JP2732075B2 - 小型車両のリヤアーム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、左右一対の後輪を保持する後輪軸を上下動
可能に保持する小型車両のリヤアームに関するものであ
る。

（発明の背景） ２つの後輪をリヤアームの後端に保持した小型車両が
公知である。ここにリヤアームの後端には後輪軸を保持
するハブが固定されるが、従来のリヤアームでは左右一
対のエンドプレートにこのハブを固定している。しかし
このエンドプレートの強度が不足しがちで強い衝撃が加
わった時に曲ったりし易いという問題があった。また従
来はこのリヤアームの後端部分がクロスパイプで連結さ
れていたため、クッションユニットの下端はこのクロス
パイプの上面やハブの上面に軸支していた。このためク
ッションユニットのレイアウトの自由度が少なくなり、
また長いクッションユニットの使用が制限されるという
問題もあった。

（発明の目的） 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、
強度が十分に高く、クッションユニットのレイアウト自
由度が増え、長いクッションユニットの使用も可能にな
る小型車両のリヤアームを提供することを目的とする。

（発明の構成） 本発明によればこの目的は、前端が車体フレームに軸
支され、左右一対の後輪が取付けられた後輪軸を後端に
保持する小型車両のリヤアームにおいて、前端がクロス
チューブにより互いに結合されてほぼ平行に後方へのび
る左右一対のサイドチューブと、両サイドチューブの後
端から後方へのびその後縁に後方へ向かって開く円弧状
切欠部が形成された前後方向に平行かつ垂直な左右一対
のエンドプレートと、サイドチューブの後端付近で前記
両エンドプレートを結合する略垂直なクロスプレートと
を備え、前記両エンドプレートの切欠部に後輪軸保持用
ハブを挿入しこのハブに形成したフランジを両エンドプ
レートの側面に固定すると共に、クッションユニットの
下端を前記両サイドチューブの間に通して前記クロスプ
レートの前方近傍で左右一対のサイドチューブ間に軸支
したことを特徴とする小型車両のリヤアーム、により達
成される。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例の組付け状態を示す側面
図、第２図は同じくその平面図、第３図はこれを取付け
た小型４輪車の側面図、第４図と第５図はリヤアーム単
体の平面図と側面図、第６図は第４図におけるIV−IV線
端面図、第７図は後面図である。

第３図において、符号10は左右一対の操向前輪、12は
左右一対の駆動後輪であり、これらには幅広低圧タイヤ
が装着されている。14は空冷単気筒エンジンであり、前
後輪10、12間の前輪10寄りに搭載されている。このエン
ジン14は車体幅方向に置かれたクランク軸14aを備え
た、いわゆるクランク軸横置のエンジンであり、第１図
に示す車体フレームの左右一対の下フレーム16に取付け
られている。クランクケースの左半分は後方へ延びた伝
動ケースとなり、この伝動ケース内にＶベルト無段変速
機が収納されている。クランク軸14aの回転はこのＶベ
ルト無段変速機を介して出力スプロケット14b（第３
図）に伝えられ、さらにチェーン14cにより後輪12に伝
えられる。

18はエンジン14のシリンダ後方に位置する気化器、20
は両後輪12間に位置する排気マフラである。22は操向ハ
ンドルバー、24はこのハンドルバー22の後方でかつエン
ジン14の上方に位置する燃料タンクである。

26は前後に長い跨座式シートであり、エンジン14の斜
め後上方から後方へのびている。シート26の左右の縁か
らはボデーカバー28がのびている。すなわちボデーカバ
ー28はシート26の斜め前下方へのび、燃料タンク24の側
方およびエンジン14の側方を覆う。この実施例ではボデ
ーカバー28は割面30によって上下のパーツに分割されて
いる。このボデーカバー28の前部は左右へ張り出して前
輪10の上方および後方を覆う前フェンダ32に連続的に連
なっている。またボデーカバー28の後部は、同様に左右
へ張り出して後輪12の上方および前方を覆う後フェンダ
34に連続的に連なっている。

36はフートボードである。このフートボード36は、前
後および車体内側が上方へ起立するように合成樹脂で作
られ、これらの起立部分の上端が前フェンダ32の後端、
後フェンダ34の前端、ボデーカバー28の下端にそれぞれ
ビスにより接続されている。

このように車体に取付けられたフートボード36は、前
・後フェンダ32、34およびボデーカバー28に連続する
が、ボデーカバー28との連結部にはこの連結部を横断す
るように開口部42が形成される。この開口部42はエンジ
ン14の冷却風を円滑に後方へ排出する作用をすると共
に、エンジン14や気化器18などの整備性を向上させる。

次にリヤアーム50を説明する。前記下フレーム16は、
第１図に示すようにエンジン14の後方で斜上後方へのび
シートレール52に溶接されている。下フレーム16とシー
トピラーチューブ54との固着部にはブラケット56、56が
固着され、ここにリヤアーム50前端が軸支される。

リヤアーム50はブラケット56、56間にピボット軸58に
よって軸支されるピボットチューブ60と、このピボット
チューブ60の両端から後方へほぼ平行にのびる断面縦長
の長方形のサイドチューブ62（62a、62b）と、両サイド
チューブ62の後端の左側面に固着されて後方へ前後方向
に平行かつ垂直にのびる一対のエンドプレート64（64
a、64b）と、両サイドチューブ62の後端付近で両エンド
プレート64を結合する略垂直なクロスプレート66とを備
える。ここにクロスプレート66には第１、５図に示すよ
うに左のサイドチューブ62aの後端面が溶接され、右２
サイドチューブ62aがエンドプレート64bを挟んで溶接さ
れると共に、上下の隅付近が折曲されてリヤアーム50の
剛性の増大が図られている。

エンドプレート64には後方に向って開いた円弧状の切
欠部64Aが形成され、ここに後輪軸68を保持するハブ70
がボルト止めされる（第１、２図）。すなわちこのハブ
70に突設されたフランジ70A、70Bはエンドプレート64
a、64bの外側面に密着しボルト72、74で締着される。こ
の際フランジ70Bのボルト74が通るエンドプレート64側
のボルト孔は、ボルト72を中心とする円弧状とされ、ハ
ブ70の固定位置を変えることによりチェーン14cの張り
調整が可能となる。なおハブ70の左側にはドラムブレー
キを覆うブレーキカバー76が取付けられ、ハブ70の右側
には後輪軸68に固定された被動側スロケット78が位置す
る。このスプロケット78には前記チェーン17cが巻掛け
られる。第２図で80はドラムブレーキのブレーキレバ
ー、82はこのレバー80を作動させるワイヤのアウタが係
止されるクランプでありハブ70に一体に形成される。な
お前記ピボットチューブ60の右端には円筒形の回転自在
なチェーンガイド84が装着されている。

86はクッションユニットであり、その上端は左右のシ
ートレール52をつなぐクロスチューブ88に固着したブラ
ケット90に軸支され、その下端はクロスプレート66の前
面付近に軸支されている。すなわちクロスプレート66の
前面には左右一対の対向するプレート92（92a、92b）の
後端が溶接され、両プレート92にクッションユニット86
下端がピン94により軸支される。これらプレート92c、9
2bの上端は外側に広がりサイドチューブ62aおよびエン
ドプレート64bに溶接されている。ここにピン94の位置
は第1,5図に明らかなように両サイドチューブ62より下
方であり、クッションユニット86の下端は両サイドチュ
ーブ62の間を通りクロスプレート66の前方近傍で両プレ
ート92間にピン94で軸支される。なおピン94の着脱のた
めに両エンドプレート64には円孔96がそれぞれ形成され
ている。この実施例のリヤアーム50には、ハブ70とブレ
ーキカバー76とスプロケット78を路面障害物から保護す
るパイプ製のプロテクタ98が取付けられている。

以上の実施例ではリヤアーム50の前端を結合するクロ
スメンバをピボットチューブ60で形成したが、本発明は
ピボットチューブ60と別のクロスチューブを設けたもの
であってもよい。

（発明の効果） 本発明のリヤアームは以上のように、左右一対のサイ
ドチューブにそれぞれエンドプレートを固着し、これら
エンドプレートを略垂直なクロスプレートで固着し、後
輪軸のハブを前記両エンドプレートの後縁に形成された
後方へ向って開く円弧状の切欠部に挿入し、このハブの
フランジを両エンドプレートの側面に固定する一方、ク
ッションユニットの下端を両サイドチューブの間に通し
てクロスプレートの前方近傍で左右一対のサイドチュー
ブ間に軸支したものであるから、エンドプレートとクロ
スプレートが互いに略直交して結合され簡単な構成で強
度を大幅に増大させることができる。またクッションユ
ニット下部は左右のサイドチューブ間から下方に伸ばす
こともでき、クッションユニットのレイアウト自由度が
増し、長くすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の組付け状態を示す側面図、
第２図は同じくその平面図、第３図はこれを取付けた小
型４輪車の側面図、第４図と第５図はリヤアーム単体の
平面図と側面図、第６図は第４図におけるIV−IV線端面
図、第７図は後面図である。 50……リヤアーム、 60……クロスメンバとしてのピボットチューブ、 62……サイドチューブ、64……エンドプレート、 64A……切欠部、 66……クロスプレート、 68……後輪軸、 70……ハブ、 70A、70B……フランジ、 86……クッションユニット、 94……ピン。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前端が車体フレームに軸支され、左右一対
   の後輪が取付けられた後輪軸を後端に保持する小型車両
   のリヤアームにおいて、 前端がクロスチューブにより互いに結合されてほぼ平行
   に後方へのびる左右一対のサイドチューブと、両サイド
   チューブの後端から後方へのびその後縁に後方へ向かっ
   て開く円弧状切欠部が形成された前後方向に平行かつ垂
   直な左右一対のエンドプレートと、サイドチューブの後
   端付近で前記両エンドプレートを結合する略垂直なクロ
   スプレートとを備え、前記両エンドプレートの切欠部に
   後輪軸保持用ハブを挿入しこのハブに形成したフランジ
   を両エンドプレートの側面に固定すると共に、クッショ
   ンユニットの下端を前記両サイドチューブの間に通して
   前記クロスプレートの前方近傍で左右一対のサイドチュ
   ーブ間に軸支したことを特徴とする小型車両のリヤアー
   ム。