JP2703177B2 - 高圧鋳込用泥漿の調製方法 - Google Patents

高圧鋳込用泥漿の調製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高圧鋳込用泥漿の調製方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器製品の成形素地を形成する一手段
として、例えば特開平4−48604号公報に示されて
いるように、成形素地の原料粉体からなる泥漿を多孔質
の鋳込成形型内に加圧状態で供給して、泥漿中の水分を
成形型の内外の差圧により成形型の多孔質壁を透過させ
て除去し、泥漿中の粉体成分を成形型の内壁面に着肉さ
せて所望の形状の成形素地を鋳込成形する方法がある。
当該鋳込成形方法は、複雑な形状の陶磁器製品の成形素
地を容易に成形できること、および成形設備費が安価な
こと等から、各種の陶磁器製品の製造分野で広く使用さ
れている。
【0003】また、当該鋳込成形で使用される泥漿は一
般には、粘土と他の陶磁器用原料(以下単に陶磁器原料
ということがある)とをボールミル内で水とともに収容
して湿式粉砕、湿式混合して調製される。この場合、湿
式粉砕および湿式混合を効率よく行うにはボールミル内
の混合物に適正な粘性を付与する必要があり、混合物の
粘度が高すぎると粉砕、混合が困難になり、また混合物
の粘性が低すぎると粉砕効率が極端に低下することにな
る。一般には、湿式粉砕および湿式混合における混合物
中の水分は45〜55重量%とされている。一方、泥漿
の水分については、成形型への鋳込時適正な流動性を保
持するためには含水量が30〜40重量%の範囲が好ま
しいとされており、このような含水量の泥漿を用いて鋳
込成形され、含水量が20重量%程度の成形素地とされ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、鋳込成形を
工業的に行うには鋳込成形工程に要する作業時間の短縮
を図ることが有利であり、これを達成するには使用する
泥漿の調製時間の短縮、および鋳込時間の短縮を図るこ
とが考えられる。しかしながら、従来のごとく原料をボ
ールミル内で効率よく湿式粉砕および混合混合する場合
には、得られる泥漿の含水量は45〜55重量%という
高い値であることから、このような高い含水量の泥漿を
採用して含水量20重量%程度の成形素地を得るには泥
漿中の水分の除去に長時間を要し、鋳込時間が長くなる
という問題がある。
【0005】かかる問題に対処するには、含水量の高い
泥漿を加熱処理して水分を蒸発させて、泥漿中の含水量
を鋳込時の流動性が適正に保持される30〜40重量%
の範囲に調整し、鋳込成形時の泥漿中の水分の除去時間
の短縮を図ることが考えられる。しかしながら、かかる
水分除去手段を採用する場合には、泥漿の加熱処理に余
分の時間が必要であるとともに、水分の蒸発度合が泥漿
全体で均一にはならないために、泥漿中の粉体の微粒子
の凝集状態が変化する。従って、かかる泥漿を採用して
鋳込成形された形成素地では、素地の強度が低下するお
それがある。また、鋳込時間の短縮を図る手段として
は、上記公報に示されているように、鋳込圧力を高くす
る高圧鋳込成形が考えられる。しかしながら、鋳込圧力
を高くすると、泥漿中の原料粉体中の微粉体である粘土
成分の成形型の内壁への目詰りが増大して、鋳込時間の
大幅な短縮は期待し得ない。
【0006】従って、本発明の目的は、泥漿の調製を十
分に考慮することにより、高圧鋳込に適した泥漿を短時
間に調製可能にして、泥漿の調製時間と鋳込時間の両時
間の短縮を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、乾燥粘土の粉
体と他の陶磁器用原料の粉末とを乾燥状態で均一に混合
してなる乾燥粘土含有の原料粉体を水と混練して高圧鋳
込用泥漿を調製する方法であり、前記混練手段として、
トラフ内に凸レンズ形断面のロールとスクリューにて形
成された混練領域と送り領域を備えたレンズロール形混
練機構を採用して、前記トラフの上流側の供給口から同
トラフ内に前記原料粉体および水を供給するとともに、
前記トラフの下流側の排出口から同トラフ内で生成され
る泥漿を排出させることを特徴とするものである。
【0008】本発明において、乾燥粘土とは、蛙目粘
土、カオリン、木節粘土、焼粘土等であって、カオリナ
イト、メタハロイサイト、パイロフェライト、モンモリ
ロナイト、ハロイサイト、ディッカイト等の1または複
数の鉱物組成物からなるもので、120℃〜400℃で
加熱乾燥させ、加熱処理の前または後に粉砕して粉体と
したものである。粉体は平均粒子径が1〜5μm程度の
もので、その一部または全てのものが一次粒子が凝集し
て形成された二次粒子であることが好ましい。また、本
発明において、他の陶磁器用原料とは、長石質原料、珪
酸質原料、アルミナ質原料、陶石、蝋石等で、石英、正
長石、曹長石、灰長石、セリサイト、コランダム等の1
または複数の鉱物組成物からなるものであり、粉砕して
乾燥粘土の粉体と同等またはこれより大きい平均粒子径
のものであることが好ましい。本発明で調製される泥漿
は、その含水量が鋳込成形に適正な粘性を保持する25
〜40重量%のものである。
【0009】
【発明の作用・効果】本発明に係る調製方法において
は、乾燥粘土含有の原料粉体を水と混練するものである
ため、添加する水分量を容易にかつ短時間に任意に調整
して任意の含水量の泥漿を短時間に調製することができ
る。特に、原料粉体と水を混練して泥漿を調製する混練
手段として、トラフ内に凸レンズ形断面のロールとスク
リューにて形成された混練領域と送り領域を備えたロー
ル形混練機構を採用しているため、原料粉体と水の混合
物はトラフ内にて、ロール同志の接触面における剪断と
へら撫で、トラフとロール間で分割された混練室内の容
積変化に伴う圧縮、トラフとロールの接触面における剪
断、混練物とロールおよびトラフ壁とのスリップによる
へら撫で等により、トラフ内の混合物は効率よく混練作
用を受けて送り出される。このため、原料粉体は含有す
る乾燥粘土の凝集粒子の大部分が解砕されることなく水
と混練され、また水分量が少なくても短時間に均一な混
練がなされ、任意の含水量の泥漿、例えば鋳込成形に適
正な粘性を保持する25〜40重量%の含水量の泥漿を
短時間に調製することができる。
【0010】また、本発明に係る調製方法で調製された
泥漿においては、粘土成分の一部および全てが二次粒子
の形態を保持していることから、粘土成分が二次粒子よ
り小さい一次粒子の形態にある従来の泥漿に比較して、
鋳込時における成形型の多孔質壁への目詰まりが大きく
抑制されて同壁の水分透過性を良好に保持するため、泥
漿の原料粉体の成形型の内壁面への着肉および着肉した
固形成分中の水分の透過性が良好である。従って、かか
る泥漿を使用して鋳込成形した場合には、泥漿が低含水
量であることと相乗して成形素地を所定含水量に除去す
るまでの時間が短くなり、鋳込時間を大幅に短縮するこ
とができる。
【0011】
【実施例】
(泥漿の調製手順)本発明における泥漿調製方法の手順
の一例を図1に示す。同図において、粘土原料とは乾燥
粘土の粉体を生成するための原料であり、蛙目粘土、カ
オリン、木節粘土、焼粘土等の1また複数ものをいう。
また、他の陶磁器用原料(以下単に陶磁器原料というこ
とがある)とは長石質原料、珪酸質原料、アルミナ質原
料、陶石、蝋石の1または複数のものをいう。これらの
両原料は乾式粉砕されて、乾燥粉末とされる。
【0012】粘土原料は水分を含むため、これを熱風乾
燥しつつ微粉砕できるローラ転動ミルを使用して、平均
粒子径が1〜5μmの粉体に生成される。この熱風乾燥
において、加熱温度が120℃未満の場合には粒子の表
面に付着する水分の除去量が少なくて、乾燥粘土の粉体
を水に分散させると粉体は加熱処理しない状態に戻り、
泥漿中での粉体の粒子径は加熱処理しない一次粒子と同
様の状態となる。また、加熱温度が400℃を越える場
合には、粉体の粒子の表面に付着する水分の除去量が加
熱温度に応じて多くなって粘土としての可塑性が損なわ
れ、粘土としての特性を欠くことになる。また、陶磁器
原料はローラ転動ミル、ジェットミル等を使用して乾式
粉砕され、平均粒子径が1〜8μmの粉体に生成され
る。但し、陶磁器原料の粒子径は、乾燥粘土の粒子径と
同等またはこれより若干大きくすることが好ましい。
【0013】これらの両乾燥粉体は所定の割合で乾式混
合機に収容されて均一に乾式混合され、泥漿用組成物に
生成される。使用する乾式混合機としてはインペラを備
えたもので、インペラの高速回転により強力剪断力を生
じる混合機を採用することが好ましい。泥漿用組成物と
しては、乾燥粘土の粉体が5〜40重量%、陶磁器原料
の粉体が95〜60重量%である。泥漿用組成物には水
が添加されるとともに、必要により解膠剤、凝集剤等が
添加されて、例えば図2に示す混練機により均一に混練
されて泥漿が調製される。泥漿の含水量は乾燥粘土の量
によって異なるが、鋳込用泥漿としての好ましい流動性
を保持し得る範囲内でできる限り少なく設定することが
好ましく、含水量は25〜40重量%が好ましい。
【0014】(混練機)本発明の泥漿の調製には、図2
に概略的に示す混練機が採用される。当該混練機はレン
ズロール形混練機で、トラフ11内に回転可能に支持さ
れた2本の回転シャフト12と、これらの回転シャフト
12上に組付けられたスクリュー13および多数のロー
ル14を備えている。ロール14は基本的には凸レンズ
の形状のものであるが、混練機能を有するフラットロー
ル、混練と送り機能を有するヘリカルロール、および逆
送り機能を有する逆ヘリカルロールの3種類のものを交
互に組合わせて、かつ位相を適宜ずらして各回転シャフ
ト12上に組付けられていている。両回転シャフト12
は水平方向に並列していて、駆動モータ15の駆動によ
り同一方向に同一速度で回転する。これにより、当該混
練機においては、トラフ11内には送り領域、混練・
送り領域および混練領域、混練・送り領域が形成さ
れている。また、トラフ11の上流側には泥漿用組成物
および水を供給する2つの供給口11a,11bを備え
ているとともに、下流側には排出口11cを備えてい
て、両供給口11a,11bから供給された泥漿用組成
物および水はトラフ11内の各領域を経て泥漿に調製さ
れて排出口11cから排出される。
【0015】図3には当該混練機の混練原理が模式的に
示されている。当該混練機では、両回転シャフト12上
に組付けられて互いに対向する一対のレンズ形ロール1
4、およびスクリュー13は常に一方の先端が他方をこ
するように矢印方向に回転し、トラフ11とロール14
間で分割された各混練室R1,R2,R3内の混合物はロ
ール14の回転に伴って、同図の(a),(b),
(c),(d)の順に圧縮、引き延ばしの容積変化を受
けると同時に軸方向へ移動され、ロール14同士の接触
面間における剪断とヘラ撫で、トラフ11とロール14
間で各混練室R1,R2,R3での容積変化に伴う圧縮、
トラフ11とロール14の接触面における剪断、混練物
とロール14およびトラフ11内壁のスリップによるヘ
ラ撫で等により、十分に混練される。
【0016】(泥漿調製実験1)本実験では、200℃
で熱風乾燥しつつ粉砕して得られた乾燥粘土の粉体(平
均粒子径2μm)と、陶磁器原料である珪砂、長石およ
びアルミナの乾燥粉体(平均粒子径4μm)とを、重量
%で20:38:32:10の割合に添加して乾式混合
機で均一に混合して泥漿調製用の原料粉体として、図2
に示すレンズロール形混練機と、この外にホイール形混
練機、ボール形混練機、ブレード形混練機および円筒ロ
ール形混練機の5種類の混練機を採用して常温で泥漿を
調製する実験を行った。本実験では、一定水分(泥漿の
含水量30重量%)での混練性、混練時間、混練限界水
分を検討した。得られた結果を表1に示す。また、かか
る実験に併せて乾燥粘土の含有量を変化させた場合の混
練限界水分についても検討し、図4に示すグラフの結果
を得た。
【0017】表1を参照すると、混練性に関してはレン
ズロール形混練機が最も高く、ボール形混練機、ブレー
ド形混練機の順であり、ホィール形混練機および円筒ロ
ール形混練機は最も低い。混練限界水分および混練時間
についても同様の結果が得られた。また、図4のグラフ
から明らかなように、乾燥粘土の含有量の増加に伴い混
練化可能な最低水分量が増加するが、レンズロール形混
練機の場合が最低でボール形混練機、プレード形混練機
の順である。乾燥粘土を20重量%を含有する原料粉体
に対する混練限界水分は、レンズロール形混練機(a)
では25重量%、ボール形混練機(b)では29重量
%、ブレード形混練機(c)では40重量%である。
【0018】
【表1】
【0019】(泥漿調製実験2)本実験では、200℃
で熱風乾燥しつつ粉砕して得られた乾燥粘土の粉体(平
均粒子径2μm)と、陶磁器原料である珪砂、長石およ
びアルミナの乾燥粉体(平均粒子径4μm)とを、重量
%で10:40:35:15の割合に添加して乾式混合
機で均一に混合して泥漿調製用の原料粉体として、図2
に示すレンズロール形混練機と、ボール形混練機を使用
して20℃で泥漿を調製する実験を行った。本実験で
は、泥漿の水分量を適宜に変更した場合の泥漿の水分量
と泥漿の粘度の関係を検討した。得られた結果を図5の
グラフに示す。同グラフにおいては、実線のグラフがレ
ンズロール形混練機により調製された泥漿、破線のグラ
フはボール形混練機により調製された泥漿を示してお
り、これらの結果から泥漿の水分量が40重量%以下の
範囲においては、同一の水分量であってもレンズロール
形混練機で調製された泥漿の方がボール形混練機で調製
された泥漿よりも粘度が相当低いことがわかる。この理
由は、泥漿をレンズロール形混練機で調製する場合には
ボール形混練機で調製する場合に比較して、乾燥粘土の
凝集粒子が解砕される程度が非常に少ないことに起因し
ているものと推測される。
【0020】(鋳込実験1)本実験では、泥漿調製実験
1で採用した原料粉体を採用して、図2に示すレンズロ
ール形混練機により各含水量の泥漿(d),(e)を常
温で調製するとともに(乾式調製)、従来の湿式粉砕、
湿式混合により泥漿(f)を調製し(湿式調製)、これ
らの泥漿について鋳込実験を行って、泥漿の含水量(泥
漿水分)と鋳込時間との関係を検討した。その結果を図
6のグラフに示す。なお、鋳込実験では鋳込圧力を20
kg/cm2とし、直径130mm、厚み30mmで含
水量20重量%の円板状の成形素地を得た。図6のグラ
フを参照すると、泥漿の含水量は鋳込時間に大きく影響
し含水量の増加に応じて鋳込時間が長くなるが、従来の
方法を採用して調製された泥漿(f)に比較して、本発
明の方法を採用して調製された泥漿(d),(e)は鋳
込時間が短くて済む。すなわち、本発明の方法で調製さ
れた泥漿(d),(e)では、その含水量を鋳込時に必
要な流動性を保持し得る最小の含水量に容易に調整する
ことができて、鋳込時間の短縮を図ることができる。
【0021】(鋳込実験2)本実験では、原料粉体を構
成する粘土の乾燥条件を変えて粉体とした以外は泥漿調
製実験1で採用した原料粉体と同様の組成の原料粉体を
採用して、図2に示すレンズロール形混練機により乾燥
条件の異なる各泥漿(g)〜(i)を常温で調製すると
ともに、従来の湿式粉砕、湿式混合により泥漿(j)を
常温で調製し、これらの泥漿について鋳込実験を行っ
て、鋳込圧力と鋳込時間の関係を検討した。なお、鋳込
実験では鋳込圧力を10〜40kg/cm2の範囲で変
化させ、各鋳込圧力の下で直径130mm、厚み30m
mで含水量20重量%の円板状の成形素地を得た。その
結果を図7に示す。同図を参照すると、鋳込時間は鋳込
圧力を増加させることにより短縮されるが、原料粉体の
調製時に粘土を適正な温度で加熱乾燥することにより鋳
込時間の一層の短縮がなされる。粘土の加熱乾燥条件が
鋳込時間に影響を及ぼすのは、以下の理由によるものと
推測される。
【0022】すなわち、粘土を120〜300℃の温度
範囲で加熱乾燥した場合には、図8に模式的に示すよう
に、粘土の微粒子は凝集して同図(a)に示す一次粒子
Aが同図(b)に示すように適正な大きさの二次粒子B
となり、この二次粒子Bが泥漿中で粘土以外の微粒子C
と均一に混合するとともに、適度な粒子径を保持する。
このため、粘土が一次粒子で存在している泥漿に比較し
て、鋳込成形型Dに対する目詰まりが抑制されるととも
に着肉された固形分の水分透過性を向上させ、鋳込時間
の短縮が図られるものと理解される。但し、粘土の加熱
乾燥温度が120℃未満である場合には、加熱乾燥によ
り形成される二次粒子を泥漿の調製時水中に分散させる
と、一次粒子に変化して鋳込時間の短縮効果を低減させ
る。また、加熱乾燥温度が300℃を越える高い温度と
なると、粘土自体の特性である可塑性を損なって成形素
地の強度を大きく低下させることになる。
【0023】(鋳込実験3)本実験では、組成の異なる
2種類の原料粉体(k),(l)を使用して図2に示す
レンズロール形混練機により混練水温を10〜60℃の
範囲で変化させて泥漿を調製し、これらについて混練水
温と鋳込時間との関係を検討した。原料粉体(k)は、
乾燥粘土20重量%、長石32重量%、珪砂38重量
%、アルミナ10重量%のもので、混練水分を27重量
%としている。また、原料粉体(l)は、乾燥粘土10
重量%、長石35重量%、珪砂40重量%、アルミナ1
5重量%のもので、混練水分を26重量%としている。
なお、鋳込実験では鋳込圧力は20kg/cm2、鋳込
温度は15℃として、直径130mm、厚み30mmで
含水量20重量%の円板状の成形素地を得た。その結果
を図9のグラフに示す。同図を参照すると、乾燥粘土の
含有量により鋳込時間が相違するが混練水温と鋳込時間
の関係は同様であり、鋳込時間は混練水温が30℃を境
にして急激に増加し、この急激な増加は40℃の範囲ま
で認められる。従って、泥漿の調製時の混練水は常温が
適当である。なお、この現象については、混練水温が高
くなると泥漿中の粘土の二次粒子の状態が一次粒子の状
態に戻り、鋳込成形型に対する目詰まりが増大するため
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における泥漿調製方法の手順の一例をフ
ローチャートである。
【図2】同泥漿調製方法で採用されるレンズロール形混
練機の一例を示す概略的構成図である。
【図3】同混練機の混練原理を模式的に示す説明図であ
る。
【図4】混練限界水分量と乾燥粘土含有量の関係を示す
グラフである。
【図5】混練機の相違による泥漿の水分量と泥漿の粘度
との関係を示すグラフである。
【図6】泥漿の水分量と鋳込時間の関係を示すグラフで
ある。
【図7】鋳込圧力と鋳込時間の関係を示すグラフであ
る。
【図8】粘土の加熱乾燥の有無による泥漿の鋳込状態に
おける挙動を示す説明図である。
【図9】混練水温と鋳込時間の関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
11…トラフ、12…回転シャフト、13…スクリュ
ー、14…ロール。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾燥粘土の粉体と他の陶磁器用原料の粉体
    とを乾燥状態で均一に混合してなる乾燥粘土含有の原料
    粉体を水と混練して高圧鋳込用泥漿を調製する調製方法
    であり、前記混練手段として、トラフ内に凸レンズ形断
    面のロールとスクリューにて形成された混練領域と送り
    領域を備えたレンズロール形混練機構を採用して、前記
    トラフの上流側の供給口から同トラフ内に前記原料粉体
    および水を供給するとともに、前記トラフの下流側の排
    出口から同トラフ内で生成される泥漿を排出させること
    を特徴とする高圧鋳込用泥漿の調製方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の泥漿の調製方法におい
    て、前記乾燥粘土の粉体が粘土原料を120〜400℃
    で加熱処理して得られる粉体であることを特徴とする高
    圧鋳込用泥漿の調製方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の泥漿の調製方法
    において、前記泥漿の含水量が25〜40重量%である
    ことを特徴とする高圧鋳込用泥漿の調製方法。
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