JP2708268B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置

Info

Publication number
JP2708268B2
JP2708268B2 JP2262744A JP26274490A JP2708268B2 JP 2708268 B2 JP2708268 B2 JP 2708268B2 JP 2262744 A JP2262744 A JP 2262744A JP 26274490 A JP26274490 A JP 26274490A JP 2708268 B2 JP2708268 B2 JP 2708268B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic disk
head slider
magnetic
magnetic head
disk drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2262744A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04139674A (ja
Inventor
輝義 東谷
芳彦 三宅
幹雄 高田
利紀 風間
片岡  浩
翼生 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2262744A priority Critical patent/JP2708268B2/ja
Publication of JPH04139674A publication Critical patent/JPH04139674A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2708268B2 publication Critical patent/JP2708268B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、空気ベアリング作用によって浮動する磁気
ヘッドスライダを備えた磁気ディスク装置に関するもの
である。
[従来の技術] 近年、磁気ディスク装置は、磁気記録媒体の高記録密
度化に伴い、浮上時の磁気ヘッドスライダと磁気記録媒
体との間隔が狭くなる方向にある。その結果、磁気ヘッ
ドスライダと磁気記録媒体との接触や、これにより最終
的に引き起こされる摺動の危険性が高まっている。
そして、この接触による損傷を抑制するため、一般的
には、潤滑剤が磁気記録媒体に塗布されている。
しかし、潤滑剤が塗布された磁気記録媒体と磁気ヘッ
ドスライダ間において相対的な運動が行われずに接触し
ている時には、両者の間に吸着現象が生じる。そのた
め、浮上開始時に、磁気ヘッドスライダが、磁気記録媒
体から速やかに離れることができないという問題が生じ
る。この吸着力が大きい場合は、相対運動の開始を阻害
するばかりでなく、磁気ヘッドスライダや磁気記録媒体
に損傷を与える。また、この吸着力の大きさは、磁気ヘ
ッドスライダや磁気記録媒体の面精度、潤滑剤の性質や
量によっても影響を受けるため、潤滑剤塗布量の上限値
は制約されていた。
そこで、この吸着力を低減し、できるだけ多くの潤滑
剤を塗布できるようにするため、磁気ヘッドスライダの
表面を粗すことが、従来から試みられてきている。
その方法として、特開平1−213820号公報にみられる
ように、酸化物になった時に、体積が増える遷移金属炭
化物(例えば、TiC)をセラミックスに混合して、磁気
ヘッドスライダを形成し、この遷移金属炭化物を酸化さ
せることにより、スライダ表面より、酸化物(例えば、
TiO2)を突出させる方法がある。また、特開平1−2513
08号公報に示すように、多結晶材で作られた磁気ヘッド
スライダにおいて、逆スパッタ処理を行うことにより、
材料の領域毎の硬度差を利用して面粗しを行う方法など
がある。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術は、磁気ヘッドスライダの浮上力発生面
より3〜20nm程度の突出量を設けることにより、吸着現
象を抑えつつ、初期における潤滑剤付着量を増大させる
ことを目的としてなされたものである。
しかし、磁気記録媒体について高記録密度化を図る
と、潤滑剤の消耗が低記録密度のものと比べて激しい
(この理由については後述する)。このため、潤滑剤が
枯渇するに至るまでの時間が短くなって、磁気ディスク
の寿命が短くなるという問題が起きる。これに対し、潤
滑剤を増量することが考えられるが、それにも限度があ
る。
本発明者はこの問題について検討したところ、磁気記
録媒体と磁気ヘッドスライダとの間で生じる摩擦熱が原
因であることを見出した。
すなわち、磁気ヘッドスライダは、起動・停止時、シ
ーク時(磁気ヘッドスライダの沈み込み)、さらには、
外乱により、磁気記録媒体と接触して、摩擦熱を発生す
るため、初期において、ディスクにいかに多量の潤滑剤
を付着させても、長期間の使用においては、該摩擦熱に
より潤滑剤が蒸発し、減少してしまう。この潤滑剤の減
少には、実際に磁気記録媒体と接触することになる磁気
ヘッドスライダの突起部の熱伝導率が、大きく影響して
いる。
一方、上記従来技術においては突起物の材質につい
て、熱伝導の面からの検討が、なされていない。
今後、高記録密度化のために、ますます進むと考えら
れる低浮上化に伴い、この磁気ヘッドスライダと磁気記
録媒体との接触により発生する摩擦熱が媒体側へ流入す
るのを抑制し、潤滑剤の蒸発を低減することが、重要な
課題になると考えられる。発明の目的は、この磁気ヘッ
ドスライダと磁気記録媒体との接触により発生する摩擦
熱によって、潤滑剤が蒸発するのを抑えて、致命的な破
壊接触の危険性を低下させることができ、耐摺動性が優
れた信頼性の高い磁気ディスク装置およびこれに用いら
れる磁気ヘッドスライダを提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
装着される磁気ディスクに対して相対運動する磁気ヘッ
ドスライダを備えた磁気ディスク装置であって、上記磁
気ヘッドスライダは、その一部に、磁気ディスクと対向
して浮上力を発生させる浮上力発生面を有し、該浮上力
発生面の部分に、該スライダを形成する母材よりも熱伝
導率の大きい放熱材からなる突起を形成して構成される
ことを特徴とする磁気ディスク装置が提供される。
本発明の磁気ディスク装置は、磁気ディスクを固定的
に備えているもののほか、交換可能な磁気ディスクを備
えるもの、外部からディスクを装着するものであっても
よい。
放熱材は、熱伝導率が0.07[cal/(cm s℃)]以上の
材料であることが望ましく、具体的には、炭化物、ダイ
ヤモンド等が好ましい。炭化物としては、特に、炭化チ
タン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム等が
好ましい。また、この放熱材は、粒状の形態を持って、
浮上力発生面に散在することが好ましい。
また、放熱材は、その形態の一部が、母材表面より突
出するように構成される。突起の突出高さは、対向する
磁気ディスクに塗布されている潤滑剤の塗布厚さよりも
大きく、かつ、上記磁気ヘッドスライダの上記磁気ディ
スク面からの浮上高さより小さくなるように設定され
る。これについては、後述する変質材にも共通する。
さらに、この放熱材は、摩擦熱によって高温にさらさ
れると変質し、該変質前よりも硬度の低くなるものであ
ればより好ましい。例えば、加熱により一部が酸化する
と、その部分の硬度が小さくなるものが好ましい。一例
を挙げると、炭化チタンがある。
また、本発明の他の態様によれば、装着される磁気デ
ィスクに対して相対運動をする磁気ヘッドスライダを備
えた磁気ディスク装置であって、上記磁気ヘッドスライ
ダは、その一部に、磁気ディスクと対向して浮上力を発
生させる浮上力発生面を有し、該浮上力発生面の部分
に、酸化されると硬度が酸化前より相対的に低くなる変
質材からなる突起を形成して構成されることを特徴とす
る磁気ディスク装置が提供される。
変質材としては、炭化物が望ましく、特に、炭化チタ
ン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム等が好
ましい。
さらに、別の態様としては、上記変質材の変化後の硬
度よりも硬度の高い補強材を少なくとも上記磁気ヘッド
スライダとの接触面に有する磁気ディスクを備えた磁気
ディスク装置が提供される。
なお、この場合、母材といてはジルコニアが、補強材
としてはアルミナ、ダイヤモンドが好ましく用いられ
る。
また、磁気ヘッドスライダに好ましく用いられる材料
として、セラミック材料を母材とし、炭化物、ダイヤモ
ンドからなる群より選ばれた物質を少なくとも該母材表
面に粒状態で有する複合材料が提供される。
この母材としては、ジルコニアが、補強材としては、
アルミナ、ダイヤモンドが好ましい。
[作 用] 磁気ヘッドスライダと磁気記録媒体との接触により発
生する摩擦熱は、炭化物、ダイヤモンド等の熱伝導率の
高い放熱材により、磁気ヘッドスライダ側への放出が促
進される。一方、これにより、この摩擦熱の磁気記録媒
体側への流れは抑制される。そのため、磁気記録媒体に
塗布されている潤滑剤の摩擦熱による蒸発を抑制し、潤
滑効果を長く引き出すことができる。
例えば、従来技術においては、ジルコニアで形成され
たスライダ浮上面よりTiO2(酸化チタン)を突出させて
いるが、ジルコニアの熱伝導率λ=0.007cal/cms℃、Ti
O2のλ=0.007〜9程度であり、これは、一般的なセラ
ミック材、例えば、Al2O3(アルミナ)のλ=0.04に比
べると、はるかに劣り、摩擦熱で潤滑剤が蒸発し、減少
しやすい状況にある。
これに対して、本発明において放熱材として好ましく
用いられるTiC(炭化チタン)は、熱伝導率λ=0.1cal/
cms℃と高いため、摩擦熱の磁気記録媒体への流入を抑
制する効果が大きい、このため、磁気記録媒体に塗布さ
れている潤滑剤の蒸発量が少なくなる。
さらに、この放熱材として炭化チタンを使用した場合
には、炭化チタンは、250℃度で、硬度が低い酸化チタ
ンに変化するため、次のような作用が期待できる。
すなわち、上述した作用により、いかに潤滑剤の摩擦
熱による蒸発を抑制しても、長期間の使用においては潤
滑剤はしだいに減少し、やがて接触部の温度は上昇し始
める。この時、接触部の温度が、250℃以上に達する
と、炭化チタン(TiC)の酸化反応が進み、酸化チタン
(TiO2)に変化する。
酸化物は、炭化物に比べ、一般に硬度が低く、炭化チ
タンの硬度がHv=3000であるのに対し、酸化チタンはHv
=850kgf/mm2である。
従って、潤滑剤付着量が減少して、磁気ヘッドスライ
ダの熱伝導率よりも、硬度の方が磁気記録媒体に与える
影響が大きくなった時、すなわち潤滑剤の蒸発よりも、
磁気ヘッドスライダ自身による磁気記録媒体媒体への機
械的影響が大きくなった時には、炭化チタンは、摩擦熱
により酸化チタンに変化する。そして、この酸化チタン
は、上述のとおり、硬度が低いため、磁気ヘッドスライ
ダによる磁気記録媒体の損傷を抑制することができる。
なお、本発明において、放熱材を粒状に突出させるこ
とにより、潤滑剤に対する吸着現象が抑制される。
[実施例] 以下、本発明の実施例について図面を用いて説明す
る。
第1図は本発明が適用される磁気ディスク装置の一例
の構成を示す透視図である。
この磁気ディスク装置は、スピンドル組立体53と、こ
れにより支持された4つの塗布型磁気記録媒体30とを備
えている。そして、この塗布型磁気記録媒体30への書き
込みおよび読み出しは、塗布型磁気記録媒体30の回転に
伴い、塗布型磁気記録媒体30の円盤面上に浮上する磁気
ヘッドスライダ20に設けられているヘッドにより、行わ
れるように構成されている。
この磁気ヘッドスライダ20は、キャリッジ54、ガイド
レール56a,56b、レールハウジング57、ベアリング58に
より支持、作動されるガイドアーム55の先端に設けられ
ている。そして、磁気ヘッドスライダ20は、上述のとお
り塗布型磁気記録媒体30の回転に伴って浮上すると、ガ
イドアーム55により塗布型磁気記録媒体30の円盤面に対
して半径方向に移動され、任意の位置でデータの書き込
み、読み出しを行うように構成されている。そして、読
み出された信号は、コイル51、磁気回路52により処理さ
れるように構成されている。
磁気ヘッドスライダ20を第2図および第3図を用いて
より詳細に説明する。
磁気ヘッドスライダ20は、その両側部にスライダレー
ル21、22を備えている。そして、このスライダレール2
1、22の塗布型磁気記録媒体30と接する側の側面が、浮
上力を発生させる浮上力発生面23、24となっている。
この磁気ヘッドスライダ20はセラミックを母材とし、
これに該母材より熱伝導率の大きい放熱材を混在させた
もので形成される。
より具体的には、この磁気ヘッドスライダ20は、酸化
イットリウム(Y2O3)を9モル%固溶したジルコニア12
(熱伝導率λ=0.007)を母材とした。そして、これ
に、摩擦熱を磁気ヘッドスライダ側に逃がす放熱材とし
て、粒径3〜5μm程度の炭化チタン11(λ=0.1)を
5容量%添加した後、焼結して形成したものである。
第3図に示すように、浮上力発生面13には、炭化チタ
ン11からなる突起が設けられている。この炭化チタン11
が表面積に占める割合は5〜10%程度であった。なお、
この突出加工については後述の実施例1、2において説
明する。
塗布型磁気記録媒体30を第4図を用いて説明する。
この塗布型塗布型磁気記録媒体30は、下地基板31の両
面に補強材34を含んだ磁性体材料を塗布して磁性層32を
形成している。この磁性体材料には補強材34があらかじ
め混合されているため、形成された磁性層32の表面には
該補強材34が点在し露出している。さらに、その外側に
は潤滑剤が付着されて、磁性層32及び補強材34を覆う潤
滑膜33を形成している。
次に本発明の要部である磁気ヘッドスライダの製造方
法、効果等について以下の実施例により詳細に説明す
る。
(実施例1) 上述のとおり、磁気スライダヘッド20はジルコニア12
を母材として、炭化チタンを添加したものを焼結して形
成したものである。そして、浮上力発生面23、24におけ
る炭化チタンの突出部の形成は、酸化チタン(チタニ
ア)(Hv=1350)と炭化チタン(Hv=3000)の硬度差を
利用して、選択的に炭化チタンを突出させて行った。
具体的には、ラップ治具に取り付けた300rpmで回転す
るスズ(Sn)定盤上で、0.25ミクロンのアルミナ(Al2O
3)粒子(Hv=2000)を研磨粒子として用い、0.1%に水
で希釈した表面活性剤を加え、加工速度=0.2μm/minで
5μm研磨した。そして浮上力発生面13より炭化チタン
を約20〜30nm突出させた。
なお、この研磨により研磨面、すなわち浮上力発生面
13の温度が上昇するが、表面活性剤等の冷却効果等によ
り、その温度は30〜40℃程度であり、この研磨時に、炭
化チタンが酸化チタンになることはなかった。
炭化チタン11の最適な突出量は、組合せて使用する磁
気記録媒体の表面粗さや潤滑剤付着量、また、磁気ヘッ
ドスライダ20の浮上高さ等の影響を受けるため一概には
言えない。しかし、磁気記録媒体の表面粗さ及び潤滑剤
付着量が数nm〜十数nmであり、一方、磁気ヘッドスライ
ダ20の浮上高さが100〜200nmであることから、3〜50n
m、さらに言い換えるならば、潤滑剤の影響が最も大き
いため、潤滑剤付着量と同程度から2〜3倍の量を突出
させることが、効果的である。
なお、この実施例では表面活性材として以下のものを
使用した。
メーカ 湘南エンジニアリング 商品名 ダイヤモンドスラリ 成分 デュポン社製多結晶ダイヤモンド(粒径0.
25μm)を500cc中に3カラット含有、PH3.2 本実施例の磁気ヘッドスライダ20による、磁気記録媒
体に塗布された潤滑剤の減少の抑制効果を調べるため、
同一トラック上で磁気ヘッドスライダの起動・停止を繰
返し行った(CSS試験)。また、比較のため酸化チタン
(TiO2)を浮上力発生面から20nm突出させた磁気ヘッド
スライダについてもCSS試験を行った。
CSS試験の実験条件を下に示す。
ディスク:塗布型磁気記録媒体(第4図に膜構成を示
す)潤滑剤付き 回転速度:3600rpm また、CSS試験を行ったトラックの潤滑剤残存率をμ
(マイクロ)−FTIR(フーリエ変換積分法、Fouher tra
nsform infrared spectroscopy)を用いて測定した。
この試験結果を第5図に示す。
第5図から明らかなように、本実施例の炭化チタン11
(熱伝導率λ=0.1)を突出させた磁気ヘッドスライダ2
0は、酸化チタン(λ=0.008)を突出させた磁気ヘッド
スライダよりも潤滑剤の減少量が少なかった。具体的に
は、CSS試験1500回の時点で、本実施例の磁気ヘッドス
ライダでは潤滑剤付着量の減少が確認できないのに対
し、従来の酸化チタン(TiO2)を突出させた磁気ヘッド
スライダではすでに50%まで減少していた。また、1500
回のCSS試験後の本実施例の磁気ヘッドスライダの浮上
力発生面を調べたところ、酸化チタンへの変化は見られ
なかった。
本実施例の磁気ヘッドスライダについてさらにCSS試
験を継続した結果は、100K回実施後であっても、潤滑剤
はまだ約50%が付着していた。
また、この時、浮上力発生面13は白色から黒色へ変色
しており、炭化チタンから酸化チタンへの変化が、きわ
めて顕著に確認できた。
一方、酸化チタンを突出させた従来の磁気ヘッドスラ
イダについては、わずか10K回のCSS試験に耐えることが
できず、クラッシュ(ディスク表面に鋭利なキズあり)
してしまった。
なお、突出部の材料、すなわち放熱材の熱伝導率の影
響を調べるため、アルミナを磁気ヘッドスライダ浮上力
発生面から20nm突出させた磁気ヘッドスライダについて
も同様のCSS試験を行い、この結果を第5図にあわせて
示した。
アルミナ(λ=0.04)を突出させた時の潤滑剤付着率
カーブは、炭化チタン(λ=0.1)と、酸化チタン(λ
=0.008)のカーブの間に入っており、摩擦熱による潤
滑剤の減少量は、突出部材料の熱伝導率に顕著に依存す
ることが確認された。
さらに、第5図に示した実験結果をもとにして、熱伝
導率とCSS試験1500回後の潤滑剤付着率との関係につい
て調べた結果を、第6図に示した。
この結果より、潤滑剤の蒸発抑制効果を期待するため
には、放熱材である突出部の材料としては炭化チタン
(λ=0.1)と同程度の材料を使用する必要がある。そ
して、そのためには突出部材としては、熱伝導率が少な
くとも、0.07cal/(cm・sec℃)以上の材料であること
が望ましいことが確認された。
次に耐クラッシュ性についての試験を行った。
なお、比較のため、本実施例の炭化チタン11を用いた
磁気ヘッドスライダだけでなく、酸化チタンを突出させ
た従来の磁気ヘッドスライダについても同様の試験を行
った。
試験方法および条件を以下に記す。
試験は磁気ヘッドスライダを、周速20m/sで回転する
磁気記録媒体に一定圧力で押し付けて強制的に摺動さ
せ、クラッシュに至るまでのスライダ通過回数を測定す
ることにより行った。なお、潤滑剤の効果を確かめるた
め、潤滑剤を付着させていない磁気記録媒体についても
同じ試験を行った。
この試験結果を表1に示した。
潤滑剤を塗布した磁気記録媒体と組合せた場合、炭化
チタン11を突出させたものは、酸化チタンを突出させた
従来のものに比べ、クラッシュに至るまでのスライダ通
過回数が、5倍となり、飛躍的に耐クラッシュ性が向上
していた。
なお、潤滑剤を塗布しない磁気記録媒体を使った場合
には、酸化チタンを突出させた磁気ヘッドスライダの方
がスライダ通過回数が多いが、その差は小さかった。ま
た、潤滑剤付磁気ディスクと組合せた場合の試験結果と
比べると、耐クラッシュ性が大幅に劣っており、潤滑剤
の減少を抑制することの重要性が明確に現れていた。
(実施例2) この実施例2では、炭化チタン11の突出加工をイオン
ミリング方で行ったこと以外は、上記実施例1と同様に
して行った。
以下に、このイオンミリング法の条件を示す。
ガ ス Ar(アルゴン)ガス 流 量 15cc/秒 ガス圧 2.4×10-4Pa 投入パワー 600W 上記条件で、20分間イオンミリングを行い、炭化チタ
ン11を磁気ヘッドスライダ20の浮上力発生面13から約20
nm突出させた。なお、この突出加工中における浮上力発
生面13の温度の測定値は、約90〜100℃で、炭化チタン
から酸化チタンへの変化は発生していないことが確認さ
れた。
この実施例2の磁気ヘッドスライダを用いて、実施例
1と同様のCSS試験及び耐クラッシュ試験を行った結
果、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例3) この実施例3の磁気ヘッドスライダは、磁気ヘッドス
ライダの母材となるセラミック材料としてイットリウム
を固溶したジルコニアを用い、このジルコニアに炭化ケ
イ素(λ=0.3、Hv=2500)を添加したこと以外は上記
実施例1と同様である。そして、上記実施例1と同様に
して、浮上力発生面より炭化ケイ素を20〜30nm突出させ
た。
本実施例3の炭化ケイ素を突出させた磁気ヘッドスラ
イダを、実施例1、2と同じ方法で試験を行った。その
結果、炭化チタンを添加した時と同レベルの効果が得ら
れた。
(実施例4) 本実施例においては、実施例1の炭化チタンを突出さ
せた磁気ヘッドスライダ20を、塗布型磁気記録媒体30に
代わって、連続記録媒体と組合せた場合の耐クラッシュ
性等についての試験を行った。
この時使用した連続記録媒体40の構成を第7図に示し
た。
この連続記録媒体40は下地基板41の両面に磁性層43を
設け、これを酸化チタンよりも硬度の高い保護膜44によ
り保護している。すなわち、本実施例4の連続記録媒体
40においては、この保護膜44が、実施例1の耐クラッシ
ュ性試験で使用した塗布型磁気記録媒体30の補強材34の
役割を果たしている。この保護膜44には潤滑性を向上さ
せるために、潤滑膜45が設けられている。
試験の結果、この連続記録媒体40を用いた場合の耐ク
ラッシュ性についても、上述の塗布型磁気記録媒体30と
組合せた時と同様の効果が得られた。
以上のように、本発明の磁気ディスク装置は、磁気デ
ィスクの潤滑剤の減少を抑制して長寿命化を図ることが
できる。また、数百度で硬度の低い酸化チタンに変化す
る炭化チタンを使用していることにより、潤滑剤が減少
した場合でも、摩擦熱で炭化チタンが酸化チタンに変化
するので、磁気記録媒体を損傷することがない。さら
に、炭化チタンから酸化チタンへの変化は色により容易
に確認することができるため、潤滑剤の枯渇状況、磁気
ヘッドスライダの寿命をこの色の変化により判断するこ
とが可能である。
[発明の効果] 本発明によれば、磁気ヘッドスライダと磁気記録媒体
との接触の際に発生する摩擦熱による潤滑剤の蒸発を抑
制することができる。その結果、潤滑効果を長く引き出
すことが出き、磁気記録媒体の破壊の危険性を低下させ
ることが可能となる。さらに、この放熱材として数百度
で、硬度の低い物質に変化するものを使用した場合に
は、潤滑剤が枯渇しかけた場合の接触部の温度上昇によ
り、該放熱材が硬度の低いものに変質する。その結果、
磁気記録媒体が磁気ヘッドスライダとの接触により致命
的に破壊される危険性を低下させることができる等の効
果が得られる。
従って、本発明により信頼性の高い耐摺動性に優れた
磁気ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の磁気ディスク装置の一例の
構成を示す透視図、第2図は本発明が適用される磁気ヘ
ッドスライダの一例の構成を示す斜視図、第3図は本発
明が適用された磁気ヘッドスライダ浮上力発生面の構造
を模式的に示す断面図、第4図は本発明の一実施例とし
て、磁気記録媒体として用いられる塗布型磁気記録媒体
の膜構成を示す断面図、第5図は本発明による磁気ヘッ
ドスライダおよび従来の磁気ヘッドスライダのCSS試験
による潤滑剤付着率の変化を示すグラフ、第6図はCSS
試験1500回時における潤滑剤付着率とスライダ浮上面突
出部材の熱伝導率との関係を示すグラフ、第7図は本発
明の一実施例として磁気記録媒体として用いられる連続
記録媒体の膜構成を示す断面図である。 11……TiC(炭化チタン)、12……ZrO2(ジルコニ
ア)、13……浮上力発生面、20……磁気ヘッドスライ
ダ、21、22……スライダレール、23、24……浮上力発生
面、30……塗布型磁気記録媒体、31……下地基板、32…
…磁性層、33……潤滑膜、34……補強材、40……連続記
録媒体、41……下地基板、42……中間層、43……磁性
層、44……保護膜、45……潤滑膜、51……コイル、52…
…磁気回路、53……スピンドル組立体、54……キャリッ
ジ、55……ガイドアーム、56……ガイドレール、57……
レールハウジング、58……ベアリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 21/21 101 G11B 21/21 101K (72)発明者 風間 利紀 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 片岡 浩 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 斉藤 翼生 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (56)参考文献 特開 昭58−166562(JP,A) 特開 昭63−276769(JP,A) 特開 昭64−7316(JP,A) 特開 平1−213820(JP,A) 実開 平3−10309(JP,U)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】装着される磁気ディスクに対して相対運動
    をする磁気ヘッドスライダを備えた磁気ディスク装置で
    あって、 上記磁気ヘッドスライダは、その一部に、磁気ディスク
    と対向して浮上力を発生させる浮上力発生面を有し、該
    浮上力発生面の部分に、酸化されると硬度が酸化前より
    相対的に低くなる変質材からなる突起を形成して構成さ
    れ、 上記磁気ディスクは、上記変質材の酸化後の硬度よりも
    硬度の高い補強材を、磁性層に含したものであることを
    特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 【請求項2】上記磁気ヘッドスライダが、上記補強材よ
    りも硬度の低い物質を母材とすることを特徴とする請求
    項1記載の磁気ディスク装置。
  3. 【請求項3】上記磁気ヘッドスライダがジルコニアを母
    材とし、上記変質材が炭化チタンを含むものであり、さ
    らに上記補強材がアルミナもしくはダイヤモンドを含む
    ものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ディス
    ク装置。
  4. 【請求項4】上記変質材からなる突起の突出高さが、対
    向する磁気ディスクに塗布されている潤滑剤の塗布厚さ
    よりも大きく、かつ、上記磁気ヘッドスライダの上記磁
    気ディスク面からの浮上高さより小さいことを特徴とす
    る請求項1記載の磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】装着される磁気ディスクに対して相対運動
    をする磁気ヘッドスライダを備えた磁気ディスク装置で
    あって、 上記磁気ヘッドスライダは、その一部に、磁気ディスク
    と対向して浮上力を発生させる浮上力発生面を有し、該
    浮上力発生面の部分に、酸化されると硬度が酸化前より
    相対的に低くなる変質材からなる突起を形成して構成さ
    れ、 上記磁気ディスクは、連続記録媒体型の磁気ディスクで
    ある磁気ディスク装置。
  6. 【請求項6】上記変質材の酸化後の硬度よりも硬度の高
    い保護膜を、磁性層上に有する磁気ディスクを備えたこ
    とを特徴とする請求項5記載の磁気ディスク装置。
  7. 【請求項7】上記磁気ディスクは、さらに、表面に潤滑
    剤を有する磁気ディスクである請求項5記載の磁気ディ
    スク装置。
  8. 【請求項8】装着される磁気ディスクに対して相対運動
    する磁気ヘッドスライダを備えた磁気ディスク装着であ
    って、 上記磁気ヘッドスライダは、その一部に、磁気ディスク
    と対向して浮上力を発生させる浮上力発生面を有し、該
    浮上力発生面の部分に、該スライダを形成する母材より
    も熱伝導率の大きい放熱材からなる突起を形成して構成
    され、 上記放熱材からなる突起の突出高さが、上記磁気ディス
    クに塗布されている潤滑剤の塗布厚さよりも大きく、か
    つ、上記磁気ヘッドスライダの上記磁気ディスク面から
    の浮上高さより小さいことを特徴とする磁気ディスク装
    置。
  9. 【請求項9】セラミック材料を母材とし、炭化物、ダイ
    ヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質
    を、少なくとも該母材表面に粒状態で有する材料を焼結
    する工程と、 上記材料の表面から上記物質を選択的に突出させる工程
    と、 を含むことを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方
    法。
  10. 【請求項10】上記突出させる工程は、研磨である請求
    項9記載の磁気ヘッドスライダの製造方法。
  11. 【請求項11】上記突出させる工程は、イオンミリング
    法である請求項9記載の磁気ヘッドスライダの製造方
    法。
JP2262744A 1990-09-28 1990-09-28 磁気ディスク装置 Expired - Fee Related JP2708268B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2262744A JP2708268B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 磁気ディスク装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2262744A JP2708268B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 磁気ディスク装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04139674A JPH04139674A (ja) 1992-05-13
JP2708268B2 true JP2708268B2 (ja) 1998-02-04

Family

ID=17379983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2262744A Expired - Fee Related JP2708268B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 磁気ディスク装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2708268B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0090055B1 (de) * 1982-03-25 1985-11-21 Ibm Deutschland Gmbh Magnetkopfgleiter aus Keramikmaterial
JPH02187915A (ja) * 1989-01-13 1990-07-24 Fujitsu Ltd 磁気ヘッドスライダ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04139674A (ja) 1992-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3139323B2 (ja) 磁気ディスク装置及びスライダ
JP2743851B2 (ja) 磁気ヘッド
US7894162B2 (en) Method to protect the magnetic recording head from thermal asperities during disk drive operation
JP2708268B2 (ja) 磁気ディスク装置
JPH0737205A (ja) ヘッド接触式磁気ディスク装置
JP3270320B2 (ja) 磁気ヘッド
JP3466041B2 (ja) 磁気ヘッドおよびその製造方法
JPH11185418A (ja) 浮上式磁気ヘッド
JP3097663B2 (ja) 磁気ディスク装置
JP2933042B2 (ja) 磁気ディスク装置
JP4130145B2 (ja) 磁気ディスク装置及び磁気ヘッドスライダ
JPH08194930A (ja) 磁気ヘッドスライダおよびその製造方法、磁気記録装置
JP2901437B2 (ja) 磁気ディスク及び磁気ヘッド
JP2005235290A (ja) 磁気ヘッドスライダ
JP2006099907A (ja) 磁気ディスク装置及び磁気ヘッドスライダ
JPH09180177A (ja) 磁気記録媒体および磁気ディスク装置
JP2743991B2 (ja) 磁気記録再生装置
JPH01317226A (ja) 磁気ディスク用基板
JPH05128468A (ja) 浮上式磁気ヘツド
JPH04372703A (ja) 磁気ディスク装置
JP3287063B2 (ja) 浮動型磁気ヘッド用セラミックス材及びそれを用いた浮動型磁気ヘッド
JPS58185029A (ja) 磁気デイスク媒体
JP2003123422A (ja) 磁気ディスク装置及び磁気ヘッドスライダ
JPH08221733A (ja) 磁気ディスク媒体
JPH06259911A (ja) 磁気ディスク装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees