JP2717782C - - Google Patents

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JP2717782C
JP2717782C JP2717782C JP 2717782 C JP2717782 C JP 2717782C JP 2717782 C JP2717782 C JP 2717782C
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三信工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、船外機、船内外機等の船舶推進装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 二つの推進機を船舶に並列に配設する2機掛の船舶推進装置においては、第1
の推進機のプロペラ回転方向と、第2の推進機のプロペラ回転方向とを相互に反
対方向とすることにより、プロペラにより生ずる操舵トルクを軽減して船舶の走
航安定性を図ることが可能である。上記第1と第2の各推進機のそれぞれは、出
力軸上方に配設され駆動軸端に固定されるピニオンとの噛合いにより互いに逆方
向へ回転駆動される前進用ギヤ及び後進用ギヤと、上記両ギヤ間で前記出力軸上
を軸方向へ摺動し両ギヤのいずれか一方に選択的に噛合うクラッチ体と、前進操
作方向と後進操作方向のいずれか一方に選択的に操作され、上記クラッチ体を上
記のように選択的に移動させるシフト操作部とを備えている。 【0003】 これら第1の推進機と第2の推進機によって上記2機掛の船舶推進装置を構成
する場合には、第1の推進機は、推進方向の前方側に配置されるギヤを前進用ギ
ヤとするとともに、推進方向の後方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、第2
の推進機は、推進方向の後方側に配置されるギヤを前進用ギヤとするとともに、
推進方向の前方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、両推進機のシフト操作部
の前進操作方向を相互に反対方向とし、それらの後進操作方向も相互に反対方向
とすることが考えられる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記のように構成されてなる2機掛の船舶推進装置にあっては
、各推進機のシフト操作部に同時に加えるべきシフト操作方向が反対方向であり
、シフト操作を誤操作するおそれがある。また、シフト操作部に遠隔制御装置を
用いる場合には、相互に異なる制御装置を用いる必要がある。 本発明は、前進用ギヤと後進用ギヤとの間で両ギヤのいずれか一方に選択的に
噛合うクラッチ体を有し、両推進機のプロペラ回転方向を相互に反対方向とする
2機掛の船舶推進装置において、両推進機のシフト操作部に入力する同一方向で
同一の大きさのシフト操作に応答して、両推進機のクラッチ体の移動方向が相互
に反対で同一程度の大きさの出力が得られるようにすることを課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は、船舶に並列に配設可能とされる第1の推進機と第2の椎進機を有し
、各推進機のそれぞれが、駆動軸端に固定されるピニオンとの噛合いにより互い
に逆方向へ回転駆動される前進用ギヤ及び後進用ギヤと、上記両ギヤ間で出力軸
上を軸方向へ摺動し両ギヤのいずれか一方に選択的に噛合うクラッチ体と、前進
操作方向と後進操作方向のいずれか一方に選択的に操作され、上記クラッチ体を
上記のように選択的に移動させるシフト操作部とを備え、両推進機の出力軸に結
合される各プロペラのねじれ方向を相互に反対方向としてなる船舶推進装置にお
いて、第1の推進機は、推進方向の前方側に配置されるギヤを前進用ギヤとする
とともに、推進方向の後方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、第2の推進機
は、推進方向の後方側に配置されるギヤを前進用ギヤとするとともに、推進方向
の前方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、両推進機のシフト操作部が、それ
らの前進操作方向を相互に同一とされるとともに、それらの後進操作方向を相互
に同一とされ、両推進機のシフト操作部に連結されたシフトロッドの下端部に、
シフトロッドの回転中心軸に対してクランク状に偏心した駆動ピンを形成し、ク
ラッチ体に連結された従動体の係合溝に上記駆動ピンを係合させ、両推進機の駆
動ピンの偏心方向を相互に反対方向となし、一方の推進機のシフト操作部からク
ラッチ体に伝えられるシフト操作方向と、他方の推進機のシフト操作部からクラ
ッチ体に伝えられるシフト操作方向とが相互に反対方向となることを構成とする
。 【0006】 【発明の実施の形態】 図1〜図5は、本発明の船舶推進装置の実施の形態1を示す。両推進機10A、
10Bは、ケーシング11A、11Bの上部にエンジン12A、12Bを備える船外機であ り、船舶13に並列に配設されて、2機掛の船舶推進装置を構成している。各推進
機10A、10Bは、船舶内に配置される遠隔制御装置14A、14Bによって運転制御
可能とされている。15A、15Bは操作ノブ(シフト操作部)、16A、16Bはシフ
トケーブル、17A、17Bはスロットルケーブルである。ここで、各推進機10A、
10Bは、エンジン12A、12Bの回転方向を同一とする状態下で、後述する機構の
採用により、プロペラ22、55の回転方向を反対方向とし、プロペラ22、55により
生ずる操舵トルクを軽減して船舶13の走航安全性を図ることを可能としている。 【0007】 第1の推進機10Aは、図1、図2(a),(c)、図3及び図5(a)に示すように構成
されている。すなわち、ケーシング11Aの下部には、ナット19によってケーシン
グ11Aに保持される軸受ハウジング20の中心部を貫通して後方に突出する出力軸
21が配設されている。出力軸21の後方突出端には、ねじれ方向を右方向とするプ
ロペラ22が固定され、出力軸21のケーシング11A内に位置する部分には、前進用
ギヤ23、後進用ギヤ24が遊転可能に装着されている。前進用ギヤ23は推進方向の
前方側に配置され、後進用ギヤ24はその後方側に配置されている。また、両ギヤ
23、24はエンジン12Aにより駆動される駆動軸25の下端に固定されているピニオ
ン26との噛合いにより互いに逆方向へ回転駆動可能とされている。 【0008】 27はケーシング11Aに装着されて前進用ギヤ23を支持する軸受であり、28は軸
受ハウジング20に装着されて後進用ギヤ24を支持する軸受である。なお、出力軸
21は、ラジアル軸受29、前進用ギヤ23、軸受27を介してケーシング11Aにラジア
ル支持されるとともに、ラジアル軸受30、軸受ハウジング20を介してケーシング
11Aにラジアル支持されている。また出力軸21に作用する前進スラストは、出力
軸21の前進スラスト伝達部31と前進用ギヤ23の端面との衝合、軸受27を介してケ
ーシング11Aに支持され、出力軸21に作用する後進スラストは出力軸21に作用す
る後進スラスト伝達部32と後進用ギヤ24の端面との衝合、軸受28、軸受ハウジン
グ20を介して、ケーシング11Aに支持されるようになっている。また、両ギヤ23
、24はそれぞれギヤ23と上記出力軸21の前進スラスト伝達部31との衝合、ギヤ24
と上記出力軸21の後進スラスト伝達部32との衝合によって、出力軸21に対する所
定 位置に保持され、ピニオン26との適正な噛合い状態を確保可能とされている。す
なわち、前進時には前進スラストが前進スラスト伝達部31から前進用ギヤ23の端
面に作用し、前進用ギヤ23が前方に押しつけられて所定位置に保持され、前進用
ギヤ23とピニオン26とが良い歯当たり状態で噛み合う。同様に、後進時には後進
スラスト伝達部32と後進用ギヤ24の端面に作用し、後進用ギヤ24が後方に押しつ
けられて所定位置に保持され、後進用ギヤ24とピニオン26とが良い歯当たり状態
で噛み合う。 【0009】 33はクラッチ体であり、上記両ギヤ23、24の間で出力軸21上を軸方向へ摺動し
、両ギヤ23、24のいずれか一方に選択的に噛合い可能となっている。クラッチ体
33は両端面に爪34、35を備え、爪34は前進用ギヤ23の爪36に係合可能とされ、爪
35は後進用ギヤ24の爪37に係合可能とされている。38は、出力軸21内へプロペラ
22の反対側端面(前方)から挿入されたプランジャである。前記出力軸21には、
軸方向に長い長孔(不図示)が形成される。39はピンであり、プランジャ38の一
端および上記出力軸21の長孔を貫通し、さらに前記クラッチ体33を貫通して、ク
ラッチ体33の外周に形成された環状溝40に臨んでいる。この環状溝40にはコイル
ばね41が装着され、ピン39の脱落が防止されている。このピン39はプランジャ38
とともに長孔の範囲内で軸方向へ移動し、クラッチ体33を移動可能としている。 【0010】 図1、図2(a),(c)、図3及び図5(a)に示されているように、ケーシング11A
の前端の摺動孔に従動体42が摺動自在かつ往復動自在に装着され、従動体42の一
端(後端)は出力軸21側へ延出され、前記プランジャ38に、回転継手43を介して
相対回転可能にかつ軸方向には一体に結合されている。ケーシング11Aの前方部
の空所に縦方向に延びたシフトロッド44が回動可能に装着されており、シフトロ
ッド44の上端部にはシフトレバー45が固定されている。シフトレバー45にはリン
ク46の一端がピン結合され、リンク46の他端は、ガイド47の案内溝に沿って移動
するとともに、前記シフトケーブル16Aの端部が結合されている。すなわち、シ
フトロッド44は、遠隔制御装置14Aの操作ノブ(シフト操作部)15Aに加えるシ
フト操作によって前進操作方向と後進操作方向のいずれか一方に選択的に回動 操作可能とされている。シフトロッド44の下端部には、シフトロッド44の回動中
心軸に対してクランク状に(シフトロッド44の回動中心軸に対してクランク腕の
長さだけ)進行方向の右側に偏心してなる駆動ピン48が形成され、この駆動ピン
48は、前記従動体42に形成されている進行方向の右側が開口された係合溝49に装
着(係合)されている。 【0011】 これにより、第1の推進機10Aにおいて、遠隔制御装置14Aの操作ノブ15Aを
前進操作方向(F方向)に操作すると、シフトロッド44の回転により駆動ピン48
が図2(a)に示すF方向に揺動し、従動体42を前方側に移動して、クラッチ体33
を前進用ギヤ23に係合させ、出力軸21、プロペラ22を前進回転可能とする。他方
、遠隔制御装置14Aの操作ノブ15Aを後進操作方向(R方向)に操作すると、シ
フトロッド44の回転により駆動ピン48が図2(a)に示すR方向に揺動し、従動体4
2を後方側に移動して、クラッチ体33を後進用ギヤ24に係合させ、出力軸21、プ
ロペラ22を後進回転可能とする。 【0012】 第2の推進機10Bは、図1、図2(b),(d)及び図4に示すように構成されてい
る。ケーシング11Bの下部には、ナット51によってケーシング11Bに保持される
軸受ハウジング52の中心部を貫通して後方に突出するプロペラ軸53が配設され、
プロペラ軸53の前方側にはギヤマウント軸54が同心でスプライン結合されている
。プロペラ軸53とギヤマウント軸54は、出力軸21を構成し、プロペラ軸53の後方
突出端には、ねじれ方向を左方向とするプロペラ55が固定され、ギヤマウント軸
54には前進用ギヤ56、後進用ギヤ57が遊転可能に装着されている。前進用ギヤ56
は推進方向の後方側に配置され、後進用ギヤ57はその前方側に配置されている。
また、両ギヤ56、57は、エンジン12Bにより駆動される駆動軸58の下端に固定さ
れているピニオン59との噛合いにより互いに逆方向へ回転駆動可能とされている
。 【0013】 軸受ハウジング52内の前端部に前進用ギヤ56を支持する軸受60が装着されてお
り、またケーシング11Bに後進用ギヤ57を支持する軸受61が装着されている。な
お、プロペラ軸53は、軸方向の2位置に設けられるラジアル軸受62、63、それら 軸受62、63を保持する軸受ハウジング52を介して、ケーシング11Bにラジアル支
持されている。また、プロペラ軸53は、フランジ状のスラスト伝達部64を備え、
プロペラ軸53に作用する前進スラストは、スラスト伝達部64の前方側端面が形成
する前進スラスト伝達部64Fと、前進スラスト受部としての軸受60の内輪の端面
との衝合、プレート65を介してケーシング11Bに支持される。プロペラ軸53に作
用する後進スラストは、スラスト伝達部64の後方側端面が形成する後進スラスト
伝達部64と後進スラスト受部としてのスラスト軸受66との衝合、スラスト軸受66
を背面支持している軸受ハウジング52およびナット51を介してケーシング11Bに
支持される。 【0014】 ギヤマウント軸54は、後方部においてラジアル軸受67、前進用ギヤ56、軸受60
、軸受ハウジング52を介してケーシング11Bに支持され、前端部においてラジア
ル軸受68、後進用ギヤ57、軸受61を介してケーシング11Bに支持される。また、
両ギヤ56、57は、それぞれ、ギヤ56とギヤマウント軸54との段差部との衝合、ギ
ヤ57とギヤマウント軸54との段差部との衝合によって、ギヤマウント軸54に対す
る所定位置に保持され、ピニオン59との適正な噛合い状態(歯当たり状態)を確
保可能とされている。 【0015】 クラッチ体69が、上記ギヤ56、57の間でギヤマウント軸54上を軸方向へ摺動し
、両ギヤ56、57のいずれか一方に選択的に噛合い可能となっている。クラッチ体
69は、両端面に爪70、71を備え、爪70は前進用ギヤ56の爪72に係合可能とされ、
爪71は後進用ギヤ57の爪73に係合可能とされている。ギヤマウント軸54内へプロ
ペラ55の反対側(前側)端面からプランジャ74が挿入され、前記ギヤマウント軸
54には、軸方向に長い長穴(不図示)が形成される。75はピンでありプランジャ
74の一端及び上記ギヤマウント軸54の長穴を貫通し、さらに前記クラッチ体69を
貫通して、クラッチ体69の外周に形成された環状溝76に臨んでいる。この環状溝
76にはコイルばね77が装着され、ピン75の脱落が防止されている。このピン75は
プランジャ74とともに長穴の範囲内で軸方向へ移動し、クラッチ体69を移動可能
としている。 【0016】 図1、図2(b),(d)、図4及び図5(b)に示されているように、ケーシング11B
の前端の摺動孔に従動体78が摺動自在かつ往復動自在に装着され、従動体78の一
端(後端)はギヤマウント軸54側へ延出し、前記プランジャ74に、回転継手79を
介して相対回転可能にかつ軸方向に一体に結合されている。シフトロッド80の上
端部にはシフトレバー81が固定され、シフトレバー81には、リンク82の一端がピ
ン結合され、リンク82の他端は、ガイド83の案内溝に沿って移動するとともに、
前記シフトケーブル16Bの端部が結合されている。すなわち、シフトロッド80は
、遠隔制御装置14Bの操作ノブ(シフト操作部)15Bに加えるシフト操作によっ
て、前進操作方向と後進操作方向のいずれか一方に選択的に回転操作可能とされ
ている。シフトロッド80の他端部には、シフトロッド80の回転中心軸に対して進
行方向の左側にクランク状に偏心してなる駆動ピン84が形成され、この駆動ピン
84は、前記従動体78に形成されている進行方向の左側が開口された係合溝85に装
着(係合)されている。 【0017】 両推進機10A、10Bの遠隔制御装置14A、14Bは、それらの操作ノブ15A、15
Bの前進操作方向を相互に同一とするとともに、後進操作方向も相互に同一とし
ている。両推進機10A、10Bを並列配置する状態下で、第2の推進機10Bの駆動
ピン84は、第1の推進機10Aの駆動ピン48に対して前記のように反対方向、例え
ば線対称をなすような屈曲形状を与えられている。これにより、両推進機10A、
10Bのシフト操作部に加えるシフト操作方向を同一方向とする状態下で、第2の
推進機10Bの遠隔制御装置14Bからクラッチ体69に伝えられる移動方向が、第1
の推進機10Aに遠隔制御装置14Aからクラッチ体33に伝えられる移動方向に対し
て反対方向となる。 【0018】 第2の推進機10Bにおいて、遠隔制御装置14Bの操作ノブ15Bを前進操作方向
(F方向)に操作すると、シフトロッド80の回転により駆動ピン84が図2(b)に
示すF方向に揺動し、従動体78を後方側に移動して、クラッチ体69を前進用ギヤ
56に係合させ、ギヤマウント軸54、プロペラ軸53、プロペラ55を前進回転可能と する。他方、遠隔制御装置14Bの操作ノブ15Bを後進操作方向(R方向)に操作
すると、シフトロッド80の回転により駆動ピン84が図2(b)に示すR方向に揺動
し、従動体78を前方側に移動して、クラッチ体69を後進用ギヤ57に係合させ、ギ
ヤマウント軸54、プロペラ軸53、プロペラ55を後進回転可能とする。 【0019】 このとき、第1の推進機10Aにおける前進用ギヤ23及び後進用ギヤ24の配置と
、第2の推進機10Bにおける前進用ギヤ56及び後進用ギヤ57の配置は、ピニオン
26、59の前後に相互に逆位相を成すように設定されているから、ピニオンの回転
方向は互いに同一であっても、第1の推進機10Aのプロペラ22と第2の推進機10
Bのプロペラ55はそれらの回転方向を相互に反対方向として駆動されることとな
る。 【0020】 したがって、上記実施の形態1によれば、両推進機10A、10Bのシフト操作部
に加えるシフト操作方向を同一とする状態下で、それらのクラッチ体33、69を相
互に反対方向に移動し、これによってそれらの出力軸21、53を相互に反対方向に
回転し、両推進機10A、10Bのプロペラ回転方向を相互に反対方向とすることが
可能となる。これにより、シフト操作を誤操作するおそれがなく、また同一の遠
隔制御装置14A、14Bを用いることが可能となる。 【0021】 図6は、本発明の船舶推進装置の実施の形態2の全体構成を示す模式図であり
(実施の形態2は請求項との直接の関係を有しない)、上記図1の実施の形態1
と異なる点は以下のとおりである。すなわち、実施の形態2においては、両推進
機10A、10Bを並列配置する状態下で、第1の推進機10Aにおけるシフトロッド
44の駆動ピン48と、第2の推進機10Bにおけるシフトロッド80の駆動ピン84Xと
を同一方向に屈曲している。両推進機10A、10Bを並列配置する状態下で、第2
の推進機10Bにおけるリンク82Xのシフトレバー81に対する結合点を、第1の推
進機10Aにおけるリンク46のシフトレバー45に対する結合点に対して線対称をな
すような位置に配置している。これにより、両推進機10A、10Bのシフト操作部
に加えるシフト操作方向を同一方向とする状態下で、第2の推進機10Bの遠隔制
御装置14Bからクラッチ体69に伝えられる移動方向が、第1の推進機10Aの遠隔 制御装置14Aからクラッチ体33に伝えられる移動方向に対して反対方向となる。 【0022】 図7ないし図9は、本発明の船舶推進装置の実施の形態3を示し(実施の形態
3は請求項との直接の関係を有しない)、図7(a)は2機掛船舶推進装置の一方
の船外機100 Aの要部の拡大断面図、図7(b)と図8は図7(a)におけるVIII−VI
II線断面図とIX−IX線で断面した動作説明図、図9は他方の船外機100 Bの動作
説明図である。 第1の船外機100 Aは、図7に示されるように、ケーシング101 内に略水平に
配設された出力軸102 に遊転可能に装着された前進用および後進用の各ギヤ103
、104 を備え、これらのギヤ103、104 はエンジンにより駆動される駆動軸105 に
固定されたピニオン106 に噛合して互いに逆方向に回転される。107、108 はギヤ
103、104 をケーシング101 内に回動自在に支持する軸受である。出力軸102 の後
方突出端には、ねじれ方向を右方向とするプロペラが固定されている。また、前
進用ギヤ103 は、推進方向の前方側に配置され、後進用ギヤ104 は推進方向の後
方側に配置されている。 【0023】 109 はクラッチ体であり、両歯車103、104 間で出力軸102 にスプライン結合さ
れ、軸線方向へ摺動可能となっている。このクラッチ体109 には軸線方向に突出
する爪110、111 が、また両ギヤ103、104 にはこの爪110、111 に対向する爪112、11
3 が形成され、これらの爪110、112 および111、113 によりそれぞれ噛合いクラッ
チが形成されている。114 は出力軸102 内へプロペラと反対側から挿入されたプ
ランジャで、一端が開口した略円筒状である。前記出力軸102 には軸方向に長い
長孔115 が形成され、プランジャ114 の一端を貫通するピン116 はこの長孔115
および前記クラッチ体109 を貫通し、クラッチ体109 の外周に設けた環状溝117
に臨む。環状溝117 にはコイルばね117 Aが装着され、ピン116 の脱落が防止さ
れている。この結果、クラッチ体109 はプランジャ114 と一体となって長孔115
の範囲で移動する。 【0024】 プランジャ114 にはデイテント機構が組込まれている。デイテント機構はプラ ンジャ114 の筒部を貫通して半径方向に進退可能なボール118 と、プランジャ11
4 内にあってボール118 を挟む略対称な円錐状のテーパ面を有する一対のリテー
ナ119、120 とを備える。リテーナ119、120 は一本の軸121 上に摺動自在に支持さ
れ、この軸121 の一端には一方にリテーナ119 が当接し、他端に係止された座金
と他方のリテーナ120 との間にばね122 が縮装されている。この結果リテーナ11
9、120 はボール118 を左右から均等な力で押圧する。また出力軸102 の内面には
凹部123 が形成され、クラッチ体109 の中立位置においてボール118 はこの凹部
123 に係入する。 【0025】 従って、このデイテント機構は、ボール118 が凹部123 に係入した中立位置に
クラッチ体109 を保持する一方、プランジャ114 に軸方向の所定の荷重が加わる
とボール118 がばね122 を圧縮しつつリテーナ119、120 を押し開いて中心方向に
押込まれ凹部123 から脱出する。リテーナ119、120 のテーパ面は略対称であるか
ら、ボール118 を凹部123 から脱出させるのに要する荷重は両方向とも略同一に
なる。 【0026】 124 はカムフォロワであってケーシング101 内のカムフォロワ装填室125 に収
容され、出力軸102 と平行に進退動する。このカムフォロワ124 の一端はプラン
ジャ114 に回転自在に連結されている。シフト軸126 の上端にシフトレバー127
が固定され、シフト軸126 の下端はカムフォロワ装填室125 内へ延出し、ここに
略菱形のカム128 がスプライン結合されている。カムフォロワ124 には、このカ
ム128 が摺接する略弧状のカム面129 が形成され、カム128 の回転に伴ってカム
フォロワ124 は軸線方向に進退動する(図8)。なお、シフトレバー127 は、中
立(N)、正転8前進、F)および逆転(後退、R)の各位置に固定可能となっ
ている。 【0027】 すなわち、この船外機100 Aにおいて、シフトレバー127 の中立位置(N)で
はデイテント機構のボール118 は凹部123 に係合し、クラッチ体109 はギヤ103、
104 のいずれとも噛合わない。従って、出力軸102 にはエンジンの回転は伝達さ れない。シフトレバー127 を前進位置(F)へ回動すれば図8でカム128 は反時
計方向に捩られ、シフト軸126 に加わる捩りばね力がデイテント機構の設定荷重
になるとボール118 は凹部123 から脱出する。この時シフト軸126 に蓄えられた
捩りばね力により、カムフォロワ124、プランジャ114、クラッチ体109 はスナッ
プ動作を伴って前進用歯車103 側へ移動し爪110、112 が噛合う。このためギヤ10
3 の回転がクラッチ体109、出力軸102 を介してプロペラに伝えられ、船は前進
する。シフトレバー127 を後進位置(R)に回動させると前記正転時と逆にクラ
ッチ体109 が後進用歯車104 に噛合い、プロペラは逆転する。 【0028】 第2の船外機100 Bは、図9に示すように構成されており、第1の船外機100
Aと異なる点は、以下のとおりである。すなわち、この船外機100 Bにあっては
、出力軸102 に固定されるプロペラのねじれ方向を左方向とされ、推進方向の後
方側に前進用ギヤ103 Xを配置し、推進方向の前方側に後進用ギヤ104 Xを配置
している。シフトレバー127 Xの前進操作方向、後進操作方向のそれぞれを、前
記船外機100 のシフトレバー127 の前進操作方向、後進操作方向のそれぞれに同
一としている。すなわち、両船外機100 A、100 Bを並列配置する状態下で、船
外機100 Bのカムフォロワ124 Xのカム面129 Xおよびカム128 Xは、船外機10
0 Aのカムフォロワ124 Xのカム面129 およびカム128 に対して線対称をなすよ
うに設定されている。これにより、両船外機100 A、100 Bのシフトレバー127
、127 Xに加えるシフト操作方向を同一とする状態下で、第2の船外機100 Bの
シフトレバー127 Xからクラッチ体109 に伝えられる移動方向が、第1の船外機
100 Aのシフトレバー127 からクラッチ体109 に伝えられる移動方向に対して反
対方向となる。 【0029】 【発明の効果】 本発明では、両推進機のシフト操作部が、それらの前進操作方向を相互に同一
とされるとともに、それらの後進操作方向を相互に同一とされ、両推進機のシフ
ト操作部に連結されたシフトロッドの下端部に、シフトロッドの回転中心軸に対
してクランク状に偏心した駆動ピンを形成し、クラッチ体に連結された従動体の 係合溝に上記駆動ピンを係合させ、両推進機の駆動ピンの偏心方向を相互に反対
方向となし、クラッチ体に連結された従動体の係合溝に上記駆動ピンを係合させ
るに際して、一方の推進機の駆動ピンを従動体の右側に開口された係合溝に係合
させ、他方の推進機の駆動ピンを従動体の左側に開口された係合溝に係合させ、
一方の推進機のシフト操作部からクラッチ体に伝えられる移動方向と、他方の推
進機のシフト操作部からクラッチ体に伝えられる移動方向とが相互に反対方向と
なるように構成されている。そのため、シフト操作部への操作力がシフトロッド
の回転運動となり、この回転運動が駆動ピンの揺動運動となり、揺動運動が従動
体の往復運動に変換されクラッチ体が移動されるので、シフト操作の方向がどち
らであっても、その入力が円滑にクラッチ体の移動のための往復運動に変換され
る。従って、前進用ギヤと後進用ギヤとの間で両ギヤのいずれか一方に選択的に
噛合うクラッチ体を有し、両推進機のプロペラ回転方向を相互に反対方向とする
2機掛の船舶推進装置において、両推進機のシフト操作部に入力する同一方向で
同一の大きさのシフト操作に応答して、両推進機のクラッチ体の移動方向が相互
に反対な同一程度の大きさの出力が得られる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の船舶推進装置の実施の形態1を構成する第1の推進機と第2の推進機
の全体構成を示す模式図である。 【図2】 図2(a)及び図2(b)は実施の形態1の第1の推進機及び第2の推進機の要部を
それぞれ示す模式図であり、図2(c)は図2(a)のIVA−IVA線に沿う断面図であ
り、図2(d)は図2(b)のIVB−IVB線に沿う断面図であり、図2(e)は実施の形
態1の使用状態を示す平面図である。 【図3】 実施の形態1の第1の推進機の要部を詳細に示す断面図である。 【図4】 実施の形態1の第2の推進機の要部を詳細に示す断面図である。 【図5】 図5(a)は図3の要部拡大図であり、図5(b)は図4の要部拡大図である。 【図6】 本発明の船舶推進装置の実施の形態2の全体構成を示す模式図である。 【図7】 図7(a)は本発明の船舶推進装置の実施の形態3の2機掛船舶推進装置の一方
の船外機の要部の拡大断面図であり、図7(b)は図7(a)におけるVIII−VIII線断
面図である。 【図8】 図7(a)におけるIX−IX線で断面した動作説明図である。 【図9】 本発明の船舶推進装置の実施の形態3の2機掛船舶推進装置の他方の船外機の
動作説明図である。 【符号の説明】 10A:第1の推進機 10B:第2の推進機 22:プロペラ 23:前進用ギヤ 24:後進用ギヤ 26:ピニオン 33:クラッチ体 42:従動体 44:シフトロッド 55:プロペラ 59:ピニオン 56:前進用ギヤ 57:後進用ギヤ 78:従動体 80:シフトロッド 84:駆動ピン

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 船舶に並列に配設可能とされる第1の推進機と第2の推進機を
    有し、各推進機のそれぞれが、駆動軸端に固定されるピニオンとの噛合いにより
    互いに逆方向へ回転駆動される前進用ギヤ及び後進用ギヤと、上記両ギヤ間で出
    力軸上を軸方向へ摺動し両ギヤのいずれか一方に選択的に噛合うクラッチ体と、
    前進操作方向と後進操作方向のいずれか一方に選択的に操作され、上記クラッチ
    体を上記のように選択的に移動させるシフト操作部とを備え、両推進機の出力軸
    に結合される各プロペラのねじれ方向を相互に反対方向としてなる船舶推進装置
    において、第1の推進機は、推進方向の前方側に配置されるギヤを前進用ギヤと
    するとともに、推進方向の後方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、第2の推
    進機は、推進方向の後方側に配置されるギヤを前進用ギヤとするとともに、推進
    方向の前方側に配置されるギヤを後進用ギヤとし、両推進機のシフト操作部が、
    それらの前進操作方向を相互に同一とされるとともに、それらの後進操作方向を
    相互に同一とされ、両推進機のシフト操作部に連結されたシフトロッドの下端部
    に、シフトロッドの回転中心軸に対してクランク状に偏心した駆動ピンを形成し
    、クラッチ体に連結された従動体の係合溝に上記駆動ピンを係合させるに際して
    、第1の椎進機は、シフトロッドの駆動ピンを従動体の右側に開口された係合溝
    に係合させ、駆動ピンのF方向の揺動で従動体を前方向に移動させるとともに駆
    動ピンのR方向の揺動で従動体を後方向に移動させ、第2の推進機は、シフトロ
    ッドの駆動ピンを従動体の左側に開口された係合溝に係合させ、駆動ピンのF方
    向の揺動で従動体を後方向に移動させるとともに駆動ピンのR方向の揺動で従動
    体を前方向に移動させ、両推進機の駆動ピンの偏心方向を相互に反対方向となし
    、一方の推進機のシフト操作部からクラッチ体に伝えられる移動方向と、他方の
    推進機のシフト操作部からクラッチ体に伝えられる移動方向とが相互に反対方向
    となることを特徴とする船舶推進装置。

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