JP2725275B2 - 汎用移動体通信／測位装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、地上系／衛星系のいずれの通信網／測位網
にも接続することができる汎用移動体通信／側位装置に
関する。

（従来の技術） 近年の情報化社会の発展は移動通信の需要を増大させ
ている。例えば、我国における地上系の移動通信網であ
る自動車電話網はその利用が都市に限定されるという難
点があるも、加入者数は既に10万を越えている。また、
衛星系の移動通信網であるインマルサット（INMARSAT）
システムは世界の到る所を航行する5000隻に上る船舶に
通信サービスを提供している。一方、移動体にとって自
己の地理的位置を測定する測位も重要であり、地上系の
測位システムであるロラン（LORAN）−Ｃシステムは我
国だけでも３万隻以上の漁船に利用されている。そし
て、地上系の測位システムの利用できる地域が限定され
るという難点を克服し全地球的な測位を可能にする衛星
系の測位システムとしてGPS（Global Positionning Sys
tem）網の構築が米国において進められていることは周
知の通りである。このGPS網が完成すれば地球上到る所
で10m程度の精度で測位ができ理想的な測位システムが
実現するとして期待されている。

これらの通信網／測位網は地上系と衛星系と相互に無
関係に発展したもので、これらを利用する移動体の通信
装置は例えば第５図および第６図に示すように構成され
る。第５図において、従来の移動体通信装置は、地上系
（同図（ａ））も衛星系（同図（ｂ））も同一構成から
なり、アンテナ１′（１）と、高周波部２′（２）と、
受信IF部41′（41）および送信IF部51′（51）と、復調
器42′（42）および変調器52′（52）と、ベースバンド
処理部６′（６）と、キーボードおよび表示器付のコン
ピュータ７′（７）と、送受話器８′（８）とで基本的
に構成される。

また、第６図において、GPS受信装置には単一受信型
のもの（同図（ａ））と複数受信型のもの（同図
（ｂ））とがある。単一受信型のものは、アンテナ１
と、低雑音受信機21と、拡散変調復調器412と、データ
復調器42と、ベースバンド処理部６と、キーボードおよ
び表示器付のコンピュータ７とを備える。また、複数受
信型のものは、アンテナ１と、低雑音受信機21と、分岐
器45と、拡散変調復調器412−1,同412−２と、データ復
調器42−1,同42−２と、ベースバンド処理部６−1,同６
−２と、キーボードおよび表示器付のコンピュータ７と
を備える。

さらに、第７図は３個の通信衛星を用いる測位／通信
システムの構成例を示す。第７図において、101,102,10
3は通信衛星、104は基地局、105は移動体である。測位
の原理は、移動体105と３個の通信衛星（101〜103）間
の距離差を信号伝搬時間差として測定し、よく知られた
双曲線図法に基づいて位置決定を行うことである。この
位置決定は前記ベースバンド処理部が復調信号について
行った信号処理の結果情報に基づいてコンピュータ７が
測位演算を行うことで行われる。コンピュータ７はその
演算結果を表示器に表示し、当該移動体の位置等をユー
ザに知らしめるのである。この測位の原理は第５図およ
び第６図に示す装置に共通することである。

コンピュータ７に備えるキーボードは測位の実行等所
要の指令入力や数値データの入力、所要の制御入力等に
使用される。

なお、第５図に示す装置においては、コンピュータ７
に備えるキーボードからの指令入力によって通信と測位
の切替制御が行われ、通信はコンピュータ７が出力する
データ信号と送受話器８が出力する音声信号の両者を扱
えるようになっている。

即ち、ベースバンド処理部が該当通信網のプロトコル
に従った信号処理を行うのである。

（発明が解決しようとする課題） ところで、移動体は、時と場所を問わず通信と測位を
なし得ることが本来必要であるが、これを従来装置で実
現しようとする場合、第５図や第６図に示す如き地上系
装置と衛星系装置の全てを移動体は持ち運ぶ必要があ
り、不便かつ不経済であるという問題点がある。

本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、
その目的は、単一の装置で地上系／衛星系のいずれの通
信網／測位網にも接続することができる汎用移動体通信
／測位装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、本発明の移動体通信／測
位装置は次の如き構成を有する。

即ち、本発明の移動体通信／測位装置は、衛星系で電
波授受を行う衛星系アンテナおよび地上系で電波授受を
行う地上系アンテナと；前記衛星系アンテナを介して送
受信される衛星系無線周波信号と中間周波数（IF）帯の
信号間の周波数変換を行う衛星系周波部および前記地上
系アンテナを介して送受信される地上系無線周波信号と
前記IF帯の信号間の周波数変換を行う地上系高周波部
と；外部から提供される受信切替制御信号を受けて前記
衛星系／地上系高周波部のいずれかの出力するIF信号を
選択出力する受信IFスイッチ回路および外部から提供さ
れる送信切替制御信号を受けて送信IF信号を前記衛星系
／地上系高周波のいずれかへ選択出力する送信IFスイッ
チ回路と； 前記受信IFスイッチ回路が選択出力する前記IF信号に
ついての復調動作を外部から提供される復調制御信号が
指示する通信／測位処理における受信チャネル指定や復
調形式指定を含む復調方式に従って行う通信／測位受信
IF系および送信信号についての変調動作を外部から提供
される変調制御信号が指示する通信／測位処理における
送信チャネル指定や変調形式指定を含む変調方式に従っ
て行い前記送信IF信号を出力する通信／測位送信IF系
と；衛星系または地上系のいずれの系を用いるかの系指
令を受けて前記送信切替制御信号および受信切替制御信
号，前記変調制御信号および復調制御信号を発生するこ
と、前記通信／測位受信IF系の復調出力について該当系
の受信処理基準を規定する受信プロトコルに従った信号
処理を行うことおよび入力したデータ信号と音声信号か
ら該当系の送信処理基準を規定する送信プロトコルに則
った前記送信信号を形成出力することを行うベースバン
ド処理部と；前記音声信号を発生する送受話器と；前記
系指令および前記データ信号を出力するとともに、前記
ベースバンド処理部が信号処理した結果情報を受けて所
定の通信／測位の機能を実現するキーボードおよび表示
器付の携帯型コンピュータと；を備えていることを特徴
とするものである。

（作用） 次に、前記の如く構成される本発明の汎用移動体通信
／測位装置の作用を説明する。

移動体の利用者は携帯型コンピュータに備えるキーボ
ードを操作して衛星系または地上系による通信また測位
を任意に選択できる。携帯型コンピュータは所定のキー
入力に応答して所定内容の系指令を作成しそれをベース
バンド処理部へ与える。その結果、ベースバンド処理部
は送信／受信IFスイッチ回路へ送信／受信切替制御信号
を、送信／受信IF系へ変調／復調制御信号をそれぞれ出
力するので、送信／受信IFスイッチ回路は衛星系と地上
系のいずれかの高周波部を送信／受信IF系に接続する。
また、送信／受信IF系は該当系の通信／測位の方式に従
った変復調動作を行う。そして、ベースバンド処理部
は、受信処理として樹脂IF部の復調出力について該当系
の受信プロトコルに従った信号処理を行い、携帯型コン
ピュータへ与える。また、ベースバンド処理部は送信処
理として携帯型コンピュータから入力するデータ信号と
送受話器から入力する音声信号を受けてパケット化やフ
レーム同期信号の付加等該当系の送信プロトコルに適合
した送信信号を形成する。

即ち、移動体の利用者は、IF帯以降の構成は共通化し
た単一の装置によって衛星系または地上系のいずれかの
系で音声通信とデータ通信および測位が行え、また携帯
型コンピュータが演算した測位結果を表示器に表示させ
自己の位置を知ることができることとなる。これは陸
上、海上、飛行中のいずれの状態にあっても可能であ
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図は本発明の一実施例に係る汎用移動体通信／測
位装置を示す。第１図において、１は衛星系（例えばＬ
バンド）のアンテナ、１′は地上系（例えばUHF帯）の
アンテナ、２は衛星系の高周波部、２′は地上系の高周
波部、３−１は受信IFスイッチ回路、３−２は送信IFス
イッチ回路、４は通信／測位受信IF系、５は通信／測位
送信IF系、6aはベースバンド処理部、7aはキーボードお
よび表示器付コンピュータ、８は送受話器である。

高周波部２（２′）は、アンテナ１（１′）を介して
送受信される衛星系（地上系）の無線周波数信号と受信
／送信IF系４（５）における所定中間周波数（IF）帯の
信号間の周波数変換を主として行う。

受信IFスイッチ回路３−１は、ベースバンド処理部6a
が出力する受信切替制御信号を受けて前記高周波部2,同
２′のいずれかの出力IF信号を受信IF系４に供給する。
また、送信IFスイッチ回路３−２は、ベースバンド処理
部6aが出力する送信切替制御信号を受けて送信IF系５の
出力である送信IF信号を前記高周波部2,同２′のいずれ
かに供給する。

受信IF系４は、受信IFスイッチ回路３−１が選択出力
するIF信号についての復調動作をベースバンド処理部6a
が出力する復調制御信号が指示する通信／測位の方式に
従って行い、復調信号および復調クロックをベースバン
ド処理部6aに出力する。また、送信IF系５は、ベースバ
ンド処理部6aが出力する送信信号についての変調動作を
ベースバンド処理部6aが出力する変調制御信号が指示す
る通信／測位の方式に従って行い、送信IF信号を送信IF
スイッチ回路３−２を介して高周波部2,同２′のいずれ
かへ出力する。

この受信IF系４および送信IF系５の詳細は後述する。

ベースバンド処理部6aは、受信IF系４の復調出力につ
いて衛星系か地上系のいずれかの系の受信プロトコルに
従った信号処理を行い、その結果をコンピュータ7aや送
受話器８へ出力することおよびコンピュータ7aから入力
したデータ信号と送受話器８から入力した音声信号を受
けてパケット化やフレーム同期信号の形成等該当系の送
信プロトコルに従った信号処理をして所定の送信信号を
形成しそれを送信IF系５へ出力すること等は従来例回路
と概略同様であるが、本発明では、さらに、衛星系また
は地上系のいずれの系を用いるかの系指令をコンピュー
タ7aから受けて前記送信／受信切替制御信号および前記
変調／復調制御信号を発生することを行う。

コンピュータ7aは、そのキーボード操作によって通信
と測位の選択、衛星系と地上系の選択ができ、その内容
が前記系指令としてベースバンド処理部6aに出力される
点が異なるのみで、その他の通信／測位の機能は従来例
と同様である。

送受話器８は従来例と同様のもので、説明を要しな
い。

次に、第２図は前記通信／測位受信IF系４および送信
IF系５の具体的構成例を示す。

第２図において、受信IF系４は、分岐器45と、汎用受
信IF回路41−1,同41−２と、汎用復調器42−1,同42−２
とで構成され、前記復調制御信号は、汎用受信IF回路41
−1,同41−２へ与えられる受信チャネル指定信号＃1,同
＃２と、汎用復調器42−1,同42−２へ与えられる復調モ
ード指定信号とからなる。

受信チャネル指定信号＃１（＃２）は、例えばCDM
（符号分割多重）チャネルとFDM（周波数分割多重）チ
ャネルを指定するもので、前者CDMチャネルは測位用、
後者FDMチャネルは通信用である。また、復調モード指
定信号はPSK（位相シフトキーイング）復調であるか
（衛星系の場合）、あるいはFSK（周波数シフトキーイ
ング）復調はFM（周波数変調）復調等であるか（地上系
の場合）を指定するものである。

また、送信IF系５は、汎用送信IF回路51と、汎用変調
器52とで構成され、前記変調制御信号は、汎用送信IF回
路51へ与えられる送信チャネル指定信号と、汎用変調器
52へ与えられる変調モード指定信号とからなる。変調モ
ード指定信号は前記復調モード指定信号と対をなし、該
当系に適合した変調モードを指定する。

以上の説明から明らかな通り、汎用復調器42−１（42
−２）および汎用変調器52は、ディジタル信号処理（DS
P）によって衛星系や地上系で用いられる多種多様な変
復調方式に柔軟に対応して所望の変復調動作が行えるよ
うにしたものである。

また、汎用受信IF回路41−１（41−２）は、第３図
（ａ）に詳示するように、受信チャネル周波数シンセサ
イザ411と、受信ローカル符号発生回路412と、ミキサ41
3と、同414とで構成される。受信ローカル符号発生回路
412は、前記受信CDMチャネル指定信号を受けて所定の周
波数拡散符号を発生し、ミキサ414と協働して受信IF信
号に対し逆拡散変調動作を行うと共に、その結果得られ
た再生周波数拡散符号をベースバンド処理部6aへ出力す
る。一方、受信チャネル周波数シンセサイザ411は、前
記受信FDMチャネル指定信号を受けて指定された周波数
のローカル信号を発生し、それをミキサ413の一方の入
力へ与える。ミキサ413からは汎用復調器（42−1,42−
２）へ復調用信号が出力される。

一方、送信IF回路は、第３図（ｂ）に詳示するよう
に、送信チャネル周波数シンセサイザ511と、ミキサ513
とからなる。送信チャネル周波数シンセサイザ511は、
送信FDMチャネル指定信号を受けて指定された周波数の
ローカル信号を発生し、それをミキサ513の一方の入力
へ与える。その結果、ミキサ513から送信IFスイッチ回
路３−１へ送信IF信号が出力される。

第２図に示す通信／測位装置では、ベースバンド処理
部6aが２系統の受信系の復調信号（＃1,＃２）、復調ク
ロック（＃1,＃２）および再生周波数拡散符号（＃1,＃
２）をそれぞれ受けて所定の信号処理を施しそれをコン
ピュータ7aに与えるので、コンピュータ7aがこの２系統
の信号を比較し測位演算して位置を算出し、表示するの
である。

次いで、第４図は測位機能が不要な場合の構成を示
す。この場合には受信系が大幅に簡単化され、汎用受信
IF回路41は第３図（ａ）に示す受信ローカル符号発生回
路412とミキサ414を省略した構成となる。

（発明の効果） 以上詳述したように、本発明の汎用移動体通信／測位
装置によれば、伝送路および周波数の点で決定的に異な
る地上系と衛星系に対してはそれぞれ個別のアンテナお
よび高周波部で対応するが、IF帯以降は共通化できたの
で、地上系／衛星系のいずれの移動体通信網／測位網に
も接続でき、陸上、海上、飛行中のいずれの状態におい
ても随時に通信および測位をなし得る単一の装置である
汎用移動体通信／測位装置を実現できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る汎用移動体通信／測位
装置の構成ブロック図、第２図は第１図中の通信／測位
受信IF系および送信IF系を具体化した構成ブロック図、
第３図は第２図中の汎用IF回路の具体的回路図、第４図
は本発明の他の実施例に係る汎用移動体通信装置の構成
ブロック図、第５図は従来の移動体通信装置の構成ブロ
ック図、第６図は従来のGPS受信装置の構成ブロック
図、第７図は３個の通信衛星を用いる測位／通信システ
ムの構成ブロック図である。 １……衛星系のアンテナ、１′……地上系のアンテナ、
2,2′……高周波部、３−１……受信IFスイッチ回路、
３−２……送信IFスイッチ回路、４……通信／測位受信
IF系、５……通信／測位送信IF系、6a……ベースバンド
処理部、7a……キーボードおよび表示器付コンピュー
タ、８……送受話器。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】衛星系で電波授受を行う衛星系アンテナお
   よび地上系で電波授受を行う地上系アンテナと；前記衛
   星系アンテナを介して送受信される衛星系無線周波信号
   と中間周波数（IF）帯の信号間の周波数変換を行う衛星
   系高周波部および前記地上系アンテナを介して送受信さ
   れる地上系無線周波信号と前記IF帯の信号間の周波数変
   換を行う地上系高周波部と；外部から提供される受信切
   替制御信号を受けて前記衛星系／地上系高周波部のいず
   れかの出力するIF信号を選択出力する受信IFスイッチ回
   路および外部から提供される送信切替制御信号を受けて
   送信IF信号を前記衛星系／地上系高周波のいずれかへ選
   択出力する送信IFスイッチ回路と；前記受信IFスイッチ
   回路が選択出力する前記IF信号についての復調動作を外
   部から提供される復調制御信号が指示する通信／測位処
   理における受信チャネル指定や復調形式指定を含む復調
   方式に従って行う通信／測位受信IF系および送信信号に
   ついての変調動作を外部から提供される変調制御信号が
   指示する通信／測位処理における送信チャネル指定や変
   調形式指定を含む変調方式に従って行い前記送信IF信号
   を出力する通信／測位送信IF系と；衛星系または地上系
   のいずれの系を用いるかの系指令を受けて前記送信切替
   制御信号および受信切替制御信号，前記変調制御信号お
   よび復調制御信号を発生すること、前記通信／測位受信
   IF系の復調出力について該当系の受信処理基準を規定す
   る受信プロトコルに従った信号処理を行うことおよび入
   力したデータ信号と音声信号から該当系の送信処理基準
   を規定する送信プロトコルに則った前記送信信号を形成
   出力することを行うベースバンド処理部と；前記音声信
   号を発生する送受話器と；前記系指令および前記データ
   信号を出力するとともに、前記ベースバンド処理部が信
   号処理した結果情報を受けて所定の通信／測位の機能を
   実現するキーボードおよび表示器付の携帯型コンピュー
   タと；を備えていることを特徴とする汎用移動体通信／
   測位装置。