JP2726420B2 - エラスチンポリテトラペプチド及びポリペンタペプチドの温度と相関する力及び構造の発生 - Google Patents

エラスチンポリテトラペプチド及びポリペンタペプチドの温度と相関する力及び構造の発生

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本明細書に記載の研究の結果は奨励金No.HL−29578と
して国立衛生研究所(NIH)の援助を一部受けているの
で、(米国)政府が本発明の権利を有している。 発明の分野 本発明はバイオエラストマー、特定的にはエラスチン
の代替物として使用しうるバイオエラストマー、より特
定的には温度の関数として調節しうるゴム弾性力(elas
tomeric force)が発生するバイオエラストマーに関す
る。 背景の説明 血管壁の結合組織は2つの主要な型の蛋白質から形成
されている。一般に、結合組織の主要な蛋白質成分であ
るコラーゲンは組織に強さを付与する構造要素を構成し
ている。しかしながら、大動脈弓及び下行性胸部大動脈
(deschending thoracicaorta)におけるように弾性が
非常に要求されている所ではコラーゲンの2倍のエラス
チンが存在する。血管壁、特にその内部の弾性のある薄
層内では、トロポエラスチン(tropoelastin)として知
られている異なる型の蛋白質から形成された天然の弾力
線維とコラーゲンとが結合している。弛緩した血管壁内
では、コラーゲン繊維は重なりあったりひだになったり
する傾向にあり、弾力線維は収縮した状態にある。拡張
又は伸長しているときには、弾力線維は伸長し、伸長の
限度が近付く前に、コラーゲン線維が伸長して負荷に耐
える。負荷がなくなると、弾力線維は壁を元の大きさに
引き戻し、コラーゲン線維を重なりあった状態に戻す。 上記のことは実験的にも示され、無傷の靱帯のコラー
ゲン成分を酵素コラゲナーゼによりin vitroで取り出す
と、得られる応力−歪み関係から、弾性成分であるエラ
スチンが主として無傷の靱帯の初期の高い応答に関与し
ていることが示される。反対に、酵素エラスターゼでエ
ラスチンを除去するとコラーゲンが残り、これは無傷の
靱帯の応答の最後の部分にのみ関与することが観察され
る。Introductory Biophysics,F.R.Hallettら(Halsted
Rress,1977)参照。 現在入手しうる合成血管物質(例えばDacron)では、
合成の組織は折りたたんだコラーゲンの構造的な類似物
を提供するものとみなしうるが、本当のエラストマー成
分は有していないという点で天然の結合組織とは全く異
なるものである。 血管壁,皮膚,肺及び靱帯の弾力線維の中心部はトロ
ポエラスチンと呼ばれる単一の蛋白質に由来する。生物
学的弾性線維の実際のエラストマー成分であるエラスチ
ンは単一の蛋白質からなり、トロポエラスチンのリジン
残基の架橋により形成されている。エラスチンの配列は
アラニンに富むリジン含有架橋配列と交互にあるグリシ
ンに富む疎水性配列との連続した直線として表わすこと
ができる。エラスチン配列の80%以上は公知であり、血
管壁のトロポエラスチンが、反復ヘキサペプチド(Ala
−Pro−Gly−Val−Gly−Val)n,反復ペンタペプチド
(Val−Pro−Gly−Val−Gly)n及び反復テトラペプチド
(Val−Pro−Gly−Gly)n(式中、Ala,Pro,Val及びGly
は各々アラニン,プロリン,バリン及びグリシンアミン
酸残基を表わす)を含有していることが示されている。
アミノ酸は標準の三文字での略号又は一文字での略号で
表わすことができるので、これらの残基は各々A,P,V及
びGと表わすこともできる。例えば、Organic Chemistr
y of Biological Compounds、56〜58ページ(Prentice
−Hall,1971)参照。更に、本明細書では、全てのペプ
チドの表示は、式の左側にNH2−末端アミノ酸残基を、
右側にCO2H−末端アミノ酸残基を書く標準法に従う。
又、特定しない限り、光学的に不活性なグリシンを除
き、全てのアミノ酸はL−配置である。 トロポエラスチン架橋付近のアミノ酸配列の性質も知
られている。更に、ヘキサペプチドの高分子化合物も合
成されており、セロファン様−シートを形成することが
知られている。そのため、この点及び水の中で温度の上
昇に伴って非可逆的に会合するという点で、ヘキサペプ
チドは天然物質中で構造上の役割を提供していると思わ
れる。一方、ペンタペプチド及びテトラペプチドの合成
高分子物質は架橋したときにエラストマー性を示すこと
が発見されており、弾力線維の機能的役割に寄与する力
を有している。事実、化学的に架橋したポリペンタペプ
チドはその水分含量及び架橋の程度に応じて、天然の大
動脈のエラスチンと同じ弾性モジュラスを示す。 より最近では、米国特許第4,187,852号明細書にUrry
及びOkamotoが上記開示のペンタペプチド配列をベース
とする合成ポリペンタペプチドを開示し、特許請求し
た。更に、弾性ポリペンタペプチド又はポリテトラペプ
チド及び強度付与線維をベースとする複合バイオエラス
トマーな物質がUrryの米国特許第4,474,851号明細書に
開示され、特許請求された。又、ポリペンタペプチド中
の第3番目のアミノ酸を反対のキラリティーを有するア
ミノ酸で置き換えることにより形成した弾性モジュラス
のより大きなバイオエラストマーな物質がUrryの米国特
許第4,500,700号明細書に開示され、特許請求されてお
り、酵素的に架橋したポリペプチドが米国特許第4,589,
882号明細書に開示され、特許請求された。最後に、現
在、走化性(Chemotactic)ポリペプチドに関する第53
3,670号及び二番目の走化性ポリペプチドに関する第79
3,225号の両者が特許出願中である。又、出願中の第85
8,212号は弾性モジュラス調整用の分割ポリペプチドバ
イオエラストマーに関するものである。 現在、新しい合成血管物質及び人工的補欠物が非常に
求められている。従って、その結果、所望の、しかし修
飾された化学的,生物学的特性を有する、上記のポリペ
ンタペプチド及びポリテトラペプチド反復配列をベース
とする新規なバイオエラストマーな物質が求められてい
る。この要求は多分、人体でのエラスチンの遍在性とそ
の意味(implications)によるものであろう。例えば、
血管壁の細胞外マトリックス中では、エラスチン線維が
粥状アテローム性動脈硬化症に関与する脂質が沈着する
第一の部位である。又、肺気腫ではエラスチン線維が破
壊されて機能を果さなくなる。更に、エラスチン線維が
関与する及びその機能不全による疾病状態が沢山あり、
例えば、弾力線維性仮性黄色腫,弛緩性皮,心内膜弾性
線維症並びにブシュケーオレンドルフ,エーラー−ダン
ロス,メンケス(Menkes)及びマルファン症候群がある
ことを記すことができる。又、エラスチン線維の機能不
全には後天的な疾病、すなわち、光線弾力線維症,単離
(isolated)弾力線維腫,背部弾力線維腺及び引線様貫
通性弾力線維症も含まれる。純粋に化粧品の見地からで
さえ、皮膚の太陽光線弾力線維症は年令のしわに関係
し、しわの基本にはエラスチン線維(elastin fiber)
の破壊が見出される。新規な合成ポリペンタペプチド及
びポリテトラペプチドエラストマーの開発は、先ず、損
傷を受けた天然のエラスチン線維の多用途の代替品を提
供すると共にこれらの種々の疾病の新規な治療法も提供
しよう。 しかしながら、最近まで、バイオエラストマーポリテ
トラペプチド及びポリペンタペプチオの弾性特性につい
てはほとんど知られていなかった。従って、特別の構造
上の目的のための特定のバイオエラストマーの理論的な
設計は非常に限定されていた。例えば、今日まで、合成
バイオエラストマーのゴム弾性力が発生する温度範囲以
上に温度範囲を変化させることは不可能だった。所与の
目的のために好適なバイオエラストマー物質を理論的に
設計するためにはこのような調節が必須であると思われ
る。例えば、予め定めた温度用の熱機械的な変換器を設
計するためには種々の温度域でゴム弾性力を発生する物
質を提供することが必要である。 特別の生物学的又は工業的な機能に最も適した物質を
選択することの重要性は軽んじ難い。例えば、Technolo
gy Review,11月/12月1984(MIT編)には、人工的補欠装
置一般と同様に信頼のできる人工心臓の開発の主な障害
は、適する合成生物材料がないということであると記さ
れていた。人工心臓の場合には、他の問題に混って、カ
ルシウムが許容しえない程沈着してしまうということが
発見された。Bronowskiはその優れた業績であるAscent
of Manの中で、「事実上、近代の問題はもはや材料から
構造を設計することではなく構造のための材料を設計す
ることである」と真に適切に記している。 しかしながら、多様な弾性を必要とする特別の生物学
的目的用にバイオエラスチックな材料を理論的に設計し
うる前に、バイオエラストマーのゴム弾性力の発生を論
理的に調整する方法を提供することが必要であろう。そ
こで、温度の関数としてバイオエラストマーのゴム弾性
力の発生を調整する手段を提供することが非常に望まし
いであろう。これにより、このような材料が機能しうる
環境が多様化され、非常に広がるであろう。現在の所、
このような調節は不可能である。 従って、一般に、所望の化学的及び生物学的特性を示
すポリペンタペプチド及びポリテトラペプチド反復配列
をベースとするバイオエラストマー材料は明らかに必要
とされ続けている。特に、温度の関数としてゴム弾性力
の発生を調節することができ、また変化させることがで
きるこのようなバイオエラストマー材料が必要とされ続
けている。 発明の概要 従って、本発明の目的は、温度の関数として変化させ
うるゴム弾性力の発生を示すエラストマーポリマーを提
供することである。 更に、本発明の目的は、温度の関数として変化させう
るゴム弾性力の発生を示すエラストマーポリマーの製法
を提供することである。 本明細書の以下の記載からより容易に明らかになるよ
うに、本発明のこれら及び他の目的は部分的に、テトラ
ペプチド、ペンタペプチド単位及びヘキサペプチド反復
単位で修飾したそれらの単位及びそれらの混合物からな
るエラストマー単位を含有するバイオエラストマーであ
って、反復単位が疎水性アミノ酸及びグリシン残基から
なる群から選択したアミノ酸残基からなり、反復単位は
βターンを有する配座で存在し、 これは、式: −X1−(IPGVG)n−Y1− (式中、IはL−イソロイシンのペプチド形成残基であ
り、 PはL−プロリンのペプチド形成残基であり、 Gはグリシンのペプチド形成残基であり、 VはL−バリンのペプチド形成残基であり、 X1はPGVG,GVG,VG,G又は共有結合であり、Y1はIPGV,IPG,
IP、I又は共有結合であり、nは1〜200までの整数、
又はX1とY1が一体となって反復ペンタペプチド単位を構
成するときにはnは0である)のポリペンタペプチド単
位を予め決めた温度にバイオエラストマーのゴム弾性力
が発生するように調整するのに十分な量含有するバイオ
エラストマーを提供することにより達成される。 図面の簡単な説明 第1図 AはIle1−PPP,BはPPPについての、ジメチルスルホキ
シド中、25MHzでの13C−NMRスペクトルである。これら
のスペクトルはVal1のIle1による置換を示しており、特
に上の領域で、1つのバリン残基のβ及びγ炭素共鳴が
イソロイシンのCH2及びCH3共鳴で置換されていることが
明らかである。外部のピークがないということは純度が
良好なレベルであることを示し、他の4つの残基の同様
な化学シフトはこの溶媒中での同様な配座を示してい
る。 第2図 A.約80℃で凝集が開始し、9℃で中間点となる高濃度限
界を示すIle1−PPPについてのコアセルベーションの温
度プロフィール。希釈するとプロフィールはより高温へ
と移る。エラスチンのポリペンタペプチド(PPP)のプ
ロフィールを比較のために破線で示した。CH2部分を添
加するとコアセルベーション過程は16℃低温に移動し
た。 B.1ml当り0.025mgのIle1−PPPについての197nmでの楕円
率(ellipticity)を実線で示した。197nmでの負のバン
ドの大きさの減少は温度の上昇につれて分子内秩序性が
上昇すること、すなわち逆の温度転移を示す。破線は1m
l当り2.3mgのPPPについての同データである。Ile1によ
るVal1の置換により転移は15℃以上低温に移行する。 C.20Mradのγ−照射架橋Ile1−PPPについての熱弾性デ
ータ(ゴム弾性力の温度依存性)を実線で示した。上記
のA及びBで評価した転移と相関してゴム弾性力が劇的
に上昇する。24Mrad架橋したPPPコアセルベートについ
ての同様のデータを破線の曲線で右側の縦座標にプロッ
トしてある。スケールの差は、架橋PPPについてはより
大きな断面及び60%の伸長を使用したのに対し、架橋Il
e1−PPPではより小さな断面及び40%の伸長を使用した
ためである。2つのエラストマーで弾性モジュラスは同
様である。A,B及びCの部分のデータを比べると、Valよ
りもIleの疎水性が高いためにより低い温度で逆方向の
温度転移が起り、分子内秩序性が高くなるためにゴム弾
性力が発生することが明らかである。 第3図 第2B図に示す転移前の2℃(曲線a)及び転移後の35
℃(曲線b)での、水1ml当り0.025mgのIle1−PPPにつ
いての円二色性スペクトル。195nm付近の大きな負のバ
ンドはポリペンタペプチドの秩序性が減少していること
を示しているので、温度の上昇に伴って大きな負のバン
ドの大きさが小さくなることは温度上昇につれて秩序性
が上昇していることを示す。昇温でのスペクトルは第II
型のβ−ターンの形成を示している。比較のために、第
2C図に示す転移の前の15℃及び後の47℃での0.023mg/ml
のPPPについてのデータも示す。Ile1−PPPとPPPとが同
じ配座を有することが明らかである。 第4図 エラスチンのポリペンタペプチド(PPP)について提
案した分子構造 A.環状配座相間の結晶構造で確認した第II型のPro2−Gl
y3β−ターン。 B.PPP β−らせんの次元を有するヘリックスの模式図。 C.らせんのターンの間のスペーサーとして働くβ−ター
ンを示すPPP β−らせんの模式図。 D.水に対するらせんの内の空間及びVal4−Gly5−Val1
垂部分を示すPPP β−らせんの軸の立体的な組合せの詳
細。 E.らせんターン間のスペーサーとして働くβ−ターン,
らせん内及びらせん外の水を交換できるβ−らせん表面
上の開放空間及び懸垂部分Val4−Gly5−Val1を示すPPP
のβ−らせんの側面図の立体的組合せ。 第5図 GGVP順列置換体の重合により製造したエラスチンのポ
リテトラペプチドの、ジメチルスルホキシド中、25MHz
での13C核磁気共鳴スペクトル。炭素共鳴の全部は正し
い化学シフトで観察され、異質なピークはなかった。 第6図 一連の濃度についての、エラスチンのポリテトラペプ
チド(PTP)のコアセルベーションの温度プロフィール
(実線)。比較のために、エラスチンのポリペンタペプ
チド(PPP)のデータを示す(破線)。ペンタマー(VPG
VG)に比べベテトラマー(VPGG)の疎水性が低いので、
コアセルベート形成を導く凝集過程の温度が約25℃高い
温度に移行する。 第7図 低温40℃(曲線a)及び高温65℃(曲線b)でのエラ
スチンPTPの円二色性スペクトル(実線)。195〜200nm
の範囲で差を生じさせる構造的転移は第4A図の温度の関
数として特性評価する。第4A図に示した転移前後のPPP
についてのデータを比較の為にプロットする(破線)。 第8図 A.エラスチンPTPの温度の関数として200nmでの楕円率を
左側の縦軸にプロットする(実線)。比較のためにPPP
についてのデータを右側の縦軸にプロットする(破
線)。PTPについては20〜25℃高い温度で構造転移が起
ることが認められる。転移の中心は第2図の凝集過程に
一致し、すなわち、分子内の配座の変化がコアセルベー
ションを起す会合より先に起る。Bの部分との比較から
判るように、[θ]200による分子内の構造転移の特性
評価はゴム弾性力の発生と密接に平行関係にある。 B.20Mrad架橋PTPについての熱弾性データ(ゴム弾性力
の温度依存性)は左側の縦座標にプロットし(実線)、
比較のために2Mrad架橋PPPについては右側の縦座標にプ
ロットする(破線)。ゴム弾性力の転移は、上記Aにお
いて楕円率で特性評価したように、分子内秩序性の逆の
温度転移に一致することが判る。 第9図 第2図及び第8図の楕円率データ([θ]転移の中心
点)及びゴム弾性力データ(f転移中心点)から概算し
た転移の中心温度に沿って、反復単位(IPGVG),(VPG
VG)及び(VGPP)の疎水性をスケールで表示する。この
ことは、反復単位の疎水性が減少するに従い、転移のた
めの温度は比例してより高温に移行することを示してい
る。水中での逆方向の温度転移は疎水性の相互作用によ
るものであるため、このことは、転移温度は反復単位の
疎水性と非常に相関することを証明する。 好適実施態様の説明 上記のように、エラスチンは単一の蛋白質からなる。
エラスチンの配列はアラニンに富む。リジン含有架橋配
列とグリシンに富む疎水性配列とが交互に存在する直線
として示すことができる。配列の80%以上は公知であ
り、長さ及び組成の両方の点から最も高度に疎水性の配
列は、ポリペンタペプチド(PPP)を含むものとポリヘ
キサペプチド(PHP)を含むものである。エラスチンは
反復ポリテトラペプチド(PTP)も含んでいる。本発明
者らの研究の結果、架橋結合したとき、エラスチンのポ
リペンタペプチドはエラストマー性(elastomeric)を
有するが、ポリヘキサペプチドはエラストマー性をもた
ないことが見出され、弾性発現(elastogenesis)の間
に、鎖を整列させまた組み合せる手だてがなされている
と思われる。本研究から、エラスチンのポリペンタペプ
チド及びポリテトラペプチドの両者は、逆方向の温度転
移を行なう際にエントロピー弾性が発生して、動的構造
(dynamic structure)を含む規則的なβ−ターン(β
−turn)を研究する、配座に基づくエラストマーである
ことも判った。 典型的な生物学的弾性繊維は微細繊維状蛋白質の微細
な表面層に覆われた大きなエラスチンの中核からなる。
前述のように、エラスチンはトロポエラスチンのリジン
残基の架橋により形成される。エラスチンペンタペプチ
ドの反復は式(VPGVG)nを有し、一方、ヘキサペプチド
の反復は式(VAPGVG)nを有している。ここで、nは種
により変化する。ポリテトラペプチドの反復単位は式
(VPGG)nを有している。もちろん、これらの配列では
構成アミノ酸の標準一文字略記を使用している。 これらのポリペプチドは25℃以下では水溶性である
が、温度の上昇に伴い、ポリペンタペプチド(PPP)及
びポリテトラペプチド(PTP)の場合には可逆的に粘弾
性相を形成し、ポリヘキサペプチド(PHP)の場合には
非可逆的に沈澱を形成することが見出された。架橋する
と、前者の(PPP)及び(PTP)はエラストマーとなるこ
とが見出された。 本発明の一部は、水中、25℃以上温度で、PTP及びPPP
が凝集を示し、水分を含有する粘弾性相を形成し、これ
はγ−照射による架橋によってエラストマーを形成する
という発見によるものである。反対に、PHPは粒状の沈
澱を形成し、これはエラストマー性を示さない。実際、
強力なエラストマーではこのような凝集は容易に可逆的
であり、一方、非エラストマー性の試料、例えばPHPで
は、温度による凝集は非可逆的であり、再溶解には通
常、凝集体にトリフルオロエタノールを添加することが
必要である。 明確にするために、放置することにより密度の大きい
粘弾性相を生じる可逆的で温度により誘起される凝集を
コアセルベーションと称するものとする。粘弾性相をコ
アセルベートと呼び、コアセルベート以上の溶液を平衡
溶液と呼ぶ。 しかしながら、最も重要なことに、本発明によって、
今回、架橋結合したPPP,PTP及びその類縁体は、いくつ
かの調節しうる変数に応じて、約75℃までの範囲に亘る
種々の温度でゴム弾性力が発生することを見出した。更
に、これらの架橋エラストマーは、非常に狭い温度域で
ほぼ最大のゴム弾性力が発現しうることを見出した。従
って、成分ペンタマー及びテトラマーを、ヘキサマー反
復単位で修飾したこれらの単位と共に種々のモル量を有
するバイオエラストマー材料を合成し、初期の粘弾性相
を保持する特定の溶媒を選択することにより、得られた
エラストマーがゴム弾性力を発現する温度を厳密に調節
することが可能となる。 一般に、上記のエラストマー状態を形成するための温
度上昇方法は逆方向の温度転移であり、その結果、典型
的なゴムとは異なり、特徴的な成分として疎水性分子内
相互作用を用いた規則的な非ランダム構造が生じること
が知られている。規則的な構造は、β−らせん(β−sp
irals)すなわち、らせんターン間の疎水性接触を与え
かつ懸垂ペプチド部分を有するヘリックスのターンの間
でのスペーサーとしてのβ−ターンを伴ったルーズに水
を含有するらせん構造であるとされている。これらのペ
プチド部分はつりあい振動(libration)と呼ばれる大
きな振幅の、低振動数の揺れ動き(rocking motion)を
自由に行う。従って、ここに弾性(elasticity)の新規
な機構が開発され、弾性のつりあい振動エントロピー機
構(librational entropy mechanism)と称する。 今、これら種々のバイオエラストマーのゴム弾性力は
その規則的な構造の発達に伴って発生することが判っ
た。更に、高温変性で規則的な構造が失われるとゴム弾
性力も失われることが判った。興味深いことに、この様
子は弾性のランダム−鎖−ネットワーク理論(random−
chain−network theory)の場合とは全く反対であり、
ポリペンタペプチドがランダム構造に近づけば近づく程
ゴム弾性力は小さくなり、β−ターン含有構造が発達す
る程ゴム弾性力は大きくなる。 最も広い意味において、本発明は新しいエントロピー
に基づく弾性機構の発生に関するものである。従って、
この機構はルーズに水を含有するヘリックス中で規則性
を持ってβ−ターンが反復しているβ−らせんと呼ばれ
る新しい種類のポリペプチドの配座に由来するものと思
われる。β−らせんは水中で温度の上昇に伴って生じる
分子内の内部ターン(interturn)の疎水性相互作用の
結果である。エラスチンのエラストマーポリペンタペプ
チドのβ−らせん(Val1−Pro2−Gly3−Val4−Gly5n
において、第II型のPro2−Gly3β−ターンが疎水性接触
を有する、ヘリックのターン間のスペーサーとして働
き、その結果、Val4−Gly5−Val1の部分がぶらさがるこ
とになる。本質的に水で囲まれているので、ぶらさがっ
た方のペプチド部分は、伸長により消失するつりあい振
動と呼ばれる大きな揺れ動きを自由に行なう。伸長によ
るつりあい振動の振幅の減少はエントロピーを減少さ
せ、弛緩状態に戻るときのエントロピーの上昇による自
由エネルギーの減少はエラストマーの収縮の推進力とな
る。 本発明によれば、PPP−水のようなポリペプチド−溶
媒系の温度が上昇すると、例えば、Pro及びValのものの
ような疎水性側鎖は、水に分散させるとクラスレート様
構造を有している水、すなわち、普通のバルクの水より
秩序立った水で囲まれている。温度を上げると、疎水性
鎖が会合してより秩序立ったポリペプチドを形成するの
で、疎水性基を囲んでいるこのより秩序立ったクラスレ
ート様の水のある量がより無残序なバルクの水になる。
ゆるいヘリックス内にペプチドが包み込まれるのを助け
るのは高度の分子内の疎水性接触であるように思われ
る。系のポリペプチド部分のエントロピーの減少が系の
水のエントロピーの上昇より小さいという要件によっ
て、熱力学の第二法則が保たれているように思われる。
一組の状態の間の構造転移の温度中点(Tmp)でΔG=
0であるので、Tmp=ΔH/ΔSである。クラスレート様
の水機構におけるように、エントロピーの変化ΔSが反
復単位の疎水性によるものであれば、逆方向の温度転移
の中点Tmpの低下は、反復単位の疎水性の増大により説
明することができる。事実、本発明により、反復単位の
疎水性の減少によりTmpが上昇することが見出された。
反対に、反復単位の疎水性が増大するとTmpは低下す
る。 上記の原理は、エラスチンポリペプチドのバリン(Va
l)をより疎水性のイソロイシン(Ile)で置換して(Il
e1−Pro2−Gly3−Val4−Gly5n、すなわち、Ile1−PPP
とすると、転移がより低い温度で起ること以外はPPPと
同様の特性を有する置換ポリペンタペプチドが得られる
ことにより示すことができる。第1図〜第3図参照。 明確のために、上記の番号をつけた配列及び以下の全
ての配列について、上付きの数字つきシステムは、第II
型Pro2−Gly3β−ターンであり、残基1のC=O及び残
基4のNHを含む10原子が水素結合した環であるこれら反
復配列の主な二次構造の特徴に基いて数字を付した配列
であることを記しておく。 本発明はエラスチンのポリテトラペプチドにも及ぶこ
とが判明した。この反復単位は式(Val1−Pro2−Gly3
Gly4nを有しており、PPPと同様のβ−らせんを形成す
るものである。しかしながら、PTPの凝集温度はPPPの場
合より高い温度である。本質的に、エラスチンのポリペ
ンタペプチド及びポリテトラペプチド反復単位の両方に
関して、本発明者らは、ゴム弾性力が発生するための転
移温度は反復単位の疎水性に比例することを発見した。
このことは第9図にグラフで示してある。これから、本
発明により解明された2つの重要な原理について延べよ
う。第一番目は、ゴム弾性力が温度の上昇によりポリペ
プチドの秩序性を上昇させる逆方向の温度転移により発
生することである。第二番目に、ゴム弾性力が発生する
この転移の温度はバイオエラストマーの反復単位の疎水
性に比例することである。 本発明によれば、エラスチンのポリペンタペプチドPP
P及びポリテトラペプチド(PTP)の両者の類縁体及びそ
れらの組合せが予測される。例えば、第9図に示す疎水
性のスケールを使ってPPPに関して疎水性の上昇から計
算しうる量だけ、Ile1−PPPの転移温度がより低温に移
行することが判った。このように、異なる反復単位の疎
水性を有する新しい類縁体を注意深く選ぶことによっ
て、ゴム弾性力を発生するための転移温度を異なる温度
に予測通りにシフトすることができる。事実、種々の反
復単位及びその組合せを種々の溶媒混合物と共に慎重に
選択することにより、約−25℃〜約+50℃までの範囲内
から転移温度を選択することが可能である。 前述のように、エラスチンポリペンタペプチドの最も
顕著な配列は(Val1−Pro2−Gly3−Val4−Gly5nであ
り、例えば、にわとりではnは13,ブタではnは11であ
る。ポリペンタペプチドは25℃以下であればどんな割合
ででも水に可溶である。温度が25℃以上に上ると、凝集
が起り、凝集体は沈澱して密度の高い粘弾性相コアセル
ベートを形成するが、これは40℃では約38重量%がペプ
チド、62重量%が水である。前述のようにPPPのコアセ
ルベーション過程は完全に可逆的である。更に、架橋す
ると、PPPコアセルベートはエラストマーになることが
判る。エラストマー性のγ−照射架橋PPPコアセルベー
トと同様にPPPのコアセルベート濃縮物も逆方向の温度
転移を起こし、これは25℃で始まり、37℃付近で完了す
る。同じ温度域に亘り、架橋PPPコアセルベートのゴム
弾性力は、20℃でのほとんど0から40℃付近での全力
(full force)まで劇的に増大する。40℃以上では、温
度(°K)で割ったゴム弾性力は全く一定になる。 このことは、架橋PPPが主としてエントロピーエラス
トマーであることを示している。すなわち、ゴム弾性力
のエントロピー成分は伸長の際にポリマーを受け入れや
すい低エネルギー状態の数の減少に依存し、一方、ゴム
弾性力の内部エネルギー成分はエラストマーの破壊の可
能性を増加させうる結合の歪み(stressing)によるも
のである。非常に興味深いことに、25℃から37℃に温度
を上昇させる際にほぼ最高のエントロピー性ゴム弾性力
が発生することから、エラスチンのポリペンタペプチド
は温血動物のために特に進化したものと思われる。更
に、このような反復ペプチド配列は、哺乳動物類進化の
過去2億年間を通して変化していないので、この進化は
哺乳類の進化の比較的初期に起ったものと思われる。 従って、部分的には、本発明は、PPPを修飾すること
により転移の温度を変化させることができるという発見
に基くものである。特に、PPP反復単位の疎水性を増大
させることにより、より低い温度で粘弾性相転移が起
り、一方、反復単位の疎水性を低下させることにより、
より高い温度で、この転移が起ることを見い出したもの
である。もちろん、疎水性を変化させるときには、弾性
が保持される方法で行うことが必要である。 例えば、Ala1及びAla5類縁体のような弾性に必要な分
子構造を破壊する反復ペンタマーの修飾が行われた。ペ
ンタマーの疎水性を低下させるAla1類縁体及び上昇させ
るAla5類縁体では、粘弾性のコアセルベートを形成する
よりむしろ、水溶液の温度上昇に伴い粒状沈澱物を形成
する結果となり、Ala5−PPP沈澱物をγ−照射で架橋す
ると伸長により簡単に破壊される硬質材料となる。本発
明での知見によれば、異ったしかし一貫した理由からこ
のような類縁体ではエラストマーポリマーを生成できな
いとされる。第一に、Ala1類縁体は、粘弾性コアセルベ
ートを形成するために必要とされる重要なVal1γCH3…P
ro2δCH2分子内疎水性接触が可能ではないと考えられ
る。Ala5類縁体は、提案されたPPP分子構造のVal4−Gly
5−Val1懸垂部分でのつりあい振動運動を妨げると思わ
れる。上記のように、つりあい振動が弾性の提案された
つりあい振動エントロピー機構の中心をなす。 反対に、例えばβ−分枝を保持しながら残基1にCH2
部分を導入すること、すなわちPPPのIle1類縁体(Ile1
−Pro2−Gly3−Val4−Gly5)を用いると反復ペンタマー
の疎水性を容易に増大させることができる。50,000以上
の分子量では、非置換PPPについての24℃ではなく、8
℃でコアセルベーションが開始され、Ile1−PPPは可逆
的に粘弾性コアセルベートを形成する。円二色性データ
から、転移の前後いずれにおいてもIle1−PPPとPPPとは
同じ配座を有し、温度の上昇によるより高い分子内秩序
性への転移も15℃以上低い温度に移行する。又、γ−照
射架橋コアセルベートの温度上昇に伴なうゴム弾性力の
劇的な増加もIle1−PPP類縁体において、同様に、より
低い温度に移行する。従って、この類縁体では、温度依
存性のゴム弾性力の発生と分子構造とが対となっている
ことが明らかである。もちろん、この事は、種々の温度
で転移し、かつ種々の温度域でエントロピー性エラスト
マーとして働くポリペプチドエラストマーを論理的に設
計できるようになったことを意味している。 上記のように、例えばペンタマー配列−(VPGVG)n
Val1をIle1で置換して−(IPGVG)nを形成させてPPPの
疎水性を増大させることにより、少なくとも2つの異な
る目的を達成できる。 第一に、例えば、前述のように4℃では水に溶解し、
8℃まで温度を上げると凝集を生じる「ホモポリマー」
ポリペンタペプチド−(IPGVG)n−、すなわちIle1−PP
Pが製造できるようになる。γ−照射によりコアセルベ
ートを架橋した後には、非置換PPPでは40℃の温度が必
要なのに対し、架橋Ile1−PPPでは約25℃で本質的に完
全なゴム弾性力を示すことが判る。このように、Ile1
PPPの温度による転移はPPPよりも約15℃低い温度で起
る。 第二に、PPPとIle1−PPPの転移温度の間で、種々の調
節可能な転移温度を示す混合「コポリマー」、例えば、
ポリペンタペプチド、−X1−(IPGVG)n−Y1−及び−X2
−(VPGVG)n−Y2−の混合「コポリマー」が製造できる
ようになる。更に、得られる転移温度はそこに含まれる
各々のペンタペプチドのモル比に直接的に比例している
ために大巾に調節することができる。 疎水性が増大したPPP架橋類縁体の最も顕著な特徴
は、恐らく非常に狭い温度域でほぼ完全なゴム弾性力に
到達することである。例えば、架橋Ile1−PPPについて
は、ゴム弾性力は8℃で本質的に0であるが、10℃で全
力の4分の3へ、そして20〜25℃までに本質的に全なへ
と急激に増加することが認められる。たった2℃の温度
差でのこのようなゴム弾性力の増加は、実に前例のない
ものであり、温度の低下によるエラストマーの膨張に関
連し、伸長百分率(percent extension)で調節しう
る。 Ile1−PPPは疎水性の大きいPPP類縁体の優れた例であ
るが、ポリペプチドの弾性を保持しながら反復ペンタマ
ー単位の疎水性を減少させ、粘弾性コアセルベートの形
成及びつりあい振動運動の双方を妨害しないPPPの類縁
体のいずれも本発明の範囲である。 例えば、Ile1を用いる−(IPGVG)n−の配列の反復単
位の他に、多くの他の置換を行うことも可能である。一
般に、式: −(R1PR2R3G)n− [式中、R1はPhe,Leu,Ile及びValからなる群から選択さ
れ;R2はAla及びGlyからなる群から選択され;R3はPhe,
Leu,Ile及びValからなる群から選択され;nは1〜200の
整数であり、;PはL−プロリンであり、Gはグリシンで
ある]のペンタペプチド反復単位も本発明の範囲であ
る。 特に、上記の置換により反復単位の疎水性が変わり、
もちろんバイオエラストマーの弾性を破壊することな
く、ほぼ最大のゴム弾性力を発生させるための転移温度
を低下しうる。 上記式中、アミノ酸Leuはもちろんロイシンであるこ
とを注記する。R1,R2及びR3はここに記したように番号
付けした配列の1,3及び4位に相当する。 興味深いことに、Phe1−PPPの水溶液を使用すると、P
PPで25℃である転移開始温度を約0℃に移行させること
ができる。更に、水/エチレングリコール又は水/ジメ
チルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒系を使うことによ
り、さらに低い温度にまでシフトさせることができる。
例えば、Phe1−PPP/水−エチレングリコール系を使用す
ると、約−25℃程度の低い転移温度となる。もちろん、
添加するエチレングリコールの量に応じて、Phe1−PPP/
水−エチレングリコール系では0℃から約−25℃の範囲
の転移温度が得られる。水/エチレングリコールの約50
/50混合物を使用して非常に低い転移温度が得られるこ
とが判った。 一方、より高い転移温度へのシフトの最高値はポリペ
プチドの変性により限定される。本発明のエラストマー
ポリペプチドでは、変性が約60℃以上で始まるので、こ
の上限は約50℃と思われる。 しかしながら、上記のように、本発明は、Ile1−PPP,
Phe1−PPP又はAla3−PPPのようなPPP類縁体のみでな
く、弾性を保持しながらPPPとは異なる転移温度、すな
わち、ほぼ最大のゴム弾性力が発生する温度を有する全
てのPPP類縁体及びそれを含むバイオエラストマーをも
包含するものである。本明細書の記載から、上記の範囲
に適合する他のPPP類縁体及びそれを含有するバイオエ
ラストマーは当業者にははっきりと判るであろう。 上記のように、Ile1−PPPのような疎水性の高いアナ
ログは、「ホモポリマー」として合成しうる。又、 −X2−(VPGVG)n−Y2−と −X1−(IPGVG)n−Y1−の「コポリマー」は所望のゴム
弾性力発生温度に応じた構成ペンタマーのモル比でもっ
て合成しうる。しかしながら、一般に、このような「コ
ポリマー」では、−X1−(IPGVG)n−Y1−ペンタマー成
分は全ペンタマーモル含量の約1〜99%存在し、一方、 −X2−(VPGVG)n−Y2−ペンタマー成分は全ペンタマー
モル含量の約99〜1%存在する。より好ましくは、 −X1−(IPGVG)n−Y1−成分が全ペンタマーモル含量の
約5〜95%存在し、一方、−X2−(VPGVG)n−Y2−成分
が全ペンタマーモル含量の約95〜5%存在する。しかし
ながら、所望の転移温度により全ての相対モル量の組合
せを使用できる。 従って、本発明の1つの面により、テトラペプチド又
はペンタペプチド又はヘキサペプチド反復単位で修飾し
たそれらの単位及びそれらの混合物からなるエラストマ
ー単位を含有するバオエラストマーであって、反復単位
が疎水性アミノ酸及びグリシン残基からなる群から選択
したアミノ酸残基からなり、反復単位はβターンを有す
る配座で存在し、 これは、式: −X1−(IPGVG)n−Y1− [式中、IはL−イソロイシンのペプチド形成残基であ
り、 PはL−プロリンのペプチド形成残基であり、 Gはグリシンのペプチド形成残基であり、 VはL−バリンのペプチド形成残基であり、 X1はPGVG,GVG,VG,G又は共有結合であり、Y1はIPGV,IPG,
IP、I又は共有結合であり、両式中のnは1〜200まで
の整数、又はX1とY1が一体となって反復ペンタペプチド
単位を構成するときにはnは0である]のポリペンタペ
プチド単位を、予め決めた温度にバイオエラストマーの
ゴム弾性力が発生するように調整するに十分な量含有す
るバイオエラストマーを製造することができる。 しかしながら、本発明は、上記のように、テトラペプ
チド又はペンタペプチド又はヘキサペプチド反復単位で
修飾したそれらの単位及びそれらの混合物からなるエラ
ストマー単位を含有するバイオエラストマーであって、
反復単位が疎水性アミノ酸及びグリシン残基からなる群
から選択したアミノ酸残基からなり、反復単位はβター
ンを有する配座で存在し、 これは、A)式:−X1−(IPGVG)n−Y1−のポリペンタ
ペプチド単位及び B)式:−X2−(VPGVG)n−Y2−のポリペンタペプチド
単位 [式中、IはL−イソロイシンのペプチド形成残基、 PはL−プロリンのペプチド形成残基、 Gはグリシンのペプチド形成残基、 VはL−バリンのペプチド形成残基であり、そしてX1
びX2は各々PGVG,GVG,VG,G又は共有結合であり、Y1はIPG
V,IPG,IP,I又は共有結合であり、Y2はVPGV,VPG,VP,V又
は共有結合であり;両式のnは1〜200の整数、又はX1
とY1が一体となって、そしてX2とY2が一体となって反復
単位を構成するときには両式のnは0である]を、予め
決めた温度にゴム弾性力が発生するように調整するのに
十分な相対量含有するバイオエラストマーにも関する。 上記のペンタペプチド反復単位の一つ又は両方を含有
するバイオエラストマーポリペプチド鎖は、基本配列の
順列置換(permutation)であるペンタペプチド「モノ
マー」のいずれを使用しても製造できる。しかしなが
ら、ペンタペプチド「モノマー」を使って合成するので
はなく、むしろ、自動ペプチド合成装置での場合のよう
に、成長しつつあるペプチドにアミノ酸を順次加えてゆ
くことによりポリマーを合成すると、反復単位の表示は
幾分不定のものとなる。例えば、ペプチドH−V(PGVG
VPGVGVPGVGVPGVGV)P−OHは次の反復単位及び末端基:
例えば、H−(VPGVG)4−VP−OH,H−V−(PGVGV)4
P−OH,H−VP−(GVGVP)4−OH,H−VPG−(VGVPG)3−V
GVP−OH,又はH−VPGV−(GVPGV)3−GVP−OHのいずれ
かからなると考えられる。 更に、式−(VPGVGIPGVG)n−のもののような混合反
復単位を本発明のバイオエラストマーに導入することも
全く可能であり、本発明の範囲内である。 最終的なエラストマーポリペプチドに導入する、弾性
をより高めまた変化させる部分の合成は簡便なものであ
り、ペプチド関係の化学者により容易に実施される。得
られる中間体ペプチドは一般にB1−(反復単位)n−B2
の構造を有しており、ここで、B1とB2は各々、分子のア
ミノ及びカルボキシル末端上の任意の化学的に適合性の
末端基を表わし、nは2〜200の整数である。もちろ
ん、B1が−H,B2が−OH,nが1のときには、化合物はペン
タペプチドH−VPGVG−OH又はH−IPGVG−OHのいずれか
である。nが1より大きいときには、化合物中間体はポ
リペンタペプチドである。本発明のバイオエラストマー
でテトラマー反復単位を使用したときも同じことが正し
いであろう。 「疎水性アミノ酸」という用語は、有機溶媒中でアミ
ノ酸の相対的な溶解度を測定することにより得られる疎
水性スケールに基づいて測定してかなり疎水性のR基を
有するアミノ酸を指していることを注記する。この点に
関しては、Arch.Biochem.Biophy.Bull及びBreese、第16
1巻、665〜670(1974)を参照されたい。この方法によ
り、グリシンより疎水性の全てのアミノ酸が使用でき
る。より特定的には、好ましい疎水性アミノ酸はAla,Va
l,Leu,Ile及びProである。 通常のペンタペプチド又はテトラペプチド配列に存在
しないアミノ酸残基又はアミノ酸残基の一部分を1つ以
上、エラストマーポリペプチド鎖のポリペンタペプチド
又はポリテトラペプチド部分の中に配置させることは完
全に可能であることも注記する。 バイオエラストマーのゴム弾性力発生温度を所望のよ
うに移行させうる限り、本発明のバイオエラストマー
は、その中に含まれる特定の官能性反復単位に関係な
く、ブロック又はランダムコボリマーの形で含まれるこ
れらの反復単位を有していてよい。上記のように、2つ
のPPP又はPTP類縁体又は1つのPPP類縁体又は1つのPTP
類縁体についての転移温度及びゴム弾性力発生温度を考
慮することにより、それらの各々の類縁体成分のモル比
と直接的に相関する形で、所望の転移温度及びゴム弾性
力発生温度を得ることができる。例えば、50/50モル比
の2つの類縁体成分から、類縁体成分の転移温度及びゴ
ム弾性力発生温度のほぼ中間の転移温度及びゴム弾性力
発生温度を有するバイオエラストマー「コポリマー」が
得られる。 さらに、本発明の全ての面に関係して使用されるエラ
ストマー単位は、その反復単位がPPP,PTP又はその類縁
体であっても、米国特許第4,187,852号;第4,474,851
号;第4,500,700号;及び第4,589,882号並びに米国特許
出願第533,670号,第793,225号及び第853,212号に記載
されたものを含んでいてもよいことも記しておく。又、
上記の特許及び特許出願は全て本明細書に包含される。 PPP及びその類縁体に関する本発明の態様を実施例に
よって説明するが、実施例は説明を目的とするものであ
って、本発明を限定することを意図するものではない。 実施例 ペプチド合成 Ile1−PPPは図式Iに示す古典的な溶液法で合成し
た。 以下の実施例では次の略号を使用する:Boc,tert−ブ
チルオキシカルボニル;Bzl,ベンジル;DMF,ジメチルホル
ムアミド;DMSO,ジメチルスルホキシド;EDCI,1−(3−
ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミ
ド;HOBt,1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;IBCF,イソ
ブチルクロロホルメート;NMM,N−メチルモルホリン;ON
p,p−ニトロフェニルエステル;TFA,トリフルオロ酢酸;P
PP,(VPGVG)n;Ile1−PPP,(IPGVG)n;V,バリン;I,イ
ソロイシン;P,プロリン;G,グリシン。 i)IBCF/HOBt;ii)HCl/ジオキサン; iii)EDCI/HOBt;iv)H2=Pd/C; v)ビス(p−ニトロフェニル)カーボネート; vi)TFA;vii)DMSO−NMM C−末端アミノ酸としてProで順列置換(permutation)
すると高分子量ポリマーが良好な収率で得られるため、
重合の出発ペンタマーの配列はIle−Pro−Gly−Val−Gl
yよりむしろGly−Val−Gly−Ile−Proが好ましい。合成
においては、トリペプチドBoc−GVG−OH(II)とH−IP
−OBzlを結合させることを必要とし、その各々はJ.P.Va
ughanら、J.Am.Chem.Soc.,89、5012(1967)の混合無水
物法で合成される。混合無水物法によるBoc−Lle−OHと
H−Pro−OBzlとの反応における副産物として起りうる
ウレタン形成は、HOBtの存在下で反応を行うことにより
避けた。生成物を確認するために、EDClを使ってジペプ
チドも製造した。ペンタペプチドベンジルエステル(II
I)を水素添加して遊離酸(IV)とし、これをビス(p
−ニトロフェニル)カーボネート〔炭酸ビス(P−ニト
ロフェニル)〕との反応により更にp−ニトロフェニル
エステル(V)に変換した。Boc−基を除去しつつ、1.6
当量のNMMの存在下でDMSO中で活性エステルの1モル溶
液を重合した。50,000ダルトンのカットオフ透析チュー
ブを使ってポリペプチドを水に対して透析チューブし、
凍結乾燥した。中間体及び最終生成物の純度は13C核磁
気共鳴,元素分析及び薄層クロマトグラフィー(TLC)
でチェックした。 Mic Anal,Tuscon,AZにより元素分析を行った。グリシ
ンを除き全てのアミノ酸がL−立体配置であった。Boc
−アミノ酸はBachem.Inc.,Torrance,CAから購入した。H
OBtはAldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから入手し
た。TLCは、Whatman,Inc,Clifton,NJから購入したシリ
カゲル板上で、Rf1,CHCl3(C):CH3OH(M):CH3CO
OH(A),95:5:3;Rf2,CMA(85:15:3);Rf3,CMA(75:2
5:3);Rf4,CM(5:1)の溶媒系により実施した。融点は
Thomas Hooverの融点装置で測定し、補正はしなかっ
た。 Boc−Ile−Pro−OBzl(混合無水物法):DMF(50ml)
中のBoc−Ile−OH(12.0g、0.05モル)を0℃に冷却
し、NMM(5.49ml)を加えた。溶液を−15℃に冷却した
後、温度を−15℃に維持しながらイソブチルクロロホル
メート(6.48ml)をゆっくりと加え、更に10分間攪拌し
たときにHOBt(7.65g)を加え、更に10分間攪拌を続け
た。予め冷却してあるDMF(50ml)中のHCl−H−Pro−O
Bzl(12.09g、0.05モル)とNMM(5.49ml)の溶液を上記
溶液に加え、反応の完了はTLCで追跡した。反応混合物
を冷飽和NaHCO3溶液中に注ぎ入れ、1時間攪拌した。ペ
プチドをCHCl3中に抽出し、酸と塩基(HOBtを除去する
ための0.5N NaOH)で洗い、溶媒を蒸発させると、92%
の収率で油として生成物が得られた。Rf1:0.65。C23H34
N2O5としての計算値:C,66.00;H,9.19;N,6.69%。測定
値:C,65.58:H,8.28:N7.13%。 Boc−Ile−Pro−OBzl(EDCIを使用):DMF(30ml)中
のBoc−Ile−OH(7.20g、0.03モル)及びHOBt(5.05g、
0.033モル)を−15℃に冷却し、EDCI(6.32g、0.033モ
ル)を加えた。20分間攪拌した後、予め冷却しておいた
DMF(30ml)中のHCl−H−Pro−OBzl(7.25g、0.103モ
ル)とNMM(3.3ml)を加え、室温で一晩攪拌した。DMF
を蒸発させた後、残渣をCHCl3中に取り、20%クエン酸
と0.5N NaOHで抽出した。溶媒を除去すると、油として
ほとんど定量的な収率で生成物が得られ、これは混合無
水物法で得た生成物と同一であった。 Boc−Gly−Val−Gly−Ile−Pro−OBzl(III):EDCI
(3.65g、0.019モル)及びHOBt(2.9g、0.019モル)の
存在下でBoc−GVG−OH(II)(20)(5.6g、0.017モ
ル)をH−Ile−Pro−OBzl(6.7g、0.019モル)(HCl/
ジオキサンでIを脱ブロックして得る)と結合させ、生
成物を上記のように処理するとIIIが8.8g(収率:82.4
%)得られた。融点107〜108℃(分解)。Rf1,0.44;
Rf2,0.75。C32H49N5O10としての計算値:C,60.83;H,7.8
1;N,11.08%。測定値:C,61.12;H,8.06;N,11.06%。 Boc−Gly−Val−Gly−Ile−Pro−OH(IV):III(7.8
g、0.0123モル)を酢酸(80ml)に入れ、10%Pd−C(1
g)の存在下、40psiで水素添加した。セライトで触媒を
濾過した後、溶媒を減圧下で除去し、エーテルを加えて
粉砕し、濾過し、エーテル次いで石油エーテルで洗い、
乾燥させると生成物6.5g(収率:97.3%)が得られた。
融点127℃で縮み、145℃で分解。Rf3,0.24;Rf4,0.11。C
25H43N5O10・1/2H2Oとしての計算値:C,54.52;H,8.05;N,
12.71%。測定値:C,54.32;H,8.02;N,12.59%。 Boc−Gly−Val−Gly−Ile−Pro−ONp(V):ピリジ
ン(40ml)中のIV(5.41g、0.01モル)をビス(p−ニ
トロフェニル)カルボネート(4.56g、0.015モル)と反
応させ、反応の完了をTLCで追跡した。ピリジンを除去
し、残渣をCHCl3に取り、酸と塩基で抽出した。得られ
たp−ニトロフェニルエステルをシリカゲル(200〜400
メッシュ)カラムクロマトグラフィーにかけた。最初に
CHCl3であらった後、CHCl3中の35%アセトンで溶離する
と4.8g(収率:71.4%)のVが得られた。融点97〜100
℃。Rf2,0.72;Rf40.75;C31H46N6O12・2H2Oとしての計
算値:C,53.28;H,7.21;N,12.02%。測定値:C,53.76;H,6.
83;N,12.01%。 H−(Gly−Val−Gly−Ile−Pro)n−OH(VI):TFA
(35ml)と45分間反応させることにより、V(3.8g、0.
0057モル)からBoc基を除去した。減圧下でTFAを除去
し、エーテルを加えて粉砕し、濾過し、エーテル,石油
エーテルで洗い、乾燥した。DMSO(4.9ml)中のTFA塩
(3.3g、0.0049モル)を、NMM(0.86ml、0.0078モル)
の存在下に14日間攪拌した。冷水で希釈した後、50KDカ
ット−オフ透析チューブを使い、水を毎日変えて、15日
間ペプチドを透析した。残留物を凍結乾燥すると1.81g
(収率88%)のIle1−ポリペンタペプチドが得られた。
第1図に、対照用の通常のポリペンタペプチドについて
のものと共に、13C−NMRスペクトルを示してある。 コアセルベーションの温度プロフィール ポリペンタペプチド凝集の温度依存性を、Cary14分光
々度計を使用して300nmでの濁り度の発達として追跡す
る。平衡化を促進し、凝集体を沈澱させないように300H
zで振動しているチャンバーの内に試料のセルを置く。
スキャンの速度は30℃/時間であり、温度はNeslab ETP
−3プログラマーで調整し、セルに置いたOmega 199A熱
電対モニターでモニターした。温度の関数としての濁り
度はコアセルベーションの温度プロフィールを提供する
が、これが濃度依存性であることが判る。これ以上濃度
が上昇しても凝集温度が低くならない所まで、濃度上昇
につれてプロフィールは低温度測に移行する。これが高
濃度の限界である。高濃度限界でコアセルベーションを
開始する温度は、コアセルベートの水分含量にそれ程の
変化がないときでさえ、コアセルベート自身の転移開始
温度と一致する。高濃度限界についての温度プロフィー
ルの中心温度はポリペンタペプチドの分子量との相関を
示した。PPPについての中点が25℃のときに、透析で較
正すると分子量は100,000ダルトン近くである。合成ペ
プチドは50,000ダルトン用透析膜で保持されたので、中
点が9℃のIle1−PPPについては分子量は50,000ダルト
ン以上である。Ile1−PPPが溶液である4℃で透析を行
った。 同二色性の測定 左右の円偏光を330Hz変調用に修正したモデル6001CD
アクセサリーを具備したCary60偏光分光計で円二色性の
研究を実施した。二度蒸留した水中、0.025mgIle1−PPP
/mlの濃度及び10mm光路(path)長のセルで特性を評価
した。CDスペクトルの光散乱を悪化させないように、凝
集体の大きさを十分小さく維持するため低濃度で行っ
た。長波長へのシフトと長波長での負のバンドの減衰か
ら明らかなように、このより疎水性のポリペンタペプチ
ドではこの低濃度でさえ、35℃以上になると、凝集体の
大きさは粒子ひずみを起すに十分なものであった。コア
セルベージョンの温度プロフィールのときと同様に、温
度を調整し、セルからモニターした。 エラストマーマトリックスの形成 γ−照射架橋の準備(エラストマーマトリックス形成
の手段)では、冷却チューブ(cryotube)中で130mgの
ペプチドIle1−PPPを220mgの水に溶解させた。次に、前
述のペステル型冷却チューブ装置中、0℃で、剪断配向
(shear oritented)させた。Auburn大学核科学センタ
ーで、約8,000レントゲン/分の照射率で、20×106の放
射線吸収量(20Mrad)を達成するに十分な時間、γ−照
射を行った。 熱弾性の研究 本研究所に作り付けの応力ひずみ装置で熱弾性の研究
を行った。試料を2つのDelrinクランプに載置した。上
部クランプはStathamUTCひずみ計に結合されており、集
合体は固定されている。下部クランプは変速モータで動
いている可動プラットフォームに結合されている。両ク
ランプとも温度調節された水ジャケット中に入れられて
いる。内部チャンバーはエラストマーを浸漬する溶媒、
この場合は二度蒸留した水を含有している。試料を上部
クランプ内に固定し、60℃の水中で約1時間平衡化し
た。ひずみ計の信号調整器を0(ゼロ)力について調整
し、下部クランプを試料に付けた。試料は室温に一晩置
いた。次に、下部クランプを0力について調節し、クラ
ンプ間の間隔を測定した。エラストマーは5℃で40%伸
長まで伸び、次に温度の関数としてゴム弾性力を測定し
た。所与の温度で一定の力となるまでの平衡化時間は典
型的には24時間であった。力の測定は、力が急激に上昇
する所では2℃づつの上昇で、より高温では5℃づつの
上昇で行なった。 結果 コアセルベーションの温度プロフィール Ile1−PPPは8℃以下の水に可溶である。溶液温度が
8℃以上になると溶液は濁り始め、より高温では沈澱が
生じ、バイアルの底に粘弾性相が形成される。バイアル
を氷浴中に置くと、濁りは直ちに透明になり、粘弾性相
は容易に溶解する。このように水に溶解するとIle1−PP
Pはコアセルベートとなる。種々の濃度についてのコア
セルベーションの温度プロフィール(濁り度プロフィー
ル)を第2A図に示す。濃度が上昇すると、温度プロフィ
ールはより低い温度へと移る。高濃度限界(すなわち、
これ以上濃度を増しても凝集開始温度がそれ以上低くな
らないより低い濃度)の40mg/mlでは、Ile1−PPPのコア
セルベーション温度プロフィールの中点は9℃である。 高濃度限界での温度プロフィール中点が25℃であるこ
とを示す、エラスチンのPPPについてのデータも比較の
ために第2A図に示す。409ダルトンの反復単位にCH2部分
を単に加えるだけで、凝集開始濃度が16℃低くなる。各
高分子量ポリマーについての高濃度限界に関して曲線f
(0.1mg、Ile1−PPP/ml)及び曲線k(10mg、PPP/ml)
が類似していることが観察され、所与の濃度でのIle1
PPPの凝集体の大きさは、匹敵するPPPの濃度でのものよ
りも大きいことを示唆している。このことは円二色性の
データでの比較と関連しよう。 円二色性 第3図には、2℃及び35℃での水中のIle1−PPP(0.0
25mg/ml)についての円二色性の曲線が示されている。3
5℃で会合により形成される凝集体の大きさがCDスペク
トル中の粒子ひずみを制限するように低濃度を選択し
た。低温では195nm付近に大きな負のバンドがある。完
全な無秩序性についてのこの負のピークの標準値は観察
された−1.2×104の値よりむしろ−4×104であるが、
このような負のバンドは無秩序蛋白質及びポリペプチド
に特徴的なものである。又、完全な無秩序性の指標であ
る0のダ円率又は正のバンドよりむしろ220nm付近の負
のバンドが低温での秩序性要素を支唆している。水中の
Ile1−PPPの温度が上昇するにつれて195nm付近の負のCD
バンドの強度が弱くなることは、温度の上昇につれて分
子内の秩序性が増すこと、すなわち、水系では逆方向の
温度転移があることを示している。このことは、秩序状
態が発達するに従って疎水性相互作用が発達することを
示している。0.025mg/mlの濃度では分子内の秩序性の上
昇は丁度0℃から始まり約30℃までに完了する。第2A図
のデータから明らかなように、顕著な粒子ひずみなしに
高濃度でCDデータが得られたときには低温で転移が完了
したのであろう(この転移はより急激なものであったで
あろう)。比較のために、第2B図に、水中のPPP(2.3mg
/ml)について温度の関数として[θ]197の値を示した
が、ここでは、約15℃高い温度に転移が移動したことが
観察される。第3図にも、比較のために、転移開始温度
以下の15℃及びこの低い濃度では転移がほとんど終って
いる47℃でのPPP(0.0023mg/ml)のCDスペクトルを示し
ている。Ile1−PPPとPPPとは、転移開始温度以下で本質
的に同一の配座を有しており、転移がほとんど終った後
に本質的に同一の配座を有していることが明らかであ
る。このように、β−分枝を保持することによって、本
質的に同一の配座を維持する一方、CH2部分を加えると
秩序性を増す方向への転移は約15℃低下する。 弾性の特性評価 20MRAD架橋Ile1−PPPコアセルベートについて測定し
た弾性(ヤング)モジュラスは4×105ダイン/cm2であ
り、これは20Mrad架橋PPPについて得た値の範囲内であ
る。この値の範囲はγ−照射の間に起る可変性の空洞化
(Vacuolization)によるものであるが、このために断
面積を正確に測定することが困難になる。しかしなが
ら、13C及び15N−NMRで測定して検出できるポリマーの
破壊はγ−照射では起らないと理解すべきである。 ゴム弾性力の温度依存性を、40%伸長でのIle1−PPP
エラストマバンドについて第2C図に示す。8℃ではゴム
弾性力はほぼ0と測定され、温度が上昇するとゴム弾性
力が劇的に急速に上昇する。25℃までに全力となり、そ
れ以上温度が上昇しても本質的に一定となる。比較のた
めに、第2C図に、60%伸長での20MRAD架橋PPPコアセル
ベートについてのデータも含める。同様に、温度の上昇
に伴いゴム弾性力は劇的に増加するが、この曲線は約15
℃高い温度の所に置き変っている。このように、第2図
の結果は、3つの異なる物理的な方法を用いて、CH2
分の添加(IleによるValの置換)は、転移の前後のポリ
ペンタペプチドの配座を変化させることなく転移を15℃
低い温度に移すことを示している。天然のエラスチンの
PPPについて以前に報告したデータはゴム弾性力の増加
と構造の秩序性の増加との相関関係を示しているが、転
移が15℃移行したIle1−PPPのデータはゴム弾性力の増
加と秩序性の増加とが必然的に組合さっていることを確
認するものと思われる。 実際、PPPで秩序性の増加とゴム弾性力の増加との間
に相関関係が見られる。Ile1−PPPにおけると同様に、
転移がより低い温度に移動すると、ゴム弾性力の発生も
忠実に近い温度に移動する。このようなエラストマーポ
リペプチドでは秩序性の増加とゴム弾性力の増加との間
に厳密な結びつきがあるように思われ、このことがどの
ようにして起りうるかについては分子構造により説明し
うる。PPPとIle1−PPPが同様の配座を有し(第3図参
照)、同様の弾性モジュラスを示すことは、これらのこ
とが(VPGVG)nの進化保有(evolutionary retention)
の因子ではないであろうことを示している。ここで明ら
かになることは、例えばCH2−部分を微量加えても、む
しろ厳密でなく、非限定的な疎水性会合の立体化学にほ
とんど作用することなく、熱力学に顕著な作用を有する
ことである。Ile側鎖の周囲の水の大きなクラスレート
様のケージは、低温での転移ΔH=TΔSにおけると同
様に、側鎖を囲んでいるより秩序性の高い水がより秩序
性のないバルクの水になるにつれてより大きなΔSを提
供する。熱量測定により、PPPのΔHは5〜6cal/gと算
定され、これは大体2k cal/ペンタマー1モルである。
このように、転移温度を298°Kから283°Kへ約15℃減
少させるのに必要なエントロピー変化の増加は約5%の
みである。アミノ酸についての公知の疎水性のスケール
を使用すると、k cal/モルの換算スケールの自由エネル
ギーで示される疎水性は、VPGVGについて−4.10,IPGVG
について−5.38である。使用する疎水性の程度はより秩
序性の高いポリペプチドの状態での立体化学に依存する
ことが期待されるが、全ポテンシャル作用の全てが実際
に起るのではないと思われる。 本発明のもう1つの面によれば、転移温度に対する上
記の疎水性作用はエラスチンポリテトラペプチド、(Va
l1−Pro2−Gly3−Gly4nにおいても生じることがここ
で発見さされた。すなわち、高分子量のPTPは、高分子
量PPPについての24℃よりむしろ48℃を凝集開始温度と
する温度可逆性凝集を行うことが発見された。 しかしながら、PTPについての逆方向の温度転移は約7
0℃でのみ完結するものであることも発見された。又、
この高い転移温度はPPPに比べPTPの疎水性が低いことを
考慮すると説明されると思われる。 例えば、Gly残基の疎水性を0とするBull−Breeseの
疎水性スケールを使用すると、ペンタマーVPGVGについ
ての転移自由エネルギーは4100cal/モルであり、一方、
テトラマーVPGGでは−2540cal/モルとなる。このよう
に、反復単位の疎水性が決定因子であれば、PTPについ
ての逆方向の温度転移はPPPのものより高温においてで
あろう。更に、ゴム弾性力の発生に逆方向の温度転移
(分子内秩序の増加)が必要であれば、PTPマトリック
スのゴム弾性力の温度依存性はPPPマトリックスのもの
に対応してより高温へ同様な移動を示すことが期待され
よう。 この逆方向の温度転移は、実際には、PTPについてPPP
より約25℃高い50℃付近を中心とする。Ile1−PTPにつ
いては、PTPより約30℃低い温度に移行する。又、温度
の上昇に伴うゴム弾性力の発生は、PPPマトリックス(2
0Mrad架橋したもの)と比べPTPマトリックス(20Mrad架
橋したもの)では約25℃高温に移動することが発見され
た。 従って、上記の観点から、ここで、本発明のPTP及びP
PPマトリックス又はその類縁体の適当な組合せを選択す
ることによって、約75℃の範囲に亘り、エラスチンPTP,
PPP及びその類縁体並びにPHPを含有するバイオエラスト
マーの転移温度を移動させることができる。さらに、例
えば、水/エチレングリコール中のPhe1−PPPについて
は約25℃、水中のPTPについては約50℃の範囲のどこで
この転移が起っても、比較的小さな温度変化でゴム弾性
力に大きな変化が起る。 従って、−(VPGG)n−のような疎水性の小さな反復
単位を含むバイオエラストマーを提供することが可能と
なる。 特に本発明によれば、テトラペプチド及びペンタペプ
チド、又はヘキサペプチド反復単位で修飾したそれらの
単位及びそれらの混合物からなるエラストマー単位を含
有するバイオエラストマーであって、反復単位が疎水性
アミノ酸及びグリシン残基からなる群から選択したアミ
ノ酸残基からなり、反復単位はβ−ターンを有する配座
で存在し、 これは、式: −X3−(VPGG)n−Y3− [式中、X3はPGG,GG,G又は共有結合であり; Y3はVPG,VP,V又は共有結合であり; VはL−バリンのペプチド形成残基であり; PはL−プロリンのペプチド形成残基であり; そして、 Gはグリシンのペプチド形成残基であり; そしてnは1〜200の整数、又はX3とY3は一体となって
反復テトラマー単位を構成するときにはnは0である]
のテトラペプチドを、予め決めた温度にバイオエラスト
マーのゴム弾性力が発生するように調整するに十分な量
含有しているバイオエラストマーも提供する。 更に、本発明は又、テトラペプチド又はペンタペプチ
ド、又はヘキサペプチド反復単位で修飾したそれらの単
位及びそれらの混合物からなるエラストマー単位を含有
するバイオエラストマーであって、反復単位が疎水性ア
ミノ酸及びグリシン残基からなる群から選択したアミノ
酸残基からなり、反復単位はβ−ターンを有する配座で
存在し、 これは、A)式: −X1−(IPGVG)n−Y1− [式中、X1,Y1,P,G,I,V及びnは上記と同義である]の
ポリペンタペプチドと B)式: −X2−(IPGVG)n−Y2− [式中、X2,Y2,P,G,V及びnは上記と同義である]のポ
リペンタペプチド、又は、 C)式: −X3−(VPGG)n−Y3− [式中、X3,Y3,P,G,V及びnは上記と同義である]のポ
リテトラペプチドを、予め決めた温度に前記バイオエラ
ストマーのゴム弾性力が発生するように調整するに十分
な相対量含有するバイオエラストマーも提供する。 本発明によれば、上記の種々のPPP類縁体と同様の、I
le1−PTPのようなPTP類縁体も提供する。事実、バイオ
エラストマーの弾性を保持しながら、IPGGnのよう
な官能性反復単位の疎水性を十分減少させるどのような
PTP類縁体も本発明のバイオエラストマーの製造に使用
できる。従って、上記の諸原理の観点から、当業者は本
発明で開示した観点で、本発明で有利に使用しうる他の
PTP類縁体を確定しうるであろう。 このように、本発明によれば、テトラペプチド又はペ
ンタペプチド、又はヘキサペプチド反復単位で修飾した
それらの単位及びそれらの混合物からなるエラストマー
単位を含有するバイオエラストマーであって、反復単位
が疎水性アミノ酸及びグリシン残基からなる群から選択
したアミノ酸残基からなり、反復単位はβ−ターンを有
する配座で存在し、 これは式; −X4−(IPGG)n−Y4− [式中、X4はPGG,GG,G又は共有結合であり;そして Y4はIPG,IP,I又は共有結合であり;そして IはL−イソロイシンのペプチド形成残基であり; PはL−プロリンのペプチド形成残基であり;そして Gはグリシンのペプチド形成残基であり、そしてnは1
〜200の整数、又はX4とY4は一体となって反復テトラマ
ー単位を構成するときにはnは0である]のテトラペプ
チドを、バイオエラストマーのゴム弾性力発生温度を調
整するに十分な量含んでいるバイオエラストマーも提供
する。 もちろん、上記の構造上の特徴を有し、反復単位IP
GVGn,VPGVGn,VPGGn,IPGGn又はそれら
の他の類縁体の任意の組合せ、例えばAla3−PPP又はPhe
1−PPPを有するバイオエラストマーも本発明の範囲内で
ある。 事実、一般に、本発明はテトラペプチド又はペンタペ
プチド、又はヘキサペプチド反復単位で修飾したそれら
の単位及びそれらの混合物からなるエラストマー単位を
含有するバイオエラストマーであって、反復単位が疎水
性アミノ酸及びグリシン残基からなり、反復単位がβ−
ターンを有する配座で存在し、バイオエラストマーの弾
性が保持される条件で、予め決めた温度に該バイオエラ
ストマーのゴム弾性力が発生するように調整するに十分
な量のテトラペプチドもしくはペンタペプチド単位又は
それらの反復単位からなる全てのバイオエラストマーを
含んでいる。 しかしながら、PTPに関する本発明の種々の面を明ら
かにするために以下の実施例及び考察を提供する。もち
ろん、実施例は説明の目的だけのものであり、本発明を
限定することを意図するものではない。 実施例 ペプチド合成 一般的な方法:出発テトラマー単位としてVal−Pro−
Gly−Gly,Gly−Val−Pro−Gly,Gly−Gly−Val−Pro,又
はPro−Gly−Gly−Valの順列置換のいずれを使用しても
ポリテトラペプチド(VPGG)nを合成できる。本研究室
では、ペンタクロロフエニルエステル(OPcp)活性化及
びp−ニトロフェニルエステル(ONp)活性化法の両者
で一番目の配列(VPGG)を使用したが、後者の方法では
顕著により高い分子量のポリマーが得られた。配列(GV
PG)は−OPcp活性化で使用したが、ポリマーの大きさに
ついては言及しなかった。重合のための種々の活性化基
を有するペンタマー単位の種々の順列置換を使用するポ
リペンタペプチド(VPGVG)nの合成においては、C−末
端アミノ酸としてProを有すると共に活性化用の−Onpを
有するペンタマーから高分子ポリマーが得られることが
観察された。ポリヘキサペプチド(VAPGVG)nの製造の
場合でも同様の結果が認められた。さらに、PTPの場
合、すなわち、配列(GGVO)を−ONpで活性化した場合
でも同様の方法が適当であることが決定された。比較の
ためにH−VPGG−ONp,H−GVPG−ONp及びH−GGVP−ONp
の全てで重合を試みた。予想通り,TPτの研究で測定す
ると後者のテトラマー配列では非常に高い分子量のポリ
マーが得られた。ここでこの後者の材料の合成を図式II
に示す。配列(PGGV)は光学活性で立体的に大きなアミ
ノ酸ValをC−末端に有しているので試みなかった。 i)EDCI/HOBt; ii)H2−Pd/C; iii)IBCF/HOBt; iv)HCl/ジオキサン; v)ビス(p−ニトロフェニル)カーボネート; vi)TFA; vii)DMSO−NMM EDCIをカップリング用に使用してBoc−GG−OBzl
(I)を製造し、水素添加して酸(II)にした。HOBtの
存在下で、混合無水物法により、Boc−VP−OBzl(III)
を合成し、脱ブロックし、EDCI−HOBtを使ってIIと結合
させると、Boc−GGVP−OBzl(IV)が得られた。水素添
加して酸Vとした後、ビス(p−ニトロフェニル)カー
ボネートと反応させて−ONp(VI)に変換した。Boc基を
除去した後、活性エステルを重合し、50,000分子量のカ
ットオフ透析チューブを使って水に対し透析し、凍結乾
燥した。中間生成物及び最終生成物を、13C核磁気共
鳴,薄層クロマトグラフィー(TLC)及び元素分析でチ
ェックした。 合成の詳細:バリン及びプロリンはL−立体配置のも
のである。Boc−アミノ酸はBachem.Inc.,Torrance,CAか
ら購入した。HOBtはAldrich Chemical Co.,Milwaukee,W
Iから入手し、Bio−silシリカゲル(200〜400メッシ
ュ)はBio−Rad Laboratories,Richmond,CAから購入し
た。TLCプレートはWhatman,Inc.,Clifton,NJから入手
し、生成物の均一性を測定するためにの溶媒系:Rf 1,C
HCl3(C):MeOH(M):CH3COOH(A),95:5:3;Rf2,CM
A(85:15:3);Rf 3,CMA(75:25:3);Rf 4,CM(5:1)を
使用した。Mic Anal,Tuscon,AZにより元素分析を実施し
た。融点はThomas Hoover融点装置で測定し、補正はし
なかった。 Boc−Gly−Gly−OBzl(I):CHCl3(50ml)とアセト
ニトリル(50ml)の混合物中のBoc−Gly−OH(17.52g、
0.1モル)を−15℃に冷却し、EDCI(19.17g、0.1モル)
を加え、20分間攪拌した。これに、CHCl3(100ml)中の
H−Gly−OBzl・トシレート(37.1g、0.11モル)及びNM
M(12.09ml,0.11モル)の予め冷却した溶液を加え、室
温で一晩攪拌した。溶媒除去後、残渣をCHCl3に入れ、
酸と塩基で抽出した。減圧下でクロロホルムを除去し、
石油エーテルを加えて粉砕し、濾過し、石油エーテルで
洗い、乾燥させるとI30.2g(収率:93.7%)、融点82〜8
3℃が得られた。Rf 2,0.52;Rf 40.82。C16H22N2O5として
の計算値:C,59.61;H,6.88;N,8.69%。測定値:C,59.43;
H,6.88;N,8.35%。 Bio−Gly−Gly−OH(II):酢酸(100ml)中のI(10
g、0.31モル)を10%Pd−C触媒(1g)の存在下、40psi
で水素添加した。セライトで触媒を濾過し、減圧下で溶
媒を除去した。残渣をEtOAcを加えて粉砕し、濾過し、E
tOAc,次いで石油エーテルで洗い乾燥させてII6.3g(収
率:87.5%)、融点118〜120℃(分解)を得た。Rf 2,0.2
8;Rf 30.44。C9H16N2O5・H2Oとしての計算値:C,43.19;H,
7.25;N,11.19%。測定値:C,43.53;H,7.40;N,10.90%。 Bio−Gly−Gly−Val−Pro−OBzl(IV):III(6.0g、
0.0148モル)(39)をHCl/ジオキサンで脱ブロックし、
減圧下で溶媒を除去した。残渣をエーテルで粉砕し、濾
過し、エーテル,石油エーテルで洗い、乾燥させた。非
常に吸湿性の物質が得られ(4.2g、0.0123モル)、これ
を10%過剰のEDCI(2.60g)及びHOBt(2.07g)の存在
下、DMF中でII(2.86g、0.0123モル)と結合させた。I
と同様に反応物を処理し、定量的収量の白色の発泡体と
してIVを得た。融点はシャープでなく、54〜62℃であっ
た。Rf 2,0.42;Rf 30.74。C26H38N4O7としての計算値:C,6
0.21;H,7.38;N,10.80%。測定値:C,60.0;H,7.46;N,10.8
1%。 Boc−Gly−Gly−Val−Pro−OH(V):酢酸中のIV
(6.2g、0.012モル)を水素添加し、IIと同様に処理す
ると定量的にVが得られた。融点はシャープでなく、:7
4〜83℃であった。Rf 3,0.25;Rf 4,0.15。C19H32N4O7とし
ての計算値:C,51.10;H,7.67;N,12.54%。測定値:C,51.2
8;H,7.50;N,12.38%。 Boc−Gly−Gly−Val−Pro−ONp(VI):ピリジン(30
ml)中のV(5.3g、0.0123モル)をビス(p−ニトロフ
ェニル)カーボネート(5.64g、0.0185モル)と反応さ
せた。溶媒を除去した後、残渣をCHCL3に入れ、酸と塩
基で抽出した。ペプチドをシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにかけ、最初にCHCl3で溶出してからCHCl3中の
35%アセトンで溶出し、4.7g(収率69.2%)のVIを得
た。融点はシャープでなく、74〜79℃であった。Rf 2,0.
76;Rf 4,0.75。 C25H35N5O9・1/2H2Oとしての計算値: C,53.75;H,6.49;N,12.53%。測定値:C,53.69;H,6.44;
N,12.34%。 H−(Gly−Gly−Val−Pro)n−OH(VII): CHCl3(20ml)中のVI(4.5g、0.0082モル)をTFA(351m
l)で30分間処理し、減圧下で溶媒を除去した。残渣を
エーテルで粉砕し、濾過し、エーテル、次に石油エーテ
ルで洗い、乾燥した。DMSO(7.6ml)中のTFA塩(3.9g、
0.0069モル)及びNMM(1.22ml、1.6当量)を14日間攪拌
した。冷水で希釈した後、15日間毎日水を交換しなが
ら、50KDカットオフ透析チューブでポリマーを透析し、
残留物を凍結乾燥させると1.65g(収量77%)のポリテ
トラペプチドが得られた。ポリマーの13C−NMRスペクト
ルを第5図に示す。吸収ピークはすべて同定され、余分
なピークはないことから合成が証明される。 コアセルベーションの温度プロフィール 水中でのポリペプチドのコアセルベーションは、異な
る組成での新しい相を形成する可逆的な凝集である。温
度の上昇につれて会合が起り、温度の降下につれて解離
する。300nmに設定したCary14分光々度計,30℃/時間の
スキャン速度のNeslab ETP−3温度プログラマー及びOm
ega 199A熱電対モニターを使って、温度の関数としての
濁り度をモニターすることによりコアセルベーションの
過程を迫った。凝集体を沈澱させずかつ平衡化を促進す
るために振動させたチャンバー(300Hz)に試料セルを
置いた。コアセルベーションの温度プロィールは濃度依
存性である。高濃度限界に到達した後(高分子量エラス
トマーポリペプチドでは大体40mg/ml)に高濃度から希
釈すると、濁り度のプロフィールは高温側へ移行する。 円二色性の測定 左右の円偏光ビームを330Hz変調したモデル6001円偏
光アクセサリーを具備したCary60偏光分光計を使って、
1mlの脱イオン蒸留(石英浸漬ヒーター)水中で5mgのPT
Pの円二色性を測定した。PPP系と比べPTP凝集物の大き
さ又は相対透明度がより小さい(架橋したPTPマトリッ
クスでは溶液とマトリックスとの間の屈折率の変化が比
較的小さいように)ため、CDスペクトルの光散乱(粒
子)ひずみで弱められることなく5mg/mlの濃度をCD試験
において使用することができた。このことは、粒子ひず
みが顕著になるにつれ減衰したり長波長側にシフトした
りする220nm付近の負のバンドモニターすることにより
明らかである。 架橋PTPマトリックスの調製 冷却チューブ内で水220mgにペプチド130mgを溶解して
γ−照射架橋用のPTPを調製した。前述のペストル型冷
却チューブアセンブリ内、40℃で一晩、材料を剪断配向
させた。試料をAuburn大学核科学センターで約8.000レ
ントゲン/分に露出した。20×106放射線吸収量(20Mra
d)になるのに十分な時間露光した。 熱弾性の測定 応力−ひずみ装置で熱弾性の試験を行った。クランプ
のはじで物質を破壊するのを避けるため2段階で試料を
保持具に固定した。試料を先ず上部クランプで軽く止
め、温度ジャケットの中の水に浸して60℃に上昇させ、
約2時間平衡化させた。水中におけるグリップと試料の
重量からなる測定した力を0にセットした。次に下部グ
リップをサンプルに取り付け、両方のグリップを締めて
試料をしっかりと保持した。下部クランプを応力−ひず
み測定の場合と同様に操作し、40%伸長で止めた。力の
データは70℃からの5℃づつのステップで記録し、力が
0に近付く40℃まで続けた。 結果 コアセルベーションの温度プロフィール 40℃以下では全ての割合でポリテトラペプチドは水に
可溶である。40℃以上に温度を上げると溶液は濁り始
め、放置すると沈澱が生じてコアセルベートと呼ばれる
濃い粘弾性相を形成する。この過程は容易に可逆的であ
り、温度を下げると濁りは消えてコアセルベートは容易
に溶解する。温度の関数として濁り度(turbidity)を
追うと、コアセルベートの温度プロフィールが得られ、
これは温度依存性である。濃度を増しても濁り度の始ま
る温度がそれ以上低くならなくなるまでは、より濃い溶
液を使うとより低い温度で濁り始める。濃度を増しても
それ以上濁り始める温度が低くならない濃度のうちより
低い濃度を高濃度限界と呼ぶ。この高分子量PTPでは、1
00mg/mlでも同じプロフィールが得られるので高濃度限
界は40mg/mlである。40mg/mlから希釈すると開始温度は
より高温へと移行する。これらのデータは第6図に示す
が、そこではPPPについての同様のデータと比較してい
る。PTPの高濃度限界の中点は49℃であり、一方、PPPの
高濃度限界の値は25℃である。テトラマーでは疎水性が
低下するため、疎水性相互作用に伴う凝集を引き起こす
のに必要な温度が24℃上昇している。 円二色性 5mg/mlのPTP水溶液について、40℃(曲線a)及び65
℃(曲線b)でのCDスペクトルを第7図に示す。より低
い温度では、220nm付近に負のバンドと195〜200nmの範
囲に第2の負のバンドがある。完全に無秩序なポリペプ
チドは−4×104のダ円率で195nm付近に負のバンドを持
つと考えられるので、この後者のバンドは限定された秩
序を持つポリペプチドを示すものと考えられる。PTPに
ついての短波長の負のバンドの大きさがより小さく、22
0nm付近に負のバンドがあることは、35℃でPTPがいくら
か秩序性を有していることを示している。温度が上昇す
ると、短波長の負のバンドの大きさは減少し、これは分
子内の秩序性が増す方向への転移を示している。この転
移を第8A図に示す。興味深いことに、この中点は、匹敵
する濃度でのコアセルベーションの温度プロフィール
(第6図、曲線c参照)の中点とほぼ一致する。PTPで
は分子内秩序性の変化が分子間の相互作用に先立ち、す
なわち、第6図の凝集過程より実質的に低い温度で始ま
ることを重要な点として特に記す。比較のために、第7
図に同様のスペクトルの変化が見られるPPPについてのC
Dスペクトルを示す。しかしながら、この場合、195nm付
近の負のバンドはずっと大きく、温度の上昇に伴いより
秩序性のある方向に転移することがより明確である。第
8A図には、PTP転移と比較するためにPPPの逆方向の転移
をプロットした。凝集のデータ(第6図参照)における
と同様、PTPの分子間転移の温度中点はPPPのものより約
25℃高い温度に移行している。従って、ペンタマーと比
べベテトラマーの疎水性が減少しているために、PTPの
分子内秩序性は高温側に移行する。 熱弾性データ 20Mrad架橋PTPの40%伸長でのゴム弾性力の温度依存
性(熱弾性データ)を第8B図にプロットする。40℃以下
ではこのマトリックスはほとんどゴム弾性力を示さな
い。しかしながら、温度が40℃以上に上がると、70℃付
近でゴム弾性力は最大値となる。比較のために、第8B図
に、20Mrad架橋PPPマトリックスについての熱弾性デー
タを示す。これは同様ではあるが、約20°〜25℃低温側
に移行した転移を示している。コアセルベーションの温
度依存性(第6図参照)と全く同様に、ゴム弾性力の発
生及びPTPのダ円率の発生はPPPのものから約25℃移行す
る。これらの特性は反復単位の疎水性の関数である。特
に興味深いことは、第8図のPTPのダ円率のデータとPTP
の熱弾性データとの比較である。ダ円率で迫った転移は
分子内秩序性の測定であり、35°〜40℃の範囲で始ま
り、同様に、ゴム弾性力も丁度40℃以下で発生し始め
る。両方の物理的測定により、転移は本質的に70℃まで
に完了する。分子内秩序性の増加とゴム弾性力の増加と
の関係は極めてパラレルである。濁り度で追う凝集の分
子内過程は約50℃までは顕著にはならないので、PTPマ
トリックスはゴム弾性力の起源に関連して分子内過程と
分子間過程との中間的なものと考えられる。 PTPの構造的な特徴はPPPのものと非常に類似している
と思われる。例えば、PPPと同じ原理が作用することが
明らかである。第II型のPro2−Gly3β−ターンが主な二
次構造の特徴であり、秩序化過程は、温度が上がると分
子内の疎水性相互作用が最大となる逆方向の温度転移の
ものである。らせんのターンの間のβ−ターンスペーサ
と分子内疎水性接触を付与するVal及びPro側鎖を有する
開放ヘリックス(open helix)が予期される。懸垂部分
はより短くなければならないだろうし、つりあい振動運
動はGly4−Val1ペプチド部分に集中するであろう。環状
配座の相関から、PPPβ−らせんではターン毎に約3個
のペンタマーがあるのに対し、PTPβ−らせんではター
ン毎に約4個のテトラマーがあろう。 反復単位の疎水性の作用 ゴム弾性力が大きくなる方向への転移が実際には構成
ペプチドの疎水性に依存する逆方向の温度転移であると
いうことは、反復単位の疎水性の変化の際の転移の移行
の方向から明らかである。反復単位がより疎水性になる
と、転移のための温度はより低い値に移行する。Nozaki
−Tanford−Bull−Breese疎水性スケールを使用する
と、ペンタマー(VPGVG)は−4100cal/モルの転移の自
由エネルギーを有し、一方、テトラマー(VPGG)では−
2540cal/モルとなる。転移ΔH=TΔSにおいて、所与
のΔHでは、ΔSを与える疎水性がより小さければより
高い温度が必要とされよう。第7図及び第8図のデータ
は、より疎水性の低いテトラマーでは、より疎水性の高
いペンタマーより高い転移温度を必要とすることを示し
ている。この発見は、Ile1−PPPで得た上記の結果と一
致している。(IPGVG)n別称(Ile1−PPPを製造する
と、Ile1−PPPはコアセルベートとなり、すなわち、温
度の上昇に伴って分子内秩序性が増加し、温度の上昇に
伴ってIle1−PPPマトリックスはゴム弾性力を増加させ
るが、転移は9℃に移行する。このペンタマー(IPGV
G)の疎水性は−5380cal/モルである。第9図にプロッ
トしたスケールにおいて、3つのポリペプチドエラスト
マーの転移温度と反復単位の疎水性とを比較している。
移行の方向が同じであるばかりでなく、移行の大きさも
ほぼ等しい。分子内秩序化及びゴム弾性力の発生を起す
逆方向の温度転移は反復単位の疎水性と全く比例してお
り、第7図及び第8図の転移を詳細に比較するとゴム弾
性力の発生に関与するのは疎水性作用を使用する分子内
過程であることが明らかである。 従って、本発明のバイオエラストマーは、ゴム弾性力
発生温度を広く変化させ得るように、広範囲の官能性反
復単位を含むことができる。 例えば、本発明のバイオエラストマーは、上記のよう
に次の反復単位: −X1−(IPGVG)n−Y1 −X2−(VPGVG)n−Y2 −X3−(VPGG)n−Y3 −X4−(IPGG)n−Y4 のいずれでも、単独で又は互いに組合せて含有して、予
め決めた温度でほぼ最大のゴム弾性力を発生する能力を
バイオエラストマーに付与するものを包含する。 しかしながら、ポリペプチドの粘弾性相の形成又はポ
リペプチドのつりあい振動運動すなわち弾性を過度に妨
げることなく、PPP及びPTP反復配列の疎水性を変える全
てのPPP及びPTPの類縁体及びその組合せは本発明の範囲
である。 このような類縁体及びそれらの組合せの他の例は IPGVG−Q−VPGVGn VPGVG−Q−VPGGn IPGVG−Q−VPGGn VPGVG−Q−IPGGn IPGVG−Q−IPGGn VPGG−Q−IPGGn [式中、Qは直接の共有結合又は点在するアミノ酸残基
であり、ポリペプチドの弾性を妨害しないこのような残
基のどれでもよい]のような配列である。 もちろん、反復テトラペプチド配列と同様に反復ペン
タペプチド配列も、バイオエラストマーの弾性が保持さ
れる限り、反復単位の疎水性を変化させるために広く置
換することができる。例えば、導入するペンタペプチド
反復単位は一般式: R1PR2R3 n [式中、R1はPhe,Leu,Ils及びValからなる群から選択し
たペプチド形成残基であり、;R2はAla及びGlyからなる
群から選択したペプチド形成残基であり、;R3はPhe,Le
u,Ile及びValからなる群から選択したペプチド形成基で
あり;nは1〜約200の整数であり;PはL−プロリン形成
残基であり、Gはグリシン形成残基である]でありう
る。従って、本発明に添って、他の反復単位と共に、上
記ペンタマー配列の「ホモポリマー」又は上記配列の
「コポリマー」を使用しうる。 又、一般に、式: R1PGGn [式中、R1及びnはペンタマー配列に対する上記定義と
同義である]のテトラペプチド反復単位も使用できる。
これらの単位は、予め決めた温度にバイオエラストマー
のゴム弾性力が発生するように調整するに十分な量を本
発明のバイオエラストマーに含ませる。 一般に、本発明の任意のバイオエラストマーによる
と、バイオエラストマーは官能性反復単位の「ホモポリ
マー」、例えばPhe1−PPP,Ala3−PPP,Ile1−PPP又はIle
1−PTPでありえ、又は、一般式Sa−Tbn[式中、S
又はTは、バイオエラストマーのゴム弾性力発生温度を
変化又は移行するために設計された官能性反復単位を構
成するものであり、S又はTのどちらかが残るとして
も、バイオエラストマーのもう1つの反復単位を構成す
る〕の「コポリマー」でありうる。上記のように、この
ような「コポリマー」はブロックコポリマーでもランダ
ムコポリマーでもよく、これはaとbが各々1以上の整
数であることを意味している。 更に、上記のように、これら「コポリマー」について
は、ゴム弾性力発生温度を変化させるために1つ以上の
官能性反復単位を使用することもできる。従って、上記
式中の−S−及−T−の単位の両方がこのような反復単
位、例えば(IPGVG)及び(VPGVG)でありうる。もちろ
ん、S及びTの各々がSi,Sii,及びSiiiの反復単位の
部分集合からなってもよい。例えば、3個のSの部分集
合が(IPGVG),(FPGGVG)[式中、FはPheの一文字略
号である]又は(VPAVG)のようなPPP類縁体であっても
よい。 S及びT反復配列の各々1個が1〜99%のモル範囲に
あるのが好ましい。さらに好ましくは、これらの単位が
5〜95%のモル範囲にある。しかしながら、第9図に示
す疎水性スケールを使用すると、多くの種々の反復単位
の実際のモル含量は所望の転移温度と直接比例する。 本発明のバイオエラストマーは以下に記載する多くの
異なる用途に使用できる。 第一に、本発明バイオエラストマーは合成の血管組織
及び血管代替物の製造に使用できる。一般に、このよう
な合成物質は米国特許第4,485,227号及び第4,550,447号
明細書の手順に従って構成しうるが、これら明細書の両
方共、本明細書に完全に包含される。 更に、本発明のバイオエラストマーは、誘電性緩和電
池(dielectric relaxation cell),周波数源及び力測
定装置の組合せを使用する高周波圧電デバイス(high−
frequency pfezoelectric device)の製造にも使用でき
ると思われる。 本質的に、誘電性緩和電池は、本発明のバイオエラス
トマーを使用するときには電池に連続的な矩形のくぼみ
(slot)を通すことを除いて従来の方法で構築しうる。
γ−照射架橋エラストマーはくぼみを通して、力測定装
置の各々の端部に結合する。 更に、本発明バイオエラストマーは高周波圧電デバイ
スの製造に使用できることを発見した。特に約10MHzの
周波数で、本発明バイオエラストマーのペプチドは交流
電場に追随することができるので、そのゴム弾性力に関
与すると考えられるエラストマーのつりあい振動運動の
飽和及び同調がゴム弾性力の強さに大きく作用するので
あろう。これは本質的には高周波数の圧電効果である。
更に、本発明のバイオエラストマーは弾性及び高誘電能
という必須の特性を有しており、また圧電効果のために
も必要であるように、伸長すると架橋の前にフロー配向
(flow orientation)することなく軸配向するであろ
う。 従って、本発明のバイオエラストマーは米国特許第4,
565,943号明細書の手順に従う圧電デバイスの製造に使
用できる。ここで、前記特許明細書は全て本明細書に含
むものとする。 興味深いことに、本発明のバイオエラストマーはレー
ダー吸収特性を示すことも発見された。そのため、米国
特許第4,034,375号明細書(これも全て本明細書に組み
入れられる)のレーダー吸収性表面の製造に本発明のバ
イオエラストマーを使用しうる。 最後に、上記のように、本発明バイオエラストマーは
合成血管組織の製造に使用できる。更に、ここで本発明
のバイオエラストマーは格別の特性を有する合成の血管
材料を提供する。 特に、ある種のエラスチン反復配列はエラスチン合成
能を有する繊維芽細胞に化学走化性である。例えば、後
頚部靱帯からの繊維芽細胞はエラスチン反復ヘキサペプ
チド配列VGVAPGに対し化学走化性を示し10-9Mの溶
液中のヘキサペプチド濃度で最大の反応を示す。同様
に、ノナペプチド反復単位AGVPGFGVG及びその順列
置換であるGFGVGAGVPも後頚部靱帯からの繊維芽細
胞の化学誘引物であり、各配列に対する最大の反応は溶
液中約10-9Mのノナペプチド濃度のときに起る。 従って、上記の観点から、本発明バイオエラストマー
は合成血管組織を繊維芽細胞に化学走化性とするのに十
分な量の上記ヘキサペプチド及びノナペプチドを含有す
ることを特に意図している。PPP及びPTP類縁体について
上で十分例示したように、ペプチド化学者にはよく知ら
れている標準のペプチド合成反応に従って、これらヘキ
サペプチド及びノナペプチド反復配列を本発明バイオエ
ラストマーに導入することができる。もちろん、上記の
ように、これらの配列をそのままヘキサペプチド又はノ
ナペプチド配列としてバイオエラストマーに加えること
も、又は固相自動合成により一度に1つのアミノ酸残基
を段階的に添加して生成することもできる。 バイオエラストマーに導入する化学走化性配列の正確
な量は、もちろん、所望の反応強度による。しかしなが
ら、一般に、合成の血管組織が十分な繊維芽細胞化学走
化性を示すためには、バイオエラストマーの全ペプチド
配列が少なくとも10-11モル%の化学走化性配列を含ん
でいるのが望ましい。反対に、全ペプチド含量に対して
約1モル%以上の化学走化性配列は通常必要ない。しか
しながら、上記のように、この量は必要な最適量を得る
ための実験をすることにより容易に調整できる。 又、「及びヘキサペプチド単位で修飾したその単位」
という表現は、バイオエラストマーの機械的強度を増す
ためにヘキサペプチド反復単位を加えて本発明のバイオ
エラストマーのテトラペプチド及びペンタペプチド反復
単位を修飾することができるということを表わしてい
る。もちろん、このような添加したヘキサマー単位の一
例は配列APGVGVn[式中、A,P,V及びGは本明細書で
定義した通りであり、nは約1〜50の整数で、所望の特
性によって変化する]である。 最後に、式: −Xc−(反復単位)n−Yc− [式中、cは本明細書中で使用されているように1〜4
の整数であり、使用されるときにはXとYについて同じ
値であり、nは1〜約200の整数であるが、XcとYcが一
体となってそれら自身で少なくとも1つの反復単位を構
成するときには0でもよい]の官能性反復単位を1つ以
上含有する本発明のバイオエラストマーを全てについて
記す。 本発明のバイオエラストマーは、転移温度を変化させ
るために含む単位の他に、ペンタペプチド「モノマー」
単位と修飾ヘキサペプチド「モノマー」単位;テトラペ
プチド「モノマー」単位と修飾ヘキサペプチド「モノマ
ー」単位;又はペンタプチド,テトラペプチド及びヘキ
サペプチドモノマー単位で修飾したそれらの「モノマ
ー」単位のコポリマーでありうるエラストマー単位を含
んでいる。 更に、上記のように、バイオエラストマー全体及びそ
れから作られる合成血管組織又は人工器官に繊維芽細胞
に対する化学走化性を付与するために、これらのバイオ
エラストマーのエラストマー単位は繊維芽細胞化学走化
性を示す他のヘキサペプチド及びノナペプチド配列を含
むことができる。 最後、上記式中のnの値は一般に1〜200であるが、
官能性反復単位に結合している単位XcとYcとがそれら自
身で少なくとも1つのこのような反復単位を、予め決め
た温度にバイオエラストマーのゴム弾性力が発生するよ
うに調整するに十分な量で構成するときにはnは0であ
ってもよい。 ここに本発明は十分記載されたので、本明細書に記載
した本発明の精神又は範囲から逸脱することなく多くの
変化及び改変を行いうることは当業者には明らかであろ
う。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許4500700(US,A) 米国特許4589882(US,A) 米国特許4132746(US,A) Pept.Chem.,Volume Date 1985,23rd,P.251− 258 (1986) J.Chem.Soc.,Farad ay Trans.1,Vol.79 (1983) P.853−868

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.テトラペプチド単位及びペンタペプチド単位からな
    る群より選択されるか又はそれらの混合物であってヘキ
    サペプチド単位が散在していることがあるエラストマー
    反復単位を含み、上記エラストマー反復単位は、β−タ
    ーンを有する構造で存在し、また予め定めた温度にてバ
    イオエラストマーのゴム弾性力を発生させるに十分な量
    存在し、上記ペンタペプチド単位が構造式(I)を有
    し、上記テトラペプチド単位が構造式(II)を有するも
    のであり、 R1PR2R3G (I) R4PGG (II) 上記構造式(I)及び(II)において、R1はフェニルア
    ラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群
    より選ばれるアミノ酸残基であり、R2はアラニン及びグ
    リシンからなる群より選ばれるアミノ酸残基であり、R3
    はフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリ
    ンからなる群より選ばれるアミノ酸残基であり、Pはプ
    ロリン残基であり、Gはグリシン残基であり、R4はフェ
    ニルアラニン、ロイシン及びイソロイシンからなる群よ
    り選ばれるアミノ酸残基であり、但し上記ペンタペプチ
    ド単位はVPGVGではない、バイオエラストマー。 2.上記エラストマー反復単位の疎水性が異なる2種を
    含み、上記2種のエラストマー反復単位は、上記2種の
    いずれか一方のみを含むときに比較して、予め定めた温
    度にてバイオエラストマーのゴム弾性力発生を調節する
    のに十分な量存在する、請求項1に記載のバイオエラス
    トマー。 3.下記式に記載のペンタペプチド単位を含み −X1−(IPGVG)n−Y1− 式中、Iはイソロイシン残基、Pはプロリン残基、Gは
    グリシン残基、Vはバリン残基であり、 X1はPGVG,GVG,VG,G又は共有結合、Y1はIPGV,IPG,IP,I又
    は共有結合であり、nは1〜200までの整数又はX1とY1
    が一体となって少なくとも1つのペンタマー単位を構成
    するときにはnは0である、請求項1又は2に記載のバ
    イオエラストマー。 4.下記式に記載のテトラペプチド単位を含み、 −X2−(IPGG)n−Y2− 式中、X2はPGG,GG,G又は共有結合、Y2はIPG,IP,I又は共
    有結合であり、Iはイソロイシン残基、Pはプロリン残
    基、Gはグリシン残基であり、nは1〜200の整数又はX
    2とY2が一体となって少なくとも1つの前記テトラマー
    単位を構成するときにはnは0である、請求項1ないし
    3のいずれかに記載のバイオエラストマー。 5.VPGVG及び/又はVPGGからなるエラストマー反復単
    位をさらに含み、式中Pはプロリン残基、Gはグリシン
    残基、Vはバリン残基である請求項1ないし4のいずれ
    かに記載のバイオエラストマー。 6.少なくとも一つのヘキサペプチド単位をさらに含む
    ヘテロポリマーである、請求項1ないし5のいずれかに
    記載のバイオエラストマー。 7.上記エラストマー反復単位のブロックコポリマー又
    はランダムコポリマーである、請求項1ないし6のいず
    れかに記載のバイオエラストマー。 8.バイオエラストマーに繊維芽細胞走化性を付与する
    のに十分な量の繊維芽細胞走化性のヘキサペプチド又は
    ノナペプチド単位を更に含有する、請求項1ないし7の
    いずれかに記載のバイオエラストマー。 9.走化性ヘキサペプチド単位がVGVAPGであり、走化性
    ノナペプチド配列がAGVPGFGVG又はGFGVGAGVPである、請
    求項8に記載のバイオエラストマー。 10.テトラペプチド単位及びペンタペプチド単位から
    なる群より選択されるか又はそれらの混合物であってヘ
    キサペプチド単位が散在していることがあるエラストマ
    ー反復単位を含み、上記エラストマー反復単位は、β−
    ターンを有する構造で存在し、また予め定めた温度にて
    バイオエラストマーのゴム弾性力を発生させるに十分な
    量存在し、上記ペンタペプチド単位が構造式(I)を有
    し、上記テトラペプチド単位が構造式(II)を有するも
    のであり、 R1PR2R3G (I) R4PGG (II) 上記構造式(I)及び(II)において、R1はフェニルア
    ラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群
    より選ばれるアミノ酸残基であり、R2はアラニン及びグ
    リシンからなる群より選ばれるアミノ酸残基であり、R3
    はフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリ
    ンからなる群より選ばれるアミノ酸残基であり、Pはプ
    ロリン残基であり、Gはグリシン残基であり、R4はフェ
    ニルアラニン、ロイシン及びイソロイシンからなる群よ
    り選ばれるアミノ酸残基であり、但し上記ペンタペプチ
    ド単位はVPGVGではない、バイオエラストマーを調製す
    ることを含む、ゴム弾性発生温度を調節する方法。 11.上記エラストマー反復単位の疎水性が異なる2種
    を含み、上記2種のエラストマー反復単位は、上記2種
    のいずれか一方のみを含むときに比較して、予め定めた
    温度にてバイオエラストマーのゴム弾性力発生を調節す
    るのに十分な量存在する、請求項1に記載のバイオエラ
    ストマーを調製することを含む、請求項10に記載の方
    法。 12.下記式に記載のペンタペプチド単位を上記バイオ
    エラストマーに導入することを含む方法であって、 −X1−(IPGVG)n−Y1− 式中、Iはイソロイシン残基、Pはプロリン残基、Gは
    グリシン残基、Vはバリン残基であり、X1はPGVG,GVG,V
    G,G又は共有結合、Y1はIPGV,IPG,IP,I又は共有結合であ
    り、nは1〜200までの整数又はX1とY1が一体となって
    少なくとも1つのペンタマー単位を構成するときにはn
    は0である、請求項10又は11に記載の方法。 13.下記式に記載のテトラペプチド単位を上記バイオ
    エラストマーに導入することを含む方法であって、 −X2−(IPGG)n−Y2− 式中、X2はPGG,GG,G又は共有結合、Y2はIPG,IP,I又は共
    有結合であり、Iはイソロイシン残基、Pはプロリン残
    基、Gはグリシン残基であり、nは1〜200までの整数
    又はX2とY2が一体となって少なくとも1つの前記テトラ
    マー単位を構成するときにはnは0である、請求項10な
    いし12のいずれかに記載の方法。 14.VPGVG及び/又はVPGGからなるエラストマー反復
    単位をさらに含み、式中Pはプロリン残基、Gはグリシ
    ン残基、Vはバリン残基である請求項10ないし13のいず
    れかに記載の方法。 15.上記バイオエラストマーが少くとも一つのヘキサ
    ペプチド単位をさらに含むヘテロポリマーである、請求
    項10ないし14のいずれかに記載の方法。 16.上記バイオエラストマーが上記エラストマー反復
    単位のブロックコポリマー又はランダムコポリマーであ
    る、請求項10ないし15のいずれかに記載の方法。
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