JP2701631B2 - 放射性金属廃棄物の電解除染方法及び装置 - Google Patents

放射性金属廃棄物の電解除染方法及び装置

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JP2701631B2
JP2701631B2 JP3322553A JP32255391A JP2701631B2 JP 2701631 B2 JP2701631 B2 JP 2701631B2 JP 3322553 A JP3322553 A JP 3322553A JP 32255391 A JP32255391 A JP 32255391A JP 2701631 B2 JP2701631 B2 JP 2701631B2
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明雄 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電所などの放
射性物質取り扱い施設から発生する表面が汚染された放
射性金属廃棄物の除染方法及び装置に係り、特に、配管
等の内面と外面の汚染レベルが異なる金属廃棄物の電解
除染方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性物質で表面が汚染された金属廃棄
物を高効率で除染可能な方法として電解除染法が知られ
ている。この方法は、電解液中で被除染物の金属廃棄物
に通電し、汚染された表面を電気化学的に溶解して放射
性物質を除去するものである。このため、電解除染装置
には、被除染物の汚染面に対向した対極が必要であり、
その設置方法によって除染効率が左右される。例えば、
管内面が汚染されている場合、管内面に同心円状の電極
を挿入することが望ましく、管の外側に対極を設置して
も管外面が多く溶解し、管内面はほとんど溶解せず、多
大な除染時間を要するばかりでなく、非汚染部分である
管外面を無駄に溶解することとなり、二次的な廃棄物を
増加させることとなる。
【0003】また、配管の汚染の場合には、一般に、接
液部分である内面が放射性物質によって汚染されている
が、金属廃棄物は切断、運搬、保管作業によって管内面
の汚染が管外面の傷部分等に移行し、管外面が若干汚染
される場合がしばしば見受けられる。このことから、管
内面を除染するだけでは充分でなく、管外面を少量では
あるが、溶解する必要がある。
【0004】管の内外面の電解除染を可能にするには、
実開昭61−44600号公報に記載されているよう
に、管の内外面に同心円状に対極を設置すれば、管の内
外面を同時に電解除染が可能であるが、前記のように管
外面の汚染は微小であることが多く、管内外面を均一に
溶解した場合、汚染の少ない管外面は汚染が除去された
後も電解が継続されることとなり、余分な電気量(電流
×時間)を使用するばかりでなく、余分な二次廃棄物を
増加させることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の欠点を解消し、除染時間を短縮し、電力消費量を低
減し、必要以上の二次廃棄物を発生させない電解除染方
法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、内外の表面
が放射性物質で異なるレベルに汚染された金属廃棄物を
電解液の入った電解槽中で内面用対極及び外面用対極と
の間で通電処理して金属廃棄物表面を電気化学的に溶解
させて放射性物質を除去する電解除染方法において、
金属廃棄物の内表面と外表面の汚染レベルをそれぞれ
測定した後、金属廃棄物の内表面と外表面の汚染レベル
がほぼ同時に同一の処理目標値に到達するように、前記
外面用対極の反応面積及び外面用対極と金属廃棄物外表
面との間の距離のうちの少なくとも一方を調整して電解
除染することを特徴とする。
【0007】すなわち、本発明による放射性金属廃棄物
の電解除染方法は、表面が放射性物質で汚染された金属
廃棄物を電解液の入った電解槽中で対極との間で通電処
理して金属廃棄物表面を電気化学的に溶解させて放射性
物質を除去する電解除染方法において、金属廃棄物表面
の各部分の汚染レベル分布を測定した後、対極の反応面
積及び対極と金属廃棄物表面との間の距離のうちの少な
くとも一方を設定することにより金属廃棄物表面の各部
分の汚染レベルに応じた電流密度で通電して電解除染す
ることを特徴とする。
【0008】また、本発明による放射性金属廃棄物の電
解除染装置は、対極として、内部挿入電極及び金属廃棄
物の外表面から一定の距離で設置される複数の短冊状電
極を設置するか、又は対極として内部挿入電極と電極材
料から成る電解槽自体とを用い、該電解槽の内表面に絶
縁材料から成る複数枚の邪魔板を付設したことを特徴と
する。
【0009】以下、図面を参照して本発明を具体的に説
明する。図1は、電流密度をパラメータとしたときの電
解時間と汚染量との関係を示したものである。この実験
では、電解液として20重量%硫酸ナトリウム水溶液を
用い、液温30℃で電解を行った。図1から、検出限界
に達するまでに必要な電解時間は、電流密度にほぼ反比
例することが分かる。
【0010】すなわち、金属廃棄物表面の汚染量が10
5 cpm の場合、0.3A/cm2 の電流密度で運転すると、
検出限界に達するまでに30分の電解除染時間を要する
が、0.45A/cm2 の電流密度で運転すれば、20分の
電解除染時間で済むこととなる。同様に5×102 cpm
の汚染の場合には、0.3A/cm2 で10分、0.15A/
cm2 で20分となる。ここで配管内外面の汚染が各々1
5 cpm 、5×102cpm の場合、管内外面とも0.3A
/cm2 の電流密度で運転すると、必要な電解時間は、管
内面側の汚染に支配され、30分を必要とする。このと
き、管外面は10分で除染が終了しているにもかかわら
ず、余分に20分間電解を継続することとなり、余分に
非汚染部分を溶解することとなり、二次廃棄物を増加さ
せることとなる。
【0011】したがって、前記のように汚染が管の内外
面に分布している場合には、内面は0.45A/cm2 、外
面は0.15A/cm2 になるように電流を分配すれば、2
0分で内外面とも同時に除染が完了することとなる。こ
のような電流の分配は、本発明においては、複数の対極
と管内外面との距離又は対極の反応面積あるいはその両
方を適切に設定することにより実現することができる。
【0012】被除染物各部と対極との間に存在する電解
液の抵抗を推定しておけば、流れる電流量を算定するこ
とができる。平板電極間の電解液の抵抗は、下記の
(1)式により推定することができる。 R=2L/k(A1 +A2 ) ・・・(1)
【0013】上記(1)式において、Rは抵抗(Ω)を
示し、Lは電極間の距離(cm)を示し、A1 及びA2
各電極の面積(cm2 )を示し、kは電解液の導電率(S
/cm又はΩ-1・cm-1)を示す。
【0014】また、内管あるいは外管電極間の電解液の
抵抗は、下記の(2)式により推定することができる。 R=In(D1 /D2 )/2π・k ・・・(2)
【0015】上記(2)式において、R及びkは前記の
ものを表し、D1 は外管の内径(cm)を示し、D2 は内
管の外径(cm)を示す。
【0016】上記の(1)及び(2)式に基づいて、内
部挿入電極(管内面用対極)と外部電極(管外面用対
極)を適切に設置することを考えることができる。例え
ば、内径約300mmの配管の内外面の汚染レベルが図1
に示したレベル(内面が105 cpm 、外面が5×102
cpm )に分布していた場合、電流密度は、(0.45A/
cm2 )/(0.15A/cm2 )=3/1に分配することが
望ましいことから、液抵抗は(内面での抵抗)/(外面
での抵抗)=1/3にする必要がある。
【0017】図2は、上記の(1)及び(2)式から好
適に決定された対極の設置状況の例を示す説明図であ
る。金属廃棄物1の管内に設置される内部挿入電極2を
外径約150mmのものとすると、外部電極3を管として
考えると、内径約2000mmのものが必要となり、電解
槽が著しく大型化してしまう。このことから、対極の外
側設置距離を金属廃棄物1の外表面から100mmに限定
し、平板電極をモデルとして考えれば、50mm幅の短冊
状の電極3を6枚設置することにより(内面での抵抗)
/(外面での抵抗)=1/3を実現することができる。
ただし、この電極の枚数は、これに限定されるものでは
なく、総面積を同一とし、電極の幅を減少させ、枚数を
増加させる(例えば、10mm幅で30枚)ほど、液抵抗
の算定は正確となる。
【0018】なお、上記の管の直径などの数値は、説明
のため例示したもので、本発明は上記(1)及び(2)
式に基づいて、上記の寸法とは異なる径の金属廃棄物に
も適用できるものである。
【0019】図3は、従来法を示すもので、放射性金属
廃棄物1の管内には内部挿入電極2が、外部には外部電
極3が設置されており、電解槽が大型化するばかりでな
く、このような設置状況では金属廃棄物1の外側も内側
も同じ電流密度で電解され、汚染レベルの低い外側は不
必要に多く溶解される。4は、直流電源である。
【0020】図4は、本発明の他の実施態様を示す平面
設置図である。電解槽5自体を電極材料で形成し、これ
を外側に設置される対極とし、その表面部分に絶縁性の
材料で作製した邪魔板6を付設し、これによって対極の
反応面積を設定できるようになっている。この実施態様
によれば、図2に示した実施態様のように複数の対極に
対する通電用ケーブルの設置等の操作を省略できるとい
う利点が得られる。
【0021】
【実施例】次に、実施例およひ比較例に基づいて本発明
をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0022】実施例1 放射性物質で汚染されたステンレス鋼パイプ(内面汚染
105 cpm、外面汚染2×102 cpm 、内径300mm、
長さ1000mm)を、20重量%硫酸ナトリウム水溶液
からなる電解液を入れた電解槽(1500mm×1500
mm×2000mm)内に設置し、図2に示したように外径
約150mmの内部挿入電極2及びパイプの外表面から1
00mmの距離に50mm幅の短冊状の電極3を6枚設置し
た後、電流6000Aを通電して電解除染を実施した。
このとき被除染物が放射能検出限界に達するまでの電解
時間及び被除染物の溶解量(金属廃棄物の重量減少量)
を測定し、結果を表1に示した。
【0023】比較例1 電解槽に図3に示したように外径約150mmの内部挿入
電極2及び内径600mmの外部電極3を設置し、実施例
1と同じ電解液中で同じ汚染ステンレス鋼パイプを電解
除染し、放射能検出限界に達するまでの電解時間及び被
除染物の溶解量を測定し、結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示した結果から明らかなとおり、比
較例1(従来法)では汚染の少ない部分にも電流が同様
に流れるため除染時間が長く、余分な溶解が起こるが、
本発明の方法による実施例1では汚染量に見合った電流
が各部に流れるため、除染時間は従来法の約2/3、被
除染物の溶解量も約2/3に低減することができた。
【0026】実施例1に用いたものとは異なる大きさ及
び形状の放射性金属廃棄物に本発明の方法を適用しても
実施例1と同等に良好な結果が得られ、また、図4に示
した装置を用いても同等に良好な結果が得られることは
明らかである。
【0027】
【発明の効果】 本発明によれば、内外の表面が放射性
物質で異なるレベルに汚染された金属廃棄物に対して、
その内表面と外表面とを過不足無くほぼ同時に同一の処
理目標値に到達するように電解除染できる。このため、
除染時間を短縮し、電力消費も低減でき、しかも二次廃
棄物量を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射性金属廃棄物の汚染量と電解時間との関係
を示すグラフである。
【図2】本発明の電解除染装置における対極の配置状況
の一実施態様を示す平面図である。
【図3】従来の電解除染装置における対極の配置状況を
示す平面図である。
【図4】本発明の電解除染装置における対極の配置状況
の他の実施態様を示す平面図である。
【符号の説明】
1 放射性金属廃棄物 2 内部挿入電極 3 外部電極 4 直流電源 5 電解槽 6 邪魔板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内外の表面が放射性物質で異なるレベル
    汚染された金属廃棄物を電解液の入った電解槽中で
    面用対極及び外面用対極との間で通電処理して金属廃棄
    物表面を電気化学的に溶解させて放射性物質を除去する
    電解除染方法において、前記金属廃棄物の内表面と外表
    の汚染レベルをそれぞれ測定した後、金属廃棄物の内
    表面と外表面の汚染レベルがほぼ同時に同一の処理目標
    値に到達するように、前記外面用対極の反応面積及び
    面用対極と金属廃棄物外表面との間の距離のうちの少な
    くとも一方を調整して電解除染することを特徴とする放
    射性金属廃棄物の電解除染方法。
  2. 【請求項2】 表面が放射性物質で汚染された金属廃棄
    物を電解液の入った電解槽中で対極との間で通電処理し
    て金属廃棄物表面を電気化学的に溶解させて放射性物質
    を除去する電解除染装置において、対極として、内部挿
    入電極及び金属廃棄物の外表面から一定の距離で設置さ
    れる複数の短冊状電極を設置したことを特徴とする金属
    廃棄物の電解除染装置。
  3. 【請求項3】 表面が放射性物質で汚染された金属廃棄
    物を電解液の入った電解槽中で対極との間で通電処理し
    て金属廃棄物表面を電気化学的に溶解させて放射性物質
    を除去する電解除染装置において、対極として、内部挿
    入電極と電極材料から成る電解槽自体とを用い、該電解
    槽の内表面には絶縁材料から成る複数枚の邪魔板を付設
    したことを特徴とする金属廃棄物の電解除染装置。
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JPH0634095B2 (ja) * 1985-03-13 1994-05-02 上村工業株式会社 放射能汚染金属廃棄物の除染方法
JP2525884B2 (ja) * 1988-11-16 1996-08-21 株式会社日立製作所 放射性固体廃棄物の除染方法

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