JP2789227B2 - 水なし平版用インキ組成物 - Google Patents

水なし平版用インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は水なし平版印刷において、耐地汚れ性が良好
で、かつ印刷適正の優れた水なし平版用インキ組成物に
関するものである。
[従来の技術] 現在の印刷の主流をなす湿し水によインキ反発性を利
用した平版印刷法に対して、かかる湿し水を必要としな
い平版印刷法を使用する水なし平版印刷法が提案され、
特にシリコーンゴムを非画線部に設けた平版印刷用刷版
を用いて印刷する方法が実用化されている。
このような水なし平版印刷において従来の油性インキ
を用いて印刷すると、地汚れが発生して好ましくないと
いうことが知られている。
水なし平版印刷における地汚れ発生という現象は印刷
中に印刷機の駆動部やローラの摩擦に起因して版面の温
度が上昇し、インキ自体の凝集力が低下してしまい、本
来インキ反発性であるべき非画線部にインキが付着する
ものである。
このような現象は湿し水を使用する従来の平版印刷に
おいては、全く考慮する必要はなく、水なし平版印刷版
に発生する特有の問題である。なぜなら従来の湿し水を
用いる平版印刷の場合は、インキ反発機構が全く異な
り、また湿し水の蒸発により版面温度の上昇はかなり抑
制されるので、このような地汚れ現象は考慮する必要が
ないし、インキの凝集力はむしろ小さいものが好ましい
とされている。
これを改良するためにバインダー樹脂成分を高分子量
化して凝集力を上げ耐地汚れ性を改良する方法が考えら
れる。しかしながら、例えば油性インキ中の樹脂成分を
従来の方法で高分子量化しても、耐地汚れ性が良好で、
かつ印刷適性が優れ、また良好な印刷物を与える水なし
平版インキを得ることは難しい。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、かかる従来技術の諸欠点に鑑み創案された
もので、その目的は耐地汚れ性に優れ、かつ印刷適用の
優れた水なし平版用インキ組成物を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した
結果、一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表
わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n=
6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
重量部、分子内に炭素−炭素二重結合とベンゼン環を含
有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分A′]0〜20
0重量部およびα−オレフィン[成分B]2〜100重量部
とを共重合させることにより得られる炭化水素樹脂
[I]100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/ま
たはその無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させて
酸変性樹脂[II]とし、さらにフェノール類とホルマリ
ンとの縮合により得られるフェノール樹脂[成分D]
と、該酸変性樹脂[II]100重量部に対し2〜100重量部
加熱反応させることにより得られる樹脂[III]を、沸
点200℃以上の炭化水素溶媒中、乾性油ないし半乾性油
中、あるいはこれらの混合物中で加熱撹拌溶解下に、分
子鎖伸長剤[成分E]で分子鎖伸長せしめて得られた変
性樹脂を含有することを特徴とする水なし平版用インキ
組成物によって達成される。
本発明において、[成分A]は、 一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表
わし、mおよびnは0または1以上好ましくはnが0〜
1の整数で、m+n=6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物であり、
例えばシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン
等が挙げられる。また、上記一般式で示される共役二重
結合を有する5員環化合物のディールス・アルダー付加
物であり、例えば、ジシクロペンタジエン、シクロペン
タジエン−メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリ
シクロペンタジエン等が挙げられ、これらおよびこれら
の混合物が工業的に好ましく利用され、これらの中では
シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンまたは両者
の混合物が特に好ましい。
シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンまたはそ
のアルキル置換誘導体の純度が高いことは必ずしも必要
でないが、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン
またはそのアルキル置換誘導体が80重量%以上存在する
ことが好ましい。
また、ナフサ等の高温熱分解副生油のC5留分中に含ま
れるシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンを
熱二量化させることによって、ジシクロペンタジエン、
ジメチルシクロペンタジエン、シクロペエンタジエン−
メチルシクロペンタジエン共二量体、シクロペンタジエ
ン−イソプレン共二量体、シクロペンタジエン−ピペリ
レン共二量体等の混合物にした後、蒸留によりC5−オレ
フィン、C5−パラフィン等のC5成分の大部分を除去して
得られる濃縮された留分を使用してもさしつかえない。
本発明に用いられる[成分B]のβ−オレフィンは、
炭素数4〜40を有するα−オレフィンであり、好ましく
は炭素数6〜20を有し、α−オレフィンβ位にアルキル
基を有しない直鎖状および/または分枝状のα−オレフ
ィンである。
[成分B]のα−オレフィンとしては市販の純品を使
用することができるが、工業的には1)エチレンのオリ
ゴメリゼーション、2)パラフィンワックスの熱分解の
製造方法で得られるα−オレフィンを用いることができ
る。
1)の製造法からは偶数個の炭素数を有する直鎖状の
α−オレフィンが分離され、他の異性体は含まれず、高
純度で得られる。2)の製造法からは純度約90%のα−
オレフィンが得られ、残りは分枝のオレフィン、ジオレ
フィンおよびナフテンであるが、これらも本発明では使
用される。
具体的には、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−ド
デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オ
クタデセン、1−アイコセン等があり、1)の製造法よ
り得られる混合オレフィンとしては、例えばダイアレン
(三菱化成(株)製商品名)等があり、また2)の製造
法では、例えばシェブロンα−オレフィン(シェブロン
社製商品名)等がある。また、上記α−オレフィンの2
種類以上の混合物を[成分B]として使用してもさしつ
かえない。
本発明に用いられる分子内に炭素−炭素二重結合とベ
ンゼン環を含有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分
A′]としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン等の炭
素数8〜20の化合物およびこれらの混合物を用いること
ができ、また工業的には例えばナフサ等の熱分解時に副
生する前記留分を含む沸点140〜200℃の範囲の芳香族留
分いわゆるC9留分、あるいはC9留分を精製し前記化合物
を50%以上含む留分としたものが好ましく、特にC9留分
をさらに精製し、ビニルトルエンが70%以上含む留分が
好適に用いられる。
本発明においては、上記[成分A]100重量部に対
し、[成分A′]0〜200重量部、好ましくは3〜180重
量部および[成分B]2〜100重量部、好ましくは4〜8
0重量部とを無触媒あるいは触媒の存在下で反応させる
ことにより炭化水素樹脂[I]を製造する。無触媒で反
応を行なう場合には、上記[成分A]と[成分B]の混
合物、あるいは[成分A]と[成分A′]と[成分B]
の混合物を、200〜300℃において30分から20時間、好ま
しくは1〜15時間加熱することにより炭化水素樹脂
[I]を製造することができる。一方触媒を用いる場合
には、触媒としてフリーデルクラフト型触媒、例えば三
フッ化ホウ素、若しくはそのフェノール、エーテル、酢
酸等の錯体または塩化アルミニウム等をモノマー全量に
対して0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜2重量%の割合
で使用し、その場合、反応温度−30〜100℃、好ましく
は0〜50℃、反応時間10分〜20時間、好ましくは1〜15
時間である。
本発明の炭化水素樹脂[I]の製造において、[成分
B]の量が前記範囲に満たない場合には、この樹脂を変
性して最終的に得られる変性樹脂[III]の高沸点溶媒
への溶解性が不十分となり、得られるインキの光沢が低
下する。また最終変性樹脂[III]の分子量も十分に大
きくならずインキの耐地汚れ性も不十分となる。一方上
記範囲を超える場合には、樹脂の収率が低下し経済的に
好ましいものではない。
本発明の炭化水素樹脂[I]の製造において、[成分
A′]を用いることによりインキの調製に際し顔料分散
性を向上させ、印刷物の光沢を高めることができる。さ
らに最終変性樹脂[III]の分子量もより大きくなりイ
ンキの耐地汚れ性もより向上する。しかし上記範囲を超
える場合には、最終変性樹脂[III]の高沸点溶媒への
溶解性が不十分となり、インキの光沢も低下する。
上述のようにして得られる炭化水素樹脂[I]は、不
飽和カルボン酸またはその無水物[成分C]と反応させ
るのであるが、[成分C]としては通常炭素が3〜32、
好ましくは3〜15のモノおよび多価不飽和カルボン酸ま
たはそれらの無水物が好ましく、それらの代表的なもの
はアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、テトラヒドロフタル酸およびその無水物、フマ
ール酸、シトラコン酸、イタコン酸およびこれらの混合
物あるいは乾性油の脂肪酸、例えばアマニ油脂肪酸等で
ある。これらの中では、マレイン酸および無水マレイン
酸が好ましい。
本発明に用いる不飽和カルボン酸または無水物の量比
は、炭化水素樹脂[I]100重量部に対し、0.5〜30重量
部、好ましくは1〜20重量部である。不飽和カルボン酸
またはその無水物の量が上記範囲に満たない場合には、
生成した樹脂の極性基の量が少ないため、極性基を有す
る樹脂としての特徴が乏しく、インキ用のビヒクルとし
て用いた場合、顔料分散性、インキの流動性および印刷
効果が悪くなり、好ましくない。
また、上記範囲を超える場合には、極性基の量が多す
ぎ、溶媒に対する溶解性が悪くなり、また樹脂の変色、
ゲル化が起こりやすくなり好ましくない。更にインキに
使用する場合に、ワニス化する際の炭化水素溶媒に対す
る溶解性が悪くなり、またインキの流動性、印刷物の光
沢が悪くなり好ましくない。なお上記の酸変性反応は、
100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲内の温度で、
無触媒または公知のラジカル開始剤、例えば有機過酸化
物等の存在下で30分〜15時間、好ましくは1〜8時間の
範囲内で行なうことができ、不飽和多価カルボン酸また
はその無水物を用いる場合には、無触媒で、不飽和モノ
カルボン酸またはその無水物を用いる場合には、触媒の
存在下に、反応を行なうことが好ましい。
本発明における酸変性樹脂[II]はまた下記の一段法
によっても製造することができる。
すなわち[成分A]と[成分B]の混合物、あるいは
[成分A]と[成分A′]と[成分B]の混合物を、触
媒の存在下または不存在下に温度200〜300℃で熱重合さ
せるに際し、最初から或いは反応の途中から不飽和カル
ボン酸またはその無水物を反応系に添加して熱重合する
ことによって得ることもできる。
また本発明において上記で得られた酸変性樹脂[II]
の溶解性および軟化点を調節するために、あるいは最終
変性樹脂[III]の分子量を調整するために酸変性樹脂
[II]をアルコール類でエステル化することも可能であ
る。その際アルコールとしては、一価または多価アルコ
ールを用いることができる。アルコールとして炭素数が
6以上、好ましくは炭素数が8〜18の範囲の一価アルコ
ールを用いる場合が、最終変性樹脂[III]の溶解性が
特に良好である。アルコールの量は、酸変性樹脂[II]
中のカルボキシル基1モル当量に対して0〜1.0モル当
量、または酸変性樹脂[II]中の酸無水物基1モル当量
に対して0〜2.0モル当量である。エステル化反応は、
酸変性樹脂を加熱溶融するか、またはベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素溶剤に溶解した状態で、アル
コールを加えて、例えば150〜250℃の範囲で30分〜10時
間、好ましくは1〜5時間の範囲内の時間で行なう。
本発明においては、酸変性樹脂[II]を、さらにフェ
ノール樹脂[成分D]と反応させることにより、樹脂
[III]が得られる。本発明において用いられるフェノ
ール樹脂は、炭素数4〜9のアルキル置換基を有するフ
ェノールとホルマリンとの縮合により得られるものが好
ましく、具体的にはp−tert−ブチルフェノール、sec
−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、
ノニルフェノールが工業的に好ましく用いられる。
またフェノール樹脂と反応させるかわりに、酸性樹脂
[II]の存在下でホルムアルデヒドとフェノール類を蓚
酸、マレイン酸を触媒としてまたは無触媒下で反応させ
ても目的とするフェノール樹脂変性樹脂を得ることがで
きる。
変性に用いられるフェノール樹脂の量は、上記酸変性
樹脂[II]100重量部に対し、フェノール樹脂5〜100重
量部の範囲であり、7〜50重量部が更に好ましい。フェ
ノール樹脂の量が上記範囲に満たない場合には、得られ
る変性樹脂をビヒクルとしてインキを作製した場合に、
インキの流動性、印刷物の光沢等が十分でなく、上記範
囲を超えると樹脂のインキ溶剤への溶解性が悪くなるの
みならず工業的にも経済的でなく好ましくない。
反応は酸変性樹脂[II]とフェノール樹脂を混合溶融
し150〜250℃で30分〜10時間、好ましくは1〜5時間加
熱するだけで十分であるが、必要に応じて、酸触媒、例
えば蓚酸、トルエンスルホン酸、フリーデルクラフト型
触媒等を用いることもできる。
以上のようにして得られる樹脂[III]は軟化点が120
℃以上、特に140℃以上であることが好ましい。軟化点
が120℃より低いと、印刷インキにした場合、ミスティ
ングが多く、乾燥速度も低下し、さらに肝心の耐地汚れ
性も低下する。
本発明において沸点200℃以上の炭化水素触媒として
は、炭素数12以上の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が
広く使用出来るが、好ましくは、通常の油性インキ溶剤
として使用されている沸点200〜350℃の石油系溶剤が使
用され、例えばパラフィン系、イソパラフィン系、α−
オレフィン系、ナフテン系、芳香族含有パラフィン系等
の高沸点石油溶剤が挙げられる。
本発明において乾性油としては、ヨウ素価130以上の
動植物油が使用でき、例えばアマニ油、オイチシカ油、
エノ油、キリ油、脱水ヒマシ油等およびこれらの重合体
が挙げられ、また半乾性油としてはヨウ素価100〜130の
動植物油で、例えば綿実油、大豆油、ゴマ油、ナタネ油
等やこれらの重合体が挙げられる。
本発明において分子鎖伸長剤[成分E]は樹脂[II
I]を沸点200℃以上の炭化水素溶媒中、乾性油ないし半
乾性油中、あるいはこれらの混合物中で加熱撹拌溶解下
に、分子鎖伸長せしめるためのものである、この[成分
E]の分子鎖伸長剤としては、多価カルボン酸ないしそ
の誘導体、活性水素を含有するアミン化合物、レゾール
系フェノール樹脂、多価アルコールあるいはこれらの混
合物等が挙げられる。
[成分E]の分子鎖伸長剤として使用される多価カル
ボン酸ないしその誘導体としては、通常炭素酸2〜20の
多価カルボン酸またはその無水物、モノエステル化物が
挙げられる。多価カルボン酸としては通常2〜4価のカ
ルボン酸またはその無水物、モノエステル化合物が好ま
しい。具体的には、アジピン酸、(無水)コハク酸、
(無水)ヘキサヒドロフタル酸、(無水)フタル酸、ダ
イマー酸、セバチン酸等であるが、特に好ましくは、
(無水)マレイン酸、(無水)シトラコン酸、フマール
酸、マレイン酸モノアルキルエステル等のα,β−不飽
和ジカルボン酸ないしその誘導体が使用される。ここで
(無水)とは、酸そのものあるいは酸無水物でもよいと
いう意味である。
本発明において[成分E]の分子鎖伸長剤として用い
られる活性水素を含有するアミン化合物としては、エチ
ルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ヘ
キシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、エ
タノールアミン、アリルアミン等のモノアミン、エチレ
ンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジ
アミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン等のジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、ビスヒドロキシジエチレントリアミン等
のポリアミンやアミンアダクト等が有効に使用できる。
また、アミン誘導体としてのアミド化合物としては、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イタコン酸、カプリル酸、
グリコール酸、アクリル酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレイン酸等のモノカルボン酸、マロン酸、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマー
ル酸、ダイマー酸等の有機ジカルボン酸、トリメット酸
等の有機トリカルボン酸、3,9−ビス(2カルボキシア
ルキル)2,4,8,10−テトラオキサスピロウンデカン等の
有機カルボン酸と前記のアミン、ジアミン、ポリアミン
等との縮合物が挙げられる。
本発明に用いられる活性水素を含有するアミン化合物
は上述のような構造組成のものであるが、取扱い、安全
性等を考慮すると、ポリアミド樹脂が好ましく、樹脂、
溶剤との相溶性の点から炭素数6〜60の酸とポリアミン
からなるポリアミド樹脂が特に好ましく用いられる。
上記ポリアミド樹脂の分子量としては、500〜20,000
の範囲が好ましく、より好ましくは500〜10,000の範囲
である。
本発明において[成分E]の分子鎖伸長剤として用い
られるレゾール型フェノール樹脂としては、例えばフェ
ノール、クレゾール、パラターシャリブチルフェノー
ル、パラオクチルフェノール、パラノニルフェノール、
パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、パラアミ
ノフェノール等のウェノール類に公知の方法でアルカリ
触媒の存在下、ホルムアルデヒドを反応させて得られる
ものが挙げられる。
本発明において[成分E]の分子鎖伸長剤として用い
られる多価アルコールとしては、特に限定されるもので
はないが、通常2〜4価の多価アルコールが好ましい。
具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ヘキサンジオール、ヘキサントリ
オール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭素数2
〜15のものが好ましく用いられる。
本発明において最終的に得られる変性樹脂は、沸点20
0℃以上の炭化水素溶剤中、または乾性油ないし半乾性
油中、あるいはこれらの混合物中で、加熱撹拌溶解下
に、樹脂[III]と多価カルボン酸ないしその誘導体、
あるいは活性水素を含有するアミン化合物、レゾール型
フェノール樹脂、多価アルコールあるいはこれらの混合
物を反応させることにより得られるものであるが、反応
条件としては通常温度70〜250℃の範囲がよく、より好
ましくは100〜230℃であり、反応体の濃度としては通常
5〜80重量%が望ましく、より好ましくは20〜70重量%
が良い。この反応は印刷インキ用ワニス組成物の製造工
程において行なうことができ、まず樹脂成分を溶媒成分
に加熱溶解し、次いで所定の温度で、分子鎖伸長剤成分
を添加し、反応せしめてもよいし、また、樹脂成分、乾
性油、溶媒を加えて加熱溶解し、次いで所定温度で、分
子鎖伸長剤成分を添加し、反応せしめもよい。このよう
に添加順序は変えてもよい。また、これらの反応系に、
インキ用ワニス組成物成分としての極性溶媒あるいは炭
化水素溶剤等の成分が含まれていてもよく、必要に応じ
て他成分を含有することができる。
反応時間は目的とするインキ用ワニス組成物の要求特
性に応じて、任意に選ぶことができるが、通常0.1〜10
時間、好ましくは0.5〜6時間である。
本発明による最終変性樹脂を含有する組成物は、従来
から通常平版印刷用に用いられている公知の他のインキ
成分を加えてインキ化される。
このような成分としては必要に応じて追加される樹脂
成分、例えばフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹
脂、アルキッド樹脂、ロジンエステル、石油樹脂、マレ
イン酸樹脂等が、また乾性油、半乾性油等があり、これ
らを単に添加しただけでも良いし、本発明で得られた樹
脂組成物とクッキングして用いてもよい。また、ゲル化
剤として、有機アルミニウム化合物等の公知のものが使
用できる。
また、インキとする場合の着色剤としては、無機ない
し有機系の顔料等の従来のインキ組成物に使用されてい
るものが用いられる。
さらに、例えばワックス、乾燥剤、グリース、分散
剤、充填剤、その他公知のものを必要に応じて使用する
ことができる。
以上のような材料を用いて三本ロールで練肉したイン
キは地汚れ発生温度が高く、印刷適性に優れ、バランス
のとれた水なし平版印刷用インキとなすことができる。
[実施例] 以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例 純度97%のジシクロペンタジエン500gとナフサの熱分
解で生成する140〜200℃の沸点範囲の芳香族留分(不飽
和芳香族成分50重量%、飽和芳香族成分50重量%、不飽
和芳香族成分の70重量%がビニルトルエン)300gおよび
1−オクテン200gを2のオートクレーブに仕込み、28
0℃で6時間反応させた。加熱終了部オートクレーブを
冷却し、内容物を蒸留して、未反応物および低重合物を
除去し、釜残として841gの炭化水素樹脂(I−1)を得
た。炭化水素樹脂(I−1)の軟化点は139.5℃であっ
た。
この炭化水素樹脂(I−1)300gを200℃にて加熱溶
融し、無水マレイン酸9.0gを添加し、撹拌下4時間反応
を行ない酸変性樹脂(II−1)を得た。(II−1)の軟
化点は154.5℃で酸価は12.8gであった。引き続き、酸変
性樹脂(II−1)255gにp−tert−ノニルフェノールと
ホルマリンとの縮合反応により得られるレゾール型フェ
ノール樹脂63gを加え220℃で2時間反応を行ない、軟化
点175.0℃で酸価13.4の変性樹脂(III−1)を得た。
比較合成例 純度97%のジシクロペンタジエン700gおよび混合キシ
レン300gを2のオートクレーブ中で撹拌下、260℃で
2.5時間反応させ、合成例と同様に処理して571gの樹脂
(I−2)を得た。この樹脂(I−2)の軟化点は140.
5℃であった。
この樹脂(I−2)240gを220℃で加熱溶融し、無水
マレイン酸7.2gを添加し、撹拌下4時間反応を行ない酸
変性樹脂(II−2)を得た。樹脂(II−2)の軟化点は
151.5℃、酸価は11.4であった。
引き続き、酸変性樹脂(II−2)180gにp−tert−ブ
チルフェノールとホルマリンから得られるレゾール型フ
ェノール樹脂20gを加え、220℃で3時間反応を行ない、
軟化点170.4℃、酸価11.2の変性樹脂(III−2)を得
た。
実施例1 合成例で得られた樹脂(III−1)33重量部、“舶純
亜麻No.7"(東新油脂(株)製、インキ用乾性油)13重
量部、“3号ソルベント”(日本石油(株)製、インキ
用炭化水素溶剤)7重量部、“ダイアレン168"(三菱化
成工業(株)製、インキ用炭化水素溶剤)3重量部を、
窒素流下に混合、加熱昇温して、200℃加熱撹拌下に無
水マレイン酸2重量部を添加し、200℃で2時間、加熱
撹拌した後に“3号ソルベント"29重量部、“ダイアレ
ン168"13重量部を添加し、150℃で30分間加熱撹拌して
ワニス(I)を得た。
このようにして得られたワニス(I)83重量部に“シ
ムラーブリリアントカーミン6B233"(大日本インキ化学
工業(株)製、インキ用紅顔料)17重量部を加えて常法
により、3本ロールで混練し、インキAを得た。
実施例2 合成例で得られた樹脂(III−1)40重量部、“舶純
亜麻No.4"15重量部、を、窒素流下に混合、加熱昇温し
て、200℃加熱撹拌下にSi−H基を含有するオルガノポ
リシロキサン(トーレ・シリコーン(株)製、BY 10−9
12)3重量部、ジブチル錫ジアセテート0.05重量部を添
加し、200℃で1時間、加熱撹拌した後に“3号ソルベ
ント"30重量部、“ダイアレン168"12重量部を添加し、1
50℃で30分間加熱撹拌してシリコーン変性ワニス(I)
を得た。
このようにして得られたシリコーン変性ワニス(I)
20重量部、実施例1で得られたワニス(I)63重量部に
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキBを得た。
実施例3 合成例で得られた樹脂(III−1)33重量部、“舶純
亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"36重量部、“ダ
イアレン168"16重量部を、窒素流下に混合、加熱昇温し
て、180℃で1時間、加熱撹拌した後に、ダイマー酸と
ジエチレントリアミンとの縮合物(モル比1:1)のポリ
アミド化合物(分子量5,000)2重量部を添加し、120℃
で30分間加熱撹拌してワニス(II)を得た。
このようにして得られたワニス(II)83重量部に“シ
ムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加えて常
法により、3本ロールで混練し、インキCを得た。
実施例4 合成例で得られた樹脂(III−1)33重量部、“舶純
亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"7重量部、“ダ
イアレン168"3重量部を、窒素流下に混合、加熱昇温し
て、200℃加熱撹拌下に、アルカリ触媒でp−アミルフ
ェノールとホルムアルデヒドを公知の方法で初期縮合せ
しめて得られたレゾール型フェノール樹脂2重量部を添
加し、200℃で3時間、加熱撹拌した後に“3号ソルベ
ント"29重量部、“ダイアレン168"13重量部を添加し、1
50℃で30分間加熱撹拌してワニス(III)を得た。
このようにして得られたワニス(III)83重量部に
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキDを得た。
実施例5 合成例で得られた樹脂(III−1)33重量部、“舶純
亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"7重量部、“ダ
イアレン168"3重量部を窒素流下に混合、加熱昇温し
て、200℃加熱撹拌下に、トリメチロールプロパン2重
量部を添加し、200℃で5時間、加熱撹拌した後に“3
号ソルベント"29重量部、“ダイアレン168"13重量部を
添加し、150℃で30分間加熱撹拌してワニス(IV)を得
た。
このようにして得られたワニス(IV)83重量部に、
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキEを得た。
比較例1 合成例で得られた樹脂(III−1)35重量部、“舶純
亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"7重量部、“ダ
イアレン168"13重量部を窒素流下に混合、加熱昇温し
て、200℃で2時間、加熱撹拌した後に“3号ソルベン
ト"29重量部、“ダイアレン168"13重量部を添加し、150
℃で30分間加熱撹拌してワニス(V)を得た。
このようにして得られたワニス(V)83重量部に、
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキFを得た。
比較例2 比較合成例で得られた樹脂(III−2)35重量部、
“舶純亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"7重量
部、“ダイアレン168"3重量部を窒素流下に混合、加熱
昇温して、200℃で2時間、加熱撹拌した後に“3号ソ
ルベント"29重量部、“ダイアレン168"13重量部を添加
し、150℃で30分間加熱撹拌してワニス(VI)を得た。
このようにして得られたワニス(VI)83重量部に、
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキGを得た。
比較例3 比較合成例で得られた樹脂(III−2)33重量部、
“舶純亜麻No.7"13重量部、“3号ソルベント"7重量
部、“ダイアレン168"3重量部を、窒素流下で混合、加
熱昇温して、200℃加熱撹拌下に無水マレイン酸2重量
部を添加して、200℃で2時間、加熱撹拌した後に“3
号ソルベント"29重量部、“ダイアレン168"13重量部を
添加し、150℃で30分間加熱撹拌してワニス(VII)を得
た。
このようにして得られたワニス(VII)83重量部に、
“シムラーブリリアントカーミン6B233"17重量部を加え
て常法により、3本ロールで混練し、インキHを得た。
上述の実施例および比較例で得られたインキA〜Hに
ついて、それぞれの方法でインキ特性および印刷特性を
評価し、結果を第1表に示した。なお、インキ特性およ
び評価方法は下記の通りである。
[インキ特性および評価方法] 版胴に温水を通じて版面を昇温できるように改良した
印刷機に、シリコーンゴムよりなる非粘着性層を有する
水なし平版を取り付け、湿し水を供給することなしに、
版面を昇温しながら印刷し、一定のベタ濃度において印
刷物に地汚れが発生した際の表面温度を地汚れ発生温度
とした。地汚れ発生温度の高いインキほど実用印刷にお
いても地汚れが発生しにくい。
次に30℃において、これらのインキの流動性(フロー
値)をスプレッドメーターで測定し、インコメーターで
タック値を測定した。また、インキのそれぞれについて
水なし平版を用いて印刷を行ない、マクベス反射濃度計
で印刷物のベタ濃度1.35のところの光沢値を60度鏡面反
射光沢計で測定した。
第1表の結果から、本発明に基づく実施例1〜5のイ
ンキA〜Eは、比較例1〜3のインキF〜、Hに比較し
て、地汚れ発生温度が高く、タック値が低い等の点で優
れていることがわかる。
実用印刷テストにおいても、実施例1〜5のインキA
〜Eを比較例1〜3のインキF〜Hと比較したところ、
インキA〜Eはいずれも、紙面の汚れの発生もなく、パ
イリング、紙むけ等の印刷トラブルが抑制されたものと
なっていた。また、印刷物の光沢を測定したところ、イ
ンキA〜Eは耐地汚れ性が高いにもかかわらず、インキ
F〜Hと同等で光沢のある印刷物が得られた。
[発明の効果] 本発明による分子鎖伸長樹脂をバインダー樹脂成分と
して含有する水なし平版用インキ組成物は、耐地汚れ性
が良好で、かつ印刷適性が優れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末沢 満 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業所内 (56)参考文献 特開 平2−206662(JP,A) 特開 昭53−118494(JP,A) 特開 昭57−38871(JP,A) 特開 昭57−36172(JP,A) 特開 平3−39374(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 11/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Hは水素、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表
    わし、mおよびnは0または1以上の整数で、m+n=
    6である) で示される共役二重結合を有する5員環化合物および/
    またはそのディールス・アルダー付加物[成分A]100
    重量部、分子内に炭素−炭素二重結合とベンゼン環を含
    有する不飽和芳香族炭化水素単量体[成分A′]0〜20
    0重量部およびα−オレフィン[成分B]2〜100重量部
    とを共重合させることにより得られる炭化水素樹脂
    [I]100重量部に対し、不飽和カルボン酸および/ま
    たはその無水物[成分C]0.5〜30重量部を反応させて
    酸変性樹脂[II]とし、さらにフェノール類とホルマリ
    ンとの縮合により得られるフェノール樹脂[成分D]
    と、該酸変性樹脂[II]100重量部に対し2〜100重量部
    加熱反応させることにより得られる樹脂[III]を、沸
    点200℃以上の炭化水素溶媒中、乾性油ないし半乾性油
    中、分子鎖伸長剤[成分E]で分子鎖伸長せしめて得ら
    れた変性樹脂を含有することを特徴とする水なし平版用
    インキ組成物。
  2. 【請求項2】前記[成分E]が多価カルボン酸ないしそ
    の誘導体、あるいはこれらの混合物の群から選ばれる少
    なくとも1種である請求項1記載の水なし平版用インキ
    組成物。
  3. 【請求項3】前記[成分E]が活性水素を含有するアミ
    ン化合物である請求項1記載の水なし平版用インキ組成
    物。
  4. 【請求項4】前記[成分E]がレゾール型フェノール樹
    脂である請求項1記載の水なし平版用インキ組成物。
  5. 【請求項5】前記[成分E]が多価アルコールである請
    求項1記載の水なし平版用インキ組成物。
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