JP2721799B2 - 機械の異常判定方法 - Google Patents

機械の異常判定方法

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JP2721799B2 JP7578794A JP7578794A JP2721799B2 JP 2721799 B2 JP2721799 B2 JP 2721799B2 JP 7578794 A JP7578794 A JP 7578794A JP 7578794 A JP7578794 A JP 7578794A JP 2721799 B2 JP2721799 B2 JP 2721799B2
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SHIKOKU DENRYOKU KK
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  • Testing Or Calibration Of Command Recording Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発電機などの産業機
械の異常を判定するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電機などの産業機械は、熱や振動を発
しながら回転運動等を行なっており、過剰な発熱や振動
等の異常事態に対処するため、運転中の機械の温度や振
動等から機械の状態特性値を検出し、その状態特性値の
変化により異常発生を監視する手段が求められる。
【0003】従来の状態特性値の検出は、温度センサー
や振動センサー等により温度や振動等の状態量を測定
し、その測定値を機械の状態特性値として異常の判定を
行なう方法をとっている。すなわち、従来の方法では、
温度や振動等の状態量の測定値をそのまま機械の状態特
性値とするものであり、それを用いて任意に設定した許
容値と比較し、許容値を越えたとき異常と判定してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際の状態
量の測定においては、例えば図7(a)に示すように、
種々の要因によって正常時の測定値が瞬間的に異常時に
近い値を示したり、逆に、異常時でも正常時と同じ測定
値が生じる場合が多くあり、正常時の状態量測定値と異
常時の状態量測定値とが混在して分布する。このため、
任意に設定した許容値を用いて両者を完全に分離できな
いことが多く、機械の異常判定を不正確にする要因にな
っている。
【0005】すなわち、上記の図7(a)は、正常時と
異常時の状態量の変動範囲が同じで平均値が異なる場合
の正常時、異常時、監視時の状態量時間変化曲線と、そ
の状態量を周期的に測定した様子を模式的に示したもの
であり、同図(b)は、正常時、異常時、監視時の状態
量測定値を数直線上にプロットしたものであるが、この
図において、許容値をAの値に設定した時には、監視時
1に示すように機械が正常であっても、一部の状態量が
許容値Aを越えるため異常であると誤判定され、許容値
をBの値に設定した時には、監視時2に示すように機械
が異常であっても、すべての状態量が許容値Bより小さ
いため正常であると誤判定される。
【0006】一方、図8(a)(b)は、正常時と異常
時の状態量の変動範囲が同じで分散が異なる場合の状態
量の時間変化と、その状態量を周期的に測定した様子を
示したものである。この図において、許容値をCの値に
設定した時には、監視時3に示すように機械が正常であ
っても、一部の状態量が許容値Cを越えるため異常であ
ると誤判定され、許容値をDの値に設定した時には、監
視時4に示すように機械が異常であっても、すべての状
態量が許容値Dより小さいため正常であると誤判定され
る。
【0007】このように正常時と異常時の状態量の平均
値または分散が異なり、明らかに監視時の状態量が機械
の異常の徴候を示している時でも、正常時と異常時の状
態量の変動範囲が同じである場合には、許容値をどのよ
うな値に設定しても誤判定されることになる。
【0008】すなわち、従来の状態特性値の検出方法の
ように、任意に設定した許容値だけではそれぞれの状態
特性値を分離できず、機械の状態変化を正確に検出する
ことができないため、機械の異常を判定する上で十分に
満足のいく精度が得られない問題があった。
【0009】この発明は、上記の問題を解決するために
なされたもので、その目的は、温度や振動等の状態量の
測定値から正確な機械の状態特性値を求めることがで
き、その状態特性値から高い精度で機械の異常判定を行
なうことができる判定方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、機械の状態変化を示す状態量を正常時
と異常時についてそれぞれ収集し、監視時において機械
の状態量を時間を追って収集し、その収集した正常時、
異常時、監視時の状態量の標本についてそれぞれ標本平
均と標本分散を求め、これらの標本平均と標本分散から
正常時と監視時、及び異常時と監視時の母平均の差の検
定統計量又は母分散の比の検定統計量を算出してそれら
を状態特性を示す検出値とし、その各検出値を相互に比
較して異常時と監視時の検出値が他方の検出値よりも所
定割合以上に小さくなったとき異常と判定する方法とし
たのである。
【0011】また、この発明の第2の手段は、上記で求
めた正常時と監視時、及び異常時と監視時の母平均の差
の検定統計量において、t分布上における母平均の差の
検定統計量の正数値と負数値が囲む面積を、それぞれ状
態特性を示す検出値とするものである。
【0012】さらに、第3の手段は、上記で求めた正常
時と監視時、及び異常時と監視時の母分散の比の検定統
計量において、F分布上における母分散の比の検定統計
量の数値と逆数値が囲む面積を、それぞれ状態特性を示
す検出値とするのである。
【0013】一方、第4の手段は、機械の正常時の状態
量を収集し、監視時において周期的に一定の期間ごとに
機械の状態量を時間を追って収集し、その収集した正常
時と監視時の各状態量を標本としてそれぞれの正規分布
を求め、この正常時の正規分布と監視時の一定期間ごと
の正規分布とを比較して両者間の距離値を求め、この距
離値が任意に設定した許容値を越えたとき異常と判定す
る方法を採用したのである。
【0014】また、第5の手段は、機械から同一時刻ご
とに温度や振動値などの複数種類の状態量を収集し、そ
の各種の状態量に基づいて異常を判定するようにしたの
である。
【0015】
【作用】統計解析学の分野においては、多くの現象の分
布が正規分布によく当てはまることが知られており、一
般的に正規分布が多くの現象のモデルとして使われてい
る。
【0016】この発明では、機械の正常時、異常時、監
視時の状態量のそれぞれの母集団の分布が正規分布であ
ると仮定し、測定して得られたそれぞれの標本について
標本平均と標本分散を求め、正常時と監視時、及び、異
常時と監視時の状態量について、2つの母平均の差の検
定、または、2つの母分散の差の検定を行なう。そし
て、これらの検定により算出される母平均の差の検定統
計量、又は母分散の比の検定統計量を相互に比較し、監
視時の正規分布が正常時よりも異常時の正規分布に近い
とき、監視時の機械の状態は異常であると判定する。
【0017】この方法では、正常時、異常時、監視時の
状態量の個々の値には着目せず、標本全体としての差を
みて判定するため、正常時と異常時の状態量個々の変動
範囲に影響されずに、正確に機械の異常の判定を行なう
ことができる。
【0018】また、第2の手段又は第3の手段のよう
に、t分布上で母平均の差の検定統計量の正数値と負数
値が囲む面積、又はF分布上で母分散の比の検定統計量
の数値と逆数値が囲む面積を求めると、監視時の標本全
体と、正常時または異常時の標本全体の正規分布間の距
離を数値で表すことができるため、異常の判定を容易に
行なうことが可能となる。
【0019】一方、機械の異常時の標本が得られない場
合は、第4の手段のように正常時と監視時の標本につい
て相互間の正規分布の距離値を求め、その距離値の経時
変化を監視することにより、異常の推定を行なうことが
できる。
【0020】また、第5の手段を採用すると、複数種類
の状態量について同時に判定を行なえるため、標本変動
による誤差が少なくなり、異常判定の精度を向上させる
ことができる。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1は機械の状態特性値を検出するための
測定構造を示しており、1は監視の対象となる機械、2
は温度センサーや振動センサー等の状態量測定器であ
る。この状態量測定器2は、機械1の状態の変化が現れ
やすい定位置に配置され、機械の状態を示す状態量を測
定し、信号として出力する。
【0022】この状態量測定器2の出力信号は、AD変
換器3に入力され、ディジタル信号に変換されてマイク
ロコンピュータ等の演算装置4に入力される。また、演
算装置4は、状態量測定器2の出力に基づき、状態特性
値の検出処理を行なうように構成されている。
【0023】次に、上記の測定構造を用いた状態特性値
の検出手順について説明する。なお、ここでは、機械の
正常時、異常時、監視時の状態量の母集団の分布は正規
分布である、すなわち、母集団が正規母集団であると仮
定して処理手段を説明する。
【0024】測定して得られた正常時、異常時、監視時
の状態量の標本が、それぞれ標本数N1、N2、N3の
3つの標本{x11、x12、……、x1N1}、{x
21、x22、……、x2N2}、{x31、x32、
……、x3N3}である場合、それぞれの標本平均x
1、x2、x3、標本分散s12 、s22 、s32 、分
散σ12 、σ22 、σ32 は、次の式(1)より算出で
きる。
【0025】
【数1】
【0026】また、これらの標本平均と分散が成す正規
分布の確率密度関数f1(x)、f2(x)、f3
(x)は、次の式(2)より算出できる。
【0027】
【数2】
【0028】図2(a)は、正常時と異常時の状態量測
定値の変動範囲が同じで平均値が異なる場合について、
正常時、異常時、監視時の状態量測定値を数直線上にプ
ロットした模式図である。また、同図(b)は、式
(1)、(2)に基づきこの状態量の発生頻度を確率分
布(正規分布)で表した例である。一方、図2(c)
は、正常時と異常時の状態量測定値の変動範囲が同じで
分散が異なる場合について、数直線上にプロットした模
式図であり、同図(d)は、発生頻度を確率分布(正規
分布)で表した例である。
【0029】ここで、標本数が大きくなるにつれて、図
2(a)、(c)の分布は同図(b)、(d)の正規分
布に近づいていくため、以下の説明では、正常時、異常
時、監視時の状態量の標本を正規分布で表すこととす
る。これにより、状態量の個々の値を処理しなくて済
み、標本全体をその標本平均、標本分散、分散だけで処
理することができるようになる。なお、式(2)の正規
曲線の性質より、正常時、異常時、監視時ともにその状
態量の変動範囲は−∞から+∞までとなる。
【0030】次に、監視時の正規分布が、正常時または
異常時の正規分布のどちらに近い分布であるかを数値を
用いて表現することを考える。このため、以下において
は、正常時と監視時、及び、異常時と監視時の標本を用
いて、それぞれ2つの母平均の差の検定を行なう場合
と、2つの母分散の差の検定を行なう場合とに分けて処
理手順を説明する。
【0031】(I) 2つの母平均の差の検定を行なう
場合の処理手順 正常時と監視時、及び、異常時と監視時の標本を用い
て、それぞれに2つの母平均の差の検定を行なう方法を
述べる。一般的には、正常時、異常時、監視時の状態量
の母分散はいずれも未知であるため、ここでは、ウェル
チの検定の手法を用いることにする。
【0032】正常時と監視時の2つの標本による母平均
の差の検定統計量T13、及び、この検定統計量T13
の分布が従うt分布の自由度m13は、次の式(3)に
よって算出できる。ただし、m13が整数でないとき
は、その最も近い整数をm13と定める。
【0033】
【数3】
【0034】この式(3)において、T13は、標本平
均x1とx3の差を表す数値であるが、標本分散s12
とs32 によって正規化されているため、標本平均x1
とx3の差が一定値である場合でも、s12 、s32
値が大きい時にはT13の値は小さくなり、逆に、s1
2 、s32 の値が小さい時にはT13の値は大きくな
る。したがって、T13は、正常時の正規分布と監視時
の正規分布がどの程度近い分布であるかを数値を用いて
表現したものである。
【0035】また、自由度m13のt分布の確率密度関
数ft(x)は、次の式(4)によって算出できる。
【0036】
【数4】
【0037】式(3)におけるT13は、正常時の正規
分布と監視時の正規分布がどの程度近い分布であるかを
数値を用いて表現したものであったが、これら2つの正
規分布の距離を表すために、単位が無く、0と1の間で
変化する数値にT13を変換できれば都合が良い。この
ため、自由度m13のt分布上で検定統計量T13の正
数値と負数値が囲む面積D13を次の式(5)によって
算出する。
【0038】
【数5】
【0039】D13は、正常時の正規分布と監視時の正
規分布との距離を表す数値である。同様にして、異常時
と監視時の2つの標本による母平均の差の検定統計量T
23、自由度m23、及び、自由度m23のt分布の確
率密度関数ft(x)を求め、異常時の正規分布と監視
時の正規分布との距離D23を算出する。
【0040】このようにして算出された距離D13及び
D23は、監視時の正規分布からそれぞれ正常時及び異
常時の正規分布への距離を表したものである。したがっ
て、D13の値がD23の値より大きいとき、すなわ
ち、監視時の正規分布が正常時よりも異常時の正規分布
の方に近いとき、監視時の機械の状態は異常であると判
定できる。
【0041】この算出方法は、正常時と異常時の状態量
の母平均に差がある場合に適した方法であり、正常時と
異常時の母分散にかかわらず高精度の結果が得られる。
【0042】(II) 2つの母分散の差の検定を行なう
場合の処理手順 正常時と監視時、及び、異常時と監視時の標本を用い
て、それぞれに2つの母分散の差の検定を行なう方法を
述べる。
【0043】正常時と監視時の2つの標本による母分散
の比の検定統計量U13は、次の式(6)によって算出
でき、また、このU13の分布は自由度(N1−1、N
3−1)のF分布に従う。
【0044】
【数6】
【0045】この式(6)において、U13は、標本分
散s12 とs32 の比を表す数値である。標本平均x1
とx3が等しい時には正常時の正規分布と監視時の正規
分布の中心が一致するが、s12 とs32 の値によって
それらの形状は異なる。したがって、U13は、正常時
の正規分布と監視時の正規分布がどの程度似た形状の分
布であるかを数値を用いて表現したものである。
【0046】また、自由度(N1−1、N3−1)のF
分布の確率密度関数fF(x)は、次の式(7)によっ
て算出できる。
【0047】
【数7】
【0048】式(6)におけるU13は、正常時の正規
分布と監視時の正規分布がどの程度似た形状の分布であ
るかを数値を用いて表現したものであったが、これら2
つの正規分布の距離を表すために、単位が無く、0と1
の間で変化する数値にU13を変換できれば都合が良
い。このため、自由度(N1−1、N3−1)のF分布
上で検定統計量U13の数値と逆数値が囲む面積E13
を、次の式(8)によって算出する。
【0049】
【数8】
【0050】E13は、正常時の正規分布と監視時の正
規分布との距離を表す数値である。同様にして、異常時
と監視時の2つの標本による母分散の比の検定統計量E
23、及び、自由度(N2−1、N3−1)のF分布の
確率密度関数fF(x)を求め、異常時の正規分布と監
視時の正規分布との距離E23を算出する。
【0051】このようにして算出された距離E13及び
E23は、監視時の正規分布からそれぞれ正常時及び異
常時の正規分布への距離を表したものである。したがっ
て、E13の値がE23の値より大きいとき、すなわ
ち、監視時の正規分布が正常時よりも異常時の正規分布
の方に近いとき、監視時の機械の状態は異常であると判
定できる。
【0052】この算出方法は、正常時と異常時の状態量
の母分散に差がある場合に適した方法であり、正常時と
異常時の母平均にかかわらず高精度の結果が得られる。
【0053】以上では、機械の状態特性値の検出方法及
びその状態特性値を用いた機械の異常判定方法を述べた
が、次にこれらの方法を用いて、具体的な数値によって
機械の異常判定を行なう例を示す。
【0054】第1の例として、測定して得られた正常
時、異常時、監視時の状態量の標本がそれぞれ{1、
2、3、5、13}、{1、9、11、12、13}、
{1、8、9、12、13}である場合に、2つの母平
均の差の検定により異常判定を行なったものを示す。
【0055】図3(a)は、上記の標本の分布を数直線
上にプロットしたものであり、また同図(b)は、同じ
標本を正規分布で表したものである。このとき、標本
数、標本平均、標本分散、検定統計量、及び自由度は、
次の式(9)のようになる。
【0056】
【数9】
【0057】この式(9)により、距離D13=0.7
6、D23=0.15が得られ、D13の値がD23の
値より大きい、すなわち、監視時の正規分布が正常時よ
りも異常時の正規分布の方に近いため、監視時の機械の
状態は異常であると判定する。この判定は、図3(a)
または(b)の分布図より妥当であることが確認でき
る。
【0058】第2の例として、測定して得られた正常
時、異常時、監視時の状態量の標本がそれぞれ{1、
6、7、8、13}、{1、2、7、12、13}、
{1、3、7、11、13}である場合に、2つの母分
散の差の検定により異常判定を行なったものを示す。
【0059】図3(c)は、上記の標本の分布を数直線
上にプロットしたものであり、また同図(d)は、同じ
標本を正規分布で表したものである。このとき、標本
数、標本平均、標本分散、及び検定統計量は、次の式
(10)のようになる。
【0060】
【数10】
【0061】この式(10)により、距離E13=0.
25、E23=0.12が得られ、E13の値がE23
の値より大きい、すなわち、監視時の正規分布が正常時
よりも異常時の正規分布の方に近いため、監視時の機械
の状態は異常であると判定する。この判定は、図3
(c)または(d)の分布図より妥当であることが確認
できる。
【0062】第3の例として、振動センサーにより発電
機の振動振幅値を測定し、2つの母平均の差の検定、及
び、2つの母分散の差の検定を行なったものを示す。
【0063】図4(a)は、正常時と監視時の標本の正
規分布をコンピュータディスプレイ上に表示したもので
あり、また同図(b)は、2つの正規分布の距離をt分
布上、及びF分布上で検定統計量が囲む面積として表示
したものである。
【0064】また、これらの方法を用いて、コンピュー
タが昼夜連続的に機械の状態特性値を検出し、機械の運
転状態を監視する一例を示す。
【0065】図5は、機械の運転状態を監視するための
フローチャートである。この図において、Step1
(S1)からStep3(S3)では正常時、異常時、
監視時の状態量の標本を作成し、Step4(S4)か
らStep8(S8)では状態特性値を算出し、Ste
p9(S9)では異常判定を行なう。また、Step1
0(S10)では、監視時の標本の中で測定時刻が最も
古い状態量測定値を除外し、監視時の状態量を新たに1
個測定して標本数N3の標本を作成し、再び、Step
4(S4)からの処理を繰り返す。このような処理手順
により、標本数が大きい場合でもStep9(S9)の
異常判定を繰り返す時間間隔が短くなり、機械の状態変
化を連続的に検出することができる。
【0066】上記の方法によって監視を行なう場合、正
常時、異常時、監視時それぞれの標本数が同じである必
要はないが、標本数が大きいほど正確な判定結果を得る
ことができる。
【0067】なお、上述した実施例では、正常時、異常
時、監視時の3つの標本に基づき、正常時と監視時、及
び異常時と監視時の正規分布の距離を算出し、監視時の
正規分布が正常時よりも異常時の正規分布の方に近いと
き、監視時の機械の状態は異常であると判定したもので
あったが、原子力発電所など重要プラントにおいては異
常時の標本が得られないことが多く、異常時と監視時の
正規分布の距離を算出できない場合がある。
【0068】このような場合は、機械の正常時の状態量
を収集し、監視時において周期的に一定の期間ごとに機
械の状態量を時間を追って収集し、その収集した各状態
量を標本としてそれぞれの正規分布を求める。次に、求
めた正常時の正規分布と、監視時の一定期間ごとの正規
分布とを比較して両者間の距離値を求め、その距離値を
図6のように長期間にわたって蓄積し、その経時変化を
監視する。そして、上記距離値が任意に設定した許容値
を越えたとき、異常と推定し、異常信号を発生させる。
上記の方法により、異常時の標本が手に入らない場合で
も正確に機械の異常判定を行なうことができる。
【0069】また、この発明の判定方法においては、温
度や振動などの状態量がすべて単位が無く、0から1の
間で変化する数値に変換された状態特性値として検出さ
れるため、同一時刻ごとに測定した温度や振動など複数
種類の状態量について、それぞれ母平均の差の検定統計
量による状態特性値、又は、母分散の比の検定統計量に
よる状態特性値を検出し、これらの状態特性値の平均値
や最大値などを算出し、この算出した値に基づき異常判
定するようにしてもよい。これにより、標本変動による
誤差が少なくなり、標本数が少ない場合でも機械の異常
判定をより高精度に行なうことができる。
【0070】
【効果】以上のように、この発明の機械の異常判定方法
では、正常時、異常時、監視時の状態量の標本から正常
時と監視時、及び、異常時と監視時の母平均の差の検定
統計量、または母分散の比の検定統計量を求め、正常時
と監視時の正規分布の距離、及び、異常時と監視時の正
規分布の距離を算出するので、正常時と異常時の状態量
個々の変動範囲に影響されずに、正確な機械の状態特性
値を得ることができる。また、この求めた状態特性検出
値に基づいて異常の判定を行なうことにより、判定の基
準が信頼性の高いものとなり、機械の異常検知の精度を
著しく向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における機械の状態量の測定構造を示す
ブロック図
【図2】(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ正
常時、異常時、監視時の状態量測定値を示す模式図
【図3】(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ正
常時、異常時、監視時の状態量測定値の例を示す図
【図4】(a)は正常時と監視時の標本の正規分布を示
す図、(b)は2つの正規分布の距離をt分布上、及
び、F分布上で面積として示す図
【図5】機械の運転状態を監視するためのフローチャー
トを示すブロック図
【図6】設定許容値による機械の異常判定例を示す図表
【図7】(a)、(b)はそれぞれ従来の判定方法を示
す図表
【図8】(a)、(b)はそれぞれ他の従来方法を示す
図表
【符号の説明】
1 機械 2 状態量測定器 3 AD変換器 4 演算装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 光治 香川県綾歌郡綾南町大字畑田673番地の 15 (72)発明者 兵頭 文夫 香川県高松市上之町2丁目12番26号 (56)参考文献 特開 平3−13819(JP,A) 特開 平1−300397(JP,A) 特開 昭57−127820(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械の状態変化を示す状態量を正常時と
    異常時についてそれぞれ収集し、監視時において機械の
    状態量を時間を追って収集し、その収集した正常時、異
    常時、監視時の状態量の標本についてそれぞれ標本平均
    と標本分散を求め、これらの標本平均と標本分散から正
    常時と監視時、及び異常時と監視時の母平均の差の検定
    統計量又は母分散の比の検定統計量を算出してそれらを
    状態特性を示す検出値とし、その各検出値を相互に比較
    して異常時と監視時の検出値が他方の検出値よりも所定
    割合以上に小さくなったとき異常と判定する機械の異常
    判定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の判定方法で求めた正常
    時と監視時、及び異常時と監視時の母平均の差の検定統
    計量において、t分布上における母平均の差の検定統計
    量の正数値と負数値が囲む面積を、それぞれ状態特性を
    示す検出値とする機械の異常判定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の判定方法で求めた正常
    時と監視時、及び異常時と監視時の母分散の比の検定統
    計量において、F分布上における母分散の比の検定統計
    量の数値と逆数値が囲む面積を、それぞれ状態特性を示
    す検出値とする機械の異常判定方法。
  4. 【請求項4】 機械の正常時の状態量を収集し、監視時
    において周期的に一定の期間ごとに機械の状態量を時間
    を追って収集し、その収集した正常時と監視時の各状態
    量を標本としてそれぞれの正規分布を求め、この正常時
    の正規分布と監視時の一定期間ごとの正規分布とを比較
    して両者間の距離値を求め、この距離値が任意に設定し
    た許容値を越えたとき異常と判定する機械の異常判定方
    法。
  5. 【請求項5】 上記機械から同一時刻ごとに温度や振動
    値などの複数種類の状態量を収集し、その各種の状態量
    に基づいて異常の判定処理を行なう請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の機械の異常判定方法。
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