JP2731242B2 - 高強度・高靱性セラミックス体 - Google Patents

高強度・高靱性セラミックス体

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JP2731242B2 JP1135079A JP13507989A JP2731242B2 JP 2731242 B2 JP2731242 B2 JP 2731242B2 JP 1135079 A JP1135079 A JP 1135079A JP 13507989 A JP13507989 A JP 13507989A JP 2731242 B2 JP2731242 B2 JP 2731242B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高強度、高靭性を具備したセラミックス体に
関する。
(従来の技術) セラミックスの実用的価値は主に材質と組織構造によ
って支配されるといわれており、特に後者の組織構造が
不適当であれば材質の持つすぐれた性能を発揮させ得な
いため、材質の開発とあいまって焼結技術の様々な改良
が提案されている。例えば特開昭62−3075号の場合は原
材料としての窒化珪素微粉末に添加剤としてSi/III a族
金属合金微粉末を用い、窒素雰囲気中で焼結させること
により、高密度の焼結体を得ようとしている。又実開昭
59−88373号のような焼結体の製法も知られ、この場合
は焼結助剤としてイットリウム、ランタン系列元素から
選ばれる元素の窒化物と窒化アルミニウムの混合物が用
いられる。
(発明が解決しようとする課題) しかし従来のように例えばSi3N4等の窒化物にY2O3,Al
2O3,MgO,SiO2等の添加剤を単独或は複合して添加焼成す
る方法においては焼結時に緻密化を伴なわない粒成長、
気孔の消減を困難にする異常粒成長が生起することがあ
り、一方これを抑制しようとして焼結温度を下げると焼
結の緻密化に寄与する液相の粘性が高くなって焼結駆動
力が低下するという問題があった。このため焼結体の物
性にばらつきが生じ易く信頼性に欠けるばかりでなく靭
性という面からも十分ではなかった。
一方強度的に優れ、化学的にも安定しているといわれ
る単結晶のウィスカーの繊維複合材等は未だ生産手段も
形状も限定されており又価格面からも実用化には難点が
あった。
(課題を解決するための手段) かかる課題を解決するため、本発明はセラミックス体
の添加成分を変更し、すなわち50乃至99重量パーセント
の主原料に対し1乃至50重量パーセントの添加剤を加
え、この添加剤は必須添加元素としてY,Al,Ce,Laの元素
を成分とし、任意添加元素にTi,Zr,Mg,Si,Cr,Dyを含有
させることとした。そしてこの添加量は総重量に対する
重量パーセントで0<Y2O3<20、0<Al2O3<40、0<C
eO2<10、0<La2O3<10、0≦TiO2<10、0≦ZrO2<2
0、0≦MgO<10、0≦SiO2<20、0≦Cr2O3<10、0≦D
y2O3<20とした。又これら添加剤の形態は有機金属塩、
酸化物、硝酸塩、錯体、水酸化物、ハロゲン化物とし
た。
(作用) 添加成分の中にY,Al,Ce,Laを必ず含有させしかも夫々
の添加量を酸化物換算量で0<Y2O3<20、0<Al2O3<4
0、0<CeO2<10、0<La2O3<10の範囲とすることによ
り、焼結時の添加成分の液相が緻密化及び微細結晶の晶
出に最適に調整され、更にTi,Zr,Mg,Si,Cr,Dyのうち少
なくとも1種を含有させることによって結晶化層或いは
ガラス層の窒素及び炭素の固溶安定性を増大させること
が出来、マトリクス粒子との相互作用が深まり又マトリ
クスから添加物結晶層への傾斜的機能も高まることが出
来る。すなわち、添加剤の含有成分と含有量を上述のよ
うな範囲に設定することによって、焼結時の液相を異常
粒成長を起さない焼結温度内で比較的低粘度とすること
が出来、緻密化が十分速く進行する。これに対して生成
する液相が高粘度である場合は焼結の駆動力が小さくな
って緻密化が進行せず、このような液相の粘度を下げよ
うとして焼結温度を高めると、結晶粒が粗大化し、異常
粒成長の誘発によって物性値のバラつきをもたらすこと
となる。
更に前記条件を満たす添加剤は、焼結時の液相の結晶
化時結晶粒が微細化しかつ均一となり、この結晶化は燃
結温度、主原料等の調整によって針状晶、小柱状晶の結
晶粒とすることも出来しかも焼結時にマイクロクラック
を形成させることも可能である。この晶出する針状晶の
結晶の微細化及びマイクロクラックは高強度化、高靭性
化のため効果があり、一方ガラス層或は結晶化層のマト
リクス粒子との相互作用によって粒子結合相間の接着強
さが高まることと相俟って優れた高靭性、高強度性を発
揮し且つ高温特性、耐酸化性も劣化しない。
次にこのような添加剤の総量は1重量パーセント乃至
50重量パーセントの範囲であることが必要であり、1重
量パーセント未満とすると緻密化に必要な粒界及び粒界
層の液相量が不足することとなり、50重量パーセント以
上とすると特性を充分引き出すことは出来なくなる。
(実施例) 本発明の添加剤は1500℃〜1700℃近傍で液相が生成し
始めるように調整され、液相の粘度が10〜10000CPに設
定された場合良好な結果を生ずる。
液相生成の開始温度を1500℃以下にすることは可能で
あるがその場合には高温特性が劣化するという不具合を
防止する配慮が必要となり、更に表面窒化処理等の新た
な一工程が必要になると考えられる。逆に液相生成開始
温度が1700℃を越えるものでは、いたずらに焼成温度を
上げることとなりコスト面からも不利となる。又結晶化
温度は、主原料中で添加成分の粘度が急激に低下する温
度の1/2〜1/3の範囲で設定すると単時間で効果的な結晶
が得られることも判明した。以上のような点から前述の
添加剤の構成比は自ずと一定範囲内に限定される訳であ
るが、以下具体的な実施例について説明する。
〔実施例1〕 表1のような配合により、スリップキャスティングに
よって20×20×150mmの供試体A〜Fを作成した。
各供試体をよく乾燥し、N2ガスを30ml/minで流通させ
10℃/minで650℃に昇温し、そのまま650℃で120分保持
した後、15℃/minで1200℃まで昇温し、1200℃で90分保
持して脱脂、仮焼した。仮焼後精製水中で12MHzの超音
波を照射し洗浄した。
乾燥後N2雰囲気化15℃/minで700℃まで昇温し、700℃
で15分保持、700℃から10℃/minで1400℃まで昇温し30
分保持、その後15℃/minで1700℃昇温し60分間保持、更
に50℃/minで昇温し1750℃で60分間保持し、今度は40℃
/minで1000℃まで降温し、1000℃で60分間保持した後炉
冷した。
得られた供試体を一部はそのまま曲げ試験し、一部は
JISR 1601に準じて試験片を切り出し、曲げ試験及びシ
ェブロンノッチ法による破壊靭性試験を行なった。
結果は表2のとおりである。
電子顕微鏡によるミクロ構造の解析を行なったところ
すべての供試体とも粒子は0.3〜0.7μm、長さ3〜5μ
mの針状晶の結晶に成長しており、主体となるSi3N4
子の発達したものと判明した。又これらの破壊靭性値が
従来の平均3〜5MPam1/2の靭性値に較べて格段に高い理
由は、観測された粒子まわりの微細なマイクロクラック
によるものと推測される。このマイクロクラックはジル
コニア系セラミックスに見られるものと類似したもので
ある。又、これらを夫々の結晶化温度で時効処理すると
強度は更に向上しA,B,C,D,E,Fとも夫々曲げ強さ(MPa)
は1280,1120,1200,980,1350,940MPaとなり10〜20%の強
度向上が図れる。
〔実施例2〕 実施例1では主にAl2O3,Y2O3,MgO,CeO2,La2O3,ZrO2
Si3N4の挙動について調査したが、本実施例ではランダ
ムに抽出して表3に示す混合比の供試体によって試験を
行なった。
スリップキャスティング及び150MPa成形圧からなるプ
レス成形で60×60×10mmの供試体を成形した。
いずれの供試体もよく乾燥させ、その後加えたバイン
ダ成分除去のため実施例−1に示す昇温加熱パターンで
仮焼し、次いで不純物除去のため精製水中に浸漬して8M
Hzの超音波を5分照射した。
洗浄後110℃2時間、210℃12時間、350℃6時間乾燥
し、夫々表4に示す焼成温度で2時間焼成するととも
に、夫々の結晶化温度を設定して1時間保持し、その後
炉冷して焼成物を得た。
得られた供試体は実施例−1と同様一部をそのまま曲
げ試験し、一部はJISR 1601に準じて試験片を切り出
し、曲げ試験及びシェブロンノッチ法による破壊靭性試
験を行なった。結果は表4のとおりであり、強度、靭性
とも従来に較べ高い値が得られている。尚、表3に示す
供試体e,f,g,iは参考例である。
(発明の効果) 以上のように本発明のセラミックス体は、従来の製造
ブロセスを何ら変えることなく添加成分の配合の変更の
みで高強度、高靭性が得られるため価格の上昇を招かず
又歩留りも向上する。又本セラミックス体は高温特性、
耐酸化性を劣化させていないということも特徴である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化物からなる主原料に添加剤を加えて焼
    成したセラミックス体において、 上記添加剤は必須添加元素としてY,Al,Ce,Laを、任意添
    加元素としてTi,Zr,Mg,Si,Cr,Dyの元素を夫々含有する
    とともに、前記必須添加元素の添加量は酸化物に換算し
    た総重量比で、0<Y2O3<20%、0<Al2O3<40%、0
    <CeO2<10%、0<La2O3<10%、前記任意添加元素の
    添加量は酸化物に換算した総重量比で、0≦TiO2<10
    %、0≦ZrO2<20%、0≦MgO<10%、0≦SiO2<20
    %、0≦Cr2O3<10%、0≦Dy2O3<20%とし、且つ必須
    添加元素及び任意添加元素の総量が1乃至50重量パーセ
    ントとなって、50乃至99重量パーセントの前記主原料と
    混合せられることを特徴とする高強度・高靭性セラミッ
    クス体。
  2. 【請求項2】前記添加剤の形態は、有機金属塩、酸化
    物、硝酸塩、錯体、水酸化物、ハロゲン化物としたこと
    を特徴とする請求項1に記載の高強度・高靭性セラミッ
    クス体。
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