JP2731484B2 - 石炭粉の造粒方法 - Google Patents

石炭粉の造粒方法

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JP2731484B2
JP2731484B2 JP4088399A JP8839992A JP2731484B2 JP 2731484 B2 JP2731484 B2 JP 2731484B2 JP 4088399 A JP4088399 A JP 4088399A JP 8839992 A JP8839992 A JP 8839992A JP 2731484 B2 JP2731484 B2 JP 2731484B2
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    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭粉の造粒方法に関
し、より詳しく言うと、各種の石炭類(泥炭、褐炭、亜
瀝青炭、瀝青炭、半無煙炭、無煙炭等)やこれらから得
られる各種の炭素質材料(例えば、コークス、石炭チャ
ー、活性炭、カーボンブラック等)、更にはこれら石炭
系炭素質材料と類似の各種の炭素質材料(例えば、石油
コークス、石油系活性炭、石油系カーボンブラック等)
などの微粉という所謂広義の石炭粉を、適当な粒度の造
粒体に効率よく球形造粒し、粒径均一性が良好で、密度
が高く、物理的強度に優れ、輸送に十分に耐えるなどの
利点を有する所望の造粒製品又は中間製品を容易に得る
ことができる実用上著しく有利な石炭粉の造粒方法に関
する。
【0002】なお、本発明の方法によって得た造粒体
は、例えば、触媒担体や吸着剤等として有用な粒状活性
炭の製造用原料をはじめ、還元用炭素材、濾過材又はそ
の製造用原料などとして有用であり、各種の粒状炭素材
の利用分野に好適に利用することができる。
【0003】
【従来の技術】従来、石炭粉の造粒法すなわち石炭類の
微粉末を造粒し適当な大きさの球形の造粒体を得る方法
として、多種多様な方法が知られている。しかしなが
ら、従来のいずれの方法においても、造粒のための操作
や工程が煩雑で工業的方法として不利であったり、ま
た、得られる造粒体の密度や物理的強度が不十分であっ
たり、あるいは、粒径均一性が不十分であるなどの欠点
や問題点がある。そこで、こうした点を改善し、広範囲
の用途に好適に適用することができる球形造粒体を効率
よく得るための工業的な造粒法の開発が強く望まれてい
た。
【0004】例えば、こうした従来の造粒技術の中で
も、オイルアグロメレーション法の典型例である微粉
炭の水中造粒法すなわち石炭微粉末の水スラリーを攪拌
しながら界面活性剤や炭化水素油を滴下しこれをバイン
ダーとして球形に造粒する方法(特開昭56−1413
91号公報等)やCMCやPVA等をバインダーとし
て用いて石炭類の微粉末を傾斜回転皿型造粒機(ディス
ク・ペレタイザー)によって造粒する方法(特公昭46
−41210号公報、「石炭を原料とする球形活性炭の
製造技術に関する研究」:公害資源研究所報告第11
号,1979年)、などが代表的なものとして広く知ら
れているが、これら従来の技術においても以下に示すよ
うに同様の問題点がある。
【0005】すなわち、上記ののオイルアグロメレー
ション法(微粉炭の水中造粒法)は、原料石炭中の親油
性の炭素質分を水から分離し、同時に親水性の灰分を石
炭造粒物から除去する方法としては優れているものの、
造粒体の密度が小さく、その上、物理的強度が低く、輸
送に適さないなどの問題点がある。一方、上記のの傾
斜回転皿型造粒機による球形造粒法の場合には、石炭粉
を該造粒機(傾斜回転皿型造粒機)によって攪拌し、そ
こに水やPVA水溶液等のバインダー成分を噴霧して造
粒核を形成せしめ更にその核を中心として粒子を成長さ
せて球形の造粒体となすという方法である。しかしなが
ら、この傾斜回転皿型造粒機を用いる方法では、均一な
粒子径の造粒体を得るには該造粒機の皿全体に均一に細
かな霧を噴霧しなけらばならず、また、バインダーの粘
度が低いと造粒が困難となったりあるいは造粒効率が著
しく低下する一方その粘度が高い場合には均一な粒子に
造粒することが困難となるので、バインダーの適当な粘
度の幅が著しく狭く、そのため、均一な粒径の造粒体を
効率よく安定に得るための操作及び制御が極めて難しい
という欠点がある。更に、たとえ均一な粒径の造粒体を
得たとしても、このの従来法の場合、得られる造粒体
の密度が小さく、また、物理的強度も不十分であるなど
の問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、各種の
石炭類(炭素質材料)の微粉末から、密度が十分に大き
くかつ物理的強度も十分に高く、しかも均一な粒径の球
形造粒体を簡単な操作で効率よく安定に造粒することが
できる実用上著しく有利な石炭粉の造粒方法を提供する
ことにある。
【0007】また、本発明の更なる目的は、一旦造粒し
た造粒物に適当な後処理を加え、物理的強度等の特性や
性状を更に向上させ、例えば活性炭原料等の更に広範囲
の用途に好適に適用することができるところのより一層
高性能の造粒体を容易に得ることができる石炭粉の造粒
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、平均粒径及び最大
粒径がそれぞれ特定の値以下であり、かつ、ある特定の
値以上の粒径を有する粒子の割合がある特定の割合以下
であるという特定の粒径特性を有する石炭粉を原料とし
て用い、これを熱分解残渣油をバインダー若しくはその
成分として用い、高速攪拌造粒機という特定の形式の造
粒機によって造粒すると言う極めて簡単な操作によっ
て、密度及び物理的強度が共に十分に高く、しかも均一
な粒径の球形造粒体を効率よく安定に得ることができる
ということを見いだした。また、該造粒機によって造粒
して得た造粒物に対して、その後、酸化処理、特に比較
的低温での酸素含有ガスによる酸化処理を施すことによ
って、該造粒物の物理的強度等の特性をより一層向上さ
せることができて、例えば活性炭原料等の更に広範囲の
用途に好適に適用することができる極めて高性能の造粒
体を容易に得ることができることを見いだし、これらの
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、平均粒径が30μm
以下であり、最大粒径が100μm以下であり、かつ、
粒径74μm以上の粒子の占める割合が10重量%以下
である石炭粉を、熱分解残渣油の存在下で高速攪拌造粒
機により造粒することを特徴とする石炭粉の造粒方法を
提供するものである。
【0010】また、本発明は、上記本発明の造粒方法の
中でも、造粒体の物理的強度等の特性をより一層向上さ
せることができるなどの点で特に好適な方法として、前
記高速攪拌造粒機による造粒後、得られた造粒物に対し
て50〜150℃の範囲の温度で酸化処理を行うことを
特徴とする石炭粉の造粒方法を併せて提供するものであ
る。
【0011】本発明の方法において、造粒の原料若しく
は原料成分として用いる前記石炭粉としては、多種多様
の種類及び組成の原料炭の微粉砕物を使用することがで
き、あらゆる石炭類(具体的には例えば、泥炭、褐炭、
亜炭、亜瀝青炭、瀝青炭、半無煙炭、無煙炭等)の微粉
末、これらの石炭類から得られる各種の石炭系炭素質材
料(例えば、コークス、石炭チャー、活性炭、カーボン
ブラック等)の微粉末、更にはこれら石炭系炭素質材料
と同質の各種の炭素質材料(例えば、石油コークス、石
油系活性炭、石油系コークス等)の微粉末という広い意
味での石炭粉を対象とすることができる。これら各種の
石炭粉の中でも、通常は、前記各種の石炭類及び/又は
前記各種の石炭系炭素質材料からなる微粉末、特に、前
記各種の石炭類からなる微粉末が好適に使用される。ま
た、前記各種の石炭類の中でも、亜瀝青炭、瀝青炭、半
無煙炭及び無煙炭が特に好適に使用される。これら亜瀝
青炭、瀝青炭、半無煙炭又は無煙炭からなる微粉末を前
記造粒原料石炭粉として使用すると、特に活性炭原料等
として好適な優れた性状を有する造粒物をより一層容易
に得ることができる。
【0012】なお、前記石炭粉は、1種の原料炭からな
る微粉末として用いてもよいし、あるいは、2種以上の
原料炭からなる混合微粉末として用いてもよい。また、
本発明の方法における造粒生成物の篩分け、解砕等によ
って得られる回収微粉末をリサイクルし、前記石炭粉に
混合して使用してもよい。
【0013】本発明の方法においては、前記石炭粉を高
速攪拌造粒機によって造粒するが、この造粒原料とし
て、平均粒径が30μm以下であり、最大粒径が100
μm以下であり、かつ、粒径74μm以上の粒子の占め
る割合が10重量%以下であるという特定の粒径特性を
有する石炭粉を用いることが重要である。ここでもし、
造粒原料として、平均粒径が30μmより大きかった
り、最大粒径が100μmより大きかったり、あるい
は、粒径74μm以上の粒子の占める割合が10重量%
を超える石炭粉を用いると、均一な粒径の球形造粒体に
うまく造粒できなかったり、あるいは、造粒物の密度や
物理的強度が不十分となるなどの支障を生じ、本発明の
目的を十分に達成することができない。
【0014】なお、好ましい平均粒径の下限は、通常、
10μm程度であり、平均粒径があまり小さい石炭粉を
用いると造粒に長時間を要したり、造粒をうまく行えな
いことがある。
【0015】本発明の方法においては、このように特定
の粒径特性を有する石炭粉を造粒原料として用い、これ
を高速攪拌造粒機という特定の形式の造粒機に供給し、
該造粒機によって造粒を行うが、その際、該造粒を熱分
解残渣油の存在下で行うことが肝要である。この熱分解
残渣油としては、各種の熱分解工程(接触分解工程でも
よい。)より得られる種々の組成及び性状の炭化水素油
が使用可能であるが、通常は、石油類の熱分解工程より
得られる炭化水素油が好適に使用される。
【0016】これらの石油系熱分解残渣油の中でも、石
油系熱分解残渣油[特に、ナフサ分解残渣油、中でも特
にエチレンボトム油(カーボンブラックオイルすなわち
CBO)など]や石油流動接触分解残渣油(FCC残渣
油、RFCC残渣油等)、あるいは、スチレンボトム油
などが好ましい。このような熱分解残渣油は、前記石炭
粉の造粒用バインダーとして特に優れた性能を有してお
り、例えば、従来の水溶性バインダーに比べて粘度が高
く、また、前記石炭類や炭素材料とのなじみがよいの
で、こうした熱分解残渣油をバインダーとして用いるこ
とによって造粒をずっと円滑に行うことができ、密度及
び物理的強度の高い均一な粒径の球形造粒物を容易に得
ることができる。更に、前記熱分解残渣油をバインダー
として用いると、得られた造粒物を高温で炭化する際に
石炭粉同士を強固に融着させることができ、極めて機械
的強度の大きい製品を得ることができるという点でも優
れている。したがって、高温で炭化して用いる活性炭原
料等とする場合には、特に優れた効果が発揮される。な
お、前記熱分解残渣油としては、通常、その粘度が10
00cst以下のものを使用するのが好適であり、特
に、15〜100cstの範囲にあるものが好ましい。
前記熱分解残渣油として、粘度が1000cstより高
い熱分解残渣油を使用すると、造粒を円滑に行うことが
困難となったり、得られる造粒物の粒径制御が困難とな
ることがある。また、使用する熱分解残渣油の粘度があ
まり低く過ぎると、バインダーとしての十分な効果が得
られず、造粒がうまく行うことが困難となるなどの支障
を生じ易い。
【0017】前記造粒用バインダーとして使用する前記
熱分解残渣油の適当な使用割合は、使用する石炭粉の種
類及び組成(すなわち、石炭の種類や混合割合等)、あ
るいは、その熱分解残渣油の種類や性状によって異なる
ので、一様に定めることができないが、通常は、造粒に
供する石炭粉の合計重量に対して、該熱分解残渣油を1
0〜60重量%を使用するのが好適である。
【0018】本発明の方法において、重要な点のひとつ
は、前記造粒を高速攪拌造粒機という特定の形式の造粒
機を用いて行う点である。この高速攪拌造粒機は、混合
攪拌式造粒機とも呼ばれるのもので、該造粒機として
は、例えば、ヘンシェル型攪拌造粒機等の市販品などを
用いることができる。
【0019】前記造粒は、高速攪拌造粒機を用いて常法
によって行うことができる。すなわち、前記造粒は、前
記石炭粉を該造粒機に投入・攪拌し、通常攪拌下で、バ
インダーとして前記熱分解残渣油を添加し、添加後、更
に攪拌を続け、造粒するという方法によって好適に行う
ことができる。該造粒時の攪拌のための好適な回転数及
び造粒時間は、使用する石炭粉や熱分解残渣油の種類や
性状等によって異なるし、また得ようとする造粒体の粒
度(粒径)等によって異なるので一律に定めることがで
きないが、通常は、該回転数を200〜1000rpm
の範囲に選定するのが好適であり、造粒時間を1〜10
分間の範囲に選定するのが好適である。この回転数及び
造粒時間の調節(微調節)によって、得ようとする造粒
体の粒度(粒径)を適宜所望の値に変えることができ
る。このようにして、前記石炭粉を、均一な粒径の球形
の造粒体に造粒することができ、その平均粒径を、例え
ば、0.5〜10mm程度の範囲に適宜制御することが
できる。
【0020】以上のように、高速攪拌造粒機を用いて前
記造粒を行うことによって、造粒時の造粒物に十分に高
いシェアーを均一に印加することができ、その結果、強
度の高い均一な粒径の造粒体を容易に得ることができ
る。これに対して、傾斜回転皿型造粒機では、造粒時の
造粒物に十分なシェアーがかからないので、十分に高い
物理的強度の造粒体を得ることができず、また、均一な
粒径への制御も難しい。以上のように高速攪拌造粒機に
よって造粒した造粒物には、必要に応じて、通常行われ
るような種々の後処理を施して所望の造粒体とすること
ができる。
【0021】例えば、前記造粒によって得た造粒物を、
適宜分級して所望の粒度若しくは粒径範囲の製品又は中
間製品として取得することができるし、必要以上に大き
くなった造粒物は、解砕後、適宜篩別してもよいし、あ
るいは、例えば製品粒度よりも小さいものと共に、リサ
イクル品として原料石炭粉と混合し再度前記造粒に供し
てもよい。
【0022】以上のようにして造粒して得た造粒体は、
そのままでも十分に物理的強度が高いが、低温にて酸化
処理を行うことによってより一層その強度を向上させる
ことができる。
【0023】この低温酸化処理は、通常、50〜150
℃の範囲の温度で行うことが好ましい。また、この酸化
処理は、酸素濃度が1〜21容量%である酸素含有ガス
によって好適に行うことができる。ここで、酸化処理の
温度が50℃未満では、処理効果が不十分で、造粒体の
強度の向上効果が十分に得られない。一方、該酸化処理
を150℃より高い温度で行うと、発熱、着火などの支
障を生じることがある。また、前記酸化処理を、酸素濃
度が1容量%未満のガスで行っても、十分な酸化処理効
果が得られず、造粒体の強度の向上効果が不十分とな
る。一方、該酸化処理を酸素濃度が21容量%より高い
ガスによって行うと、発熱、着火などの支障を生じるこ
とがある。なお、前記酸素含有ガスとしては、例えば、
空気、空気と窒素等の不活性ガス等との混合ガスなど各
種のものが使用可能である。酸素含有ガスの好ましい酸
素濃度は3〜21容量%である。
【0024】以上のように造粒体に低温にて酸化処理を
施すことによって、造粒体の強度を更に向上させること
ができ、極めて物理的強度の高い造粒体を容易に得るこ
とができる。このように低温酸化処理によって強度をよ
り一層効果的に向上させることができるのは、前記造粒
用バインダーとして熱分解残渣油という酸化され易い分
解炭化水素系のバインダーを用いていることによる点に
注目すべきである。すなわち、そのような特定のバイン
ダーを用いていることによって、前記低温酸化時にバイ
ンダー同士の酸化重合が効果的に起こり、その結果石炭
微粒子同士が強固に融着し、著しく強度の高い造粒体が
得られるのである。
【0025】以上のように、本発明の方法によって、各
種の石炭粉から、密度及び物理的強度が高く、粒径均一
性が良好であるなど優れた特性を有する所望の粒度の造
粒体を容易にかつ効率よく製造することができる。
【0026】本発明の方法によって得た造粒体は、上記
の優れた特性を有しているので、例えば、触媒担体や吸
着剤等として有用な粒状活性炭の製造用原料をはじめ、
還元用炭素材、濾過材又はその製造用原料などとして有
用であり、各種の粒状炭素材の利用分野に好適に利用す
ることができる。また、中でも特に、前記酸化処理を施
したものは強度等により一層優れているので、特に高い
物理的強度が要求される利用分野に有利に利用すること
ができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例によっ
て本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0028】実施例1 原料石炭粉として、平均粒径30μm、最大粒径95μ
m、かつ、粒径74μm以上の粒子の割合が全体の8重
量%である瀝青炭粉30kgを高速攪拌造粒機(ヘンシ
ェル型攪拌造粒機)に投入し、該造粒機の攪拌羽根を4
00rpmで回転させた。該回転下で、バインダーとし
てナフサ分解残渣油(エチレンボトム油すなわちカーボ
ンブラックオイル:粘度56cst)15kgを該造粒
機内に滴下し、造粒を行った。4分間造粒した時点で、
原料瀝青炭粉が見られなくなり造粒体がうまく形成され
ており、該造粒体の表面がバインダーで覆われていたの
で、その時点で、前記と同じ瀝青炭粉を2kg更に添加
し、表面のバインダーに打ち粉を施し、取扱性を良好と
した上で造粒機から造粒物を排出し、回収した。
【0029】次いで、この造粒物を、タイラーメッシュ
の6メッシュ(目開き3.327mm)と9メッシュ
(目開き1.921mm)の篩を用いて篩別し、6〜9
メッシュの粒径の造粒体を製品とした。この造粒体製品
の収率は、表1に示すように53重量%であった。
【0030】なお、表1に示す製品収率の値は、この実
施例1の場合に限らずいずれも、上記のようにして篩別
して得た6〜9メッシュの粒径範囲の造粒体製品の重量
を、原料として用いた全石炭粉重量(この実施例1の場
合、前記瀝青炭粉の全投入重量)と使用したバインダー
重量(この実施例1の場合、前記ナフサ分解残渣油の使
用重量)との合計に対する重量%で表したものである。
【0031】こうして得られた6〜9メッシュの粒径範
囲の造粒体製品について、その造粒体の硬さ、嵩密度を
測定した。更に、該造粒体製品を、窒素雰囲気において
温度900℃で2時間乾留を行って得た乾留物について
もその硬さを測定した。これらの結果も表1に示す。
【0032】なお、表1に示す造粒体製品の硬さは、製
品粒子を圧縮機によって圧をかけて次第に圧縮した際
に、圧壊する時点あるいは変形を開始する時点における
圧力の値によって表わしてある。また、乾留物の硬さ
は、JIS K 1474 活性炭試験方法の試験項目
硬さ に準じた。 JIS K 1474 硬さ 要旨 粒状試料を硬球と共に入れた硬さ試験用皿を振盪
した後ふるいわけ、ふるい上に残った試料の質量を求
め、元の試料の比から硬さを求める。 H=(W/S)×100 H:硬さ(%) W:ふるい上に残った試料の質量 S:ふるい上及び受け皿に残った試料の質量の合計
【0033】実施例2 平均粒径が20μmである以外は実施例1で用いたもの
と同じ瀝青炭粉を用いた他は、実施例1と同様にして造
粒し、次いで同様にして篩別を行い、6〜9メッシュの
造粒体製品を得た。その製品の収率を実施例1に示した
方法によって求めた。また、この製品について実施例1
と同様にして各物性を測定した。これらの結果を表1に
まとめて示す。
【0034】実施例3 平均粒径が10μmである以外は実施例1で用いたもの
と同じ瀝青炭粉を用いた他は、実施例1と同様にして造
粒し、次いで同様にして篩別を行い、6〜9メッシュの
造粒体製品を得た。その製品の収率を実施例1に示した
方法によって求めた。また、この製品について実施例1
と同様にして各物性を測定した。これらの結果を表1に
まとめて示す。
【0035】実施例4 石炭粉として、同様の粒径特性を有する亜瀝青炭の粉体
を用いた他は、実施例1と同様にして造粒し、次いで同
様にして篩別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品を得
た。その製品の収率を実施例1に示した方法によって求
めた。また、この製品について実施例1と同様にして各
物性を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0036】実施例5 石炭粉として、同様の粒径特性を有する半無煙炭の粉体
を用いた他は、実施例1と同様にして造粒し、次いで同
様にして篩別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品を得
た。その製品の収率を実施例1に示した方法によって求
めた。また、この製品について実施例1と同様にして各
物性を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0037】実施例6 バインダーとして、ナフサ分解残渣油に代えて石油流動
接触分解残渣油(FCC残渣油:粘度35cst)15
kgを用いた他は、実施例1と同様にして造粒し、次い
で同様にして篩別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品
を得た。その製品の収率を実施例1に示した方法によっ
て求めた。また、この製品について実施例1と同様にし
て各物性を測定した。これらの結果を表1にまとめて示
す。
【0038】実施例7 実施例1で得た造粒体(6〜9メッシュの篩別品)を、
50℃で10時間空気中で酸化処理して造粒体製品とし
た。この酸化処理した造粒体製品について実施例1と同
様にして各物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】実施例8 実施例1で得た造粒体(6〜9メッシュの篩別品)を、
150℃で6時間空気中で酸化処理して造粒体製品とし
た。この酸化処理した造粒体製品について実施例1と同
様にして各物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】比較例1 原料石炭粉として、平均粒径40μm、最大粒径160
μm、かつ、粒径74μm以上の粒子の割合が全体の4
7重量%である以外は同じ種類の瀝青炭粉30kgを用
いた他は実施例1と同様にして造粒し、次いで同様にし
て篩別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品を得た。そ
の製品の収率を実施例1に示した方法によって求めた。
また、この製品について実施例1と同様にして各物性を
測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0041】比較例2 バインダーとして、ナフサ分解残渣油に代えて潤滑油
(ユニオン石油社製 E−100)15kgを用いた他
は、実施例1と同様にして造粒し、次いで同様にして篩
別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品を得た。その製
品の収率を実施例1に示した方法によって求めた。ま
た、この製品について実施例1と同様にして各物性を測
定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0042】比較例3 バインダーとして、ナフサ分解残渣油に代えて水15k
gを用いた他は、実施例1と同様にして造粒し、次いで
同様にして篩別を行い、6〜9メッシュの造粒体製品を
得た。その製品の収率を実施例1に示した方法によって
求めた。また、この製品について実施例1と同様にして
各物性を測定した。これらの結果を表1にまとめて示
す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の方法においては、特定の粒径特
性(平均粒径、最大粒径など)を有する石炭粉を用い、
熱分解残渣油という特定の種類のバインダーを用いて、
しかも、高速攪拌造粒機という特定の造粒機によって造
粒を行っているので、各種の石炭類(炭素質材料)の微
粉末から、密度が十分に大きくかつ物理的強度も十分に
高く、しかも均一な粒径の球形造粒体を簡単な操作で効
率よく安定に得ることができる。
【0045】また、本発明の方法においては、一旦造粒
した造粒物を低温酸化処理という特定の後処理を加える
ことによって、その造粒体の物性、特に物理的強度をよ
り一層向上させることができる。
【0046】すなわち、本発明によると、例えば活性炭
原料等の広範囲の用途に有利に適用することができると
ころの上記の優れた物性を具備する高性能の造粒体製品
を効率よく容易に得ることができる実用上著しく有利な
石炭粉の造粒方法を提供することができる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が30μm以下であり、最大粒
    径が100μm以下であり、かつ、粒径74μm以上の
    粒子の占める割合が10重量%以下である石炭粉を、熱
    分解残渣油の存在下で高速攪拌造粒機により造粒するこ
    とを特徴とする石炭粉の造粒方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の石炭粉の造粒方法におい
    て、前記高速攪拌造粒機による造粒後、得られた造粒物
    に対して50〜150℃の範囲の温度で酸化処理を行う
    ことを特徴とする石炭粉の造粒方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化処理を、酸素濃度が1〜21容
    量%である酸素含有ガスによって行う請求項2記載の石
    炭粉の造粒方法。
  4. 【請求項4】 前記石炭粉が、亜瀝青炭、瀝青炭、半無
    煙炭又は無煙炭からなるものである請求項1、2又は3
    記載の石炭粉の造粒方法。
  5. 【請求項5】 前記熱分解残渣油が、粘度1000cs
    t以下の熱分解残渣油である請求項1、2、3又は4記
    載の石炭粉の造粒方法。
  6. 【請求項6】 前記熱分解残渣油が、石油流動接触分解
    残渣油、ナフサ分解残渣油、エチレンボトム油又はスチ
    レンボトム油である請求項1、2、3、4又は5記載の
    石炭粉の造粒方法。
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