JP2707831B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 半導体素子が形成された半導体ウエハの積層体、もし
くは半導体インゴットを往復運動する切断手段によって
切断する半導体装置の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
第3図は従来技術による半導体ウエハ積層体の切断方
法を説明する要部の斜視図である。第3図において、1
は1個あるいはそれ以上の半導体素子が形成された円板
状半導体ウエハ1aをその素子形成面1bを重ねて積層して
なる半導体ウエハ積層体である。8は半導体ウエハ積層
体1を素子形成面1bと平行する下端面1cで保持する板状
基台であり、半導体ウエハ積層体1の直径よりも長い幅
を持ち互いに直交する1対の面を側面8a,8bとして持っ
ている。2は複数の切断体2aからなる半導体ウエハ積層
体1の切断手段であり、本従来例では切断体2aとしてピ
アノ線が用いられており、切断体2aは等間隔に配置され
切断手段2の図示しない支持手段により所定の張力で張
られている。また板状基台8は、その一方の例えば側面
8aが切断手段2の支持手段により引張られた切断体2aに
対して平行するよう図示しない固定台に固定される。前
述した構成によって半導体ウエハ積層体1の切断加工は
次のように実施される。すなわち、切断手段2は切断体
2aの引張方向と同方向でかつ円板状半導体ウエハ1aの素
子形成面1bと平行に往復運動を2bを行ない、切断加工
中、半導体ウエハ積層体1は板状基台8と固定台と一体
でほぼ一定速度で上向きに移動し、やがて切断体2aに上
端面で接触する。半導体ウエハ積層体1と切断体2aとの
間には油と砥粒の混合流体である図示しない研削材が供
給される。切断体2aの往復運動2bで付勢された研削材で
半導体ウエハ積層体1は切断体2aの張られた間隔による
切断幅で切断される。このようにして、一方の側面8aに
平行した切断行程が終了すると、板状基台8を一旦降下
させたうえで、板状基台9の他方の側面8bが切断体2aの
引張方向と平行するよう90度回転し、固定台に再度固定
する。これに伴い板状基台8に保持された半導体ウエハ
積層体1も90度回転されることとなる。そのうえで、再
度前述した内容の切断加工を実施する。かくして半導体
ウエハ積層体1から直方体に切断された半導体素子が多
数製造されることとなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述した従来技術による半導体ウエハ積層体の切断加
工においては、切断開始時に切断手段の切断体は研削材
を介して広い面積を持つ半導体ウエハ積層体の上端面で
接触することとなる。その際、半導体ウエハ積層体を構
成している円板状半導体ウエハが微視的には粗面をなし
ておりかつ広い面積を持つことのために、切断体の往復
運動の行程における円板状半導体ウエハ表面との接触点
はランダムに移動を続ける。これにより切断体に往復運
動と直角方向の加振力が加わることとなり、加振力をが
加わっても振動しないようにするため切断体の剛性を大
きくすることが必要であり、切断体としてピアノ線を用
いる場合太い直径のピアノ線を使用していた。このため
に切断加工時に広い切断しろを要することとなり、円板
状半導体ウエハ1枚当りから得られる半導体素子の数量
が減少してしまい問題となっていた。
本発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされたも
のであり、その目的は切断加工時の切断しろが狭くて済
む製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では前述の目的は、 1)半導体素子が形成された半導体ウエハを積層した積
層体を、前記積層体の積層方向に直交する平面方向で直
線的に往復運動を行う切断手段によって切断する半導体
装置の製造方法において、 前記積層体の積層高さよりも高い高さを持ち、前記往
復運動の切断方向で積層体の厚さより薄い厚さである薄
板状ガイド板を積層体の両側に備え、前記薄板状ガイド
板を先に切断を行い、前記積層体をこの薄板状ガイド板
とともに切断するようにしたこと、 2)半導体インゴットを、この半導体インゴットの軸と
直角面方向で直線的に往復運動を行う切断手段によって
切断する半導体装置の製造方法において、 前記半導体インゴットの直径よりも長い高さを持ち、
かつ短い厚さである薄板状ガイド板を半導体インゴット
の両側に備え、前記薄板状ガイド板を先に切断を行い、
前記半導体インゴットをこの薄板状ガイド板とともに切
断するようにしたこと、 3)前記1項または2項に記載の製造方法において、厚
さが1mmないし3mmである薄板状ガイド板を用いたこと、 4)前記1項ないし3項のいずれか1項に記載の製造方
法において、シリコン,ガラス,セラミックスおよび黒
鉛のうちの1つからなる薄板状ガイド板を用いたこと、 5)前記1項または2項に記載の製造方法において、ピ
アノ線またはブレードの切断手段を用いたこと、により
達成される。
〔作用〕
本発明においては、前述の構成としたので、切断加工
の開始時に切断手段の切断体は板状基台の側面に装着さ
れた薄板状ガイド板の狭い上端部にまず研削材を介して
接触することとなる。薄板状ガイド板の上端面がたとえ
微視的に粗面であっても、切断手段との接触面が狭く限
定されているために、切断手段の往復運動の行程におけ
る薄板状ガイド板との接触点は限定されるので、切断体
に加わる加振力は大幅に低減され、その結果薄板状ガイ
ド板切断時における切断体に生ずる振動もまた大幅に低
減される。また、半導体ウエハ積層体の上端面に切断体
が接触を開始する前に、切断体は薄板状ガイド板の切断
を続けており、その結果薄板状ガイド板には切断体の切
断しろによる狭い溝幅の櫛歯状溝が形成される。この状
態で、切断体は広い面積を持つ半導体ウエハ積層体の上
端部に接触を開始することになるが、この時すでに切断
体は、狭い溝幅の櫛歯状溝によりガイドされているの
で、たとえ切断体の往復運動と直角方向に加振力を受け
ても、切断体の振動は大幅に抑制される。
〔実施例〕
以下本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明す
る。第1図は本発明の一実施例による半導体ウエハ積層
体の切断方法を説明する要部の斜視図である。第3図の
従来例と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略
する。第1図において3は板状基台であり、従来例の板
状基台8と異なるのは、薄板状ガイド板装着のための図
示しない例えばねじ孔を側面3a,3bに必要に応じ備えて
いることのみである。板状基台3は、まず一方の側面例
えば側面3aが切断手段2の支持手段によって引張られた
切断体2aに対して平行するよう固定台に固定される。4
は、板状基台3の互いに直交する側面3aならびに3bに装
着され、半導体ウエハ積層体1の積層高さよりも高い高
さを持ち、半導体ウエハ積層体1の直径よりも長い幅を
持つ対をなす薄板状ガイド板である。
前述した構成によって行なわれる本発明による半導体
ウエハ積層体1の切断加工は次のように実施される。す
なわち、切断手段2は切断体2aの引張方向と同方向に往
復運動2bを行ない、切断加工中半導体ウエハ積層体1、
薄板状ガイド板4、板状基台3および固定台は一体でほ
ぼ一定の速さで上向きに移動し、やがて半導体ウエハ積
層体1よりも高い高さを持つ薄板状ガイド板4の上端部
4aが切断体2aと接触する。切断体2aと半導体ウエハ積層
体1ならびに薄板状ガイド板4の間には従来技術同様に
研削材が供給される。切断体2aの往復運動で付勢された
研削材で薄板状ガイド板4はその上端部4aから切断体2a
の張られた間隔による切断幅で切断が開始される。薄板
状ガイド板4の切断体2aによる切断が進むと、薄板状ガ
イド板4には切断体2aの張られた間隔による切断幅で、
切断体2aであるピアノ線の直径に従う狭い溝幅の櫛歯状
溝が形成される。この状態で切断体2aは半導体ウエハ積
層体1の上端面に研削材を介して接触し、半導体ウエハ
積層体1の切断を開始する。半導体ウエハ積層体1の切
断開始に際し、円板状半導体ウエハ1aが微視的に粗面を
なしておりかつ広い面積を持つことのために、切断体2a
は従来技術と同様に往復運動2bと直角方向に加振力を受
けるが、前述した薄板状ガイド板4に形成された櫛歯状
溝によってガイドされているために、切断体2aに発生す
る振動は大幅に抑制されることになる。これにより、切
断体2aの剛性の低減が可能となり切断体2aとして細い直
径のピアノ線を選定することができる。この結果切断加
工時の切断しろが狭くなしえて、円板状半導体ウエハ1a
1枚当りから得られる半導体素子の数量を増加すること
ができる。なお、これ以後の切断加工の内容は従来技術
の場合と同様である。
薄板状ガイド板4の材質は半導体ウエハ積層体1の材
質と同一であることが、半導体ウエハ積層体1ならびに
薄板状ガイド板4を同時に切断加工を行なう点から好ま
しく、その点から半導体ウエハ積層体1の多くがシリコ
ン製半導体であることから、シリコンであることが好ま
しい。しかし、前記した加工方法においては、その硬度
と研削材による被研削性がシリコンとほぼ同じである材
料であるなら適用可能である。この点から実用的には、
ガラスが選定されることが多い。また、この他にセラミ
ックスあるいは黒鉛も適用可能である。
また薄板状ガイド板4の厚さは、機械強度,寸法精度
などを総合的に検討して定められるべきものであり、ま
ず最低厚さについては、機械強度の点から1mm以上に定
めるのがよく、また最高厚さについては、過度に厚くな
ると切断体2aとの接触面を限定して加振力を抑制すると
いう効果が減少し、切断体2aが薄板状ガイド板4の上端
面4aの切断を開始する際振動を生ずることで、薄板状ガ
イド板4に形成される櫛歯状溝の間隔が等間隔ではなく
なる怖れが生じることと、価格が高価となることから、
3mm以下に定めることが好ましい。
また、薄板状ガイド板4の半導体ウエハ積層体1に対
する位置は、切断体2aが加振力を受けてもより効果的に
振動の発生を抑制することが容易となしえる点から、極
力半導体ウエハ積層体1に接近して設けることが好まし
い。
第2図は本発明の一実施例による半導体インゴットの
切断方法を説明する要部の斜視図である。第1図ならび
に第3図と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省
略する。7は例えば円柱状をなした半導体インゴットで
ある。5は半導体インゴット7をその側面で保持する板
状基台であり、半導体インゴット7の直径よりも長い幅
を持ち、半導体インゴット7の長さよりも長い長さを持
ち、長さに応ずる端面5aと幅に応ずる端面5bは互いに直
交し、しかも長さに応ずる端面5aに薄板状ガイド板装着
のための図示しない例えばねじ孔を必要に応じ備えてい
る。6は板状基台5の長さに応ずる端面5aに装着する対
をなす薄板状ガイド板であり、半導体インゴット7の直
径よりも長い高さを持ち、半導体インゴット7の長さよ
りも長い幅を持つものである。
前述した構成によって行なわれる本発明による半導体
インゴット7の切断加工は、半導体インゴット7を軸方
向に切断して複数の円板状半導体片を得るためになされ
るものであり、その切断加工の内容は、前述した第1図
による実施例に対する説明と同様に行なわれるものであ
る。
以上の説明において切断体2aはピアノ線であるとして
きたが、切断体2aは断面矩形状で薄い厚さを持つ長い平
板(以下、ブレードと記述する)であっても前記加工法
と同様に実施できるものである。
また以上の説明において研削材は油と砥粒の混合流体
であり、切断体と半導体ウエハ積層体1もしくは半導体
インゴット7および薄板状ガイド板の間に供給されるも
のであるとしてきたが、切断体に接着されたダイヤモン
ド粒など砥粒であっても前記加工方法と同様に実施でき
るものである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、前述した通り、半導体ウエハ積層体
もしくは半導体インゴットを切断加工するのに際し、半
導体ウエハ積層体もしくは半導体インゴットを保持する
板状基台の側面に半導体ウエハ積層体の積層高さもしく
は半導体インゴットの径よりも高い高さを持ち薄板状ガ
イドを装着し、切断体がまず薄板状ガイド板の切断を行
ない、薄板状ガイド板に狭い溝幅の櫛歯状溝を形成し、
この溝で切断体をガイドするようにした。これによって
半導体ウエハ積層体もしくは半導体インゴットの切断加
工に際し、切断体が加振力を受けてもその剛性を大き
く、すなわちピアノ線の直径を太くあるいはブレードの
板厚を厚くすることなく、振動の発生を抑制できるよう
にすることができる。この結果、直径60mmの円板状半導
体ウエハを積層した半導体ウエハ積層体の切断加工を行
なう場合を例にとると、従来技術による方法であっては
切断体として直径0.16mmのピアノ線を必要としていたの
に対して、本発明による方法を適用し、厚さ3mmのシリ
コン製薄板状ガイド板を装着することで、直径0.1mmの
ピアノ線の採用で切断しろを少なく、しかも寸法精度良
好に所定の切断加工を実施することができた。以上説明
した通り本発明の加工方法の採用により、円板状半導体
ウエハ1枚当りからの半導体素子や、半導体インゴット
1本当りからの円板状半導体片の製造数量を増大できる
とともに、これによって半導体素子の価格を低減できる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による半導体ウエハ積層体の
切断方法を説明する要部の斜視図、第2図は本発明の一
実施例による半導体インゴットの切断方法を説明する要
部の斜視図、第3図は従来技術による半導体ウエハ積層
体の切断方法を説明する斜視図である。 1……半導体ウエハ積層体、2……切断手段、2a……切
断体、3……板状基台、4……薄板状ガイド板。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体素子が形成された半導体ウエハを積
    層した積層体を、前記積層体の積層方向に直交する平面
    方向で直線的に往復運動を行う切断手段によって切断す
    る半導体装置の製造方法において、 前記積層体の積層高さよりも高い高さを持ち、前記往復
    運動を切断方向で積層体の厚さより薄い厚さである薄板
    状ガイド板を積層体の両側に備え、前記薄板状ガイド板
    を先に切断を行い、前記積層体をこの薄板状ガイド板と
    ともに切断するようにしたことを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  2. 【請求項2】半導体インゴットを、この半導体インゴッ
    トの軸と直角面方向で直線的に往復運動を行う切断手段
    によって切断する半導体装置の製造方法において、 前記半導体インゴットの直径よりも長い高さを持ち、か
    つ短い厚さである薄板状ガイド板を半導体インゴットの
    両側に備え、前記薄板状ガイド板を先に切断を行い、前
    記半導体インゴットをこの薄板状ガイド板とともに切断
    するようにしたことを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の製造方法におい
    て、厚さが1mmないし3mmである薄板状ガイド板を用いた
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    製造方法において、シリコン,ガラス,セラミックスお
    よび黒鉛のうちの1つからなる薄板状ガイド板を用いた
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2に記載の製造方法におい
    て、ピアノ線またはブレードの切断手段を用いたことを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
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