JP2721627B2 - 光電式煙感知器の検査回路 - Google Patents

光電式煙感知器の検査回路

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JP2721627B2
JP2721627B2 JP30018592A JP30018592A JP2721627B2 JP 2721627 B2 JP2721627 B2 JP 2721627B2 JP 30018592 A JP30018592 A JP 30018592A JP 30018592 A JP30018592 A JP 30018592A JP 2721627 B2 JP2721627 B2 JP 2721627B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、煙による散乱光を検出
することにより煙を感知する光電式煙感知器の検査回路
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は従来の光電式煙感知器の回路図で
ある。この煙感知器は、感知器筐体内で光を照射する発
光回路1と、発光回路1から照射された光の煙による散
乱光を受光して電気信号に変換する受光回路2と、受光
回路2の出力信号の大きさにより煙の有無を判定する判
定回路3と、発光回路1を間欠駆動するための発光制御
回路9を備えている。まず、発光回路1は、発光ダイオ
ード(LED)のような発光素子11と、この発光素子
11に駆動電流を流すためのスイッチング素子12と、
このスイッチング素子12に駆動信号を与えるための発
光駆動回路13とから構成されている。この発光回路1
を間欠駆動するために、発光制御回路9では、発振回路
91により発振されたクロック信号を分周回路92によ
り分周して間欠駆動信号を作成している。感知器筐体内
に煙が侵入すると、発光回路1から照射された光が煙に
より散乱されて、受光回路2により受光される。受光回
路2は、フォトダイオードのような受光素子21と、基
準電圧源22と、オペアンプA1,A2,A3、及び抵
抗R1,R2,R3,R4,R5よりなる。受光素子2
1に光が照射されると、微弱な光電流が流れる。この光
電流はオペアンプA1と電流−電圧変換用の抵抗R1に
より電圧信号に変換され、オペアンプA2,A3により
直流増幅される。オペアンプA2の増幅率は入力抵抗R
2と帰還抵抗R3の比率で決定され、オペアンプA3の
増幅率は入力抵抗R4と帰還抵抗R5で比率で決定され
る。オペアンプA3の出力電圧の大きさは判定回路3に
より判定される。判定回路3は、電圧比較用のコンパレ
ータA5と、基準電圧作成用のオペアンプA4及び可変
抵抗VRよりなる。基準電圧源22の出力電圧は、バッ
ファ用のオペアンプA4を介して可変抵抗VRに印加さ
れて分圧され、コンパレータA5の基準電圧が得られ
る。受光回路2におけるオペアンプA3の出力電圧がコ
ンパレータA5の基準電圧よりも低くなれば、コンパレ
ータA5の出力がHighレベルとなり、所定濃度以上
の煙が存在すると判定される。カウンタ回路4では、判
定回路3から出力される煙判定信号の発生回数をカウン
トし、所定回数(例えば3回)以上のカウント値が得ら
れた時点で煙感知信号を発生する。このカウンタ回路4
を設けたことにより、電磁ノイズ等による誤動作を避け
ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来例におい
て、感知器の動作を検査しようとすると、実際に煙を発
生させて、感知器内に煙を入れて動作を確認する必要が
あった。しかしながら、実際に煙を発生させるには、何
らかの発煙手段が必要であり、火を使用するので危険で
あり、検査時間が長くかかり、検査工程の自動化も難し
いので、検査コストが高くなるという問題があった。ま
た、上述の従来例は、単に煙の有無を判定して出力をオ
ン又はオフとするオン/オフ出力式の煙感知器である
が、これに対して、近年では、煙の濃度に応じたアナロ
グ信号を出力するアナログ出力式の煙感知器が望まれて
いる。煙の濃度に応じたアナログ信号を出力する方式の
煙感知器では、煙濃度を認識し、それに応じたアナログ
信号を出力する必要がある。そこで、煙の濃度を様々に
変化させて、それに応じたアナログ信号が出力されてい
るか否かを検査する必要があるが、様々な濃度の煙を実
際に発生させることは非常に困難であり、検査時間がさ
らに長くなって、検査コストが増大するという問題があ
った。
【0004】さらに、光電式煙感知器においては、可変
抵抗やコンデンサのような一部の部品を除いて、受光素
子を含む殆ど全ての回路素子を1チップの集積回路に実
装して、小型化と信頼性の向上、コスト低減を行うもの
であるが、集積回路の段階で不良品が生じている場合が
ある。ところが、従来の検査工程では、実際に感知器を
組み立てた後でなければ、検査を行うことができず、集
積回路単体での検査ができないという問題があった。
【0005】本発明は、上述のような点に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、煙感知器の集
積回路に少数の回路部品を外付けすることにより、実際
に煙を発生させることなく、簡単且つ迅速に動作を確認
でき、且つ集積回路単体での検査を可能とした光電式煙
感知器の検査回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記の課題
を解説するために、図1に示すように、感知器筐体内で
光を照射する発光素子11と、煙による散乱光を受光し
て電気信号に変換する受光素子21と、受光素子21に
より得られた受光電流を検出する受光回路2と、発光素
子11に周期的な発光制御信号LEDを与えると共に少
なくとも発光制御信号LEDの発生期間中は間欠駆動信
号KNKを受光回路2に与える制御手段10とを備え、
発光制御信号LEDの発生期間中に受光素子21により
得られた受光電流と間欠駆動信号KNKの発生期間中に
受光回路2に外部から与えられる基準電圧Vrefに基
づいて煙を感知する光電式煙感知器の集積回路におい
て、間欠駆動信号KNKによりオンされる第1のスイッ
チ素子Q3と、発光素子11の発光制御信号LEDに同
期してオンされる第2のスイッチ素子S5を破線で囲ま
れた集積回路内に構成し、第1のスイッチ素子Q3を介
して電源電圧を分圧して基準電圧Vrefを生成するた
めの第1及び第2の抵抗r1,r2の直列回路と、両抵
抗r1,r2の間に直列的に挿入された可変抵抗VR4
と、可変抵抗VR4の一端に入力端を接続され第2のス
イッチ素子S5の一端に出力端を接続されたバッファア
ンプA9と、第2のスイッチ素子S5の他端と受光回路
2の受光電流入力端の間に接続された高抵抗Rxとを集
積回路の外部に構成し、可変抵抗VR4の他端を前記集
積回路の外部基準電圧入力端に接続したことを特徴とす
るものである。
【0007】
【作用】本発明によれば、光電式の煙感知器の集積回路
において、回路内の同期を取るための間欠駆動信号KN
Kと発光制御信号LEDによりオンされる第1のスイッ
チ素子Q3と第2のスイッチ素子S5を他の回路と共に
1つの集積回路内に内蔵し、第1のスイッチ素子Q3が
オンされたときに、抵抗r1と可変抵抗VR4と抵抗r
2の直列回路により電源電圧を分圧して、基準電圧Vr
efを作成すると共に、可変抵抗VR4の一端に基準電
圧Vrefよりも僅かに高い電圧を作成することができ
る。そして、この可変抵抗VR4に生じる微小電圧を第
2のスイッチ素子S5がオンされたときに、高抵抗Rx
を介して受光回路2の受光電流入力端に与えるようにし
たので、受光回路2の受光電流入力端には、あたかも受
光素子21が発光制御信号に同期して光パルスを受光し
たかのように、僅かの電流が流れるものであり、これに
より、煙感知器の動作を検査することができる。可変抵
抗VR4の値を大小に変化させれば、煙濃度が大小に変
化した場合と同様の電流を受光回路2の受光電流入力端
に流すことができ、アナログ出力式の煙感知器の検査も
容易に行うことができる。また、発光素子11や受光レ
ンズ等を実装しなくても、集積回路単体の段階で検査を
行うことができ、不良の存在する集積回路チップは製造
工程中の比較的早い段階で排除することができる。
【0008】
【実施例】図2は本発明の一実施例の回路図である。以
下、その回路構成について説明する。フォトダイオード
よりなる受光素子21のカソードは電源ラインに接続さ
れており、アノードはオペアンプA1の反転入力端子に
接続されている。オペアンプA1の非反転入力端子は、
基準電圧源22の出力に接続されている。オペアンプA
1の出力端子と反転入力端子の間には、積分用のコンデ
ンサC1と積分リセット用のアナログスイッチS1の並
列回路が接続されている。オペアンプA1の出力端子
は、入力抵抗R2を介してオペアンプA2の反転入力端
子に接続されている。オペアンプA2の非反転入力端子
は、基準電圧源22の出力に接続されている。オペアン
プA2の出力端子と反転入力端子の間には、帰還抵抗R
3が接続されている。オペアンプA3の増幅率は入力抵
抗R2と帰還抵抗R3の比率で決定される。オペアンプ
A2の出力端子は、入力抵抗R4を介してオペアンプA
3の反転入力端子に接続されている。オペアンプA3の
非反転入力端子は、基準電圧源22の出力に接続されて
いる。オペアンプA3の出力端子と反転入力端子の間に
は、帰還抵抗R5が接続されている。オペアンプA3の
増幅率は入力抵抗R4と帰還抵抗R5の比率で決定され
る。
【0009】オペアンプA3の出力端子は、カップリン
グ用のコンデンサC2の一端に接続されている。コンデ
ンサC2の他端は、充電用のアナログスイッチS2を介
して基準電圧源22の出力に接続されると共に、バッフ
ァ用のオペアンプA6の非反転入力端子に接続されてい
る。オペアンプA6の反転入力端子は出力端子に接続さ
れている。したがって、オペアンプA6の出力電圧は入
力電圧と同じとなる。オペアンプA6の出力端子は、サ
ンプルホールド用のアナログスイッチS3の一端に接続
されている。アナログスイッチS3の他端は、抵抗Ra
を介してサンプルホールド用のコンデンサC3の一端に
接続されている。コンデンサC3の他端はグランドレベ
ルに接続されている。抵抗Raは、煙感知器をアナログ
式煙感知器として使用するときの時定数設定用の抵抗で
ある。この抵抗Raには、アナログスイッチS4を介し
て抵抗Roが並列接続されている。アナログスイッチS
4は煙感知器をオン/オフ式煙感知器として使用すると
きにオンされ、アナログ式煙感知器として使用するとき
にはオフされる。コンデンサC3の電位はオペアンプA
7の非反転入力端子に印加されている。オペアンプA7
の反転入力端子は出力端子に接続されている。したがっ
て、オペアンプA7の出力電圧は入力電圧と同じとな
る。
【0010】オペアンプA7の出力端子は、可変抵抗V
R1を介してオペアンプA8の反転入力端子に印加され
る。オペアンプA8の出力端子には、トランジスタQ1
のベースが接続されている。トランジスタQ1のコレク
タは電源ラインに接続され、エミッタは抵抗R7を介し
てグランドレベルに接続されて、エミッタフォロアを構
成している。このトランジスタQ1のエミッタは、ダイ
オードD1のアノード・カソード間を介して、アナログ
信号出力端子Taに接続されている。また、トランジス
タQ1のエミッタ電位は抵抗R6を介してオペアンプA
8の反転入力端子に帰還されている。オペアンプA8の
非反転入力端子には、電源電圧を抵抗R8と可変抵抗V
R2で分圧した電圧が印加されている。抵抗R8と可変
抵抗VR2の接続点は、MOSトランジスタQ2を介し
てグランドレベルに接続されており、MOSトランジス
タQ2がオンしたときには、オペアンプA8の非反転入
力端子の電位はほぼゼロとなる。
【0011】基準電圧源22は分圧用の抵抗r1,r2
と検査用の可変抵抗VR4の直列回路を含んでいる。抵
抗r1の一端は、MOSトランジスタQ3を介して電源
ラインに接続されており、抵抗r2の一端はグランドレ
ベルに接続されている。抵抗r1,r2の各他端は、可
変抵抗VR4の両端にそれぞれ接続されている。可変抵
抗VR4の高電位側はコンデンサC4を介して接地さ
れ、低電位側はコンデンサC5を介して接地されてい
る。コンデンサC5に得られる電圧は基準電圧Vref
として、オペアンプA1,A2,A3,A4の非反転入
力端子並びにコンデンサC2を初期充電するためのアナ
ログスイッチS2の一端に接続されている。MOSトラ
ンジスタQ3は間欠駆動信号KNKにより定期的にオン
状態となり、このとき、電源電圧を抵抗r1,r2及び
可変抵抗VR4で分圧した基準電圧Vrefは、基準電
圧源22の出力となる。また、コンデンサC4に得られ
る電圧は、検査用の電圧として、低オフセットのバッフ
ァアンプA9とアナログスイッチS5及び高抵抗Rxを
介して受光回路の受光電流入力端に供給されている。
【0012】ここで、煙感知器の検査を行うときには、
可変抵抗VR4の値を増大させるものである。これによ
り、可変抵抗VR4の両端には、間欠駆動信号KNKに
応じてMOSトランジスタQ3がオンしたときに、微少
な電圧が発生し、発光制御信号LEDに応じてアナログ
スイッチS5がオンされたときに、可変抵抗VR4の両
端の電圧を高抵抗Rxにより限流した微少な電流が受光
回路の受光電流入力端に入力される。可変抵抗VR4の
値を増減することにより、受光回路の受光電流入力端に
入力される電流を自由に増減させることができ、アナロ
グ出力式の煙感知器の動作を検査することが可能とな
る。
【0013】次に、煙感知器の検査を行わないときに
は、可変抵抗VR4の値を最小に設定しておくものであ
る。このとき、可変抵抗VR4の両端には、電圧が発生
しないので、発光制御信号LEDに応じてアナログスイ
ッチS5がオンされても、高抵抗Rxを介して受光回路
の受光電流入力端に電流が入力されることはない。した
がって、通常の煙感知器の動作として、煙による散乱光
が受光素子21により受光されたときにのみ、受光電流
が流れるものである。
【0014】また、工場出荷後の再検査が全く必要でな
い場合には、可変抵抗VR4やオペアンプA9並びに高
抵抗Rxは検査終了後には無くても良い。この場合、可
変抵抗VR4の箇所は短絡しておくものであり、また、
高抵抗Rxの箇所は開放しておくものである。このよう
にすれば、受光素子21により得られた微弱な受光電流
が集積回路の外部に漏れることがなくなるので、好都合
である。
【0015】基準電圧源22から出力される基準電圧V
refは、オペアンプA1,A2,A3,A4の非反転
入力端子並びにコンデンサC2を初期充電するためのア
ナログスイッチS2の一端に接続されている。オペアン
プA4の反転入力端子は出力端子に接続されている。し
たがって、オペアンプA4の出力電圧は入力電圧と同じ
となる。オペアンプA4の出力電圧は、抵抗R9と可変
抵抗VR3により分圧されて、オペアンプA5の非反転
入力端子に印加されている。オペアンプA5の反転入力
端子には、オペアンプA7の出力端子が接続されてい
る。オペアンプA5の出力端子は、インバータN1を介
してアンド回路G1の一方の入力に接続されると共に、
アンド回路G2の一方の入力に接続されている。アンド
回路G2の他方の入力には、煙感知器のオン/オフ出力
モードとアナログ出力モードとを切り替えるための切替
信号O/Aが入力されている。また、この切替信号O/
AはインバータN2により反転されて、アンド回路G1
の他方の入力とされている。アンド回路G1,G2の出
力は、NOR回路G3に入力されている。NOR回路G
3の出力は、インバータN3により反転されて、カウン
タ回路4に入力されている。カウンタ回路4は3パルス
をカウントすると、カウントアップ出力を生じる。この
カウンタ回路4の出力は、オン/オフ出力モードによる
煙感知信号の出力端子Toに接続されている。この出力
端子Toに得られる信号は、煙感知器の出力素子となる
サイリスタに、トリガー信号として入力されている。前
記サイリスタは、煙感知器がオン/オフ出力モードを選
択している場合において、煙の存在が感知されると、タ
ーンオンされて、火災受信機に煙感知信号を出力するも
のである。
【0016】前記出力端子ToはOR回路G4の一方の
入力に接続されている。OR回路G4の他方の入力に
は、始動検出カウンタ5の出力が接続されている。この
始動検出カウンタ5は、始動時には一定時間にわたり1
となり、定常時には0となる。OR回路G4の出力はM
OSトランジスタQ2のゲートに接続されている。
【0017】図3は本実施例の煙感知器の内部構造を示
す断面図である。回路基板14上には、電子部品15が
実装されると共に、ワンチップIC16が装着されてい
る。このワンチップIC16は、図2に示した回路等を
誘電体分離基板上に集積回路化したものである。ただ
し、可変抵抗VR1,VR2,VR3等のIC化に適さ
ない電子部品は、ワンチップIC16の外付け部品とし
て回路基板14上に実装される。ワンチップIC16
は、IC枠17の中心部に実装されて、IC封止樹脂1
8により封止されている。このIC封止樹脂18は光を
透過する樹脂よりなる。ワンチップIC16は、フォト
ダイオードよりなる受光素子21を含んでおり、この受
光素子21の箇所に光を集めるように受光レンズ23が
配置されている。24は反射板、25はレンズカバーで
ある。受光レンズ23は、破線A,Bで囲まれた範囲か
らの光をワンチップIC16の受光素子21上に集光さ
せるように構成されている。受光レンズ23と反対側に
は、LEDよりなる発光素子11が配置されており、破
線C,Dで囲まれた範囲に光を放射する。煙感知器の筐
体の内部は光を反射しにくいように構成されており、ま
た、破線C,Dで囲まれた投光用の光路と、破線A,B
で囲まれた受光用の光路とは、光の進行方向が異なるの
で、発光素子11から出た光は受光素子21には殆ど受
光されない。ところが、煙感知器の筐体の内部に煙が侵
入して、破線C,Dで囲まれた投光用の光路と、破線
A,Bで囲まれた受光用の光路とが交わる感煙領域に、
煙粒子F,Gが存在する状態になると、この煙粒子F,
Gにより光が散乱されて、光路H,Iに示すように、煙
による散乱光が受光素子21に到達することになる。な
お、煙感知器の筐体の内部に外光を遮断しながら煙粒子
を導入するためにラビリンス26が設けられている。こ
のラビリンス26は、迷路構造を有しており、外部から
空気が流入することは妨げないが、光の進入は遮断でき
るように構成されている。また、ラビリンス26の周囲
には、防虫網27が設けられている。
【0018】図2の回路では、アナログ出力モードの煙
感知器についての感度劣化対策が施されている。ここ
で、感度劣化とは、煙感知器内の発光素子11や受光レ
ンズ23などのくもり、汚れ等によって、煙感知器から
出力されるアナログ信号が本来の煙濃度を精度良く反映
しなくなる現象である。感度正常時には、煙の無いとき
でも、受光素子21には迷光分として微弱な光が入って
おり、この迷光分により発生する光電流が光電変換部で
増幅されるので、その信号を或る一定の値と比較して、
感度劣化を判定している。この感度劣化の有無を判定す
るための電圧比較器としては、オン/オフ出力モードの
煙感知器で煙の有無を判定するための電圧比較器を兼用
している。この電圧比較器として、図2の回路では、オ
ペアンプA5を使用しており、その基準電圧Vrは、光
電変換部の基準電圧Vrefをバッファ用のオペアンプ
A4により取り出して、抵抗R9と可変抵抗VR3で分
圧することにより作成されている。オペアンプA5で
は、コンデンサC3によりサンプルホールドされて、オ
ペアンプA7から出力される電圧を前記基準電圧Vrと
比較して、基準電圧Vrよりも高い信号が出ると、カウ
ンタ回路4に信号が入り、その信号が3回以上入ると、
感度が劣化したと判定して出力端子Toに感度劣化判定
信号を送る。これは1回だけの信号では誤動作の危険性
があるので、3パルスのカウンタ回路4を用いて3回続
けて信号が入ったときだけ感度が劣化したという信号を
出すようになっている。
【0019】次に、始動検出カウンタ5の動作について
説明する。アナログ煙感知器を動作させたときに、サン
プルホールド用の抵抗RaとコンデンサC3で積分動作
を行うなどの理由による時間遅れが生じるので、出力の
初期値が異常な値となる危険性がある。これを防止する
ために、図2の回路では、光電変換部の最終段のオペア
ンプA8の基準電圧を、MOSトランジスタQ2により
始動時には0Vに落としておくことによって、アナログ
信号の出力が出ないようにしている。始動検出カウンタ
5は、間欠駆動信号KNKの周期を4回カウントする
と、MOSトランジスタQ2をオフさせるようになって
いる。図2の回路では、感度劣化時と始動時の誤動作防
止のための回路を一部兼用しており、感度劣化が判定さ
れた場合にも、OR回路G4の出力がHighレベルと
なり、MOSトランジスタQ2がオンとなり、オペアン
プA8の出力をLowレベルとしてアナログの煙濃度出
力信号を0Vとするものである。以上のような回路構成
によって、アナログ式の煙感知器の感度劣化を判定可能
とすると共に、始動時の誤動作も防止できる。
【0020】図2の回路では、受光した光信号を電気信
号に変換するために、コンデンサC1による積分回路を
使用している。図6の従来例では、光電変換用のオペア
ンプA1の帰還インピーダンスとして抵抗R1を使用し
ており、受光素子21に流れる光電流をiとすると、出
力端子に得られる電圧は、R1×iとなる。受光素子2
1に流れる光電流はpAオーダーの微小な電流であるか
ら、オペアンプA1の出力電圧を高くしようとすれば、
抵抗R1の抵抗値を大きくする必要があり、集積回路化
するには適さなかった。そこで、図2の回路では、光電
変換用のオペアンプA1の帰還インピーダンスとしてコ
ンデンサC1を使用しており、受光素子21に流れる光
電流をiとすると、出力端子に得られる電圧は、∫(i
/C1)dtとなる。したがって、オペアンプA1の出
力電圧を高くしようとすれば、コンデンサC1の容量を
小さくするか、積分時間を長くすれば良く、集積回路化
するには適している。例えば、図6の回路では、オペア
ンプA1の帰還インピーダンスとして2MΩ程度の大き
な抵抗R1を使用していたが、図2の回路では、8pF
程度の小さなコンデンサC1と積分リセット用のアナロ
グスイッチS1を使用するだけであるので、集積回路化
したときに、チップ上の専有面積が非常に小さくなり、
コストダウンにつながる。また、感度についても、抵抗
R1による帰還増幅を行う場合に比べて、コンデンサC
1による積分では、10倍程度の感度が得られるもので
ある。
【0021】発光素子11を駆動するための回路につい
ては特に図示しないが、図6の従来例と同様に、発振回
路91のクロック信号を分周回路92により分周し、発
光駆動回路13により駆動用トランジスタ12を間欠的
に導通状態とすることにより、発光素子11を間欠的に
駆動するものである。また、分周回路92の各段の分周
出力から論理回路やシフトレジスタを用いて、図4に示
すような種々のタイミング信号を作成するものである。
図中、OSCは発振回路91のクロック信号、SHKは
分周回路92により作成される基本周期信号、KNKは
間欠駆動信号、CHGはカップリング用コンデンサC2
の充電制御信号、LEDは発光素子11の発光制御信
号、ITGは積分開始のタイミングを決める積分制御信
号、VA6はオペアンプA6の出力電圧、S/Hはサン
プルホールド回路のアナログスイッチS3の制御信号、
VA7はオペアンプA7の出力電圧である。
【0022】以下、図4のタイミング信号に基づいて動
作を説明する。間欠駆動信号KNKが立ち上がると、基
準電圧源22により基準電圧Vrefが発生する。ま
た、充電制御信号CHGが立ち上がることによりアナロ
グスイッチS2がオンとなり、カップリング用のコンデ
ンサC2が充電される。これにより、オペアンプA6の
出力電位は基準電圧Vrefと等しくなる。充電制御信
号CHGが立ち下がると、アナログスイッチS2がオフ
となるが、オペアンプA6の出力電位は基準電圧Vre
fに保持されている。その後、積分制御信号ITGが立
ち下がると、アナログスイッチS1がオフ状態となり、
コンデンサC1が積分動作可能な状態となる。次に、発
光制御信号LEDが立ち上がると、発光素子11が発光
する。発光素子11から照射された光が煙の粒子に当た
って反射すると、その散乱光が受光素子21により受光
されて、微小な光電流が受光素子21に流れる。この微
小な光電流は、オペアンプA1の帰還インピーダンスと
してのコンデンサC1に流れて、コンデンサC1に電荷
が蓄積されるので、オペアンプA6の出力電圧は直線的
に低下する。この電圧の変化速度は、光電流の大きさに
比例する。発光制御信号LEDのパルス幅は一定である
ので、発光制御信号LEDの発生期間中のオペアンプA
6の出力電圧の変化幅は光電流の大きさに比例する。し
たがって、オペアンプA6の出力電圧は、図5のVsに
示すように、煙が無いときには基準電圧Vrefに等し
くなり、煙濃度が高くなるにつれて電圧が直線的に低下
して行くことになる。発光制御信号LEDが立ち下がる
と、サンプルホールド信号S/Hが立ち上がり、アナロ
グスイッチS3がオンとなる。これにより、抵抗Raを
介してコンデンサC3がオペアンプA6の出力電圧によ
り充電或いは放電されて、オペアンプA7の出力電圧が
オペアンプA6の出力電位と同じとなる。このオペアン
プA7の出力電圧は、最終段のオペアンプA8により反
転増幅及びレベルシフトされて、図5の電圧Vaに示す
ようなアナログ信号となり、煙濃度に応じて1V〜4.
75Vの範囲で変化する。図2に示す回路において、サ
ンプルホールド用のコンデンサC3よりも後段のオペア
ンプA7とA8は間欠動作しないので、アナログ出力端
子Taには、常にアナログ信号が出力される。
【0023】サンプルホールド回路のコンデンサC3は
抵抗RaとアナログスイッチS3を介してオペアンプA
6の出力端子に接続されており、この抵抗Raはコンデ
ンサC3と共に積分器を構成している。この積分器の時
定数は、ノイズ等による誤動作を防止するために、オペ
アンプA6の出力電位が変化しても、数回のパルスが入
らないと、その値までサンプリングできないように設定
している。これによって、煙による散乱光が或る一定時
間以上にわたり継続しないと、アナログ信号の出力端子
Taには変化が現れないようになっている。
【0024】また、サンプルホールド回路のコンデンサ
C3までの光電変換部については、消費電流を節約する
ために間欠駆動方式を採用している。これは、間欠駆動
信号KNKがLowレベルの間は、消費電流を絞るため
に、光電変換部のオペアンプとサンプルホールド回路の
入力バッファA6の電源電流を遮断しているものであ
る。ただし、出力端子Taにはアナログ信号を絶えず出
し続けなければならないため、サンプルホールド回路の
出力バッファA7と、最終段のオペアンプA8は常に動
作させている。これによって、煙が有るか無いかという
オン/オフの判定信号だけでなく、煙の量をアナログ信
号で出力することができるものである。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、光電式の煙感知器にお
いて、集積回路の外部に設けられた基準電圧発生用の分
圧抵抗と直列的に可変抵抗を挿入し、この可変抵抗によ
り発生する微小な電圧を高抵抗を介して受光回路の受光
電流入力端に与えるようにしたので、実際に煙を発生さ
せることなく、また、実際に感知器を組み立てることな
く、集積回路単体の段階で感知器の動作を検査できると
いう効果がある。また、間欠駆動用の同期を取るための
スイッチ素子は集積回路内に構成したので、可変抵抗や
高抵抗等の簡単な部品を外付けするだけで検査回路を構
成することができ、検査コストが安価になるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施例の回路図である。
【図3】本発明の一実施例の断面図である。
【図4】本発明の一実施例の動作波形図である。
【図5】本発明の一実施例の出力特性を示す図である。
【図6】従来例の回路図である。
【符号の説明】
2 受光回路 10 制御手段 11 発光素子 21 受光素子 VR4 可変抵抗 Vx 高抵抗

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感知器筐体内で光を照射する発光素子
    と、煙による散乱光を受光して電気信号に変換する受光
    素子と、受光素子により得られた受光電流を検出する受
    光回路と、発光素子に周期的な発光制御信号を与えると
    共に少なくとも発光制御信号の発生期間中は間欠駆動信
    号を受光回路に与える制御手段とを備え、発光制御信号
    の発生期間中に受光素子により得られた受光電流と間欠
    駆動信号の発生期間中に受光回路に外部から与えられる
    基準電圧に基づいて煙を感知する光電式煙感知器の集積
    回路において、間欠駆動信号によりオンされる第1のス
    イッチ素子と、発光素子の発光制御信号に同期してオン
    される第2のスイッチ素子を集積回路内に構成し、第1
    のスイッチ素子を介して電源電圧を分圧して基準電圧を
    生成するための第1及び第2の抵抗の直列回路と、両抵
    抗の間に直列的に挿入された可変抵抗と、可変抵抗の一
    端に入力端を接続され第2のスイッチ素子の一端に出力
    端を接続されたバッファアンプと、第2のスイッチ素子
    の他端と受光素子の受光電流入力端の間に接続された高
    抵抗とを集積回路の外部に構成し、可変抵抗の他端を前
    記集積回路の外部基準電圧入力端に接続したことを特徴
    とする光電式煙感知器の検査回路。
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