JP2701532B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アルコール燃料等のガソリン代替燃料使用
時の、耐食,耐摩耗性摺動部材の組合せに係り、例え
ば、ピストンリング及びシリンダボア等の内燃機関用部
品に好適に適用できる。
〔従来技術〕
内燃機関において、高回転,高圧縮比,また、軽量
化,燃費向上対策として軽合金の使用や部品の小型化等
の必要性から、そういった背景にある部品表面に対する
耐摩耗性,耐焼付き性,摩耗特性を従来にも増して改善
する必要性がある。
また、ガソリン燃料事情の悪化にともなう内燃機関用
代替燃料としてアルコール燃料の使用が考慮されてお
り、この対応策として、アルコール燃料使用時におけ
る、耐食,耐摩耗に優れたピストンリング等の内燃機関
部品用摺動部材の必要性が高まっており、多くの研究が
なされている。
従来、このような試みの一つとして特開昭60−93162
号公報では、互いに当接して、相対的に摺動する摺動部
材であって、摺動する第1の部材の摺動面を硬質クロム
メッキ面とし、摺動する第2の部材の摺動面を、高炭素
Fe−Cr合金のプラズマ溶射層面とした摺動部材の組合せ
が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、摺動部は第1の部材及び第2の部材ともCrが
含まれており、同金属どうしの凝着は起こりやすいとい
う性質があるため、上述のような摺動部材の組合せで
は、焼付きが発生しやすいという問題がある。
そこで、本発明では摺動部材の耐焼付き性を向上させ
るとともに、耐食性,耐摩耗性もさらに向上させること
を課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような手段を用いて上述の課題を
解決した。すなわち、この発明は、互いに接触して相対
的に摺動する第一の部材と第二部材とを有し、第一の部
材が鋳鉄を母材とし、少なくとも第二の部材に対する摺
動面部に、重量比で、Cr:55〜70%、C:1.8〜8.4%、残
部実質的にFeからなる組成のFe−Cr合金粉末を溶射し
て、厚さが80〜200μm、硬さがHv400〜800、表面粗さ
が1.6〜3.2μmRzの溶射層が形成され、かつ第二の部材
がステンレス鋼を母材とし、少なくとも第一の部材に対
する摺動面部に、厚さが70〜150μm、硬さがHv500以
上、表面粗さが1.6〜3.2μmRzの窒化処理層が形成され
ていることを特徴とするものである。
次に、溶射層及び窒化層の限定理由について述べる。
まず、Fe−Cr合金溶射層における各成分の限定理由を
述べる。
Cr;55〜70wt% Cr量は55wt%未満では耐食剤としてCrが十分役割をは
たさず腐食が発生してしまう。また、70wt%を越えると
相手材の摩耗の増大,耐焼付き性の低下が生じる。
C;1.8〜8.4wt% C量は1.8wt%未満では十分な硬さが得られず耐摩耗
性に劣る。また、8.4wt%を越えると、相手材の摩耗の
増大、溶射層の靭性の低下の問題が生じる。
次に窒化層の厚さの限定理由を述べる。
窒化層の厚さ 70〜150μm 窒化層の厚さが70μm未満では寿命不足で窒化層下の
下地がでてしまう。また、150μmを越えると熱応力に
より剥離特性が悪くなるとともに、製造コストがかか
る。
さらに溶射層,窒化層の限定理由を述べる。
溶射層の厚さ 80〜200μm 溶射層の厚さが80μm未満では寿命不足で溶射層下の
下地がでてしまう。また、200μmを越えると熱応力に
より密着性が悪くなるとともに、高価なCrを使っている
ためコストが上がる。
溶射層の硬さ Hv400〜800 溶射層の硬さがHv400未満では耐摩耗性が十分でな
い。また、Hv800を越えると相手攻撃性が大きく、相手
材の摩耗量を大きくしてしまう。
溶射面の粗さ 1.6〜3.2μmRz 溶射面の粗さが1.6μmRz未満では油保持力が小さく、
相手材と焼き付きが発生する。また、3.2μmRzを越える
と自己の摩耗量が多く、また相手攻撃性が大きいため相
手材の摩耗量も大きくなってしまう。
窒化層の硬さ 硬度Hv500以上 窒化層の硬さが硬度Hv500以下だと窒化層の耐摩耗性
が不足する。
窒化層の粗さ 1.6〜3.2μmRz 窒化層の粗さの限定理由も溶射面の粗さの場合と同じ
く、1.6μmRz未満では油保持力が小さく、相手材と焼き
付きが発生する。3.2μmRzを越えると自己の摩耗量が多
く、また相手攻撃性が大きいため相手材の摩耗量も大き
くなってしまう。
〔作用〕
鋳鉄を母材とする第一の部材の摺動面部に接触して摺
動する第二の部材の摺動面部が、Crを含有していないの
で、同種金属による凝着やそれに起因する焼き付きを防
止することができる。また第一の部材には、上記の溶射
層を形成し、かつ第二の部材には窒化処理層を形成した
ので、これらの耐食性および耐摩耗性を向上させること
ができ、さらに耐剥離強度を向上させることができる。
〔実施例〕
まず、本発明の摺動部材をアルコール燃料使用時の内
燃機関用摺動部材に適用した場合の、実施例について述
べる。
(第1実施例) 鋳鉄JIS規格FC25製で、外径35mm、内径5mm、厚さ5mm
のディスク試験片(外径35mm×内径5mmの面を試験面と
する。)の外径35mm、内径5mmの面に試験片a;低炭素Fe
−Cr合金粉末(Cr:56wt%,C:0.02wt%,Si:0.8wt%,残
部Fe)を70wt%と、高炭素Fe−Cr合金粉末(Cr:62wt%,
C:8.0wt%,Si:1.3wt%,残部Fe)を30wt%混合したFe−
Cr合金粉末(Cr:60wt%,C:2.2wt%,Si:1.0wt%,残部F
e)を用いてプラズマ溶射し、溶射層を形成させた後研
磨加工仕上げにより溶射層厚さ100μm,溶射層硬さHv43
0,表面粗さ2.0μmRzとした試験片を作製した。
一方相手材として、ステンレス(JIS規格:SUS440B)
製で、大きさが3mm×4mm×10mmのピン試験片(3mm×4mm
の面を試験面とする。)を用い、温度450℃,処理時間5
0Hrでガス窒化処理を施した窒化処理厚さ100μmの試験
片a′を作製した。この時、試験片の硬さはHv1100であ
った。
また、比較例として実施例と同形状のディスク試験片
及びピン試験片を、第1表に示すような材質からなる組
合せ(比較例1〜6)で作製した。
すなわち、比較例のディスク試験片は母材はすべて実
施例1と同じ鋳鉄(JIS規格FC25)を用い、その摺動面
部に、 試験片b;Ni−Cr合金(Ni:80wt%,Cr:20wt%)粉末を
プラズマ溶射した後、加工研磨し実施例1と同形状の溶
射層で、硬さHv220の溶射面とした。
試験片c;ガス窒化処理を施し、硬さHv900の窒化面と
した。
試験片d;Crメッキを施し厚さ100μmとし、硬さHv800
のメッキ面とした。
試験片e;摺動面は特定の表面処理を行わなかった。
試験片f;試験片aと同様の処理を行い同様のfe−Cr合
金層面とした。
試験片g;試験片aと同様の処理を行い同様のFe−Cr合
金層面とした。
また、相手材であるピン試験片で、試験片b′,c,′,
d′,e′は実施例1と同じステンレス鋼(JIS規格SUS440
B)を用い、同じ処理を行い、硬さHv1100の窒化面とし
た。
試験片f′;母材としてステンレス鋼(JIS規格SUS44
0B)を用い、Crメッキ処理を行い厚さ100μmとし、硬
さHv800のメッキ面とした。
試験片g′;母材として鋳鉄(JIS規格FC25)を用
い、表面は特に処理しなかった。
このとき、ディスク試験片a,b,c,d,e,f,g、およびピ
ン試験片a′,b′,c′,d′,e′,f′,g′の表面粗さは2
〜3μmRzである。これらの関係を第1表に示す。
なお、aとa′、bとb′、cとc′、dとd′eと
e′、fとf′、gとg′それぞれの試験片の組合せを
A,B,C,D,E,F,Gとする。上記各々の試験片をピン−ディ
スク型試験機に装着し、約70℃に加熱された5wt%のギ
酸水溶液中に浸漬させたディスク試験片にピン試験片を
接触さ、面圧25kgf/cm2を負荷しながら0.13m/sのすべり
速度でディスク試験片を回転させる腐食摩耗試験を30分
間行った。
この試験結果を第3図に示す。
第3図において、横軸に対する上方の縦軸は回転試験
片であるディスク試験片の摩耗量(損耗深さμm)を示
し、下方の縦軸は相手材であるピン試験片の摩耗量(損
耗重量mg)を示している。
第3図における横軸のAないしGの符号は、上述した
試験片の組合せAないしGの符号と一致させており、各
々の摩耗試験結果を示している。
第3図から明らかなように、組合せ記号A,F,G、すな
わちディスク試験片にFe−Cr合金の溶射を施したもの
は、他のディスク試験片に比べて摩耗量が少ない。ま
た、その中でも実施例1すなわち記号a′のピン試験片
に窒化処理を施したものを相手材としたとき、相手材で
あるピン試験片の摩耗が顕著に少ない。
(第2実施例) 第1表に示したディスク試験片の材料で17mm×125mm
×8mmの平板試験片(17mm×125mmの面を試験面とす
る。)を、またピン試験片の材料で内径78mm,外径68mm,
幅2mmのピストンリングを作製し、外径の弧の長さが6mm
となるように切断して同じくピン試験片を得た。それら
を組み合わせて通常摩耗試験を行った。
実施例2は、第1表に示した実施例1すなわち組合せ
記号のAと同一の材料組合せとなっており、比較例7,8,
9,10,11,12は表1に示した組合せ記号のB,C,D,E,F,Gと
同一の材料組合せである。
実施例2及び比較例7〜12の各組合せ試験片を順次、
往復摺動型摩擦摩耗試験機にセットし、平板試験片を5H
zで往復摺動させ、それにピン試験片を押圧力15kgfで押
し付け、すべり距離50mmで20時間の摩耗試験を行った。
なお、潤滑条件はディーゼル劣化油を油浴とした。
この摩耗試験結果を第4図に示す。
第4図は横軸に各組合せによる実施例及び比較例を、
横軸に対する上方の縦軸は平板試験片の摩耗量(摩耗深
さμm)を、下方の縦軸はピン試験片の摩耗量(当り巾
mm)を取っている。
第4図から明らかなように、本実施例2は実施例1の
腐食雰囲気下同様、平板試験片,ピン試験片とも摩耗量
は非常に少なく良好であった。
また、比較例8,11においては試験中に焼き付きが発生
した。
(第3実施例) 第1表に示したディスク試験片の材料で外径25mm×内
径20mm×高さ15mmの円筒試験片(外径25mm×内径20mmの
面を試験面とする。)を、またピン試験片の材料で30mm
×30mm×厚さ5mmの平板試験片(30mm×30mmの面を試験
面とする。)を作製し、それらを組み合わせて焼付き試
験を行った。
実施例3は、第1表に示した実施例1すなわち組合せ
記号のAと同一と材料組合せとなっており、比較例13,1
4,15,16,17,18は表1に示した組合せ記号のB,C,D,E,F,G
と同一の材料組合せである。
実施例3及び比較例13〜18の各組合せ試験片を順次機
械試験所型焼付き試験機にセットし、回転数1000rpm,押
付荷重MAX500kgfまでの焼付き試験を行った。なお、潤
滑条件はベースオイル5W−30を0.15cc/minの割合で摺動
面に添加した。
この試験結果を第5図に示す。
第5図は横軸に各組合せによる実施例及び比較例を、
横軸に焼付き荷重を取っている。
第5図から明らかなように、本実施例3は他の比較例
に比べ優れた耐焼付き性を示す。比較例14,17について
は同種金属との摺動となるため早期に焼付きが発生し
た。
(第4実施例) 第1表に示した材料組合せのうち、A,D,Eについてデ
ィスク試験片の材料を第1図,及び第2図に示すよう
に、排気量2000cc,4気筒ガソリン機関のシリンダボアに
用い、ピン試験片の材料をそのピストンリングに用い
た。
第2図におけるシリンダボアとピストンリングの摺動
部(I)の拡大図を第1図に示す。
ピストンリング4はステンレス鋼からなり、シリンダ
ボア3との摺動部は厚さ100μmの窒化処理面21が形成
されている。また、そのピストンリング4に相対するシ
リンダボア3は鋳鉄からなっており、ピストンリング4
との摺動部は厚さ100μmの溶射面31が形成されてい
る。
このガソリン機関にメタノール85%のアルコール燃料
を使用して連続高速耐久300時間の実機耐久試験を行っ
た。その結果を第2表に示す。
第2表からわかるように本実施例4では、腐食の発
生,焼付きの発生はなく良好な結果が得られた。
(第1試験例) 以下の実施例では溶射層及び窒化層の限定理由を説明
する。
まず、窒化層の厚さの限定理由を説明する。
第1表に示した本発明の組合せであるAのディスク試
験片の材料を、排気量1600cc,4気筒ガソリン機関のシリ
ンダボアに用い、ピン試験片の材料をその窒化層の厚さ
を変化させピストンリングに用い、メタノール85%のア
ルコール燃料を使用して6000rpmで実機耐久試験を行っ
た。
この時、変化させた窒化層の厚さを横軸に取り、溶射
層厚さが20μmに達した時の時間を耐久寿命として縦軸
に取ったときの図が第6図である。
第6図を見て明らかなように窒化層厚さが70μmより
小さくなると耐久寿命が著しく減少してしまう。
また、同じように窒化層の厚さを変化させたピストン
リングを作製し、今度は剥離特性の試験を行った。その
結果を第3表に示す。
第3表を見て分かるように、窒化層厚さが150μmを
越えると剥離が発生する。
よって、上述の結果より窒化層の厚さを70〜150μm
とする。
(第2試験例) 次に、溶射層の厚さの限定理由を説明する。
第1表に示した本発明の組合せであるAのディスク試
験片の材料をその厚さを変化させ、排気量1600cc,4気筒
ガソリン機関のシリンダボアに用い、ピン試験片の材料
をそのピストンリングに用い、メタノール85%のアルコ
ール燃料を使用して6000rpmで実機耐久試験を行った。
この時、変化させた溶射層の厚さを横軸に取り、溶射
層厚さが30μmに達した時の時間を耐久寿命として縦軸
に取ったときの図が第7図である。
第7図を見て明らかなように溶射層厚さが80μmより
小さくなると耐久寿命が著しく減少してしまう。
また、同じように溶射層の厚さを変化させたシリンダ
ボアを作製し、今度は密着力の試験を行った。
横軸に溶射層厚さμm、縦軸に密着力kgf/mm2をとる
と第8図のようになる。
図を見て分かるように、溶射層厚さが200μmを越え
た時から密着力が減少している。即ち溶射層厚さが200
μmを越えると剥離する危険がある。
よって、上述の結果より溶射層の厚さを80〜200μm
とする。
(第3試験例) 次に、溶射層の硬さの限定理由を説明する。
第1表に示した本発明の組合せであるAのディスク試
験片の材料で低炭素Fe−Cr合金粉末(Cr:56wt%,C:0.02
wt%,Si:0.8wt%,残部Fe)と高炭素Fe−Cr合金粉末(C
r:62wt%,C:0.8wt%,Si:1.3wt%,残部Fe)の割合を変
え、硬さを変化させた他は第2実施例と同様の条件で往
復摺動型摩擦摩耗試験を行った。
これらの結果を第9図に示す。
第9図は、横軸に平板試験片の溶射層の硬さ(Hv)
を、横軸に対する上方の縦軸は同じく平板試験片の摩耗
量(溶射層の摩耗深さμm)を、下方の縦軸は相手材で
あるピン試験片の摩耗量(窒化材の当たり巾mm)を示し
ている。
第9図を見て分かるように、溶射層の硬さがHv400よ
り小さいと自身が摩耗してしまい耐摩耗性が劣る。ま
た、溶射層の硬さがHv800より大きいと今度は相手攻撃
性が大きくなり、窒化処理を施したピン試験片の摩耗量
が大きくなってしまう。よって、溶射層の硬さはHv400
〜800が望ましい。
(第4試験例) 次に、溶射層の表面粗さの限定理由について説明す
る。
第1表に示した本発明の組合せであるAのディスク試
験片の材料で、その硬さを変化させないで表面の粗さを
変化させた他は第3試験例と同様の条件で往復摺動型摩
擦摩耗試験を行った。
これらの結果を第10図に示す。
第10図は、横軸に平板試験片の溶射層の表面粗さ(Rz
μm)を、横軸に対する上方の縦軸は同じく平板試験片
の摩耗量(溶射層の摩耗深さμm)を、下方の縦軸は相
手材であるピン試験片の摩耗量(窒化材の当たり巾mm)
を示している。
第10図を見て分かるように、溶射層の表面粗さがRz1.
6μmより小さいと溶射を施した平板試験片と窒化処理
を施したピン試験片の間で焼付きが発生してしまう。ま
た、溶射層の表面粗さがRz3.2μm以上より大きいと、
平板試験片自身の摩耗及び相手材であるピン試験片の摩
耗が大きくなってしまう。よって、溶射層の表面粗さは
Rz1.6μm〜Rz3.2μmが望ましい。
(第5試験例) 次に、窒化層の表面粗さの限定理由について説明す
る。
第1表に示した本発明の記号a′のピン試験片の材料
の表面粗さを変化させた他は第2実施例と同様の条件で
往復摺動型摩擦摩耗試験を行った。
これらの結果を第11図に示す。
第11図は、横軸にピン試験片の窒化層の表面粗さ(Rz
μm)を、横軸に対する上方の縦軸は相手材である平板
試験片の摩耗量(溶射層の摩耗深さμm)を、下方の縦
軸はピン試験片の摩耗量(窒化材の当たり巾mm)を示し
ている。
第11図を見て分かるように、窒化層の表面粗さがRz1.
6μmより小さいと溶射を施した平板試験片と窒化処理
を施したピン試験片の間で焼付きが発生してしまう。ま
た、窒化層の表面粗さがRz3.2μm以上より大きいと、
ピン試験片自身の摩耗及び相手材である平板試験片の摩
耗が大きくなってしまう。よって、窒化層の表面粗さは
Rz1.6μm〜Rz3.2μmが望ましい。
〔発明の効果〕
以上により明らかなように、本発明にかかる摺動部材
によれば、互いに当接して相手的に摺動する2つの部材
において、鋳鉄を母材とする第1の部材の摺動面を、Fe
−Cr合金粉末の溶射面とし、ステンレス鋼を母材とする
第2の部材の摺動面を窒化処理面とすることによって、
アルコール燃料等のガソリン代替燃料使用時の、耐焼付
き性を向上させるとともに耐食・耐摩耗性を従来の摺動
部材よりも大幅に改良でき、例えばピストンリングと、
シリンダボア等の内燃機関用摺動部品に、好適に適用で
きる利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は第2図のI部の部分拡大図、 第2図は本発明の組合せをシリンダボアとピストンリン
グに応用した時のピストンとシリンダボアの断面図、 第3図は各摺動部材の組合せの腐食摩耗試験結果を示す
グラフ、 第4図は各摺動部材の組合せの往復摺動型摩擦摩耗試験
結果を示すグラフ、 第5図は各摺動部材の組合せの焼付き試験結果を示すグ
ラフ、 第6図は本発明材の組合せで窒化層の厚さを変化させた
ときの実機連続高速耐久試験結果を示すグラフ、 第7図は本発明材の組合せで溶射層の厚さを変化させた
ときの実機連続高速耐久試験結果を示すグラフ、 第8図は本発明材の組合せで溶射層の厚さを変化させた
ときの密着力の試験結果を示すグラフ、 第9図は本発明材の組合せで溶射層の硬さを変化させた
ときの往復摺動型摩擦摩摩耗試験結果を示すグラフ、 第10図は本発明材の組合せで溶射層の表面粗さを変化さ
せたときの往復摺動型摩擦摩摩耗試験結果を示すグラ
フ、 第11図は本発明材の組合せで窒化層の表面粗さを変化さ
せたときの往復摺動型摩擦摩摩耗試験結果を示すグラフ
である。 1……ピストン本体、21……窒化層 2……ピストンスカート、31……溶射層 3……シリンダボア 4……ピストンリング(トップ) 5……ピストンリング(セカンド) 8……ピストンリング(オイル)
フロントページの続き (72)発明者 小山 原嗣 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 下田 健二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−73870(JP,A) 特開 昭61−157875(JP,A) 特開 昭62−233457(JP,A) 特開 昭60−153456(JP,A) 特開 昭56−5967(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに接触して相対的に摺動する第一の部
    材と第二部材とを有し、第一の部材が鋳鉄を母材とし、
    少なくとも第二の部材に対する摺動面部に、重量比で、
    Cr:55〜70%、C:1.8〜8.4%、残部実質的にFeからなる
    組成のFe−Cr合金粉末を溶射して、厚さが80〜200μ
    m、硬さがHv400〜800、表面粗さが1.6〜3.2μmRzの溶
    射層が形成され、かつ第二の部材がステンレス鋼を母材
    とし、少なくとも第一の部材に対する摺動面部に、厚さ
    が70〜150μm、硬さがHv500以上、表面粗さが1.6〜3.2
    μmRzの窒化処理層が形成されていることを特徴とする
    摺動部材。
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JPS5932654B2 (ja) * 1978-03-24 1984-08-10 トヨタ自動車株式会社 ピストンリング
JPS565967A (en) * 1979-06-28 1981-01-22 Toyota Motor Corp Sliding member

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JPH04175577A (ja) 1992-06-23

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