JP2693753B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
スクロール圧縮機Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明はスクロール圧縮機に係り、特に旋回スクロー
ル台板摺動部のシール構造に関する。 〔従来の技術〕 スクロール圧縮機の旋回スクロール台板摺動部の給油
構造については特開56−165787があり、これには吐出圧
力で軸受と一緒に給油する構造が記載されている。ま
た、固定スクロール側から吐出圧力の油を給油する構造
が特開58−140494に、中間圧力の油を給油する構造が特
開59−87291、特開59−110883などに記載されている。
また、旋回スクロール台板外周油の昇圧作用については
特開59−119091に記載されている。しかし、旋回スクロ
ール台板外周部のシール性については配慮されていなか
った。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記従来技術は、旋回スクロール台板外周部の摺動部
のシール性についての配慮がされておらず、インバータ
駆動のように運転速度が変化する場合特に低速運転時に
性能が低下する問題があった。 更に、給油とスクロールのスラスト荷重の関連につい
て配慮がされておらず、背圧室の圧力が高く、低圧力比
運転時には軸受への給油が不十分となる問題があった。 本発明の目的は、旋回スクロールの台板外周部と固定
スクロール外壁との接触摺動部のシール性を向上させる
ことにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的は、旋回スクロールの台板外周部と固定スク
ロール外壁部との摺動部に油保持手段を設け、前記旋回
スクロールの台板外周部を収納しているフレームの収納
部内壁面と前記旋回スクロール台板外周との間の空間に
前記油補助手段に連通する通路を設け、前記空間を前記
背圧室と連通させ、旋回スクロールの旋回に伴なう前記
空間の変動により該空間に発生した昇圧油を前記摺動部
の油保持手段へ導くことで達成される。 〔作 用〕 旋回スクロール台板は、旋回運動しながら背圧室の中
間ガス圧力による力によって固定スクロール側へ押し付
けられている。該背圧室にはクランク軸等へ給油し、潤
滑を終えた油が一時的に溜り、ほぼ充満状態となってい
る。該油は旋回スクロールの台板に設けた返油孔を介し
て圧縮室内へ返油されるが、一部の油は前記旋回スクロ
ール台板外周と該旋回スクロール台板外周収納部である
フレーム切欠部の内壁との空間に侵入し、該空間も油で
充満状態となっている。そして、該空間を形成する前記
旋回スクロール台板外周とフレーム切欠部の内壁との隙
間は旋回スクロールの旋回運動に従って常に変化してお
り、隙間が最小隙間に近づくと油押し圧されて昇圧作用
を行ない昇圧油を発生させる。該昇圧油は旋回スクロー
ル台板あるいは固定スクロール外壁部に設けた通路を介
して旋回スクロール台板外周部と固定スクロール外壁部
との摺動面に開口するリング溝などの油保持手段へ供給
される。これによりリング状の油膜が形成されるので、
前記摺動面の潤滑とシールが確実に行なえる。 〔実施例〕 以下、本発明を第１図〜第16図に示す一実施例により
説明する。第１図に本発明を実施した圧縮機の構造を示
す。圧縮機構１を上方にモータ２を下方に配置して、密
閉容器３内に収納した密閉形圧縮機において、圧縮機構
は旋回スクロール４、固定スクロール５、フレーム６、
クランク軸７、自動防止機構８よりなる。旋回スクロー
ルは台板4a上にうず巻き状のラップ4bを有し、台板の背
面側には旋回軸受4cを有する。また旋回スクロールの背
面とラップ内の部分を連通する背圧孔4d、台板の外周部
上面に油保持手段4e、該油保持機構と、前記旋回スクロ
ール４の台板を収納するフレーム６の切欠き部とを連通
する通路4f、連通路開口部4gを有する。前記固定スクロ
ール５は台板5a上にラップ5bを有し、ラップの外方は外
壁5cとなる。外壁部には吸入孔5dを、ラップの中心部に
は吐出孔5eを有する。フレーム６は旋回スクロール４の
台板が収納される切欠き6a、前記旋回スクロール４の台
板の背面に形成される背圧室6b、クランク軸７を支承す
る軸受6c、モータを支持する脚柱6dを有する。また、切
欠き部6aと背圧室6bを連通する通路6eを有する。クラン
ク軸７は一端にクランク7a、他端に吸油管7bを有し、バ
ランスウエイト7cが取りつけられる。また軸内には給油
孔7dを有する。前記旋回スクロール４と固定スクロール
５はラップを互いに内側に向けて組合せ、該固定スクロ
ール５をフレーム６に固定することにより旋回スクロー
ル台板外周部を微小すきまをもって挾持する。また、前
記旋回スクロール４の台板外周部と固定スクロール５の
外壁部は摺動部を形成して前記旋回スクロール背面の背
圧室6bと、前記固定スクロール外壁内周（吸入室）を分
離する。前記旋回スクロール４の背面には自転防止機構
８が設置される。前記クランク軸７は前記フレーム６に
支承され、下方にはモータ２のロータ2aが設置される。
該モータ２のステータ2bはフレーム６の脚柱6dに固定さ
れる。前記圧縮機構１は密閉容器３内に圧入され、容器
内を上方の吐出室3aと下方のモータ室3bに分離する。両
者は圧縮機構１の外周部に設けた通路９により連通され
る。また、通路９の出口には容器内にガイド10が設けら
れる。該ガイド10は前記モータ２のコイルエンド2cの近
傍に開口部10aを有する。また容器下方は油溜3cとな
る。そして、モータ２の回転によりクランク軸７が回転
すると自転防止機構８の働きで旋回スクロール４が旋回
運動を行ない、該旋回スクロール４と固定スクロール５
のラップと台板で形成される空間が中心に移動するに従
ってその容積を減少するので、外方から吸込んだ吸入ガ
スを圧縮し、吐出ポート5eより吐出する。前記旋回スク
ロール４の背面に形成される背圧室6bは、背圧孔4dによ
り吸入圧より高く吐出圧より低い中間の圧力になり、旋
回スクロール４を固定スクロール５に押着する。密閉容
器３下方の油溜3cの油は、吐出圧力と背圧室の圧力の差
圧により吸油管7b、吸油穴7dを経て軸受などの摺動部へ
給油される。軸受などの摺動部より排出された油は背圧
室6bを経て背圧孔4dより圧縮室内に排出され、ガスとと
もに吐出孔5eより吐出される。吐出された油とガスは通
路９、ガイド10により密閉容器３に沿ってモータ室3bに
流れ、開口部10aによりモータ２のコイルエンド2cに衝
突する。モータ２のコイルエンド2cで分離された油は下
方の油溜3cへ流れ、ガスは容器内壁に沿って流れ吐出管
11より吐出される。前記背圧室6bの油の一部は、バラン
スウエイト7cの拡はん、自転防止機構８の運動等により
通路6eを経てフレーム６の切欠き部へ送られる。切欠き
部内の油は旋回スクロール４の台板の旋回運動により台
板とフレーム切欠き部の隙間が小さくなる部分の近傍で
昇圧される。昇圧された油は開口部4g、通路4fを通って
油保持手段4eに供給される。油保持手段4eの油は、旋回
スクロール台板外周部と固定スクロール外壁の摺動部の
潤滑とシールを行なう。尚、通路4f,6eは図示しないが
旋回スクロール台板上に複数個設けられる。開口部4gは
フレーム切欠き内の昇圧部と通路4fをより長く連通する
働きをすると共に、過度の昇圧を防止する。また通路6e
も同様に過度の昇圧を防止する。即ち、第２図〜第５図
に示すように、旋回スクロール４の外周とフレーム６の
切欠部の隙間は旋回スクロール４の旋回運動により変化
し、旋回スクロール４が最も接近した点で最小となる。
このため、この最小隙間部で油は圧縮され昇圧する。前
記旋回スクロール４の台板外周側面に設けたリング溝状
の凹部の開口部4gはこの最小隙間の範囲を広くするの
で、過度な昇圧を防止する。また、フレーム６に設けた
通路6eも最小隙間部と背圧室6bを連通するので、過度な
昇圧を防止する。本発明において、前記摺動部に給油さ
れる油の圧力は、吐出圧力の油ではなく、中間圧力の油
であるから、それだけ前記両スクロールを引き離す力は
小さくなる。すなわち、その分だけスラスト力は小さく
なるので、背圧室にかける中間圧による押し付け力も小
さい力で済む。油保持用のリング溝4eと旋回スクロール
台板外周との距離及び第４図に示すようにリング溝4eと
固定スクロール５の外壁5cの内周との距離は旋回スクロ
ール４の旋回半径より小さくとる。この結果、旋回スク
ロール台板の摺動範囲に充分な給油を行なうことができ
る。この結果は第６図に示す実施例のように固定スクロ
ール５の外壁部5cにもリング溝4e′を設けることにより
一層促進される。即ち、旋回スクロール４がフレーム切
欠部への接近する側の台板により充分な給油を行なうこ
とができる。またシール効果も２倍となる。これらの溝
形状については前述のリング溝の他に第７図に示す実施
例のようにリング状の断続溝14eとすることもできる。
該断続溝間の距離は給油及びシール性から考えて２×旋
回半径以下であることが望ましい。また、複数個の円弧
状溝としてもよい。油保持手段とフレーム切欠部を連通
する通路は前述の旋回スクロール台板内に設ける場合に
第８図に示す実施例のような構造を複数個設けることも
当然考えられる。また、第９図〜第10図に示す実施例の
ように固定スクロール５の外壁部に設けても良い。この
場合第９図に示すように固定スクロールの外壁部5cにも
溝24eを設けると効果的である。第９図において固定ス
クロールに溝24eを設けない場合旋回スクロール台板上
のリング溝4eへの給油は断続的になる。固定スクロール
５の外壁部5cに設ける連通路14f,24fは第10図に示す実
施例のように片方または双方を斜めにしても得られる。
これらの実施例はいずれも連通路が旋回スクロール台板
又は固定スクロール外壁5c内に設けられたものである
が、連通路は第11図〜第13図に示す実施例のように旋回
スクロール台板または固定スクロールの外壁の摺動部に
設けた溝34fでも同様の機能を有する。尚、これらの構
造においても通路34f開口部6eは複数個設けることがで
きる。開口部6eは前述第２図，第３図の実施例のように
旋回スクロール４の台板の外周側面にリング状に設けた
溝でも良く、この場合連通路4fより面積を大きくとる。
また、第８図に示す実施例の場合も開口部4gの面積は連
通路4fより大きくとる。第14図に示す実施例のように旋
回スクロール台板の外周側面に開口部4gを部分的に設け
ることもできる。この場合連通路4fは開口部4gの旋回ス
クロールの旋回方向に対して先端部に設けるとフレーム
切欠部の昇圧部に対して昇圧の初期から有効に利用でき
ると共に、旋回スクロールの台板もフレーム切欠部への
接近点に対して前方に給油することができる。この構造
は第15図及び第16図に示す実施例のように固定スクロー
ルの外壁に連通路24g,44fを設ける場合にも適用でき
る。また、図示しないが固定スクロールの外壁摺動部に
連通路を設ける構造においても適用できる。 〔発明の効果〕 本発明によれば背圧室の油を旋回スクロール台板と固
定スクロール外壁との摺動部に給油できるので、吸入室
と摺動部の給油圧との差圧が小さくなり、漏れが減少す
る。また、摺動部に給油する油の圧力が従来の吐出圧力
と等しい油圧より低くなるため旋回スクロールを離そう
とする力が小さくなり、旋回スクロールを支技するため
の背圧を小さくすることができる。従って、吐出圧力と
背圧室の差圧が増大し、給油能力が向上する。
ル台板摺動部のシール構造に関する。 〔従来の技術〕 スクロール圧縮機の旋回スクロール台板摺動部の給油
構造については特開56−165787があり、これには吐出圧
力で軸受と一緒に給油する構造が記載されている。ま
た、固定スクロール側から吐出圧力の油を給油する構造
が特開58−140494に、中間圧力の油を給油する構造が特
開59−87291、特開59−110883などに記載されている。
また、旋回スクロール台板外周油の昇圧作用については
特開59−119091に記載されている。しかし、旋回スクロ
ール台板外周部のシール性については配慮されていなか
った。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記従来技術は、旋回スクロール台板外周部の摺動部
のシール性についての配慮がされておらず、インバータ
駆動のように運転速度が変化する場合特に低速運転時に
性能が低下する問題があった。 更に、給油とスクロールのスラスト荷重の関連につい
て配慮がされておらず、背圧室の圧力が高く、低圧力比
運転時には軸受への給油が不十分となる問題があった。 本発明の目的は、旋回スクロールの台板外周部と固定
スクロール外壁との接触摺動部のシール性を向上させる
ことにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的は、旋回スクロールの台板外周部と固定スク
ロール外壁部との摺動部に油保持手段を設け、前記旋回
スクロールの台板外周部を収納しているフレームの収納
部内壁面と前記旋回スクロール台板外周との間の空間に
前記油補助手段に連通する通路を設け、前記空間を前記
背圧室と連通させ、旋回スクロールの旋回に伴なう前記
空間の変動により該空間に発生した昇圧油を前記摺動部
の油保持手段へ導くことで達成される。 〔作 用〕 旋回スクロール台板は、旋回運動しながら背圧室の中
間ガス圧力による力によって固定スクロール側へ押し付
けられている。該背圧室にはクランク軸等へ給油し、潤
滑を終えた油が一時的に溜り、ほぼ充満状態となってい
る。該油は旋回スクロールの台板に設けた返油孔を介し
て圧縮室内へ返油されるが、一部の油は前記旋回スクロ
ール台板外周と該旋回スクロール台板外周収納部である
フレーム切欠部の内壁との空間に侵入し、該空間も油で
充満状態となっている。そして、該空間を形成する前記
旋回スクロール台板外周とフレーム切欠部の内壁との隙
間は旋回スクロールの旋回運動に従って常に変化してお
り、隙間が最小隙間に近づくと油押し圧されて昇圧作用
を行ない昇圧油を発生させる。該昇圧油は旋回スクロー
ル台板あるいは固定スクロール外壁部に設けた通路を介
して旋回スクロール台板外周部と固定スクロール外壁部
との摺動面に開口するリング溝などの油保持手段へ供給
される。これによりリング状の油膜が形成されるので、
前記摺動面の潤滑とシールが確実に行なえる。 〔実施例〕 以下、本発明を第１図〜第16図に示す一実施例により
説明する。第１図に本発明を実施した圧縮機の構造を示
す。圧縮機構１を上方にモータ２を下方に配置して、密
閉容器３内に収納した密閉形圧縮機において、圧縮機構
は旋回スクロール４、固定スクロール５、フレーム６、
クランク軸７、自動防止機構８よりなる。旋回スクロー
ルは台板4a上にうず巻き状のラップ4bを有し、台板の背
面側には旋回軸受4cを有する。また旋回スクロールの背
面とラップ内の部分を連通する背圧孔4d、台板の外周部
上面に油保持手段4e、該油保持機構と、前記旋回スクロ
ール４の台板を収納するフレーム６の切欠き部とを連通
する通路4f、連通路開口部4gを有する。前記固定スクロ
ール５は台板5a上にラップ5bを有し、ラップの外方は外
壁5cとなる。外壁部には吸入孔5dを、ラップの中心部に
は吐出孔5eを有する。フレーム６は旋回スクロール４の
台板が収納される切欠き6a、前記旋回スクロール４の台
板の背面に形成される背圧室6b、クランク軸７を支承す
る軸受6c、モータを支持する脚柱6dを有する。また、切
欠き部6aと背圧室6bを連通する通路6eを有する。クラン
ク軸７は一端にクランク7a、他端に吸油管7bを有し、バ
ランスウエイト7cが取りつけられる。また軸内には給油
孔7dを有する。前記旋回スクロール４と固定スクロール
５はラップを互いに内側に向けて組合せ、該固定スクロ
ール５をフレーム６に固定することにより旋回スクロー
ル台板外周部を微小すきまをもって挾持する。また、前
記旋回スクロール４の台板外周部と固定スクロール５の
外壁部は摺動部を形成して前記旋回スクロール背面の背
圧室6bと、前記固定スクロール外壁内周（吸入室）を分
離する。前記旋回スクロール４の背面には自転防止機構
８が設置される。前記クランク軸７は前記フレーム６に
支承され、下方にはモータ２のロータ2aが設置される。
該モータ２のステータ2bはフレーム６の脚柱6dに固定さ
れる。前記圧縮機構１は密閉容器３内に圧入され、容器
内を上方の吐出室3aと下方のモータ室3bに分離する。両
者は圧縮機構１の外周部に設けた通路９により連通され
る。また、通路９の出口には容器内にガイド10が設けら
れる。該ガイド10は前記モータ２のコイルエンド2cの近
傍に開口部10aを有する。また容器下方は油溜3cとな
る。そして、モータ２の回転によりクランク軸７が回転
すると自転防止機構８の働きで旋回スクロール４が旋回
運動を行ない、該旋回スクロール４と固定スクロール５
のラップと台板で形成される空間が中心に移動するに従
ってその容積を減少するので、外方から吸込んだ吸入ガ
スを圧縮し、吐出ポート5eより吐出する。前記旋回スク
ロール４の背面に形成される背圧室6bは、背圧孔4dによ
り吸入圧より高く吐出圧より低い中間の圧力になり、旋
回スクロール４を固定スクロール５に押着する。密閉容
器３下方の油溜3cの油は、吐出圧力と背圧室の圧力の差
圧により吸油管7b、吸油穴7dを経て軸受などの摺動部へ
給油される。軸受などの摺動部より排出された油は背圧
室6bを経て背圧孔4dより圧縮室内に排出され、ガスとと
もに吐出孔5eより吐出される。吐出された油とガスは通
路９、ガイド10により密閉容器３に沿ってモータ室3bに
流れ、開口部10aによりモータ２のコイルエンド2cに衝
突する。モータ２のコイルエンド2cで分離された油は下
方の油溜3cへ流れ、ガスは容器内壁に沿って流れ吐出管
11より吐出される。前記背圧室6bの油の一部は、バラン
スウエイト7cの拡はん、自転防止機構８の運動等により
通路6eを経てフレーム６の切欠き部へ送られる。切欠き
部内の油は旋回スクロール４の台板の旋回運動により台
板とフレーム切欠き部の隙間が小さくなる部分の近傍で
昇圧される。昇圧された油は開口部4g、通路4fを通って
油保持手段4eに供給される。油保持手段4eの油は、旋回
スクロール台板外周部と固定スクロール外壁の摺動部の
潤滑とシールを行なう。尚、通路4f,6eは図示しないが
旋回スクロール台板上に複数個設けられる。開口部4gは
フレーム切欠き内の昇圧部と通路4fをより長く連通する
働きをすると共に、過度の昇圧を防止する。また通路6e
も同様に過度の昇圧を防止する。即ち、第２図〜第５図
に示すように、旋回スクロール４の外周とフレーム６の
切欠部の隙間は旋回スクロール４の旋回運動により変化
し、旋回スクロール４が最も接近した点で最小となる。
このため、この最小隙間部で油は圧縮され昇圧する。前
記旋回スクロール４の台板外周側面に設けたリング溝状
の凹部の開口部4gはこの最小隙間の範囲を広くするの
で、過度な昇圧を防止する。また、フレーム６に設けた
通路6eも最小隙間部と背圧室6bを連通するので、過度な
昇圧を防止する。本発明において、前記摺動部に給油さ
れる油の圧力は、吐出圧力の油ではなく、中間圧力の油
であるから、それだけ前記両スクロールを引き離す力は
小さくなる。すなわち、その分だけスラスト力は小さく
なるので、背圧室にかける中間圧による押し付け力も小
さい力で済む。油保持用のリング溝4eと旋回スクロール
台板外周との距離及び第４図に示すようにリング溝4eと
固定スクロール５の外壁5cの内周との距離は旋回スクロ
ール４の旋回半径より小さくとる。この結果、旋回スク
ロール台板の摺動範囲に充分な給油を行なうことができ
る。この結果は第６図に示す実施例のように固定スクロ
ール５の外壁部5cにもリング溝4e′を設けることにより
一層促進される。即ち、旋回スクロール４がフレーム切
欠部への接近する側の台板により充分な給油を行なうこ
とができる。またシール効果も２倍となる。これらの溝
形状については前述のリング溝の他に第７図に示す実施
例のようにリング状の断続溝14eとすることもできる。
該断続溝間の距離は給油及びシール性から考えて２×旋
回半径以下であることが望ましい。また、複数個の円弧
状溝としてもよい。油保持手段とフレーム切欠部を連通
する通路は前述の旋回スクロール台板内に設ける場合に
第８図に示す実施例のような構造を複数個設けることも
当然考えられる。また、第９図〜第10図に示す実施例の
ように固定スクロール５の外壁部に設けても良い。この
場合第９図に示すように固定スクロールの外壁部5cにも
溝24eを設けると効果的である。第９図において固定ス
クロールに溝24eを設けない場合旋回スクロール台板上
のリング溝4eへの給油は断続的になる。固定スクロール
５の外壁部5cに設ける連通路14f,24fは第10図に示す実
施例のように片方または双方を斜めにしても得られる。
これらの実施例はいずれも連通路が旋回スクロール台板
又は固定スクロール外壁5c内に設けられたものである
が、連通路は第11図〜第13図に示す実施例のように旋回
スクロール台板または固定スクロールの外壁の摺動部に
設けた溝34fでも同様の機能を有する。尚、これらの構
造においても通路34f開口部6eは複数個設けることがで
きる。開口部6eは前述第２図，第３図の実施例のように
旋回スクロール４の台板の外周側面にリング状に設けた
溝でも良く、この場合連通路4fより面積を大きくとる。
また、第８図に示す実施例の場合も開口部4gの面積は連
通路4fより大きくとる。第14図に示す実施例のように旋
回スクロール台板の外周側面に開口部4gを部分的に設け
ることもできる。この場合連通路4fは開口部4gの旋回ス
クロールの旋回方向に対して先端部に設けるとフレーム
切欠部の昇圧部に対して昇圧の初期から有効に利用でき
ると共に、旋回スクロールの台板もフレーム切欠部への
接近点に対して前方に給油することができる。この構造
は第15図及び第16図に示す実施例のように固定スクロー
ルの外壁に連通路24g,44fを設ける場合にも適用でき
る。また、図示しないが固定スクロールの外壁摺動部に
連通路を設ける構造においても適用できる。 〔発明の効果〕 本発明によれば背圧室の油を旋回スクロール台板と固
定スクロール外壁との摺動部に給油できるので、吸入室
と摺動部の給油圧との差圧が小さくなり、漏れが減少す
る。また、摺動部に給油する油の圧力が従来の吐出圧力
と等しい油圧より低くなるため旋回スクロールを離そう
とする力が小さくなり、旋回スクロールを支技するため
の背圧を小さくすることができる。従って、吐出圧力と
背圧室の差圧が増大し、給油能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明のスクロール圧縮機の全体断面図、第２
図は第１の部分断面図、第３図は第２図の平面図、第４
図は第１図の部分断面図、第５図は第４図の平面図、第
６図は第１図の部分断面図、第７図は第１図の部分平面
図、第８図は第１図の部分平面図、第９図は第１図の部
分断面図、第10図は第１図の部分断面図、第11図は第１
図の部分断面図、第12図は第11図の平面図、第13図は第
１図の部分断面図、第14図は第１図の部分平面図、第15
図は第１図の部分断面図、第16図は第15図の平面図であ
る。 １……圧縮機構、２……モータ、2a……ロータ、2b……
ステータ、３……密閉容器、3a……吐出室、3b……モー
タ室、3c……油溜り、４……旋回スクロール、4a……台
板、4b……ラップ、4c……旋回軸受、4d……背圧孔、4e
……油保持用のリング溝、4f……連通路、4g……開口
部、５……固定 スクロール、5a……台板、5b……ラッ
プ、5c……外壁部、5d……吸入孔、5e……吐出孔、６…
…フレーム、6a……切欠き、6b……背圧室、6c……軸
受、6d……脚柱、6e……通路、７……クランク軸、7a…
…クランク、7b……吸油管、7c……バランスウエイト、
7d……給油孔、８……自転防止機構、９……通路、10…
…ガイド、10a……開口部、11……吐出管。
図は第１の部分断面図、第３図は第２図の平面図、第４
図は第１図の部分断面図、第５図は第４図の平面図、第
６図は第１図の部分断面図、第７図は第１図の部分平面
図、第８図は第１図の部分平面図、第９図は第１図の部
分断面図、第10図は第１図の部分断面図、第11図は第１
図の部分断面図、第12図は第11図の平面図、第13図は第
１図の部分断面図、第14図は第１図の部分平面図、第15
図は第１図の部分断面図、第16図は第15図の平面図であ
る。 １……圧縮機構、２……モータ、2a……ロータ、2b……
ステータ、３……密閉容器、3a……吐出室、3b……モー
タ室、3c……油溜り、４……旋回スクロール、4a……台
板、4b……ラップ、4c……旋回軸受、4d……背圧孔、4e
……油保持用のリング溝、4f……連通路、4g……開口
部、５……固定 スクロール、5a……台板、5b……ラッ
プ、5c……外壁部、5d……吸入孔、5e……吐出孔、６…
…フレーム、6a……切欠き、6b……背圧室、6c……軸
受、6d……脚柱、6e……通路、７……クランク軸、7a…
…クランク、7b……吸油管、7c……バランスウエイト、
7d……給油孔、８……自転防止機構、９……通路、10…
…ガイド、10a……開口部、11……吐出管。
フロントページの続き
(72)発明者 内川 直志
清水市村松390番地 株式会社日立製作
所清水工場内
(72)発明者 田村 貴寛
清水市村松390番地 株式会社日立製作
所清水工場内
(56)参考文献 特開 昭59−141793（ＪＰ，Ａ)
特開 昭59−110886（ＪＰ，Ａ)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 １．台板上に直立した渦巻状のラップを有する旋回スク
ロールと固定スクロールのラップを組合せ、前記旋回ス
クロール台板の外周部と固定スクロールの外壁部を接触
させて摺動させるとともに、前記旋回スクロールの背面
に背圧室を形成し、該背圧室を高低圧の中間の圧力に維
持してスラスト荷重を支持し、吐出圧力と前記背圧室内
の圧力差により軸受部に給油を行う構造のスクロール圧
縮機において、前記旋回スクロールの台板外周部と固定
スクロール外壁部との摺動部に油保持手段を設け、前記
旋回スクロールの台板外周部を収納しているフレームの
収納部内壁面と前記旋回スクロール台板外周との間の空
間に前記油保持手段に連通する通路を設け、前記空間を
前記背圧室と連通させ、旋回スクロールの旋回に伴なう
前記空間の変動により該空間に発生した昇圧油を前記摺
動部の油保持手段へ導くように構成したことを特徴とす
るスクロール圧縮機。 ２．油保持手段が、旋回スクロール台板外周部の摺動部
に設けられたリング状の溝である特許請求の範囲第１項
記載のスクロール圧縮機。 ３．油保持手段が、２重リング状であって、１つは旋回
スクロール台板外周部の摺動面に、他の１つは固定スク
ロール外壁部の摺動面に設けられている特許請求の範囲
第１項記載のスクロール圧縮機。 ４．油保持手段の位置から旋回スクロール台板外周端ま
での距離あるいは固定スクロール外壁内端までの距離
が、旋回スクロールの旋回半径より小さいものである特
許請求の範囲第１項記載のスクロール圧縮機。 ５．旋回スクロールの台板収納部の内壁面と該旋回スク
ロール台板外周との間の空間と、油保持手段とを連通す
る通路が、旋回スクロール台板あるいは固定スクロール
外壁に設けられている特許請求の範囲第１項記載のスク
ロール圧縮機。 ６．旋回スクロールの台板収納部の内壁面と該旋回スク
ロール台板外周との間の空間と、油保持手段とを連通す
る通路が、旋回スクロール台板外周に設けた凹部と該凹
部から油保持手段に連通する細い穴とからなる特許請求
の範囲第１項記載のスクロール圧縮機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61058329A JP2693753B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | スクロール圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61058329A JP2693753B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | スクロール圧縮機 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62218678A JPS62218678A (ja) | 1987-09-26 |
| JP2693753B2 true JP2693753B2 (ja) | 1997-12-24 |
Family
ID=13081257
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61058329A Expired - Lifetime JP2693753B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | スクロール圧縮機 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2693753B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH07117049B2 (ja) * | 1987-12-28 | 1995-12-18 | 松下電器産業株式会社 | スクロール圧縮機 |
| JP5216627B2 (ja) | 2009-02-20 | 2013-06-19 | 三洋電機株式会社 | スクロール型圧縮機 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS59110886A (ja) * | 1982-12-17 | 1984-06-26 | Hitachi Ltd | スクロ−ル流体機械 |
| JPS59141793A (ja) * | 1983-02-02 | 1984-08-14 | Hitachi Ltd | 密閉型スクロール流体機械 |
-
1986
- 1986-03-18 JP JP61058329A patent/JP2693753B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62218678A (ja) | 1987-09-26 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |