JP2720053C - - Google Patents

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JP2720053C
JP2720053C JP2720053C JP 2720053 C JP2720053 C JP 2720053C JP 2720053 C JP2720053 C JP 2720053C
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bis
aminophenoxy
phenyl
dimethylphenyl
cyclohexane
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Chisso Corp
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規なジアミノ化合物、ジニトロ化合物およびこれらの製造方法に
関する。さらに詳しくは、高いプレチルト角になる液晶表示素子の配向膜用ポリ
イミドの原料として有用な新規なジアミノ化合物、ジニトロ化合物およびこれら
の製造方法に関する。 (従来の技術) 従来の時計や電卓に用いられている液晶表示素子は、上、下2枚で一対をなす
電極基板の表面でネマチック液晶分子の配列方向を90度に捻った構造のツイス
ト・ネマチック(以下TNと略す)モードが主流である。しかし、この表示モー
ドは、高デューティ駆動した場合コントラストが低く、視野角が狭いため、表示
品質、表示面積の向上を計るためには十分なものではなかった。近年、超ねじれ
複屈折効果(super twisted birefringence effect)(T.J.Scheffer and J.Ne
thriug,Appl.phys.Lett.45(10),1021(1984))を利用した液晶表示装置
が発表されて以来、上、下電極基板の間でネマチック液晶分子の配列方向を18
0〜290度に捻ったスーパーツイスト・ネマチック(以下STNと略す)モー
ドを利用した液晶表示素子が開発され、大画面液晶表示素子でも表示品位の満足
できるものが開発されつつある。これらのものに使用する配向膜においては単に
液晶分子を配列させるだけでなく、応答性をよくし双安定性を確実にするために
基板平面と液晶分子の間に所定の角度(以下プレチルト角と略す。)をもたせな
ければならない。また捻り角を大きくするにつれて、プレチルト角も大きくする
ことが望ましい。これらのうち、捻れ角の比較的小さいもの(180〜200度
ツイスト)では、電極基板上の界面処理は、現在一般に使用されているプレチ ルト角(θと略す)が5度以下の界面を持つ配向膜を備えたセルで十分である。
しかし、より表示品質の良い200〜270度の捻れ角を持つ方式のものにあっ
てはより高いプレチルト角(5°<θ≦30°)の界面を使わねばならず、この
ため、これらのプレチルト角を満足する配向膜を備えた液晶表示セルが必要であ
る。 現在使われているTNモード用のポリイミド配向膜では、工業的規模で生産さ
れる表示セルのプレチルト角は5度が限界である。 特開昭61−240223号公報には式にて表わされる反復単位を有するポリイミド樹脂を用いた液晶配向膜を備えた液
晶表示素子が開示されている。このポリイミドの原料として なるジアミンを用いた具体例が示されている。 しかし、このジアミノ化合物を用いて得られるポリイミド配向膜では、後記す
る比較例に示すように高いプレチルト角が得られないという難点がある。また、
STNモード用として高いプレチルト角を持ったポリイミド配向膜も存在してい
るが、それらは広い表示面積のセル基板の全域にわたるプレチルト角の安定性お
よび再現性に問題を残している。確実に、高いプレチルト角を得るためには、S
iO等の真空斜方蒸着による薄膜形成が、現在行われている最良の方法である。 しかし、真空蒸着による薄膜の形成は工業的に大量生産する場合、その製造装 置の面からコスト的に不利であり、従来のTNモードで用いられているのと同じ
方法である有機質薄膜のラビングによる界面処理で配向及び高いプレチルト角を
得、かつプレチルト角の安定性および再現性を実現する事が切望されている。 またジオール化合物は、USP−2468982に、ビスフェノールAの合成
法が記載されている。(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、ラビング処理することにより配向性が良く、均一で高いプレ
チルト角の実現を可能にする有機質配向膜の原料となる新規なジアミノ化合物、
ジニトロ化合物、ジオール化合物およびこれらの製造方法を提供することにある
。 (課題を解決するための手段) 本願発明は、 一般式 (式(I)中、R1〜R6は水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を、R〜
12は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子または塩素原子をそれ
ぞれ示す。)で表されるジアミノ化合物、 一般式(式(II)中、R1〜R12は上記(I)と同じ)で表されるジニトロ化合物、 一般式 (式(III)中、R1′〜R6′は1つ以上が炭素数2〜22のアルキル基で他は水
素原子を、R7〜R8は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子または
塩素原子をそれぞれ示す。)で表されるジオール化合物、 一般式 (式(IV)中、R1〜R6は1つ以上が炭素数1〜22のアルキル基で他は水素原
子を、R7〜R8は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子または塩素
原子をそれぞれ示す。)で表されるジオール化合物に塩基存在下でヒドロキシル
基をニトロ化する上記一般式(II)で表されるジニトロ化合物の製造方法、 上記一般式(II)で表されるジニトロ化合物を還元することを特徴とする上記
一般式(I)で表されるジアミノ化合物の製造方法、 より構成される。 本発明のジアミノ化合物として好ましい物を例示すると、 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−メチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−エチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nプロピル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nブチルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nペンチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nヘキシル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nヘプチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nオクチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nノニルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nデシルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nウンデシ
ルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nドデシル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nトリデシ
ルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nテトラデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nペンタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nヘキサデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nヘプタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−4−nオクタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−メチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−エチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nプロピル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nブチルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nペンチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nヘキシル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nヘプチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nオクチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nノニルシ クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nデシルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nウンデシ
ルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nドデシル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nトリデシ
ルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nテトラデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nペンタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nヘキサデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nヘプタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル〕−3−nオクタデ
シルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−メチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−エチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nプロピルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nブチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nペンチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nヘキシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nヘプチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nオクチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nノニルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nウンデシルシロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nドデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nトリデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nテトラデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nペンタデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nヘキサデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nヘプタデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−4−nオクタデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−メチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕 −3−エチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nプロピルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nブチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nペンチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nヘキシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nヘプチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nオクチルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nノニルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nウンデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nドデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nトリデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nテトラデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nペンタデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nヘキサデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nヘプタデシルシクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕
−3−nオクタデシルシクロヘキサンなどをあげることができる。 本発明のジニトロ化合物として好ましい物を例示すると、 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−メチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−エチルシク
ロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−nプロピル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−nブチルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−nペンチル
シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)−フェニル〕−4−nヘキシル
シクロヘキサンなどをあげることができる。 本発明で使用されるジオール化合物として好ましい物を例示すると、 1,1−ビス〔4−ヒドロキシフェニル〕−4−エチルシクロヘキサン、 1,1−ビス〔4−ヒドロキシフェニル〕−4−nプロピルシクロヘキサン、 1,1−ビス〔4−ヒドロキシフェニル〕−4−nブチルシクロヘキサン、 1,1−ビス〔4−ヒドロキシフェニル〕−4−nペンチルシクロヘキサン、 1,1−ビス〔4−ヒドロキシフェニル〕−4−nヘキシルシクロヘキサンな
どをあげることができる。 本発明のジアミノ化合物は、STN用有機配向膜の原料中間体を主目的として
デザインされたが、その他のポリイミド、ポリアミド、等の高分子化合物および
その改質にも使用可能であり、エポキシ架橋材等の他の目的に使用しても何等差
し支えない。 本発明の製造方法は、ジオール化合物に塩基存在下でジニトロ化合物を得、こ
のジニトロ化合物を還元することによりのジアミノ化合物を製造する方法である
。以下に製造方法の一例を説明する。 〈製造方法〉 (第1段) シクロヘキサノンもしくはその誘導体とフェノールもしくはその
誘導体(例えばo−クレゾール、m−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール
)とを無溶媒又は適当な溶媒(例えばトルエン、キシレン)中で塩酸ガスを20
〜40℃で作用させ、ジアミノ化合物(III)を得る。 (第2段) ジアミノ化合物(III)とp−クロロニトロベンゼンもしくはその
誘導体(例えば、5−クロロ−2−ニトロトルエン)をジメチルスルホキシド(
以下、DMSOと略す)溶媒中でKOH又はNaOHを用いて40〜80℃で縮
合させジニトロ化合物(II)を得る。 (第3段) ジニトロ化合物(II)を適当な溶媒(例えば、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、エタノール、メタノール)中で、パラジウム・カーボン(以下P
d−Cと略す)触媒を用い40〜80℃で水素還元することによりジアミノ化合
物(I)が得られる。 この反応工程に示されるように、第1段の工程においてR1〜R6,R7〜R8
適宜選択する事により、目的物である各種のジオール化合物(III)、第2段の工
程において更にR11〜R14を適宜選択する事により、目的物である各種のジニト
ロ化合物(II)、ジアミノ化合物(I)を選択的に製造することができる。 これらの各種のジアミノ化合物を原料として製造されるポリイミド配向膜によ
りもたらされる液晶セルのプレチルト角は主としてR1〜R6のうちのアルキル鎖
の鎖長によって影響を受け、鎖長が長くなるほど大きなプレチルト角が得られる
。またこの値は、液晶表示素子製造上の一つの重要工程であるラビング工程によ
っても影響を受ける。更に表示素子のその他の因子、例えば用いる液晶の種類、
表示素子の製造条件などによってもプレチルト角はある範囲で変動するが、これ
らの変動する要因に対処して本発明のジアミノ化合物のR1〜R6のうちのアルキ
ル鎖の鎖長を適宜選択することにより、その表示素子の製造条件で最適のプレチ
ルト角を得ることができる。 本発明のジアミノ化合物を用いた液晶セルの配向膜は、通常ポリイミド配向膜
の製造に用いられる諸操作により得ることができる。 その一例を次に述べる。 本発明のジアミノ化合物と無水プロメリット酸等の四塩基酸二無水物とを1: 1のモル比で適当な溶媒中で酸無水物の開環付加による重合を0〜20℃で行わ
せて得られるポリアミック酸の溶液を、予め適当なシランカップリング剤で表面
処理を施した透明ガラス基板上にスピナー法等により塗布した後、180℃から
300℃程度で加熱処理してポリイミド膜を得ることができ、本発明の配向膜と
なる。 (実施例) 以下、本発明の化合物に関してより詳細に例示するとともに、その化合物を用
いて得られたポリイミド樹脂の液晶配向膜としての応用の結果を例示する。 実施例1 (第1段) 4−nプロピルシクロヘキサノン650gとフェノール1550
gを混合し、室温で激しく撹拌しながら塩化水素ガスを吹き込み、3時間激しく
撹拌し、さらに50時間室温で放置した。この間に反応液は固化した。これに温
水1l、トルエン3lを加え、加熱溶解した。冷却して析出してきた結晶を濾過
し、その結晶を水、トルエンで洗浄した。結晶を乾燥させた後、アセトン溶媒で
再結晶することにより、白色の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
nプロピルシクロヘキサンの結晶を658g得た。 融点:171.2〜171.8℃ (第2段) 第一段階で得られた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
4−n−プロピルシクロヘキサン179g、KOH91.4g及びDMSO50
0mlを加え、65℃1時間加熱溶解した。 p−クロロニトロベンゼン183gをDMSO400mlに溶解した溶液を6
5℃で滴下反応し、5時間熟成した。 反応終了後、室温に冷却し、トルエン3lを加えた。トルエン層を3N−HC
l水溶液、1N−NaOH水溶液、さらに飽和食塩水で中性になるまで洗浄した
後、Na2SO4にて乾燥させ、トルエン溶媒でアルミナカラムをかけ、溶出液を
留去した。濃縮物をアセトンで再結晶することにより、淡黄色の結晶を227.
5g得た。 融点:127.3〜127.6℃ (第3段) 第2段で得られた1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ) フェニル〕−4−n−プロピルシクロヘキサン112.5gをトルエン500m
l、ソルミック150mlに溶解し、Pd−C触媒(5%品、水分55.9%含
)9.0gを加え、常圧60℃で撹拌しながら水素ガスと接触させた。水素の吸
収が停止したのちに、触媒を濾別し、溶媒を濃縮した。濃縮物をジクロルメタン
−ソルミックス混合溶媒で再結晶することにより、薄褐色の1,1−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nプロピルシクロヘキサン85.5
gを得た。 融点:130.5〜131.3℃ この化合物の赤外吸収(IR)スペクトルと60MHz−プロトン核磁気共鳴
1H−NMR)スペクトルを第1図および第2図に示す。 実施例2 出発原料の4−nプロピルシクロヘキサノンからそれぞれ対応するシクロヘキ
サノン誘導体に変えた外は実施例1に準じた操作を行なって 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−エチルシクロ
ヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nペンチルシ
クロヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−メチルシクロ
ヘキサン 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nヘプチルシ
クロヘキサン を製造した。 次にこれらの化合物および中間体の融点を示す。 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン m.p.=189.2〜189.8 白色結晶 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン m.p.=133.8〜134.1 淡黄色結晶 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン m.p.=155.0〜155.5 薄褐色結晶 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−エチルシクロヘキサン m.p.=169.5〜170.0 白色結晶 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル〕−4−エチルシクロ
ヘキサン m.p.=134.7〜135.4 淡黄色結晶 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−エチルシクロ
ヘキサン m.p.=152.8〜153.8 薄褐色結晶 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−nペンチルシクロヘキサン m.p.=169.3〜169.8 白色結晶 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル〕−4−nペンチルシ
クロヘキサン m.p.=93.7〜94.0 淡黄色結晶 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nペンチルシ
クロヘキサン m.p.=106.4〜107.6 薄褐色結晶 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン m.p.=179.8〜180.6 白色結晶 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル〕−4−メチルシクロ
ヘキサン m.p.=143.6〜144.9 淡黄色結晶 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−メチルシクロ
ヘキサン m.p.=170.1〜170.9 薄褐色結晶 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−nヘプチルシクロヘキサン m.p.=161.6〜163.1 白色結晶 1,1−ビス〔4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル〕−4−nヘプチルシ
クロヘキサン 黄色オイル状 1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nヘプチルシ
クロヘキサン m.p.=125.2〜126.7 薄褐色結晶 得られたジアミノ化合物のIRおよびNMRスペクトルをそれぞれ第3図と第4
図(1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン)
、第5図と第6図(1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ〕フェニル〕−
4−エチルシクロヘキサン)、第7図と第8図(1,1−ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕−4−n−ペンチルシクロヘキサン)に示す。 第9図は(1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−メ
チルシクロヘキサン、第10図は(1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ
)フェニル〕−4−nヘプチルシクロヘキサンのNMRスペクトルを示す。 応用例1 実施例1で製造された1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル
〕4−nプロピルシクロヘキサン29.96gと無水ピロメリット酸15.16
g及びパラアミノフェニルトリメトキシシラン3.36gをN−メチル−2−ピ
ロリドン429mlを溶媒として5℃〜10℃で重合し、ポリアミック酸溶液(
10%、η20=221cps)を得た。この溶液をブチルセロソルブで1対1に
希釈した後、片面に透明電極を設けたガラス基板上に、回転塗布法(スピンナー
法)で塗布した。塗布条件は回転数3000rpm、20秒であった。塗布後、
100℃で10分間予備加熱を行った後、200℃1時間で加熱処理を行ない、
膜厚約600Åのポリイミド膜を得た。続いて2枚の基板の膜面をそれぞれラビ
ング処理を施し、ラビング方向が平行でかつ互いに対向するようにセル厚10μ
mの液晶セルを組み立てチッソ(株)製液晶YY−4006を封入した。得られ
た液晶素子は配向が良好であり、電気容量測定からプレチルト角を求めると11
.8度であった。 この結果から、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4
−nプロピルシクロヘキサンを配向膜の原料とすることにより、高いプレチルト
角を得ることができる。 応用例2 実施例2で製造された1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル
〕シクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−
4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕−4−nペンチルシクロヘキサンを用い、応用例1と同様にして得られた
10%のポリアミック酸溶液の粘度はそれぞれ、179cps、113cps、
122cpsであり、これらから得られた液晶素子のプレチルト角はそれぞれ7
.3度、9度、14度であった。同様に実施例2で製造された1,1−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔
4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−nヘプチルシクロヘキサンを用
い、応用例1と同様にして得られた10%のポリアミック酸溶液の粘度はそれぞ
れ、166cps、150cpsであり、これらから得られた液晶素子のプレチ
ルト角はそれぞれ8度、16度であった。 このことにより原料中のシクロヘキサンに結合しているアルキル鎖の鎖長を長
くするとプレチルト角を大きくすることができ、適当な鎖長を選択することによ
り、液晶素子を製造する際に必要なもっとも最適なプレチルト角を得ることがで
きる。 応用比較例 応用例に準じ22−Bis〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパ
ンのジアミノ化合物からポリアミック酸溶液(10%、η20=113cps)を
得、塗布し予測加熱、加熱処理を行ない、ポリイミド膜を得る。さらにこれにラ
ビング処理を施し、液晶セルを組み立てた液晶素子は、電気容量測定からプレチ
ルト角を求めると5度であった。 (作用ならびに効果) 本発明により新規なジアミノ化合物、ジニトロ化合物、ジオール化合物、これ
らの製造方法を提供された。該ジアミノ化合物を一方の原料として調製されるポ
リイミド化合物はスーパーツイストネマチック液晶表示素子に要求されている高
いプレチルト角を通常のラビング処理により実現できる。これは、原料のジアミ
ノ化合物のもつシクロヘキサン環とそれに結合するアルキル基によってもたらさ れるものと考えられる。このような特徴をもつ本発明のジアミノ化合物は、ST
N用有機配向膜の原料中間体を主目的としてデザインされたが、その他のポリイ
ミド、ポリアミド、等の高分子化合物およびその改質にも使用可能であり、エポ
キシ架橋材等の他の目的に使用し、また高分子化合物に新しい特性を導入するこ
とが期待できる。
【図面の簡単な説明】 第1図および第2図はそれぞれ実施例1で得られたジアミノ化合物のIR−ス
ペクトル図および1H−NMRスペクトル図である。第3〜8図はそれぞれ実施
例2に示すジアミノ化合物のIRスペクトル図および1H−NMRスペクトル図
である。 第9〜10図はそれぞれ実施例2に示すジアミノ化合物の1H−NMRスペク
トル図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)一般式 (式(I)中、R1〜R6は水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を、R7
    〜R12は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子または塩素原子をそ
    れぞれ示す。)で表されるジアミノ化合物。 (2)一般式(式(II)中、R1〜R12は上記(I)と同じ)で表されるジニトロ化合物。 (3)一般式 (式(IV)中、R1〜R6は1つ以上が炭素数1〜22のアルキル基で他は水素原
    子を、R7〜R8は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子または塩素
    原子をそれぞれ示す。)で表されるジオール化合物に塩基存在下でヒドロキシル
    基をニトロ化する上記一般式(II)で表されるジニトロ化合物の製造方法。 (4)上記一般式(II)で表されるジニトロ化合物を還元することを特徴とす
    る上記一般式(I)で表されるジアミノ化合物の製造方法。

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