JP2719964B2 - 水なし平版用インキ組成物 - Google Patents

水なし平版用インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水なし平版印刷において耐地汚れ性が良好
で、かつ印刷適正の優れた水なし平版用インキ組成物に
関するものである。
[従来の技術] 現在の印刷の主流をなす平版印刷においては、水と油
性インキとが互いに反発する性質を利用し、親水性の非
画線部と親油性の画線部とからなる版を用い、親水性の
非画線部に水を付着させ、他方親油性の画線部に油性イ
ンキを付着させたのち、上記画線部に付着した油性イン
キを被印刷物に転移させることによって目的の印刷物を
得るという操作により、印刷が行われている。
しかしながら、かかる平版印刷法においては、非画線
部へのインキの付着を防止する役目をしている湿し水の
コントロールが難しく、また印刷適正および印刷効果の
面からも湿し水を用いることが大きな技術障害の一つと
なっている。そのため、かかる湿し水を必要としない平
版印刷版を使用する水なし平版印刷を行なう試みが今ま
でいろいろ提案されてきた。この水なし平版について最
も新しく、実用性のあるものとして、シリコーンゴム等
の非粘着性薄膜を非画線部に設けた平版印刷用刷版を用
いて印刷する方法が挙げられ、この場合、版面への湿し
水の供給なしに、一般に油性インキで印刷できると報告
されている。
しかしながら、実際には、従来の油性インキを用いて
印刷すると印刷適正が不適当なため、地汚れが発生する
という欠点があって好ましくないことがわかった。
水なし平版印刷における地汚れ発生という現象は印刷
中に印刷機の駆動部やローラの摩擦に起因して版面の温
度が上昇するためにインキ自体の凝集力が低下してしま
い、本来インキ反発性であるべき非画線部にインキが付
着するものである。
この点を改良するため例えばインキにシリコーン化合
物を添加する方法(特公昭50−11287号公報、特開昭55
−31885号公報)、あるいはシリコーン化合物で樹脂を
変性する方法(特公昭51−10124号公報、特公昭52−100
41号公報、特公昭52−10042号公報)が提案されてい
る。しかし、これらの方法においても、耐地汚れ性は十
分満足しているとは言い難く、またインキのレベリング
が悪く、光沢も不十分である等の課題もある。
また別の改良方法としては、ワニスに対して例えば、
ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムオクトエート
等のアルミニウム化合物を添加しゲル化させる方法があ
る。この方法を用いて高い耐地汚れ性を達成しようとす
るとインキの粘度が大きく増大してしまい、インキの転
移性、例えば印刷機上での転移、版あるいはブランケッ
トへの転移等が極めて悪くなるという課題があり、現状
ではとても満足する段階には至っていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上述のインキの欠点を改善し、耐地
汚れ性に優れ、かつ光沢および印刷適正の優れた水なし
平版用インキ組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した
結果、一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を
表わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n
=6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
重量部と、α−オレフィン[成分B]2〜100重量部と
を共重合させることにより得られる炭化水素樹脂[I]
100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/またはそ
の無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させて酸変性
樹脂[II]とし、さらにフェノール類とホルマリンとの
縮合により得られるフェノール樹脂[成分D]を、該酸
変性樹脂[II]100重量部に対し2〜100重量部加熱反応
させることにより得られる樹脂[III]、 または一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を
表わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n
=6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
重量部、分子内に炭素−炭素二重結合とベンゼン環を含
有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分A′]3〜20
0重量部およびα−オレフィン[成分B]2〜100重量部
とを共重合させることにより得られる炭化水素樹脂
[I′]100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/
またはその無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させ
て酸変性樹脂[II′]とし、さらにフェノール類とホル
マリンとの縮合により得られるフェノール樹脂[成分
D]を、該酸変性樹脂[II′]100重量部に対し2〜100
重量部加熱反応させることにより得られる樹脂[II
I′]水なし平版用インキのビヒクルとして用いれば、
上述の課題を解決しうることを確かめ、本発明を達成す
るに至った。
本発明において、[成分A]は、 一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を
表わし、mおよびnは0または1以上好ましくはnが0
〜1の整数で、m+n=6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物であり、
例えばシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン
等が挙げられる。また、前記一般式で示される共役二重
結合を有する5員環化合物のディールス・アルダー付加
物であり、例えば、ジシクロペンタジエン、シクロペン
タジエン−メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリ
シクロペンタジエン等が挙げられ、これらおよびこれら
の混合物が工業的に好ましく利用され、これらの中では
シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンまたは両者
の混合物が特に好ましい。
シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンまたはそ
のアルキル置換誘導体の純度が高いことは必ずしも必要
でないが、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン
またはそのアルキル置換誘導体が80重量%以上存在する
ことが好ましい。
また、ナフサ等の高温熱分解副生油のC5留分中に含ま
れるシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンを
熱二量化させることによって、ジシクロペンタジエン、
ジメチルシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メ
チルシクロペンタジエン共二量体、シクロペンタジエン
−イソプレン共二量体、シクロペンタジエン−ピペリレ
ン共二量体等の混合物にした後、蒸留によりC5−オレフ
ィン、C5−パラフィン等のC5成分の大部分を除去して得
られる濃縮された留分を使用してもさしつかえない。
本発明に用いられる[成分B]のα−オレフィンは、
炭素数4〜40を有するα−オレフィンであり、好ましく
は炭素数6〜20を有し、α−オレフィンのβ位にアルキ
ル基を有しない直鎖状および/または分枝状のα−オレ
フィンである。
[成分B]のα−オレフィンとしては市販の純品を使
用することができるが、工業的には1)エチレンのオリ
ゴメリゼーション、2)パラフィンワックスの熱分解の
製造方法で得られるα−オレフィンを用いることができ
る。
1)の製造法からは偶数個の炭素数を有する直鎖状の
α−オレフィンが分離され、他の異性体は含まれず、高
純度で得られる。2)の製造法からは純度約90%のα−
オレフィンが得られ、残りは分枝のオレフィン、ジオレ
フィンおよびナフテンであるが、これらも本発明で使用
される。
具体的には、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−ド
デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オ
クタデセン、1−アイコセン等があり、1)の製造法に
より得られる混合オレフィンとしては、例えばダイアレ
ン(三菱化成(株)製商品名)等があり、また2)の製
造法では、例えばシェブロンα−オレフィン(シェブロ
ン社製商品名)等がある。また、上記α−オレフィンの
2種類以上の混合物を[成分B]として使用してもさし
つかえない。
本発明に用いられる分子内に炭素−炭素二重結合とベ
ンゼン環を含有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分
A′]としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン等の炭
素数8〜20の化合物およびこれらの混合物を用いること
ができ、また工業的には例えばナフサ等の熱分解時に副
生する前記化合物を含む沸点140〜200℃の範囲の芳香族
留分いわゆるC9留分、あるいはC9留分を精製し前記化合
物を50%以上含む留分としたものが好ましく、特にC9
分をさらに精製し、ビニルトルエンが70%以上含む留分
が好適に用いられる。
本発明においては、上記[成分A]100重量部に対
し、[成分B]2〜100重量部、好ましくは4〜80重量
部を無触媒あるいは触媒の存在下で反応させることによ
り炭化水素樹脂[I]を、また上記[成分A]100重量
部に対し、[成分A′]3〜200重量部、好ましくは6
〜180重量部および[成分B]2〜100重量部、好ましく
は4〜80重量部とを無触媒あるいは触媒の存在下で反応
させることにより炭化水素樹脂[I′]を製造する。無
触媒で反応を行なう場合には、上記[成分A]と[成分
B]の混合物あるいは[成分A]、[成分A′]と[成
分B]の混合物を、200〜300℃において30分から20時
間、好ましくは1〜15時間加熱することにより炭化水素
樹脂[I]あるいは[I′]を製造することができる。
一方触媒を用いる場合には、触媒としてフリーデルクラ
フト型触媒、例えば三フッ化ホウ素、若しくはそのフェ
ノール、エーテル、酢酸等の錯体または塩化アルミニウ
ム等をモノマー全量に対して0.1〜10重量%、好ましく
は0.3〜2重量%の割合で使用し、その場合、反応温度
−30〜100℃、好ましくは0〜50℃、反応時間10分〜20
時間、好ましくは1〜15時間である。
本発明の炭化水素樹脂化[I]あるいは[I′]の製
造において、[成分B]の量が前記範囲に満たない場合
には、この樹脂を変性して最終的に得られる変性樹脂
[III]あるいは[III′]の高沸点溶媒への溶解性が不
十分となり、得られるインキの光沢が低下する。また最
終変性樹脂[III]あるいは[III′]の分子量も十分に
大きくならずインキの耐地汚れ性も不十分となる。一方
上記範囲を超える場合には、樹脂の収率が低下し経済的
に好ましいものではない。
本発明の炭化水素樹脂[I′]の製造において、[成
分A′]を用いることによりインキの調製に際し顔料分
散性を向上させ、印刷物の光沢を高めることができる。
さらに最終変性樹脂[III′]の分子量もより大きくな
りインキの耐地汚れ性もより向上する。しかし上記範囲
を超える場合には、最終変性樹脂[III′]の高沸点溶
媒への溶解性が不十分となり、インキの光沢も低下す
る。
上述のようにして得られる炭化水素樹脂[I]あるい
は[I′]は、不飽和カルボン酸またはその無水物[成
分C]と反応させるのであるが、[成分C]としては通
常炭素が3〜32、好ましくは3〜15のモノおよび多価不
飽和カルボン酸またはそれらの無水物が好ましく、それ
らの代表的なものはアクリル酸、メタアクリル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸および
その無水物、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸お
よびこれらの混合物あるいは乾性油の脂肪酸、例えばア
マニ油脂肪酸等である。これらの中では、マレイン酸お
よび無水マレイン酸が好ましい。
本発明に用いる不飽和カルボン酸またはその無水物の
量比は、炭化水素樹脂[I]あるいは[I′]100重量
部に対し、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部で
ある。不飽和カルボン酸またはその無水物の量が上記範
囲に満たない場合には、生成した樹脂の極性基の量が少
ないため、極性基を有する樹脂としての特徴が乏しく、
インキ用のビヒクルとして用いた場合、顔料分散性、イ
ンキの流動性および印刷効果が悪くなり、好ましくな
い。
また、上記範囲を超える場合には、極性基の量が多す
ぎ、溶媒に対する溶解性が悪くなり、また樹脂の変色、
ゲル化が起こりやすく好ましくない。更にインキに使用
する場合に、ワニス化する際の炭化水素溶媒に対する溶
解性が悪くなり、またインキの流動性、印刷物の光沢が
悪くなり好ましくない。なお上記の酸変性反応は、100
〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲内の温度で、無
触媒または公知のラジカル開始剤、例えば有機過酸化物
等の存在下で30分〜15時間、好ましくは1〜8時間の範
囲内で行なうことができ、不飽和多価カルボン酸または
その無水物を用いる場合には、無触媒で、不飽和モノカ
ルボン酸またはその無水物を用いる場合には、触媒の存
在下に、反応を行なうことが好ましい。
本発明における酸変性樹脂[II]あるいは[II′]は
また下記の一段法によっても製造することができる。
すなわち[成分A]と[成分B]あるいは[成分
A]、[成分A′]と[成分B]の混合物を、溶媒の存
在下または不存在下に温度200〜300℃で熱重合させるに
際し、最初から或いは反応の途中から不飽和カルボン酸
またはその無水物を反応系に添加して熱重合することに
よって得ることもできる。
また本発明において上記で得られた酸変性樹脂[II]
あるいは[II′]の溶解性および軟化点を調節するため
に、あるいは最終変性樹脂[III]あるいは[III′]の
分子量を調整するために酸変性樹脂[II]あるいは[I
I′]をアルコール類でエステル化することも可能であ
る。その際アルコールとしては、一価または多価アルコ
ールを用いることができる。アルコールとして炭素数が
6以上、好ましくは炭素数が8〜18の範囲の一価アルコ
ールを用いる場合が、最終変性樹脂[III]あるいは[I
II′]の溶解性が特に良好である。アルコールの量は、
酸変性樹脂[II]あるいは[II′]中のカルボキシル基
1モル当量に対して0〜1.0モル当量、または酸変性樹
脂[II]あるいは[II′]中の酸無水物基1モル当量に
対して0〜2.0モル当量である。エステル化反応は、酸
変性樹脂を加熱溶融するか、またはベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素溶剤に溶解した状態で、アル
コールを加えて、例えば、150〜250℃の範囲で30分〜10
時間、好ましくは1〜5時間の範囲内の時間で行なう。
本発明においては、酸変性樹脂[II]あるいは[I
I′]を、さらにフェノール樹脂[成分D]と反応させ
ることにより、目的とする最終変性樹脂[III]あるい
は[III′]が得られる。本発明において用いられるフ
ェノール樹脂は、炭素数4〜9のアルキル置換基を有す
るフェノールとホルマリンとの縮合により得られるもの
が好ましく、具体的にはp−tert−ブチルフェノール、
sec−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノー
ル、ノニルフェノールが工業的に好ましく用いられる。
またフェノール樹脂と反応させる代わりに、酸変性樹
脂[II]あるいは[II′]の存在下でホルムアルデヒド
とフェノール類を酸、マレイン酸を触媒としてまたは
無触媒下で反応させても目的とするフェノール樹脂変性
樹脂を得ることができる。
変性に用いられるフェノール樹脂の量は、上記酸変性
樹脂[II]あるいは[II′]100重量部に対し、フェノ
ール樹脂2〜100重量部の範囲であり、5〜50重量部が
更に好ましい。フェノール樹脂の量が上記範囲に満たな
い場合には、得られる変性樹脂をビヒクルとしてインキ
を作製した場合に、インキの流動性、印刷物の光沢等が
十分でなく、上記範囲を超えると樹脂のインキ溶剤への
溶解性が悪くなるのみならず工業的にも経済的でなく好
ましくない。
反応は酸変性樹脂[II]あるいは[II′]とフェノー
ル樹脂を混合溶融し、150〜250℃で30分〜10時間、好ま
しくは1〜5時間加熱するだけで十分であるが、必要に
応じて、酸触媒、例えば酸、トルエンスルホルン酸、
フリーデルクラフト型触媒等を用いることもできる。
以上のようにして得られる樹脂[III]あるいは[II
I′]軟化点が120℃以上、特に140℃以上であることが
好ましい。軟化点が120℃より低いと、印刷インキにし
た場合、ミスティングが多く、乾燥速度も低下し、さら
に肝心の耐地汚れ性も低下する。
このようにして得られた樹脂[III]あるいは[II
I′]をインキ中に使用する割合は5〜50重量%が好ま
しく、より好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは
10〜45重量%である。最終変性樹脂[III]あるいは[I
II′]の使用量が上記の範囲を外れた場合はインキとし
てのバランスがとれなくなる恐れがある。例えば、5重
量%未満の場合はインキの凝集力が低いため地汚れが発
生する恐れがある。一方、50重量%を超える場合は、イ
ンキの凝集力が上がりすぎて、ロール間の転移不良およ
びブランケットへの着きが悪くなる恐れがあると共に、
被印刷体上でのインキのレベリングが悪くなる恐れがあ
り、光沢が劣るという欠点を生ずることがある。
また、最終変性樹脂[III]あるいは[III′]をシリ
コーン成分を含有する化合物で変性して用いるか、ある
いはワニスをクッキングする時にシリコーン成分を含有
する化合物を添加して、ワニスのビヒクル成分全体を変
性して用いてもかまわない。ここで用いるシリコーン成
分を含有する化合物とは、通常オルガノポリシロキサン
が代表例として挙げられ、例えば分子中に水酸基または
アルコキシ基を有するオルガノポリシロキサンおよび分
子中にSi−H結合を有するオルガノポリシロキサン等で
あり、分子量は300〜15万の範囲にあるものが好まし
い。
本発明に用いられるインキの他の成分としては、従来
から通常平版印刷用に用いられている公知の成分が使用
できる。
すなわち、乾性油、半乾性油としてはアマニ油、桐
油、大豆油、サフラワー油、ヒマシ油等があり、溶剤と
しては沸点200〜350℃の石油系溶剤等があり、ゲル化剤
としては有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合
物、有機亜鉛化合物、有機カルシウム化合物等がある。
また、インキとする場合の着色剤としては、無機ない
し有機系顔料等の従来のインキ組成物において使用され
ているものが用いられる。
さらに、例えばワックス、グリース、乾燥剤、分散
剤、充填剤、その他の公知のものを必要に応じて使用す
ることができる。
これらに加え、その他の樹脂、例えばロジン変性フェ
ノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂等をインキの性
能を阻害しない範囲で併用することもできる。
以上のような材料を用いて三本ロールで練肉したイン
キは地汚れ発生温度が高く、印刷適性に優れ、印刷物は
光沢もよくバイリングも発生しない。
[実施例] 以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
合成例1 純度97%のジシクロペンタジエン760gと1−デセン24
0gを2lのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気中で攪拌
下280℃で5時間加熱した。加熱終了後オートクレーブ
を冷却し、内容物を蒸留して、未反応物および低重合物
を除去し、釜残として930gの炭化水素樹脂(I−1)を
得た。炭化水素樹脂(I−1)の軟化点は137.0℃であ
った。
この炭化水素樹脂(I−1)300gを200℃で加熱、溶
融し、無水マレイン酸15.0gを添加し、攪拌下4時間反
応を行ない酸変性樹脂(II−1)を得た。(II−1)の
軟化点は152.0℃で酸価は24.3であった。引き続き、酸
変性樹脂(II−1)255gにp−tert−オクチルフェノー
ルとホルマリンとの縮合反応により得られるレゾール型
フェノール樹脂45gを加えて220℃で2時間反応を行な
い、軟化点178.3℃、酸価20.8の変性樹脂(III−3)を
得た。
合成例2 純度97%のジシクロペンタジエン790gおよび炭素数6
〜10の混合α−オレフィン(ダイアレン610、三菱化成
(株)製)210gを2lのオートクレーブに仕込み、280℃
で2.5時間反応させ、合成例1と同様に処理して、920g
の炭化水素樹脂(I−2)が得られた。炭化水素樹脂
(I−2)の軟化点は143.0℃であった。
この炭化水素樹脂(I−2)300gを200℃にて加熱溶
融し、無水マレイン酸9.0gを添加し、攪拌下4時間反応
を行ない酸変性樹脂(II−2)を得た。(II−2)の軟
化点は、155.0℃で酸価は13.9であった。引き続き、酸
変性樹脂(II−2)にp−tert−ブチルフェノールとホ
ルマリンとの縮合反応により得られるレゾール型フェノ
ール樹脂45gを加え220℃で2時間反応を行ない、軟化点
183.5℃で酸価13.1の変性樹脂(III−2)を得た。
合成例3 純度97%のジシクロペンタジエン500gとナフサの熱分
解で生成する140〜200℃の沸点範囲の芳香族留分(不飽
和芳香族成分50重量%、飽和芳香族成分50重量%、不飽
和芳香族成分の70重量%がビニルトルエン)300gおよび
1−オクテン200gを2lのオートクレーブに仕込み、280
℃で6時間反応させ、合成例1と同様に処理し841gの炭
化水素樹脂(I′−3)を得た。炭化水素樹脂(I′−
3)の軟化点は139.5℃であった。
この炭化水素樹脂(I′−3)300gを200℃にて加熱
溶融し、無水マレイン酸9.0gを添加し、攪拌下4時間反
応を行ない酸変性樹脂(II′−3)を得た。(II′−
3)の軟化点は154.5℃で酸価は12.8であった。引き続
き、酸変性樹脂(II′−3)255gにp−tert−ノニルフ
ェノールとホルマリンとの縮合反応により得られるレゾ
ール型フェノール樹脂63gを加え220℃で2時間反応を行
ない、軟化点175.0℃で酸価13.4の変性樹脂(III′−
3)を得た。
比較合成例 純度97%のジシクロペンタジエン700gおよび混合キシ
レン300gを2lのオートクレーブ中で攪拌下、260℃で2.5
時間反応させ、合成例1と同様に処理して571gの樹脂
(I−4)を得た。この樹脂(I−4)の軟化点は140.
5℃であった。
この樹脂(I−4)240gを220℃で加熱溶融し、無水
マレイン酸7.2gを添加し、攪拌下4時間反応を行ない酸
変性樹脂(II−4)を得た。樹脂(II−4)の軟化点は
151.5℃、酸価は11.4であった。
引き続き、酸変性樹脂(II−4)180gにp−tert−オ
クチルフェノールとホルマリンから得られるレゾール型
フェノール樹脂20gを加え220℃で3時間反応を行ない、
軟化点170.5℃、酸価11.2の変性樹脂(III−4)を得
た。
実施例1〜3および比較例1〜3 次に、上記合成例1〜3、比較合成例で得られた樹脂
および対照樹脂を用いてワニスおよびゲルワニスを調製
し、このワニスおよびゲルワニスを用いてインキを調製
し、インキ特性を評価し、その結果を第1表に示す。
なお、比較例2〜3で用いた対照樹脂は荒川化学
(株)製、タマノール354であり、比較例3は比較例2
のインキに5号ソルベルトを添加して地汚れ発生温度を
30℃に調整したものである。
また、ワニス、ゲルワニス、インキの各調製、インキ
特性および印刷結果の評価は下記の通りである。
〈ワニスの調製〉 変性樹脂40重量部、および舶純亜麻No.4(東新油脂
(株)社製、インキ用乾性油)20重量部を200〜210℃の
温度で30分クッキングした後、5号ソルベント(日本石
油(株)製、インキ用有機溶媒)40重量部を添加して14
0〜150℃の温度で20分加熱してワニスを得た。
〈ゲルワニスの調製〉 変性樹脂40重量部および舶純亜麻No.4 20重量部を20
0〜210℃の温度でクッキングした後、オプトープAl(ホ
ープ製薬(株)製、ワニス用ゲル化剤)2.0重量部と5
号ソルベント38重量部を添加して140〜150℃の温度で20
分加熱してゲルワニスを得た。
〈インキの調製〉 3本ロールを用い、下記の配合割合で練肉してインキ
を調製した。
セイカファーストイエロ2340(大日精化(株)製、イ
ンキ用顔料) 15.0重量部 ワニス 64.7重量部 ゲルワニス 20.0重量部 ナフテン酸コバルト塩(半井化学薬品工業(株)製、
インキ用ドライヤ) 0.3重量部 〈インキ特性および印刷結果〉 版胴に温水を通じて版面を昇温できるように改良した
印刷機に、東レ水なし平版(ポジ型)をとりつけ、湿し
水を供給することなしに、版面を昇温しながら印刷し、
一定のベタ濃度において印刷物に地汚れが発生した際の
版面温度を地汚れ発生温度とした。地汚れ発生温度の高
いインキほど実用印刷においても地汚れが発生しにく
い。
次に30℃において、これらインキの流動性(フロー
値)をスプレッドメータで測定し、インコメータでタッ
ク値を測定した。
次に、これらインキそれぞれについて、小森スプリン
ト平版印刷機で版面へ湿し水を供給することなしに、シ
リコーンゴムよりなる非画線部を有する水なし平版を用
いて印刷を行ない、マクベス濃度計で印刷物のベタ部濃
度0.95のところの光沢値を60度鏡面反射光沢計で測定し
た。結果を第1表に示す。
第1表の結果より、本発明のインキである実施例1〜
3は、比較例1のインキに比べて耐地汚れ性が良好で、
かつ印刷適性に優れ、得られた印刷物の光沢は良好であ
ることがわかる。また対照樹脂を用いた比較例2〜3の
インキは、耐地汚れ性は良好であるが、タック値が高い
ため印刷時にパイリングが発生するうえ、得られる印刷
物の光沢も不良である。
[発明の効果] 本発明に記した特定のシクロペンタジエン共重合樹脂
を用いた水なし平版インキ組成物は、耐地汚れ性が良好
で、かつ印刷適性の優れたものとなりうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末沢 満 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−265374(JP,A) 特開 平1−96273(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表
    わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n=
    6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
    またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
    重量部と、α−オレフィン[成分B]2〜100重量部と
    を共重合させることにより得られる炭化水素樹脂[I]
    100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/またはそ
    の無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させて酸変性
    樹脂[II]とし、さらにフェノール類とホルマリンとの
    縮合により得られるフェノール樹脂[成分D]を、該酸
    変性樹脂[II]100重量部に対し2〜100重量部加熱反応
    させることにより得られる樹脂[III]をビヒクルとし
    て含有する水なし平版用インキ組成物。
  2. 【請求項2】一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表
    わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n=
    6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
    またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
    重量部、分子内に炭素−炭素二重結合とベンゼン環を含
    有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分A′]3〜20
    0重量部およびα−オレフィン[成分B]2〜100重量部
    とを共重合させることにより得られる炭化水素樹脂
    [I′]100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/
    またはその無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させ
    て酸変性樹脂[II′]とし、さらにフェノール類とホル
    マリンとの縮合により得られるフェノール樹脂[成分
    D]を、該酸変性樹脂[II′]100重量部に対し2〜100
    重量部加熱反応させることにより得られる樹脂[II
    I′]をビヒクルとして含有する水なし平版用インキ組
    成物。
  3. 【請求項3】前記[成分A]がシクロペンタジエン、メ
    チルシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シク
    ロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共重合物お
    よびトリシクロペンタジエンの群から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1項または2に記載の水なし平版用
    インキ組成物。
  4. 【請求項4】前記[成分B]が炭素数4〜40のα−オレ
    フィンである特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    水なし平版用インキ組成物。
  5. 【請求項5】前記[成分A′]がスチレン、ビニルトル
    エン、α−メチルスチレン、インデンおよびメチルイン
    デンの群から選ばれる少なくとも1種である特許請求の
    範囲第2項記載の水なし平版用インキ組成物。
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