JP2723317B2 - β―アルミナ複合焼結体 - Google Patents

β―アルミナ複合焼結体

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JP2723317B2 JP1296227A JP29622789A JP2723317B2 JP 2723317 B2 JP2723317 B2 JP 2723317B2 JP 1296227 A JP1296227 A JP 1296227A JP 29622789 A JP29622789 A JP 29622789A JP 2723317 B2 JP2723317 B2 JP 2723317B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規なβ−アルミナ複合焼結体に関する。
詳しくは、ナトリウムの伝導性を高度に維持しながら、
破壊靭性が著しく向上されたβ−アルミナ複合焼結体で
ある。
[従来の技術及び問題点] β−アルミナ焼結体は、その優れたナトリウム伝導性
を利用して、ナトリウム−硫黄電池における負極活物質
と正極活物質とのセパレーター、SOx検知用素子材料等
に広く利用されている。
ところが、β−アルミナ焼結体は、一般に機械的強度
が十分でなく、特にナトリウム−硫黄電池のセパレータ
ーとして使用した場合は、電池の長期間に亙る充・放
電、衝撃等により、β−アルミナ焼結体よりなるセパレ
ーターにクラックが発生して、各極の活物質が反応する
ため、電池として使用不能になるという問題を有してい
た。
上記課題を解決するため、従来よりZrO2を添加して機
械的強度の改善を図る方法が提案されている。しかしな
がら、かかる方法においては、ZrO2自体にナトリウムイ
オン伝導性がないため、得られるβ−アルミナ焼結体の
伝導度が低下するという問題があった。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、β−アルミナ焼結体のナトリウム伝導
性を低下させずに、その機械的強度を改良すべく、研究
を重ねた結果、β−アルミナ焼結体中に、β−アルミナ
繊維を分散して存在させることにより、ナトリウム伝導
性を高度に維持しながら、機械的強度(特に、破壊靭
性)が著しく改良し得ることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
即ち、本発明は、β−アルミナ焼結体中にβ−アルミ
ナ繊維が分散した状態で含有されたβ−アルミナ複合焼
結体である。
本発明において、β−アルミナ焼結体を構成するβ−
アルミナは、公知の組成のものが特に制限なく使用され
る。一般には、Na2O・X・Al2O3としてXが5から11の
ものが使用される。また、必要により安定化剤として0.
1〜2重量%のLi2O,0.5〜20重量%のMgO等を添加したも
のが好ましく用いられる。
また、β−アルミナ繊維は、上記の組成の繊維が特に
制限なく使用できるが、特に、繊維の径が1〜100μ
m、好ましくは、2〜40μmである。β−アルミナ繊維
の径が、上記範囲より大きい場合は、β−アルミナ繊維
トマトリックスである焼結体との界面が減少して、十分
な強度の向上効果が得られない傾向があり、径が上記範
囲より小さいものは、取扱が困難となる。また、β−ア
ルミナ繊維の長さLは、繊維径をDとするとL/Dが10以
上、好ましくは40以上が好ましい。即ち、β−アルミナ
繊維のL/Dが、10より小さい場合は、β−アルミナ焼結
体中に均一に分散させても強度の向上効果が十分得られ
ない傾向がある。また、L/Dの上限は、混合条件にもよ
るが、β−アルミナ繊維を均一に分散できるようにする
ため、一般的にL/Dが10,000以下のものを使用すること
が好ましい。
かかるβ−アルミナ繊維の製造方法は特に限定されな
い。代表的な方法として、ゾル−ゲル法が挙げられる。
具体的には、硝酸ナトリウム及び硝酸アルミニウムを主
成分とする溶液を濃縮して得られる粘稠ゾルからフアイ
バーを紡糸し、該フアイバーを加熱して結晶化させる方
法が好適である。上記の硝酸ナトリウム及び硝酸アルミ
ニウムを主成分とする溶液としては、硝酸アルミニウム
100重量部に対して、アルミニウム粉末2〜60重量部、
及び硝酸ナトリウムで70重量部を含む溶液が好適であ
る。また、溶液の濃縮は、30〜90℃で、必要に応じて減
圧下で行うことが好ましい。更に、紡糸後のフアイバー
の加熱は、β−アルミナが結晶化する条件が特に制限な
く採用される。一般には、900〜1100℃の温度で加熱す
れば良い。
本発明のβ−アルミナ複合焼結体は、前記したβ−ア
ルミナ焼結体中にβ−アルミナ繊維を均一に分散して構
成される。
本発明において、β−アルミナ複合焼結体中のβ−ア
ルミナ繊維の割合は、5〜70重量%、好ましくは、20〜
50重量%の範囲が好適である。即ち、β−アルミナ繊維
の割合が、上記範囲より少ない場合は、β−アルミナ複
合焼結体の強度の向上効果が十分得られないことがあ
り、また、該割合が上記範囲を越えても強度の、β−ア
ルミナ繊維添加によるβ−アルミナ複合焼結体の強度の
向上効果は頭打ちとなり、経済的に不利となるばかりで
なく、焼結体自体の強度が低下する場合がある。
また、本発明のβ−アルミナ複合焼結体の形状は、特
に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。例え
ば、前記の電池用セパレーターとして使用する場合は、
シート状、管状、袋状等の形状が一般に採用される。ま
た、センサー素子として使用する場合は、角形、丸形等
のチップ状が一般的である。
本発明β−アルミナ複合焼結体の製造方法は特に制限
されない。代表的な製造方法を例示すれば、β−アルミ
ナ繊維とβ−アルミナ粉末との混合物を焼結させる方法
が挙げられる。かかるβ−アルミナ粉末は、特に限定さ
れないが、粒子径が0.1〜3μmで、粒度分布の狭いも
のが好適に使用される。また、β−アルミナ繊維とβ−
アルミナ粉末との混合方法も特に制限されない。例え
ば、乾式混合、アルコール等の揮発性溶媒を使用した湿
式混合等が採用される。
上記β−アルミナ繊維とβ−アルミナ粉末との混合物
の焼結方法は、β−アルミナの組成に悪影響を与えない
条件が適宜選択される。例えば、該混合物をプレス成形
した後、常圧で加熱して焼結させる方法、プレス成形と
同時に加熱して焼結させる方法等が一般的である。この
場合、焼結温度及び時間は、β−アルミナ繊維、β−ア
ルミナ粉末の性状によって多少異なるため、一概に限定
されないが、一般に、温度は1000〜1900℃、好ましく
は、1300〜1700℃、時間は1〜50時間、好ましくは3〜
24時間の範囲より選択することが好ましい。また、焼結
に際して混合物中に過剰のNa2Oを添加したり、焼結をNa
2Oの蒸気雰囲気中で行うことは、焼結時のナトリウム成
分の蒸発を効果的に防止でき好ましい。
本発明のβ−アルミナ複合焼結体の優れたナトリウム
伝導性と機械的強度とを利用して、ナトリウムイオン伝
導性固体電解質をセパレーターとする電池のセパレータ
ーとして、該β−アルミナ複合焼結体を使用して電池を
構成することにより、極めて高性能で且つ耐久性が優れ
た電池を提供することが出来る。
即ち、負極端子を接続した負極活物質と正極端子を接
続した正極活物質とを、β−アルミナ焼結体中にβ−ア
ルミナ繊維を分散して含有するβ−アルミナ複合焼結体
よりなる固体電解質で隔離した電池が提供される。
上記電池に使用する本発明のβ−アルミナ複合焼結体
の形状は、負極活物質と正極活物質とを隔離することが
できる形状であれば特に制限されない。例えば、シート
状、円筒状等電池の構造に応じて適宜決定すればよい。
また、上記電池において、負極活物質、正極活物質の材
質及び負極端子、正極端子の材質或は形状は、公知のも
のが特に制限なく採用される。例えば、負極活物質は、
ナトリウムイオンを供給し得る物質であればよく、一般
にナトリウム金属が使用される。また、正極活物質はナ
トリウムイオンと可逆的に反応するものであればよく、
一般にイオウ(Na2Sを含有するものも含む)が使用され
る。
第1図に、上記した電池の構造の代表的な態様を示
す。即ち、ケーシング1の内部に、β−アルミナ複合焼
結体よりなるセパレーター2を介して負極活物質3及び
正極活物質4が存在し、負極活物質3は、負極端子5と
電気的に接続し、正極活物質4は、正極端子6と電気的
に接続して構成される。
このように、本発明のβ−アルミナ複合焼結体をセパ
レーターとして使用する電池、特に、ナトリウム−硫黄
電池は、従来のものに比較して、驚くべき耐久性を示す
と共に、その電池としての性能が長時間維持できるとい
う優れた特性を有する。
[効 果] 以上の説明より理解されるように、本発明のβ−アル
ミナ複合焼結体は、β−アルミナ焼結体が本来有してい
る優れたナトリウムイオン伝導性を低下させることな
く、機械的強度、特に破壊靭性を大幅に向上したもので
ある。
そして、かかるβ−アルミナ複合焼結体は、電池用の
セパレーターとして使用して場合、実用性の高い電池を
構成することが出来る。
[実施例] 以下実施例によって具体的に説明するが、本発明は以
下の実施例によって限定されるものではない。
尚、実施例において、β−アルミナ焼結体の破壊靭
性、ナトリウムの伝導性;電池の耐久性、起電力は以下
の方法によって測定した値である。
破壊靭性(KIC) ジャーナルオブアメリカンセラミックスソサエティー
(J.Am.Ceram.Soc.)64巻533〜538頁(1981年)に記載
のIF法により測定した。
ナトリウム伝導性 Na/β−Al2O3(試料)/Naの電池を構成し、300℃の温
度で、直流法によって測定した値である。
電池の耐久性 試料を隔膜とするナトリウム−硫黄電池を構成し、か
かる電池について、[250mA/cm2での充電1時間]−
[静置1分間]−[250mA/cm2での放電1時間]の操作
を繰り換して行い、電池の電圧が急激に低下するまでの
サイクル数を測定した。
実施例 1 Al(NO3・9H2O75g、NaNO312.3gを100mlの水に溶
解し、ついでアルミニウム粉末16.2gを加えて、よく混
合した後、これを容量500mlのセパラブルフラスコに入
れ、別に用意された濃硝酸(60%)15mlを含む水100ml
をこれに加え、100〜110℃で18時間還流して、撹拌下に
加熱した。加熱によって得られるゾル溶を定量ろ紙を構
えた磁製ヌッチェを用いてアスピレータで吸引ろ過し、
25℃における粘度が2〜3センチポイズの均質透明で流
動性の高いゾルを得た。このゾルの一部を60℃に保った
乾燥器中に入れ、最初の容量の約1/3まで濃縮して高粘
性のゾルとした。このゾルにガラス棒の端を浸し引き上
げることにより、ゲルファイバーを多数紡糸した。この
ゲルファイバーを60℃に加熱し、ついで110℃まで加熱
して乾燥させた。このゲルファイバーを耐火性るつぼに
入れ電気炉中で1℃/minの速度で550℃まで昇温し、そ
の後5℃/minの速度で1000℃まで上げ、その温度で10時
間保持した後炉中で放冷した。得られたβ−アルミナ繊
維はX線回析の結果、β−アルミナ結晶のみから構成さ
れていた。この得られたβ−アルミナ繊維のうち径が約
20μmのものを選び出し、長さ約1mmに切断した。この
切断したβ−アルミナ繊維を体積分率25%となるよう
に、平均粒径が1μmのβ−アルミナ粉末(Na2O 8.5重
量%Li2O 0.7重量%及びAl2O3 90.8重量%)とエタノー
ルを用いてボールミル中で100時間混合した。得られた
混合物を乾燥後、5ton/cm2の圧力のもとでCIP成形した
後、つぼにNa2O粉末と共に入れて蓋をし、1500℃で10時
間焼成した後、炉中放冷した。得られたβ−アルミナ複
合焼結体の断面をSEM観察した結果、β−アルミナ繊維
が均一に分布していた。また、このβ−アルミナ複合焼
結体の破壊靭性を測定した結果、3.8MPam1/2、ナトリウ
ム伝導性は、16Sm-1であり、また、このβ−アルミナ複
合焼結体を使用した電池の耐久性は、500サイクル以上
であった。
実施例 2 実施例1において、使用するβ−アルミナ繊維の径を
10μm、長さを1cmに代えた以外は、実施例1と同様に
して、β−アルミナ複合焼結体を得た。得られたβ−ア
ルミナ複合焼結体の断面をSEM観察した結果、β−アル
ミナ繊維が均一に分布していた。また、このβ−アルミ
ナ複合焼結体の破壊靭性を測定した結果、4.1MPam1/2
ナトリウム伝導性は、16Sm-1であり、また、このβ−ア
ルミナ複合焼結体を使用した電池の耐久性は、500サイ
クル以上であった。
実施例 3 実施例1において、使用するβ−アルミナ繊維の配合
割合を45容量%とした以外は、実施例1と同様にして、
β−アルミナ複合焼結体を得た。得られたβ−アルミナ
複合焼結体の断面をSEM観察した結果、β−アルミナ繊
維が均一に分布していた。また、このβ−アルミナ複合
焼結体の破壊靭性を測定した結果、4.1MPam1/2、ナトリ
ウム伝導性は、15Sm-1であり、また、このβ−アルミナ
複合焼結体を使用した電池の耐久性は、500サイクル以
上であった。
実施例 4 実施例1において、使用するβ−アルミナ繊維の長さ
を1cmに代えた以外は、実施例1と同様にして、β−ア
ルミナ複合焼結体を得た。得られたβ−アルミナ複合焼
結体の断面をSEM観察した結果、β−アルミナ繊維が均
一に分布していた。また、このβ−アルミナ複合焼結体
の破壊靭性を測定した結果、4.1MPam1/2、ナトリウム伝
導性は、16Sm-1であり、また、このβ−アルミナ複合焼
結体を使用した電池の耐久性は、500サイクル以上であ
った。
実施例 5 実施例1において、使用するβ−アルミナ粉末をNa2O
・10.8Al2O3の組成に代えた以外は、実施例1と同様に
して、β−アルミナ複合焼結体を得た。得られたβ−ア
ルミナ複合焼結体の断面をSEM観察した結果、β−アル
ミナ繊維が均一に分布していた。また、このβ−アルミ
ナ複合焼結体の破壊靭性を測定した結果、3.3MPam1/2
ナトリウム伝導性は、2.0Sm-1であり、また、このβ−
アルミナ複合焼結体を使用した電池の耐久性は、500サ
イクル以上であった。
比較例 1 実施例1において、β−アルミナ繊維を配合しなかっ
た以外は、実施例1と同様にして、β−アルミナ複合焼
結体を得た。、このβ−アルミナ焼結体の破壊靭性を測
定した結果、2.6MPam1/2、ナトリウム伝導性は、2.0Sm
-1であり、また、このβ−アルミナ複合焼結体を使用し
た電池の耐久性は、380サイクル以上であった。
比較例 2 実施例1において、使用するβ−アルミナ繊維に代え
て、3mol%の割合でY2O3を添加したZrO2粒子(平均粒子
1μm)を、10容量%の割合で配合した以外は、実施例
1と同様にして、β−アルミナ複合焼結体を得た。得ら
れたβ−アルミナ複合焼結体の断面をSEM観察した結
果、上記粒子が均一に分布していた。また、このβ−ア
ルミナ複合焼結体の破壊靭性を測定した結果、3.2MPam
1/2、ナトリウム伝導性は、1.2Sm-1であり、また、この
β−アルミナ複合焼結体を使用した電池の耐久性は、50
0サイクル以上であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のβ−アルミナ複合焼結体をセパレー
ターとして用いた電池の一態様を示す断面図である。 図において、1はケーシング、2はセパレーター、3は
負極活物質、4は正極活物質、5は負極端子、6は正極
端子をそれぞれ示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】β−アルミナ焼結体中にβ−アルミナ繊維
    が分散した状態で含有されてなるβ−アルミナ複合焼結
    体。
  2. 【請求項2】β−アルミナ繊維の含有割合が、5〜70重
    量%である請求項第1項記載のβ−アルミナ複合焼結
    体。
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