JP2719008B2 - クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法 - Google Patents
クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法
に関するものであり、例えばクロムめっき被覆を有する
鋳鉄製シリンダを表面欠陥無しに製造する用途に適する
ものである。
に関するものであり、例えばクロムめっき被覆を有する
鋳鉄製シリンダを表面欠陥無しに製造する用途に適する
ものである。
[従来の技術] 従来、製紙用ロールのうち、湿紙の乾燥に利用する鋳
鉄製のドライヤーシリンダに対してクロムめっき被覆を
施すことが一般に行われている。その目的は、製紙原料
中に含まれる種々の化学薬品からドライヤーシリンダを
保護する、いわゆる防食効果と錆等の発生による紙の汚
染防止にある。ところが、素地金属が鋳物であることか
ら鋳巣が存在するために、クロムめっき被覆が表面に被
覆されていない欠陥部がピンホール状に発生することが
ある。この場合、防食効果の低下は勿論のこととして、
欠陥部(窪み)に紙粉が溜まりやすく、これが時として
製造された紙に付着するといった弊害を呈すのが実状で
ある。
鉄製のドライヤーシリンダに対してクロムめっき被覆を
施すことが一般に行われている。その目的は、製紙原料
中に含まれる種々の化学薬品からドライヤーシリンダを
保護する、いわゆる防食効果と錆等の発生による紙の汚
染防止にある。ところが、素地金属が鋳物であることか
ら鋳巣が存在するために、クロムめっき被覆が表面に被
覆されていない欠陥部がピンホール状に発生することが
ある。この場合、防食効果の低下は勿論のこととして、
欠陥部(窪み)に紙粉が溜まりやすく、これが時として
製造された紙に付着するといった弊害を呈すのが実状で
ある。
このような理由から、ドライヤーシリンダの表面に施
されるクロムめっき被覆は、出来るだけ無欠陥であるこ
とが望まれ、現実的な対処法として、欠陥部(鋳巣)を
事前に調査し、その全てについて事前に埋金することに
より、欠陥部の発生を防止して来た。
されるクロムめっき被覆は、出来るだけ無欠陥であるこ
とが望まれ、現実的な対処法として、欠陥部(鋳巣)を
事前に調査し、その全てについて事前に埋金することに
より、欠陥部の発生を防止して来た。
第6図は従来のドライヤーシリンダの製造工程を示し
ている。同図に示すように、従来は、鋳造されたドライ
ヤーシリンダの表面をグラインダにより研摩した後、表
面を更に平滑にして欠陥部の発見を容易とするためにバ
フ研摩を施し、欠陥部(鋳巣)を検査し、欠陥部の埋金
補修を行い、脱脂、洗浄化の後、クロムめっきを施し、
仕上げ研摩を行う工程としていた。
ている。同図に示すように、従来は、鋳造されたドライ
ヤーシリンダの表面をグラインダにより研摩した後、表
面を更に平滑にして欠陥部の発見を容易とするためにバ
フ研摩を施し、欠陥部(鋳巣)を検査し、欠陥部の埋金
補修を行い、脱脂、洗浄化の後、クロムめっきを施し、
仕上げ研摩を行う工程としていた。
[発明が解決しようとする課題] ところが、ドライヤーシリンダは鋳造ロット毎のバラ
ツキにより鋳巣の数に極端なバラツキを生じやすく、時
には数千個以上の欠陥部を補修しなければならないとい
った事態も発生し、現実問題として埋金による補修工数
の増加、鋳巣の見落とし、埋金補修の不具合など問題点
も多く、無欠陥のクロムめっき被覆を行うことは困難で
あった。
ツキにより鋳巣の数に極端なバラツキを生じやすく、時
には数千個以上の欠陥部を補修しなければならないとい
った事態も発生し、現実問題として埋金による補修工数
の増加、鋳巣の見落とし、埋金補修の不具合など問題点
も多く、無欠陥のクロムめっき被覆を行うことは困難で
あった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、表面の欠陥部の少ないクロム
めっき被覆を有する鋳鉄の製造方法を提供することにあ
る。
その目的とするところは、表面の欠陥部の少ないクロム
めっき被覆を有する鋳鉄の製造方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、従来技術の問題点を解決するべく、種
々検討した結果、鋳鉄の表面を従来と同じようにグライ
ンダ研摩した後、#30〜#400の粒度の研摩材を用いて
プラズチングし、次いでニッケルめっき被覆を30μm以
上施し、再度グラインダ研摩することにより、鋳鉄の表
面に無欠陥のクロムめっき被覆を施せることを発見し
た。ここで、研摩材としては、アルミナ質研摩材、炭化
ケイ素質研削材などの他、粒度が合致すればショットピ
ーニング用の各種ショットをも使用できる。また、ニッ
ケルめっき被覆はワット浴、スルファミン酸浴、全塩化
物浴などを利用できるが、厚みは少なくとも30μm以上
は必要である。その理由は、ニッケルめっき被覆を施し
た後の窪みの深さは多くの場合30μmまでであるので、
窪み部分に形成されたニッケルを他の部分と面一にする
ための研削量が必要なためである。本発明のクロムめっ
き法を適用できる鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄品、球状黒
鉛鋳鉄品、可鍛鋳鉄品、合金鋳鉄品、などがある。ま
た、本発明のクロムめっき法は、製紙用のドライヤーシ
リンダに限らず、一般に鋳鉄品に耐食性を付与しようと
する場合の全てに利用できるものである。
々検討した結果、鋳鉄の表面を従来と同じようにグライ
ンダ研摩した後、#30〜#400の粒度の研摩材を用いて
プラズチングし、次いでニッケルめっき被覆を30μm以
上施し、再度グラインダ研摩することにより、鋳鉄の表
面に無欠陥のクロムめっき被覆を施せることを発見し
た。ここで、研摩材としては、アルミナ質研摩材、炭化
ケイ素質研削材などの他、粒度が合致すればショットピ
ーニング用の各種ショットをも使用できる。また、ニッ
ケルめっき被覆はワット浴、スルファミン酸浴、全塩化
物浴などを利用できるが、厚みは少なくとも30μm以上
は必要である。その理由は、ニッケルめっき被覆を施し
た後の窪みの深さは多くの場合30μmまでであるので、
窪み部分に形成されたニッケルを他の部分と面一にする
ための研削量が必要なためである。本発明のクロムめっ
き法を適用できる鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄品、球状黒
鉛鋳鉄品、可鍛鋳鉄品、合金鋳鉄品、などがある。ま
た、本発明のクロムめっき法は、製紙用のドライヤーシ
リンダに限らず、一般に鋳鉄品に耐食性を付与しようと
する場合の全てに利用できるものである。
[作用] 以下、本発明の原理を第1図〜第5図を参照しながら
説明する。第3図(a)〜(c)は、鋳鉄1の表面に存
在する欠陥部2の形状を例示している。この状態の表面
に、第4図(a)〜(c)に示すように、クロムあるい
はニッケルめっき被覆3を施しても、欠陥部2は消失し
ない。しかるに、適度な粒径の研摩材を利用してブラス
チングすると、鋳鉄1の欠陥部2は消失しないものの、
第5図(a)〜(c)に示すように、なだらかな形状に
変化する。ここで、研摩材の粒度を#30〜#400の範囲
に規制している理由は、#30よりも粒度が小さい(粒径
が大きい)と欠陥部の平坦化の効果はあるが、正常面が
粗化され過ぎて、めっきのピンホールが多発するように
なり、反対に#400よりも粒度が大きく(粒径が小さ
く)なると鋳鉄品の表面欠陥を平坦化する能力が低下す
ることによる。
説明する。第3図(a)〜(c)は、鋳鉄1の表面に存
在する欠陥部2の形状を例示している。この状態の表面
に、第4図(a)〜(c)に示すように、クロムあるい
はニッケルめっき被覆3を施しても、欠陥部2は消失し
ない。しかるに、適度な粒径の研摩材を利用してブラス
チングすると、鋳鉄1の欠陥部2は消失しないものの、
第5図(a)〜(c)に示すように、なだらかな形状に
変化する。ここで、研摩材の粒度を#30〜#400の範囲
に規制している理由は、#30よりも粒度が小さい(粒径
が大きい)と欠陥部の平坦化の効果はあるが、正常面が
粗化され過ぎて、めっきのピンホールが多発するように
なり、反対に#400よりも粒度が大きく(粒径が小さ
く)なると鋳鉄品の表面欠陥を平坦化する能力が低下す
ることによる。
ところで、鋳鉄品の欠陥部(鋳巣)がブラスチングに
よって平坦化されるのであれば、ニッケルめっき被覆は
不要ということになるが、種々検討したところ、クロム
めっき被覆だけで無欠陥の表面とするには、次のような
問題点が存在することが判明した。
よって平坦化されるのであれば、ニッケルめっき被覆は
不要ということになるが、種々検討したところ、クロム
めっき被覆だけで無欠陥の表面とするには、次のような
問題点が存在することが判明した。
(イ)ブラスチングによって鋳鉄の表面欠陥部が平坦化
されたといっても、それは鋭角的な部分が消失しただけ
であって、窪みは浅くなったものの依然として存在して
おり、クロムめっきの被覆力では完全に欠陥部を除去で
きない場合があり、特に鋳鉄の場合、鋳鉄の表面に存在
する鋳砂(ケイ素)、炭素(カーボン)などがクロムめ
っきの析出を阻害し、元の鋳巣以外の部分に新たな欠陥
(ピンホール)を形成しやすい。
されたといっても、それは鋭角的な部分が消失しただけ
であって、窪みは浅くなったものの依然として存在して
おり、クロムめっきの被覆力では完全に欠陥部を除去で
きない場合があり、特に鋳鉄の場合、鋳鉄の表面に存在
する鋳砂(ケイ素)、炭素(カーボン)などがクロムめ
っきの析出を阻害し、元の鋳巣以外の部分に新たな欠陥
(ピンホール)を形成しやすい。
(ロ)ニッケルめっきは、鋳鉄表面にインクルージョン
(介在物)に影響されずに皮膜を形成でき、クロムめっ
きよりも被覆力が高いので、平坦化された鋳巣の中にも
効果的に析出する。したがって、ニッケルめっき後にも
依然として元の欠陥部に窪みを形成しているものの、次
工程のグラインダ研摩で表面を面一とするので、何ら問
題が無い。第1図(a)〜(c)は鋳鉄1の表面をブラ
スチングした後、ニッケルめっき被覆3を施した状態、
第2図(a)〜(c)はニッケルめっき被覆3をグライ
ンダで研摩して表面を面一とした後の状態を示す断面図
である。
(介在物)に影響されずに皮膜を形成でき、クロムめっ
きよりも被覆力が高いので、平坦化された鋳巣の中にも
効果的に析出する。したがって、ニッケルめっき後にも
依然として元の欠陥部に窪みを形成しているものの、次
工程のグラインダ研摩で表面を面一とするので、何ら問
題が無い。第1図(a)〜(c)は鋳鉄1の表面をブラ
スチングした後、ニッケルめっき被覆3を施した状態、
第2図(a)〜(c)はニッケルめっき被覆3をグライ
ンダで研摩して表面を面一とした後の状態を示す断面図
である。
[実施例] 本発明者らは、胴部の直径が300mm、軸方向の長さが3
30mmである鋳鉄製シリンダを3本作製した。これらの表
面をそれぞれグラインダ研摩し、試験に供した。これら
3本のシリンダは、加工前の欠陥部の状態を知っておく
ために、全てバフ研摩した。表面検査の終了した3本の
シリンダについて、次の工程により試料A〜Cを作製し
た。
30mmである鋳鉄製シリンダを3本作製した。これらの表
面をそれぞれグラインダ研摩し、試験に供した。これら
3本のシリンダは、加工前の欠陥部の状態を知っておく
ために、全てバフ研摩した。表面検査の終了した3本の
シリンダについて、次の工程により試料A〜Cを作製し
た。
試料A(比較例) 第7図は試料Aの表面をバフ研摩した後の表面状態を
示す顕微鏡写真をトレースした図面(以下、単に「顕微
鏡写真」と呼ぶ)であり、同図(a),(b),(c)
はそれぞれ試料Aの表面における3箇所の欠陥部a,b,c
を示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無
数の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。
また、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
示す顕微鏡写真をトレースした図面(以下、単に「顕微
鏡写真」と呼ぶ)であり、同図(a),(b),(c)
はそれぞれ試料Aの表面における3箇所の欠陥部a,b,c
を示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無
数の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。
また、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
第8図(a),(b),(c)は上記バフ研摩後の試
料Aの表面に250μmのクロムめっき被覆を施して、そ
の表面をバフ研摩した後の表面状態を示す顕微鏡写真で
あり、それぞれ第7図(a),(b),(c)に対応す
る箇所を撮影したものである。この状態でも欠陥部は無
数に存在しており、数え切れない。また、欠陥部の最大
径は0.7mm程度である。
料Aの表面に250μmのクロムめっき被覆を施して、そ
の表面をバフ研摩した後の表面状態を示す顕微鏡写真で
あり、それぞれ第7図(a),(b),(c)に対応す
る箇所を撮影したものである。この状態でも欠陥部は無
数に存在しており、数え切れない。また、欠陥部の最大
径は0.7mm程度である。
第7図と第8図とを比較すれば明らかなように、クロ
ムめっき被覆後のバフ研摩により欠陥部の大きさは或る
程度は縮小するが、実用に耐えるものではない。
ムめっき被覆後のバフ研摩により欠陥部の大きさは或る
程度は縮小するが、実用に耐えるものではない。
試料B(比較例) 第9図は試料Bの表面をバフ研摩した後の表面状態を
示す顕微鏡写真であり、同図(a),(b),(c)は
それぞれ試料Bの表面における3箇所の欠陥部a,b,cを
示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無数
の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。ま
た、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
示す顕微鏡写真であり、同図(a),(b),(c)は
それぞれ試料Bの表面における3箇所の欠陥部a,b,cを
示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無数
の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。ま
た、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
第10図(a),(b),(c)は上記バフ研摩後の試
料Bの表面に150μmのニッケルめっき被覆を施して、
その表面をバフ研摩した後の表面状態を示す顕微鏡写真
であり、それぞれ第9図(a),(b),(c)に対応
する箇所を撮影したものである。この状態では、径が0.
2〜0.7mmの欠陥部が67個存在していた。
料Bの表面に150μmのニッケルめっき被覆を施して、
その表面をバフ研摩した後の表面状態を示す顕微鏡写真
であり、それぞれ第9図(a),(b),(c)に対応
する箇所を撮影したものである。この状態では、径が0.
2〜0.7mmの欠陥部が67個存在していた。
第9図と第10図とを比較すれば明らかなように、ニッ
ケルめっき被覆後のバフ研摩により欠陥部の個数は大幅
に少なくなり、残った欠陥部の大きさも可成り縮小する
が、小さなピンホール状の欠陥部は残ることになる。
ケルめっき被覆後のバフ研摩により欠陥部の個数は大幅
に少なくなり、残った欠陥部の大きさも可成り縮小する
が、小さなピンホール状の欠陥部は残ることになる。
第11図(a),(b),(c)は上記ニッケルめっき
被覆後にバフ研摩を施した試料Bの表面に100μmのク
ロムめっき被覆を施して、その表面をバフ研摩した後の
表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第10図
(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したもの
である。この状態では、径が0.1〜0.7mmの欠陥部が23個
存在していた。
被覆後にバフ研摩を施した試料Bの表面に100μmのク
ロムめっき被覆を施して、その表面をバフ研摩した後の
表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第10図
(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したもの
である。この状態では、径が0.1〜0.7mmの欠陥部が23個
存在していた。
第9図と第10図及び第11図を比較すれば明らかなよう
に、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩とクロムめっき被
覆後のバフ研摩を順に施すことにより、欠陥部を個数を
大幅に減らすことができる。また、残った欠陥部の大き
さも可成り小さくすることができる。しかしながら、ピ
ンホール状の小さな欠陥部は残ることになり、実用に供
することは困難である。
に、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩とクロムめっき被
覆後のバフ研摩を順に施すことにより、欠陥部を個数を
大幅に減らすことができる。また、残った欠陥部の大き
さも可成り小さくすることができる。しかしながら、ピ
ンホール状の小さな欠陥部は残ることになり、実用に供
することは困難である。
試料C(本発明) 第12図は試料Cの表面をバフ研摩した後の表面状態を
示す顕微鏡写真であり、同図(a),(b),(c)は
それぞれ試料Cの表面における3箇所の欠陥部a,b,cを
示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無数
の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。ま
た、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
示す顕微鏡写真であり、同図(a),(b),(c)は
それぞれ試料Cの表面における3箇所の欠陥部a,b,cを
示している。この状態では、欠陥部a,b,cの他にも無数
の欠陥部が存在しており、その個数は数え切れない。ま
た、欠陥部の最大径は1.0mm程度である。
第13図(a),(b),(c)は上記バフ研摩後の試
料Cの表面に#150エメリーによりブラスチングを施し
た後の表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第12
図(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したも
のである。この状態では、表面が粗化されて、欠陥部の
状態や数量は計数できない。
料Cの表面に#150エメリーによりブラスチングを施し
た後の表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第12
図(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したも
のである。この状態では、表面が粗化されて、欠陥部の
状態や数量は計数できない。
第14図(a),(b),(c)は上記ブラスチング後
の試料Cの表面に150μmのニッケルめっき被覆を施し
て、その表面をバフ研摩し、さらにグラインダにより表
面を50μm研削した後の表面状態を示す顕微鏡写真であ
り、それぞれ第13図(a),(b),(c)に対応する
箇所を撮影したものである。この状態では、欠陥部a,b,
cは消滅した。また、それ以外の欠陥部も激減し、径が
0.1〜0.2mmの欠陥部が2個残った。なお、ニッケルめっ
き被覆を施して、その表面をバフ研摩した後、グライン
ダによる表面研削を施す前の状態では、径が0.1〜0.5mm
の欠陥部が23個存在していた。
の試料Cの表面に150μmのニッケルめっき被覆を施し
て、その表面をバフ研摩し、さらにグラインダにより表
面を50μm研削した後の表面状態を示す顕微鏡写真であ
り、それぞれ第13図(a),(b),(c)に対応する
箇所を撮影したものである。この状態では、欠陥部a,b,
cは消滅した。また、それ以外の欠陥部も激減し、径が
0.1〜0.2mmの欠陥部が2個残った。なお、ニッケルめっ
き被覆を施して、その表面をバフ研摩した後、グライン
ダによる表面研削を施す前の状態では、径が0.1〜0.5mm
の欠陥部が23個存在していた。
第13図と第14図とを比較すれば明らかなように、ブラ
スチングと、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩、及びグ
ラインダによる表面研削を順に施すことにより欠陥部の
個数は飛躍的に減少し、残った欠陥部の大きさも極めて
小さくなる。
スチングと、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩、及びグ
ラインダによる表面研削を順に施すことにより欠陥部の
個数は飛躍的に減少し、残った欠陥部の大きさも極めて
小さくなる。
第15図(a),(b),(c)は上記ブラスチング
と、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩、及びグラインダ
による表面研削を順に施した試料Cの表面に100μmの
クロムめっき被覆を施して、その表面をバフ研摩した後
の表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第14図
(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したもの
である。この状態では、欠陥部a,b,c以外の欠陥部も全
て削滅し、試料Cの表面は完全に無欠陥となった。
と、ニッケルめっき被覆後のバフ研摩、及びグラインダ
による表面研削を順に施した試料Cの表面に100μmの
クロムめっき被覆を施して、その表面をバフ研摩した後
の表面状態を示す顕微鏡写真であり、それぞれ第14図
(a),(b),(c)に対応する箇所を撮影したもの
である。この状態では、欠陥部a,b,c以外の欠陥部も全
て削滅し、試料Cの表面は完全に無欠陥となった。
なお、本発明者らはニッケルめっき被覆を施すために
ワット浴を用いたが、スルファミン酸浴や全塩化物浴を
用いても良い。各めっき浴の条件を以下に例示する。
ワット浴を用いたが、スルファミン酸浴や全塩化物浴を
用いても良い。各めっき浴の条件を以下に例示する。
ワット浴 pH 1.0〜5.0 硫酸ニッケル(7水塩) 200〜300g/ 塩化ニッケル(6水塩) 0〜100g/ ホウ酸 15〜50g/ アンチピッター 適量 アジテーション エア 温度 40〜60℃ 電流密度 0.5〜10A/dm2 スルファミン酸浴 pH 3.0〜5.0 スルファミン酸ニッケル(4水塩)200〜600g/ 塩化ニッケル(6水塩) 0〜50g/ ホウ酸 15〜50g/ アンチピッター 適量 アジテーション 静止又は カソードロッキング 温度 30〜60℃ 電流密度 0.5〜15A/dm2 全塩化物浴 pH 2.0〜4.0 塩化ニッケル(6水塩) 200〜400g/ ホウ酸 15〜50g/ アジテーション エア 温度 40〜70℃ 電流密度 0.5〜12A/dm2 また、本発明者らはクロムめっき被覆を施すためにサ
ージェント浴を用いたが、ケイフッ化浴を用いても良
い。各めっき浴の条件を以下に例示する。
ージェント浴を用いたが、ケイフッ化浴を用いても良
い。各めっき浴の条件を以下に例示する。
サージェント浴 無水クロム酸 100〜400g/ 硫酸 無水クロム酸の 1/50〜1/150 量 温度 20〜60℃ 電流密度 10〜80A/dm2 ケイフッ化浴 無水クロム酸 150〜400g/ 硫酸 0.5〜2.0g/ ケイフッ化ナトリウム 0.5〜10g/ 温度 35〜60℃ 電流密度 10〜70A/dm2 [発明の効果] 本発明にあっては、上述のように、鋳鉄表面へのブラ
スチングにより鋳鉄の表層近傍に存在する鋳巣を除去あ
るいは変形させた後、ニッケルめっき被覆を施し、該ニ
ッケルめっき被覆の表面を研摩した後、クロムめっき被
覆を施すようにしたので、鋳鉄の鋳巣に起因するクロム
めっき被覆の欠陥部を激減させることができるという効
果がある。また、鋳鉄の鋳巣に埋金する従来法に比べる
と、製造が容易になるという効果がある。
スチングにより鋳鉄の表層近傍に存在する鋳巣を除去あ
るいは変形させた後、ニッケルめっき被覆を施し、該ニ
ッケルめっき被覆の表面を研摩した後、クロムめっき被
覆を施すようにしたので、鋳鉄の鋳巣に起因するクロム
めっき被覆の欠陥部を激減させることができるという効
果がある。また、鋳鉄の鋳巣に埋金する従来法に比べる
と、製造が容易になるという効果がある。
第1図乃至第5図は本発明の原理説明のための断面図、
第6図は従来のドライヤーシリンダの製造工程図、第7
図及び第8図は第1の試料の表面状態を示す図、第9図
乃至第11図は第2の試料の表面状態を示す図、第12図乃
至第15図は第3の試料の表面状態を示す図である。 1は鋳鉄、2は欠陥部(鋳巣)、3はニッケルめっき被
覆である。
第6図は従来のドライヤーシリンダの製造工程図、第7
図及び第8図は第1の試料の表面状態を示す図、第9図
乃至第11図は第2の試料の表面状態を示す図、第12図乃
至第15図は第3の試料の表面状態を示す図である。 1は鋳鉄、2は欠陥部(鋳巣)、3はニッケルめっき被
覆である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 弘明 広島県三原市糸崎町5007番地 三菱重工 業株式会社三原製作所内 (72)発明者 新田 正寛 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】鋳鉄表面に粒度#30乃至#400の研摩材に
よりブラスチングを施して鋳鉄の表層近傍に存在する鋳
巣を除去あるいは変形させた後、少なくとも30μm以上
の厚みのニッケルめっき被覆を電気めっき法により施
し、該ニッケルめっき被覆の表面を研摩した後、クロム
めっき被覆を電気めっき法により施すことを特徴とする
クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法。
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JP26668089A JP2719008B2 (ja) | 1989-10-15 | 1989-10-15 | クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法 |
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JP26668089A JP2719008B2 (ja) | 1989-10-15 | 1989-10-15 | クロムめっき被覆を有する鋳鉄の製造方法 |
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