JP2713076B2 - 高耐食性高剛性Ti合金およびその製造法 - Google Patents

高耐食性高剛性Ti合金およびその製造法

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JP2713076B2
JP2713076B2 JP70193A JP70193A JP2713076B2 JP 2713076 B2 JP2713076 B2 JP 2713076B2 JP 70193 A JP70193 A JP 70193A JP 70193 A JP70193 A JP 70193A JP 2713076 B2 JP2713076 B2 JP 2713076B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厳しい腐食環境下で使
用されるとともに高い剛性を要求される部品用材料に適
した高耐食性高剛性Ti合金およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】Ti合金は、軽量であって強度が高く、さ
らには耐食性や耐熱性にも優れるため、従来より様々な
機械部品用材料への適用が推進されている。Tiは、硝酸
のような酸化性の酸の腐食環境における耐食性は優れて
いるが、硫酸や塩酸のような還元性の酸の腐食環境にお
ける耐食性は充分ではなく、これを改善するためには、
白金族元素 (Ru:ルテニウム、Pd:パラジウム、Os:オ
スニウム、Ir:イリジウム、Rh:ロジウムおよびPt:白
金の6種) を添加すればよいことが従来から知られてい
た。
【0003】例えば、JIS 11〜13種として、白金族元素
としてPdを0.12〜0.25% (以下、本明細書においては特
にことわりがない限り「%」は「重量%」を意味するも
のとする) 含有するTi合金が規定されており、また特開
昭62−107041号公報、同62−149836号公報にも、白金族
元素を含有する高耐食性Ti合金が提案されている。さら
に、特開昭63−114931号公報には油井環境用Ti合金が提
案されており、これは白金族元素の1種以上を微量添加
するか、または白金族元素の1種以上に加えてNi、Co、
Wなどを微量添加することにより、耐食性を向上させて
いる。
【0004】ところで、Ti合金の有する優れた耐食性を
利用することを意図して、腐食環境下で使用されるター
ビンの軸部や化学薬品攪拌機の軸部に前述の高耐食性Ti
合金を適用すると、しばしば機械部品としての剛性の不
足が問題視されていた。ちなみに、これらの高耐食性Ti
合金のヤング率は、通常使用されている鉄鋼材料の約1/
2程度であった。
【0005】従来、高耐食性Ti合金の剛性を改善・向上
する手段として、Ti合金をマトリックスとする複合材料
が検討されており、このような複合材料として、例えば
SiC、C、Al2O3 等の高ヤング率の繊維をチタン合金中
に配合した繊維強化Ti合金がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高耐食性Ti合
金をマトリックスとして複合材料化を図ることにより剛
性の改善を図る従来の手段では、高ヤング率の繊維を用
いるためにコスト増が著しい。また、活性チタンと繊維
とが反応すると、界面に脆弱な反応層が生成するため、
機械的性質がかえって低下してしまい、所望の剛性を有
する耐食性Ti合金を製造することはできなかった。
【0007】このように、従来の耐食性Ti合金の剛性は
鉄鋼材料の約 1/2程度と低いため、機械部品として高剛
性が要求される部品、例えばタービンの軸部や化学薬品
攪拌機の軸部へ従来の耐食性Ti合金を適用することは容
易ではなかった。ここに、本発明の目的は、熱間加工性
を損ねることなく、従来の耐食性Ti合金と同等かそれ以
上の耐食性を有するとともにヤング率:13000kgf/mm2
上の高剛性を有する高耐食性高剛性Ti合金およびその製
造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】ところで、本発明者のう
ちの一人は、先に特願平4−212880号により、Al:5.5
〜10%、B:0.5 〜3.0 %、O:0.07〜0.25%、必要に
応じてSn、ZrおよびHfの一種または二種以上:20%以
下、およびV当量=V+(15/10) Mo+(15/6.3)Cr+(15/
4.0)Fe+(15/36)Nb +(15/9)Ni+(15/25) Wを15%以下
にするβ相安定化元素の一種または二種以上、残部Tiお
よび不可避不純物からなり、そのTi合金マトリックス中
に金属ホウ化物が晶出または析出してなる高剛性Ti合金
を提案した。
【0009】この高剛性Ti合金は、ヤング率を向上させ
るためにAl、Oを適量添加し、高温強度および耐クリー
プ性を向上させるためにSn、ZrおよびHfの一種または二
種以上を添加し、さらにβ相安定化元素を添加するとと
もに、高ヤング率のホウ化チタンの粒子をマトリックス
に分散させることにより、熱間加工が可能であって、引
張強さ:90kgf/mm2 以上、ヤング率:13000kgf/mm2以上
の高剛性Ti合金を提供するものである。
【0010】本発明者らは、この特願平4−212880号に
より提案した高剛性Ti合金の耐食性を向上することによ
り、上記の目的を達成できる高耐食性高剛性Ti合金を提
供できるのではないかと考え、さらに鋭意検討を重ねた
結果、特願平4−212880号により提案した高剛性Ti合金
に、従来よりTi合金の耐食性向上技術の一つとして知ら
れる白金族元素の添加を行えばよいことを知見して、本
発明を完成した。
【0011】ここに、本発明の要旨とするところは、A
l:5.5 〜10%、B:0.5 〜3.0 %、O:0.25%以下、R
u、Pd、Os、Ir、RhおよびPtの6種からなる白金族元素
の一種または二種以上:合計で0.005 〜0.25%、残部Ti
および不可避不純物からなる合金組成を有するととも
に、そのTi合金マトリックス中に金属ホウ化物が晶出お
よび/または析出してなることを特徴とする高耐食性高
剛性Ti合金である。
【0012】上記の本発明にかかる高耐食性高剛性Ti合
金は、さらにNiおよびCoの一種または二種を合計で0.1
〜5.0 %含有することにより、白金族元素と同様にTi合
金の水素過電圧を低下して耐食性を改善することができ
る。これらの本発明にかかる高耐食性高剛性Ti合金は、
さらに、Sn、ZrおよびHfからなる群から選ばれた一種ま
たは二種以上を合計で20%以下含有することにより、高
温強度を増加させ高耐熱性を向上することができる。
【0013】さらに、本発明にかかる高耐食性高剛性Ti
合金に対しては、下記式で示されるV当量が15%以下
となるように、V、Mo、Cr、Fe、NiおよびWからなるβ
相安定化元素を少なくとも一種含有することにより、剛
性向上、熱処理性向上さらには熱間加工性改善等を図る
ことができる。
【0014】
【数2】 V当量=V+(15/10)Mo +(15/6.3)Cr+(15/4)Fe+(15/9)Ni+(15/25) W ・・・・・ なお、このV当量は、β変態点低下度においてβ相安定
化元素の影響をV量に換算したものである。また、β相
安定化元素として、V、Mo、Wの一種または二種以上を
用いると、耐食性の向上をより図ることができる。
【0015】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。本
発明にかかる高耐食性高剛性Ti合金における全ての必須
添加元素および任意添加元素は、大別すると、(1) 耐食
性発現成分元素と(2) 高剛性発現成分元素と(3) 高温強
度発現成分元素と(4) 高熱間加工性発現成分元素にな
る。したがって、それぞれについて分説する。なお、本
発明にかかる高耐食性高剛性Ti合金では、耐食性発現成
分元素と高剛性発現成分元素とはお互いに反応せず、そ
れぞれ独立して特性向上を果たすものである。
【0016】(1) 耐食性発現成分元素 白金族元素:本発明においては、Ru、Pd、Os、Ir、Rhお
よびPtの6種からなる白金族元素の一種または二種以上
が必須添加元素として0.005 〜0.25%含有される。白金
族元素として工業的に実用的なものは、RuおよびPdであ
るが、Os、Ir、RhさらにはPtも使用できる。これらの元
素はチタン合金の耐食性を向上させる効果を奏するが、
単独または複合添加した場合の含有量が合計で0.005 %
以上でなければかかる耐食性向上効果は発現しない。一
方、白金族元素の含有量が増加すると耐食性は向上する
ものの、合計で0.25%を超えて添加されると耐食性向上
効果が飽和する傾向にあり、さらに白金族元素は極めて
高価な元素であるためにコスト増となるばかりである。
そこで、本発明では、白金族元素の一種または二種以上
の添加量は合計で0.005 %以上0.25%以下に限定する。
望ましくは、0.05〜0.2 %である。
【0017】Ni、Co:本発明においては、Ni、Coはとも
に任意添加元素であり、耐食性を改善するために、素地
にはNiおよび/またはCoを含有させることが望ましい。
Niおよび/またはCoは、上述の白金族元素との共存下に
おいて、合計で0.1 %以上含有されると、白金族元素と
同様に、Ti合金の水素過電圧を低下して耐食性を改善す
る作用を奏する。ただし、これらの含有量が5.0 %を超
えると、Ti合金の加工性を著しく低下せしめる。そこ
で、本発明では、Niおよび/またはCoの含有量は、0.1
%以上5.0 %以下に限定することが望ましい。さらに望
ましくは、0.3 〜1.0 %である。
【0018】V、Mo、W:V、Mo、Wは、後述する高熱
間加工性発現成分元素の一種であるが、これらの元素を
必要に応じて少なくとも一種以上添加すると、耐食性も
向上する。添加量が少ないと耐食性向上効果はないが、
V当量で0.05%以上でその効果を発揮する。ただし、後
述するようにV当量で15%を超えるとヤング率が低下す
るので、V、Mo、Wの一種または二種以上は0.05〜15%
とするのが望ましい。
【0019】(2) 高剛性発現成分元素 Al:本発明においては、Alは必須添加元素である。Alは
α相安定化元素であり、固溶硬化により、ヤング率を極
めて向上させる。かかるヤング率向上効果は、5.5%未
満の含有量では発現されず、一方10%超になるとTi3Al
2 相) が多量に生成して、熱間および冷間の双方に
おける延性をともに劣化させる。そこで、本発明では、
Al含有量は、5.5 %以上10%以下に限定する。望ましく
は6.5 %以上8.5 %以下である。
【0020】B:本発明においては、Bは必須添加元素
である。Bは、凝固および冷却時にホウ化チタン (Ti
B) として晶出および/または析出し、Ti合金のヤング
率を向上させる効果を奏する。TiBはヤング率が50000
kgf/mm2 以上であってTiと比較すると極めて高ヤング率
であるため、Ti合金中に分散すると、Ti合金における粒
子体積量に比例する複合則にしたがって、Ti合金のヤン
グ率を向上させることができる。B含有量が0.5 %未満
ではTiBの晶出および/または析出量が少なくなってヤ
ング率向上が発現しない。一方、B含有量が3.0 %超で
はTiB分散量が多くなるためにヤング率向上量は大きく
なるが、熱間または冷間の双方における延性が著しく低
下する。したがって、本発明では、B含有量は0.5 %以
上3.0 %以下に限定する。望ましくは、0.7 〜2.0 %で
ある。
【0021】なお、本発明者らの確認結果によれば、B
含有量が1.0 %であると約5体積%のホウ化チタンがマ
トリックス中に晶出および/または析出して分散し、B
含有量が3.0 %では約15体積%の (ホウ化チタン) が分
散する。
【0022】本発明によれば、後述するように、中性型
元素および/またはβ相安定化元素を配合する場合もあ
るが、そのような場合には各添加元素はマトリックス中
に固溶する。ただ、Zr、Hfについては、大部分はマトリ
ックス中に固溶するものの、微量ながら金属ホウ化物と
して晶出および/または析出する。そのときの金属ホウ
化物はホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウムとなる。
ただし、その量が微量であること、およびホウ化チタン
に比べるとホウ化物自体のヤング率が低いことにより、
これらはヤング率向上には寄与することはない。
【0023】O:本発明においては、Oは必須添加元素
であり、Alと同様にα相を安定化させてヤング率を向上
させる。微量であってもかかる効果を奏するため含有量
の下限を設ける必要はないが、0.25%超含有するとTi合
金の冷間延性を著しく低下させる。そこで、本発明では
O含有量は0.25%以下に限定する。望ましくは、0.10%
以上0.20%以下である。
【0024】なお、Al、O以外にもα相安定化元素とし
てC、Nが知られており、これらの元素にもAl、Oのよ
うなヤング率向上効果が認められるが、Cは0.3 %以
上、Nは0.1 %以上という微量添加により、Ti合金の冷
間延性が著しく低下してしまう。したがって、本発明で
は、CおよびNはいずれも添加しないほうが望ましい。
【0025】(3) 高温強度発現成分元素 Sn、Zr、Hf:本発明においては、これらの元素は任意添
加元素であり、必要に応じて少なくとも一種含有され
る。好ましい組合せとしては、SnとZr (および/または
Hf) である。Sn、Zr、Hfはいずれも中性型元素であり、
Ti合金に対しては固溶強化の作用を奏する。ヤング率向
上効果は小さいものの、高温強度を高めTi合金の適用範
囲を拡大できる。したがって、高耐熱性および高ヤング
率の双方の特性を向上させるために添加することが望ま
しい。これらの元素の添加量が少ない場合は熱間、冷間
の双方における延性を劣化する効果は小さく問題はない
が、20%を超えると冷間・熱間加工性を低下させるとと
もにコスト増が著しくなる。そこで、本発明では、Sn、
Zr、Hfの一種または二種以上は合計で20%以下とするこ
とが望ましい。さらに望ましくは1〜12%である。
【0026】中性型元素であるこれらの添加元素は、本
発明にかかるチタン合金マトリックス中では大部分は固
溶した形態で存在する。ただし、Zr、Hfについてはわず
かではあるが、一部はホウ素と結びつき金属ホウ化物生
成に寄与する。Zrの場合、その含有量は約7/8 が固溶
し、約1/8 が金属ホウ化物生成に寄与する。同じくHfの
場合、3/4 が固溶し、約1/4 が金属ホウ化物生成に寄与
すると考えられる。
【0027】(4) 高熱間加工性発現成分元素 β相安定化元素:β相安定化元素としては、例えば、
V、Mo、Cr、Fe、Ni、W等が知られているが、本発明で
は、これらのβ相安定化元素は任意添加元素であり、少
なくとも一種または二種以上が必要に応じて添加され
る。これらのβ相安定化元素は、ヤング率を低下させる
ものの、Ti3Al の生成を抑制する作用を奏するため、本
発明においてヤング率向上効果を奏するAlをより多く含
有させ得る。また、熱処理性を向上させたり、βトラン
ザス(β相からα+β相に変態する温度)を低下し、熱
間加工性を改善する効果をも奏する。
【0028】β相安定化元素のうち、全率固溶型のV、
Moはヤング率低下効果が大きく、一方共析型のCr、Feは
ヤング率低下効果が小さい。しかし、どのβ相安定化元
素も、β相単相になるほど多量に添加するとヤング率低
下が著しくなり好ましくない。したがって、ヤング率を
極端に低下させない範囲、つまりβ相安定化元素を少な
くとも一種以上の合計で、前述の式によるV当量が15
%以下になる範囲で添加することが望ましい。望ましく
は、1〜10%である。なお、V当量:15%に対応する各
元素の単独添加量は、Mo:10%、Cr:6.3 %、Fe:4
%、Ni:9%、W:25%である。
【0029】上記以外の組成は、Tiおよび不可避不純物
である。なお、不可避不純物として、N、H等があり、
例えば合計量として1%以下であれば許容される。特
に、常温延性の理由からH:0.05 %以下、N:0.1%以下
に制限するのが好ましい。
【0030】以上の組成を有する本発明に高耐食性高剛
性Ti合金は、特願平4−212880号により提案した高剛性
Ti合金の特徴である高剛性を維持したまま、その耐食性
をさらに改善・向上することができる。したがって、例
えば、腐食環境下で使用されるタービンの軸部や化学薬
品攪拌機の軸部用の材料として適当である。次に、本発
明にかかるチタン合金の製造方法について説明する。
【0031】溶解材料であるTiスポンジ、純Al、電解S
n、Zrスポンジ、純Hf、Al−V母合金、Al−Mo母合金、
そしてCr、V、純Ni、純W 、純Coさらには白金族元素
(例えば純Pdおよび/または純Ru) の各単体等を適宜選
択してから所定量配合し、さらに、ヤング率向上のため
の金属ホウ化物を晶出/析出させて分散させるために、
原料中のB源として未溶解が起こり難い低融点のAlホウ
化物 (溶融点1720℃) および/またはFeホウ化物 (溶融
点1650℃) を混合し、次いでアーク溶解等の非消耗電極
溶解またはVAR 溶解により、溶融体として合金化すれば
よい。酸素量については、Tiスポンジの種類によって調
整できるが、大量に添加する場合にはTiO2を用いればよ
い。
【0032】B源としてTiB2を用いれば融点が3225℃で
あるので、VAR 溶解では未溶解となり、サイドアーク発
生等溶解上極めて問題がある。また、非消耗電極溶解に
おいても、TiB2が未溶解となる場合があり、金属ホウ化
物の晶出物および/または析出物が分散された良好な品
質のインゴットができない。また、B単体も融点が2100
℃であり、同様の問題が生じるおそれがある。したがっ
て、これらを用いる場合には、エレクトロンビーム溶解
のような、さらに高いエネルギーを有する溶解法を使用
する必要がある。
【0033】したがって、VAR 溶解の場合には少なくと
もB源の溶解原料としてAlホウ化物および/またはFeホ
ウ化物を用いることにより、溶解後、凝固・冷却中に金
属ホウ化物がマトリックス中に均一に晶出および/また
は析出する。この分散粒子はマトリックスの密度 (約4.
5)とほぼ等しいために偏析等は発生せず、極めて均一に
分散する。さらに、そのような金属ホウ化物は晶出およ
び/または析出した分散粒子であるので、生成した粒子
は極めて安定であり、熱間加工、熱処理等の加熱処理に
よってもマトリックスと金属ホウ化物との間に反応層を
生じず、合金を劣化させない。
【0034】このようにして製造された合金インゴット
を、例えば1000〜1200℃の温度で熱間加工し、鍛伸、圧
延材とすることができる。さらに焼鈍等の熱処理により
機械的性質を希望する値に調整することも可能である。
さらに、本発明を実施例を参照しながら詳述するが、こ
れは本発明の例示であり、これにより本発明が限定され
るものではない。
【0035】
【実施例】表1−1および表1−2にそれぞれ示す組成
のTi合金を容量15kgの小型VAR 装置を使って2回溶解法
で溶製し、直径140mm 、長さ220mm のインゴットとし
た。使用した原料は、Tiスポンジ、Zrスポンジ、電解S
n、Al−V母合金、Al−Mo母合金、純Al、純Hf、純Cr、A
lホウ化物粉末、Feホウ化物粉末、純Ni、純W 、純Pd、
純Coであった。
【0036】なお、マトリックス中に金属ホウ化物を分
散させるために、ホウ化チタンの粉末を用いてVAR 溶解
を行ってみたが、インゴット中でホウ化チタン粉末が未
溶解となり均一なインゴットが得られなかった。表2−
1および表2−2のNo.1ないしNo.37 は本発明例、No.3
8 ないしNo.48は比較例、No.49 ないしNo.51 は既存の
α、( α+β) 、β型合金の従来例である。
【0037】このようにして得られたインゴットを1150
℃に加熱して1200〜900 ℃の間で鍛伸および熱間圧延を
行うことにより、直径30mm、長さ4500mmの棒材とした。
このときの熱間加工によって割れが発生した供試材につ
いては熱間加工性を劣悪とし「×」で表2−1および表
2−2に示した。
【0038】このようにして得られた各供試材を、950
℃×1hr→ACの熱処理の後、直径6×標点間距離30(m
m)の引張試験片、直径12mm×長さ150mm のヤング率測
定用試験片、10mm×20mm×20mmの塩酸腐食試験片、
直径8mm×長さ12mmの熱間据え込み試験片を、それぞれ
採取して各種試験に供した。
【0039】各試験の概要は以下の通りである。 引張試験:通常の常温引張試験法により行った。 ヤング率測定:共振法を用いてE =4 ρL2 f 2(L:
試料の長さ、ρ:かさ密度、f:共振振動数)によりヤ
ング率を求めた。
【0040】塩酸腐食試験:5 重量%HCl 沸騰溶液中
に20hr浸漬して腐食減量を測定し、腐食減量をmm/年に
換算して耐食性を評価した。 熱間据え込み試験:熱間加工性を把握するための試験
であって、直径8mm×長さ12mmの試験片を800 ℃にて1.
0sec-1の歪速度で70%、85%の2水準の圧縮試験を行
い、70%圧縮で割れの無いものを「○」、さらに85%圧
縮でも割れの無いものは「◎」として表2−1および表
2−2に示した。
【0041】表1−1、表1−2、表2−1および表2
−2から、本発明例は、従来例(No.49〜51) に比較して
ヤング率が高く、耐食性にも優れている。No.19 〜25、
No.34 およびNo.35 のようにCr、V、Moといったβ相安
定化元素を添加すると常温強度向上、熱間加工性の向上
等の効果が認められる。
【0042】また、No.15 〜18、No.25 、No.33 および
No.35 のようにSn、Zr、Hfを添加すると、高温強度が向
上することがわかる。一方、本発明の範囲外の組成で
は、例えばNo.38 、No.42 、No.43 およびNo.46 のよう
にヤング率が低下し、No.48 のように耐食性が低下した
り、さらにはNo.39 〜41、No.44 、No.45 およびNo.47
のように熱間延性に乏しいために棒材の製造ができなか
った。
【0043】
【表1-1】
【0044】
【表1-2】
【0045】
【表2-1】
【0046】
【表2-2】
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
十分な機械的強度と熱間加工性を保持しながら、極めて
高い剛性と耐食性とを備えたTi合金が提供される。した
がって、例えば薬品攪拌器の軸部やタービン軸部のよう
な腐食環境下で高剛性を要求される機械部品にTi合金を
適用できることになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22F 1/00 630 8719−4K C22F 1/00 630A 640 8719−4K 640A 651 8719−4K 651B 681 8719−4K 681 682 8719−4K 682

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Al:5.5 〜10%、B:0.5 〜
    3.0 %、O:0.25%以下、白金族元素の一種または二種
    以上:合計で0.005 〜0.25%、残部Tiおよび不可避不純
    物からなる合金組成を有するとともに、そのTi合金マト
    リックス中に金属ホウ化物が晶出および/または析出し
    てなることを特徴とする高耐食性高剛性Ti合金。
  2. 【請求項2】 さらに、前記合金組成は、NiおよびCoの
    一種または二種:合計で0.1 〜5.0 重量%を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の高耐食性高剛性Ti合金。
  3. 【請求項3】 さらに、前記合金組成は、Sn、Zrおよび
    Hfからなる群から選ばれた一種または二種以上:合計で
    20重量%以下を含有することを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の高耐食性高剛性Ti合金。
  4. 【請求項4】 さらに、前記合金組成は、一種または二
    種以上のβ相安定化元素を、下記式で決定されるV当量
    で15重量%以下含有することを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の高耐食性高剛性Ti合金。 【数1】V当量=V+(15/10)Mo +(15/6.3)Cr+(15/4)
    Fe+(15/9)Ni+(15/25) W
  5. 【請求項5】 前記β相安定化元素は、V、Mo、Wの一
    種または二種以上であり、前記V当量が0.05〜15重量%
    である請求項4記載の高耐食性高剛性Ti合金。
  6. 【請求項6】 原料中のB源として少なくともAlホウ化
    物および/またはFeホウ化物を用いて溶製し、凝固時ま
    たは熱処理時に金属ホウ化物をTi合金マトリックス中に
    晶出および/または析出させることを特徴とする請求項
    1ないし請求項5のいずれかに記載の高耐食性高剛性Ti
    合金の製造法。
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