JP2708803B2 - 持続放出製剤 - Google Patents

持続放出製剤

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は難溶性薬物を微粒子の状態で持続的に放出す
る持続放出製剤に関する。
従来の技術 薬物の有効血中濃度を長時間にわたり一定に保つため
に種々の製剤技術が提案されている。たとえば、高分子
の半透膜を介して溶解薬物を放出する機構又はマトリッ
クス細孔中を溶解拡散する機構があるが、これらの機構
では薬物自体が溶解する必要があり、難溶性薬物には適
用できなかった。
発明が解決しようとする問題点 難溶性薬物を消化管内で持続的に放出し、吸収される
ためには、製剤中から薬物を微粒子の状態で持続的に放
出させる必要があるが、従来の方法では、薬物を微粒子
状態で放出することが困難であった。
問題点を解決するための手段 本発明者は難溶性薬物を微粒子の状態で持続的に放出
する機構について種々研究を重ねた結果、水に対する溶
解度が0.1%以下でその平均粒子径が10μm以下である
難溶性薬物100部に対して、水に対し膨潤性のある高分
子類を25部以上、さらに有機溶媒に溶解し、かつ、pH1
〜9の範囲のいずれかの緩衝液に溶解する高分子類及び
/又は、1価の金属塩で水に溶解する高分子類を0.5部
以上を均一に混合した組成物が難溶性薬物を微粒子の状
態で持続的に放出すること及び水に対し膨潤性のある高
分子類と有機溶媒に溶解し、かつ、pH1〜9の範囲のい
ずれかの緩衝液に溶解する高分子類及び/又は、1価の
金属塩で水に溶媒する高分子類との配合比率を変えるこ
とによって薬物の放出時間を調節できるを見い出し、本
発明を完成するに至った。
次に本発明をさらに詳しく説明する。
医薬品の中には難溶性である薬物も存在するが、難溶
性薬物はその溶解性が低いために粉砕等を行い、その表
面積を増大させ吸収性の向上を計る必要がある。本発明
の製剤に適用される難溶性薬物は水に対する溶解度が0.
1%以下で、平均粒子径を10μm以下とした薬物が好ま
しい。たとえば次の様な薬物が適用可能であるが、本発
明は、これらに限定されるものではない。
睡眠鎮静剤:アモバルビタール、フェノバルビタール、
ヘキソバルビタール、ブロムワレソル尿素、抗てんかん
剤:メフェニトイン、ニトラゼパム、クロルジアゼポキ
シド、解熱鎮痛剤:フェニルブタゾン、オキシフェンブ
タゾン、メフェナム酸、イブプロフェン、インドメタシ
ン、プロベネシッド、精神神経用剤:ハロペリドール、
クロルジアゼポキサイド、オキサゼパム、オキサゾラ
ム、局所麻酔剤・筋弛緩剤:アミノ安息香酸エチル、リ
ドカイン、抗ヒスタミン剤:ジフェニルイミダゾール、
塩酸クレミゾール、強心剤・不整脈治療剤:ジギトキシ
ン、ラナトシドC、フェニトイン、降圧剤:レセルピ
ン、クロルメロドリン、ヒドロクロロチアジド、フロセ
ミド、血管拡張剤:亜硝酸アミル、四硝酸ペンタエリス
リトール、二硝酸イソソルビド、ジピリダモール、塩酸
オキシフェドリン、シンナリジン、動脈硬化治療剤:シ
ンフィブラート、ニコモール、オキシメトロン、アセチ
ロマート、エチルエステレノール、呼吸促進・鎮咳去た
ん剤:ノスカピン、消化器官用剤:酸化マグネシウム、
炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミ
ン酸マグネシウム、メタケイ酸マグネシウム、ケイ酸ア
ルミン酸マグネシウムビスマス、沈降炭酸カルシウム、
合成(天然)ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニ
ウムゲル、ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩、ゲファ
ルナート、スルピリド、デヒドロコール酸、ホルモン
剤:メチルプレドニゾロン、フルオシノロンアセトニ
ド、プロピオン酸ベクロメタゾン、デスオキシコルチコ
ステロン、テストステロン、ジエチルスチルベストロー
ル、安息香酸エストラジオール、ヘキセストロール、プ
ロゲステロン、プレグナンジオール、糖尿病治療剤:ア
セトヘキサミド、グリクロピラミド、グリベンクラミ
ド、抗悪性腫瘍剤:カルボコン、メルカプトプリン、プ
ロピオネート、抗生物質製剤:ステアリン酸エリスロマ
イシン、パルミチン酸クロラムフエニコール、メタリン
酸テトラサイクリン、化学療法剤:パラアミノサリチル
酸カルシウム、プロチオナミド、チオアセタゾン、クロ
トリマゾール、ピペミド酸。
水に対し膨潤性のある高分子類は、製剤を崩壊分散さ
せるために添加されるが、一般に崩壊剤といわれる高分
子類を意味する。難溶性薬物が微粉末(平均粒子径50〜
150μm)の場合には、上記高分子類の添加量の増大に
従って該製剤は、より速やかな崩壊を示すが難溶性薬物
の平均粒子径が10μm以下の超微細末になると上記高分
子類の添加量の増大に従ってその崩壊はむしろ遅延する
という意外な現象を見い出した。また、難溶性薬物の吸
収性を良くするには、製剤の崩壊分散後も元の粒子径に
近い状態で放出する必要があるが、有機溶媒に溶解し、
かつ、消化管内あるいは生体内で実質的に溶解、すなわ
ち、pH1〜9の範囲のいずれかの緩衝液に溶解する高分
子類及び/又は、1価の金属塩で水に溶解する高分子類
を均一に混合することによって元の粒子径に近い状態で
放出することを見い出した。水に対し膨潤性のある高分
子類は添加量が難溶性薬物100部に対して25部以上であ
れば良く特に限定されないが、好ましくはカルボキシメ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、
カルボキシメチルスターチナトリウム、トウモロコシデ
ンプン、部分アルファ化デンプン、クロスポピドン等、
特に好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカル
メロースナトリウム等である。
有機溶媒に溶解し、かつ、pH1〜9の範囲のいずれか
の緩衝液に溶解する高分子類及び1価の金属塩で水に溶
解する高分子類は、製剤が崩壊した際に難溶性薬物が均
一に分散するために添加されるが、一般に結合剤といわ
れる高分子類を意味する。製剤を消化管内あるいは生体
内で実質的に崩壊させるためにpH1〜9の範囲のいずれ
かの緩衝液に溶解する高分子類を用いる必要がある。上
記の有機溶媒に溶解し、かつ、pH1〜9の範囲のいずれ
かの緩衝液に溶解する高分子類として好ましくは、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレイト、カルボキシメチ
ルエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビ
ニルピロリドン、メタアクリル酸コポリマーL、メタア
クリル酸コポリマーLD等、特に好ましくはヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スフタレイト、ポリビニルピロリドン等である。また、
1価の金属塩で水に溶解する高分子類としは、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム
等が好ましい。これらの高分子類の添加量は、難溶性薬
物100部に対し、0.5部以上であることが好ましく、さら
に好ましくは1〜20部である。ここで得られる持続性放
出製剤中の難溶性薬物の放出時間調整は製剤の大きさ、
上記各高分子類の分子量、添加量等によって任意に決め
ることができる。
また、本発明を実施するに当って必要に応じ、着色
剤、滑沢剤、矯味剤、界面活性剤、増量剤、コーティン
グ剤等を使用してもよいことが言うまでもない。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
実施例1 エチル10,11−ジハイドロ−4−メトキシベンヅ[b,
f][1,4]オキサゼピン−8−カルボキシレイト(水に
対する溶解度0.001%以下)をジェットミル(マイクロ
ジェットミルFS−4型:セイシン企業製)により微粉砕
したもの(平均粒子径約2μm)100g、低置換度ヒドロ
キシプロピルセルロース(L−HPC・LH−31:信越化学
製)80g及び乳糖6gを乳鉢中で良く混合した後10%ヒド
ロキシプロピルセルロース(HPC−H:日本曹達製)水溶
液120gを加え良く練合した。
この練合物をφ0.8mmネットを装着した円筒式顆粒機
にて顆粒化した。その顆粒を流動層乾燥機にて50℃で40
分乾燥し、乾燥顆粒を12メッシュ篩にて整粒した。
整粒した顆粒にステアリン酸カルシウムを顆粒に対し
て1%相当量を混合した。
φ10mmの臼及び斜縁平型杵をセットした単発打錠機で
上記顆粒を1錠重量300mgになるように総圧約2tonで圧
縮成形した。
この錠剤の薬物放出状態を濁度で測定し、完全に崩壊
分散したときの濁度を100%として算出した放出試験結
果を第1図に示す。
尚、試験装置は日本薬局方、溶出試験装置を使用し、
方法は第2法(パドル法)、回転数100rpmで行い、試験
液には純水500mlを用いた。また、濁度は波長450nm層長
1cmで測定した。
実施例2 グリセオフルビン(水に対する溶解度0.001%)をジ
ェトミル(マイクロジェットミルFS−32型セイシン企業
製)により微粉砕したもの(平均粒子径約3μm)120
g、カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェ
ル:AVEBE社製)60g及びマンニット6gを乳鉢中で良く混
合した後、10%カルボキシメチルセルロースナトリウム
(半井化学薬品)水溶液120gを加え、更に水20gを加え
て良く練合した。
この練合物を14メッシュで篩過造粒し、箱型乾燥機で
60℃−3時間乾燥を行なった。乾燥顆粒を10メッシュで
篩過整粒し、ステアリン酸マグネシウムを顆粒に対して
1%相当量配合し、混合した。
φ9mmの臼及び斜縁平型杵をセットした単発打錠機で
上記顆粒を1錠重量250mgになるように総圧約1.7tonで
圧縮成形した。
この錠剤の薬物放出状態を濁度で測定し、完全に崩壊
分散したときの濁度を100%として算出した放出試験結
果を第2図に示す。
尚、試験装置は日本薬局方、溶出試験装置を使用し、
方法は第1法(回転バスケット法)、回転数100rpmで行
い、試験液には日本薬局方第2液(pH6.8)500mlを用い
た。また濁度は波長450nm層長1cmで測定した。
実施例3 崩壊時間に及ぼす難溶性薬物粒子径の影響を調べるた
めに粒子径50〜150μm及び1〜5μmのエチル10,11−
ジハイドロ−4−メトキシベンゾ[b,f][1,4]オキサ
ゼピン−8−カルボキシレイトを使用して、以下の組成
比で製剤化し、崩壊時間の比較を行なった。
(製法) 50〜150μm及び1〜5μmのエチル10,11−ジハイド
ロ−4−メトキシベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン−
8−カルボキシレイト、低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルロース及び乳糖を組成比に取り良く混合した後、5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製:60S
H−50)水溶液を規定量加え良く練合した。練合物を14
メッシュ篩で篩過造粒し、50℃で5時間乾燥した。造粒
物10メッシュ篩で整粒した後、0.5%相当量のステアリ
ン酸Caを配合し良く混合した。この混合物をφ10mm平型
臼杵で1錠重量300mg、成形圧1.5ton/cm2で圧縮成形し
試料錠剤を得た。
(崩壊時間の測定) 崩壊度試験器を使用し、試料錠は補助筒に入れ、上下
数20回/分,試験液:水,温度:37±2℃の条件で崩壊
時間を測定した。
(結果) 結果を第3図に示す。
実施例4 (顆粒剤) ケトプロフェン(平均粒子径1〜5μm) 100部 部分アルファ化デンプン 70部 マンニット 10部 ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレイト 20部 常法により以上を混合し、顆粒剤を得る。
(丸剤) フェナセチン(平均粒子径1〜5μm) 100部 カルボキシメチルスターチナトリウム 50部 硬化油 40部 ポリビニルピロリドン 10部 常法により以上を混合し、丸剤を得る。
(カプセル剤) 上記顆粒剤を硬カプセルに充填することによりカプセ
ル剤を得る。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、製剤からの薬物の放出率を経時
的に測定した結果を示す。 第3図は、薬物の粒子径および低置換度ヒドロキシプロ
ピルセルロースの配合量と崩壊時間との関係を示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が10μm以下の難溶性薬物、水
    に対し膨潤性のある高分子類ならびに有機溶媒に溶解
    し、かつ、pH1〜9の範囲のいずれかの緩衝液に溶解す
    る高分子類及び/又は、1価の金属塩で水に溶解する高
    分子類の均一混合物からなる難溶性薬物の持続放出製
    剤。
  2. 【請求項2】難溶性薬物の水に対する溶解度が0.1%以
    下である特許請求の範囲第1項記載の持続放出製剤。
  3. 【請求項3】水に対し膨潤性のある高分子類が難溶性薬
    物100部に対して25部以上である特許請求の範囲第1項
    記載の持続放出製剤。
  4. 【請求項4】有機溶媒に溶解し、かつ、pH1〜9の範囲
    のいずれかの緩衝液に溶解する高分子類及び/又は、1
    価の金属塩で水に溶解する高分子類が難溶性薬物100部
    に対して0.5部以上である特許請求の範囲第1項記載の
    持続放出製剤。
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