JP2725599B2 - 隆線方向抽出装置 - Google Patents

隆線方向抽出装置

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JP2725599B2 JP6138833A JP13883394A JP2725599B2 JP 2725599 B2 JP2725599 B2 JP 2725599B2 JP 6138833 A JP6138833 A JP 6138833A JP 13883394 A JP13883394 A JP 13883394A JP 2725599 B2 JP2725599 B2 JP 2725599B2
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  • Image Analysis (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、指紋照合や指紋分類、
掌紋照合などの処理過程において必要な皮膚紋様画像の
隆線方向抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚紋様画像の隆線方向抽出装置は、特
に指紋照合や指紋分類のための特徴抽出において重要で
あり、既にさまざまなものが提案されている。
【0003】特開昭63−308679に開示されてい
る隆線紋様の隆線方向検出装置(特開昭63−3086
79、重光ら、『隆線紋様の隆線方向検出装置』)で
は、まず隆線方向を決める各リサンプリング点におい
て、予め設定した方向毎に複数のスリットを設定し、そ
の各スリット内の濃淡値の平均値を求める(ステップ
1)。次に各方向毎にその平均値の差の最大値を求める
(ステップ2)。この最大値が最も大きい方向を隆線方
向とする(ステップ3)。例えば、図10(a),
(b),(c)をあるリサンプリング点を中心とした局
所領域における指紋画像とする。予め設定する方向数を
8方向として、ステップ1ではまず局所的な領域内のd
1方向に設定されるスリット内の画素値の濃淡値の平均
値を求める。図10(a)の下に示した棒グラフは、各
スリット内の濃淡値の平均値を示している。同様にd
2,d3,…,d8の各方向毎に各スリット内の濃淡値
の平均値を求める。ステップ2では、各方向毎にこの平
均値の差の最大を求め、ステップ3でこの平均値の差の
最大値が最も大きい方向を隆線方向とする。つまり、図
10(c)のように隆線方向とおおよそ平行にスリット
が設定される方向では、この棒グラフの最大と最小の差
が他の方向に比較して最も大きくなるので、このような
方向を隆線方向と決定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、離散化した各方向毎に複数のスリットを設定
し、そのスリット内の濃淡値から平均値を算出し、スリ
ット毎の平均値の差の最大を求めるという処理を行うた
めに、処理が複雑で且つ演算量が多くなる。
【0005】従って、本発明では、演算量が少なく単純
な処理によって精度良く隆線方向を抽出することができ
る隆線方向抽出装置を提供することを目的とする。さら
に、特願平4−18589に記載されている隆線方向の
平滑化などで必要となる出力した隆線方向の信頼度を出
力することができる隆線方向抽出装置を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明の隆線方向抽
出装置は、皮膚紋様画像を記憶する画像記憶手段と、前
記画像記憶手段に記憶される皮膚紋様画像から予め設定
した各点において勾配ベクトルを算出する勾配ベクトル
算出手段と、前記勾配ベクトル算出手段によって算出さ
れた勾配ベクトルを記憶する勾配ベクトル記憶手段と、
予め設定した画像の各局所領域毎に、該局所領域に含ま
れる前記勾配ベクトルの分布の分散共分散行列の固有値
のうち、小さい方の固有値に対応する固有ベクトルの方
向を該局所領域における皮膚紋様の隆線方向として算出
し出力する分布解析手段を具備することを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】第の発明の隆線方向抽出装置は、皮膚紋
様画像を記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に
記憶される皮膚紋様画像から予め設定した各点において
勾配ベクトルを算出する勾配ベクトル算出手段と、前記
勾配ベクトル算出手段によって算出された勾配ベクトル
を記憶する勾配ベクトル記憶手段と、予め設定した画像
の各局所領域毎に、該局所領域に含まれる前記勾配ベク
トルの分布の原点周りの二次モーメント行列の固有値の
うち、小さい方の固有値に対応する固有ベクトルの方向
を該局所領域における皮膚紋様の隆線方向として算出し
出力する分布解析手段を具備することを特徴とする。
【0010】第の発明の隆線方向抽出装置は、第
発明の隆線方向抽出装置において、予め設定した画像の
各局所領域毎に、該局所領域に含まれる前記勾配ベクト
ルの分布の分散共分散行列の二つの固有値を用いて、該
局所領域における隆線方向の信頼度をも合わせて算出し
出力する分布解析手段を具備することを特徴とする隆線
方向抽出装置。
【0011】第の発明の隆線方向抽出装置は、第
発明の隆線方向抽出装置において、予め設定した画像の
各局所領域毎に、該局所領域に含まれる前記勾配ベクト
ルの分布の原点周りの二次モーメント行列の二つの固有
値を用いて、該局所領域における隆線方向の信頼度をも
隆線方向と合わせて算出し出力する分布解析手段を具備
することを特徴とする隆線方向抽出装置。
【0012】
【作用】以下、本発明の作用について説明する。
【0013】第1、2、3及び4の発明では、画像の勾
配ベクトルの局所的な分布に基づいて隆線方向を決定す
る。画像の勾配ベクトルを求めるためには、例えば画像
の水平微分と垂直微分を計算すればよく、従来技術にお
いて設定していた各方向毎のスリットなどを設定する必
要が無く非常に単純な処理となる。例えば、図2(a)
は皮膚紋様画像のある局所領域の一例を表しているが、
このような画像の各点における勾配ベクトルの向きは、
図2(b)のように隆線方向とおおよそ直交するように
なる。勾配ベクトル算出手段では、画像記憶手段に記憶
された皮膚紋様画像から予め設定した画像の各点におい
て前述したような勾配ベクトルを算出し、勾配ベクトル
記憶手段に記憶する。図2(b)に対応する勾配ベクト
ルの分布は、図2(c)のように各勾配ベクトルの水平
成分の大きさをx軸に対応させ、垂直成分をy軸に対応
させプロットすると隆線方向と直交する方向にその主軸
を持つことが分かる。従って、分布解析手段において、
予め設定した局所領域毎に勾配ベクトル記憶手段に記憶
された勾配ベクトルの分布を解析し、主軸方向と直交す
る方向を隆線方向とすれば隆線方向を決定することがで
きる。つまり、従来必要であった方向毎のスリットの設
定およびそのスリットに従った演算が不必要となること
から、従来方法に比較して演算が単純となり少ない演算
量で処理を行うことが可能となる。
【0014】勾配ベクトルの求め方として、例えば、勾
配ベクトルの二つの成分を隆線ピッチを考慮した微分オ
ペレータを用いて算出することができる。これによっ
て、隆線方向の抽出に対して効果的な方向微分を計算す
ることができる。
【0015】以下、この勾配ベクトルの求め方について
説明する。いま、隆線紋様をf(x,y)と表記する
と、勾配ベクトルgradf(x,y)は、次式によっ
て表すことができる。
【0016】
【数1】
【0017】ディジタル画像において、x方向の微分
【0018】
【外1】
【0019】やy方向の微分
【0020】
【外2】
【0021】を計算する微分オペレータには、様々なも
のがある。最も単純な場合が図3に示すような二つのカ
ーネルを画像に対して畳み込む演算を微分オペレータと
する場合である。これは隆線ピッチを考慮して設計され
ている微分オペレータではないが、例えばこの最も単純
な微分演算オペレータを基礎にして発明を適用する
と、微分オペレータは図4のようなカーネルを用いる畳
み込み演算となる。ここで、図4のΔhは隆線ピッチに
対応するように設定されるパラメータである。ここで、
このパラメータの設定を隆線ピッチに対応させることに
よって、隆線方向抽出により好ましい勾配ベクトルの算
出が可能となることについて説明する。
【0022】ここで局所的な隆線紋様f(x,y)を次
式のように平面波とノイズの重畳で近似表現できると仮
定する。
【0023】 f(x,y)=sin(ωx x+ωy y)+n(x,y) (2) ここで、n(x,y)はガウス雑音とし、平面波sin
(ωx x+ωy y)を本来あるべき隆線の紋様であると
する。また、図5に示すような皮膚紋様の隆線ピッチ
T、隆線と平面波の方向φおよび隆線の周波数ω、
ωx 、ωy の関係は、式3の通りである。
【0024】
【数2】
【0025】図4に示すカーネルによる微分オペレータ
を用いる場合、各点における勾配ベクトルは次式によっ
て表される。
【0026】
【数3】
【0027】ベクトルSは、式2において本来ノイズが
なければ得られる勾配ベクトルの信号成分であり、ベク
トルNはノイズ成分である。従って、信号/雑音の比‖
S‖/‖N‖を大きくするようにΔhを決めれば、ノイ
ズの影響を受け難い勾配ベクトルを算出することができ
る。ここで、ベクトルNは、Δhに対してガウス雑音的
に振る舞い、勾配ベクトルを算出する点の座標(x,
y)に対し平均的にはΔhに本質的に依存することなく
一定の値となる。従って信号成分の大きさ‖S‖をでき
るだけ大きくなるようにΔhを決めることで、信号/雑
音の比に優れた勾配ベクトルを得ることができる。
【0028】ここで、‖S‖2 は次式のように書き表さ
れる。
【0029】 ‖S‖2 =4cos2 α(sin(ωx Δh)+sin2 (ωy Δh) =4cos2 α(1−cos((ωx +ωy )Δh)cos((ωx −ωy )Δh)) (9) 式3から上式は次のように書き換えられる。
【0030】 ‖S‖2 =4cos2 α(1−cos((cosφ+sinφ)ωΔh)co s((cosφ−sinφ)ωΔh (10) 式10の‖S‖をφ、ωΔhの関数と考えて、これらの
変数φ、ωΔhに対して濃淡値付の等高線表示すると、
図6に示す図が得られる。ここで、濃淡値が明るいほど
‖S‖の値が大きいことを示している。この図から平面
波の方向φに対する依存性が低く、且つ‖S‖が大きく
なるように、ωΔhを定めるならば、ωΔhがおおよそ
1.0〜2.0程度の値となるようにすればよい。従っ
てΔhは次式によって示される値に設定する。
【0031】
【数4】
【0032】隆線ピッチTは皮膚紋様画像から実際に計
測するか、あるいはΔhを変化させてもっとも良い方向
抽出精度が得られるようなΔhを実験的に定めればよ
い。このように、皮膚紋様の隆線ピッチに対応するよう
に設計したΔhを用いることによって信号/雑音の比‖
S‖/‖N‖を高めることができ、隆線抽出の精度を向
上させることができる。ここで、図4のカーネルについ
て述べた隆線ピッチに対応させたカーネルの設計はあく
までも例であって、他の方向微分のための微分オペレー
タを設計する場合にも隆線ピッチに対応するように微分
オペレータを設計することで、隆線方向抽出に必要な勾
配ベクトルの算出を精度良く行うことができる。
【0033】第1の発明の分布解析手段は、局所領域に
含まれる勾配ベクトルの分布の解析および隆線方向の決
定を効果的に行うものである。分布の主軸を求める方法
として、文献(高木他監修、『画像解析ハンドブッ
ク』、東京大学出版会、pp.40−42)に示される
主成分分析を用いている。
【0034】つまり、ある局所領域をCとしたときに、
次式に示される行列Vがその局所領域Cに対する勾配ベ
クトルの分布の分散共分散行列となる。
【0035】
【数5】
【0036】この行列Vの小さい方の固有値に対応する
固有ベクトルの軸(第2主軸)は分布の主軸(第1主
軸)と直交する方向となる。従って、この第2主軸方向
を隆線方向として出力すれば、勾配ベクトルの分布の主
軸方向と直交する隆線の方向を出力することができる。
【0037】第2の発明の分布解析手段も、第1の発明
と同様に局所領域に含まれる勾配ベクトルの解析を効果
的に行うものの一つであり、第の発明に比較して高速
に演算することが可能となる。
【0038】式14の分散共分散行列は、勾配ベクトル
の平均
【0039】
【外3】
【0040】の周りの二次モーメント行列である。隆線
が周期的な紋様を成していることから、局所領域の大き
さをある程度大きくすると、この平均の勾配ベクトルは
漸近的に大きさが0のベクトルとなっていく。従って予
めこのベクトル成分を0であると仮定すれば、次式の行
列を得ることができる。
【0041】
【数6】
【0042】この行列を求める演算は、式14の分散共
分散行列を求める演算よりも単純であり高速に演算を行
うことができる。二次モーメント行列の二つの固有値の
うち、小さい方の固有値に対応する固有ベクトルの方向
を隆線方向として出力することで、ほぼ第の発明と同
様の隆線の方向を算出することができる。
【0043】第3、第4の発明は、それぞれ第1、第2
の発明の隆線抽出装置の分布解析手段において、隆線方
向に加えて、さらに隆線方向の信頼度を出力する。隆線
方向の信頼度は、本発明によって出力した隆線方向を例
えば特願平4−18589に記載されている『隆線方向
パターン平滑化方法およびその装置』などを用いて隆線
方向を平滑化する場合などにおいて重要である。本発明
では、第1の発明および第2の発明における行列の固有
値を用いて隆線方向の信頼度をも隆線方向と合わせて出
力する。例えば、前記の行列Vや行列Mの固有値を
λ1、λ2(λ1 >λ2 )として、固有値λ1 に対応する
固有ベクトルをe1 、固有値λ2に対応する固有ベクト
ルをe2 とする。
【0044】大きい方の固有値λ1 が大きければ大きい
ほど、それに対応する固有ベクトルe1 の方向への画像
の勾配ベクトルが大きいことがわかる。これは隆線の像
がつぶれていたり、かすれておらず、隆線像がはっきり
していることを示している。また、ノイズが多い画像で
は勾配ベクトルの向きがばらつくため勾配ベクトルの向
きはばらつき、その固有値λ1 、λ2 の大きさの差は小
さくなる。このようなことから、第3、第4の発明で
は、例えば次式のような値を隆線方向の信頼度Rとして
出力する。
【0045】
【数7】
【0046】この信頼度Rは、隆線像がはっきりしてお
り、ノイズが少ない場合には、大きな値を示し、出力さ
れる隆線方向の信頼度が高いことを示す。逆に隆線像が
はっきりせず、ノイズが多い場合には、信頼度Rは、小
さい値となり、出力される隆線方向の信頼度が低いこと
を示す。このように第3の発明あるいは第4の発明を用
いることによって各局所領域毎に隆線方向の抽出に対す
る信頼度を付加できるようになる。
【0047】
【実施例】本発明による実施例1について図面を参照し
て説明する。図1は第1の発明による隆線方向抽出装置
の一実施例を示すブロック図である。
【0048】図1を参照すると、本発明の実施例は、指
紋画像などの皮膚紋様画像を記憶する画像記憶手段11
と、画像記憶手段11に記憶された画像の勾配ベクトル
を算出する勾配ベクトル算出手段12と、勾配ベクトル
算出手段12によって算出された勾配ベクトルを記憶す
る勾配ベクトル記憶手段13と、勾配ベクトル記憶手段
13に記憶された勾配ベクトルの分布から隆線方向を決
定し出力する分布解析手段14とから構成される。
【0049】画像記憶手段11は、スキャナやテレビカ
メラなどの入力装置を用いて撮像された指紋などの皮膚
紋様などのディジタル画像をハードディスクやDRAM
などを用いて記憶する。以下では、記憶される画像デー
タが画像サイズ512×512画素のデータである場合
を例に説明する。以下、この画像を画像f(x,y)
(x=1,…,512;y=1,…,512)と表記す
る。画像記憶手段11に記憶された画像f(x,y)
は、勾配ベクトル算出手段12に提供される。勾配ベク
トル算出手段12では、提供された画像f(x,y)の
各点における勾配ベクトルgradf(x,y)=(f
x (x,y),fy (x,y))を算出する。ここでf
x (x,y)、fy (x,y)は、それぞれf(x,
y)のx方向の微分とy方向の微分を表す。この微分演
算は、実際にはx方向の画素値の差分、y方向の画素値
の差分の演算によって実施される。例えば画像全体の各
画素点において勾配ベクトルを算出する場合には、例え
ば図3(a)、(b)に示す二つのカーネルを画像f
(x,y)に対してそれぞれ畳み込み演算することによ
って実現できる。図3(a)の畳み込み演算は、画像の
x方向の微分を意味しており、図3(b)の畳み込み演
算は、画像のy方向の微分を意味している。つまり、図
3(a)、(b)に示す二つのカーネルの畳み込みによ
って得られる結果は、それぞれfx (x,y),f
y (x,y)を表しており、上記の演算により画像全体
に亘る各画素点における勾配ベクトルgradf(x,
y)を算出できていることが分かる。
【0050】なお、画像が低品質でノイズの影響が大き
い場合には、図8(a),(b)に示すカーネルを用い
たソーベル(Sobel)微分などを用いてもよい。
【0051】また、勾配ベクトル算出手段12におい
て、皮膚隆線のピッチに対応するように設計した方向微
分のための微分オペレータを用いることもできる。
【0052】例えば、皮膚紋様を20画素/mm程度の解
像度でサンプリングしたディジタル画像の場合には、図
7(a)、(b)に示すカーネルによる畳み込み演算を
微分オペレータとして用いる。つまり、この二つのカー
ネルと画像記憶手段11に記憶された画像との畳み込み
をそれぞれ行い、得られた勾配ベクトルを勾配ベクトル
記憶手段13に記憶する。
【0053】これにより、信号/雑音の比に優れたより
良好な結果が得られる。また、式21、式22に示す関
数k 1 (x,y),k 2 (x,y)により規定されるカ
ーネルのα 1 ,α 2 のパラメータを隆線ピッチに対応す
るようにしたものを用いて微分を行っても良い。
【0054】 1 (x,y)=G(x,y;σ 1 )sin(α 1 x)(21) 2 (x,y)=G(x,y;σ 2 )sin(α 2 y)(22) なお、G(x,y,;σ)はガウス関数で、σ 1 ,σ
2 ,α 1 ,α 2 は実験的に定める。
【0055】勾配ベクトル記憶手段13は、DRAMな
どを用いて構成され、勾配ベクトル算出手段12によっ
て得られる勾配ベクトルのx成分f X (x,y)とy成
分f Y (x,y)を記憶する。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】第1の発明の実施例1においては、分布解
析手段14は主成分分析を利用した方法を用いて隆線方
向を出力する。
【0063】まず、勾配ベクトル記憶手段13に記憶さ
れる勾配ベクトルfx (x,y)、fy (x,y)を用
いて、隆線方向を出力する各局所領域において式14に
示される分散共分散行列Vを求める。
【0064】次に、得られた結果を用いて各局所領域毎
に式14に示される行列の固有値・固有ベクトルを求
め、隆線方向を算出し出力する。ここで得られる固有値
をλ1,λ2 (λ1 >λ2 )として、固有値λ1 に対応
する固有ベクトルをe1 、固有値λ2 に対応する固有ベ
クトルをe2 とする。式23の表記を用いると、これら
の値は式24〜式27で表される。
【0065】
【数10】
【0066】従って、小さい方の固有値λ2 に対応する
固有ベクトルe2 の方向θを0≦θ<πの範囲で式28
により計算する。
【0067】
【数11】
【0068】この結果得られる方向θをその局所領域に
おける隆線方向として出力する。
【0069】第2の発明を用いた実施例2について説明
する。実施例2では、実施例1で用いた式14の分散共
分散行列Vの代わりに、第2の発明による式16の分布
の原点周りの二次モーメント行列Mを用いた分布解析手
段14を適用する。これにより、より少ない演算量で演
算を行うことが可能となる。
【0070】つまり、勾配ベクトル記憶手段13に記憶
される勾配ベクトルfx (x,y)、fy (x,y)を
用いて、隆線方向を出力する各局所領域において式16
に示される原点周りの二次モーメント行列Mを求める。
得られた行列Mの各要素を式29のようにおく。
【0071】
【数12】
【0072】それ以降の処理は、実施例1と同様に処理
を行い隆線方向を局所領域毎に出力する。
【0073】第3の発明もしくは第4の発明を用いた
施例3について説明する。実施例3では実施例1もしく
は実施例2の隆線方向抽出装置の分布解析手段14にお
いて、局所領域毎の隆線方向の出力に加えて、各局所領
域毎の隆線方向に対する信頼度をも出力するものであ
る。
【0074】第3の発明を用いた場合には式14の分散
共分散行列V、第4の発明を用いた場合には式16の二
次モーメント行列Mの固有値である式24の固有値λ1
および式25の固有値λ2 を用いて隆線に対する信頼度
Rを例えば次式により算出する。
【0075】
【数13】
【0076】また、信頼度の値の範囲[0,1]のよう
に限定したい場合には、例えば次式に従って信頼度Rを
算出してもよい。
【0077】
【数14】
【0078】
【発明の効果】本発明を用いることで、高速で且つノイ
ズに対して頑強な皮膚紋様の隆線方向特徴の抽出を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の作用を説明するための図である。
【図3】本発明の作用および実施例を説明するための図
である。
【図4】本発明の作用を説明するための図である。
【図5】本発明の作用を説明するための図である。
【図6】本発明の作用を説明するための図である。
【図7】本発明の実施例を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例を説明するための図である。
【図9】従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】 11 画像記憶手段 12 勾配ベクトル算出手段 13 勾配ベクトル記憶手段 14 分布解析手段

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膚紋様画像を記憶する画像記憶手段と、
    前記画像記憶手段に記憶される皮膚紋様画像から予め設
    定した各点において勾配ベクトルを算出する勾配ベクト
    ル算出手段と、前記勾配ベクトル算出手段によって算出
    された勾配ベクトルを記憶する勾配ベクトル記憶手段
    と、予め設定した画像の各局所領域毎に、該局所領域に
    含まれる前記勾配ベクトルの分布の分散共分散行列の固
    有値のうち、小さい方の固有値に対応する固有ベクトル
    の方向を該局所領域における皮膚紋様の隆線方向として
    算出し出力する分布解析手段を具備することを特徴とす
    る隆線方向抽出装置。
  2. 【請求項2】皮膚紋様画像を記憶する画像記憶手段と、
    前記画像記憶手段に記憶される皮膚紋様画像から予め設
    定した各点において勾配ベクトルを算出する勾配ベクト
    ル算出手段と、前記勾配ベクトル算出手段によって算出
    された勾配ベクトルを記憶する勾配ベクトル記憶手段
    と、予め設定した画像の各局所領域毎に、該局所領域に
    含まれる前記勾配ベクトルの分布の原点周りの二次モー
    メント行列の固有値のうち、小さい方の固有値に対応す
    る固有ベクトルの方向を該局所領域における皮膚紋様の
    隆線方向として算出し出力する分布解析手段を具備する
    ことを特徴とする隆線方向抽出装置。
  3. 【請求項3】請求項に記載の隆線方向抽出装置におい
    て、予め設定した画像の各局所領域毎に、該局所領域に
    含まれる前記勾配ベクトルの分布の分散共分散行列の二
    つの固有値を用いて、該局所領域における隆線方向の信
    頼度をも合わせて算出し出力する分布解析手段を具備す
    ることを特徴とする隆線方向抽出装置。
  4. 【請求項4】請求項に記載の隆線方向抽出装置におい
    て、予め設定した画像の各局所領域毎に、該局所領域に
    含まれる前記勾配ベクトルの分布の原点周りの二次モー
    メント行列の二つの固有値を用いて、該局所領域におけ
    る隆線方向の信頼度をも隆線方向と合わせて算出し出力
    する分布解析手段を具備することを特徴とする隆線方向
    抽出装置。
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