JP2722515B2 - 粒子分散強化型酸化物セラミックス複合材およびその製造方法 - Google Patents

粒子分散強化型酸化物セラミックス複合材およびその製造方法

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JP2722515B2 JP63216857A JP21685788A JP2722515B2 JP 2722515 B2 JP2722515 B2 JP 2722515B2 JP 63216857 A JP63216857 A JP 63216857A JP 21685788 A JP21685788 A JP 21685788A JP 2722515 B2 JP2722515 B2 JP 2722515B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は酸化物とセラミックス焼結体を粒子分散によ
りさらに強化し、特に破壊靭性値を驚異的に向上させ、
レシプロエンジンのシリンダライナー、ピストンリング
あるいはガスタービンエンジンのタービン動翼等への応
用が期待されるセラミックス複合材料とその製造方法に
関するものである。
[従来の技術] セラミックスは金属材料よりも優れた耐熱性、耐酸化
性を有し、さらに断熱性にも優れているので、金属に代
わる耐熱構造材料として注目されてきた。しかしなが
ら、セラミックスは共有結合やイオン結合で構成されて
おり、金属材料のように転位によって変形したり伸びる
ことが出来ず、材料内部の微少な欠陥や表面のきずに応
力の集中が起こり、容易に破壊されるので、非常に脆
く、破壊靭性に劣るという欠点がある。
脆性破壊に対する材料の抵抗性は、一般に破壊靭性値
KICにより示されるが、例えば窒化珪素材料のKICは5〜
7MN/m3/2であり、金属材料の中で比較的脆いと言われる
アルミニウム合金の34MN/m3/2に比べても極めて低い。
セラミックスをエンジニアリングセラミックスとしてレ
シプロエンジンあるいはガスタービンエンジンに応用し
ていくためには、少なくとも破壊靭性値を10MN/m3/2
上にする必要がある。
そのために、この構造用セラミックスの脆さを改善す
るために、種々の手法が研究されてきたが、その中でも
セラミックスマトリックス中にいろいろの粒子を混合分
散させる粒子分散強化法が注目されている。例えば、Al
2O3マトリックス中に単斜晶または正方晶ZrO2を分散さ
せたもの、あるいはSiCマトリックス中にTiC粒子を分散
させたものが発表されている。
粒子分散によるセラミックスの破壊靭性向上の機構
は、クラック・デフレクション、マイクロクラッキング
および応力誘起変態などが挙げられる。
クラック・デフレクションは、マトリックスと分散相
の靭性や熱膨張率などの違いにより、クラックが分散相
の回りをジグザグに折れ曲がって進むため、クラックの
伝播に必要なエネルギーが消耗され靭性が向上するもの
である。
マイクロクラッキングは、分散相とマトリックスの熱
膨張の差により、分散相の廻りに歪みが生じ、多数のク
ラックが発生するため、主クラックの先端が微細クラッ
クの生じた領域に進むと、微細クラック同志の結合や新
たな発生により、弾性率が低下して、主クラックの先端
の応力が減少するものである。
応力誘起変態は、ZrO2を分散させた場合クラック先端
の引っ張り応力により誘起されて応力誘起変態が起こ
り、この相変態の際の体積膨張に伴う圧縮応力により、
クラック先端の引っ張り応力が低減するものである。
Al2O3マトリックス中に単斜晶または正方晶ZrO2を分
散させた前者の例では、応力誘起による変態強化とマイ
クロクラッキング強化の2つが主として考えられ、SiC
マトリックス中にTiC粒子を分散させた後者の例では、
クラック・デフレクションにより強化されるものと考え
られる。
[発明が解決しようとする課題] セラミックマトリックスが粒子分散により強化される
機構が以上述べたようなものであるので、この粒子分散
強化を効果的に発生させるためには、多結晶体であるセ
ラミック焼結体の粒界面に分散される粒子ができるだけ
微細でしかも均一に分散されることが望ましいことは明
らかである。
しかしながら、従来から行なわれている粒子分散の手
法は、粒子混合によるものであり、均一な分散が不可能
であり、また微細な粒子の調製が困難であった。そのた
め従来からセラミックマトリックスに微細な粒子を均一
に分散させる手法の開発が望まれていた。
本発明は粒子分散強化型セラミックス複合材の前記の
ごとき問題点を解決すべくなされたもので、セラミック
マトリックス中に微細な分散粒子が分散されて、強度お
よび破壊靭性の優れた粒子分散強化型酸化物セラミック
ス複合材およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 発明者は前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結
果、有機金属高分子を使用し、マトリックスとなるセラ
ミックス粒子表面にコーディングし、ついで熱化学反応
によりセラミック化し、微粒子を分散する手法を着想
し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の粒子分散強化型酸化物セラミック
ス複合材は、酸化物セラミッマトリックスと、前記セラ
ミックマトリックス粒界に分散された超微細非酸化物セ
ラミックス粒子とからなり、クラック・デフレクション
により破壊靭性が強化されたことを要旨とする。
また、本発明の製造方法は、有機金属高分子を溶解し
た溶液中にマトリックスとなる酸化物セラミックス粒子
を分散させ分散液を調製する工程と、前記分散液の溶剤
を揮発させたのち前記分散液中の有機金属分子を不融化
する工程と、前記工程で得られた混合物を微粉砕して焼
結原料を調製する工程と、前記焼結原料を成形後不活性
ガス中で加圧または常圧で、あるいはホットプレス焼結
法またはHIP焼結法により焼結工程とからなり、クラッ
ク・デフレクションにより破壊靭性が強化されたことを
要旨とする。
粒子分散によりマトリックスの強化は、Si3N4−TiCの
知見から予測されるように、20〜25容量%において最大
の効果が得られる。
分散される粒子の粒径はクラック・デフレクションの
考え方からすれば、マトリックスの粒界に均一に微細な
状態で存在することが有効である。本発明においてセラ
ミックマトリックスの粒界に分散する超微細セラミック
粒子は少なくとも、サブミクロンのオーダーのものをい
う。分散する粒子がこれ以上大きいと、曲げ強度および
破壊靭性の向上が見られないからである。
粒子分散の手法は、粉末混合法では均一分散が困難で
あり、超微細な粒子の作成が困難であるため、有機金属
高分子の熱分解を利用する方法が最も適切である。すな
わち、珪素などセラミックを形作る金属元素を含む有機
金属高分子を不活性雰囲気中で熱分解すると、有機成分
が離脱し、炭化物あるいは窒化物が得られる。有機金属
高分子には、例えばポリシロキサン、ポリシラザン、ポ
リカルボシラン、ポリシラスチレンなどがあり、ポリカ
ルボシランは(1)式のように炭化珪素を生成し、ポリ
シラザンからは(2))式のように窒化珪素が得られ
る。
(SiH(CH3)・CH2)n→SiC (1) (SiRR′NH2)n→Si3N4 (2) 有機金属高分子はマトリックスとなるセラミックス粒
子表面にコーティングし、ついで熱化学反応によりセラ
ミックス化し微粒子を分散させる手法をとる。そのた
め、有機金属高分子を溶剤(トルエン、キシレン等)に
溶解させ、その中にマトリックスとなるセラミックス粒
子を混合しマトリックス粒子表面に有機金属高分子をコ
ーティングする。この方法によりセラミック粒子の表面
に有機ポリマー層を作成させ、これをセラミック化する
ことで非常に微細かつ均一な分散が可能となった。
有機高分子をコーティングしたセラミック材料は、窒
素ガスあるいはアルゴンガス、あるいは窒化ガスとアン
モニアガスの混合ガス気流中700〜800℃にて、有機金属
高分子を不融化し、マトリックスとなるセラミック粒子
表面に微細粒子の前段階となるガラス化されたセラミッ
ク層を生成させる。
有機金属高分子を不融化した後、混合物は溶剤(トル
エン、キシレン、アルコール類等)中において、高純度
アルミナ質玉石、窒化珪素質玉石、あるいは炭化珪素玉
石等を使用し、ポットミルまたはボールミルで微粉砕を
行う。これは不融化処理時固形化した粒子をほぐす工程
をも含んでいる。
ほぐしあるいは微粉砕の終了した混合物は、溶剤を含
んでいるため、オーブンあるいはホットプレートあるい
は真空処理により溶剤を揮発させて超微細粒子の付着し
た焼結原料が得られる。
焼結原料の成形は、2軸加圧プレス、等方圧プレス
(C.I.P)いずれを用いても良い。また、焼結体の焼結
は、ガス加圧焼結(〜9.8kg/cm2G)、常圧焼結(気流
下)、熱間プレス(ホットプレス、HP)あるいは熱間等
方圧プレス(HIP)等の単独あるいは組み合わせで行
う。その際使用するガスは、通常窒素ガス、アルゴンガ
ス、特別な場合は(酸化物と酸化物の組み合わせ)空気
雰囲気で操作する場合がある。
焼結原料をそのままの状態で、あるいは予備成形後ホ
ットプレスする場合は、使用する等方性黒鉛内部にBN
(窒化ほう素)のコーティングをする。また、予備焼結
後ホットプレスする場合は、予備焼結品にBNコーティン
グをして、黒鉛型中に入れて焼結すると良い。
[作用] 本発明の粒子分散強化型酸化物セラミックス複合体
は、超微細非酸化物セラミックス粒子が粒界に分散して
いるのでクラック・デフレクションが極めて増幅されて
起こり、破壊靭性が著しく向上する。また、極めて微細
な分散相の周囲にはクラックが多数微細に発生するの
で、マイクロクラッキングによる破壊エネルギーに消耗
が極めて効果的に起こり、曲げ強度および破壊靭性を著
しく向上する。
本発明の製造方法では、有機金属高分子を溶解した溶
液中にマトリックスとなる酸化物セラミックス粒子を分
散させ分散液を調製する工程により、セラミック粒子表
面に有機ポリマー層を作成させ、これをセラミック化す
ることで、非常に均一なコーティングが可能となった。
また、前記分散液の溶剤を揮発させたのち前記分散液
中の有機金属高分子を不融化する工程により、マトリッ
クスとなるセラミック粒子表面に超微細セラミック粒子
の前段階となるガラス化したセラミック層が生成する。
前記工程で得られた混合物を微粉砕して焼結原料を調
製する工程により、不融化処理時に固形化した粒子をほ
ぐすことができる。
焼結は、ガス加圧焼結(〜9.8kg/cm2G)、常圧焼結
(気流下)、熱間プレス(ホットプレス、HP)あるいは
熱間等方圧プレス(HIP)等の単独あるいは組み合わせ
で行うことにより、コーティングの熱化学反応により、
ガラス化したセラミック層は超微細なセラミック粒子と
なって、マトリックスとなるセラミック粒子の粒界に分
散する。焼結原料はガス加圧焼結または常圧焼結でも焼
結されるが、マトリックスとなるセラミック粒子には同
種または異種の超微細セラミック粒子が介在するので、
難焼結性となっていため、焼結は熱間プレス(HP)焼結
方により焼結する方が望ましい。熱間等方圧プレス焼結
を行えば、さらに強靭な焼結体を得ることができる。
[実施例] 本発明の好適な実施例を以下に説明し、本発明をさら
に具体的に明らかにするが、本発明が以下に述べる実施
例の記載によって何等限定解釈されるものではない。
(実施例1) 溶剤としてトルエン110g中に日本曹達(株)製のポリ
シラスチレン(商品名;PSS−400)42gを溶解させた。こ
の溶液を別に用意した内容積500ccのポリエチレン製ポ
ットに入れ、アルミナ粉末(住友化学(株)製 商品
名;AKP−30)122.5gを添加した。次いでこれに12.5mmφ
の高アルミナ質シリンダ型玉石を300g入れ、ポット蓋を
閉じ、ポットを50rpmにて回転し、16時間混合して分散
液を調製した。
この分散液をステンレストレイに入れ、このステンレ
ストレイを120℃に保持したホットプレートに乗せ5時
間かけて大部分の溶剤を揮発させた。さらに、50℃に保
持されたオーブンに入れ12時間かけて大部分の有機溶剤
を除去した。
続いてケーキ状になった調合物を不融化処理(熱化学
反応によるセラミック化)処理を行った。不融化処理は
窒素ガス加圧下(〜5kg/cm2G)5℃/時間の温度勾配で
600℃まで昇温し、完全にガラス化した。
不融化された調合物は不融化処理により固形化してい
るため、プレス成形にかけたり、あるいは焼結したりで
きる状態でないため、500ccのポリエチレンポットにト
ルエン110gを入れ、その中に不融化した調合物と12.5mm
φのシリンダ型高アルミナ質玉石を300g入れ、16時間粉
砕を行った。
微粉砕した調合物はステンレストレイに取り出し、12
0℃に保持されているホットプレートに乗せ、大部分の
有機溶剤を揮発させた。ついで100℃に保持されている
オーブンの中に入れ、12時間かけて完全に有機溶剤を揮
発させ、成形あるいは焼結用のセラミック原料を得た。
得られた焼結原料からガス加圧焼結品を得るため、焼
結原料を25mm×50mmの金型に40g投入し、高さを平均化
して2軸加圧プレスで500kg/cm2の加圧にて予備成形し
た。この成形物をビニール袋に入れ、真空に引っ張って
シーラにて密封した。これを等方圧プレス成形用に加圧
円筒に入れ、1500kg/cm2Gにて加圧し、等方圧プレス成
形をし、焼結用成形品とした。
焼結用成形品はカーボン匣鉢に入れ、カーボン目砂
(東海カーボン(株)製、MS(#80〜#150))に埋め
ガス加圧炉中にセットした。焼結条件は150℃/時間
で、1650℃まで昇温し、2時間保持し、その後除冷し
た。ガス条件は1200℃まで真空にし、その後アルゴンガ
ス2kg/cm2Gで加圧してガス加圧焼結体を得た。
次に、ホットプレスによる焼結体を得るため、前記で
得られた焼結原料を25mm×50mmの金型中に40g投入し、
高さを平均化して2軸加圧プレスで500kg/cm2の加圧に
て予備成形した。この成形物をビニール袋に入れ、真空
に引っ張ってシーラにて密封した。これを等方圧プレス
成形用に加圧円筒に入れ、1500kg/cm2Gにて加圧し、等
方圧プレス成形をし、焼結用成形品とした。
続いて、等方性カーボンで作成したホットプレス用型
の内面にBN(窒化硼素)をコーティングし、生成形品を
型中に入れ、型の隙間にカーボン目砂(東海カーボン
(株)製、MS(#80〜#150))を入れ、上部より加圧
用ダイスをセットしホットプレス炉中に固定した。
焼結は250℃/時間で1650℃まで昇温し、2時間保持
し、その後除冷した。ガス条件は、常温でアルゴンガス
と置換後、常圧で行った。プレス加圧は1500℃より300k
g/cm2かけ、降温時1500℃で解除した。
次に、熱間等方圧プレスによる焼結体を得るため、ガ
ス加圧焼結で作成した焼結体を熱間等方圧プレス処理を
行った。条件は500℃/時間の昇温で1650℃まで加熱
し、1時間保持し、冷却をした。ガスおよび加圧条件
は、昇圧先行型とし、常温でアルゴンガス置換後、1,00
0atmに昇圧し、その後加熱処理を行った。
得られたガス加圧焼結体、ホットプレス焼結体および
熱間等方圧焼結体について曲げ強度および破壊靭性値K
ICを測定し結果を第1表に示した。また、焼結によりマ
トリックスセラミックスの粒子成長が見られるかどうか
顕微鏡にて観察した。
第1表より明らかなように、アルミナマトリックス界
面に炭化珪素粒子を分散させた粒子分散強化型複合材
は、ガス加圧焼結の場合を除いて、モノリシック素材
(曲げ強度35kg/mm2、KIC3.8MN/m3/2)に比較し、曲げ
強度およびKIC共に著しく向上した。
また、特に興味があるのは、粒界に炭化珪素を分散さ
せることで、粒成長が抑制されていることである。
(実施例2) 溶剤としてトルエン87.4g中にチッソ(株)製のポリ
シラザン(商品名;HCP−200、トルエン溶液65%含有
品)64.6gを溶解させた。この溶液を別に用意した内容
積500ccのポリエチレン製ポットに入れ、アルミナ粉末
(住友化学(株)製 商品名;AKP−30)122.5gを添加し
た。次いでこれに12.5mmφの高アルミナ質シリンダ型玉
石を300g入れ、ポット蓋を閉じ、ポットを50rpmにて回
転し、16時間混合して分散液を調製した。
以後は実施例1と全く同じ方法で焼結原料を調製し、
実施例1と全く同じ方法でガス加圧焼結体、ホットプレ
ス焼結体および熱間等方圧プレス焼結体を得た。得られ
た焼結体について曲げ強度および破壊靭性KICについて
測定した。また、マトリックス粒子の粒成長についても
観察した。測定した結果は第2表に示した。
第2表より明らかなように、アルミナマトリックス界
面に窒化物粒子を分散させた粒子分散強化型複合材は、
ガス加圧焼結の曲げ強度を除いて、モノリシック素材
(曲げ強度35kg/mm2、KIC3.8MN/m3/2)に比較し、曲げ
強度およびKIC共に著しく向上した。
また、粒界に窒化珪素を分散させることにより、実施
例1と同様にアルミナマトリックスの粒成長が抑制され
ていることが観察された。
(実施例3) 溶剤としてトルエン110g中に日本曹達(株)製のポリ
シラスチレン(商品名;PSS−400)42gを溶解させた。こ
の溶液を別に用意した内容積500ccのポリエチレン製ポ
ットに入れ、ムライト粉末(秩父セメント(株)製、高
純度ムライト)98gを添加した。次いでこれに12.5mmφ
の高アルミナ質シリンダ型玉石を300g入れ、ポット蓋を
閉じ、ポットを50rpmにて回転し、16時間混合して分散
液を調製した。
以後は実施例1と全く同じ方法で焼結原料を調製し、
実施例1と全く同じ方法でガス加圧焼結体、ホットプレ
ス焼結体および熱間等方圧焼結体を得た。得られた焼結
体について曲げ強度および破壊靭性KICについて測定し
た。また、マトリックス粒子の粒成長についても観察し
た。測定した結果は第3表に示した。
第3表より明らかなように、ムライトマトリックス界
面に炭化珪素粒子を分散させた粒子分散強化型複合材
は、ガス加圧焼結の場合の曲げ強度を除いて、モノリシ
ック素材(曲げ強度38〜42kg/mm2、KIC1.8〜2.2MN/
m3/2)に比較し、曲げ強度およびKIC共に著しく向上し
た。
また、粒界に炭化珪素を分散させることにより、実施
例1と同様にムライトマトリックスの粒成長が抑制され
ていることが観察された。
(実施例4) 溶剤としてトルエン87.4g中にチッソ(株)製のポリ
シラザン(商品名;HCP−200、トルエン溶液65%含有
品)64.6gを溶解させた。この溶液を別に用意した内容
積500ccのポリエチレン製ポットに入れ、ムライト粉末
(秩父セメント(株)製、高純度ムライト)98gを添加
した。次いでこれに12.5mmφの高アルミナ質シリンダ型
玉石を300g入れ、ポット蓋を閉じ、ポットを50rpmにて
回転し、16時間混合して分散液を調製した。
以後は実施例1と全く同じ方法で焼結原料を調製し、
実施例1と全く同じ方法でガス加圧焼結体、ホットプレ
ス焼結体および熱間等方圧焼結体を得た。得られた焼結
体について曲げ強度および破壊靭性KICについて測定し
た。また、マトリックス粒子の粒成長についても観察し
た。測定した結果は第4表に示した。
第4表より明らかなように、ムライトマトリックス界
面に窒化物粒子を分散させた粒子分散強化型複合材は、
ガス加圧焼結の曲げ強度を除いて、モノリシック素材
(曲げ強度38〜42kg/mm2、KIC1.8〜2.2MN/m3/2)に比較
し、曲げ強度およびKIC共に著しく向上した。
また、粒界に窒化珪素を分散させることにより、実施
例1と同様にムライトマトリックスの粒成長が抑制され
ていることが観察された。
[発明の効果] 本発明の粒子分散強化型酸化物セラミックス複合材
は、以上説明したように、マトリックスとなるセラミッ
クスの粒界にマトリックスと超微細非酸化物セラミック
ス粒子を分散させたものであり、超微細非酸化物セラミ
ックス粒子が粒界に分散しているのでクラック・デフレ
クションが極めて増幅されて起こり、破壊靭性が著しく
向上する。また、極めて微細な分散相の周囲にはクラッ
クが多数微細に発生するので、マイクロクラッキングに
よる破壊エネルギーに消耗が極めて効果的に起こり、曲
げ強度および破壊靭性を著しく向上する。
また、本発明の粒子分散強化型酸化物セラミックス複
合材の製造方法では、有機金属高分子をマトリックスと
なるセラミックス粒子にコーティングした後、不融化し
焼結する工程において、有機金属高分子の熱化学反応
で、マトリックス粒子の表面に超微細なセラミックス粒
子を得るものである。そのため、極めて微細かつ均一に
強化粒子を分散が可能であり、複合材を安定的に製造で
きる点で優れたものである。
また、本発明においては焼結界面に異物質が介在する
ことでマトリックス粒子の異常成長が抑制できるという
副次的な効果があり、これにより曲げ強度および破壊靭
性に寄与すると考えられ、当然のことながら併せて表面
硬さの向上および耐摩耗性向上にも寄与するものであ
る。
このように、本発明の粒子分散強度型酸化物セラミッ
クス複合材は、破壊靭性が従来のモノリシック材料より
も数段優れたものであるため、レシプロエンジン、ガス
タービンエンジン等の熱機関用の構造材としても極めて
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 芳基 愛知県名古屋市瑞穂区牛巻町3番18号 牛巻団地5棟701号 (72)発明者 岩田 美佐男 愛知県名古屋市天白区平針3丁目1806番 地 (72)発明者 山田 隆夫 愛知県西加茂郡三好町大字筋生字川岸手 37番地の8 (56)参考文献 特開 昭62−143867(JP,A) 特開 昭62−46950(JP,A) 特開 昭62−3065(JP,A) 特開 昭63−236755(JP,A) 特開 平1−320263(JP,A) 特開 昭61−146762(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物セラミックマトリックスと、前記セ
    ラミックマトリックス粒界に分散された超微細非酸化物
    セラミックス粒子とからなり、クラック・デフレクショ
    ンにより破壊靭性が強化されたことを特徴とする粒子分
    散強化型セラミックス複合材。
  2. 【請求項2】有機金属高分子を溶解した溶液中にマトリ
    ックスとなる酸化物セラミックス粒子を分散させ分散液
    を調製する工程と、前記分散液の溶剤を揮発させたのち
    前記分散液中の有機金属高分子を不融化する工程と、前
    記工程で得られた混合物を微粉砕して焼結原料を調製す
    る工程と、前記焼結原料を成形後不活性ガス中で加圧ま
    たは常圧で焼結する工程とからなり、クラック・デフレ
    クションにより破壊靭性が強化されたことを特徴とする
    粒子分散強化型酸化物セラミックスの製造方法。
  3. 【請求項3】有機金属高分子を溶解した溶液中にマトリ
    ックスとなる酸化物セラミックス粒子を分散させ分散液
    を調製する工程と、前記分散液の溶剤を揮発させたのち
    前記分散液中の有機金属高分子を不融化する工程と、前
    記工程で得られた混合物を微粉砕して焼結原料を調製す
    る工程と、前記焼結原料を成形後熱間プレス(HP)焼結
    法により焼結する工程とからなり、クラック・デフレク
    ションにより破壊靭性が強化されたことを特徴とする粒
    子分散強化型酸化物セラミックスの製造方法。
  4. 【請求項4】有機金属高分子を溶解した溶液中にマトリ
    ックスとなる酸化物セラミックス粒子を分散させ分散液
    を調製する工程と、前記分散液の溶剤を揮発させたのち
    前記分散液中の有機金属高分子を不融化する工程と、前
    記工程で得られた混合物を微粉砕して焼結原料を調製す
    る工程と、前記焼結原料を成形後熱間等方圧プレス(HI
    P)焼結法により焼結する工程とからなり、クラック・
    デフレクションにより破壊靭性が強化されたことを特徴
    とする粒子分散強化型酸化物セラミックスの製造方法。
JP63216857A 1988-08-31 1988-08-31 粒子分散強化型酸化物セラミックス複合材およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2722515B2 (ja)

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