JP2722995B2 - 鉄道車両 - Google Patents

鉄道車両

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JP2722995B2
JP2722995B2 JP5174329A JP17432993A JP2722995B2 JP 2722995 B2 JP2722995 B2 JP 2722995B2 JP 5174329 A JP5174329 A JP 5174329A JP 17432993 A JP17432993 A JP 17432993A JP 2722995 B2 JP2722995 B2 JP 2722995B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両及びその製作
方法に関し、特にパネルを用いた鉄道車両及びその製作
方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄道車両の高速化の要求がとみに
高まつている。しかし、鉄道車両の高速化は、軌道破
壊、走行時における騒音の増大、あるいは動力費の増加
等の問題を生じる。これらの問題を解決するためには、
鉄道車両の走行速度に応じた軽量化が必要である。
【0003】また、鉄道車両が高速でトンネル内を走行
する際、車内外圧力差が急激に変化することが知られて
いる。特に、車両どうしがトンネル内ですれ違う場合に
は、大きな圧力変動が短時間に発生する、200Km/
h以上の高速で走行する車両は、このような圧力変動が
車内に伝播して乗客に不快感を与えないようにするため
に、気密構造とする必要がある。
【0004】したがって、車両の構体は、乗客、各種機
器の荷重及び構体の自重に加えて、上述した車内外圧力
差による荷重にさらされることになる。そのため、構体
の剛性および圧力荷重に対する強度向上を図らなければ
ならない。
【0005】このように、鉄道車両の高速化に伴い、車
両構体は軽量でしかも、気密構造が要求され、軽量構造
でありながら、同時に高い強度と剛性とが必要とされ
る。ところが、構体の強度および剛性の向上を図ること
と軽量化を図ることとは一般的には相容れない関係にあ
る。
【0006】従来の鉄道車両構体は、屋根部、側部、台
枠部、妻部の6面体より構成され、強度部材としての骨
部材と、車内外を区分する外板とからなっており、素材
としては軟鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板などが
ある。
【0007】従来の車両構体製作方法では、まず、骨部
材を組合せた骨組に外板を接合して側構体,屋根構体お
よび妻構体を製作する。次に、前記側構体,屋根構体お
よび妻構体を位置決めして配置し、これらを溶接して5
面体を構成する。予め側梁,横梁,枕梁等の部材を組合
せて構成した台枠に、前記5面体溶接によって接合する
ことにより車両構体を製作していた。このような製作方
法に関するものとしては、例えば、日本の特公昭60−
13860号公報に記載された方法が挙げられる。
【0008】近年、鉄道車両は高速化のために車体の軽
量化が望まれており、構体を構成する部材としてアルミ
ニウム製中空押出し型材或いはろう付けアルミハニカム
パネル材を用いるものが考えられている。これらの構体
構造においては、中空押出し型材或いはろう付けアルミ
ハニカムパネル材自体が高い面外剛性を有するため、骨
部材を少なくして、更なる軽量化を図っている。このよ
うな車両構体に関しては、例えば特開平3−90468
号公報等が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の鋼製構体および
軽合金製構体においては、外板部材および骨部材の薄肉
化による軽量化が図られているが、部材の強度及び剛性
の面から軽量化の限界がある。また、外板部材に軽合金
製のハニカムパネルを用い、骨部材との溶接構造を採用
したものがあるが、車体断面の曲率の変化する箇所やパ
ネルの接合部において局部的に応力が集中し、補強部材
を必要とするため軽量化の妨げになることがあった。
【0010】一方、従来の車両の製法は、構体を構成す
る各部材を製缶、溶接によって順次加工し、結合するこ
とによって製作するものである。各工程には寸法公差が
許容されているが、公差の累積すなわち製作寸法の変動
が大きくなると強度や剛性が理論値から外れる要因とな
る。また艤装工程においても、公差に対する配慮が必要
であり、製作寸法の変動が小さい程、作業性が高まり自
動化が容易となる。
【0011】車両構体の寸法精度を変動させる原因の一
つに溶接工程における溶接歪がある。従来の車両構体の
製法では、骨部材どうしの溶接、外板どうしの溶接、骨
部からなる骨組みと外板の溶接、さらに艤装用の部品取
付座などの溶接による歪が、各作業ステップで発生す
る。すなわち、従来の方法は、骨部材の下拵加工、同じ
くその組合せ、同じくその溶接による骨組みの製作、外
板の下拵、外板の組合せ、外板の溶接による外板の製
作、外板と骨組みの組合せ、同じくそれらの溶接、艤装
用座の取付、同じくそれらの溶接と、全部で10の作業
ステップを必要とし、各ステップが、いずれも完全、理
論的な作業とはならず、歪発生の原因となっている。こ
のように、製作のステップの中で、骨と骨、外板と外
板、骨と外板の溶接工程で溶接歪が累積される為、構体
を精度良く製作する事には限界がある。
【0012】また、特開平3−90468号の図7、図
8に示された例では、パネル間の力は、一方のパネルの
面板からろう付部を介して外部結合部材へ伝達され、さ
らに溶接部を介して他方のパネルの外部結合部材へろう
付部を介して伝えられ、さらにパネルの面板へ伝えらえ
れる。従って、パネル間の結合強度は低い。また、図9
に示された例では、パネル間の力は一方のパネル面板か
ら他方のパネルの面板へ直接伝えられるが、溶接部の熱
影響部は、特にアルミニウム合金では、強度が低下する
ので、両パネル間を接続する継手としての信頼性は低
い。
【0013】本発明の目的は、キャンバーを備えた鉄道
車両において、複数のパネルを接合するだけで側ブロッ
クにキャンバーを構成できるようにすると共に、部品点
数の削減を図ることにある。
【0014】本発明の他の目的は、複数の窓開口部を有
する鉄道車両において、窓開口部分の強度向上を図ると
共に部品点数の削減を図ることにある。
【0015】
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、一対の
側ブロック、屋根ブロック、一対の妻ブロック及び台枠
からなり、前記側ブロックは、複数のパネルを接合して
形成されており、前記パネルは、一対の面板とコアと結
合部材から構成されており、前記コアは前記一対の面板
の間に配置され、前記結合部材は前記一対の面板の間で
前記コアの外周部に沿って配置されており、一対の面
板、コア、結合部材はろう材によって一体に接合された
鉄道車両において、前記側ブロックは、複数の前記パネ
ルを車体長手方向にキャンバーに沿って並べて接合した
幕板部と、複数の前記パネルを車体長手方向にキャンバ
ーに沿って並べて接合した腰板部と、複数の吹き寄せ部
とからなり、前記幕板部と腰板部は窓開口部の車体周方
向寸法に相当する間隔を隔てて配置されており、前記各
吹き寄せ部は前記幕板部と腰板部との間に配置され、該
吹き寄せ部は前記幕板部及び腰板部に接合されており、
前記幕板部の腰板側の縁部、前記腰板部の幕板側の縁
部、前記吹き寄せ部の車体長手方向の縁部がそれぞれ窓
開口部の縁部をなしていることにある。 本発明の他の特
徴は、一対の側ブロック、屋根ブロック、一対の妻ブロ
ック及び台枠からなり、前記側ブロックは、複数のパネ
ルを接合して形成されており、前記パネルは、一対の面
板とコアと結合部材から構成されており、前記コアは前
記一対の面板の間に配置され、前記結合部材は前記一対
の面板の間で前記コアの外周部に沿って配置されてお
り、一対の面板、コア、結合部材はろう材によって一体
に接合された鉄道車両において、前記側ブロックは、複
数の前記パネルを車体長手方向に並べて接合した幕板部
と、複数の前記パネルを車体長手方向に沿って並べて接
合した腰板部と、複数の吹き寄せ部とからなり、前記幕
板部と腰板部は窓開口部の車体周方向寸法に相当する間
隔を隔てて配置されており、前記各吹き寄せ部は前記幕
板部と腰板部との間に配置され、該吹き寄せ部は前記幕
板部及び腰板部に接合されており、前記幕板部の腰板側
の縁部、前記腰板部の幕板側の縁部、前記吹き寄せ部の
車体長手方向の縁部がそれぞれ窓開口部の縁部をなして
おり、前記幕板部の車体長手方向のパネル接合部及び前
記腰板部の車体長手方向のパネル接合部は、前記吹き寄
せ部の車体長手方向中間部の位置にそれぞれ配置 されて
いることにある。
【0017】
【作用】本発明によれば、幕板部と腰板部は、複数のパ
ネルを車体長手方向にキャンバーに沿って並べて接合し
て構成されており、吹き寄せ部を介して前記幕板部及び
腰板部を接合して側ブロックが構成される。すなわち、
側ブロックは、キャンバーを有した幕板部と腰板部を吹
き寄せ部を介して接合することによって、キャンバーを
有した構造に成っている。つまり、キャンバーを構成す
るために、一体化された側ブロックに塑性変形を与える
必要が無い。従って、側ブロックが完成した状態で、該
ブロックを構成する幕板部、腰板部及び吹き寄せ部自体
及びこれらの接合部に無用な応力が発生することが無い
という効果がある。また、本発明の幕板部、腰板部及び
吹き寄せ部は、それぞれの縁部が窓開口部の縁をなして
おり、窓開口部を構成するための窓枠部材に相当する特
別な部材を用いる必要が無く、部品点数の削減が図れる
という効果がある。
【0018】本発明の他の特徴によれば、幕板部と腰板
部は、複数のパネルを車体長手方向に沿って並べて接合
して構成されており、この幕板部と腰板部を吹き寄せ部
を介して接合して側ブロックが構成されている。前記幕
板部の車体長手方向のパネル接合部及び前記腰板部の車
体長手方向のパネル接合部は、前記吹き寄せ部の車体長
手方向中間部の位置にそれぞれ配置されている。また、
本発明の幕板部、腰板部及び吹き寄せ部は、それぞれの
縁部が窓開口部の縁をなしている。従って、複数のパネ
ルによって側ブロックを構成する場合に、窓枠部材を用
いること無く窓開口部を構成することが出来るという効
果がある。また、パネル自体に窓開口部に相当する開口
部を構成する構造ではないため、側ブロックを構成する
パネル自体の構造を簡単なものとすることが出来るとい
う効果がある。さらに、幕板部の車体長手方向のパネル
接合部及び腰板部の車体長手方向のパネル接合部は、吹
き寄せ部の車体長手方向中間部の位置にそれぞれ配置さ
れているため、幕板部及び腰板部の前記パネル接合部に
吹き寄せ部の前記中間部が接合され、前記各パネル接合
部に対して前記吹き寄せ部が補強部材の役割を果たすこ
とになる。従って、側ブロックの強度向上を図ることが
できるという効果もある。
【0019】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1ないし図24に
よって説明する。
【0020】まず、車両構体の全体構成を図1、2によ
って説明する。図において、10は鉄道車両構体であ
り、側ブロック20、台枠30、屋根ブロック40およ
び妻ブロック50によって構成され、各ブロック相互の
境界面が溶接によって結合されている。
【0021】側ブロック20は、腰板21、幕板22、
吹寄せ23及び出入口部24からなっており、それぞれ
複数のハニカム・パネルを組合せ、溶接して構成され
る。側ブロック20の腰板21と幕板22の間に窓開口
部29を形成するようにして吹寄せ23が配置されてい
る。側ブロック20は、台枠30の側梁31の上面から
屋根ブロック40の車体周方向の端面までが一体として
構成される。個々のハニカム・パネルの車体長手方向の
寸法は、側ブロック20を車体長手方向について複数に
分割した長さ、望ましくは、窓のスペースの整数倍の長
さとなっている。個々のハニカム・パネルを車体長手方
向に並べそれぞれを溶接することによって側ブロック2
0が組み立てられる。各パネルと隣接するパネルとの間
の溶接線が十字形にならないように、パネル相互の位置
が調節されている(但し側ブロックの一部を除く)。
【0022】図2に示すように、腰板21の内面には、
取付座25を介して側パネル26や通風ダクト27が固
定され、また、幕板22の内面には、取付座(図示せ
ず)を介してカーテンキセ28が固定されている。
【0023】台枠30は左右一対の側梁31を有し、こ
の側梁は台枠30の車体幅方向端部において車体長手方
向に引通して配置される。32はハニカム・パネル製の
床板であり、その両端が左右一対の側梁31に接合され
ている。床板32の上には断熱材33、床敷物34が貼
付されており、また椅子取付座35を介して椅子36が
固定されている。
【0024】屋根ブロック40は、中央屋根板41と側
屋根板42からなり、ハニカム・パネルを組合せ接合し
た構造であリ、側ブロック20と妻ブロック50の上部
の間に一体のブロックとして配置される。個々のパネル
の車体長手方向の寸法は、屋根ブロック40を複数に分
割した長さになっており、これらのパネルを車体長手方
向および幅方向に並べ、溶接で接合して屋根ブロック4
0を形成する。図2に示すように、中央屋根板41の内
面には取付座を介して天井板43が固定される。また、
特定位置の中央屋根板41の外面には、パンタグラフが
固定される。一方、側屋根板42の内面には、取付座4
4を介して荷物棚45が取付けられている。
【0025】妻ブロック50もハニカム・パネル製であ
り、通路用開口51を有する。この妻ブロックは構体1
0の両端面を構成し、側ブロック20、台枠30、屋根
ブロック40の端部に一体結合される。ただし、この妻
ブロックに関しては、面積が小さいことや、加工の難し
さを考慮し、従来用いられているアルミ合金板と骨部材
の組合せで形成してもよい。
【0026】次に、本発明によるハニカム・パネルを用
いた車両構体10の製作方法を説明する。
【0027】まず、図3に、製法の全工程の概要を示
す。最初にハニカム・パネルの設計を行う(ステップ1
01)。次に、この設計に基づいてハニカム・パネルを
構成する部材の下拵を行った後、これらを治具内に組立
て(ステップ102)、最後に、ろう付けを行ってハニ
カム・パネルを完成させる(ステップ103)。このハ
ニカム・パネルについて、寸法や曲面精度、剥離の有無
等の検査を行う(ステップ104)。検査をパスしたハ
ニカム・パネルは、次に、各々の用途や組立て位置並び
にろう付時の寸法誤差に応じて外周を所定寸法に合わせ
るためのトリミング加工がされ、溶接用の開先部が形成
される(ステップ105)。そして、ブロック毎にハニ
カム・パネルが1組ないし複数組、組合わされ(ステッ
プ106)、開先部が溶接される(ステップ107)。
大きなブロックについては、まず適度の大きさの中間ブ
ロックにまとめて溶接し、次に、全体を一体化するのが
よい。さらに、ハニカム・パネル内外面の所定位置に艤
装用のラグが取付けられ(ステップ108)、断熱材が
取付けられる(ステップ109)。最後に、全ブロック
が一体に組立て拘束され、溶接によって一体化され(ス
テップ110)、次に、構体外面が塗装され(ステップ
111)、最後に内外面に艤装が施されて(ステップ1
12)、車両用構体が完成する。
【0028】次に、各ステップの詳細について説明す
る。まず最初のハニカム・パネルの設計(ステップ10
1)では、ハニカム・パネル形状を決定する。ハニカム
・パネルを全て同一形状とする方法もあるが、用途が車
両用構体である場合には、構体を構成するブロック毎に
ハニカム・パネルの寸法、曲率あるいは強度を適宜決定
する。パネルの大きさは、トリミング加工ができるよう
に、若干余裕を持たせるのがよい。
【0029】図4は、本発明の車両構体に用いるハニカ
ム・パネル20の一例を示す分解斜視図であり、図5は
その平面図である。
【0030】ハニカム・パネル60は、芯材としてのハ
ニカム・コア61、端材としての外部結合部材62及び
一対の面板64、65により構成される。材料はいずれ
も軽合金材である。例えば、ハニカム・コア61及び面
板64、65はA6951、外部結合部材62はA6N
O1である。
【0031】ハニカム・コア61は、波形形状の板が六
角形のセルを形成するように重ね合わせ、それらの隙間
をろう材にて接合する構造になっている。
【0032】このハニカム・パネル60内にはさらに、
必要な強度を確保する為に、軽合金の強度部材63が組
込まれている。一例として、図4の実施例において、ハ
ニカム・パネルのコア61は板厚0.2mm、高さ58
mmであり、面板64、65の板厚は一方が1.2m
m、他方が0.8mm、外部結合部材62の板厚2〜3
mm、高さ58mm、幅30mm、強度部材63の板厚
2mmである。また、パネル単体の長さは、ろう付を行
う炉の大きさによって制約され、最大で長さ4m、幅
1.2m程度とするのがよい。なお、ハニカム・パネル
は板厚の厚い方が車両の外側になるように配置される。
【0033】このようなパネルを構成する各部材につい
て下拵した後、一枚のパネルとして一体化するために、
ろう付け処理(ステップ103)がなされる。このろう付
けは、予めパネルの各部材表面にろう材、例えばBA4
045を(約5%程度)クラッドしておき、パネルとし
て治具内で組立て、加熱するものである。
【0034】強度部材63は外部結合部材62と共に面
外曲げ剛性の向上に寄与している。そして、表面の面板
64、65間にハニカム・コア61を配置することによ
り厚み方向の距離を十分に確保して断面係数を大きくす
る事と併せて、ハニカム・パネル60としての剛性が確
保される。
【0035】強度用部材63は、従来の側柱、垂木等に
相当するものを積層構造の一部としてパネルの面板6
4、65間に設置したものである。強度用部材63は、
特に車体内外気圧差による荷重を考慮して、車両構体1
0の垂直断面の周方向に配置する必要がある。
【0036】すなわち、腰板21、幕板22および吹寄
せ23においては、強度用部材63が側ブロック20の
垂直方向に引き通して配置され、隣接するパネルの結合
部材62どうしを接合するように配置される。なお、強
度用部材63は、面板64、65に対して直交するよう
に配置される。
【0037】屋根ブロック40においては、強度用部材
63が屋根ブロック40の幅方向に引き通して配置され
ている。すなわち、強度用部材63が従来の垂木に相当
するように配置されている。そして、構体10について
見ると、各パネル60の強度用部材63が同一断面線上
となるようにそれぞれ配置されている(但し、吹寄せ2
3の部分は結合部材62)。従って、各強度用部材63
に荷重を分担させることができ、各強度用部材63が車
体幅方向両側の側梁間に配置されたリング状の強度部材
となるため、構体10に作用する圧力変動に対して十分
な強度を発揮することができる。
【0038】表1に、本発明に用いるろう付けアルミ製
ハニカム・パネルと、従来例としてのアルミニュウム板
や鋼板との剛性比較結果を示す。本発明に用いるハニカ
ム・パネルはほゞ同じ重量の板材と比較して、曲げ剛
性、ねじり剛性ともに2桁以上大きな数値であり、格段
に大きいものとなっている。
【0039】
【表1】
【0040】車両構体内に使用中に発生する応力は構造
と位置によって異なるので、特に高い強度が要求される
場合は、局部的に強度を向上せしめる必要がある。
【0041】その対策として、ハニカム・パネルの角部
Dを局部的に補強し、強度を向上せしめる場合について
説明する。角部Dの拡大図を図6に示す。図6で角部D
のハニカム・コア61に対して補強コア66が挿入され
ている。この補強コア66はハニカム・コア61の形状
の隙間の中に納まる形状をした円筒状あるいは、これを
切欠いた形状の部材である。これらのコアを一体にろう
付する事により、面板の板厚を大きくする事なく、ハニ
カム・パネル60の強度を向上させる事ができる。
【0042】なお、パネルとしてはハニカム・コアに代
えて、図7に示す三角形の板状コア61′を積層した三
角形状のパネル60′のような、他の形状のパネルを用
いることもできる。
【0043】また、パネルの全素材にステンレス薄板を
用い、レーザー溶接で接合してもよい。また、パネルの
全素材に軽合金以外のステンレス薄板を用いてもよい。
接合も、ろう付の代りにレーザー溶接で行なってもよ
い。
【0044】図1に示す車両構体10は、屋根1枚、側
2枚を、台枠1枚、妻2枚の計6枚のブロックから構成
されている。精度の良い構体を作るにはそれぞれのブロ
ックが精度良く作られる事が必要である。この精度の調
整は、ハニカム・パネル60の開先部、換言するとハニ
カム・パネル周辺部の外部結合部材62及び面板64、
65の端面をトリミング加工することによって行われ
る。すなわち、ハニカム・パネル60は、その周辺部を
正確に下拵加工し、全体の寸法形状とその部分の必要な
開先精度を確保した後に溶接される事になる。
【0045】図8にその一例を示す。まず、図8(a)
は車両の屋根ブロック40であり、47はパンタグラフ
の取付座を示すものである。各パネル60の幅方向は、
曲率の大きな中央屋根板41の部分と曲率の小さい側屋
根板42の各々の形状に適合するように湾曲しており、
隣接するパネルの外部結合部材及び面板が相互に接合さ
れる。一方、各パネル60の長手方向は外部結合部材6
2が面板64、65に直角になるように加工する事によ
り、全体として直線状のブロックに加工される。その後
これら複数個のパネルを治具内で組合せて、拘束の後、
溶接することにより所定の屋根ブロック40が出来る。
なお、パンタグラフを取付けるパネル部分については、
荷重を考慮して従来の外板と骨材の組合せを採用しても
よい。
【0046】次に図8(b)は側ブロック20のトリミ
ング加工の例を示す。側ブロック20は車体の撓み等を
考慮したキャンバーと呼ばれる逆そりの状態となってい
る。この側ブロックを構成する腰板21、幕板22、吹
寄23、出入口部24の中で、腰板21、幕板22は台
形に加工される。例えば腰板21であれば、高さh0
W0のハニカム・パネルの先端部を図9のように高さ
h、幅は下側の幅W2が上側の幅W1より必要量だけ短く
なるようトリミング加工し、同様にして加工された複数
のハニカム・パネル60を組合せ、相互に拘束した状態
で溶接し、結合する事によりキャンバーのついた側ブロ
ック20が実現される。台形の代りに上記部材を扇形の
一部として加工しても同様の効果が得られる。この様な
手法によればハニカム・パネル60の結合体を面内に曲
げる構造にする事が出来る。また、外部結合部材62の
長さを面板64と65の各々の側で変えることにより、
ハニカム・パネル60の結合体を面外に曲がった構造と
する事も出来る。このように、ハニカム・パネル60の
開先部は、全体の寸法の絶対値を決める要因であると共
に、結合体の構造を決める作用もしている。
【0047】ハニカム・パネル60の各々が、前述の必
要形状に加工された後、次のブロック組合せ(ステップ
106)において専用の組合せ治具の所定の位置にセッ
ト,拘束される。
【0048】図10に、ブロック組合せ治具の一例を示
す。この例は、屋根ブロック40の中央屋根板41のブ
ロックを構成する各パネル60を各々所定位置に配し、
上下一対の治具72で拘束するものである。73は溶接
用の逃げ部である。ブロックの組合せ溶接において表裏
両側の開先部とも同じ拘束状態で溶接する事が大切であ
る。この為治具72は、クランプ74及び回転軸75を
有し、これによってブロックを組合せ、拘束し、反転で
きる機能を備えている。
【0049】図11の(a)は側ブロック20の組合せ
状態を示す斜視図である。開先部には、(b)に拡大し
て示したようなはめ合い部62X62Yを設け、パネ
ルを組合せた状態で長さ方向、横方向双方の移動を阻止
できるようにしてもよい。
【0050】この拘束したままの状態で、次に各ブロッ
ク毎の溶接(ステップ107)を行う。図12は、溶接
装置の一例であり、上下一対の治具72及びクランプ7
4で拘束された中央屋根板41の開先部をセンサ77で
検知し、溶接装置76で結合する。まず、片側の各パネ
ルの接合部分が順次溶接される。次に溶接した部分を変
形させないように拘束したまま全体を持ち上げ反転し、
元の位置に下ろし裏面側を溶接して、全体の溶接が終了
する。なお、小さいブロックについては、治具で拘束し
ないで溶接可能なものもある。また、大きなブロック
は、予め中間のブロクに組立、溶接し、最後に1つのブ
ロックに溶接してもよい。
【0051】すでに述べたように、複数のハニカム・パ
ネル60を結合する場合、その開先部を溶接する。
【0052】この開先部の詳細を図13に示す。開先部
すなわちハニカム・パネル周辺部の外部結合部材62及
び面板64、65は幅Lを有し、それらの突合せ部(溶
接線67)の溶接ビート67Wにより、2枚のハニカム
・パネル60が結合される。この突合せ部において、面
板64A,65Aと外部結合部材62A、面板64B,
65Bと外部結合部材62Bは、予め、ろう付けして一
体化されている。面板64Aと64B、及び面板65A
と65B、外部結合部材62Aと62Bが、それぞれ一
体に溶接され、かつ、ろう付部のみならず溶接部が一体
化されている。従って、パネル間の力の伝達は面板64
Aから面板64Bへ、外部結合部材62Aから外部結合
部材62Bへ溶接部を介してそれぞれ直接伝えられる。
【0053】アルミニウム合金の溶接部は、熱の影響を
受けて強度が低下しやすい。本発明では、この強度低下
を、外部結合部材62の板厚の増加で補い、面板と外部
結合部材とのろう付強度の健全性が継手の信頼性に影響
を及ぼすことがないようにしている。このように本発明
では、隣接するパネル60の面板どうしが一体に溶接さ
れるため、一方のパネルに加わる外力は溶接部分を介し
てそのパネルの面板から次のパネルの面板へ円滑に伝達
される。換言すると、外力の作用時、パネルはその全体
で外力を受け、特定のろう付部に無理な力が作用しない
ので、大きな外力に耐えられる。
【0054】外部結合部材62の板厚が3mm、面板6
4、65の板厚が1mmで、入熱量3KJ/cmでMI
G溶接した場合のハニカム・パネル60の両面にある面
板64及び65の板厚中央部の硬さ分布を図14に示
す。溶接熱影響により、軟化した領域が幅L1にわた
り、それより遠い位置では変化が見られない。軟化域で
は引張強さも低下するが、L>L1ならば、外部結合部
材と面板が一体にろう付されているので、ハニカム・パ
ネルの継手としての強度を確保する事が可能である。し
かし、L<L1となると薄い面板の強度が低下するの
で、継手強度は他のハニカム・パネル部よりは低下す
る。
【0055】溶接の入熱量は、板厚1〜5mmのアルミ
合金の突合せ継手において健全な溶接部を得るには、M
IG溶接で2KJ/cm、電子ビーム溶接やレーザ溶接
などエネルギー集中性の良い方法でも概略1KJ/cm
以上は必要である。これに対応した開先部の幅Lを有す
る事が、健全な継手強度を確保するために必要である。
【0056】図15に上記アルミ合金をMIG溶接した
時の溶接入熱量と熱影響部の軟化域の幅の関係を求めた
結果を示す。軟化域の幅は図に実線と破線で示した範囲
内にあり、溶接入熱量を小さくすると軟化域の幅も小さ
くなる。
【0057】しかし、開先部の材料の特性として、溶接
熱影響で一旦軟化しても、常温で時間と共に強さが、溶
接前のレベル近くまで回復するものであれば、溶接部の
継手強度確保がより容易になる。即ち、開先部の板厚を
減少せしめる事も可能となる。 図13において、ハニ
カム・コア61,面板64,65にJIS規格の、69
51合金,外部結合部材62に6NO1合金と7NO1
合金を用いた場合の強度比較を表2に示す。6NO1合
金では3mmの板厚が必要であったものが、7NO1合
金では自然時効後に強さが回復する為、2mmでこれに
ほぼ等しい強さが得られ、軽量化に資する事ができる。
【0058】
【表2】
【0059】溶接によるハニカム・パネルの残留歪、及
び残留応力は最小であるべきである。
【0060】ハニカム・パネルの開先部近傍を、溶接中
に冷却する事はこの目的に有効である。この目的は、図
16の如く開先部近傍に冷却用の媒体を溶接作業に干渉
することなく流す事のできる通路を設ける事により達成
される。図16は、2枚のハニカム・パネル60が溶接
線67で溶接されるように組合された状態を示してい
る。外部結合部材62には補強部69により仕切られた
上下の通路68が形成されている。この通路68は、一
枚のハニカム・パネルの周囲をめぐり、各々1ヶ所の入
り口、出口を有している。この通路部分に水やガス、液
体窒素など適当な冷却用の媒体を流しながら、溶接線6
7の位置を溶接すると、冷却用媒体によりハニカム・コ
ア61の方へ伝わる熱量を吸収するのでハニカム・コア
61及び面板64、65への熱の影響は小さくなり、歪
の小さい溶接が可能になる。
【0061】補強部69は通路68を形成する作用のみ
でなく、同時にハニカム・パネルの結合部材を薄肉、軽
量化し、かつ剛性を高める作用もする。また、パネル製
作のろう付時に結合部材等の各部材が、溶融点近くまで
加熱されるため、特に結合部材の周縁端部が自重によっ
て垂れ下がる恐れがあるが、結合部材の上下部分の周縁
端部を補強部69で支えているため、前記垂れ下がりを
防止することができる。さらに、図16の例は、溶接部
を冷却するので、図13で示した構成に比べて幅Lを短
くすることができる。
【0062】溶接による熱を吸収する方法としては図1
7に示すように、冷却拘束板78と装置本体79との間
に溶接線67をはさみ、施工する事により同じ効果を得
る事が出来る。
【0063】しかし、冷却拘束板78は従来のMIG溶
接や、TIG溶接ではトーチと干渉する場合がある。こ
れに対し、大気中でしかもエネルギー密度の最も高い値
が得られるレーザー光を矢印Wの方向から照射すると、
小入熱の溶接でしかも冷却・拘束の効果と相乗して小歪
の溶接継手が得られる。このように、レーザ溶接であれ
ば、冷却拘束板が無くて上記の例とほゞ同様の傾向の結
果が得られる。
【0064】従来の溶接法であれば、骨部材は骨部材ど
うしで、外板は外板どうしで溶接され、これらをさらに
継手部材を介して溶接により接合していた。したがっ
て、溶接量および回数が多くなり、入熱量の増大に伴っ
て溶接歪が大きくなっていた。また、各骨部材および外
板の板厚が設置する部位によって異なっており、各部位
における強度が極端に異なっている。このことによって
も、各種荷重が作用した場合の変形量が異なるため、境
界部分に極端な歪が発生する恐れがあった。
【0065】これに対して、本発明によれば、ハニカム
・パネル周辺部の面板及び外板結合部材を1回の溶接に
よって接合するだけで、従来の骨部材どうし及び外板ど
うしさらに骨部材と外板との接合に相当する接合が行え
る。そのため、従来の構造に比べて溶接量及び回数を削
減して入熱量を低減することができ、溶接歪を少なくす
る溶接歪防止策を実行し易くなる。また、特別な継手部
材を用いること無く接合するため、この点からも溶接歪
の低減が図れる。
【0066】さらに、結合部材はその幅方向断面がパネ
ル板厚方向について対称な形状であるため、パネルどう
しを溶接接合した場合のビード部の収縮がパネルの両面
で均衡しパネル自体の反り等の変形や、歪を低減するこ
とができる。したがって、結合部材及び面板の強度を確
保するために板厚を厚くする等の考慮が不要であり、各
部材を薄くする極限設計が可能となる。
【0067】また、前記結合部材の材質は、6NO1で
あるが、これを7NO1によって構成した場合、7NO
1は溶接後の自然時効によってそれ自体の固さ、強度が
回復する性質を有しており、前記構成よりも結合部材自
体の板厚を薄くして、軽量化を図ることができる。さら
に、結合部材には補強部69が形成され、結合部材自体
が箱形断面となることから、強度向上が図れる。
【0068】ブロック溶接が終った車内には、車外との
熱の侵入、流出を防ぐ為の断熱材33や床敷物34、そ
の他の艤装部品の取付が必要である。これらの部品の取
付は、ハニカム・パネルの面板(車内側の面板)を介し
て行われる。しかし、面板は軽量化を図るためにアルミ
合金の薄板(0.5〜3mm)で製作されている。これ
にネジやビス止め、リベット止めを行っただけでは部品
の強度が不足する場合がある。これを解決する方法とし
て、予め部品の取付座すなわち艤装ラグを、面板の所定
の位置に固定する(ステップ108)。
【0069】図18,図19はこれを示すものであり、
取付座80は接着剤81を介してリベット82でハニカ
ム・パネルの面板64に取付けられている。
【0070】図20は艤装ラグ取付け装置83を示すも
ので、治具84、NC位置決め機構85、押えヘッド8
6、リベットヘッド87を備えており、位置決めされた
取付座を面板に押付け、所定個数のリベットや、ビスに
よるネジ止めにより固定する。取付座80には予め接着
剤を塗付しておく。取付け座は軽合金製でありその寸法
の一例として、厚みが約5mmである。また面積は、荷
重との関係が1Kg/cm2となるように、例えば、1
0Kgの荷重を受ける場合、10cm2とする。これに
より、取付座の面全体でその後取付ける部品の荷重を受
け得るようになる。
【0071】なお、取付座80はハニカム・パネル60
のろう付時に、面板上に同時にろう付されても同じ目的
を達し得る。図21はこの状況を示し、取付座80はハ
ニカム・コア61等と同様に、ハニカム・パネルろう付
時(ステップ103)ろう88により面板64の表面に
接着される。
【0072】また断熱材の取付け(ステップ109)
は、構体内面すなわちハニカム・パネル面板が平滑であ
るので前記取付座の取付の前後いずれでもよい。取付前
ならば、そのまま、取付後ならば取付座の部分を切欠い
て、シート状の断熱材33を構体内面との間に接着剤を
介して貼付ける事ができる。
【0073】図22は側ブロック20への貼付け状況を
示すものであり、シート状断熱材33の、窓29及び取
付座80に対応する部分をカッター装置89で切欠き、
送り装置90でくり出しつつ、ローラ(図示せず)で押
し付け接着する。このように構体内面が平滑なので、な
めらかで均一な断熱材貼付け作業ができる。
【0074】艤装ラグ及び断熱材の取付け後、各ブロッ
クは次に構体として1つに組立てられ、溶接される(ス
テップ110)。図23にブロック組立装置92の正面
断面を示し、各ブロックの接触面換言すると隣接するハ
ニカム・パネル周辺の開先部を溶接線67としてトーチ
溶接ヘッド93でMIG溶接する。組立装置92は第1
ステーション94、第2ステーション95を有し、次の
ような順序で各ブロックを溶接することによって構体の
組立てが行われる。
【0075】まず、第1ステーション94上では、側ブ
ロック20、屋根ブロック40、及び妻ブロック50を
溶接して5面体を形成する。すなわち、側ブロック20
と妻ブロック50の上に屋根ブロック40を載せ、ブロ
ック相互の位置決めを行い、拘束し、溶接線67の内外
両面を同時に溶接する。
【0076】次に、この5面体を第2ステーション95
上の台枠30の上に載せる。ここでは、台枠30の側梁
31の上部に側ブロック20を配置し、かつ、台枠30
の車体長手方向両端部の上面に妻ブロック50をそれぞ
れ配置する。台枠30の長手方向は、自重によってその
下面が治具に形成されたキャンバーに沿って曲がり、側
ブロックのキャンバーに一致するようになる。そして、
台枠30と側ブロック20および台枠30と妻ブロック
50とを各々溶接し、6面体の構体を完成させる。この
ようにして、構体10は組立てられる。第1ステーショ
ン94では、下側の面がオープンなので、この部分を介
して溶接、組立てのための位置決め装置や溶接装置を構
体内部に入れることができる。従って、自動化の促進が
容易である。第2ステーション95では作業に必要な装
置を妻ブロックの通路用開口を介して出し入れする。
【0077】図24に組立てられた構体の斜視図を示
す。ハニカム・パネル60を用いることにより、組立て
られた車両構体10の内面は平滑になる。従来、側柱、
垂木等によって取付位置の制約を受けていた内装材取付
金具又は内装材及び内装構造を、本発明の方法では標準
化することができる。また、艤装部品の取付作業におい
て寸法合わせや位置調整が不要となり、作業が簡便且つ
容易になる。
【0078】また、側柱、垂木等の骨部材がないにもか
かわらず高強度なので、車両構体を構成する各ブロック
の厚みを減らすことができ、従って、車両構体内の有効
スペースが増加する。
【0079】次に、車両構体の外表面に塗装を行う(ス
テップ111)。まず、表面を脱脂し、サンドブラスト
で荒らす表面処理を行う。次に、構体表面に錆止め、防
振及び化粧を目的とした塗装を行う。
【0080】最後に、車内外に艤装部品を取付て(ステ
ップ112)、図2に示したような車両構体が完成す
る。この艤装工程において、従来は車体に直接あるい
は、取付座を介して、ネジ止め、溶接により取付けてい
た。軽合金製ハニカム・パネルからなる車体に直接ネジ
止め、リベット止めする場合は、その強度確保に限界が
あり、溶接すれば歪の原因となり、強度も不十分な状態
になる場合がある。本発明では、車体に予め取付座を設
け、これに艤装部品を取付けるので車体のハニカム・パ
ネルに歪を発生させることなく、取付けることができ
る。
【0081】なお、実施例の各ブロックは、ろう付処理
時の炉内温度管理の困難性を考慮して分割、結合するよ
うにした。温度管理技術が向上すれば、各ブロックを分
割せず連続したままの1枚のハニカム・パネルで構成し
てもよい。また、構体をブロック単位に分割し、溶接す
る代わりに、輪切り状に分割、溶接してもよい。
【0082】以上、本発明を車両構体の製法に適用した
例について説明したが、本発明は軽量でかつ強度、精度
の要求される分野、例えば船舶、自動車等の乗物や高層
建築あるいは張出し部屋の壁や屋根等の建築構造物にも
応用できることは言うまでもない。
【0083】次に、本発明による第二の実施例を図25
ないし図33によって詳細に説明する。この実施例は、
各ブロックの製作方法が第一の実施例と異なる。すなわ
ち、図3のステップ105からステップ107の間が、
図25に示したようなステップ114−119に変わ
る。図26は、ハニカムパネルから車両構体の側ブロッ
クを製作していく方法を示している。まず、図26
(a)に示すように、曲面状のハニカム・パネル60の
曲即ち辺溶接部60aをトリミング加工機で高精度にト
リミング加工し、溶接開先部を作る。このようにして開
先のとられたパネルの円周方向を溶接し、(b)に示す
ように長尺ブロック41,42を製作する。このような
円周方向の溶接には、熱入熱が極めて小さく、よって歪
変形を抑えることができるレ−ザビ−ム溶接を採用する
のが良い。なお、図8に示すようにパネルの最初の寸法
h0からトリミング加工によって設計寸法hに加工す
る。
【0084】図27に、長尺ブロック組合せ装置200
の鳥観図を示す。トリミング加工されたアルミ製ハニカ
ムパネル60を結合した長尺ブロック41を一方の基準
板220の上におく。パネルは位置決め用ピン221で
正確に位置決めされる。その後、パネルの上にもう一枚
の基準板220を載せ、連結用ピン222と基準板連結
用穴224で連結し、長尺ブロック41をしっかり拘束
する。パネル60を2枚の基準板220枚で挾み込むの
で局所的な力に弱いパネル表面を保護することが出来
る。溶接は、上側の基準板220の溶接用溝223を通
して溶接が行なわれる。溶接用溝は溶接線を全く遮らな
いように作っておく。表面の溶接が終わると、そのまま
反転して裏面を溶接する。このようにして、長尺ブロッ
ク41,42が完成する。溶接線を遮るものがない様に
することで、精度の向上、作業能率の向上をはかること
が出来る。
【0085】パネルの表と裏の両面を溶接する方法とし
て図28に示す方法もある。これは、まずレ−ザ光を上
側の面板64に設けられたMIGまたはTIG用のル−
トギャップ64Gにとおして、下側の開先部67をレ−
ザビ−ム溶接する。その後上側の面板64をMIGまた
はTIG溶接する。これによって、片面からだけの溶接
が可能となり、パネルを反転する作業をなくすことがで
きるので、作業の効率化、精度の向上を図ることができ
る。
【0086】次に図26(C)に示すように、製作され
た長尺ブロック41(42)を数枚組み合わせて、
(d)に示すような屋根ブロック40を製作する。先
ず、図29に示すように、各長尺ブロック41の直辺4
1aを、トリミング加工機96で、直線状にトリミング
加工する。トリミング加工機96は、長尺ブロック41
を載せるベース96A、トリミング加工を行なう加工ヘ
ッド96B、及び制御盤96Cを備えている。この長手
方向の溶接には高速のMIGまたはTIG溶接を採用す
る。これは、レーザビーム溶接で作られた長尺ブロック
の41(42)の開先部が、歪などにより多少精度が悪
くても、MIGまたはTIG溶接であれば裕度が広いた
めカバーできるからである。また、最初に円周方向を溶
接し長尺ブロックを製作することで、残された長手方向
の溶接は、連続した直線となり自動化が容易であるとい
う利点を持っている。
【0087】次に、図30はハニカムパネル60から側
ブロック20を製作していく方法を示す図である。これ
も屋根ブロックと同様、(a),(b)に示すように、
はじめに複数の長尺ブロック21,22を製作し、次
に、(c),(d)に示すように、各長尺ブロック及び
単ブロック23,24の長手方向と残りの各円周方向を
各々溶接することにより、1個の側ブロック20を製作
する。
【0088】図31に、側ブロック組合せ装置300の
鳥観図を示す。310は基準板、311は位置決め用ピ
ン、312は連結ピン、313は溶接用溝、314は基
準板連結用穴である。溶接用溝313の形状は溶接に支
障をきたさない様にする。これによって、パネル60を
側ブロック組合せ装置300から外すことなく全ての溶
接を行なえるため、精度が良く品質の高い側ブロック2
0を製作することができる。
【0089】図32は、MIGまたはTIG溶接装置3
20の一例であり、上下一対の治具321,322で拘
束されたハニカムパネル60の開先部を、治具321の
溝323を通して溶接し、結合する。つぎに、拘束した
まま、全体を持ち上げ、軸328を中心として回転させ
て反転し、元の位置に下し、裏面を溶接することによ
り、側ブロック20が完成する。
【0090】各構体ブロックが完成すると、次は、これ
らに艤装取付座44を取付ける。一例として図33に示
すレール方式の取付座44Aが考えられる。このレール
方式の艤装取付座44Aは、艤装品取付けにおいて、艤
装部品の取付位置が長手方向に調整可能であり、車体総
組における溶接歪、変形を吸収することができる利点を
持っている。
【0091】次に、本発明による第三の実施例を図3
4,図35によって説明する。
【0092】先に述べた図3の作業ステップはブロック
完成後、構体組立、溶接前に取付座、換言すると艤装ラ
グや断熱材を精度良く、効率良く取付け可能である。し
かし、異なるブロック例えば側ブロック20と台枠30
上の艤装ラグとの相対位置精度は、組立の精度の影響を
受ける。特に大きい艤装部品で、複数のブロック上の艤
装ラグに取付くものは精度の確保が必要となる。図34
の作業ステップは上記問題を解決したものである。
【0093】パネル設計からブロック溶接までのステッ
プ(101〜107)は図3のそれと同一であるので説
明を省略する。ブロック完成後直ちに構体組立、溶接を
行ない(ステップ120)、各ブロックをお互いに強固
に結合した後、艤装ラグを取付ける(ステップ12
1)。従って、各ブロックの艤装ラグは相互の位置を必
要な精度以内に保ちながら取付ける事ができる。これに
より後の艤装工程124における部品取付けが容易に行
なえる。塗装(ステップ122)の後、ロール式断熱材
を構体内面に取付ける(ステップ123)。
【0094】この艤装ラグの取付けを図35を用いて説
明する。図において、車体405の台枠30の床面には
艤装ラグ404が取付けられる。まず、車体内面に可搬
式のレール401を設置し、しかる後に艤装ラグ取付装
置402をレール上にセットする。該取付装置402
は、車体長手方向、及び幅方向に寸法精度良く、該ラグ
の位置決めとリベット止め、もしくはネジ止め、もしく
は接着剤で接着する機能を有する取付ヘッド403を有
している。床面に順次必要な艤装用ラグ404を取付
け、引続いて側面にある艤装ラグ406をも同じ手順で
取付けることができる。このようにして床と側面の艤装
ラグとを相互に精度良く取付けることができる。
【0095】次に、本発明による第四の実施例を図36
ないし図46によって詳細に説明する。
【0096】前記ハニカムパネル60を用いて構体10
を製作する前作業として、まず、構体ブロックを製作す
るが、側ブロック20を例に説明する。図37に示すの
が側ブロック製作用の治具460であり、側ブロック2
0の室内側断面形状に支持面を形成した複数の断面形状
板461を幅方向に渡し、該複数の断面形状板461を
長手方向に配置される複数のつなぎ板462によって接
合し、これらを基本枠組みに設置して構成されている。
前記つなぎ板462もその端面は、ハニカムパネル60
を受ける支持面をなしている。なお、前記断面形状板4
61およびつなぎ板462は、それぞれの支持面がハニ
カムパネル60の接合位置すなわち溶接線67に一致す
るように考慮されて配置されている。また、この治具4
60には、各隣接したハニカムパネル60の仮付け溶接
時に、溶接線67の近傍を拘束するための拘束治具46
3が着脱自在に設置される構成となっている。
【0097】つぎに、側ブロック20の製作手順を説明
する。まず、外周端面を加工したハニカムパネル60を
前記治具460の上面に位置決めして順次並べる。な
お、位置決めにあたっては、治具460の端部或いは側
構体の窓,出入台等の開口部に合わせて配置された位置
決め突起にハニカムパネル60の外周部を当てることに
よって行われる。各ハニカムパネル60の配置が完了し
た状態で、前記拘束治具463により溶接しようとする
隣接したハニカムパネル60を拘束し、図39に示す接
合面すなわち溶接線67を仮付け溶接する。仮付け溶接
部423は、長さを約50mm程度とし、少なくとも隣
接したハニカムパネル60間で二箇所設ける。図39に
示す全ての溶接線67における仮付け溶接が終了した状
態で、側ブロック20の構体ができあがる。
【0098】屋根ブロック40も、前記側ブロック20
と同様に治具上にハニカムパネル60を配置し、拘束治
具にて拘束して仮付け溶接することにより製作される。
なお、屋根ブロック40については、治具へのハニカム
パネル60の配置を、該治具の端部に設置した位置決め
突起を基準に順次配置することにより、行われる。
【0099】台枠30は、図40に示すように車体幅方
向両側に配置される側梁31の間に、横梁37,枕梁
(図示省略)を配置し、かつ、前記側梁31の端部に端
梁(図示省略)を配置しており、前記横梁37の間およ
び該横梁32と枕梁の間にハニカムパネル製の床板32
を設置した構成となっている。前記側梁31,横梁37
および端梁は、アルミ合金製押出し型材である。前記床
板32と横梁37との接合部は、図41に示すように、
横梁37間にハニカムパネル製床板32を嵌め込むこと
により構成され、気密溶接部38および裏面の隅肉溶接
部39を溶接することにより台枠30ができあがる。前
記横梁37およびハニカムパネル製床板32の溶接接合
作業は、室内側の気密溶接部38の溶接を車外側の隅肉
溶接部39の溶接に先行して実施する方が望ましい。
【0100】次に、前記ハニカムパネル60を用いて仮
付け溶接により組立た側ブロック20,屋根ブロック4
0,台枠30を筒状構体に組立る方法およびその設備に
ついて図42および図43により説明する。図42は、
回転装置500の上に構体回転組立治具502を介して
筒状の構体10を回転可能に支持した状況を示す。構体
組立回転治具502は2分割できる構造となっており、
台枠および側構体に対応する下側部分と側構体および屋
根構体に対応する上側部分とからなる。構体組立回転治
具502の下側部分は、該治具の上側部分と接合しない
状態で、台枠30および側ブロック20を支える。そし
て、該両側の側ブロック20の上部に屋根構体40を仮
付け溶接により接合して筒状の構体10を組み立てる際
の治具を兼ねるものである。次に、前記構体組立回転治
具502の下側部分に支えられた状態で組み立てられた
構体10に、構体組立回転治具502の上側部分をかぶ
せ、各治具を互いに接合して該構体10を回転可能な状
態に支持する。前記構体組立回転治具502は、その外
周面をほぼ真円に形成されており、内周面を筒状の構体
10の幅方向断面における外周表面形状に一致させた形
状となっており、構体断面形状の保持および拘束を兼ね
あわせた治具となっている。
【0101】次に、図43によって筒状の構体10の溶
接状況すなわち前記ハニカムパネル60同士の接合部お
よび各構体ブロック間の接合部を本溶接によって接合す
る状況を説明する。まず、溶接装置は、構体10の外表
面における接合部溶接用として、門型をなし車体長手方
向に移動可能に構成された走行装置503と、該走行装
置503に対して車体幅方向に移動可能に設置された溶
接装置505からなる。前記走行装置503および溶接
装置505は、数値制御によって自動的に作業を行なう
ものである。また、構体10の内面側のハニカムパネル
60同士および各構体ブロック間の接合は、構体10の
内部にその長手方向を車体長手方向に伸ばして配置され
る走行用レール504と、該走行用レール504に沿っ
て車体長手方向に移動できるとともに上下,左右方向お
よび溶接角度を調節可能に前記走行レール504に設置
された溶接装置506によって行なわれる。該溶接装置
506は、前記各接合部分の本溶接を行なうものであ
り、その制御は数値制御によって自動溶接を行なう。な
お、前記溶接装置505および溶接装置506の溶接方
法は、MIG溶接,自動TIG溶接或いはレ−ザ−溶接
のいずれも使用できるものである。
【0102】溶接作業方法は、構体10の車体長手方向
における溶接の場合、回転装置500によって構体回転
組立治具502で支持した筒状構体10を、作業を実行
しようとする溶接線の開先がほぼ上方を向くような状態
で固定し、溶接装置505を車体長手方向に移動させな
がら下向きで溶接を行う。構体10の内面についても同
様に、接合部の溶接線の開先がほぼ上方を向くような状
態で、溶接装置506によって下向きで溶接を行なう。
構体10の断面方向の溶接は、溶接装置505について
上下方向の制御を行なうとともに、この上下方向の制御
に同期させて回転装置500を制御することにより、該
構体10を回転させながら溶接を行う。構体10の内面
における接合部分も同様に、溶接装置506の上下およ
び角度の制御を行なうとともに、該溶接装置506の制
御に同期させて回転装置500を制御することにより、
該構体10を回転させながら溶接を行う。なお、前記構
体10の外周表面および内面の溶接を同時に行なうと、
作業効率を向上させることができる。この場合、基本的
に車体長手方向に伸びる溶接線を車体幅方向すなわち車
体周方向に伸びる溶接線に対して先行して行なう。ま
た、前記構体10の外周表面および内面の溶接は、基本
的に外周表面を内面に先行して行なう方が、構体10の
外周表面に発生する歪を抑制する観点等から有利であ
る。
【0103】前述ようにして完成した筒状の構体10に
対して、艤装作業を効率的に行なうための艤装構造につ
いて、図44および図45により説明する。図44は前
記溶接作業が完了した構体10に、内部艤装品を支持す
るための艤装用レ−ル600を取付けた筒状の構体10
を示すものである。図45は、前記艤装用レール600
の取付構造を示したものである。同図において、艤装用
レ−ル600は、図44に示すように車体断面方向すな
わち周方向の所定位置に、車体長手方向に引き通して取
り付けられる。該艤装用レール600は、断面形状が略
C型をなしており、その溝内に頭部を嵌合し移動可能な
ボルトを介して艤装品を支持するものである。したがっ
て、艤装品は車体長手方向について寸法調整が可能であ
る。前記艤装用レール600は、室内に設置される天井
板、蛍光灯、ダクト、内張板、仕切、個室等の艤装品を
取付けるために供するものであって、その取付位置は前
記各艤装品をユニットとして構成し、複数の艤装用レー
ルに跨って支持されるように考慮して決定される。な
お、必要に応じて複数の前記艤装用レール600間に車
体周方向に跨るように別の支持固定具を設置し、該支持
固定具を介して例えば仕切壁部材等の大型艤装品を取付
てもよい。
【0104】前記艤装用レ−ル600に、艤装部品を前
記ボルトを用いた締結或いは、ユニット化した艤装品の
一端を引っかけ、かつ、他端を前記ボルト等の手段によ
って固定する等の方法で艤装するものである。前記艤装
用レ−ル600自体の構体10への取付構造は、ハニカ
ムパネル60の内部に予めろう付けされている骨部材6
03の部位に接着剤602と、ねじ,パネルの一方側の
面から取付作業できるボルトあるいはリベット等の締結
具601とを併用したリベットボンド法により取付け
る。これにより、強固な締結となり、艤装部材の締結に
も耐えることができる。骨部材603は、パネルの艤装
用レールの位置に対応させて、予め面板間に鑞付けされ
ており、艤装品を取り付ける場合に特に強度を必要とす
る個所に設けられている。艤装用レール600は、前記
筒状の構体10が完成した状態で、構体10の内部に設
置される走行レール401(図35)を用いて、該艤装
用レール専用の自動取付装置を用いて自動的に行なう。
すなわち、接合面に接着剤602を塗布した艤装用レー
ル600を構体10の内面の所定位置に位置決めし、下
穴加工を行なうとともに締結具601の締結作業を自動
的に行なう。なお、この艤装用レール600の取付作業
は各構体ブロックが完成した状態で、実施しても良い。
但し、該艤装用レール600に対して直交する溶接線に
ついては、設置以前に本溶接を行なう必要がある。
【0105】このようにして完成した筒状の構体10に
対して図46に示すように妻構体50を取付ける。すな
わち、構体組立の最終工程で妻構体50を取付る。取付
け方法は、位置決めの後、ア−ク溶接にて取付けるもの
である。前記妻構体50は、筒状の構体10の車体長手
方向端面を完全に覆う形状となっているが、前記筒状の
構体10を回転させながら行なう溶接作業における強度
を確保するために、妻構体をリング状の外周部分と貫通
路等の開口部を形成した中間部分とに分割して構成し、
仮付け溶接によって筒状の構体を製作した状態で前記リ
ング状の外周部妻部材を設置することも考えられる。
【0106】このように構体10を、ハニカムパネル6
0を仮付け溶接によって構体ブロックおよび筒状の構体
を製作することにより、各接合部分の溶接入熱による変
形が非常に少ないため、各ハニカムパネル60或いは各
構体ブロック間の位置決めおよび拘束を比較的簡単に行
なうことができ、作業性の向上が図れる。また、溶接部
における開先精度を確保できるとともに、構体ブロック
間で本溶接による接合を行なわないため、収縮,変形に
よる全体組立誤差が発生しない。構体ブロック自体の両
面溶接のための反転作業を行なう必要もなくなり、該構
体ブロック自体の精度向上を図ることができる。筒状の
構体10を本溶接する際においては、各ハニカムパネル
60同士或いは各構体ブロック同士で互いに変形を抑制
するため、最終的に構体10の歪を低減することができ
る。
【0107】また、筒状の構体10を構体回転組立治具
502を介して回転装置500によって回転させ、本溶
接部分を下向き溶接でしかも自動的に連続溶接すること
ができるため、溶接部の強度信頼性を十分確保すること
ができる。さらに、筒状の構体10に艤装用レール60
0を取付けることにより、該艤装用レール600の設置
位置が溶接の熱変形による影響を受けることがなく、ユ
ニット化した艤装品の取付けが、容易に、かつ、正確に
行なえる。また、構体10を筒状に構成した状態で、溶
接作業および艤装用レール600の取付け作業を行なう
ため、走行レール401を設置するだけで簡単に自動化
が行なえる。前記艤装用レール600は、その設置位置
の寸法精度を確保することができるため、ユニット化し
た艤装品を構体10に取付ける際に、両者の位置関係の
誤差が少ないため、構体内部で隣接した艤装品間での合
わせ作業を行なう必要がなく、艤装作業を効率良く行な
うことができる。したがって、従来行なっていた構体完
成後の内部艤装品を設置するためのタップ立て作業を廃
止することができる。
【0108】前記艤装レール600を用いて艤装品を取
付けることにより、該艤装品の取替えが容易に行なえ
る。このことは、鉄道車両を長期間使用して社内の艤装
品が劣化した場合に、艤装品を外して出入り口から搬出
し、新しい艤装品を出入り口から搬入して取付けるとい
う改修作業を行なうときに有利である。前記新しい艤装
品は、車体に取付けられている前記艤装レール600に
取付けることができるように構成されている。
【0109】前記艤装レール600は、車体の台枠、側
部及び屋根部を、中空の押出形材で製作する鉄道車両構
体においても同様の効果を達成することができる。すな
わち、前記中空押出形材は、その型材が配置される車体
部分において、車体の幅方向断面形状に一致した断面形
状に形成されている。前記押出形材の長手方向を車体長
手方向に沿って配置するるこの複数の押出形材を車体の
周方向に沿って並べ、これらを互いに溶接接合すること
によって構体を構成する。この中空押出形材によって構
成される鉄道車両構体も室内側面が平滑となっており、
前記艤装レールを先行して取付け、艤装品を前記艤装レ
ールを介して取付けることにより、前記実施例と同様の
効果を達成することができる。
【0110】また、前記中空押出形材に、一体に艤装用
レールを形成することも考えられる。この場合、前記艤
装レールを取付ける作業を行なわなくてよいため、前記
実施例よりも作業を簡略化できる。なお、艤装の改修作
業に関しては前記実施例と同様である。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、側ブロックは、キャン
バーを有した幕板部と腰板部を吹き寄せ部を介して接合
することによって、キャンバーを有した構造に成ってい
る。つまり、キャンバーを構成するために、一体化され
た側ブロックに塑性変形を与える必要が無い。従って、
側ブロックが完成した状態で、該ブロックを構成する幕
板部、腰板部及び吹き寄せ部自体及びこれらの接合部に
無用な応力が発生することが無いという効果がある。
た、本発明の幕板部、腰板部及び吹き寄せ部は、それぞ
れの縁部が窓開口部の縁をなしており、窓開口部を構成
するための窓枠部材に相当する特別な部材を用いる必要
が無く、部品点数の削減が図れるという効果がある。
【0112】また、本発明の他の特徴によれば、幕板部
と腰板部は、複数のパネルを車体長手方向に沿って並べ
て接合して構成されており、この幕板部と腰板部を吹き
寄せ部を介して接合して側ブロックが構成されている。
従って、複数のパネルによって側ブロックを構成する場
合に、窓枠部材を用いること無く窓開口部を構成するこ
とができるという効果がある。また、パネル自体に窓開
口部に相当する開口部を構成する構造ではないため、側
ブロックを構成するパネル自体の構造を簡単なものとす
ることができるという効果がある。 さらに、幕板部の車
体長手方向のパネル接合部及び腰板部の車体長手方向の
パネル接合部は、吹き寄せ部の車体長手方向中間部の位
置にそれぞれ配置されているため、膜板部及び腰板部の
前記パネル接合部に吹き寄せ部の前記中間部が接合さ
れ、前記各パネル接合部に対して前記吹き寄せ部が補強
板の役割を果たすことになる。従って、側ブロックの強
度向上を図ることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる車両構体の外観を示す
図である。
【図2】図1の車両構体のI−I断面を拡大して示す図
である。
【図3】本発明による車両構体の製造方法のステップの
一例を示す図である。
【図4】本発明において使用されるハニカム・パネルの
分解斜視図である。
【図5】図4のハニカム・パネルの平面図である。
【図6】ハニカム・パネルの他の例の要部拡大断面図で
ある。
【図7】ハニカム・パネルの他の例の要部断面図であ
る。
【図8】トリミング加工のステップの一例を示す図であ
る。
【図9】図8のトリミング加工の説明図である。
【図10】ブロック組合せのステップに用いる治具の一
例を示す図である。
【図11】ブロック組合せのステップにおける、側ブロ
ックの組合せの一例を示す図であり、(b)は(a)の
B−B断面の拡大図である。
【図12】屋根ブロックの溶接における反転溶接に用い
る治具の一例を示す図である。
【図13】溶接ステップを説明する図である。
【図14】図13の溶接条件を説明する図である。
【図15】図13の溶接条件を説明する図である。
【図16】ブロック溶接におけるパネル溶接部の冷却構
造を示す図である。
【図17】ブロック溶接におけるパネル溶接部の冷却構
造を示す図である。
【図18】艤装ラグ取付座の例を示すパネル斜視図であ
る。
【図19】図18の艤装ラグ取付座部分の拡大断面図で
ある。
【図20】艤装ラグ取付装置の斜視図である。
【図21】艤装ラグ取付座の他の例を示す断面図であ
る。
【図22】ブロックに断熱材を貼付ける装置を示す図で
ある。
【図23】構体の組立装置の縦断面を示す図である。
【図24】構体の組立状態を示す斜視図である。
【図25】本発明の第二の実施例による車両の製造方法
のステップを示す図である。
【図26】パネルを組合せ溶接し屋根ブロックを製作す
る方法を示す。
【図27】長尺ブロック組合せ装置の鳥観図を示す。
【図28】ハニカム・パネルを反転させずに2面溶接す
る方法を示す図である。
【図29】トリミング加工装置の鳥観図を示す。
【図30】パネルを組合せ溶接して側ブロックを製作す
る方法を示す図である。
【図31】側ブロック組合せ装置の鳥観図を示す。
【図32】ハニカムパネルを片側から溶接している状態
を示す図である。
【図33】レ−ル方式の艤装取付座の鳥観図を示す。
【図34】本発明の第三の実施例による車両の製造方法
のステップを示す図である。
【図35】第三の実施例における艤装取付座の取付け状
況を示す図である。
【図36】本発明の第四の実施例による車両構体の組立
ステップを示した図である。
【図37】第四の実施例で用いられる側ブロックの組立
治具を示した斜視図である。
【図38】図37の治具によって組み立てられた側ブロ
ックを示した斜視図である。
【図39】組み立てられ、仮溶接された側ブロックの正
面図である。
【図40】第四の実施例の方法によって製作される台枠
の一例を示した斜視図である。
【図41】図40の台枠における床板と横梁との結合部
を示した断面図である。
【図42】第四の実施例における構体の組立て装置を示
す斜視図である。
【図43】第四の実施例における構体の本溶接状況を示
す正面図である。
【図44】第四の実施例において、艤装用レールを設置
した構体を示す正面図である。
【図45】図44に示した構体の艤装用レールの取付け
構造を示した断面図である。
【図46】第四の実施例における妻ブロックの取付状況
を示した斜視図である。
【符号の説明】
10…車両構体、20…側ブロック、30…台枠、40
…屋根ブロック、50…妻ブロック、60…ハニカム・
パネル、61…ハニカム・コア、62…外部結合部材、
63…強度部材、64,65…面板、66…補強コア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 康司 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所 笠戸工場内 (72)発明者 高山 領一 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所 笠戸工場内 (72)発明者 服部 守成 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所 笠戸工場内 (72)発明者 大原 守 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所 笠戸工場内 (72)発明者 竹中 剛 山口県下松市東豊井794番地 株式会社 日立製作所 笠戸工場内 (56)参考文献 特開 平3−90468(JP,A) 特開 昭58−116260(JP,A) 特開 平5−139296(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の側ブロック、屋根ブロック、一対の
    妻ブロック及び台枠からなり、前記側ブロックは、複数
    のパネルを接合して形成されており、前記パネルは、一
    対の面板とコアと結合部材から構成されており、前記コ
    アは前記一対の面板の間に配置され、前記結合部材は前
    記一対の面板の間で前記コアの外周部に沿って配置され
    ており、一対の面板、コア、結合部材はろう材によって
    一体に接合された鉄道車両において、 前記側ブロックは、複数の前記パネルを車体長手方向に
    キャンバーに沿って並べて接合した幕板部と、複数の前
    記パネルを車体長手方向にキャンバーに沿って並べて接
    合した腰板部と、複数の吹き寄せ部とからなり、 前記幕板部と腰板部は窓開口部の車体周方向寸法に相当
    する間隔を隔てて配置されており、前記各吹き寄せ部は
    前記幕板部と腰板部との間に配置され、該吹き寄せ部は
    前記幕板部及び腰板部に接合されており、 前記幕板部の腰板側の縁部、前記腰板部の幕板側の縁
    部、前記吹き寄せ部の車体長手方向の縁部がそれぞれ窓
    開口部の縁部をなしていること、 を特徴とした鉄道車両。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鉄道車両おいて、 前記吹き寄せ部の車体周方向長さは窓開口部の車体周方
    向寸法に実質的に一致しており、前記吹き寄せ部は、前
    記幕板部及び腰板部の窓開口部の縁部を車体長手方向に
    延長した位置で、該幕板部及び腰板部に接合されている
    こと、 を特徴とした鉄道車両。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の鉄道車両おい
    て、前記幕板部の車体長手方向のパネル接合部及び腰板
    部の車体長手方向のパネル接合部は、前記吹き寄せ部の
    車体長手方向中間部の位置にそれぞれ配置されているこ
    と、 を特徴とした鉄道車両。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の鉄道車両において、前記
    幕板部及び腰板部の各パネルの接合位置を、車体長手方
    向について一致させたこと、 を特徴とする鉄道車両。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の鉄道車両におい
    て、 前記各パネルは、該パネルの全周にわたり前記面板と前
    記結合部材を重ねて接合した接合端部を有しており、 前記結合部材を窓開口部の縁部としたこと、 を特徴とする鉄道車両。
  6. 【請求項6】 一対の側ブロック、屋根ブロック、一対の
    妻ブロック及び台枠からなり、前記側ブロックは、複数
    のパネルを接合して形成されており、前記パネルは、一
    対の面板とコアと結合部材から構成されており、前記コ
    アは前記一対の面板の間に配置され、前記結合部材は前
    記一対の面板の間で前記コアの外周部に沿って配置され
    ており、一対の面板、コア、結合部材はろう材によって
    一体に接合された鉄道車両において、 前記側ブロックは、複数の前記パネルを車体長手方向に
    並べて接合した幕板部と、複数の前記パネルを車体長手
    方向に沿って並べて接合した腰板部と、複数の吹き寄せ
    部とからなり、 前記幕板部と腰板部は窓開口部の車体周方向寸法に相当
    する間隔を隔てて配置されており、前記各吹き寄せ部は
    前記幕板部と腰板部との間に配置され、該吹き寄せ部は
    前記幕板部及び腰板部に接合されており、 前記幕板部の腰板側の縁部、前記腰板部の幕板側の縁
    部、前記吹き寄せ部の車体長手方向の縁部がそれぞれ窓
    開口部の縁部をなしており、 前記幕板部の車体長手方向のパネル接合部及び前記腰板
    部の車体長手方向のパネル接合部は、前記吹き寄せ部の
    車体長手方向中間部の位置にそれぞれ配置されているこ
    と、 を特徴とした鉄道車両。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の鉄道車両おいて、 前記吹き寄せ部の車体周方向長さは窓開口部の車体周方
    向寸法に実質的に一致しており、前記吹き寄せ部は、前
    記幕板部及び腰板部の窓開口部の縁部を車体長手方向に
    延長した位置で、該幕板部及び腰板部に接合されている
    こと、 を特徴とした鉄道車両。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の鉄道車両において、前記
    幕板部及び腰板部の各パネルの接合位置を、車体長手方
    向について一致させたこと、 を特徴とする鉄道車両。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の鉄道車両において、 前記各パネルは、該パネルの全周にわたり前記面板と前
    記結合部材を重ねて接合した接合端部を有しており、 前記結合部材を窓開口部の縁部としたこと、 を特徴とする鉄道車両。
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