のCME−β−CyDを用いて成型
した複合体錠を投与した場合には、投与初期の急激な血
漿中濃度の上昇が抑えられると共に、薬理効果が持続化
することが証明され、本発明化合物が優れた腸溶性機能
と徐放効果を併せもつ腸溶性剤を与えることが判った。
〔発明の効果〕
以上述べた如く、本発明は、胃で殆ど溶けず、十二指
腸から小腸上部に於ける環境下で目的に応じた適当な速
度で溶解又は崩壊し、薬物を放出する等腸溶性担体とし
て優れた特性を示す腸溶性分子カプセルと、同用途に使
用した場合に特に優れた作用効果を有する新規なシクロ
デキストリン誘導体とを提供するものであり、斯業に貢
献するところ甚だ大なる発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例2に於いて、自動溶解システムで求め
た5−フルオロウラシル(5−FU)10mgを含む5−FU/
カルボキシメチルエチル−β−シクロデキストリン(CM
E−β−CyD)複合体(5−FU/CME−β−CyD複合体)か
ら成る錠剤及び5−FU単独で成る錠剤の溶媒中への5−
FU放出率とpH及び放出時間(時間(h))との関係を表
わす。図中、実線 は5−FU/CME−β−CyD複合体から成る錠剤により得ら
れた結果を、一点鎖線 は5−FU単独で成る錠剤により得られた結果を夫々示
す。また、点線 はpHの変化を示す。 第2図は、実施例2で測定したCME−β−CyDの溶解度
(縦軸W/V%)と溶解pH(横軸)との関係を表わす。 第3図は、実施例2及び3で用いた自動溶解pH検出シス
テム(Automatic Dissolution−and pH−Monitoring Sy
stem)を表わす。 第4図は、実施例3に於て、自動溶解システムで求めた
塩酸ジルチアゼム(DIH)6.0mgを含むDIH/カルボキシメ
チルエチル−β−シクロデキストリン(CME−β−CyD)
複合体(DIH/CME−β−CyD複合体)から成る錠剤及びDI
Hと澱粉から成る錠剤の、溶媒中へのDIH放出率とpH及び
放出時間(時間(h))との関係を表わす。図中、実線 はDIH/CME−β−CyD複合体から成る錠剤により得られた
結果を、一点鎖線 はDIHと澱粉から成る錠剤により得られた結果を夫々示
す。また、点線 はpHの変化を示す。 第5図は、実施例3に於て、DIH−澱粉錠を投与した場
及びDIH/CME−β−CyD複合体錠を投与した場合 の血漿DIH濃度の経時変化を示し、横軸の各時間(h)
に於ける血漿中のDIH濃度(ng/ml)を縦軸に沿ってプロ
ットした点を結んだものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I] [式中、nは6〜8の整数を表わし、Rは炭素数2〜4
    のカルボキシアルキル基、炭素数2〜4のアルキル基並
    びに水素原子を表わす(但し、3×n個のRの内、少く
    とも1は炭素数2〜4のカルボキシアルキル基であり、
    3〜(3n−1)は炭素数2〜4のアルキル基であり、残
    りは水素原子である。)。]で示されるシクロデキスト
    リン誘導体を含んで成る腸溶性分子カプセル。
  2. 【請求項2】一般式[II] [式中、Rは炭素数2〜4のカルボキシアルキル基、炭
    素数2〜4のアルキル基並びに水素原子を表わす(但
    し、3×n個のRの内、少くとも1は炭素数2〜4のカ
    ルボキシアルキル基であり、3〜(3n−1)は炭素数2
    〜4のアルキル基であり、残りは水素原子であ
    る。)。]で示され、且つその37℃に於ける0.1N塩酸水
    溶液に対する溶解度が3(W/W)%以下であるβ−シク
    ロデキストリン誘導体。
JP63212006A 1987-08-28 1988-08-26 新規な腸溶性分子カプセル Expired - Lifetime JP2733671B2 (ja)

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