JP2704878B2 - オーバレイ・コーティング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、支持体上に熱障壁を結合するオーバレイ・
コーティングの提供に関する。上記のオーバレイ・コー
ティングは、特に腐食や浸食が発生しそうな高温環境に
さらされる構成部分に用いられるが、上記コーティング
の主要な、但し必ずしも唯一ではない応用は、ガスター
ビン・エンジンの部品、特にガスタービンの燃焼筒製
品、静翼および動翼、ならびに案内羽根に対するもので
ある。

従来の技術 適宜に作られた支持体表面に、プラズマ析出プロセス
を用いてMCrAlY（ここにＭはニッケルもしくはコバル
ト、またはニッケルおよびコバルトなどの適当な金属）
から成る保護層を最初に噴霧コーティングし、次いで保
護層内のそれよりも可成り粗大な粒子を析出物内に生成
するフレーム（火災）析出プロセスにより金属から成る
固着層を噴霧コーティングし、次いでプラズマ溶着法に
より耐火材料から成る熱障壁を噴霧コーティングするこ
とによってオーバレイ・コーティングを生成することが
提案されている。

発明が解決しようとする問題点 この手順は概して申し分のないものであるが、これに
は若干の理想的でない面がある。例えば、複雑で内曲す
る表面に対するフレーム噴霧は困難且つ高価となる可能
性がある。

問題点を解決するための手段 本発明によれば、支持体上に、複合電解又は無電解析
出によりCrAlM₂の粒子を含有する金属マトリックスM₁で
あって、M₁はNiもしくはCoまたはその両方、M₂はＹ、S
i、Ti、Hf、Taまたは希土類元素の内一つ以上である金
属マトリックスM₁の保護層を形成し、該保護層上に、複
合電解又は無電解析出により保護層のCrAlM₂の粒子より
大きい粒度の粒子を含有する金属マトリックスの固着被
覆を形成し、次いでプラズマ析出プロセスにより耐火材
料から成る熱障壁を噴霧コーティングすることにより、
支持体にオーバレイ・コーティングが得られる。

ここで「複合電解または無電解析出」とは、電解また
は無電解析出（即ち電解または無電解メッキ）が、不溶
性の粒子を含むメッキ浴中で行われる電解または無電解
解析出を意味し、この複合電解または無電解析出により
得られる層には粒子が混在するようになる。

従って本発明は、保護層と固着被覆とが何れも、フレ
ーム噴霧されるのではなく、めっきされる、という点に
おいて、さきに提案されたそれとは異なるものである。

めっきによるM₁CrAlM₂層の形成は、ある段階で熱処理
により修正されるコーティングを形成することを目的と
する英国特許第2,167,446−Ａ号明細書に既に提案され
ており、その明細書は粒度の綿密な制御がなされるべき
ことを強調しており、概括的に提示された粒度の要件
は、析出されたコーティング内の粒子の少なくとも99
（重量）％が25μｍ未満または少なくとも95％が3.0〜1
3.6μｍである、としている。同明細書には電着により
極めて望ましい表面仕上がりを有するコーティングが生
成される、と述べてある。めっきは、滑らかな、光沢さ
えある、表面を備えたコーティングを形成することで周
知されており、この粒度の粒子の析出されたマトリック
スへの結合によって比較的滑らかな表面が更にもたらさ
れる。噴霧されたMCrAlYコーティングは表面の粗さが不
充分なので、充分な付着性を以て、熱障壁を、噴霧コー
ティングされたMCrAlYコーティングへ直接に付着させる
ことはできない。粗い粒子を用いて噴霧コーティングさ
れた固着被覆が必要とされていた。従って、熱障壁の素
地を用意する際、複合めっきは全く無用であろうと考え
られる。しかし、最も驚いたことにより、より大きい粒
子を含むめっきされた固着被覆を後続させているめっき
M₁CrAlM₂被覆によって最も満足な素地が得られ、その上
に、層間に全く充分な付着性を保ちながら、噴霧コーテ
ィングにより熱障壁を付着させ得ることが見いだされた
のである。このように、めっきされた固着層は、荒い定
着面を形成するために用いられるが、これは、平滑度の
一つである普通に容認されるめっきされた被覆の性質と
全く反対のものである。

固着被覆の好適な成分は保護層のそれと同一またはそ
れに類似しているがそれは、固着機能を備えることに加
えて、下層をなす保護層が設けられるためのそれと同様
な作動条件にこの被覆がさらされるためである。

保護層を付着させるための好適な成分ならびにその方
法は、前述の英国特許第2,167,446−Ａ号明細書に記述
されたそれらであり、使用され得る装置および方法の更
に詳細については、英国特許明細書第2,014,189−Ａ号
明細書および米国特許4,305,792号明細書を参照された
い。上記の装置および方法は、固着被覆を付着させるた
めに使用することができる。

実施例および作用 本発明は種々の方法で実施できるが、ここで例示のた
め、ガス・タービン翼に設ける一つの特定のオーバレイ
の形成について説明する。

翼は先ず、めっきに適した準備処理を施され、一つの
例ににあっては、それが２分間、シアン化物の洗浄剤に
浸せきされ、水洗がこれに続き、塩化第二鉄エッチング
液内での30秒間の浸せきによりエッチングされ、水洗が
これに続き、1dm²当たり3.5Aの電流密度で３分間、ニッ
ケル浴に置くことによりニッケル層を施される。次いで
翼は、米国特許第2,014,189号明細書に記述されためっ
き用バレル内に保持され、陰極接点に接続される。米国
特許第2,014,189号明細書に記述された技法を用いて0.0
76〜0.127mmの厚さにCoNiCrAlYのコーティングが翼に施
されるが、メッキ浴はCoNiめっき液を含有し、粒子は重
量でCr60、Al40、Y1.7の割合のものを含むCrAlYであ
る。粒度分布は、５μｍ未満で５（重量）％、10μｍ未
満で10〜15（重量）％、20μｍ未満で35〜55（重量）％
の最大値である。別の粒度分布は、５μｍ未満で7.7
（重量）％、10μｍで56（重量）％、20μｍ未満で94
（重量）％、30μｍ未満で99（重量）％の最大値であ
る。

保護層を備える翼は装置から取り外されて洗浄され、
次いでCoメッキ用装置内に配置された。この装置は、コ
バルトめっき液を含有し且つ保護層のために用いたと同
じ組成を有しながら後段に述べるような異なる粒度分布
を有するCrAlY粒子を含有する。このCoメッキ用装置の
詳細は英国特許出願第2182055号に記述されている。最
初のM₁CrAlY被覆から第二の定着被覆プロセス段階への
移動に遅延が生ずると、構成成分の表面は、塩化第二鉄
エッチング液内での浸せきと最初の前処理と同様なニッ
ケル層の付与とにより、再活性化される。粒度分布は、
150μｍを超える粒度については粉末の１％以下、38μ
ｍ未満の粒度については15％以下となるようになされ
る。めっきは、0.025〜0.15mmの厚さを有する固着被覆
を生成するように行われる。

ついで、翼は取り出され、洗浄される。コーティング
は次いで、表面の粉末を析出層に接着させるため、真空
熱処理される。例えば翼を、1115℃で２時間、もしくは
1050〜1100℃の範囲内で２時間、または900〜1200℃の
範囲内で、1200℃で最大２時間もしくは900℃で最小1/4
時間で、処理することもできる。次いで熱障壁が、プラ
ズマ・フレーム溶着方法により、固着被覆上に噴霧され
る。この被覆は本質的に、重量で、７〜９％のY₂O₃、最
大1.5％のSiO₂、0.5％のCaO、0.3％のMgO、0.4％のFe₂O
₃、0.2％のAl₂O₃、および0.2％のTiO₂、それに残余がZr
O₂と言う化学組成を有する８％イットリアによって安定
化されたジルコニアから成る。粒度分布は、74μｍを超
える粒度については最大10％、44μｍ超については65〜
100％、44μｍ未満については最大25％となるようにな
される。真空熱処理を固着被覆の付着後に行う代りに、
それを熱障壁の付着後に同じ方法で行っても良い。

英国特許第2,041,189号明細書に記述された方法に代
わる方法として、本出願人等の英国特許出願第8526546
号（公告第2182055号）に記載の装置および方法により
保護層と固着被膜とを付着させることもできる。

本発明による上述の方法で片側にコーティング（被
覆）され、また表面温度を２分間に1050℃に上昇させ且
つ２分間でこの温度を降下させるためフレーム（火災）
の内外に動かされた、パドル形（櫂状の）試験片につい
ての熱サイクル試験中、この試験片は、代表的な商業上
の容認レベルが500熱サイクルであるところを、1000熱
サイクルに充分に耐えたのである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン フォスター イギリス国 エイボン，ウェストン‐ス ーパー‐メアー，ウォーレ，ビアン エ ンド ３ (56)参考文献 特開 昭55−112804（ＪＰ，Ａ) 特公 昭59−50752（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持体上にオーバレイ・コーティングを形
   成する方法にして、 （イ）該支持体上に、複合電解又は無電解析出によりM₂
   をＹ、Si、Ti、Hf、Ta又は希土類元素の内の一つ以上と
   したときにCrAlM₂の粒子を含有するNiもしくはCo又はそ
   の両方である金属マトリックスM₁の保護層を形成する段
   階と、 （ロ）該保護層上に、複合電解又は無電解析出により保
   護層のCrAlM₂の粒子より大きい粒度の粒子を含有する金
   属マトリックスの固着被覆を形成する段階と、 （ハ）該固着被覆上に、プラズマ溶着方法により耐火材
   料の熱障壁を噴霧コーティングする段階 とを含む上記方法。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項に記載の方法におい
   て、固着被覆の粒子が、保護層の粒子より大きい粒度で
   あり、かつ保護層の粒子と同じ組成であるようにした方
   法。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の
   方法において、保護層の粒子の粒度分布が、５μｍ未満
   で５重量％、10μｍ未満で10〜15重量％、20μｍ未満で
   35〜55重量％の最大値を有するようにした方法。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第３項に記載の方法におい
   て、固着被覆の粒子の粒度分布が、150μｍ超で１重量
   ％の最大値と、38μｍ未満で15重量％の最大値とを有す
   るようにした方法。