JP2725513B2 - エポキシ樹脂封止材 - Google Patents

エポキシ樹脂封止材

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JP2725513B2 JP3301492A JP3301492A JP2725513B2 JP 2725513 B2 JP2725513 B2 JP 2725513B2 JP 3301492 A JP3301492 A JP 3301492A JP 3301492 A JP3301492 A JP 3301492A JP 2725513 B2 JP2725513 B2 JP 2725513B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSI、超LSI等の
高集積半導体素子を保護するために用いられるエポキシ
樹脂封止材に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI、超LSI等の大型の半導体チッ
プを保護するために用いられるエポキシ樹脂封止材で
は、封止後の製品にかかる熱応力により半導体チップあ
るいは封止材の硬化物が損傷を受けることを防止するた
めに、硬化物の熱膨張率を半導体チップの原料であるシ
リコンの熱膨張率に近づけること、すなわち、低熱膨張
率にすることが要求されている。また、この用途の封止
材はトランスファー成型のプロセスで使用されるので、
溶融した封止剤が金型内を充分に充填するように良好な
流動性を持つことと、半導体チップとリードフレームを
つなぐワイヤーが変形しないように封止剤の溶融粘度が
低いことが必須となっている。
【0003】エポキシ樹脂封止材の硬化物の低熱膨張率
化のためには、エポキシ樹脂封止材中に熱膨張率の小さ
い非晶質シリカ(アモルファスシリカともいう)粉末を
できるだけ多量に含有させることが有効であるが、非晶
質シリカ粉末の含有率を上げると封止材の溶融粘度が指
数関数的に上昇し、それにつれて流動性も著しく低下す
るという問題が生じる。従って、非晶質シリカ粉末の含
有率が高くて、且つ、封止材の溶融粘度が低く、流動性
が良好に保たれている封止剤の開発が望まれている。こ
の要求に対して、溶融粘度の低いエポキシ樹脂や硬化剤
を使用することや、シリカ粉末に工夫を加えることが検
討されている。シリカ粉末についての工夫としては、球
状シリカ粉末を使用したり、連続粒度分布で最密充填状
態を与えるフューラー(Fuller)やアンドレーゼン(An
dreasen )などの経験式を基本に粒度分布関数のパラメ
ーターに着目して粒度分布の幅を広くしたり、無機粉末
充填材のタッピング充填特性を利用したものがあるが、
いまだ、非晶質シリカ粉末の含有率が高くて、且つ、溶
融粘度が低く、流動性が良好に保たれている封止剤は得
られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑み、本
発明が解決しようとする課題は、従来、エポキシ樹脂封
止材の硬化物の低熱膨張率化を達成しようとすると、封
止材の溶融粘度が上昇し、それにつれて流動性も低下す
るという問題点を解決することである。すなわち、本発
明は溶融粘度が低く、流動性が良好に保たれている封止
剤であって、その硬化物の熱膨張率が低い封止剤を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、非晶質シリカ
粉末、エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤及び硬化促進
剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂封止材におい
て、前記の非晶質シリカ粉末として、非晶質シリカ粉末
のみを300kg/cm 2 で圧縮成形して成形体とした
際に、圧縮成形前の非晶質シリカ粉末の平均粒子径が圧
縮成形後も保持され、且つ、前記成形体における非晶質
シリカ粉末の体積分率が78%以上である非晶質シリカ
粉末を、エポキシ樹脂封止材の全重量に対して80重量
%以上含有していることを特徴とするエポキシ樹脂封止
材である。
【0006】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本
発明のエポキシ樹脂封止材に使用する非晶質シリカ粉末
とは結晶構造をもたないシリカ粉末のことで、石英を溶
融して作られるシリカ粉末や合成法で作られるシリカ粉
末等があり、その形状については破砕状や、球状等の種
類がある。
【0007】本発明で使用するエポキシ樹脂は1分子内
にエポキシ基を2個以上有する化合物であって、例えば
フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキ
シ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂などがある。
【0008】また、本発明で使用するフェノール系硬化
剤はSP2タイプの電子軌道を持つ、炭素原子6個から
形成される6員環に水酸基が1個以上結合した原子団を
持つ化合物であり、例えばフェノールノボラック樹脂及
びその誘導体、クレゾールノボラック樹脂及びその誘導
体、フェノールとジシクロペンタジエンの共重合体、ヒ
ドロキシスチレン及びその誘導体の重合体、モノ又はジ
ヒドロキシナフタレン及びその誘導体のモノマー又は重
合体などがある。
【0009】また、本発明で使用する硬化促進剤として
は、例えばトリフェニルフォスフィン及びその誘導体、
ジアザビシクロウンデセン及びその誘導体、イミダゾー
ル及びその誘導体等が挙げられる。
【0010】次に、本発明で使用する非晶質シリカ粉末
の性質として取り上げている、「圧縮成形して得られる
成形体における非晶質シリカ粉末の体積分率」について
説明する。非晶質シリカ粉末として使用するn種(nは
1以上の整数)の非晶質シリカ粉末のそれぞれの真比重
をdi 、各非晶質シリカ粉末のそれぞれの配合重量をw
i (i は1〜nの中の整数)とした場合の非晶質シリカ
粉末全体の真比重dは下記の式(A)で算出される値と
なる。なお、ボイドの無い状態での非晶質シリカの真比
重は一般に2.21であるが、非晶質シリカ粉末では粒子内
部にボイド等の欠陥を有する場合があり、非晶質シリカ
粉末の真比重としては2.21未満の場合もある。 d=Σwi /Σ(wi /di ) −−−−(A) そして、圧縮成形して得られる成形体における非晶質シ
リカ粉末の体積分率Pは、非晶質シリカ粉末Wグラムを
圧縮して得られる成型体の体積Vccから下記の式
(B)で算出される値である。 P=100(W/d)/V −−−−(B) そして、本発明では、体積分率Pを測定するために行う
非晶質シリカ粉末の圧縮成形の成形圧力は、300kg
/cm 2 に限定している。そして、本発明で使用する非
晶質シリカ粉末は、圧縮成形前の非晶質シリカ粉末の平
均粒径が圧縮成形後も保持されるものである。
【0011】本発明のエポキシ樹脂封止材は、上記の圧
力及び計算式を用いて得られる体積分率Pが78体積%
以上である非晶質シリカ粉末を80重量%以上含んでい
ることが重要である。なぜならば、体積分率Pが78体
積%未満である非晶質シリカ粉末を用いた場合にはエポ
キシ樹脂封止材の溶融粘度が上昇して、流動性について
の問題が生じ、また、非晶質シリカ粉末の含有率が80
重量%未満である場合にはエポキシ樹脂封止材の硬化物
の低熱膨張率化について、4メガビット・ダイナミック
・ランダム・アクセス・メモリーのクラスの超LSI用
の封止材に要求される線膨張率1.5 ×10-5/℃以下のレ
ベルを達成するのが困難であるという問題が生じるから
である。
【0012】そして、本発明のエポキシ樹脂封止材にお
いて、前記の体積分率Pが80体積%以上である非晶質
シリカ粉末を83重量%以上含有するようにしたもの
は、硬化物の低熱膨張率化について、16メガビット・
ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリーのクラス
の超LSI用の封止材に要求される線膨張率1.2 ×10-5
/℃未満のレベルを達成し、且つ、エポキシ樹脂封止材
の溶融粘度が低く、流動性についての問題が生じないこ
とも見出した。
【0013】なお、本発明のエポキシ樹脂封止材におい
ては、前記の必須成分の他に、必要に応じて離型剤、難
燃剤、顔料等を添加するようにしても構わない。
【0014】
【作用】非晶質シリカ粉末を圧縮成形して得られる成形
体における非晶質シリカ粉末の密な充填状態は、流動可
能な状態にある封止材中の非晶質シリカ粉末の充填状態
に近似している。そして、成形体における非晶質シリカ
粉末の体積分率Pが大きいということは、成形体中に残
っている空隙が小さいことを意味している。この空隙部
分を液状成分で埋めた複合材を考えると、液状成分の体
積が空隙部分の体積と等しいか又は小さい場合には、粒
子同士の接触により複合材全体の変形が妨げられ、全く
流動しないものとなり、一方、液状成分の体積が空隙部
分の体積よりも大きい場合には、粒子は液状成分により
隔てられるので、粒子はある程度自由に動くことが可能
であり、複合材全体としては変形可能、つまり流動可能
な状態となる。従って、非晶質シリカ粉末の含有率が同
じ封止材では、体積分率Pが大きい非晶質シリカ粉末を
使用することは、エポキシ樹脂封止材の流動性を良く
し、流動状態の粘度を低くする働きをする。
【0015】そして、非晶質シリカ粉末の含有率が80
重量%以上となるように高充填化されたエポキシ樹脂封
止材では、上記の非晶質シリカ粉末の体積分率Pが78
%以上であることがエポキシ樹脂封止材の粘度を低く保
持して、流動性を良好に保つのに有効であり、また、非
晶質シリカ粉末の含有率が83重量%以上となるよう
に、さらに高充填化されたエポキシ樹脂封止材では、上
記の非晶質シリカ粉末の体積分率Pが80%以上である
ことがエポキシ樹脂封止材の粘度を低く保持して、流動
性を良好に保つのに有効である。
【0016】なお、熱膨張率が低いという好ましい性質
を有する非晶質シリカ粉末の含有率を高めることは、当
然のことながら、硬化物の低熱膨張率化をする働きをす
るものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。勿
論、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0018】非晶質シリカ粉末として、下記の3種類を
以下の実施例及び比較例において使用した。 非晶質シリカ粉末S−1────電気化学工業(株)製
のFB74を空気分級して得られた平均粒径35μmの
シリカ粉末 非晶質シリカ粉末S−2────電気化学工業(株)製
のFB74を空気分級して得られた平均粒径10μmの
シリカ粉末 非晶質シリカ粉末S−3────電気化学工業(株)製
のFB74を空気分級して得られた平均粒径2μmのシ
リカ粉末 (実施例1〜4及び比較例1〜) 前記の3種類の非晶質シリカ粉末を表1に示した混合量
(重量部)で混合し、混合シリカ粉末を得た。この混合
シリカ粉末を圧縮成型し、得られた成型体における混合
シリカ粉末の体積分率P(体積%)を測定し、その結果
を表1に示した。なお、混合シリカ粉末の圧縮成型は3
00kg/cm2 の圧力で単軸加圧により行い、円筒状
の成形体を得るようにした。得られた成型体を解砕して
圧縮成型後の粉末の平均粒径を測定した結果、成型に供
した粉末の平均粒径の測定結果と同じであったので、こ
の圧力では圧縮成型による粒子の破壊は生じていないと
いえる。また、圧縮成型して得られる成型体における混
合シリカ粉末の体積分率Pは成型体の直径と厚みから算
出される成型体の体積Vと重量W及び混合シリカ粉末の
真比重dからすでに述べた式(B)で算出した。
【0019】次いで、混合シリカ粉末、エポキシ樹脂、
硬化剤、硬化促進剤及び離型剤をそれぞれ表1に示す配
合量(重量部)で配合し、混合してエポキシ樹脂封止材
を作製した。なお、エポキシ樹脂としてはビフェニル型
エポキシ樹脂である油化シェル(株)製のエポキシ樹脂
YX−4000を、硬化剤としてはフェノール系硬化剤
である日本化薬(株)製のナフタレンノボラック樹脂O
CN7000を、硬化促進剤しては北興化学(株)製の
トリフェニルフォスフィンを、離型剤としては天然カル
ナバワックスをそれぞれ使用し、また、エポキシ樹脂封
止材の作製は、各原料を配合したものを90℃のミキシ
ングロールで10分間混練後、室温まで冷却し、粉砕す
る方法を取った。
【0020】得られたエポキシ樹脂封止材の溶融粘度を
島津製作所(株)製のフローテスターを用いて、温度1
75℃、荷重10kgの条件で測定し、その結果を表1
に示す。また、上記のようにして得られたエポキシ樹脂
封止材を成型温度170℃でトランスファー成型した
後、175℃、6時間のアフターキュアーを行い硬化物
である成形品を得た。この成形品の50〜100℃の範
囲の熱膨張率(線膨張率)をTMA装置を用いて測定
し、その結果を同じく表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1の測定結果の比較から明らかなよう
に、体積分率Pが78%以上ある非晶質シリカ粉末を8
0重量%以上含んでいる実施例1〜4の封止材は、溶融
粘度が低く、流動性についての問題がなく、且つ、得ら
れた成形品の熱膨張率(線膨張率)が、4メガビット・
ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリーのクラス
の超LSI用の封止材に要求される1.5 ×10-5/℃以下
のレベルを達成している。そして、前記の体積分率Pが
80体積%以上である非晶質シリカ粉末を83重量%以
上含有している実施例4の封止材は、得られる成形品の
熱膨張率(線膨張率)が、16メガビット・ダイナミッ
ク・ランダム・アクセス・メモリーのクラスの超LSI
用の封止材に要求される1.2 ×10-5/℃未満のレベルを
達成し、且つ、封止材の溶融粘度も低く、流動性につい
ての問題が生じないことを確認できた。
【0023】一方、体積分率Pが78%未満の非晶質シ
リカ粉末を用いているか、又は非晶質シリカ粉末を80
重量%未満しか含有していない比較例1〜5の封止材で
は、溶融粘度が 500ポイズ以上と高く、流動性について
の問題、又は、得られた成形品の熱膨張率(線膨張率)
が、4メガビット・ダイナミック・ランダム・アクセス
・メモリーのクラスの超LSI用の封止材に要求される
1.5 ×10-5/℃以下のレベルを達成していないという熱
膨張率についての問題があるという結果であった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、従来、エポキシ樹脂封
止材の硬化物の低熱膨張率化を達成しようとすると、封
止材の溶融粘度が上昇し、それにつれて流動性も低下す
るという問題点が解決でき、溶融粘度が低く、流動性が
良好に保たれている封止剤であって、その硬化物の熱膨
張率が低いエポキシ樹脂封止剤を提供することができ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質シリカ粉末、エポキシ樹脂、フェ
    ノール系硬化剤及び硬化促進剤を必須成分として含有す
    るエポキシ樹脂封止材において、前記の非晶質シリカ粉
    末として、非晶質シリカ粉末のみを300kg/cm 2
    で圧縮成形して成形体とした際に、圧縮成形前の非晶質
    シリカ粉末の平均粒子径が圧縮成形後も保持され、且
    つ、前記成形体における非晶質シリカ粉末の体積分率が
    78%以上である非晶質シリカ粉末を、エポキシ樹脂封
    止材の全重量に対して80重量%以上含有していること
    を特徴とするエポキシ樹脂封止材。
  2. 【請求項2】 非晶質シリカ粉末のみを300kg/c
    2 で圧縮成形して成形体とした際に、圧縮成形前の非
    晶質シリカ粉末の平均粒子径が圧縮成形後も保持され、
    且つ、前記成形体における非晶質シリカ粉末の体積分率
    が80%以上である非晶質シリカ粉末を、エポキシ樹脂
    封止材の全重量に対して83重量%以上含有しているこ
    とを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂封止材。
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