JP2733087B2 - 中空ポリマー微粒子及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

中空ポリマー微粒子及びその製造方法並びにその用途

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JP2733087B2 JP1076915A JP7691589A JP2733087B2 JP 2733087 B2 JP2733087 B2 JP 2733087B2 JP 1076915 A JP1076915 A JP 1076915A JP 7691589 A JP7691589 A JP 7691589A JP 2733087 B2 JP2733087 B2 JP 2733087B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は水性媒体中、油溶性物質の存在下にビニル系
単量体を重合させる際に、重合中に起こるポリマーと油
溶性物質の相分離を利用して形成される中空ポリマー微
粒子及びその製造方法に関するものである。
さらに、本発明は内容物質を内包した状態では球状で
あり、該物質を放出すると偏平状となり、この形状変化
を可逆的に行い得る新規な中空ポリマー微粒子及びその
製造方法並びにその用途に関するものである。
〔従来の技術及びその課題〕
マイクロカプセルまたは光散乱基材等として利用され
る中空ポリマー微粒子は、従来水性媒体中における懸濁
重合により内部に芯物質を包み込んだ状態で外側から重
合もしくはポリマーの析出を起こさせ、結果的には芯物
質を内包した中空ポリマー微粒子を得ることにより製造
されている。この芯物質としては、水、有機溶剤、粉末
固体、気体等が目的に応じて使用されている。例えば、
香料等を内部に含有するマイクロカプセルを製造するに
は、その芯物質として香料を用いればよいことになる。
しかし通常、香料は多種の有機化合物の混合体であり、
重合中その組成が変化してしまい目的とする香料のマイ
クロカプセルを得ることは困難であった。また、球状の
中空ポリマー微粒子を製造後、香料中に浸漬し、高圧
下、中空ポリマー微粒子内部に香料を強制的に導入する
方法も行われているが、この方法では香料の一部は中空
ポリマー微粒子内部へ拡散するものの、内部全体に香料
を含有したマイクロカプセルを得ることは困難であっ
た。
さらに、内包した物質を放出させる場合にも全部を放
出させるには至らなかったり、放出速度が遅いという問
題を生じることがあった。
従来の技術では一般に、生成する中空ポリマー微粒子
は球状もしくは球状に近い構造を有しているが、重合条
件によっては、ひしゃげた球形の中空ポリマー微粒子と
なる場合がある(例えば特開昭61-87734号公報)。しか
しながら、この場合でも該微粒子を構成するポリマー殻
壁は硬く、液体物質と接触してもそれを吸収し、真球状
へと形状変化を起こし得ず、外部環境によらず常に球状
もしくは球状に近い形を維持していた。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、水、
アルコール、油溶性物質等の液体物質の吸収及び放出
(蒸散)の機能に優れた中空ポリマー微粒子及びその製
造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討し
た結果、親水性モノマー及び架橋性モノマーよりなる特
定組成のモノマー混合物を水性分散重合させることによ
り得られた中空ポリマー微粒子が、液体物質を内包した
状態では球状であり、該物質を放出すると偏平状とな
り、この形状変化を可逆的に行い得る新規な中空ポリマ
ー微粒子であることを見出し、更に上記性状がポリマー
殻壁の特定の物性に基づくものであることを見出し、本
発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレートを含む親水性モノマー30〜90重量部、
架橋性モノマー10〜70重量部を含むモノマー混合物100
重量部を、油溶性物質10〜300重量部の存在下又は油溶
性物質10〜300重量部及び該モノマー混合物とは異なる
モノマーからなる異種ポリマー0.1〜20重量部の存在
下、水性媒体に分散させ重合させることにより得られ、
液体物質に対する膨潤度が1.5〜10である有機高分子化
合物の殻壁からなり、該液体物質を内包する時は球状で
あり、該液体物質を放出して偏平状となることを特徴と
する中空ポリマー微粒子、及びポリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレートを含む親水性モノマー30〜90
重量部、架橋性モノマー10〜70重量部を含むモノマー混
合物100重量部を油溶性物質10〜300重量部の存在下、水
性媒体に分散させ重合させることを特徴とする上記中空
ポリマー微粒子の製造方法、並びにこれらの中空ポリマ
ー微粒子を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供
するものである。
本発明の中空ポリマー微粒子は、その殻壁を構成する
ポリマーが特定の物性を持つこと、すなわち液体物質に
対する膨潤度が1.5〜10の範囲であることを特徴とす
る。ここでの膨潤度とは、中空ポリマー微粒子の殻壁を
構成する有機高分子化合物が液体物質を吸収した時の重
量の、乾燥時の重量に対する割合を示すものである。
本発明の中空ポリマー微粒子の特徴はすでに述べたよ
うに、乾燥状態では空気が抜けたゴムまり様の偏平体で
あるが、液体物質と接触すると液体物質を内包した球状
の粒子となり、この形状変化を可逆的に行い得る点であ
る。このような挙動を示す中空ポリマー微粒子は本発明
以前には得られておらず、その詳細な形状変化機構は不
明な点が多い。しかしながら、本発明者らが詳細に検討
した結果、その中空ポリマー微粒子の殻壁を構成するポ
リマーの液体物質に対する膨潤度が1.5以上〜10以下の
場合にのみ形状変化が顕著に発現されることが明らかに
なった。膨潤度が上記範囲を外れると、特異な形状変化
を発現しない上に、膨潤度が1.5未満の場合には、その
液体物質の吸収速度は遅く、吸収量も少ない等の問題が
生じた。一方、膨潤度が10を越えると、殻壁の強度が弱
く、形状変化に伴い殻壁が破壊する場合が多い。
上記膨潤度は、対象となる液体物質及びポリマー組成
によって変化する数値である。例えば、水或いはエタノ
ール、テトラヒドロフラン(THF)等の親水性溶剤に対
しては1.5〜8、ベンゼン、トルエン、クロロホルム等
の疎水性溶剤に対しては1.5〜10の範囲が好適である。
かかる特性を有する中空ポリマー微粒子は特定組成の
親水性モノマーと架橋性モノマーとを油溶性物質の存在
下水性媒体に分散させ重合させることにより得ることが
できる。
本発明で使用される親水性モノマーとしては、ジエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、デカエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸エステル;N−メチル(メタ)アク
リルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリルアミド類;アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のニトリル系モノマー;N−ビニルピロリ
ドン、α−メチル−N−ビニルピロリドン;(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン
酸;スチレンスルホン酸等が挙げられる。
これらの親水性モノマーは一種のみを単独あるいは二
種以上を組み合わせて用いることができる。
上記に例示したモノマーのうち、ポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等
の不飽和カルボン酸を使用するのが特に好ましい。
本発明においては、上記親水性モノマーの他に、必要
に応じて次のような疎水性モノマーを併用することがで
きる。
例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロ
スチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸エチル、
アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリ
ル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミ
ノエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマ
ー;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ラウリル、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート等のメタクリル酸エステル系モノマ
ー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の
アルキルビニルエーテル;酢酸ビニル、酢酸ビニル等の
ビニルエステル系モノマー等が挙げられるが、これらの
モノマーに限定されるものではない。
上記疎水性モノマーは単独であるいは二種以上を混合
して用いることが可能である。
本発明に使用される架橋性モノマーとしては、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート等の、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。これらの架橋性モノマーは一種のみを単独であるい
は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記に例示したモノマーの中でも、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンが好
ましい。
本発明に使用される油溶性物質は上記モノマーの混合
物と相溶するものであり、そのような物質としてはイソ
プロピルアルコール、イソアミルアルコール、オクチル
アルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酪酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類;ジエ
チルケトン、メチルエチルケトン等のケトン等;さらに
はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類;ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類;オリ
ーブ油、ラード油、ヤシ油、ヒマシ油等の長鎖アルキル
誘導体等を例示することができる。
これら油溶性物質を前記モノマー混合物100重量部に
対して10〜300重量部添加し、水性媒体に分散させ、モ
ノマーを重合させる。上記油溶性物質の使用量は、好ま
しくは20〜200重量部であり、水中分散安定剤の存在下
ホモミキサー等により、分散させることにより安定で微
小に分散した乳化液を得ることができる。
こうして得られたモノマー乳化液を次の工程で重合さ
せるが、その際の重合開始剤としては一般に用いられて
いる油溶性重合開始剤を用いることができる。
油溶性重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸
化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル等の過酸
化物系重合開始剤;2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。
また、モノマー乳化液滴及び生成する重合体粒子の分
散安定性を向上させるために、各種の界面活性剤あるい
は高分子保護コロイド等の分散安定剤が用いられる。
分散安定剤としてはラウリル硫酸ナトリウム、ラウリ
ルベンゼン硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル硫酸ナトリウム等の界面活性剤;ゼラチン、
澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルキ
ルエーテル、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の難
水溶性無機塩等が挙げられる。
本発明においては、上記モノマー混合物の懸濁重合の
際に、さらに該モノマー混合物とは異なる組成からなる
異種ポリマーを共存させておいてもよい。かかる異種ポ
リマーは、モノマー混合物を吸収、膨潤し得る粒径0.
05〜10μm程度のシード粒子として使用してもよいし、
モノマー混合物中に溶解させモノマー液滴中に溶け込
んだ形で使用してもよい。
このような異種ポリマーとしては、例えばポリスチレ
ン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、酢酸ビニル重合体、塩化ビニル重合体等が
挙げられる。
本発明の重合反応における重合温度は、用いる重合開
始剤、モノマーの種類に応じて適宜選ぶことができる
が、通常25〜100℃の範囲であり、より好ましくは50〜9
0℃の範囲である。
前記親水性モノマーと架橋性モノマーとの組合せの中
でも、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
トを含む親水性モノマー30〜90重量部、架橋性モノマー
10〜70重量部を含むモノマー混合物を用いた場合に、よ
り好適に本発明の中空ポリマー微粒子を得ることができ
る。この場合において、親水性モノマーとしてポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートを少なくとも
30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%用いるの
がよい。更に、上記の架橋性モノマーとしては、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート用いるのが特
に好ましい。また、上記特定の親水性モノマーを用いる
とともに、前述の異種ポリマー0.1〜20重量部(モノマ
ー混合物を100重量部とする)を存在させて重合するこ
とも本発明の中空ポリマー微粒子の好ましい製造方法で
ある。
これらの、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレートを必須成分とする製造方法において、架橋性モ
ノマーが70重量部を越えると、多孔質ポリマー微粒子と
なる傾向を示し、また10重量部未満の場合は、きれいな
中空ポリマー微粒子とならない場合が多く、いずれも好
ましくない。
このようにして重合を行うことにより重合物が殻壁と
なり、油溶性物質が内包された中空ポリマー微粒子が得
られる。中空ポリマー微粒子の粒子径は重合前のモノマ
ー混合物からなる乳化液滴の粒径でほぼ決定されるが、
本発明は特に粒径が1〜20μmの中空ポリマー微粒子を
得る場合に有用である。
また、条件を選ぶことにより殻壁厚の異なった偏平状
中空ポリマー微粒子を製造することができる。すなわ
ち、内径が外径の0.1倍程度の厚い殻壁のものから、0.9
倍程度の薄い殻壁のものまで、任意に設計することがで
きる。特に、内径が外径の0.8倍以上の中空ポリマー微
粒子を得る場合には油溶性物質のモノマー混合物に対す
る使用量を比較的多く、通常150〜300重量%用いること
により達成される。
重合後の重合体微粒子は濾別して水相を除き、水洗及
び/または溶剤で洗浄後、噴霧乾燥、減圧乾燥等の通常
の手段によって粉体として単離することができる。
なお、重合後の中空ポリマー微粒子に内包されている
油溶性物質は、上記後処理の条件によってそのままポリ
マー微粒子内部に内包された状態とすることもできる
し、あるいは完全に除去することもできる。
本発明によって得られる中空ポリマー微粒子は内包物
質を乾燥等により完全に除去すると、空気が抜けたゴム
まりのような偏平状になる。この偏平状粒子は、水、有
機溶剤あるいは上記油溶性物質のような液体物質と単に
接触させるだけで、圧力等外力を加えなくても、該液体
物質を迅速に吸収することができ、該液体物質を内包し
た球状粒子になるので、マイクロカプセルを容易に作製
することができる。このマイクロカプセル内に内包され
た物質は、容易に環境中へ蒸散することができ、その放
出に伴ってカプセル粒子は球状から再び偏平状へと形状
変化を起こし、内包物質の全量を放出させることもでき
る。
本発明の中空ポリマー微粒子は、上記の特徴を生かし
て種々の分野で利用することができる。例えば、吸汗性
・蒸散性を利用した皮膚外用剤として有用である。その
剤型としては、ローション、粉末化粧料、エアゾール型
等、目的に応じて選ぶことができ、従来のタンク、シリ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体に比べて吸汗
性、蒸散性、付着性、感触性等において有意に優れたも
のとなる。
〔実施例〕
以下実施例によって本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中「部」は重量部を表す。
実施例1 通常の懸濁重合法により平均粒径2.0μmのポリスチ
レン粒子を得た後、このポリスチレン粒子を種ポリマー
粒子として用いた。種ポリマー粒子2.0部にイオン交換
水200部とラウリル硫酸ナトリウム0.13部を加え、均一
に分散させた。
一方、オクタエチレングリコールモノメタクリレート
(日本油脂(株)製)37部、テトラエチレングリコール
ジメタクリレート(新中村化学(株)製)12.5部、酢酸
イソアミル25部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル0.5部を溶解させたものに、イオン交換水250部とラウ
リル硫酸ナトリウム0.25部を混合し、これを超音波処理
して乳化液を得た。得られた乳化液を前記種ポリマー粒
子の分散液に加え、2時間攪拌すると単量体は完全に種
ポリマー粒子に吸収された。
この分散液にポリビニルアルコール(GH-17,日本合成
化学工業(株)製;ケン化度86.5〜89mol%)の3%水
溶液300部を加えた後、攪拌しながら窒素気流下60℃で1
2時間重合を行い、ポリマー粒子を得た。
このポリマー粒子は水中では9.0μmの球状の中空粒
子であり、光学顕微鏡観察により内径と外径の比を計測
したところ0.74であった。(以下の実施例についても同
様にして求める。)このポリマー粒子の分散液をガラス
板に塗布し、常温で5分間放置したところ、水及び酢酸
イソアミルが蒸発して偏平状のポリマー粒子が得られ
た。この時のポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真を第
1図に示す。
また、このポリマー粒子の殻壁を構成するポリマーの
水に対する膨潤度は1.7であった。
実施例2 溶液重合法により得られたポリスチレン(数平均分子
量10万)2部を酢酸イソアミル25部、オクタエチレング
リコールモノメタクリレート35部、メタクリル酸2部、
ジエチレングリコールジメタクリレート10部及び過酸化
ベンゾイル0.5部の混合物に溶解した。この溶液を3%
ポリビニルアルコール(GH-17)水溶液400部に加え、こ
れをホモミキサー(3000rpm,10分間)処理して乳化液を
得た。
この乳化液を攪拌しながら、60℃にて10時間重合を行
ったところ平均粒径8μm、内径/外径比0.85のポリマ
ー微粒子の分散液が得られた。このポリマー微粒子の分
散液を常法により濾過、乾燥を行い、内容物質を放出さ
せたところ、偏平状のポリマー微粒子が得られたが、こ
の偏平状ポリマー微粒子を水またはベンゼンに投入する
と内部に水またはベンゼンが入り、球状のポリマー微粒
子となった。すなわち、この偏平状から球状またはその
逆の形状変化は可逆的であることを意味する。
このポリマー微粒子の殻壁を構成するポリマーの水に
対する膨潤度は7.5、ベンゼンに対する膨潤度は5.3であ
った。
実施例3 実施例2においてポリスチレンを使用せずに重合を行
った以外はすべて同様の操作を行い、平均粒径8μm、
内径/外径比0.8の中空ポリマー微粒子の分散液を得
た。この分散液を常法により濾過、乾燥を行ったとこ
ろ、偏平状のポリマー微粒子が得られたが、これをトル
エンに浸漬するとトルエンが内部に入った球状のカプセ
ル粒子となった。
このポリマー微粒子の殻壁を構成するポリマーのトル
エンに対する膨潤度は5.1であった。
実施例4 異種ポリマー粒子として、乳化重合法により得た平均
粒径0.3μmのポリメチルメタクリレート粒子1部を用
いた以外は実施例1と同様の操作を行い、平均粒径0.9
μm、内径/外径比0.6の中空ポリマー微粒子の分散液
を得た。微粒子を単離、乾燥させると実施例1同様の偏
平状微粒子であった。
このポリマー微粒子の殻壁を構成するポリマーの水に
対する膨潤度は1.7であった。
実施例5 実施例2において酢酸イソアミル25部のかわりにトル
エン25部を使用した以外は全て同様の操作を行い、平均
粒径8.2μm、内径/外径比0.55の中空ポリマー微粒子
の分散液を得た。このポリマー微粒子を乾燥させると実
施例2と同様の偏平状であったが、これをヒマシ油に投
入すると内部にヒマシ油を含む球状のカプセル粒子とな
った。
このポリマー微粒子の殻壁を構成するポリマーのヒマ
シ油に対する膨潤度は2.8であった。
実施例6 実施例1において、酢酸イソアミル25部のかわりにメ
チルエチルケトン100部を使用した以外は全て同様の操
作を行い、平均粒径12μm、内径/外径比0.90の中空ポ
リマー微粒子の分散液を得た。
これを実施例1と同様に乾燥させると、偏平状のポリ
マー粒子が得られた。
このポリマー微粒子の殻壁を構成するポリマーの水に
対する膨潤度は1.7であった。
比較例1 実施例1において酢酸イソアミルを添加せずに重合を
行った以外はすべて同様の操作を行ったところ、平均粒
径5.4μmの多孔質のポリマー微粒子が得られ、目的と
する中空ポリマー微粒子は得られなかった。
応用例1 以下のような成分配合にて調製した化粧水について感
触、付着性を評価した。
*化粧水組成 粉 体 2重量% エタノール 15重量% グリセリン 4重量% カンフル 0.1重量% 香 料 適量 精 製 水 バランス量 粉体としては、実施例1で得られた乾燥微粒子(本発
明品)及びタルク(比較品)を用い、各粉体のそれぞれ
の吸収量、蒸散性について評価した。
〈吸水量〉 粉体1gが吸収したイオン交換水の量(平衡値)をgで
表す。
〈蒸散性〉 シャーレ中に人の汗25mg及び粉体0.8mgを入れ、30
℃、20%RHにて30分間放置し、その間の蒸散量を粉体を
用いない場合と比較し、増加率で表した。
〈感触〉 ○…優れている △…やや劣っている ×…劣っている 〈付着量〉 アクリル板に張った豚皮に化粧水を塗布後、乾燥させ
たものを、20cmの高さから5回落下させ、付着残分を計
測した。
これらの評価結果を表−1に示す。
〔発明の効果〕 上記実施例の結果からも明らかなように、本発明の中
空ポリマー微粒子は乾燥時には偏平状粒子である、水ま
たは油性物質に浸漬する等単に接触させるだけで容易に
内部にそれらの物質が侵入し、球状のカプセル粒子にな
る。従って、高吸収性、高吸油性のポリマー微粒子とし
て種々の用途、例えば紙塗工用組成物の配合剤、塗料、
インクジェット紙の吸水性充填剤等に用いることができ
る。
上記カプセル粒子は内部に溶剤、薬剤、香料、インク
等の各種の有用物質を含有させることができるだけでな
く、これらの物質を放出するに伴い、形状が球状から再
び偏平状に変化するため、完全に内容物を放散させるこ
とができる。従って、上記有用物質を効率よく吸収・放
出させ得るカプセル粒子として芳香剤、化粧料、医薬等
の分野に利用することができる。
さらに、上記カプセル粒子は内容物が流出した後には
偏平状粒子となるため固体表面への付着性、隠蔽力に優
れ、前記皮膚外用剤の他、プラスチックピグメントとし
ても有用である。あるいは、水分の吸収・蒸散性を利用
して室内湿度のコントロールに応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例1における中空ポリマー微粒
子の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−7441(JP,A) 特開 昭58−189031(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
    リレートを含む親水性モノマー30〜90重量部、架橋性モ
    ノマー10〜70重量部を含むモノマー混合物100重量部
    を、油溶性物質10〜300重量部の存在下又は油溶性物質1
    0〜300重量部及び該モノマー混合物とは異なるモノマー
    からなる異種ポリマー0.1〜20重量部の存在下、水性媒
    体に分散させ重合させることにより得られ、 液体物質に対する膨潤度が1.5〜10である有機高分子化
    合物の殻壁からなり、該液体物質を内包する時は球状で
    あり、該液体物質を放出して偏平状となることを特徴と
    する中空ポリマー微粒子。
  2. 【請求項2】水に対する膨潤度が1.5〜8である有機高
    分子化合物の殻壁からなる請求項1記載の中空ポリマー
    微粒子。
  3. 【請求項3】ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
    リレートを含む親水性モノマー30〜90重量部、架橋性モ
    ノマー10〜70重量部を含むモノマー混合物100重量部を
    油溶性物質10〜300重量部の存在下、水性媒体に分散さ
    せ重合させることを特徴とする請求項1または2記載の
    中空ポリマー微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】架橋性モノマーがポリエチレングリコール
    ジ(メタ)アクリレートである請求項3記載の中空ポリ
    マー微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
    リレートを含む親水性モノマー30〜90重量部、架橋性モ
    ノマー10〜70重量部を含むモノマー混合物100重量部を
    油溶性物質10〜300重量部及び該モノマー混合物とは異
    なるモノマーからなる異種ポリマー0.1〜20重量部の存
    在下、水性媒体に分散させ重合させることを特徴とする
    請求項1または2記載の中空ポリマー微粒子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1または2記載の中空ポリマー微粒
    子を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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