JP2727646B2 - アクリロニトリルの二量化方法 - Google Patents

アクリロニトリルの二量化方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な錯体触媒を用いることにより、液相
にてアクリロニトリルの二量体を高選択的に得る方法に
関する。
〔従来の技術〕
アクリロニトリルの二量化方法においては、その方法
や触媒種により生成物が異なり、たとえば、1,4−ジシ
アシノブテン類、メチレングルタロニトリル等が得られ
る。
1,4−ジシアノブテン類はアジポニトリル前駆体とし
て、一方メチレングルタロニトリルは医薬中間体、ポリ
アミド、ポリエステル前駆体および抽出溶剤等としてと
もに工業的に重要な化合物である。
アクリロニトリルの二量化方法には、ナトリウムアマ
ルガムまたは、電解による還元方法、触媒系による方法
等が知られている。
触媒系としては、たとえば特公昭46−34410号公報の
ように銅、コバルト、ニッケル等の金属塩とイソニトリ
ル系の二元系触媒を用い、t−ブタノール等の溶媒の存
在下に二量化反応を行なうものがある。
特公昭46−6892号公報、特公昭46−15492号公報、特
公昭47−8287号公報にはハロゲン化金属とトリアルキル
アミンとの触媒系を用いてメチレングルタロニトリルを
得る方法がある。また、仏国特許第1,366,081号および
米国特許第3,652,642号にはホスフィン系触媒を用いた
方法が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
特公昭46−34410号公報では活性が低いために高温度
で長時間を要するという不都合を有しており、特公昭46
−6892号公報等でも活性が低いために触媒量を多くして
いる。また、仏国特許第1,366,081号等では二量体の収
率が低いという不都合を有している。
いずれの方法も目的物を高収率で得るために触媒濃度
を高めたり、あるいは反応時間を長くしたり、さらには
反応温度を高める必要があった。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、かかる事情に鑑みて、液相下にて従来
の触媒よりも二量体の高選択性を有し、かつ触媒の活性
を向上させた新規な触媒系の探索を重ねた結果、ある特
定の触媒系を用いれば、室温(20℃)付近という穏和な
条件下であっても、ほぼ100%という非常に高い二量体
選択性を有し、しかも高い触媒活性を示すことを見出
し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は液相下にて実施するアクリロニト
リルの二量化方法において、ニッケル、パラジウムまた
はコバルトから少なくとも1種選ばれた錯体と、一般式
PR3(Rは炭素数1〜8のアルキル基またはシクロアル
キル基)の三級ホスフィンとからなる錯体触媒を用いる
ことを特徴とするアクリロニトリルの二量化方法を提供
するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
二量化の反応は次の式からなると推定される。
本反応によって得られる二量体生成物として、1,4−
ジシアノ−1−ブデン…(1)、1,4−ジシアノ−2−
ブデン…(2)およびメチレングルタロニトリル…
(3)等がある。
本発明で使用する錯体はニッケル、パラジウムまたは
コバルトから少なくとも1種選ばれたものであり、その
原子価に限定されるものではない。
ニッケル錯体として、たとえばNi(COD)(COD:1,5
−シクロオクタジエン以下同じ),Ni(AN)(AN:アク
リロニトリル以下同じ),NiX2(X:ハロゲン原子以下同
じ),Ni(acac)(acac:アセチルアセトン以下同
じ),Ni(O2CCH3等が挙げられる。パラジウム錯体
として、たとえばPb2(dba)・CHCl3(dba:ジベンジ
リデンアセトン以下同じ)PdX2,Pd(acac)2,Na2PdX4,K
2PdX4,Pd(O2CCH32,Pd(NO2)等が挙げられる。また
コバルト錯体として、たとえばCo2(CO)8,CoX2,Co(ac
ac)等が挙げられる。
Ni,Pd,Coの1価または2価の錯体は予めトリエチルア
ルミニウム等の有機アルミニウム試剤をこれらのニッケ
ル錯体等に添加することにより使用することができる。
本発明においては、たとえば上記錯体に一般式PR
3(Rは通常炭素数1〜8のアルキル基またはシクロア
ルキル基)の三級ホスフィンを添加して得た錯体触媒を
用いる。
三級ホスフィンとしては、たとえばPMe3,PEt3,P(n
−Pr)3,P(iso−Pr)3,P(n−Bu)3,P(iso−Bu)3,P
Cy3(Cy:シクロヘキシル)等が挙げられる。この中でも
PEt3,P(iso−Pr)3,PCy3等が好ましく、メチレングル
タロニトリルの合成においては、PCy3がより好ましい。
三級ホスフィンの錯体への添加量としては、錯体の金
属原子当たり通常0.1〜10倍等量までの範囲であり、特
に1〜5倍等量が好ましい。
本発明に用いる錯体触媒は前記のとおりニッケル等の
錯体に三級ホスフィンを添加して調製されるが、予め三
級ホスフィンを錯体中に配位した化合物を利用すること
もできる。このような化合物としては、たとえばNi(CO
D)(PR32,NiX2(PR32,Ni(AN)(PR32,Ni(AN)
(PR32,PdX2(PR32,Co2(CO)(PR32,Co2(C
O)(PR3)等が挙げられる。この中でもNi(COD)(P
R3が好ましい。
本発明に用いる錯体触媒はハロゲン化アルキルを添加
してもよい。
ハロゲン化アルキルは本反応の反応速度の向上および
二量体生成物の選択性に影響を及ぼす。ここで、ハロゲ
ン化アルキルとは一般式RX(Rは通常炭素数1〜10のア
ルキル基またはシクロアルキル基(これらの基に芳香族
基の付いたものも含む)、Xはフッ素,塩素,臭素,ヨ
ウ素等のハロゲン原子)で表わされ、具体的にはCH3X,C
2H5X,n−PrX,iso−PrX,n−BuX,iso−BuX,tert−BuX,cyc
lo−C6H11X,PhCH2X,PhCH2CH2X等が挙げられる。これら
の中でもn−BuCl,iso−PrBrが好ましい。
ハロゲン化アルキルの添加量は特に限定されるもので
はなく、ハロゲン化アルキルが少量でも添加されていれ
ば効果を発揮する。
本発明の反応を実施するに際して、溶媒を用いなくて
も反応は進行するが、反応を本質的に阻害しない溶媒を
用いることもできる。本発明の反応に用いる溶媒として
はテトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒は、その
他エーテル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶
媒、その他炭化水素系溶媒またはクロルベンゼン等の含
ハロゲン炭化水素系溶媒が挙げられる。
本発明における反応温度は、室温(20℃)付近の非常
に穏和な条件でよく、さらに反応温度を高めることもで
き、その際はより一層触媒の活性が向上する。
〔発明の効果〕
以上、詳述したように本発明は新規な錯体触媒を用い
ることにより、目的とする二量体がほぼ100%の選択率
で得られ、しかも従来の触媒よりも活性が向上したので
あるから、その工業的価値は頗る大である。
〔実 施 例〕
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発
明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜5、比較例1〜2 50ml容量のシェレンク管にNi(COD)錯体0.05mmo
l、表1に示す溶媒5ml、アクリロニトリル約5mmol、n
−ブチルクロリド0.25mmolおよびトリエチルホスフィン
を表1に示す量加え、表1に示す反応温度で3時間撹拌
し、反応を行なった。
反応終了後、反応生成物をガスクロマトグラフィーに
て内部標準法(内部標準物質:ジクロロベンゼン)を用
い定量分析し、その同定はガスクロマトグラムの保持時
間の比較、Co−injection法およびGC−MSを用いて行な
った。
反応結果を表1に示す。
触媒の活性の指標として次式で表わされる総ターンオ
ーバー数(TN)を用いた。
総ターンオーバー数(TN)= 生成二量体(mmol)/触媒金属原子量(mmol) 実施例6〜8 Ni(COD)錯体量およびハロゲン化アルキルの種類
を変え、さらにNi(COD)2/トリエチルホスフィン/ハ
ロゲン化アルキル=1/2/5(モル比)とした以外は、実
施例1と同じ条件で反応を行なった。
反応生成物の分析は、実施例1と同様とした。
反応結果を表2に示す。
実施例9〜14,比較例3〜7 50ml容量のシェレンク管にNi(AN)錯体0.02mmol、
溶媒5ml、アクリロニトリル約10mmol、表3に示すハロ
ゲン化アルキル0.10mollおよび表3に示すホスフィンま
たはホスファイト0.04mollを順次加え、撹拌し、反応を
行なった。
反応生成物の分析は、実施例1と同様とした。
反応結果を表3に示す。
実施例15〜17 50ml容量のシュレンク管にNi(COD)(PEt3錯体
0.02mmol、表4に示す溶媒5ml、ハロゲン化アルキル0.1
0mmol、およびアクリロニトリル約10mmolを順次加え、2
0℃で3時間撹拌し、反応を行なった。
反応生成物の分析方法は実施例1と同様とした。
反応結果を表4に示す。
実施例18〜27 50ml容量のシュレンク管に表5に示す錯体を金属あた
り0.02mmol、トリシクロヘキシルホスフィン0.04mmol、
表5に示すハロゲン化アルキル0.10mmol、クロルベンゼ
ン5ml、およびアクリロニトリル約12mmolを順次加え、
表5に示す反応条件にて撹拌し、反応を行なった。
なお、Ni(acac)およびNiCl2を用いる際は前処理
としてトリエチルアルミニウム(トルエン溶液)0.10mm
olを添加した。
反応生成物の分析は実施例1と同様とした。
反応結果を表5に示す。
実施例28〜32 50ml容量のシュレンク管にNi(AN)錯体0.02mmol、
トリシクロヘキシルホスフィン0.04mmol、クロルベンゼ
ン5ml、表6に示すハロゲン化アルキル、およびアクリ
ロニトリル約20mmolを順次加え、表6に示す反応温度に
て2時間撹拌し、反応を行なった。
反応生成物の分析は実施例1と同様とした。
反応結果を表6に示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液相下にて実施するアクリロニトリルの二
    量化方法において、ニッケル、パラジウムまたはコバル
    トから少なくとも1種選ばれた錯体と、一般式PR3(R
    は炭素数1〜8のアルキル基またはシクロアルキル基)
    の三級ホスフィンとからなる錯体触媒を用いることを特
    徴とするアクリロニトリルの二量化方法。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載の錯体触媒にハロゲン化
    アルキルを添加する請求項(1)記載のアクリロニトリ
    ルの二量化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5365822A (en) * 1976-11-24 1978-06-12 Ici Ltd Method of dimerizing acrylonitrile

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