JP2720136B2 - 半導体光機能素子 - Google Patents

半導体光機能素子

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JP2720136B2
JP2720136B2 JP35906392A JP35906392A JP2720136B2 JP 2720136 B2 JP2720136 B2 JP 2720136B2 JP 35906392 A JP35906392 A JP 35906392A JP 35906392 A JP35906392 A JP 35906392A JP 2720136 B2 JP2720136 B2 JP 2720136B2
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勝之 宇高
治久 坂田
裕一 松島
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国際電信電話株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光交換、光情報処理の
分野において、高速な光信号処理に不可欠となる光で光
信号を制御する半導体光機能素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超広帯域で、超高速伝送が可能な光ファ
イバ通信を用いた動画像通信や映像分配と言った広帯域
な新サービスの広範な展開が期待されている。この場
合、これらの広帯域な信号が集中するノードにおいては
超高速な信号処理が不可欠となる。この目的のため、一
旦電気信号に変換し、LSI 等の電子回路によって処理す
るよりも高速なスイッチング動作が期待され、また、並
列処理により一層の処理時間の短縮化が可能と考えられ
る光信号のまま、もしくは光の特質を極力活かした処理
を行う、いわゆる光交換、光信号処理方式が注目されて
いる。
【0003】光信号処理における重要な機能の一つとし
て、入力された光信号を識別して所望の経路へとスイッ
チングさせるための信号識別機能が挙げられる。通常デ
ィジタル系列からなる信号ではビットパターンにより信
号認識表示が行われており、信号識別機能とはすなわち
ビットパターンマッチング動作を行うことといえる。ビ
ットパターンマッチングとは、複数の入力信号セルの該
当タイムスロットに割り当てられた各ディジタル信号ビ
ットが比較される符号間で一致するか不一致かを判定
し、最終的に該複数セルが同一であるか否かを判別する
機能を意味する。このような機能を実現するためには、
該複数ビットが共に0もしくは1で一致した場合とそう
でない場合で異なる出力信号を出す論理動作として排他
的論理和(XOR )もしくは排他的非論理和(XNOR)なる
動作を行う光デバイスが必要となる。
【0004】図16に従来技術によるXOR 光論理素子を示
す。100 、100'はn-InP 、p-InGaAsP ,n-InP からなる
フォトトランジスタ(HPT) 、101、101'はn-InP 、InG
aAsP、p-InP からなるLEDである。入力光A及びBが各
々同時に照射する2つHPT の組み合わせのうち一方のHP
T にはLED が直列に接続されており、この1つのユニッ
トが2つ並列に電源に接続されている。一点鎖線で囲ん
だ単位セルの断面構造を図17に示す。102 は半絶縁性In
P 、103 はn-InP 、104 はp-InGaAsP 、105 はn-InP ,
106 はInGaAsP 、107 はp-InP 、108 はp-InGaAsP 、10
9 はAu-Zn 、110 はAu-Sn 、111 はポリイミド、112 は
Ti/Au で、104 及び106 のInGaAsP は各々HPT のベース
層、LED の発光層に対応する。今、入力光A(B)のみ
が図17のように照射した場合、HPT 100 (100')がオン
となるため、それと並列に接続されているHPT 100'(10
0 )はオフとなり、従ってLED 101 (101')のみが発光
する。他方、入力光A及びBが同時に照射した場合、LE
D 101 及び101'に接続していないHPT のみがオンとなる
ため、その結果LED 101 及び101'は共に電流が流れず発
光しない。入力光A及びBが共に無い場合にはどこにも
電流が流れないため、発光もない。以上の各場合の動作
から、HPT への入力光A及びBとLED からの出力光Cと
Dの和の間にはちょうど排他的論理和(XOR)の関係が
あることがわかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のXO
R などの論理動作をする光機能素子は、光信号をフォト
トランジスタにより電気信号に変換後さらに動作速度の
遅い発光ダイオードを駆動して光出力とすることから動
作速度をそれほど速くすることができないという欠点が
あり、また構造や作製プロセスが複雑であるなどの問題
点があった。
【0006】本発明は、光の高速性を活かした超高速で
高いコントラストを有する論理動作を行う半導体光機能
素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明による半導体光機能素子は、nipin 構造を有
するいわゆる三角バリアの一方のi 層側に負性抵抗特性
を有する共鳴トンネルダイオードと光吸収層を設けるこ
とにより、照射光量を増加するにつれ透過電流を上昇か
ら減少に変化させるとともに、その変化量を高コントラ
スト化し、かつ超高速な論理動作を行うことを可能とし
た。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0008】
【実施例1】図1は、本発明による半導体光機能素子の
無バイアス時のバンドダイアグラムを示している。ここ
では、波長1 μm帯で動作するInGaAsP/InGaAlAs系半導
体を用いて説明する。1はp −InP 層、2は一方の界面
にPN接合を有しキャリア注入により発光もしくは光透過
率を変調することができるInGaAsP 活性層(禁制帯幅波
長λg〜1.55μm 、厚さ約0.5 μm )、3はn-InP 層
(厚さ約1 〜2 μm )、4は特定の波長の光を照射する
ことによりこれを吸収し電子及び正孔のキャリアを生成
し得るi-InGaAs光吸収層(λg 〜1.65μm 、厚さ約1 〜
2 μm )、5はi-InAlAsトンネル障壁層(厚さ約3nm
)、6は歪InGaAsもしくは歪InAs量子井戸層(厚さ約7
nm )、7はi-InAlAsトンネル障壁層(厚さ約3nm )、
8はp-InGaAs層(厚さ約6nm )、9はi-InAlAs層(厚さ
約50〜200nm )、そして10はn-InP 層であり、5,6及
び7はいわゆる共鳴トンネルダイオード(RTD )11を、
そして4,8及び9はいわゆる三角バリアダイオード
(TBD )12を各々構成しており、RTD 11がTBD 12内の一
方のi層内、すなわち光吸収層4側に設けられた構造と
なっている。なお、破線はフェルミ準位EF である。
【0009】まず最初に、本発明の各構成層の基本機能
について説明する。RTD 11は、禁制帯エネルギー幅がよ
り大きな障壁層5及び7と、これらに挟まれた量子井戸
層6からなる。障壁層5及び7の層厚は約3nm程度と薄
いため、エミッタ層に対応するp-InGaAs層8の伝導帯の
電子はトンネル効果により量子井戸6内にしみ込むこと
が可能であるが、量子井戸内で電子が多重反射するため
通過し得るエネルギー準位は離散的な量子エネルギー準
位E1 に限られる。従って、RTD 11の両端にかかる電圧
が小さい場合、すなわちコレクタ層に対応するi-InGaAs
層4に印加される正極性の印加電圧が小さい場合には、
図2に示すようにエミッタ層8において電子が存在し得
る伝導帯底のエネルギーE0 に対してE0 <E1 である
ため、エミッタ層8から電子は殆ど流れない。ここで、
徐々にRTD 11の両端の電圧を増加するにつれE1 とE0
との差は減少するため電子は流れ始め、図3に示すよう
に電圧でE0 ≒E1 となると、エミッタ層8と量子井戸
層6のエネルギー準位は一致するため、電子は共鳴的に
流れる。さらに、電圧を印加すると今度はE0 >E1
なるため、電子は量子井戸内で存在し難くなるため、図
4で示したように、かえって電子流は低下する。例え
ば、印加電圧が一層大きくなると、電子が障壁層の上を
乗り越えて流れるため再度電子流が増加する。すなわ
ち、RTD 11の電流ー電圧特性は、図5の実線のようにい
わゆるN字形を示す。一方、TBD 12は、多数キャリアで
ある電子はn-InP 層10とi-InAlAs層9のp-InGaAs層8に
接する境界の伝導帯底のエネルギー差ΔEc をバリアと
して見ることになり、コレクタ層3側に正極性のバイア
ス電圧をかけた場合、これを乗り越える成分のみが電子
流として流れる。この際、バリアΔEc の制御は、n-In
P 層10とp-InGaAs層8の間に順バイアスを印加すること
により極めて効率的に行われ、該順バイアスを光照射で
行うことにより高感度な光検出器として機能させること
ができる。本発明は、RTD のかかるN字形特性を有する
機能と、TBD の光照射に対する高感度な電流制御機能及
びその際のi層内の内部電界の変化を巧みに利用したも
のであり、次に本発明の動作原理を述べる。
【0010】通常、本素子の両端には、少なくとも図2
のように活性層2の界面のPN接合のエネルギーギャプを
補償し、かつ光が無照射の場合にRTD 11においてE0
1となるようにTBD 12及びRTD 11全体を適度にバイア
スする程度の順バイアスV0が印加されている。このう
ちn-InP 層3と10の間にかかる電圧をV0 ' とした場合
の、RTD 11部及びTBD 12部の電流対電圧特性を、図5に
各々実線及び一点鎖線で示す。なお、TBD 12の特性につ
いては0<P3 <P1 <P2 の関係にある種々の光照射
量の場合について示してある。ここで光照射が無い場
合、すなわちPc=0の時を図5において▽印で示した
が、電圧V0 ’のうちほとんどがTBD 12部にかかってお
り、RTD 11にほとんど印加されていないためにE0 <E
1 となっていることや、まだp-InGaAs層8に付加的なバ
イアスが掛かっていないためエネルギー差ΔEc が大き
いことから、素子全体に流れる電流It はほとんど0と
なり、従って、活性層2へは電流が注入されず、発光も
なく、光透過率も極めて小さい。
【0011】次に、外部より波長1.57μm、光強度P3
の光を照射し、光吸収層4で吸収させる。これにより、
光吸収層4にはキャリアが誘起され、電子はn-InP 層3
を介して活性層2へ輸送され、正孔はポテンシャルの低
いp-InGaAs層8に移動し、トラップされる。その結果、
図3に示すようにp-InGaAs層8はポテンシャルが下が
り、TBD 12のバリアΔEc は小さくなるため、電子がn-
InP 層10よりバリアを乗り越えて右方向に流れる。この
電子はRTD 11のInAlAs障壁層7の左側の界面でトラップ
され、RTD 11をよりバイアスさせるため、共鳴準位E1
とE0 の差が減少し、RTD 11を流れる電流が増加する。
このようなキャリアとバイアスのバランスにより結果的
に電流It が流れ始める(図5の□印)。ここで、入射
光Pc の強度を、該エネルギー差がほぼ0となるような
光強度P1 を選ぶことにより、RTD11の透過電子数は最
大となる。この場合を図5において○印で示す。これら
のキャリアがn-InP 層3を通り、活性層2に注入し、活
性層2の光学利得を負から正へと変化させることができ
る。即ち、活性層2に例えば波長1.55μmの信号光が入
力されていれば、元々活性層の損失が大きく出力されな
かったものが、制御光Pc により損失が補償もしくは利
得をも与えられて、他端から出力されるようになる。ま
た、外部からの信号光が無い場合でも、活性層2内のキ
ャリア注入により発光が得られ、さらに共振器を活性層
2に設けることによりレーザ発振も可能である。なお、
光照射に対するTBD 12のp-InGaAsのp層へのバイアス効
果は極めて高感度なため、上記変化を高効率で実現する
ことができる。
【0012】さらに入射光Pc の強度を増加し、P2
すると、一層光吸収層4での誘起キャリアが増加し、益
々p-InGaAs層8のポテンシャルを下げ、RTD 11をバイア
スすることになる。この場合のバンドダイアグラムを図
4に、また、動作点を図5の△印で示す。これにより、
RTD 11の量子準位E1 はE0 より下がるため、p-InGaAs
層8から光吸収層4の方向に流れる電子の数は急激に減
少する。従って、活性層2へのキャリア注入も極めて少
なくなり、光学利得は再び負となる。即ち、活性層2か
らの発光、発振は抑圧されると共に、外部からの信号光
も透過されない。
【0013】光入射強度をP2 からP1 に減少させた場
合、動作状態はそれまでの履歴をたどるため、N字型の
RTD 11の特性曲線とTBD 12の特性曲線との交点のうち図
5の△印の状態をとり、従って、素子を流れる電流It
は低いレベルを維持する。そして、さらに光強度をP3
と低下させると、今度は両特性曲線の交点はひとつであ
るため、電流It は□印となる。
【0014】以上のような動作から、入射光強度Pc に
対する素子に流れる電流It の関係は図6のようにな
る。すなわち、本発明は適度な強度の入射光が入射した
時のみ活性層2を光学利得が大きく、発光もしくはレー
ザ発振をも得ることができるオン状態とし、他方、入射
光が無いかもしくは過大な強度の場合には光学損失が大
きく、発光もほとんど無いオフ状態となるように、光照
射により直接光信号を制御し得る光機能素子が実現され
る。この際、TBD 12の光に対する高感度性により、微小
光により高効率でコントラストの大きい特性を得ること
ができる。また、入出力特性において、双安定状態を実
現することができる。
【0015】
【実施例2】図7に実際の素子構造に適用した第2の実
施例を示す。本実施例は、光論理素子として用いた半導
体光機能素子である。ここでは、波長1μm帯で動作す
るInGaAsP/InGaAlAs系半導体を用いて説明する。1はp-
InP 層、2は一方の界面にPN接合を有しキャリア注入に
より発光もしくは光透過率を変調することができるInGa
AsP 活性層(禁制帯幅波長λg 〜1.55μm 、厚さ約0.5
μm )、3はn-InP 層(厚さ約1 〜2 μm )、4は特定
の波長の光を照射することによりこれを吸収し電子及び
正孔のキャリアを生成し得るi-InGaAs光吸収層(λg 〜
1.65μm 、厚さ約1 〜2 μm )、11は図1で示したごと
くi-InAlAsトンネル障壁層(厚さ約3nm),歪InGaAsも
しくは歪InAs量子井戸層(厚さ約7nm )及びi-InAlAsト
ンネル障壁層(厚さ約3nm )からなるRTD 、8はp-InGa
As層(厚さ約6nm )、9はi-InAlAs層(厚さ約50〜200n
m )、そして、13, 14及び15は電極である。電極14は、
n-InP 層10の上部を部分的に覆う形状となっている。従
って、制御光Pc は、電極14の側の電極に覆われていな
い部分から光吸収層4に照射される。電極13、14間に電
圧V0 を印加する。本実施例では、適度な強度の制御光
c が入射したときのみ活性層2の光学利得が大きく、
発光もしくはレーザ発振をも得ることができるオン状態
とし、逆に、制御光Pc が無いかもしくは過大な強度の
場合には光学損失が大きく、発光もないオフ状態となる
【0016】本実施例の動作について説明する。上部よ
り制御光Pc を入射し、その入射強度強度を増加する。
該制御光Pc は光吸収層4で吸収され、その際の生成キ
ャリアに応じてRTD 11を通過する電子の数Ie が変調を
受け、通過電子は活性層2に注入される。これにより、
活性層2の損失は減少し、入射信号光Pi の透過率は上
昇し、従って活性層2の他端より出射される出力光P0
も上昇する。Pc がP1 より大きくなると、前述のよう
にRTD の電子の透過率はかえって減少し、従って、出力
光P0 も減少する。この際の光入出力特性を図8に実線
で示す。
【0017】また、活性層2の端面に例えばファブリ・
ペロ共振器を設け、そのレーザしきい値を適度に設定す
ることにより、図8に破線で示したようにPc 〜P1
場合のみ活性層2を含むレーザ共振器を発振させること
ができ、従って、導波路への入力光Pi が無くても制御
光Pc で変調されたレーザ光P0 を得ることができる。
尚、活性層2にレーザ共振器が設けられていなくても,
LED 状態で同様の変調された出力光P0 が得られること
は言うまでも無い。この場合の光入出力特性は実線で示
したようになる。
【0018】以上は制御光Pc として1入力の場合につ
いて示したが、重要なのは制御光の全強度であって、入
力数が幾つであっても問題ではない。次に、2入力によ
り光論理素子として適用した例について説明する。ハー
フミラー、カップラー等を用いてPc1,Pc2なる2入力
を合体して1入力Pc を構成したとする。ここで、Pc1
=Pc2=P1 、Pc1+Pc2=P2 とし、各光強度を図7
に示した光出力P0 がピークとなる入力光強度P1 で規
格化した値を用いて、入力光の関係を真理値表で表すと
表1のようになる。すなわち、2入力光Pc1,Pc2に対
し排他的論理和(XOR )に従った出力光P0 が得られる
光論理素子として機能させることができる。
【0019】
【表1】
【0020】また、応答特性としては、本素子に入射光
が入射し終われば、光吸収層4に蓄積した正孔は数nsと
いう短いライフタイムで自然消滅し、次の新たな動作が
可能であるが、一層の高速動作を得るためには、図9に
示すように、適当なタイムクロックでp-InGaAs層8にキ
ャリア排斥用バイアス電圧Vr を印加するか、もしく
は、波長1.65μm 以上の光を照射することにより正孔を
強制的に排斥してやれば良い。すなわち、電圧印加の場
合、図7に示した実施例においては電極14と15の間にV
r を印加すれば良い。
【0021】
【実施例3】図10に本発明の第3の実施例を示す。本実
施例は、光双安定素子として用いた半導体光機能素子で
ある。ここでは、波長1 μm帯で動作するInGaAsP/InGa
AlAs系半導体を用いて説明する。1はp-InP 層、2は一
方の界面にPN接合を有しキャリア注入により発光もしく
は光透過率を変調することができるInGaAsP 活性層(禁
制帯幅波長λg 〜1.55μm 、厚さ約0.5 μm )、3はn-
InP 層(厚さ約1 〜2μm )、4は特定の波長の光を照
射することによりこれを吸収し電子及び正孔のキャリア
を生成し得るi-InGaAs光吸収層(λg 〜1.65μm 、厚さ
約1 〜2 μm )、11は図1で示したごとくi ー InAlAsト
ンネル障壁層(厚さ約3nm ),歪InGaAsもしくは歪InAs
量子井戸層(厚さ約7nm )及びi-InAlAsトンネル障壁層
(厚さ約3nm )からなるRTD 、8はp-InGaAs層(厚さ約
6nm )、9はi-InAlAs層(厚さ約50〜200nm )、16はλ
/4シフト回折格子であり、λ/4シフト回折格子16は活性
層2に沿って設けられDFB レーザ構造を形成している。
17は窓構造を兼ねたInP 埋め込み層、22はp-InGaAsP バ
ッファ層、そして、13,14及び15は電極である。電極14
は、n-InP 層10の上部を部分的に覆う形状となってい
る。従って、制御光Pc は、電極14の側から電極に覆わ
れていない部分から光吸収層4に照射される。電極13,
14間に電圧V0 を印加する。さらに、活性層2及び光吸
収層4の組成を、例えば禁制帯幅波長が共に1.55μm と
ほぼ同じにし、また活性層2からの発光が効果的に吸収
層に吸収される1〜2μm程度と比較的近接させて配置
させている。
【0022】実施例3の光双安定素子と実施例2の光論
理素子の構成上の基本的な違いは、活性層2に共振器が
設けられレーザが構成されていることと、活性層2及び
光吸収層4の組成をほぼ同程度とし、また比較的接近さ
れて配置したことである。実施例3では、λ/4シフト回
折格子16が活性層2の共振器の役割を果たしている。こ
の他に、活性層2の両端にミラーを設けたり、活性層2
の両端に回折格子を設けるなどして共振器を形成すれ
ば、本発明を実施できる。
【0023】本実施例3では、活性層2からの発光が光
吸収層4で吸収される光学的に正帰還の状態を実現する
ことができるため、実施例2よりもさらにコントラスト
が大きくシャープな光双安定などの非線形な動作が得ら
れる。
【0024】本実施例の動作について説明する。制御光
強度Pc を上昇すると前述の本発明の動作原理によりRT
D 11の電子の透過率が上昇し、活性層2に電子が注入さ
れる。これにより活性層2は光学利得が生じ発光が増加
する。この場合、活性層2と光吸収層4の組成をほぼ等
しくし、かつ比較的接近して配置しておけば、該活性層
からの発光の一部Pf は光吸収層4で吸収され、さらに
p-InGaAs層8をバイアスし、より電子が透過し、活性層
2に注入され発光に共されるという正帰還が生じるよう
になる。このような光学的な正帰還が生じる構造とする
と共に、さらに活性層2に回折格子を用いたDFB 型の共
振器を形成し、その発振しきい値Ithを最大透過電流よ
り小さくなるように共振器の損失を設定することによ
り、ある入力光強度においてジャンプ状に発振状態に到
らしめることができる。一旦発振状態になると、該正帰
還のために入力光Pc を低下させても発振が維持され、
一定の出力光P0 が得られる。そして、一定の低い入力
レベルにおいて、ジャンプ状に発振が停止する。すなわ
ち、出力光P0 は、入力光Pc に対しヒステリシス特性
を描く。この様子を図11に示す。ヒステリシスループ内
に電圧Vb もしくは光Pcbによりバイアスし、これにP
s なる強度の光パルスを入力することにより、活性層2
は○印で示した発振状態へスイッチし、出力光P0 が得
られる。
【0025】入力光強度をある値以上にすると、RTD 11
の電子の透過率は減少し、活性層2への注入電流It
しきい値以下となり、発振は停止し、△印で示したよう
に出力光はほぼ0となる。すなわち、Pr (>Ps )な
る入力光パルスにより出力光をリセットすることができ
る。以上より、光の正帰還を積極的に利用することによ
り、光パルスにより出力光をセット、リセットされる光
メモリを実現することができる。
【0026】
【実施例4】以上の実施例では、RTD の量子準位として
1つの例しか示さなかったが、量子準位は複数あっても
かまわず、この場合、多安定動作などの高機能が実現さ
れる。例えば、RTD の量子井戸層の層厚を15nm程度にす
ると、量子準位数は2になる。このときのRTD の電流対
電圧特性を図12において実線で示したが、2つのピーク
を有する特性となる。ここで、素子へV0 ' なる電圧を
印加し、0<P1 <P2 <P3 <P4 なる関係の種々の
強度の光を照射した場合のTBD の特性曲線を一点鎖線で
示す。各々の照射光強度でのRTD とTBD の交点が動作状
態を示すが、照射光強度Pc に対する素子に流れる電流
t の関係を図13に示す。各照射光強度のときの動作点
を、図12と対応させて番号で示し、また、光強度の増減
に対する動作点の変化を矢印で示した。図6と同様の原
理で各量子準位ごとに双安定状態が現れることがわか
る。さらに、RTD の量子準位や印加バイアスを調整する
ことにより、3安定状態をも実現される。同様の仕組み
により、量子準位数を増加すれば、その数に対応して安
定状態数も増加することも可能である。
【0027】
【実施例5】本発明による光機能素子を複数個用い、ビ
ットパターンマッチング素子として適用した実施例を図
14に示す。ここでは、波長1 μm帯で動作するInGaAsP/
InGaAlAs系半導体を用いて説明する。1はp-InP 層、2
は一方の界面にPN接合を有しキャリア注入により発光も
しくは光透過率を変調することができるInGaAsP 活性層
(禁制帯幅波長λg 〜1.55μm 、厚さ約0.5 μm )、4
は特定の波長の光を照射することによりこれを吸収し電
子及び正孔のキャリアを生成し得るi-InGaAs光吸収層
(λg 〜1.65μm 、厚さ約1〜2μm )、11は図1で示
したごとくi-InAlAsトンネル障壁層(厚さ約3nm ),歪
InGaAsもしくは歪InAs量子井戸層(厚さ約7nm )及びi-
InAlAsトンネル障壁層(厚さ約3nm)からなるRTD 、8
はp-InGaAs層(厚さ約6nm )、9はi-InAlAs層(厚さ約
50〜200nm )、10はn-InP 層、16はλ/4シフト回折格子
であり、λ/4シフト回折格子16は活性層2に沿って設け
られDFB レーザ構造を形成している。17はInP 埋め込み
層、18はInGaAsP 出力導波路層、19は合波器、20は出力
用端面、21は光照射用ファイバ、そして、13,14及び15
は電極である。本実施例では5素子が同一基板上に集積
化されており、各々5ビットから成る2つの光パルス列
の間のビットパターンの相関を取る構成について述べ
る。
【0028】各素子は、基本的には図10に示した活性層
に沿ってλ/4シフト回折格子が設けられたDFB レーザ型
であるが、本実施例では活性層2のみならず、出力用導
波路18も埋め込み構造について示してあり、各素子から
の出力は合波器19で合波され、端面20よりP0 として出
力される。次に、本実施例の動作について説明する。各
素子には、ファイバカプラ付きの2入力ファイバ21か
ら、a,Aなる2種類のビットパターンが各々入力す
る。この際、通常ビット列aは時系列で入力されるた
め、図15に示したような、例えばファイバ遅延線を用い
たシリアルーパラレル変換器により、同一時刻に各ビッ
トが空間的に分離されるようにし、各出力を各々P1a
2a,P3a,P4a,P5aに入力する。一方、該ビットパ
ターンは、別にP1A,P2A,P3A,P4A,P5Aに各々パ
ラレルに入力された他のビットパターンAとファイバカ
プラで合波され、各素子に入射される。ここで各素子に
おいては、合波された入射光は光吸収層4で吸収され、
p-InGaAs層8をバイアスする。この際、前述のように入
射光パターンに応じてRTD 11を通過し、活性層2に注入
される電子の数が変化し、2つのビットの内一方のみが
“1”で他方が“0”の時のみ活性層2は大きな利得を
有し、λ/4シフト回折格子16により発振し、その出力光
は端面20より出力される。他方、2つのビットが“0”
と”0”、もしくは“1”と“1”の場合は活性層2に
注入されず、従って、端面20からは出力されない。すな
わち、本素子は,aおよびAの2つのビット列がすべて
一致した時のみ端面20からの出力はP0 =0となり、1
つのビットでも不一致が生じればP0≠0なる出力が得
られ、端面20からの出力の有無によりビットパターンの
一致、不一致が判断できる。また、各DFB レーザの出力
波長は、λ/4シフト回折格子16の周期に依存するため、
各素子の回折格子の周期を変えておくことにより出力の
波長をモニタし、どのビットが不一致を起こしたかを判
別することができる。
【0029】以上のように、本発明によれば、入射光強
度に応じて出力光が変調される半導体光機能素子が実現
でき、光セット、リセットが可能な光双安定素子のみな
らず、複数の素子を用いることにより光パルス列のビッ
トパターンマッチング素子が、また、複数の量子準位の
導入により多安定状態などが実現される。実施例では、
第1の導電型としてn型、第2の導電型としてp型につ
いて述べたが、n型とp型を逆にしても同様の機能が得
られる。但し、その場合はTBD を流れる多数キャリアは
通常質量の大きい正孔になるが、歪を導入することによ
り質量を低減化し、高速動作を得ることができる。ま
た、上述の実施例では単一量子井戸からなる共鳴トンネ
ルダイオードについて示したが、量子井戸数が複数ある
多重量子井戸型の共鳴トンネルダイオードであっても同
様の光機能動作が得られる。さらに、材料としてInGaAl
As系、InGaAsP 系を用いて説明したが、これに限らずAl
GaAsなどや、非格子整合系からなる半導体材料において
も適用することができる。また、TBD とRTD は各々1つ
ずつの場合のみ説明したが、複数ずつ積層して形成する
ことにより、さらに高度な光機能が得られる。
【0030】
【発明の効果】本発明の特徴は、三角バリア(TBD )の
一方のi層内に共鳴トンネルダイオード(RTD )を設
け、光照射によりRTD のバイアスを制御したことにあ
り、これにより光吸収層への入射光が所定の強度の場合
に活性層から出力光が得られ、また、該入射光強度が所
定の値以外の場合は光が出力されないという特性を有す
る光機能素子が実現される。これを2入力とすることに
よりXOR の光論理素子、光帰還を組み込むことにより光
セット,リセットが可能な光双安定素子、さらに複数の
素子を用いることにより極めて高速な光パルス列のビッ
トパターンマッチング素子や多安定素子などの種々の光
機能素子を実現することができ、光信号のセルフルーテ
ィング回路を用いた広帯域通信網の構築が可能となり、
その効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体光機能素子の熱平衡状態時のバ
ンドダイアグラムである。
【図2】本発明の半導体光機能素子の光無照射時のバン
ドダイアグラムである。
【図3】本発明の半導体光機能素子のP1 なる強度の光
照射時のバンドダイアグラムである。
【図4】本発明の半導体光機能素子のP2 なる強度の光
照射時のバンドダイアグラムである。
【図5】本発明の半導体光機能素子の電圧対電流特性で
ある。
【図6】本発明の半導体光機能素子の光入力対電流出力
特性である。
【図7】本発明の半導体光機能素子の第2の実施例を示
す縦断面図である。
【図8】第2の実施例の光入出力特性である。
【図9】キャリア排斥用バイアス電圧を印加もしくは光
を照射したときのバンドダイアグラムである。
【図10】本発明による半導体光機能素子の第3の実施
例を示す縦断面図である。
【図11】第3の実施例の光入出力特性である。
【図12】本発明による半導体光機能素子を多安定素子
に適用した実施例の電流対電圧特性である。
【図13】本発明による半導体光機能素子を多安定素子
に適用した実施例の電流対入射光強度特性である。
【図14】本発明による半導体光機能素子をビットパタ
ーンマッチング素子に応用した実施例である。
【図15】図14の実施例に用いるシリアル・パラレル変
換器の1例を示す図である。
【図16】従来技術の半導体光機能素子の例を示す断面
図である。
【図17】従来技術の半導体光機能素子の等価回路図で
ある。
【符号の説明】
1 p-InP 層 2 InGaAsP 活性層 3 n-InP 層 4 i-InGaAs光吸収層 5,7 InAlAsトンネル障壁層 6 歪InGaAsもしくInAs量子井戸層 8 p-InGaAs層 9 i-InGaAlAs層 10 n-InP 層 11 共鳴トンネルダイオード 12 三角バリア 13,14,15 電極 16 λ/4シフト回折格子 17 InP 埋め込み層 18 InGaAsP 導波路層 19 合波器 20 出力用端面 21 光照射用ファイバ 22 p-InGaAsP バッファ層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導電型の第1の半導体層、第1の
    i 型半導体層、第2の導電型の第1の半導体層、第2の
    i 型半導体層、第1の導電型の第2の半導体層、さらに
    発光層もしくは光変調層が順次積層されてなり、該第2
    のi 型半導体層に共鳴トンネルダイオードを、また、該
    共鳴トンネルダイオードと該発光層もしくは光変調層の
    間に光吸収層を含むことを特徴とする半導体光機能素
    子。
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