JP2699844B2 - M0sfetのデバイスモデルとパラメータ抽出方法 - Google Patents

M0sfetのデバイスモデルとパラメータ抽出方法

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JP2699844B2 JP5322519A JP32251993A JP2699844B2 JP 2699844 B2 JP2699844 B2 JP 2699844B2 JP 5322519 A JP5322519 A JP 5322519A JP 32251993 A JP32251993 A JP 32251993A JP 2699844 B2 JP2699844 B2 JP 2699844B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、MOSFETのドレイ
ン電流特性を高精度で表わすための解析式モデル及びモ
デルパラメータ抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MOSFETのドレイン電流モデ
ルには、ソース,ゲートドレイン,バルクの各端子電圧
とトランジスタの形状,すなわちゲート酸化膜厚To
x,ゲート長LG ,ゲート幅W,及びトランジスタの電
気的特性をきめるモデルパラメータとで表わされる解析
式が使われる。
【0003】通常、MOSFETの電流モデル式は、ゲ
ート電極に垂直方向の1次元ポアソン方程式とゲート酸
化膜とシリコン基板との表面に沿った可動キャリアの1
次元電流連続方程式とを解析的に解くことにより導出さ
れる。その方法については、例えばプロシーディングズ
・オブ・アイ・イー・イー・イー(1983)VOL.
71,No1の19頁から33頁(Trans.IEE
E,VOL.71,No.1,1983,pp19〜3
3)に記述されている。そのなかでは、線型領域のドレ
イン電流特性は、N型のMOSFETに対して、
【0004】
【数1】
【0005】
【0006】と表わされる。ここで、Idsはドレイン
電流,QB バーは平均化された基板電荷,Vdsはドレ
イン−ソース間電圧,VGSはゲート・ソース間電圧,V
BSはバルク−ソース間電圧,Wはゲート幅,LG はゲー
ト長,Coxは酸化膜容量密度で酸化膜誘電率εoxと酸
化膜厚Toxの比(Cox=εox/Tox),μは可動
キャリア移動度,Φf は基板表面のフェルミ電位,VFB
はゲート基板間のフラットバンド電圧,Kは基板空之電
のVBS依存係数(基板定数)をそれぞれ表わす。Vd
s,Vgs,VBSは、バイアス条件,L,W,Toxは
形状をそれぞれ表わし、μ,Φf ,VFB,Kは、電気的
特性を表わすパラメータとして扱われる。
【0007】この様な、MOSFETのドレイン電流特
性モデルは、適用されるすべてのバイアス範囲にわたっ
て高精度で実際の特性を表現することが出来ることに加
えて広い範囲の形状に対しても高精度であることが要求
される。
【0008】近年のLSI,ICの微細化、高密度化に
伴ない、使用されるMOSFETの構造は、より薄い酸
化膜厚Tox,より短かいゲート長LG となる傾向にあ
り、又、微細化による圧の減少をおぎなうため、LD
D構造などのドレイン,ソース領域をもつものが普通に
なってきている。
【0009】しかしながら、式(1),(2)で表わさ
れるドレイン電流モデル式のままでは、最近のMOSF
ETのドレイン電流特性を精度良く表わすことが出来な
いため、式(1),(2)にさまざまの経験的事実に基
づく工夫が行なわれている。それらの多くは、可動キャ
リア移動度μをバイアス依存性及び形状依存性をもたせ
た解析式表わした、実効移動度μeにおきかえる方法
である。
【0010】例えば、特開平3−122575号公報で
は、(3)式の様な解析式で移動度のバイアス依存性を
表わしている。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】ここで、βは実効チャンネルコンダクタン
ス,Vthはしきい値電圧,β0 ,θ1 ,θ2 はモデル
パラメータをそれぞれ表わす。このモデルでは、移動度
の形状依存性に関しては、パラメータθ1 ,θ2 を複数
のゲート長Lのトランジスタに関して抽出し、ゲート長
に関する指数関数でθ1 ,θ2 をモデル化している。
【0015】移動度のバイアス依存性,形状依存性を表
わす解析式の形を工夫することで、MOSFETのドレ
イン電流モデルの精度を上げる方法は、この他にも数多
く考えられ、実際、数多くの提案が文献をとおして行な
われており、現在、MOSFETのドレイン電流モデル
として標準的モデルと言えるものは存在しないのが現状
である。
【0016】また、モデル式のもつパラメータをきめる
方法に関しては、従来は、ドレイン電流の測定値と、適
当な初期値を与えてモデル式によって計算されたモデル
特性値とをもとに、数学的な最適化アルゴリズムを適用
して、数値解析手法によって測定値とモデル特性値とが
合う様にパラメータを決定する方法が使われており、た
とえば、特開平3−152483号公報、特開昭61−
70656号公報などに記述されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】この従来のMOSFE
Tのドレイン電流モデル及びパラメータ抽出方法では、
最近の特にLDD構造をもつ様なMOSFETに関して
は、広いバイアス領域,広い範囲の形状に対して高精度
に実際の特性を表現することは難かしい。その理由は、
従来のMOSFETのドレイン電流モデルでは、最近の
MOSFETの特徴であるドレイン,ソース拡散層の構
造に起因する電気的特性が、移動度のゲート電圧依存
性、形状依存性のみにモデル化されているためである。
【0018】実際のLDD構造をもつMOSFETで
は、ドレイン、ソース領域の低濃度拡散層から基板にの
びる空之層の境界がゲートバイアスによって変化するこ
とは、良く知られた事実である。このことは、MOSF
ETの実効的ゲート長、あるいはチャンネル長がゲート
バイアスで変化することを意味する。
【0019】また、一方、MOSFETのゲート酸化膜
と基板表面との間に流れる可動キャリアの移動度は、そ
れ自体でゲートバイアス依存性をもつことも良く知られ
ている。
【0020】ドレイン、ソース拡散層がLDD構造の様
なMOSFETでは、これら実効チャンネル長や実効移
動度のバイアス依存性、形状依存性がお互いに影響し合
っており、それぞれを独立にモデル化することは難かし
かった。
【0021】従って、従来のMOSFETのドレイン電
流モデルでは、モデル式を構成する要素であるゲート
長、移動度の物理的な役割りを無視して、実効移動度の
解析式にのみ経験的なパラメータを導入してモデル式を
複雑化することにより、LDD構造を含むMOSFET
の特性をモデル化していた。
【0022】この様な従来のMOSFETのドレイン電
流モデルでは、モデル式を構成する要素の物理的意味が
明確でないので、モデルの精度が、モデルパラメータを
抽出する手順やその作業者の経験によって大きく異なっ
てしまうという問題があった。
【0023】又、モデルパラメータ自体も、ドレイン電
流特性の測定値と、モデル式で計算されたモデル特性値
とが合う様にきめられるため求められたパラメータの値
が物理的に妥当であるとは限らないという問題点があっ
た。
【0024】さらに、ドレイン電流特性の形状依存性に
関しては、ゲート長が一定でバイアス依存性だけを考慮
したモデル式(例えば、(3)式)のもつパラメータを
複数のゲート長のトランジスタに関して抽出したとき、
それらパラメータ値が任意のゲート長の範囲に対して簡
単な指数関数で表わされる物理的根拠はないという問題
がある。従来の技術では、モデル式のもつパラメータの
ゲート長に関する適用可能領域は、それらのパラメータ
値のゲート長依存性が簡単な指数関数で表わせる領域に
限られる。この適用可能領域以外のゲート長に関して
は、モデルパラメータセットを変えるか、モデルパラメ
ータの形状依存性モデルを新たに別の解析式でおきかえ
る必要が生ずる。モデルパラメータセットをゲート長の
範囲に分ける場合には、回路シミュレーション時にトラ
ンジスタの形状を変更したシミュレーションをくり返し
て回路性能を最適化する際、ゲート長を変更するたびに
モデルパラメータセットを変更する必要が生じ、回路設
計工数の増大をまねく。一方、モデルパラメータの形状
依存性を別の解析式でおきかえる場合には、新たな解析
式のもつパラメータを抽出するための工数がかかるだけ
でなく、パラメータ数の増加により、回路シミュレーシ
ョン時間の増大をまねく。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明のMOSFETの
デバイスモデルは、ドレイン電流をしきい値電圧,拡散
層抵抗率,ゲートバイアス電圧に依存する実効移動度,
及びゲートバイアスに依存するゲート拡散層オーバラッ
プ長を構成要素にもつ解析式モデルで表わしている。
【0026】また、ドレイン電流モデル式のこれら構成
要素のもつパラメータを決定するための方法として、M
OSFETのドレイン電流を、ドレイン・ソース端子間
電圧をゼロボルト近傍に保ち、ゲート・ソース端子間電
圧を変化させて、複数のゲート長のトランジスタに対し
て測定する手段と、測定されたドレイン電流特性からし
きい値電圧と、チャンネル抵抗Rdとを測定する手段
と、これら測定データより、複数の実効ゲートバイアス
に対するチャンネル抵抗のゲート長依存性データを計算
する手段と、計算されたチャンネル抵抗のゲート長に関
する傾きρ,及びゲート長がゼロになるときのチャンネ
ル抵抗γをそれぞれ実効ゲート電圧Vgeに対するデー
タとして抽出する手段を持ち、得られたρ,γのVge
依存性データより、ρがゼロになるときのγとして拡散
層抵抗γo を決定し、ρの逆数1/ρのVge依存性を
もって、実効移動度の解析式モデルのもつパラメータを
決定し、(γ−γo )Vge/ρの表式で表わされる量
のVge依存性をもって、ゲート拡散層オーバラップ長
の解析式モデルのもつパラメータを決定することを特徴
とするパラメータ抽出方法を有している。
【0027】
【作用】この様な、本発明のMOSFETのデバイスモ
デルとパラメータ抽出方法を用いることにより、チャン
ネル抵抗がゲート長に関して直線的に変化するすべての
ゲート長のMOSFETに対して、ドレイン電流モデル
式の構成要素である拡散層抵抗率,実効移動度のゲート
バイアス依存性,実効チャンネル長のゲートバイアス依
存性を物理的意味を失うことなく完全にモデル化するこ
とが可能となる。
【0028】通常、MOSFETのチャンネル抵抗が、
広いゲート長の範囲においてゲート長に対して直線的な
関係を示すことは、公知の事実である。従って、本モデ
ルにより従来より広い範囲のゲート長の範囲内で高精度
なドレイン電流特性のモデル化が可能になる。
【0029】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0030】図1は、本発明の一実施例のブロック図で
ある。まず、電流測定器1によりモデル化しようとする
複数のゲート長をもつMOSFETに対しそれぞれドレ
インソース間電圧Vdsをゼロボルト近くに保ち、ゲー
トソース間電圧Vgsを変化させてドレイン電流Idを
測定し、Id−Vgs特性2を得る。このId−Vgs
特性2からしきい値電圧測定部3により、各ゲート長L
G に対するしきい値電圧VthのデータVth−LG
性4を求め、又、チャンネル抵抗測定部5により、各ゲ
ート長のサンプルごとにVgsに対するチャンネル抵抗
データRd−Vgs特性6を測定する。ここで、しきい
値電圧とは、例えば、一定のドレイン電流が流れるとき
のゲートソース間電圧として定義される。また、チャン
ネル抵抗は、IdsのVdsに関する微分量の逆数とし
て以下の様に定義される。
【0031】
【0032】次に、Vth−LG 特性4とRd−Vgs
特性6とから、Rd−LG 特性計算部7により、実効ゲ
ート電圧Vge(Vge=Vgs−Vth)ごとにゲー
ト長LG に対するチャンネル抵抗RdのデータRd−L
G 特性8を計算する。最後に、Rd−LG 特性8は、チ
ャンネル抵抗モデルパラメータ抽出部9に送られ、拡散
層抵抗パラメータ抽出処理11により拡散抵抗値を決定
し、拡散層オーバラップ長パラメータ抽出処理12によ
り、実効チャンネル長のゲートバイアス依存パラメータ
を決定し、実効移動度パラメータ抽出処理13により、
移動度のゲートバイアス依存パラメータを決定すること
により、モデルパラメータ10が求められる。
【0033】チャンネル抵抗モデルパラメータ抽出部9
は、本発明の最も重要な部分であるため、以下これにつ
いて詳しく説明する。
【0034】まず、本発明によってMOSFETのドレ
イン電流特性をモデル化することの物理的裏づけを行な
う。
【0035】本発明のモデル化方法では、実効ゲート電
圧Vgeが一定で、かつVds θのときのチャンネル
抵抗Rdが、ゲート長LG に関して、直線的に変化する
というMOSFETの基本的特性を積極的に利用する。
このことは、次式で書ける。
【0036】
【0037】
【0038】ここで、ρはRdのLG に関する直線の傾
き、γはLG がゼロになるときのRdをそれぞれ示す。
【0039】一方、LDD構造等最近のMOSFETの
ドレイン電流モデル式は、図4に模式的に示す様な低濃
度拡散層n- とゲート電極とのオーバラップ長lo を考
慮し、低濃度拡散層の拡散抵抗を図3の様にソース、ド
レイン両端にγo /2だけの抵抗がつくことを考慮する
ことにより(1)〜(2)式より、次式で表わすことが
出来る。
【0040】
【0041】ここで、(8)式では以下の説明を簡単に
するため、ドレイン電流への基板電荷(QB )の効果
を、しきい値電圧Vthによって近似的に表わしてい
る。すなわち、
【0042】
【0043】の関係を利用している。
【0044】Vdsがほぼのときのチャンネル抵抗R
dは、ドレイン電流モデル式(8)をVdsに関して微
分することにより次式で表わせる。
【0045】
【数10】
【0046】実測の実験式である(7)式と、ドレイン
電流モデルから導かれた(10)式とを対応ずけること
により、ρ,γは、次の様に表わすことが出来る。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】式(11)〜(13)により、ドレイン電
流モデル式(8)を構成している拡散層抵抗γo ,ゲー
ト拡散層オーバラップ長lo ,実効移動度μe ,及びそ
れらの実効ゲートバイアス依存性と、実測のRd−LG
特性から得られるρ,γとが関係ずけられている。これ
ら関係式より、γo ,lo ,μe のそれぞれを独立に測
定データρ,γによって表わす方法を以下に述べる。
【0051】拡散層抵抗γo は、(13)式よりρがゼ
ロになるときのγの極限値として次の様に表わせる。
【0052】
【0053】ゲート拡散層オーバラップ長lo は、(1
3)式と(14)式のγo より、
【0054】
【0055】と表わせる。実効移動度μo は、(11)
式より
【0056】
【0057】と表わせる。
【0058】この様に、本発明によるMOSFETのデ
バイスモデルでは、ドレイン電流モデル式(8)を構成
する、γo ,lo ,μe 及びそれらの実効ゲートバイア
ス依存性を、チャンネル抵抗RdのLG 依存性の測定デ
ータと、きわめて自然に関係ずけることが出来ている。
さらに、従来、独立にモデル化することの難かしかった
o とμとを物理的に無理なく分離する手段を与えてい
る。
【0059】次に、上述の物理的裏づけのもとにドレイ
ン電流モデル式(8)の構成要素をモデル化する方法に
ついて述べる。
【0060】図2は、図1のブロック図においてRd−
G 特性8より、チャンネル抵抗モデルパラメータ抽出
部9によって、モデルパラメータ10を求めるためのフ
ローチャートを示す。
【0061】実効ゲート電圧Vge=Vgs−Vthご
とに測定されたRd−LG 特性8は、ρ,γ決定処理1
4により、RdのLG に関する傾きρ及び、LG がゼロ
になるときのγを、例えば最小2乗法による直線近似計
算によって計算し、ρ−Vge特性15とγ−Vge特
性16とを求める。これらのデータより、ρ−γ特性発
生処理17で対応するVgeに対するγ−ρ特性18を
求めることにより、γo パラメータ決定処理19で、ρ
がゼロになる極限(これは、Vgeが最も大きくなる状
況に等しい)でのγにより拡散層抵抗γo を決定する。
次にlo −Vge特性発生処理20で、γo とρ−Vg
e特性15、γ−Vge特性16により(15)式でl
o −Vge特性21を求めることにより、lo パラメー
タ決定処理22で、あらかじめ定義されているlo のV
ge依存性を表わす解析式のモデルパラメータを決定す
る。また、μe −Vge特性発生処理23で、ρ−Vg
e特性15により(16)式でμe −Vge特性24を
求めることにより、μe パラメータ決定処理25であら
かじめ定義されているμe のVge依存性を表わす解析
式のモデルパラメータを決定する。
【0062】以上の様にして限定されたモデルパラメー
タ10を用いれば、測定サンプルとして与えられた全て
のゲート長の範囲にわたってすべての実効ゲート電圧の
範囲で、MOSFETのチャンネル抵抗((10)式)
ドレイン電流((18)式)が完全にモデル化出来る。
【0063】次に、本発明を実際のMOSFETに適用
した例を記述する。
【0064】図5は、酸化膜厚150nm,ゲート幅5
0μm,ゲート長0.4μm〜2.2μmでLDD構造
をもつN型トランジスタのチャンネル抵抗Rd特性の例
である。測定時のバイアス条件は、ドレイン・ソース電
圧Vds=0.1ボルト,ドルクソース電圧VBS=0.
0ボルトで、実効ゲート電圧Vgeは0.4ボルト,
1.0ボルト,2.0ボルト,4.0ボルトの計4種類
についてのみ抽いてある。
【0065】図6は、図2のρ,γ決定処理14で求め
られたρ−Vge特性の例,図7は、γ−Vge特性の
例を示す。
【0066】図8は、図2のρ−γ特性発生処理17で
求められたρ−γ特性の例を示す。図8には、同時に、
γo パラメータ決定処理11で拡散抵抗値γo を求める
様子も示している。拡散層抵抗γo は、ゲート幅Wに反
比例する特性をもつのでγoパラメータ決定処理では、
図8のρ−γ特性より求められたγo とゲート幅Wとの
積として定義される拡散層抵抗率RLD
【0067】
【0068】をモデルパラメータ10として、算出す
る。これにより、回路シミュレーション時に使用する任
意のゲート幅Wxをもつトランジスタの拡散層抵抗γox
は、
【0069】
【0070】として計算出来るためである。
【0071】図9は、図2のlo −Vge特性発生処理
20で求められたlo −Vge特性の例を示す。図中の
実線は、この特性を以下の解析式で近似した例である。
【0072】
【0073】ここで、LO,LA,LBはモデルパラメ
ータを表わし、図9の例では、LO=0.0m,LA=
1.45×10-7m,LB=3.1ボルトの各値が使用
されている。
【0074】図10は、図2のμe −Vge特性発生処
理23で求められたμe −Vge特性の例を示す。図中
の実線は、この特性を以下の解析式で近似した例であ
る。
【0075】
【0076】ここで、UO,UA,UB,UCは、モデ
ルパラメータを表わし、図10では、UO=380cm
2 /ボルト・秒,UA=8.5 1/ボルト,UB=
1.35ボルト,UC=−0.45ボルトの各値が使用
されている。
【0077】図11は、図8〜図10の各特性から求め
られたモデルパラメータ及びモデル式(17)〜(2
1)を用いたドレイン電流モデルの特性と実測値との比
較の例である。
【0078】同図からわかる様に、ゲート長LG =0.
4〜2.2μmのすべての範囲及びゲートバイアス1〜
5Vのすべての範囲で本発明によるモデル特性値を実測
値とは良く一致している。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、チャンネ
ル抵抗がゲート長に関して直線的に変化するすべてのゲ
ート長のMOSFETに対してドレイン電流モデル式の
構成要素である拡散層抵抗率,実効移動度,実効チャン
ネル長を物理的意味を失なうことなく完全にモデル化す
ることが出来るので、モデルパラメータを抽出する手順
の標準化が容易となり抽出にかかる手間を減らすことが
可能である。同時に、LDD構造をもつゲート長LG
0.4〜2.2μmの広い形状範囲にわたるMOSFE
Tに対して、実用上のすべてのゲートバイアス(Vgs
がほぼ1〜4ボルト)領域で高精度なドレイン電流モデ
ルが得られるので、これを用いた回路シミュレーション
精度の向上が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示すブロック図。
【図2】図1の主要部のフローチャート。
【図3】LDD構造MOSFETの等価回路の例
【図4】LDD構造MOSFETの断面図の例。
【図5】チャンネル抵抗Rd対ゲート長LG 特性の例。
【図6】チャンネル抵抗の傾きρ対実効ゲート電圧Vg
e特性の例。
【図7】LG =Oでのチャンネル抵抗γ対実効ゲート電
圧Vge特性の例。
【図8】LG =Oでのチャンネル抵抗γ対チャンネル抵
抗の傾きρ特性の例。
【図9】ゲート・拡散層オーバラップ長lo 対実効ゲー
ト電圧Vge特性の例。
【図10】実効移動度μe 対実効ゲート電圧Vge特性
の例。
【図11】ドレイン電流Id対ゲート長LG 特性の例。
【符号の説明】
1 電流測定器 2 Id−Vgs特性データ 3 しきい値電圧測定部 4 Vth−LG 特性データ 5 チャンネル抵抗測定部 6 Rd−Vgs特性データ 7 Rd−LG 特性データ 9 チャンネル抵抗モデルパラメータ抽出部 10 モデルパラメータデータ 11 拡散層抵抗パラメータ抽出処理 12 拡散層オーバラップ長パラメータ抽出処理 13 実効移動度パラメータ抽出処理 14 ρ,γ決定処理 15 ρ−Vge特性データ 16 γ−Vge特性データ 17 ρ−γ特性発生処理 18 ρ−γ特性データ 19 γo パラメータ決定処理 20 lo −Vge特性発生処理 21 lo −Vge特性データ 22 lo パラメータ決定処理 23 μe −Vge特性発生処理 24 μe −Vge特性データ 25 μe パラメータ決定処理 Id ドレイン電流 Vgs ゲート・ソース間電圧 Vth しきい値電圧 LG ゲート長 Rd チャンネル抵抗 ρ チャンネル抵抗のゲート長に対する傾き γ ゲート長がゼロのときのチャンネル抵抗 Vge 実効ゲート電圧(=Vgs−Vth) γo 拡散層抵抗 lo ゲート・拡散層オーバラップ長 μe 実効移動度

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】MOSFETに直流バイアスをかけたとき
    にドレイン端子に流れ込むドレイン電流を、しきい値電
    圧,拡散層抵抗率,ゲートバイアス電圧に依存する実行
    移動度,及びゲートバイアスに依存するゲート拡散層オ
    ーバラップ長を構成要素にもつ解析式モデルで表すこと
    を特徴とするMOSFETのデバイスモデル。
  2. 【請求項2】MOSFETのドレイン・ソース端子間電
    圧Vdsをゼロボルト近傍に保ち、ゲート・ソース端子
    間電圧Vgsを変化させて、複数のゲート長のトランジ
    スタに対してドレイン電流特性を測定する手段と、測定
    されたドレイン電流特性からしきい値電圧Vth及び
    ャンネル抵抗Rdを測定する手段と、これら測定データ
    より、複数の実効ゲート電圧Ve(ここでVe=V
    gs−Vth)に対するチャンネル抵抗Rdのゲート長
    依存性データを計算する手段と、計算されたチャンネル
    抵抗Rdのゲート長に関する傾きρ及びゲート長がゼロ
    になるときのチャンネル抵抗γをそれぞれ前記実効ゲー
    ト電圧Vgeに対するデータとして抽出する手段とを用
    、得られた前記傾きρ及び前記チャンネル抵抗γ
    行ゲート電圧Vge依存データより前記傾きρがゼロに
    なるときの前記チャンネル抵抗γである拡散層抵抗γ
    0を決定し、前記傾きρの逆数の実行ゲート電圧Vge
    依存性をもって実効移動度の解析式モデルのもつパラメ
    ータを決定し、(γ−γ0)Vge/ρの表式で表わさ
    れる量の実行ゲート電圧Vge依存性をもってゲート拡
    散層オーバラップ長の解析式モデルのもつパラメータを
    決定することを特徴とするMOSFETのデバイスモデ
    パラメータ抽出方法。
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