JP2727812B2 - 溶融金属の成分分析装置 - Google Patents

溶融金属の成分分析装置

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JP2727812B2
JP2727812B2 JP3223524A JP22352491A JP2727812B2 JP 2727812 B2 JP2727812 B2 JP 2727812B2 JP 3223524 A JP3223524 A JP 3223524A JP 22352491 A JP22352491 A JP 22352491A JP 2727812 B2 JP2727812 B2 JP 2727812B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鋼等の溶融金属の成
分をレーザ発光分光分析法により分析する溶融金属の成
分分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属の精錬作業、特に鉄鋼の転炉精
錬においては、製品の高品質化,多用化及び精錬工程に
要する時間の短縮化の要求に伴って、溶融金属(溶鋼)
の成分分析の高精度化及び分析時間の短縮化が強く要望
されている。
【0003】現在、鉄鋼の精錬過程において用いられて
いる溶鋼の代表的な成分分析法として、放電を利用した
放電発光分光分析法がある。この方法は、例えば鉄鋼便
覧VOL2,p490に示されているサブランス法にて
溶鋼の一部である試料をサンプリング容器内にサンプリ
ングした後、十分に環境整備された分析室内で分析を行
うものである。
【0004】この分析法においては、試料サンプリン
グ,サンプリング容器からの試料の取り出し,分析室内
への試料搬送,試料の冷却,切断,研磨等の前処理を施
した後、分析処理を行うので、試料サンプリング開始か
ら分析処理完了まで約5分の時間を要する。精錬工程が
約20分程度であることを考慮すると、この5分は大変長
い時間であると言える。このため、分析結果が得られた
時には、分析した溶鋼は既に精錬工程を終了し次工程に
移行している場合、または精錬が進み成分が大きく異な
った溶鋼を精錬中である場合があるので、分析結果を有
効に利用できないという難点がある。
【0005】上述したような放電発光分光分析法とは異
なり、溶融金属(溶鋼)の成分を直接分析する試みがな
されている。このような直接分析法の中では、レーザ光
を試料に照射してその表面にプラズマ光を発生させ、こ
のプラズマ光を分光解析して溶融金属の成分を直接分析
する方法、所謂レーザ発光分光分析法が広く用いられて
いる。このレーザ発光分光分析法は放電発光分光分析法
に比べて、試料面との距離変動による影響を受けにく
い、応答時間が短い、1m程度の遠隔にある試料の分析
が可能である、放電による電極の消耗がなく自動化が可
能である等の点において有利である。
【0006】レーザ発光分光分析法を用いて、転炉精錬
における溶鋼の成分分析を行う場合には、溶鋼表面を厚
いスラグ層が覆っているので、このスラグを除去した試
料面を形成する必要がある。このような点を考慮した溶
融金属(溶鋼)の直接分析法としては、例えば特開昭61
─181946号公報に開示されているものがある。
【0007】特開昭61─181946号公報に開示された方法
は、水冷2重壁を有する室内にレーザ発振器,分光器を
配置し、窓を取り付けた集光筒をこの2重壁の一部に設
け、この窓からレーザ光を集光筒内に伝送し、集光筒の
先端に装着された消耗型のサンプルプローブ内で溶融金
属にレーザ光を照射する。このサンプルプローブには、
従来のサブランス法の紙管と同様にメタルキャップが設
けてあり、サンプルプローブがスラグ面を通過して溶融
金属に浸積した際にメタルキャップが外れる仕組みであ
る。このため、サンプルプローブ内へのスラグの侵入を
防止できて、溶融金属の分析を可能とする。また、この
特開昭61─181946号公報に開示された方法では、サンプ
リング時に集光筒を伸縮または装置全体を昇降させてサ
ンプルプローブを溶融金属に浸積させている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例では、
以下に述べるような問題がある。レーザ発光分光分析法
により鋼中成分の分析を行う際には、プラズマ光の中に
鉄のスペクトル線が非常に多くかつ密に存在しているの
で、波長分解能が高い分光器が必要である。そのため、
分光器及びその周辺の温度を±数℃に安定させる必要が
ある。またその検出素子を安定的に動作させるために
は、周辺温度を40℃以下にすることも必要である。更
に、振動等も十分に除去しなければならない。このよう
な必要性はレーザ発振器においても同様である。ところ
が、転炉内部は非常に高温であり、実際転炉内に装置を
装入した場合に水冷壁にて覆っていても装置内部を40℃
以下の一定温度に維持することは極めて難しい。また、
転炉内の溶鋼は激しく流動しており、装置の一部を溶鋼
に浸積させた際には激しい振動が生じる。このような点
から、装置全体を転炉内に装入して成分分析を行うこと
が不可能であることは容易に想像される。
【0009】また、上述した方法を改良して、集光筒を
伸縮させるかまたは長い集光筒を用意しサンプリング時
に集光筒のみを転炉内に装入させる方法においても、以
下に述べるような問題がある。
【0010】この場合には、レーザ発振器及び分光器を
転炉内に装入させる必要がないので、これらへの温度及
び振動対策の影響を制御することは可能である。ところ
が、レーザ発振器,分光器を転炉上に設置したとき、こ
れらから溶鋼面までは十数mの距離、場合によっては20
m以上の距離となる。集光筒の外直径は通常周辺設備の
制約から大きくとも百数十mm程度である。例えば鋼製の
このような集光筒は、上端を固定すると下端に僅かな力
を加える事で湾曲することは容易に推定される。しか
も、転炉内では雰囲気及び溶鋼が激しく流動しているの
で、集光筒の先端は湾曲して振動する。例えば集光筒の
外直径が100mm程度である場合には、この湾曲振動の振
幅は100 mmを超えてしまう。従って、長さ20mの集光筒
を用いて、その内部の溶鋼面近傍にある集光レンズの中
心にレーザ光を伝送することは不可能である。
【0011】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、下端部への作用力によるレーザ導波管の湾曲を
低減し、下端部に至るまで正確に分析用のレーザ光を伝
送して、溶融金属の成分を精度良くしかも迅速に分析す
ることができる溶融金属の成分分析装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶融金属の
成分分析装置は、レーザ発光分光分析法を用いて溶融金
属の成分を分析する装置において、自由度を有する複数
関節部をその中途に備え、その内部にレーザ光を伝送
して分析対象の溶融金属の試料にレーザ光を照射するレ
ーザ導波管と、該レーザ導波管を内部に通す水冷管と、
レーザ光の照射により前記試料の表面に発生したプラズ
マ光を伝播する光ファイバと、前記レーザ導波管を前記
関節部の近傍にて前記水冷管に夫々支持する支持手段
を具備することを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明の成分分析装置では、レーザ導波管内を
伝送されるレーザ光がその関節部において伝送方向が変
化されるので、このような関節部をレーザ導波管の中途
に設けると自由な方向へレーザ光を伝送できる。また、
レーザ導波管は、これの外側の水冷管により熱的な影響
から保護されると共に、関節部の近傍にて支持されてお
り、先端部の作用力に対して大きく湾曲することがな
く、先端部へのレーザ光の伝送が確実に行われる。
【0014】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
いて溶鋼の成分分析を例として具体的に説明する。
【0015】図1は、本発明に係る溶融金属(溶鋼)の
成分分析装置におけるレーザ導波管と水冷管との構成を
示す模式図である。図中1は、内部にレーザ導波管2を
挿通させた水冷筒である。水冷筒1は3重壁構造をなし
ており、その最内周管1a内を、レーザ光を伝送するレー
ザ導波管2とプラズマ光を伝播する光ファイバ3とが通
っている。また、水冷筒1の中間管と最外周管とは、冷
却水が循環する水冷管1b, 1cとなっている。レーザ導波
管2は、例えばチタン合金からなる管部4と自由度を有
する関節部5とを交互に連結して構成されている。レー
ザ導波管2を含む水冷筒1の長さは22mである。レーザ
導波管2は6個の関節部5を有しており、具体的には、
水冷筒1の上部から12m, 13m, 18m, 19m, 21m, 22
mの位置に関節部5が設けられている。
【0016】図2は、関節部5の近傍を示す拡大模式図
である。水冷筒1の上部から13m,19m, 22mの位置に
ある関節部5は、水冷筒1の最内周壁(水冷管1bの内
壁)1d玉軸受6を介して支持されている。この支持
の上方の管部4は2本の管4a,4bにて構成され、2本の
管4a, 4bはリニアベアリング7により結合されている。
これにより、管部4は軸長方向にその長さを変化できる
ようになっている。
【0017】図3はレーザ導波管1の内部構成を示す模
式的断面図であり、隣合う管部4A,4Bとこれらの管部4A,
4Bとの間に連結配置された関節部5を表している。管
部4Aと関節部5とはベアリング8を介して連結されてい
る。関節部5内には回転可能なミラー9が設けられてい
る。図において、矢印は伝送されるレーザ光の光軸を示
し、一点鎖線は管部4B, 関節部5及びミラー9の回転軸
を示す。図3を参照してレーザ導波管2内のレーザ光伝
送について説明する。上流側の管部4A内をその中心軸沿
いに伝送されたレーザ光は関節部5内のミラー9により
反射される。関節部5においてミラー9はレーザ光の入
射方向に一致した回転軸で回転し、反射後のレーザ光は
下流側の管部4B内をその中心軸沿いに伝送される。この
ように、ミラー9の回転によりレーザ光の反射方向を変
えることが可能である。従って、このような構成の複数
の関節部5をレーザ導波管2の中途に設けることによ
り、自由な方向へレーザ光を伝送することができる。
【0018】レーザ光は自由度があるレーザ導波管2内
を伝送されるが、20m伝送した後に数十mmの集光レンズ
にレーザ光を入射させなければならない。従って、角度
精度としては0.03度以下の精度にてレーザ光を伝送する
必要がある。このため、レーザ導波管2に余分な力が及
び、管部4を僅かでも曲げるとレーザ光をうまく伝送で
きない。そこで、管部4を、熱膨張係数が低く軽量であ
る材料(実施例ではチタン合金)にて作製している。と
ころが、レーザ導波管2は全長が20mにも及ぶので、レ
ーザ導波管2自身の重量により管部4は余分な応力を受
ける場合がある。この点を改善するために、本実施例で
は上述したように、2個所毎の関節部5を水冷管1bに固
定し、レーザ導波管2の重量を水冷管1bにて支えるよう
にしている。このように、水冷管は、レーザ導波管2を
冷却すると共にその重量を支えている。また、水冷筒1
を曲げた際に、管部4に応力がかからないように、図2
に示すように、水冷管1bとの接続部の上方の管部4は長
軸方向に伸縮自在としている。以上のような構成によ
り、本発明では、湾曲するレーザ導波管2内を集光レン
ズまで正確にレーザ光を伝送できる。
【0019】図4は、分光分析装置の全体構成を示す模
式図である。図中11は断熱壁にて覆われた分析室を示
す。分析室11内には、振動を防止する防振台12が設置さ
れ、防振台12上にはレーザ光を発振するレーザ発振器13
とプラズマ光のスペクトル解析を行う分光器14とが載置
されている。レーザ導波管2及び光ファイバ3は分析室
11内まで延在し、レーザ導波管2はレーザ発振器13に接
続され、光ファイバ3は分光器14に接続されている。ま
た、分析室11内のレーザ導波管2の中途には、切離しと
接続とが可能なカップリング15が設けられている。分析
室11内は±3℃に空調されている。水冷筒1の下端には
紙管16が接続されている。
【0020】図5は、溶鋼をサンプリングするサンプリ
ング手段の構成を示す模式図である。紙管16内には断熱
材17を介して、内径20mm, 深さ30mmの坩堝18が設置され
ている。紙管16の先端には低融点のメタルキャップ19が
取り付けられている。なお、紙管の構造としては、溶鋼
面の高さを測定する装置と組み合わせて溶鋼面を直接分
光するように、坩堝を設けることなく紙管の先端にメタ
ルキャップのみを設けることにしてもよい。
【0021】次に、溶鋼の成分分析動作について説明す
る。
【0022】装置全体を昇降させて、転炉内に水冷筒1
を挿入する。紙管16を溶鋼中に浸積させてサンプリング
手段にて試料となる溶鋼をサンプリングする。溶鋼に接
するとメタルキャップ19は融けて、溶鋼は一旦サンプリ
ング手段上部まで流入し、サンプリング手段を溶鋼から
抜き去る際に余分な溶鋼は流れ出し、坩堝16内に試料が
残りしかも坩堝16の上面に略一致した試料面が得られ
る。
【0023】試料をサンプリングした後、レーザ発振器
13を発振させ、レーザ発振器13からレーザ光をレーザ導
波管1内に伝送させて、図5の矢符にて示すように坩堝
18内の試料にレーザ光を照射する。レーザ光は、レーザ
導波管1の出射端にて例えば焦点距離1.5 mの集光レン
ズを通過し、試料面では直径2mm程度に集光される。レ
ーザ光の照射により試料面にはプラズマが発生し、その
プラズマから元素固有のスペクト特性を有するプラズマ
光が発せられる。プラズマ光は光ファイバ3により分光
器14まで伝播され、分光器14によりプラズマ光のスペク
トルが解析されて、試料(溶鋼)の成分が分析される。
【0024】以上のように、本発明では、転炉内の溶鋼
を直接にまたは試料(溶鋼)をサンプリングした直後
に、その成分分析を行うことが可能である。
【0025】なお、上述の実施例では溶鋼を例にした
が、これに限らず他の溶融金属の場合も同様にその成分
分析を行えることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の溶融金属の
成分分析装置では、自由度を有する複数の関節部を備え
たレーザ導波管を使用すると共に、このレーザ導波管を
関節部の近傍にて水冷管に支持する構成としたから、下
端部への作用力によるレーザ導波管の湾曲が低減され、
レーザ導波管の下端にまで正確に分析用のレーザ光が伝
送されるようになり、転炉内の溶融金属を直接にまたサ
ンプリングした直後に成分分析することが可能となり、
溶融金属の成分分析を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融金属の成分分析装置におけるレー
ザ導波管と水冷管との構成を示す模式図である。
【図2】本発明の溶融金属の成分分析装置におけるレー
ザ導波管の関節部近傍を示す模式図である。
【図3】本発明の溶融金属の成分分析装置におけるレー
ザ導波管の内部構成を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の溶融金属の成分分析装置の全体構成を
示す模式図である。
【図5】本発明の溶融金属の成分分析装置におけるサン
プリング手段の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 水冷筒 1b 水冷管 1c 水冷管 2 レーザ導波管 3 光ファイバ 4 管部 5 関節部 9 ミラー 13 レーザ発振器 14 分光器 15 カップリング 16 紙管 18 坩堝

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ発光分光分析法を用いて溶融金属
    の成分を分析する装置において、自由度を有する複数の
    関節部をその中途に備え、その内部にレーザ光を伝送し
    て分析対象の溶融金属の試料にレーザ光を照射するレー
    ザ導波管と、該レーザ導波管を内部に通す水冷管と、レ
    ーザ光の照射により前記試料の表面に発生したプラズマ
    光を伝播する光ファイバと、前記レーザ導波管を前記関
    節部の近傍にて前記水冷管に夫々支持する支持手段とを
    具備することを特徴とする溶融金属の成分分析装置。
JP3223524A 1991-08-07 1991-08-07 溶融金属の成分分析装置 Expired - Lifetime JP2727812B2 (ja)

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