JP2697717B2 - マトリクス型液晶表示装置 - Google Patents

マトリクス型液晶表示装置

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JP2697717B2 JP31319895A JP31319895A JP2697717B2 JP 2697717 B2 JP2697717 B2 JP 2697717B2 JP 31319895 A JP31319895 A JP 31319895A JP 31319895 A JP31319895 A JP 31319895A JP 2697717 B2 JP2697717 B2 JP 2697717B2
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隆 萩原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字、図形及びT
V画像等の情報を表示するマトリクス型液晶表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示装置としてはTN型表示
方式が最も広く用いられている。しかし、他の表示装置
(例えば、蛍光表示管、プラズマディスプレイ等)と比
較すると応答速度の点で劣っており、大幅な改善が現在
までのところ見られていない。最近、強誘電性液晶を利
用した表示方式が発表(特開昭56ー107216号公
報)され、その速い応答速度の他に、高コントラスト、
表示メモリー効果等の高マトリクス性に有効な特性を示
すことから非常に注目を集めている。
【0003】強誘電性液晶とは、強誘電性を示す液晶の
ことを言う。結晶の対称性の理論から1975年 Meyer
らによってはじめて強誘電性液晶が合成され、現在まで
のところ強誘電性液晶相としてはカイラルスメクチック
C相、カイラルスメクチックI相、カイラルスメクチッ
クG相などが発見されている。ここでは、一般に最も広
く研究されているカイラルスメクチックC相を用いてそ
の性質を説明する。
【0004】強誘電性液晶は、スメクチック相と呼ばれ
る層構造を有する液晶で、液晶分子はこの層法線方向に
対して角度θだけ傾いている。また、液晶分子は不斉原
子と分子長軸に垂直な方向に自発分極となる永久双極子
モーメントを有しており、強誘電性液晶系全体はラセミ
体でない光学活性な構成となっている。強誘電性液晶分
子が不斉原子を有しているため通常らせん構造をとって
いる。これを特開昭56ー107216号公報で記述さ
れている様にそのらせんピッチの3倍以下の間隔の基板
間に挟んでセルを構成すると、そのらせん構造が基板壁
面の効果によってほどけ、自発分極が基板に垂直な方向
に一様に配列した2状態が安定に存在するようになる。
これがいわゆるメモリー効果と呼ばれる。
【0005】この2状態は、自発分極の向きが互いに逆
方向を向いており、分子長軸の向きが、一方は前述の層
法線方向に対してθだけ傾いているとすると、他方は−
θだけ傾いていることにそれぞれ対応している。このと
き、直交ニコル間にセルを置き、偏光子を前記一方の分
子長軸と平行となるようにすれば、偏光子を透過した直
線偏光はそのまま液晶層を通り抜けるが、検光子によっ
て遮られ暗状態となる。この状態で他方は、偏光子を透
過した直線偏光が液晶分子の複屈折効果により検光子を
通り抜け明状態が得られる。
【0006】ここで、前記基板に垂直方向に直流電界を
印加すると、自発分極が電界方向を向く性質に従って分
子長軸が層法線方向に対して一様にθ(又は−θ)傾い
た配列になる。これとは逆方向の直流電界を印加すると
分子は一様に−θ(又はθ)の配列となる。このように
電界の向きによって明暗の状態をスイッチングすること
ができる。
【0007】さて、上記スイッチング原理を利用したマ
トリクス型強誘電性液晶表示装置をマトリクス駆動する
場合、通常図1に示す水平方向の行電極群X1 …Xm
順次選択して走査し、これに同期して垂直方向の列電極
群Y1 …Ym には並列に、“明”又は“暗”の信号電圧
を一斉に印加する線順次走査方式が用いられる。この方
式を用いた具体的例としては、強誘電性液晶の光学応答
時間の印加電圧に対する強い依存性を利用し、電圧変調
によって駆動する“2フィールド法”と呼ばれる方法な
どがある。
【0008】この方法をもう少し詳しく説明する。前記
行電極と列電極の交点である画素の“明”と“暗”の組
み合わせによって文字、、図形等を表示する場合、強誘
電性液晶が前記の如く印加電圧の極性に応答する特殊性
から“明”表示画素を駆動する走査を行って表示を完成
する。各々の走査における駆動電圧信号は一対の矩形パ
ルスから成り、選択画素には電圧が±Vのパルス、非選
択画素には±V/4のパルスが印加されるように構成さ
れている。
【0009】ここで、選択画素とは選択された行電極上
の画素であって、“明”表示画素を駆動する走査では
“明”表示画素、“暗”表示画素を駆動する走査では
“暗”表示画素をこの場合指している。また、非選択画
素とは、選択されていない行電極上の全ての画素をい
う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】マトリクス型強誘電性
液晶表示装置をマトリクス駆動する場合、前記のように
非選択画素にも±V/4の電圧が印加されてしまう。そ
のため、マトリクス型強誘電性液晶表示装置が良好な表
示品位を保つためには少なくとも±V/4の電圧が印加
されても明るさが変化しないことが必要である。即ち、
前記2フィールド法の場合では±V/4で光量が変化せ
ず、±Vになって変化することが必要となる。結局、マ
トリクス駆動を行うためにはある電圧まで光量が変化し
ない特性(以下、しきい値特性という)が要求される。
【0011】従来のマトリクス型強誘電性液晶表示装置
では、しきい値特性に優れたものが見い出されておら
ず、表示品位が良好でないという問題があった。そこ
で、本発明者等は、上述した問題に対し鋭意研究した結
果、後述する実施形態に示すような液晶を開発した。こ
の液晶においては、印加電圧の正極性側において印加電
圧が第1の閾値電圧を超えた時に第1の安定な分子配向
状態から第2の安定な分子配向状態に変化開始し、印加
電圧が第1の閾値電圧より小さい第2の閾値電圧を下回
った時に第2の安定な分子配向状態から第1の安定な分
子配向状態に変化開始し、印加電圧の負極性側において
印加電圧の絶対値が第3の閾値電圧の絶対値を超えたと
きに第1の安定な分子配向状態から第3の安定な分子配
向状態に変化開始し、印加電圧の絶対値が第3の閾値電
圧の絶対値より小さい第4の閾値電圧の絶対値を下回っ
た時に第3の安定な分子配向状態から第1の安定な分子
配向状態に変化開始して、第1の安定な分子配向状態と
第2の安定な分子配向状態の間の変化状態において第1
のヒステリシス特性を有し、第1の安定な分子配向状態
と第3の安定な分子配向状態の間の状態変化において第
2のヒステリシス特性を有するものである。本発明は、
このような第1、第2のヒステリシス特性を有する液晶
を用い、このヒステリシス特性を利用した新規な駆動に
より、表示品位を良好にすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1乃至6に記載の
発明においては、液晶として印加電圧の正極性側と負極
性側にヒステリシス特性を有するものを用い、選択信号
(S1 、S2 )と非選択信号(S3 )を有する走査信号
とデータ信号(D1 〜D3 )の組み合わせによりマトリ
クス表示を行うようにしたものであって、走査信号は、
表示状態を選択する選択信号(S 1 、S 2 )と、選択さ
れた表示状態を保持する非選択信号(S 3 )とを有し、
データ信号は、交流の電圧信号(D 1 〜D 3 )として構
成され、走査信号とデータ信号による液晶への印加電圧
は、所定の期間毎に、正極性側および負極性側に極性反
転する電圧波形として形成し、その場合に、非選択信号
の絶対値を、第1乃至第4の閾値電圧(v1 、v3 、v
1'、v3')のそれぞれの絶対値の平均の電圧レベルを有
する直流信号としたことを特徴としている。
【0013】従って、正極性側と負極性側にヒステリシ
ス特性を有する液晶を用いた新規な駆動にて、表示品位
の良好なマトリクス表示を行うことができる。また、上
記のような2つのヒステリシス特性を有する液晶におい
ては、正極性側と負極性側とで特性が異なっていること
があり、その場合にそれぞれの極性で異なる電圧レベル
の非選択信号を設定していたのでは駆動回路が複雑にな
る。本発明では、非選択信号を上記のような第1乃至第
4の閾値電圧の平均の電圧レベルを有する直流信号とす
ることにより、正極性側と負極性側の駆動に適した同一
の非選択信号とすることができ、駆動回路を簡単にする
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
より詳細に説明する。図1は、その一実施形態を示すマ
トリクス型強誘電性液晶表示装置の全体構成を示してい
る。この種の表示装置は、マトリクス型液晶セル10を
備えており、この液晶セル10は、図1及び図2に示す
ごとく一対の電極基板11、12を、例えば1〜10μ
mのギャップを介し互いに平行に配設し、これら各電極
基板11、12間に化1の構造式の4−(1−トリフル
オロメチルヘプチルオキシカルボニル)フェニル−4’
−オクチルオキシビフェニル−4−カルボキシレート
(以下、TFMHPOBCと略す)13を密封し、かつ
各電極基板11、12に互いに偏光軸を直交させてなる
各偏光板14、15をそれぞれ外方から添着して構成さ
れている。
【0015】
【化1】
【0016】〔4-(1- riluoro ethyl eptyloxy
carbonyl) henyl 4'-ctyloxy iphenyl-4-arbox
ylate〕 電極基板11は、図1及び図2に示すごとく、透明状の
ガラス板11のその内表面に沿い酸化インジウム或いは
酸化スズからなる透明状の導電膜11bをn状の行電極
1,X2,…Xn として図1にて図示上下方向に互いに間
隔を付与するとともに同図示左右方向に平行に突設形成
して構成されている。
【0017】一方、電極基板12は図1及び図2に示す
ごとく、透明状のガラス板12aにその内表面に沿い酸
化インジウム或いは酸化スズからなる透明状の導電膜1
2bをm状の列電極Y1,Y2,…Ym として図1にて図示
左右方向に互いに間隔を付与するとともに前記各行電極
1,X2,…Xn に互いに直交するように突設形成して構
成されている。
【0018】また導電膜11b、12bの内表面にはポ
リイミド、ポリアミド等の高分子膜16、17が付設さ
れ、強誘電性液晶分子13aが電極基板11、12に平
行に配向するように高分子膜16、17の内表面にラビ
ング処理を行っている。強誘電性液晶分子を配向させる
手段としては、前記高分子膜をラビング処理する替わり
に酸化珪素等の斜方蒸着処理方を用いても良い。
【0019】かかる場合、液晶セル10内への強誘電性
液晶13の密封にあたっては、まず、高分子膜16、1
7のラビング方位が両導電膜11b、12bの各内表面
間間隔の中心を通り両導電膜11b、12bに平行とな
る中心線に対して平行となるように両電極基板11、1
2を平行に組み合せる。然る後、強誘電性液晶13を加
熱して等方性液体相として毛細管現象を利用して両電極
基板11、12間に注入し、かつ液晶セル10全体を毎
分0.1〜1℃程度にて徐冷することにより強誘電性液
晶13をスメクチックC* 相になるまで冷却する。
【0020】この様な冷却の結果、スメクチック層形体
をとる強誘電性液晶13は高分子膜16、17のラビン
グ方向に沿い配向することとなるが、図2に示す様にス
メクチック層13cは く”の字に折れ曲がっている。
この時の強誘電性液晶分子13の電界とその向きによっ
て安定状態をとる分子配列を図3を用いて説明する。同
図では、液晶セル10の法線方向から見た図とその断面
方向斜視図をそれぞれ対応させて示してある。
【0021】まず、図3(a)は無電界の時に安定な液
晶分子配列を示している。液晶分子13aの分子長軸は
ラビング方向と略平行で断面図で見ると、液晶セル10
の上半分では自発分極13bが右向き(又は左向き)に
下半分では自発分極13bが左向き(又は右向き)に向
く様に配向している。即ち、液晶分子13aが電界によ
って動く軌道13d(通常スメクチックコ−ンと呼ばれ
る)上で表わせば、液晶セル10の上半分では液晶分子
13aが下方向、下半分では上方向に位置しスメクチッ
ク層13cが”く”の字に折れ曲がった部分で分割され
る。この状態は、直交ニコル間に置いて観察すれば消光
位が観測される。
【0022】次に、液晶セル10の両電極基板11、1
2間に電界を印加する(図3(b)の断面図では紙面に
沿って下から上向きに印加する)と、液晶分子13aは
その自発分極13bの向きが電界方向に揃うため、分子
長軸が前記図3(a)の配向方向から角度θだけずれた
状態、即ち、自発分極13bが上向きでスメクチックコ
−ン13d上で言えば右側に位置する状態が安定状態と
なる。
【0023】さらに、これと逆向きの電界を印加する
(図3(c))と、前記と同様の理由で分子長軸が同図
(b)とは逆方向に角度−θだけずれた状態、即ち、自
発分極13bが下向きで、スメクチックコ−ン13d上
で言えば、左側に位置する状態が安定状態となる。そし
て、この図3(b)、(c)の状態も同図(a)と同様
に直交ニコル間で観察すると消光位が互いに角度2θず
れた位置に観測される。
【0024】ここで、液晶セル10に添着する偏光板1
4、15の偏光軸を次のように定める。偏光板15の偏
光軸を図3(a)の分子長軸と平行(図3(a)に図示
した破線矢印P)とし偏光板14の偏光軸は、これと直
交(図3(a)に図示した実線矢印A)させる。かかる
場合、前記3つの安定状態の光透過は数1で記述され
る。
【0025】
【数1】 I=I0 ・ sin 24θ・ sin 2(πΔnd/λ) ここで、Iは透過光強度、I0 は偏光板の透過率で決ま
る定数、θ0 は偏光板15の偏光軸と液晶分子長軸のな
す角(図3では、(a)でθ0 =0、(b)でθ0
θ、(c)ではθ0 =−θとなる。TFMHPOBCの
場合、温度によって変化するがθ=11〜31°であ
る。)Δnは液晶の常光、異常光に対する屈折率の差、
dは液晶セルの基板間隔、λは光の波長である。
【0026】数1から分かるように、図3(a)では光
は透過せず“暗”を示し、図3(b)、(c)では光が
透過し“明”を示すことが容易に認められる。この透過
光強度と液晶セル10への印加電圧の関係を実験により
測定した。この結果を図4に示す。図4の横軸は印加電
圧で図3(b)で図示した電界の向きで正、同図(c)
で図示した向きで負としてある。縦軸は相対透過光強度
である。
【0027】無電界の図3(a)の状態から正の印加電
圧を増加していくと、電界Eと自発分極PS の積に基づ
くトルクと弾性トルクの競合により、しきい値(閾値)
1をもって図3(a)の状態に配列していた液晶分子
がスメクチックコ−ン13dに沿って反転し始め飽和電
圧v2 を越えて図3(b)の状態となる。これに伴って
透過光強度も変化し、結局“暗”から“明”へスイッチ
ングする。ここで、しきい値電圧は透過光強度が初期値
から10%変化する電圧と定義し、飽和電圧は同90%
変化する電圧と定義する。
【0028】逆に、印加電圧をv2 以上から減少させる
と電圧増加時と同じ変化を示さずヒステリシスを示す。
即ち、しきい値v3 をもって図3(b)の状態から分子
が反転し始め、飽和電圧v4 によって図3(a)の状態
に変化する。これに伴って透過光強度も変化し、結局
“明”から“暗”へスイッチングする。逆極性の電圧を
印加した時も同様にヒステリシスを示して図3(a)の
状態と図3(c)の状態が変化し、“暗”から“明”及
び“明”から“暗”への変化でそれぞれしきい値v1'、
3'、飽和電圧v2'、v4'をもつ。本発明では上記した
特性を有効に利用している。
【0029】前記の各行電極X1,X2,…Xn と各列電極
1,Y2,…Ym との交又部は、これら各交又部に存在す
る各強誘電性液晶部分と共にそれぞれ各表示画素(1,
1)、…(1,m)、(2,1)、…(n,m)を構成
する(図1参照)。行電極と列電極との間に−極性の適
正な電圧が印加されたとき強誘電性液晶がとりうる分子
配向状態にて表示画素が光を透過させる状態(即ち、明
表示状態)となり、一方、行電極と列電極との間にしき
い値以下の適正な電圧が印加されたとき強誘電性液晶が
取り得る分子配向状態にて表示画素が光を透過させない
状態(即ち、暗表示状態)となるように各偏光板14、
15の偏光軸が強誘電性液晶の分子長軸との関係で定め
られている。尚、偏光板15の背後には、偏光板15に
投光する光源が配置されている。
【0030】また、液晶表示装置は、図1に示すごと
く、線順次走査回路20と、この線順次走査回路20に
接続した基準信号発生回路30と、線順次走査回路20
及び基準信号発生回路30に接続した行駆動回路40及
び列駆動回路50とを備えており、線順次走査回路20
は、ROM21と、このROM21に接続したコントロ
ーラ22により構成されている。ROM21は、液晶セ
ル10に表示されるための所定の表示内容を表す表示デ
ータを予め記憶している。
【0031】コントローラ22は、基準クロックパルス
a(図8に示すa)を順次発生し、基準クロックパルス
aの3倍の周期を持つ同期パルスb(図8に示すb)を
順次発生し、フレーム毎に反転するフレームパルスc
(図8に示すc)を順次発生し、シフトクロックパルス
Skを順次発生し、ROM21からの列電極表示データ
をデータパルスPyとして順次発生し、かつ行電極デー
タをデータパルスPxとして順次発生する。
【0032】基準信号発生回路30は、図5に示すごと
く、コントローラ22に接続したインバータ31と、コ
ントローラ22及びインバータ31に接続したDタイプ
フリップフロップ32、33、34を有している。イン
バータ31は、コントローラ22からの前記同期パルス
bを順次反転させて反転ゲートパルスを出力する。
【0033】フリップフロップ32、33、34におい
ては、フリップフロップ34の出力端子と32のデータ
入力端子が、32の出力端子と33のデータ入力端子
が、33の出力端子と34の入力端子がそれぞれ接続さ
れており、インバータ31からの反転ゲートパルスのロ
ーレベル時にプリセットあるいはクリアされて、それぞ
れハイ、ロー、ローレベルを出力すると共に、コントロ
ーラ22からの基準クロックパルスaの立ち上がりに同
期してフリップフロップ32、33、34の順に出力を
シフトさせ、フリップフロップ32より基準信号d(図
8に示すd)を、33より基準信号e(図8に示すe)
を、34より基準信号f(図8に示すf)を発生する。
【0034】行駆動回路40は、コントローラ22と、
コントローラ22に接続したシフトレジスタ40Aと、
基準信号発生回路30及びシフトレジスタ40Aに接続
した各論理回路40B1、40B2、…、40Bnを有
している。シフトレジスタ40Aは、コントローラ22
からの同期パルスbを順次シフトパルスとして受け、同
シフトパルスに同期してコントローラ22からの各デー
タパルスPxを、各論理回路40B1 40Bnのいず
れかに論理回路40B1から論理回路40Bnにかけて
順次シフトさせてデータパルスg(図8に示すg)とし
て付与する。
【0035】論理回路40B1は、図6に示すごとく、
シフトレジスタ40A及びコントローラ22に接続した
Dタイプラッチ41c、シフトレジスタ40Aに接続し
たインバータ41a、ラッチ41cに接続したインバー
タ41b及びシフトレジスタ40A、コントローラ2
2、インバータ41a、41bなどに接続したANDゲ
ート42a、43a、44a、45a、46a、47
a、48aを備えている。
【0036】Dタイプラッチ41cは、シフトレジスタ
40AからのデータパルスgをG端子に、コントローラ
22からのフレームパルスcをD端子に入力し、G端子
入力がハイレベルの時フレームパルスcをそのままQ端
子より出力し、G端子入力がローレベルになると、G端
子入力信号の立ち下がり時のD端子入力信号レベルを保
持し、Q端子より出力し、ゲートパルスc' を発生す
る。
【0037】インバータ41aは、シフトレジスタ40
Aからのデータパルスgを反転させて、反転データパル
スを発生する。インバータ41bは、Dタイプラッチ4
1cからのゲートパルスc' を反転させて、反転ゲート
パルスを発生する。ANDゲート42aは、シフトレジ
スタ40Aからのデータパルスg及びDタイプラッチ4
1cからのゲートパルスc' 、基準信号fがすべてハイ
レベルの時ハイレベルにてゲートパルスh(図8に示す
h)を発生する。
【0038】ANDゲート43aは、シフトレジスタ4
0Aからのデータパルスg及びDタイプラッチ41cか
らのゲートパルスc' 、基準信号eがすべてハイレベル
の時ハイレベルにてゲートパルスf(図8に示すf)を
発生する。ANDゲート44aは、シフトレジスタ40
Aからのデータパルスg及び基準信号dが共にハイレベ
ルの時ハイレベルにてゲートパルスj(図8に示すj)
を発生する。
【0039】ANDゲート45aは、シフトレジスタ4
0Aからのデータパルスg及びインバータ41bからの
反転ゲートパルス、基準信号fがすべてハイレベルの時
ハイレベルにてゲートパルスk(図8に示すk)を発生
する。ANDゲート46aは、シフトレジスタ40Aか
らのデータパルスg及びインバータ41bからの反転ゲ
ートパルス、基準信号eがすべてハイレベルの時ハイレ
ベルにてゲートパルスl(図8に示すl)を発生する。
【0040】ANDゲート47aは、インバータ41a
からの反転データパルス及びDタイプラッチ41cから
のゲートパルスc' が共にハイレベルの時ハイレベルに
てゲートパルスm(図8に示すm)を発生する。AND
ゲート48aは、インバータ41aからの反転ゲートパ
ルス及びインバータ41bからの反転ゲートパルスが共
にハイレベルの時ハイレベルにてゲートパルスn(図8
に示すn)を発生する。
【0041】トランスミッションゲート44bは、AN
Dゲート44aからのゲートパルスjに応答して、この
ゲートパルスjを零レベル(即ち、接地レベル)までシ
フトし、零レベルを有する走査信号S1 、S1'(図8に
示すO及び図9参照)として各トランスミッションゲー
トとの共通出力端子49から発生し、液晶セル10の行
電極X1 に付与する。
【0042】また、トランスミッションゲート43c
は、ANDゲート43aからのゲートパルスlに応答し
て、このゲートパルスlを定電圧回路43bからの正の
定電圧(V0 −V1 )に基づき、(V0 −V1 )のレベ
ルまでシフトすると共に、トランスミッションゲート4
2cは、ANDゲート42aからのゲートパルスhに応
答して、このゲートパルスhを定電圧回路42bからの
正の定電圧(V0 +V1)に基づき、(V0 +V1 )の
レベルまでシフトする。このため、このような両トラン
スミッションゲート43c、42cのシフト結果が合成
されて、走査信号S2 (図8に示すO及び図9参照)と
して各トランスミッションゲートとの共通出力端子49
から発生し、液晶10の行電極X1 に付与する。
【0043】以下同様にトランスミッションゲート47
c、46c、45c、48cは、それぞれANDゲート
47a、46a、45a、48aからのゲートパルス
m、l、k、nに応答して、それぞれの定電圧回路47
b(V0 )、46b(−(V0−V1 ))、45b(−
(V0 +V1 ))、48b(−V0 )に基づき、それぞ
れの電圧レベルを有する走査信号号S3 、S2'、S3'
(図8に示すO及び図9参照)として各トランスミッシ
ョンゲートとの共通出力端子49から発生し、液晶セル
10の行電極X1 に付与する。
【0044】かかる場合、第1フレームにおいて、両走
査信号S1 、S2 が行電極X1 を選択するための選択信
号として機能し、行電極X1 が選択されるまでの間走査
信号S3'が、選択後走査信号S3 が非選択信号として、
それぞれのT/nの間機能する(行電極X1 の場合、フ
レームの最初に選択されるため、走査信号S3 のみが非
選択信号となる)。但し、Tは1フレーム表示時間を表
す。
【0045】また、第2フレームにおいては、両走査信
号S1'、S2'が行電極X1 を選択するための選択信号と
して機能し、行電極X1 が選択されるまでの間走査信号
3が、選択後走査信号S3'が非選択信号としてそれぞ
れT/nの間機能する(第1フレームと同様に行電極X
1 の場合、走査信号S3'のみが非選択信号となる)。残
余の論理回路40B2〜40Bnは、共に論理回路40
B1と同様に構成されており、これら各論理回路40B
2〜40Bnは、シフトレジスタ40Aからの各データ
パルスg、コントローラ22からのフレームパルスc並
びに基準信号発生回路からの各ゲートパルスd、e、f
に応答して、論理回路40B1と同様に、各走査信号S
1 、S2 、S3 、S1'、S2'及びS3'をそれぞれ生じ
る。
【0046】しかして、論理回路40B2からの各走査
信号は、第1フレームにおいては両走査信号S1 、S2
は選択信号として、また、走査信号S3'、S3 は行電極
X2選択前・後の非選択信号として、それぞれ液晶セル
10の行電極X3 に付与される。以下同様に、論理回路
40Bnからの各走査信号は、第1フレームにおいては
両走査信号S1 、S2 は選択信号として、また、走査信
号S3'、S3 は、行電極X2 選択前・後の非選択信号と
して、また、第2フレームにおいては両走査信号S1'、
2'は選択信号として、また、走査信号S3 ・S3'は、
行電極Xn 選択前・後の非選択信号としてそれぞれ液晶
セル10の行電極Xnに付与される。
【0047】列駆動回路50は、コントローラ22と、
コントローラ22に接続したシフトレジスタ50A及び
ラッチ50Bと、基準信号発生回路30及びラッチ50
Bに接続した各論理回路50c1、50c2、…、50
cmを有している。シフトレジスタ50Aは、コントロ
ーラ22からのシリアルなデータパルスPyを、同コン
トローラからのシフトクロックパルスSkに応答して順
次入力されて、パラレルなm個のデータパルスに繰り返
し変換し、ラッチ50Bに付与する。
【0048】ラッチ50Bは、シフトレジスタ50Aか
らの各m個のデータパルスをコントローラ22からの同
期パルスbに応答して繰り返しラッチしてデータパルス
p(図8に示すp)として各論理回路50C1、50c
2、…、50cmにそれぞれ付与する。論理回路50C
1は、図7に示すごとく、ラッチ50B及びコントロー
ラ22に接続したEXCLUSIVE−ORゲート51
と、同EXCLUSIVE−ORゲート51に接続した
インバータ52と、同インバータ52及び基準信号発生
回路30に接続したANDゲート53aと、EXCLU
SIVE−OR51及び基準信号発生回路30に接続し
たANDゲート53bと、両ANDゲート53a、53
bに接続したORゲート53cを備えている。
【0049】EXCLUSIVE−OR51は、ラッチ
50BからのラッチデータパルスP及びコントローラ2
2からのフレームパルスcの排他的論理和をとり、ゲー
トパルスq(図8に示すq)を発生する。ANDゲート
53aは、インバータ52からのqの反転ゲートパルス
がハイレベル中に、基準信号発生回路30からの基準信
号eに応答してハイレベルにて、ゲートパルスを発生
し、またqの反転ゲートパルスがローレベル時にローレ
ベルにてゲートパルスを発生する。
【0050】ANDゲート53bは、EXCLUSIV
E−OR51からのゲートパルスqがハイレベル時に基
準信号発生回路30からの基準信号fに応答してハイレ
ベルにてゲートパルスを発生し、また、ゲートパルスq
がローレベル時にローレベルにてゲートパルスを発生す
る。ORゲート53cは、両ANDゲート53a、53
bのうち、少なくとも一方がハイレベルの時ハイレベル
にてゲートパルスr(図8に示すr)を発生する。
【0051】NORゲート54は、ORゲート53cか
らのゲートパルスr及び基準信号発生回路30からの基
準信号dが共にローレベル時にハイレベルにて応答し、
ゲートパルスs(図8に示すs)を発生する。トランス
ミッションゲート56は、基準信号発生回路30からの
基準信号dに応答して両ゲートパルスを零レベル(即
ち、接地レベル)までシフトし、零レベルを有するデー
タ信号D1およびD1' (図8に示すO及び図9参照)
として各トランスミッションゲート55b、57bとの
共通の出力端子58から発生し、液晶セル10の列電極
1 に付与する。
【0052】また、トランスミッションゲート55bが
NORゲート54からゲートパルスsを受けると共に、
トランスミッションゲート57bがORゲート53cか
らゲートパルスrを受けると、トランスミッションゲー
ト55bがゲートパルスsを定電圧回路55aからの正
の定電圧のレベル(V2)までシフトすると共に、トラン
スミッションゲート57bがゲートパルスrを定電圧回
路57aからの負の定電圧のレベル(−V2)までシフト
する。
【0053】このため、このような両トランスミッショ
ンゲート55b、57bのシフト結果が合成されて、デ
ータ信号D2 、D3 及びD2'、D3'(図8に示すO及び
図9参照)として共通出力端子58から発生し、液晶セ
ル10の列電極Y1 に付与する。かかる場合、第1フレ
ームにおいて、両データ信号D1 、D2 が列電極Y1
対するONデータ信号として、両データ信号D1 、D3
がOFFデータ信号として、それぞれT/nの間機能す
る。また、第2フレームにおいては、両データ信号
1'、D2'が列電極Y1 に対するONデータ信号とし
て、両データ信号D1'、D3'がOFFデータ信号として
それぞれT/nの間機能する。
【0054】残余の論理回路40C2〜40Cmは、共
に論理回路40C1と同様に構成されており、これら各
論理回路40C2〜40Cmは、ラッチ50Bからの各
データパルスP、コントローラ22からのフレームパル
スc並びに基準信号発生回路からの各ゲートパルスd、
e、fに応答して、論理回路40C1と同様に、各デー
タ信号D1 、D2 、D3 、D1'、D2'及びD3'をそれぞ
れ生じる。
【0055】しかして、論理回路40C2からの両デー
タ信号D1 、D2 及び両データ信号D1 、D3 は、第1
フレームにおいてONデータ信号及びOFFデータ信号
として、また、両データ信号D1'、D2'及び両データ信
号D1'、D3'は、第2フレームにおいてONデータ信号
及びOFFデータ信号として、それぞれ液晶セル10の
列電極Y2 に付与される。
【0056】論理回路40C3からの両データ信号
1 、D2 及び両データ信号D1 、D3は、第1フレー
ムにおいてONデータ信号及びOFFデータ信号とし
て、また、両データ信号D1'、D2'、及び両データ信号
1'、D3'は、第2フレームにおいてONデータ信号及
びOFFデータ信号として、それぞれ液晶セル10の列
電極Ym に付与される。
【0057】以下同様に、論理回路40Cmからの両デ
ータ信号D1 、D2 及び両データ信号D1 、D3 は、第
1フレームにおいてONデータ信号及びOFFデータ信
号として、また、両データ信号D1'、D2'及び両データ
信号D1'、D3'は、第2フレームにおいてONデータ信
号及びOFFデータ信号として、それぞれ液晶セル10
の列電極Ym に付与される。
【0058】ここにおいて、各定電圧回路42bからの
定電圧(V0 +V1 )、定電圧回路43bからの定電圧
(V0 −V1 )、定電圧回路45bからの定電圧−(V
0 +V1 )、定電圧回路46bからの定電圧−(V0
1 )、定電圧回路47bからの定電圧V0 、及び定電
圧回路48Bからの定電圧−V0 、そして、図7の定電
圧回路55aからの定電圧V2 及び定電圧回路57aか
らの定電圧−V2 の決定方法について説明する。
【0059】暗表示状態にある表示画素(n,m)に適
正な電圧を印加して明表示状態に変化させるとき表示画
素(n,m)の透過光量が電圧印加後、全変化の90%
以上まで変化する時間及び明表示状態にある表示画素
(n,m)に適正な電圧を印加して暗表示状態に変化さ
せるときのそれを、それぞれ強誘電性液晶13の応答時
間とし、それぞれの応答時間以上の時間t0 として走査
信号S1 、S1'及びデ−タ信号D1 、D1'の設定信号幅
とする。
【0060】そして、走査信号S2 、S2'及びデータ信
号D2 、D2'、D3 、D3'の信号幅を2t0 とする。こ
のとき、図4の印加電圧−透過光強度特性の曲線との関
連にて良好なるコントラストを得るために、数2〜数4
を満足するように前記各電圧レベルを定める。
【0061】
【数2】|V0 |={(|v1 |+|v3 |)/2+
(|v1'|+|v3'|)/2}/2
【0062】
【数3】|V2 |≦ (|v1 |−|v3 |)/2 ,
(|v1'|−|v3'|)/2
【0063】
【数4】|V0 |+|V1 |+|V2 | > |v
2 |,|v2'| 尚、強誘電性液晶13の応答時間は、±(V0 +V1
2 )の電圧印加時における応答時間をいう。以上のよ
うに構成した本実施形態において、線順次走査回路20
が、基準クロックパルスa及び同期パルスb、フレーム
パルスc、シフトクロックパルスSk、データパルスP
x及びデータパルスPyをそれぞれ順次発生し、基準信
号発生回路30が、基準クロックパルスa及び同期パル
スbに順次応答して、各基準信号d、e及びfをそれぞ
れ図8に示す各タイミングにて順次発生すると、行駆動
回路40が、線順次走査回路20からの同期パルスb、
フレームパルスc及びデータパルスPx並びに基準信号
発生回路30からの基準信号d、e及びfに応答して、
第1フレームでは選択信号(両走査信号S1 、S2 )ま
たは、非選択信号(走査信号S3 またはS3')を、第2
フレームでは選択信号(両走査信号S1'、S2')また
は、非選択信号(走査信号S3'またはS3 )を、液晶セ
ル10の各行電極X1 〜Xn のいずれかに行電極X1
ら行電極Xn にかけてT/n毎にシフトさせながら付与
する。
【0064】一方、列駆動回路50が、線順次走査回路
20からの同期パルスb、フレームパルスc、シフトク
ロックパルスSk及びデータパルスPy並びに基準信号
発生回路30からの基準信号d、e及びfに応答して、
第1フレームではONテータ信号(両データ信号D1,D
2 )またはOFFデータ信号(両データ信号D1
3 )を、第2フレームではONデータ信号(両データ
信号D1'、D2')またはOFFデータ信号(両データ信
号D1'、D3')を、液晶セル10の各列電極Y1 〜Ym
にそれぞれ繰り返し付与する。
【0065】このような構成において、液晶セル10が
行駆動回路40及び列駆動回路50によりどのようにマ
トリクス駆動されるかにつき各表示画素(1、1)及び
(1、2)を例にとって説明する。ここでは、簡単のた
めに第1フレームと第2フレームで同じ表示を行うもの
として説明する。例えば、第1フレームで行駆動回路4
0が行電極X1 に選択信号(両走査信号S1 及びS2
を付与すると共に、列駆動回路50が列電極Y1 にON
データ信号D1 およびD2 )を付与すると、表示画素
(1,1)が明表示画素(図11参照)として機能す
る。
【0066】かかる場合、行電極X1 と列電極Y1 との
間には、走査信号S1 とデータ信号D1 との合成による
消去信号E1 (図12(a))がt0 間付与される。さ
らに、走査信号S2 とデータ信号D2 との合成による書
込信号W1 (図12(a))が2t0 の間付与される。
但し、消去信号E1 は、0Vで、一方書込信号W1 は信
号幅t0 の(V0 −V1 −V2 )のレベルと信号幅t0
の(V0 +V1 +V2)のレベルを有する。
【0067】しかして、表示画素(1、1)は、消去信
号E1 のレベル(0V)及び信号幅t0 に基づき一度暗
表示状態(図3(a)の配列状態)となり、然る後、書
込信号W1 の図3(b)の状態に変化する飽和電圧v2
以上のレベル(V0 +V1 +V2 )及び信号幅t0 に基
づき明表示状態(図3(b)の配列状態)となる。T/
nの後は、行駆動回路40からの非選択信号及び列駆動
回路50からのONデータ信号(或いは、OFFデータ
信号)の合成による図3(b)の状態から同図(a)の
状態への変化のしきい値電圧v3 以上のレベルを有する
保持信号H(図12(a))が表示画素(1、1)に付
与されて明表示状態を保持する。これら、一連の様子
は、図12(b)の透過光強度変化で示されている。
【0068】第2フレームでも同様に行駆動回路40が
行電極X1 に選択信号(両走査信号S1'及びS2')を付
与するとともに列駆動回路50が列電極Y1 にONデー
タ信号(両データ信号D1'及びD2')を付与すると、表
示画素(1,1)が明表示画素(図11参照)として機
能する。かかる場合も第1フレームで説明したと同様の
理屈で、今度は図3(a)と同図(c)との間の変化を
利用して明表示状態が実現される。即ち、走査信号S1'
とデータ信号D1'との合成による消去信号E1'(図12
(a)参照)がt0 間付与されると共に、走査信号S2'
とデータ信号D2'との合成による書込信号W1'(図12
(a))が2t0 の間付与されることになる。但し、消
去信号E1'は0Vで一方、書込信号W1'は信号幅t2
−(V0 −V1 −V2 )のレベルと信号幅t0 の−(V
0 +V1 +V2 )のレベルを有する。
【0069】しかして、表示画素(1、1)は、消去信
号E1'のレベル(0V)及び信号幅t0 に基づき一度暗
表示状態(図3(a)の配列状態)となり、然る後、書
込信号W1'の図3(c)の状態に変化する飽和電圧v2'
以上のレベル−(V0 +V1+V2 )及び信号t0 に基
づき明表示状態(図3(c)の配列状態)となる。T/
nの後は、行駆動回路40からの非選択信号及び列駆動
回路50からのONデータ信号(或いはOFFデータ信
号)の合成による図3(c)の状態から同図(a)の状
態への変化のしきい値電圧v3'以下のレベルを有する保
持信号H'(図12(a)参照)が表示画素(1、1)
に付与されて明表示状態を保持する。
【0070】ここで、各X電極に印加される非選択信号
は、選択信号が印加される毎に順次S3 からS3'に変化
する。これら一連の様子は、図12(b)の透過光強度
変化で示されている。次に、暗表示状態を実現する場合
について説明する。第1フレームで行駆動回路40が行
電極X1 に選択信号(両走査信号S1 及びS2 )を付与
すると共に列駆動回路50が列電極Y2 にOFFデータ
信号(両データ信号D1 及びD3 )を付与すると表示画
素(1、2)が暗表示画素(図11にて斜線部分参照)
として機能する。
【0071】かかる場合、行電極X1 と列電極Y2 との
間には走査信号S1 とデータ信号D 1 との合成による消
去信号E2 (図12(c))がt0 間付与されると共
に、走査信号S2 とデータ信号D3 との合成による書込
信号W2 が2t0 間付与されることとなる。但し、消去
信号E2 は0Vで一方、書込信号W2 は信号幅t0
(V0 −V1 +V2 )のレベルと信号幅t0 で(V0
1 −V2 )のレベルを有する。
【0072】しかして、表示画素(1,2)は、消去信
号E2 のレベル(0V)及び信号幅t0 に基づき暗表示
状態(図3(a)の配列状態)となり、然る後、各書込
信号W2 の信号幅t0 でレベル(V0 −V1 +V2 )及
び(V0 +V1 −V2 )が図3(a)の配列から同図
(b)の配列への変化のしきい値電圧v1 以下であるた
めに図3(a)の状態を維持し、結局、暗表示状態が実
現される。T/nの後は、前述と同様に保持信号Hが印
加されるが、この電圧レベルがいずれもv1 以下である
ために暗表示状態が保持される。
【0073】第2フレームでも同様に行駆動回路40が
行電極X1 に選択信号(両走査信号S1'及びS2')を付
与すると共に列駆動回路50が列電極Y2 にOFFデー
タ信号(両データ信号D1'及びD3')を付与すると表示
画素(1、2)が暗表示画素(図11にて斜線部分参
照)として機能する。かかる場合も第1レームで説明し
たのと同様の理屈で、暗表示状態が実現される。即ち、
走査信号S1'とデータ信号D1'との合成による消去信号
2'(図12(c))がt0 間付与されると共に、走査
信号S2'とデータ信号D3'との合成による書込信号W2'
(図12(c)) が2t0 の間付与されることになる。
但し、消去信号E2'は0Vで一方、書込信号W2'は信号
幅T0 の−(V0 −V1 +V2)のレベルと−(V0
1 −V2 )のレベルを有する。
【0074】しかして、表示画素(1、2)は、消去信
号E2'のレベル(0V)及び信号幅t0 に基づき暗表示
状態(図3(a)の配列状態)となり、然る後の書込信
号W 2'のレベルがいずれも図3(a)から同図(c)へ
の変化のしきい値電圧v1'以下であるために暗表示状態
が維持される。T/nの後は、行駆動回路40からの非
選択信号及び列駆動回路50からのONデータ信号(或
いは、OFFデータ信号)の合成による保持信号H' が
表示画素(1、2)に付与されるが、いずれも図3
(a)の状態から同図(c)の状態への変化のしきい値
電圧V1'以下であるために暗表示状態を保持する。
【0075】ここで、各X電極に印加される非選択信号
は、選択信号が印加される毎に順次S3 がS3'に変化す
る。これら一連の様子は、図12(d) の透過光強度変化
で示されている。また、他の表示画素も同様に駆動さ
れ、その結果液晶セル10がマトリクス駆動されること
になる。
【0076】なお、図10は、行電極及び列電極に付与
される信号のタイミングを示している。尚、本発明の実
施にあたっては、強誘電性液晶としてTFMHPOBC
を用いたが、前記安定な3状態を示し、前記ヒステリシ
ス特性を有すれば何を用いてもよく、例えば、化2〜化
4の構造式のもの(TFMNPOBC、MHPOBC、
TFMHB2FDB)を用いてもよい。 (1)TFMNPOBC
【0077】
【化2】
【0078】〔4-(1- riluoro ethyl onyloxyc
arbonyl)henyl 4'-ctyloxy iphenyl-4-arboxyl
ate〕 (2)MHPOBC
【0079】
【化3】
【0080】〔4-(1- ethyl eptyloxycarbonyl)
henyl 4'-ctyloxy iphenyl-4-arboxylate〕 (3)TFMHB2FDB
【0081】
【化4】
【0082】〔4-(1- riluoro ethyl eptyloxy
carbonyl)-4'- iphenyl 2-luoro-4-decyloxyenzo
ate 〕」 さらに、複数の液晶を所定の比率で混合したものも同様
に用いることができる。また、本発明の実施に当たって
は、フレーム毎に電圧極性を逆転させたが、複数フレー
ム毎に逆転させても、液晶セルに実質的直流成分が残ら
なければ自由に設定できる。
【0083】また、本発明の実施に当たっては、液晶セ
ル10を透過型に限ることなく反射型としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1における液晶セルの拡大断面図である。
【図3】図2における液晶分子の配向状態を示す図であ
る。
【図4】強誘電性液晶の光透過率と印加電圧との関係を
示す図である。
【図5】図1における基準信号発生回路の詳細構成図で
ある。
【図6】図1における行駆動回路中の論理回路の詳細構
成図である。
【図7】図1における列駆動回路中の論理回路の詳細構
成図である。
【図8】図1に示す実施形態の作動説明に供する信号波
形図である。
【図9】走査信号とデータ信号の信号波形を示す図であ
る。
【図10】液晶セルに付与される信号のタイミングを示
す図である。
【図11】行電極と列電極の部分拡大図である。
【図12】液晶に印加される電圧波形を示す図である。
【符号の説明】
10…液晶セル、11、12…電極基板、13…強誘電
性液晶、20…線順次走査回路、21…ROM、22…
コントローラ、30…基準信号発生回路、40…行駆動
回路、50…列駆動回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 薫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 山田 祐一郎 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 萩原 隆 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 昭和シェル石油株式会社内 (72)発明者 鈴木 義一 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 昭和シェル石油株式会社内 (72)発明者 河村 一朗 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 昭和シェル石油株式会社内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n条の行電極とm条の列電極とが互いに
    格子状に対向されるように並設した両電極基板(11、
    12)間に液晶(13)を封入してmn個の表示画素を
    形成する液晶セル(10)と、前記n条の行電極に走査
    信号を付与する行駆動回路(40)と、前記m条の列電
    極にデータ信号を付与する列駆動回路(50)とを備え
    て、前記mn個の表示画素によりマトリクス表示を行う
    ようにしたマトリクス型液晶表示装置において、 前記液晶(13)は、印加電圧の正極性側において前記
    印加電圧が第1の閾値電圧(v1 )を超えた時に第1の
    安定な分子配向状態から第2の安定な分子配向状態に変
    化開始し、前記印加電圧が前記第1の閾値電圧より小さ
    い第2の閾値電圧(v3 )を下回った時に前記第2の安
    な分子配向状態から前記第1の安定な分子配向状態に
    変化開始し、前記印加電圧の負極性側において前記印加
    電圧の絶対値が第3の閾値電圧(v1')の絶対値を超え
    たときに前記第1の安定な分子配向状態から第3の安定
    な分子配向状態に変化開始し、前記印加電圧の絶対値
    前記第3の閾値電圧の絶対値より小さい第4の閾値電圧
    (v3')の絶対値を下回った時に前記第3の安定な分子
    配向状態から前記第1の安定な分子配向状態に変化開始
    して、前記第1の安定な分子配向状態と前記第2の安定
    な分子配向状態の間の状態変化において第1のヒステリ
    シス特性を有し、前記第1の安定な分子配向状態と前記
    第3の安定な分子配向状態の間の状態変化において第2
    のヒステリシス特性を有するものであって、 前記走査信号は、表示状態を選択する選択信号(S1
    2 )と、選択された表示状態を保持する非選択信号
    (S3 )とを有して構成され、前記データ信号は、交流
    の電圧信号(D1 〜D3 )として構成され、前記走査信
    号と前記データ信号による前記液晶への印加電圧は、所
    定の期間毎に、正極性側および負極性側に極性反転する
    電圧波形として形成されており、 前記非選択信号の絶対値は、前記第1乃至第4の閾値電
    圧(v1 、v3 、v1'、v3')のそれぞれの絶対値の
    均の電圧レベルを有する直流信号であることを特徴とす
    るマトリクス型晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記正極性側および前記負極性側への極
    性反転は、1画 面表示時間内で行われることを特徴とす
    る請求項1に記載のマトリクス型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記選択信号および前記データ信号によ
    り明表示を行うときの前記印加電圧の絶対値は、正極性
    の電圧波形にあっては前記液晶が前記第2の安定な分子
    配向状態になるときの閾値電圧(v 2 )より大きい電圧
    であり、負極性の電圧波形にあっては前記液晶が前記第
    3の安定な分子配向状態になるときの閾値電圧(v 2 ')
    の絶対値より大きい電圧であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載のマトリクス型液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記選択信号および前記データ信号によ
    り暗表示を行うときの前記印加電圧の絶対値は、正極性
    の電圧波形にあっては前記液晶が前記第1の安定な分子
    配向状態になるときの閾値電圧(v 4 )より小さい電圧
    であり、負極性の電圧波形にあっては前記液晶が前記第
    1の安定な分子配向状態になるときの閾値電圧(v 4 ')
    の絶対値より小さい電圧であることを特徴とする請求項
    3に記載のマトリクス型液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記非選択信号および前記データ信号に
    よる印加電圧は、正極性の電圧波形にあっては前記第1
    の閾値電圧(v 1 )と前記第2の閾値電圧(v 3 )の間
    の電圧であり、負極性の電圧波形にあっては前記第3の
    閾値電圧(v 1 ')と前記第4の閾値電圧(v 3 ')の間の
    電圧であることを特徴とする請求項3又は4に記載のマ
    トリクス型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 前記液晶は、スメクチック相を有する液
    晶であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1
    つに記載のマトリクス型液晶表示装置。
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