JP2708902B2 - 消音パイプの製造方法 - Google Patents

消音パイプの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、パイプの内部で発生した音や、パイプ内
を流れる空気流に搬送されて外部に伝播される音を、パ
イプの内部で吸収する消音パイプの製造方法に関するも
のである。
[従来の技術] 従来のこの種の消音パイプとして、次のようなものを
挙げることができる。
.フェルト状の各種の繊維やシート状の発泡プラスチ
ックス等をパイプの壁面に貼りつけた消音パイプ。
.予め、パイプに合せて作った防音材を、パイプに取
付けた消音パイプ。
.パイプの壁面に、防音材料と接合剤との混和物を吹
き付けたり、塗り付けて固着した消音パイプ。
.単繊維の短切片を、パイプの表面に静電植毛した消
音パイプ。
[発明が解決しようとする課題] 上記のような従来の消音パイプは、次のような問題点
がある。
.パイプの壁面にフェルト状のやシート状の発泡プラ
スチックスを貼りつける作業は、手間が掛かり生産性が
悪い。
また、繊維をフェルト状にしたものは、一般に価格が
高く制作費が嵩む。
.予め、パイプに合わせて作った防音部材を取り付け
る構造を採用すると、部材の作成と組立ての費用が必要
で、二重の費用がかかる。
.防音材と接合剤との混和物を吹き付けたり、塗り付
ける構造は、パイプの外面には容易に構成できるが、内
面には特別の装置がない場合は極めて難しく、費用も掛
かる。
.単繊維の単切片を静電植毛するのは、パイプの外面
は容易であるが、内面に均一に植毛することは極めて難
しい。
また、繊維の太さにくらべて繊維間の間隙が大きくな
って消音性が低い。
この発明は、従来の技術による消音パイプの上記のよ
うな問題点を解決するためになされたもので、消音性が
高く、しかも消音パイプを製造するための大掛かりで特
殊な設備を使用することなく、簡単な構成で経済的に製
造できる消音パイプの製造方法を提供することを目的と
するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、本体パイプより小径の補助パイプを本体パ
イプに挿入し、両パイプの隙間にプラスチックスの粒状
の消音素材を充填し、補助パイプの内部から加熱して消
音素材層の表層面付近を部分連結して消音層を形成した
後、補助パイプを引き抜くものである。
例えば、外周に非親和材のコーテングを施した小径の
補助パイプが本体パイプに差し込まれて両パイプの隙間
にプラスチックスの粒状の消音素材が充填される。そし
て、補助パイプの内部からヒータで所定の温度に加熱す
ると、消音素材の表層面付近が部分連結される。その
後、補助パイプが引き抜かれると、本体パイプの内周面
に密着する消音層を設けた消音パイプが出来上がる。
[作用] 流路の付近の部品類の振動や空気の乱流に伴って発生
した音が、気流に搬送されながら消音パイプ内に到達す
ると、内壁面に形成された消音素材からなる消音層の部
分連結された表層面から浸透し始める。消音層に侵入し
た音は、消音素材を介してパイプの壁面側に向かう。一
方、消音層の内部には、ランダムに配置された多数の粒
状の消音素材が密着している。この結果、消音層に侵入
した音は粒状の消音素材に直進が遮られ、曲折した空隙
で作る長い伝播経路の途中で、音のエネルギーから他の
エネルギーに変換されて消音されることになる。
[実施例] 第1図は本発明の消音パイプの一実施例を電気掃除機
に適用した適用例の構成説明図、第2図と第3図は第1
図の要部の斜視説明図、第4図は第2図のA−A断面図
である。
第1図乃至第4図において、(1)は消音構造に作ら
れたパイプで、ここでは電気掃除機の吸込み用の接続管
が消音パイプに構成されている。(2)は電気掃除機の
本体、(3)は本体(2)の後ケース、(4)は前ケー
スである。また、(5)は消音パイプ(1)と前ケース
(4)を接続した可撓性のホース、(6)は消音パイプ
(1)の先に取付けられた床ブラシである。
消音パイプ(1)の一端は開口(7)に向って拡がる
テーパ状の接続部(8)が形成され、他端側は逆に開口
(9)に向かって狭くなる接続部(10)が設けられてい
る(第3図)。接続部(8)と(10)は、互いに密接に
嵌合して空気が洩れないように接続されている。また、
接続部(8)と(10)の間は、テーパ部(11)および
(12)を経てそれよりやや太い直管部(13)になってい
る。
消音パイプ(1)の内部構造が、第4図に示されてい
る。第4図の(15)は接続部(10)とテーパ部(12)の
境目である。本体パイプ(16)の直管部(13)は前述の
ように、やや太めのパイプで作られている。直管部(1
3)の一端は開口(18)され、他端の先端側にテーパ部
(12)と接続部(10)が一体に形成されている。(20)
は消音層、(21)は接続部材である。消音層(20)は粒
状のプラスチックスよりなり、直管部(13)の内周面に
沿ってほぼ均一な厚さで円筒状に成層されている。ま
た、接続部材(21)は、直管部(13)の開口(18)を塞
ぐようになっている。
このような構造の消音パイプ(1)は第1図に示され
るように、2本乃至3本で構成されて掃除の時に所望の
長さに接続して使用される。消音パイプ(1)の先端に
接続される床ブラシ(6)には普通内蔵のモータでロー
タリブラシを回転する、所謂パワーブラシが使用されて
いる。この外、消音パイプ(1)の先には、吸込み口を
極端に狭くした吸込みノズル等も交換して接続されるよ
うになっている。不使用状態では、床ブラシ(6)と2
本の消音パイプ(1)およびホース(5)を引き抜いて
本体(2)から外して、別に設けられたケース内に格納
される。
掃除機の本体(2)の内部には図示していないが、モ
ータによって回転するターボファンが設けられ、前ケー
ス(4)の内部の空気を後方に排出する。そして、前ケ
ース(4)に接続されたホース(5)、消音パイプ
(1)及び床ブラシ(6)の内部を負圧にする。この結
果、床ブラシ(6)が床面上の空気と一緒にゴミ類を吸
い込んで、本体(2)内に集塵されるようになってい
る。
この場合、床ブラシ(6)から吸い込まれる空気の吸
入に伴って、絨毯の植毛や床ブラシ(6)自身の部材等
が振動して音が発生する。また、床ブラシ(6)の内蔵
モータやロータリブラシの回転音或いは吸気口の狭い吸
込みノズルの吸気音等も加って、騒音となる。発生した
騒音は集塵のための空気流に搬送されて、吸入経路の途
中の接続管やホースの壁面等を音の伝播媒体にして、内
部を通過しながら周囲に放射される。さらに、電気掃除
機の本体(2)に搬送された騒音は、排出経路を経て排
出口からも発散される。
本発明の実施例では、電気掃除機の接続管を消音構造
にして、上記のように吸入経路から放射されたり、排出
口から発散される騒音を吸収するようにしたものであ
る。
以下、前述のような構成の消音パイプの製造方法に就
いて、第5図乃至第8図の各図面にしたがって説明す
る。
第5図は、この発明の実施例の消音パイプ(1)を、
中心線に沿う縦断面図で示している。本体パイプ(16)
は、補助パイプの役目をする心金(17)を利用して作ら
れる。
この製造方法による本体パイプ(16)は、金属で作ら
れている。
心金(17)を本体パイプ(16)に挿入して本体パイプ
(16)と心金(17)との間で塞がれた空隙(19)へ粒状
のプラスチックス(20)を充填し、接続部材(21)を金
属で作り、これを心金(17)と開口(18)へ嵌め合わせ
て固定する(固定方法は図示していない)。なお、(2
8)はリング状の当テ板であり、パイプ(16)に接続部
材(21)を取り付けたとき、空隙(19)内に充填された
粒状のプラスチックス(20)と接触して押し付ける機能
を果たす。
このように組立てた本体パイプ(16)に、第6図のよ
うに別に消音パイプ(1)の長さに合せた長さの棒状の
ヒータ(32)を通し、心金(17)の内径部の中から加熱
する。粒状のプラスチックス(20)は加熱されて、溶け
て互いに接合する。心金(17)の近くのものが早く溶け
て、表層面(39)の粒状のプラスチックス(20)を部分
連結させる。粒状のプラスチックス(20)の接合状態
は、心金(17)の近くの互いに接触する粒同志が部分的
に素材変形をのこして連結されるように設定されてい
る。(この接合状態を、ここでは仮に、“部分連結”と
呼ぶことにする。)その後、心金(17)が引き抜かれる
と、本体パイプの内周面に密着する多孔層状の消音層
(20)を設けた消音パイプが出来上がる。
また、ヒータ(32)の代わりに心金(17)の内径部か
ら熱風を吹き出して行ってもよく、この場合は心金(1
7)に穴(25)をあけておく。
この発明は、例えば電気掃除機のように、システム内
の各構成要素で音を発生する流体装置系においては、こ
の音が外部へ放射して騒音となるため種々の対策がなさ
れる。
流体を送る装置自身で発生した音やパイプの中を流体
が流れることによって生じる音等に加わり、これらの合
成音がパイプの内部で流体に搬送されながらパイプの壁
を音の媒質にして外部に放射されて大きな騒音になる。
このような騒音を防ぐには、パイプを通るときに音の
エネルギーを他のエネルギーに変えてしまうことであ
る。このため、音が通過する部分に、このような効果を
発揮できる空隙を設ける。
本発明による消音パイプ(1)は、第7図に示すよう
に、パイプの壁面に沿って粒状の材料(20)(実施例で
は、粒状のプラスチックス(20)を使用している場合を
示した。以下、粒状の消音素材(20)として総称する)
を層状におき、この粒と粒との接触部分を接合して粒は
そのままで互いに固定することによって、層全体として
本体パイプ(16)の中に流路を作り、粒と粒との間を空
隙(27)として相互に連通するようにしている。
この空隙(27)は、曲折して、その断面形状、断面積
を変化しながら連通しており、音がその中を伝播する間
に、粒状の材料(20)に衝突、空隙(27)の中で膨張、
圧縮を繰返して、音のエネルギーを熱等の他のエネルギ
ーに変えて消音するので、すぐれた消音効果がある。
因みに、球形以外で円筒形、立方体或るいは不定形の
消音素材による実験結果に基づく、消音率に対する消音
素材の粒径及び開孔率(通気性)の相関関係を第8図
(A)、(B)に示す。2例の実験結果によれば、消音
素材の粒径1.0〜1.5mmが消音率が高く、開孔率は10〜90
%が適用可能で25〜40%が理想的なことが確認された。
また、本発明による消音パイプ(1)は、特に実施例
に示したように、パイプの内壁に消音のための粒状の材
料(20)の層をつくることは、簡単でないとされてい
た。しかしながら、この製造方法によれば、特別な装置
を使用しなくても容易に作ることができる。また、取扱
い易い粒状の材料(20)を使って本体パイプ(16)と心
金(17)との間に設けた空隙(19)へ充填して固定する
ので生産性がよく、極めて経済的に消音パイプ(1)を
製造することができる。
[発明の効果] 本発明は、本体パイプより小径の補助パイプを本体パ
イプに挿入し、両パイプの隙間にプラスチックスの粒状
の消音素材を充填し、補助パイプの内部から加熱して消
音素材層の表層面付近を部分連結して消音層を形成した
後、補助パイプを引き抜くので、消音効果が優れ、しか
も特別な装置を使用しなくても容易にかつ経済的に製造
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例の消音パイプを電気掃除機に適
用した適用例の構成説明図、第2図と第3図は第1図の
要部の斜視説明図、第4図は第2図のA−A断面図、第
5図乃至第7図は製造方法の説明図、第8図の(A)、
(B)は実験結果による粒径と消音率と融合層の実用上
の最適開孔率を説明する線図である。 図において、(1)は消音パイプ、(16)は本体パイ
プ、(17)は心金、(20)は消音層、(39)は表層面で
ある。 なお、図中同一号は同一または相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蒲 晴雄 愛知県海部郡甚目寺町大字西今宿字平割 一22番地 株式会社コーワ内 (72)発明者 今井 智久 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地 1 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 高橋 豊 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地 1 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 野口 善弘 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地 1 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 角田 正道 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地 1 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 田中 英晴 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社中央研究所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本体パイプより小径の補助パイプを本体パ
    イプに挿入し、両パイプの隙間に本体パイプの内壁面に
    沿ってプラスチックスの粒状の消音素材を充填し、補助
    パイプの内部から加熱して消音素材層の表層面付近を部
    分連結して消音層を形成した後、補助パイプを引き抜く
    消音パイプの製造方法。
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KR100767117B1 (ko) * 2006-09-25 2007-10-17 삼성광주전자 주식회사 이동 설치가 가능한 소음저감장치를 구비한 진공청소기
SE533268C2 (sv) * 2008-12-17 2010-08-03 Electrolux Ab Dammsugare

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