JP2718333B2 - 溶銑滓の分離方法および分離装置 - Google Patents

溶銑滓の分離方法および分離装置

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JP2718333B2 JP26748092A JP26748092A JP2718333B2 JP 2718333 B2 JP2718333 B2 JP 2718333B2 JP 26748092 A JP26748092 A JP 26748092A JP 26748092 A JP26748092 A JP 26748092A JP 2718333 B2 JP2718333 B2 JP 2718333B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高炉等から出銑され
た溶銑と溶滓と分離する溶銑滓の分離方法およびその
分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の溶銑滓の分離方法として
は、図6に示すように、小仕切板20によって、溶銑滓の
混合溶融物の中間層21を流通阻止させて、混合溶融物の
流れの方向および流速を変化させることにより、溶銑と
溶滓とを分離するものが一般に知られている。
【0003】なお、この図6における符号22はスキンマ
ーの仕切板で、23は溶銑樋で、24は主樋である。溶滓樋
は、スキンマーの仕切板22の手前、即ち上流側に設けら
れて いる。
【0004】
【この発明が解決しようとする課題】しかし、前述した
従来の分離方法では、スキンマー上流に設置した小仕切
板によって、溶銑滓の混合物の流速等を変化させ、溶銑
滓の分離を効率的に行うことにしている。従って、ここ
で使用される小仕切板は、その形状が高さ方向に長いも
のとなって、下半分がメタル層に入ることとなり、溶損
が大きいものとなっている。そのため、小仕切板の補修
回数が多くなり、補修費用も多く必要となることとな
る。
【0005】また、従来方法での小仕切板は、メタル層
内に入っているため、樋底との隙間が少なく、出銑初期
の通銑確保が必要となる。そのため、出銑量の調整が必
要となってくる。
【0006】さらに、従来方法の小仕切板では、溶銑滓
の混合物の流れ方向および流速を変化させることのみな
らず、溶滓層のそれをも変化させるために、小仕切板付
近の樋の溶損のされ方がいびつになる。なお、溶銑滓流
の流速,方向を変化させると、樋耐火物との接触状態が
変化する。
【0007】この発明は前述した事情に鑑みて創案され
たもので、その目的は滓皮の溶解を抑制して、滓皮が溶
銑滓の混合物の流れの方向および流速を変化させ、溶銑
滓の分離を効率的に行えるようにすることのできる溶銑
滓の分離方法および分離装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】先ず、流銑に及ぼす滓皮
の影響を述べると、出銑サイクルを、二本樋を使用する
時と三本使用した時とでは、ドライピットへの流銑量
が、あきらかに三本使用した時の方が少ない事実があ
る。
【0009】この樋の二本サイクルと三本サイクルとの
大きな違いは、その貯銑時間が異なることである。三本
サイクルを使用した場合、二本サイクルに比べ、貯銑時
間が長いため、滓皮の形成が二本サイクルと比べ強固な
ものになっており、出銑開始からの滓皮の溶解時間が長
くなっている。即ち、滓皮の有無が流銑量に大きく影響
を及ぼていることとなる。
【0010】従って、前述した理由から、出銑中に、よ
り長く滓皮を残すことが流銑量の低下に効果を示す。
【0011】即ち、図4に示すように、溜込み時間が長
い方が、滓皮の溶解時間が長い。また、図5に示すよう
に、溜込み時間が長い方が、即ち、滓皮溶解時間が長い
方が、流銑量が少なくなっている。
【0012】従って、長時間にわたって、滓皮を溶解さ
せないことにより、流銑量を低減させることを可能し
た。
【0013】そこで、本発明では、水平板状体を主樋中
の滓皮レベルに設置することにより(図1参照)、図3
に示すように、出銑中の滓皮溶解の抑制が可能となり、
出銑中長時間にわたって滓皮を残すことを可能とす
る。その結果、流銑量の低減が実現されるものである。
【0014】この発明の分離方法は、前述したように、
ドライピットへの流銑量が、貯銑中に形成される主樋中
の滓皮の有無に影響される要因が大きいという発見に注
目し、出銑中のその滓皮の溶解を抑制することができる
と共に、滓皮が溶解始めてもそれ自身が滓皮の一部とし
て作用することができる水平板状体の設置によって、流
銑量の低減を図るものである。
【0015】即ち、出銑口からスキンマー部までの間に
おいて、溶銑滓の分離が不充分でドライピットに多くの
溶銑が流出していたものを、滓皮(滓皮の役割をもする
ように設定,設置した水平板状体)で、溶銑滓の主樋中
での抵抗を大きくして、速度を遅くし、スキンマー部で
の溶銑滓分離の効率上昇をさせ、ドライピットへの溶銑
の流出を低減させるものである。
【0016】そして、このようなことにより、ドライピ
ットへの溶銑流出を低減して、荒銑の低減やドライピッ
ト(ノロピット)での水蒸気爆発(滓に高保有熱の溶銑
流が混入して、水蒸気が急激に気化すること。)の低減
を可能とする。
【0017】
【実施例】以下、この発明の溶銑滓の分離方法および分
離装置を、図示する実施例によって説明する。
【0018】図1に本発明の概略構成図を示す。
【0019】本発明の特徴は、図6に示した従来技術の
小仕切板とはその形状が異なっていること。また、溶銑
滓分離をより効果的に行うためには主樋8上にある滓皮
がより溶けず残っているかをポイントとしたものであ
る。そこで、本発明では、その滓皮をより出銑中に長時
間溶解させないために、滓皮レベルに疑似滓皮のような
ものを設置した。
【0020】図2および図3は、疑似滓皮である水平板
状体2の有無による滓皮溶解プロセスの相違図である。
【0021】図2に示すように、流下するに従い、温度
降下により、滓皮上層は、凝固して滓となり、薄くなっ
た滓皮は、次第に高温の溶銑により溶解し、滓と溶銑の
混合物になる。一方、水平板状体2があると、図3に示
ように水平板状体2自体が滓皮の代わりになるの
で、滓皮が厚く強固な如くなるので、溶けにくい。
【0022】本発明は貯銑中に形成される滓皮のレベル
に滓皮とほぼ同じ厚みを持つ、滓皮溶解抑制用の水平板
状体2を主樋中のスキンマー1,大ドッパー上流部に設
置するものである(図1参照)。なお、水平板状体2は
スキンマー等と同様に耐火物製であり、その両端部を主
樋8の内側面における上下方向中間部に適宜の手段によ
り固定する。そして、出銑開始後、高炉の出銑口から出
銑されてくる溶銑滓によって、水平板状体2がない場
合、図2に示すような過程で時間の経過に伴って滓皮が
溶解されていく。
【0023】しかし、図1に示すような水平板状体2を
設置することによって、出銑中の滓皮の溶解は図3に示
すように水平板状体2がその進行を抑制する。なお、出
銑時間が長時間にわたった場合や貯銑時間が短く滓皮の
形成が強固でなかった場合、または滓皮の溶解が進行し
て主樋上の滓皮が溶解してしまった時は、水平板状体
自身が、その形状から滓皮の一部としての役目をする。
【0024】また、出銑開始後、出口から出銑された溶
銑滓は、図1に示すように、滓皮の下部の方に溶銑が、
上部の方に溶滓がというように分離されるが、溶銑滓の
混合溶融物が滓皮付近に形成されている。
【0025】この混合溶融物は、滓皮の存在によってス
キンマーとの間で流速が減少され、分離効率が上昇し
て、溶銑は下に沈み、溶滓は滓皮を伝わって上部の溶滓
部へ浸透していき、溶滓分離が効率的に行なわれるとい
うものである。
【0026】本発明における水平板状体2は、滓皮が溶
銑滓の混合物の流れの方向および流速を変化させ、溶銑
滓の分離を効率的にしていることを利用するため、その
滓皮の溶解を抑制することを目的としている。
【0027】従って、本発明の水平板状体2の形状は、
図6で示した従来の小仕切板とは異なっており、その
平板状体2自体が滓皮の役割を持つように設定,設置し
ているので、本発明の水平板状体2はメタル層内へ入る
ことがない。そのため、水平板状体2自体の溶損状態は
従来技術よりも小さく、補修の回数が少なくなる。
【0028】また、本発明での水平板状体2は、滓皮レ
ベルの横長なものであるため、水平板状体2と樋底との
隙間を充分に確保できている。従って、出銑初期の通銑
には何の支障もない。
【0029】さらに、本発明では溶滓の流れに変化をあ
まりもたらさないため、樋の溶損についても他の部分と
あまり変化のない溶損状態である。
【0030】ここで、この発明の溶銑滓の分離方法によ
り、水平板状体2を使用した分離装置による、溶銑滓の
分離過程を詳述すると、次に述べるようになる。
【0031】出銑口からの溶滓の大部分は、溶滓樋7へ
流れ、溶銑の大部分は、溶銑樋6に流れている。一方、
出銑口からの溶銑からの溶銑と溶滓の混合物は流下する
に従い、溶銑は比重差により溶滓と分離・沈降し、溶銑
層4に合流する。
【0032】軽い溶滓は、溶銑と分離して浮上し、水平
板状体2および滓皮に吸着される。スキンマー1付近下
方では、溶銑は溶銑樋6へ流れ、スキンマー1と溶銑流
の当接面は、反力により、溶銑流は、上流側へ流れる動
きを示し、(最上層)水平板状体2に付着する。溶銑滓
混合物5は、溶銑と分離(沈降)し、滓を水平板状体
および上流の滓皮に吸着させ、溶滓層3に合流させ、溶
滓樋7に流す。
【0033】さらに、滓皮及び水平板状体2直上の溶滓
は、スキンマー1と溶滓層3の反力により、上流へ流
れ、溶銑層4中へ落下し、溶銑と混合するが、水平板状
2下面で、溶銑と分離、水平板状体2または、上流側
滓皮に吸着され、再び溶滓層3に合流、溶滓樋7に流れ
る。なお、全般的に、重い溶銑は沈降する動きを示し、
軽い滓は浮上する動きを示す。
【0034】このように、本発明の分離方法は、水平板
状体2を主樋8における中央部周辺の滓皮レベルに設置
することによって、貯銑後に出銑を開始した際、滓皮の
溶解が促進されていく過程を抑制している。この滓皮の
残留によって、溶銑滓の混合融液の溶銑と溶滓の分離を
効率化し、スキンマー1での溶銑滓分離の効率アップに
より、滓樋への流銑を減少させる。
【0035】即ち、本発明の水平板状体2は、主樋上、
特にスキンマー1からオードッパーより上流までの滓皮
の溶解を抑制せしめるものである。この効果として、溶
銑滓の分離をより効率化させ、流銑量の低下を実現させ
ることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明と従来技術との流銑量の比較を行
うと、本発明は900T/Mで、従来技術は2300T/Mとなる。
なお、ここで従来技術とは水平板状体を設置していなか
った時期のものである。
【0037】このように、本発明である水平板状体を主
樋中の滓皮レベルに設置することによって、今まで比較
的早い時間で溶解していた滓皮を、かなり長時間残すこ
とを実現させた。その結果、前述したように、従来 230
0T/Mであった流銑量が、900T/Mまでの低下が実現した。
これは、全体の6割減に相当する。
【0038】また、本発明では、水平板状体は溶銑と溶
滓との間の滓皮レベルに水平に配設されるため、溶銑層
内へ入ることがなく、水平板状体自体の溶損が少なく、
補修回数を少なくできる。また、水平板状体と樋底との
隙間を充分に確保でき、出銑初期の通銑には何の支障も
ない。さらに、溶滓の流れに変化をあまりもたらさない
ため、樋の溶損についても他の部分とあまり変化のない
溶損状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の溶銑滓の分離方法を実施する分離装
置を示す概略図である。
【図2】この発明の水平板状体の無配置時の滓皮溶解プ
ロセスを示す概略図である。
【図3】この発明の水平板状体の配置時の滓皮溶解プロ
セスを示す概略図である。
【図4】滓皮溶解時間と溜込み時間との関係を示すグラ
フである。
【図5】流銑量と滓皮溶解時間との関係を示すグラフで
ある。
【図6】従来技術の分離方法を示す概略図である。
【符号の説明】 1…スキンマー、2…滓皮溶解抑制用の水平板状体、3
…溶滓層、4…溶銑層、5…溶銑滓混合物、6…溶銑
樋、7…溶滓樋、8…主樋。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊谷 実 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友 金属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 川崎 政広 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友 金属工業株式会社鹿島製鉄所内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出銑時における溶銑滓のスキンマーでの
    分離に際して、出銑口とスキンマーとの間における主樋
    内の溶銑と溶滓との間の滓皮レベル位置に、主樋の幅サ
    イズで滓皮厚と略同じ厚みに形成された滓皮溶解抑制用
    板状体水平に配置し、この滓皮の代わりをする板状
    で、主樋内に形成された滓皮の溶ける時間を延ばし、
    その溶ける時間の延期された滓皮によって、溶銑滓の流
    れの方向および流速を変化させ、スキンマー部での溶銑
    滓分離を効率的に行うことを特徴とする溶銑滓の分離方
    法。
  2. 【請求項2】 主樋内を流れる出銑口からの溶銑滓をス
    キンマーにより溶銑と溶滓とに分離する溶銑滓の分離装
    置において、出銑口とスキンマーとの間における主樋内
    の溶銑と溶滓との間の滓皮レベル位置に、主樋の幅サイ
    ズで滓皮厚と略同じ厚みに形成された滓皮溶解抑制用の
    板状体を水平に配置してなることを特徴とする溶銑滓の
    分離装置。
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JP5326116B2 (ja) * 2007-11-12 2013-10-30 Jfeスチール株式会社 高炉出銑樋における溶銑滓の分離方法
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