JP2717604B2 - 耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2717604B2 JP2717604B2 JP1257791A JP1257791A JP2717604B2 JP 2717604 B2 JP2717604 B2 JP 2717604B2 JP 1257791 A JP1257791 A JP 1257791A JP 1257791 A JP1257791 A JP 1257791A JP 2717604 B2 JP2717604 B2 JP 2717604B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resistance
- steel sheet
- layer material
- less
- property
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
チャーストレイン(St−St)が発生せずに、かつ高
いBH性を有する加工性に優れた冷延鋼板の製造方法に
関するものである。
現在の技術開発の一つの大きな課題である。そのため
に、自動車用鋼板ではこの対策の一環として軽量化がク
ロ−ズアップされており、優れた加工性が要求される外
板もハイテン化が進められている。しかし、耐面歪み性
などを考慮するとプレス加工時に強度が高すぎるのは問
題があり、プレス加工時は軟質で、加工後強度が付加で
きる形が理想的である。この要請を叶える形で開発され
たのがBH性鋼板で、成分およびプロセス条件の調整に
より加工性の良い鋼板に数ppmの固溶Cを残存させ、
塗装時の熱処理により固溶Cと転位の相互作用を利用し
て強度上昇を図ったものである。しかし、この固溶Cと
転位の相互作用による強度アップには成形性の面から限
界がもうけられている。すなわち、残存する固溶Cが多
くなり過ぎると降伏点伸びが顕著に表われ、ストレッチ
ャ−ストレインによる表面性状の劣化が生じ、外板とし
ての使用が不可能になる。従って、現状ではストレッチ
ャ−ストレインが生成しない状態で、しかも、得られる
BH性の上限は170℃で20分のBH処理で約5kg
f/mm2である。
38337号、特開昭59−31827号、特開昭61
−26757号、特開昭62−7822号、特開昭62
−109927号、特開平1−11924号公報などの
ほかにも多くの発明が開示されており、固溶Cばかりで
なく固溶Nを利用したBH性鋼板(特開昭63−962
48号公報など)も紹介されているが、ストレッチャー
ストレインの生成を抑え、かつ高いBH性を保証する技
術は未だ発明されていない。
−ストレインの生成を抑え、5kgf/mm2以上のB
H性を持つ加工性に優れた冷延鋼板の製造方法を提供す
ることを目的としてなされた。
ろは、2種の成分からなる3層構造を有する鋼板の製造
方法において、外層材を、 C:0.04wt%〜0.2wt%、 Mn:0.5wt%〜3.0wt%、 Si:3.0wt%以下、 P:0.1wt%以下、 Al:0.2wt%以下、 を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼とし、
内層材を、 C:0.0010wt%〜0.05wt%、 N:0.0010wt%〜0.02wt%、 で残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼とした3層
構造のスラブを両鋼のAr3変態点以上で熱延し、酸
洗、冷延後、外層材のAc1変態点+20℃以上で、か
つ、内層材のAc3変態点以下の温度に加熱し、その後
400℃以下まで冷却する際、700℃〜400℃まで
の平均冷却速度を20℃/sec以上とすることを特徴
とする耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板
の製造方法。
課題に基づいて、発明者らは研究を重ねた結果、耐スト
レッチャーストレインとBH性の両方の特性を付加する
ためには、異なった特性を持つ板の複層構造によって達
成できることを見出した。すなわち、外層材に降伏点伸
びを示さない材料を用い、内層材に高いBH性を示す材
料を用いると、製造プロセス条件によってはストレッチ
ャーストレインの生じない高いBH性を示す冷延鋼板が
製造出来ることがわかった。そこで、この知見に基づ
き、本発明の構成並びにその限定理由をのべる。先ず、
本発明における鋼の成分の限定理由について説明する。
外層材の成分はDP鋼(フェライト組織中に高硬度の変
態相を分散析出させた2相鋼)を製造することを前提と
したもので、Cは第二相を得るのに必要な元素で、Cが
0.04wt%未満である場合は必要とされる二相組織
が充分に得られない。一方、Cを0.2wtを超えて含
有させると溶接性に支障を来たすとともに目的とする二
相組織が得られなくなる。Mnも第二相の生成に寄与す
る。Mn含有量の下限0.5wt%は5%以上のマルテ
ンサイトを生成させるのに必要な最小値である。一方、
Mnを3%を超えて含有させると目的とする二相組織が
得られなくなる。Siの適量の添加は二相組織を得るに
は好ましいが、3wt%を超えて添加すると熱間圧延時
にオーステナイト単相組織にならず、圧延後目的とする
二相組織が得られなくなる。Pの適量の添加も二相組織
を得るには好ましいが、0.1wt%以上添加すると熱
間加工割れが起きやすくなる。V,Ni,Cr,Mo,
Cu,Ti,Nb,Bの添加は本発明の必須の条件では
ないが、これらの元素の添加は組織の微細化、あるいは
鋼材の焼き入れ性の向上に寄与するので、選択的に添加
することは、本発明の主旨に反しない。また、脱酸を目
的にしたAlの添加も同様に本発明の主旨に反しない。
しかし、これらの元素の添加量が過度になるとコスト高
になるので、これらの元素の合計添加量の上限を2wt
%とする。
することを前提としたもので、本発明方法において、固
溶C、Nを最終製品板に残存させるように、成分、プロ
セス条件を限定する。C量および、N量の下限を0.0
010wt%としたのは、これ以下の添加では高いBH
性を得るに十分な量の固溶C、Nが確保出来ないためで
ある。また、C量の上限を0.05wt%,N量のそれ
を0.02wt%としたのは、これ以上の添加により加
工性が著しく劣化するためである。加工性の向上のため
に、Ti,Nb,Zr等を添加することは本発明の主旨
に反するものではないが、これらの元素を添加する際
は、固溶C、Nを残すために、C/12+N/14>T
i/48+Zr/91+Nb/93の条件式を満足しな
ければならない。また、Alの添加量は固溶Nを利用し
たい場合は、脱酸に利用する量以外は極力少なくするほ
うが好ましい。ただし、BH性を固溶Cを利用して出す
場合はBH性の観点からはAlの添加量の制限はない
が、0.2wt%以上の添加は加工性の劣化につなが
る。
で、強度の調整にMn,Si,P,Cr,Niなどを添
加するのは本発明の主旨に反するものではない。また、
二次加工割れの防止にBを添加することも本発明の主旨
に反しない。また、各層の板厚比は必要な強度によって
変化させることができ、本発明において特に限定しない
が、加工性の確保より、外層板厚の総和を全厚の25%
以下とすることが望ましい。
る。熱延の仕上げ温度の下限を両鋼のAr3変態点以上
としたのは、これより低い温度で熱延を終了すると最終
製品板の加工性が著しく劣化するためである。これは、
Ar3変態点未満での温度で圧延すると強い集合組織が
形成され、それがその後の冷延、焼鈍後の集合組織にも
影響を与え、深絞り性に好ましい集合組織の発達を抑制
するためと考えられる。冷延後の焼鈍温度を外層材のA
c1変態点+20℃以上で、かつ内層材のAc3変態点
以下と限定したのは、焼鈍温度が外層材のAc1変態点
+20℃未満では、外層材がDP組織にならず、目的と
する二相組織が得られない為である。また、焼鈍温度が
内層材のAr3変態点を超えると内層材に形成されてい
た深絞り性に好ましい集合組織が変態により壊され、加
工性が著しく劣化する。上記の焼鈍温度からの冷却で7
00℃から400℃までの平均冷却速度を20℃/se
c以上としたのは、これより小さい冷却速度では外層材
が目的とする二相組織にならないためである。
造した。表1中のAc1,Ac3及びAr3は1℃/s
で昇降したときのデータより求めた。得られた複層鋼板
の特性および製造条件を表2に示す。外層の全板厚に対
する比は20%で、板厚は0.8mmである。ストレッ
チャーストレイン(St−St)の生成の有無は引張試
験時に目視で判断した。BH性は170℃で20分の熱
処理前後の降伏点の差によって表した。実験番号1、
6、7、10、12は本発明の範囲内でBH性が5kg
f/mm2以上あるにもかかわらずストレッチャースト
レインが生成しなかった。また、実験番号12に見られ
るように極低炭素鋼にTi,Nbを添加し、かつ固溶C
が残るように成分設計すると、r値、BH性ともに高い
鋼板が得られる。実験番号2は熱延仕上温度が低いた
め、深絞り性に好ましい集合組織の形成が妨げられ、r
値の劣化が見られた。実験番号3は焼鈍温度が低く過
ぎ、表層はフェライトと炭化物の再結晶組織を示し、内
層は加工組織を呈し、著しい加工性の劣化が生じ、r値
の測定に必要な15%の引張試験が破断により実行でき
なかった。実験番号4は焼鈍温度が高過ぎ、内層材の集
合組織が変態によりランダム化され、高いr値が得られ
なかった。実験番号5は焼鈍後の冷却の際、700℃か
ら400℃までの冷却速度が小さいため表層の組織がフ
ェライト/パーライト組織になり、それが原因でSt−
Stが生成した。実験番号8、9は表層材が本発明の成
分範囲を満たさない例で、組織がDPにならずSt−S
tが生じた。実験番号11は内層材が本発明の成分範囲
を満たさない例で、内層材のC,NがTi,Nbの析出
物として固着され、固溶C,Nが存在しないため、BH
性が全く得られなかった。実験番号1から6と実験番号
9から12は圧延による圧着で複層鋼板を製造したが、
実験7、8では鋳込みにより複層鋼板を製造し、それを
圧延した結果である。これら、いずれの複層鋼板の製造
方法についても限定されるものではなく、本発明の範囲
を満たすことにより優れた特性が得られることを示す。
可能とされていたストレッチャ−ストレインの生成なし
で、しかも5kgf/mm2以上のBH性を付加できる
技術を提供するもので、デント性の顕著な向上が得ら
れ、板厚減少による軽量化が図られ、自動車用の外板な
どに広く使用でき、 産業上極めて大きな効果が期待さ
れる。
Claims (1)
- 【請求項1】 2種の成分からなる3層構造を有する鋼
板の製造方法において、外層材を、 C:0.04wt%〜0.2wt%、 Mn:0.5wt%〜3.0wt%、 Si:3.0wt%以下、 P:0.1wt%以下、 Al:0.2wt%以下、 を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼とし、
内層材を、 C:0.0010wt%〜0.05wt%、 N:0.0010wt%〜0.02wt%、 で残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼とした3層
構造のスラブを両鋼のAr3変態点以上で熱延し、酸
洗、冷延後、外層材のAc1変態点+20℃以上で、か
つ、内層材のAc3変態点以下の温度に加熱し、その後
400℃以下まで冷却する際、700℃〜400℃まで
の平均冷却速度を20℃/sec以上とすることを特徴
とする耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1257791A JP2717604B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1257791A JP2717604B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04235227A JPH04235227A (ja) | 1992-08-24 |
JP2717604B2 true JP2717604B2 (ja) | 1998-02-18 |
Family
ID=11809213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1257791A Expired - Fee Related JP2717604B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2717604B2 (ja) |
-
1991
- 1991-01-11 JP JP1257791A patent/JP2717604B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04235227A (ja) | 1992-08-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2415893B1 (en) | Steel sheet excellent in workability and method for producing the same | |
US7794552B2 (en) | Method of producing austenitic iron/carbon/manganese steel sheets having very high strength and elongation characteristics and excellent homogeneity | |
JP4235077B2 (ja) | 自動車用高強度低比重鋼板とその製造方法 | |
JP5094887B2 (ja) | 延性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法 | |
JP4248430B2 (ja) | 延性に優れた高強度低比重鋼板およびその製造方法 | |
JP4471688B2 (ja) | 延性に優れた高強度低比重鋼板およびその製造方法 | |
JP3247907B2 (ja) | 延性と耐遅れ破壊特性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP4281535B2 (ja) | 耐面歪み性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 | |
JP4299774B2 (ja) | 延性および疲労特性に優れた高強度低比重鋼板とその製造方法 | |
JPH03277741A (ja) | 加工性、常温非時効性及び焼付け硬化性に優れる複合組織冷延鋼板とその製造方法 | |
JP3280692B2 (ja) | 深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP2717604B2 (ja) | 耐St−St性、BH性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法 | |
JP3299287B2 (ja) | 成形加工用高強度鋼板とその製造方法 | |
JP3026540B2 (ja) | ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP2004052103A (ja) | 深絞り性に優れた鋼板と加工性に優れた鋼管および製造方法 | |
JP3911075B2 (ja) | 焼付硬化性に優れる超深絞り用鋼板の製造方法 | |
JP3049104B2 (ja) | 深絞り用高張力冷延鋼板の製造方法 | |
JP2735380B2 (ja) | 耐時効性、耐面歪み、耐デント性を有する加工用冷延鋼板の製造方法 | |
JPS63243226A (ja) | 耐2次加工脆性に優れた超深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JP2004131771A (ja) | 形状凍結性に優れた冷延鋼板の製造方法 | |
KR20190077193A (ko) | 고 항복비형 고 강도 강판 및 그 제조방법 | |
JP2004131754A (ja) | 加工性と形状凍結性に優れた冷延鋼板及びその製造方法 | |
JP3288456B2 (ja) | 耐食性に優れた深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JP4135434B2 (ja) | 熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP3471407B2 (ja) | 加工性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19971014 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071114 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081114 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081114 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091114 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101114 Year of fee payment: 13 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |