JP2693510B2 - 静電アクチュエータ - Google Patents

静電アクチュエータ

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JP2693510B2
JP2693510B2 JP20252388A JP20252388A JP2693510B2 JP 2693510 B2 JP2693510 B2 JP 2693510B2 JP 20252388 A JP20252388 A JP 20252388A JP 20252388 A JP20252388 A JP 20252388A JP 2693510 B2 JP2693510 B2 JP 2693510B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、静電力を利用して負荷の駆動を行なうよう
にした静電アクチュエータ、特には産業用ロボット,精
密機械,自動車機器部品,家庭電化製品,オフィスオー
トメーション機器,医療用機器等の機構部分の駆動に利
用される静電アクチュエータに関するものである。
(従来の技術) 従来より、産業用ロボット,精密機械,自動車機器部
品,家庭電化製品,オフィスオートメーション機器,医
療用機器等の機構部分の駆動には、専らサーボモータ,
リニアモータ,ステッピングモータ等の磁気式のアクチ
ュエータが使用されており、上記機構部分の駆動を静電
アクチュエータにより行なうものは、まだ実用化の端緒
についたばかりである。
(発明が解決しようとする課題) 近年においては、上述のような機構部分を駆動するた
めのアクチュエータの高出力密度化,駆動パターンの複
雑化及び微少変位の制御を必要とする技術需要が増えつ
つある。しかしながら、従来の磁気アクチュエータで
は、加工技術並びに物理的制約からその性能限界に近付
きつつあり、これ以上の小形化は、性能の大幅な低下を
招く等の弊害を生ずるだけであって現実的ではない。ま
た、本来、低速で高トルクが得られる小形のモータは、
その製作が困難であり、勿論、高トルクを得るために減
速機を利用することも行なわれているが、これでは減速
機の存在が装置全体の小形化の障害になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その
目的は、全体の小形化を図ることができると共に、出力
制御の分解能低下を来たすことなく高出力トルク化を実
現することが可能となる等の効果を奏する静電アクチュ
エータを提供するにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明による静電アクチ
ュエータは、剛性ある材料より成る第1の筒状体、及び
弾性材料により上記第1の筒状体より径小に形成されて
その第1の筒状体内に配置される第2の筒状体を設けた
上で、前記第1の筒状体の内周面にその周方向へ所定ピ
ッチで配列される複数個の第1の電極、及び前記第2の
筒状体の外周面にその周方向へ所定ピッチで配列される
複数個の第2の電極、並びにこれら第1及び第2の電極
間を選択的に充電して両電極間に静電力を作用させるこ
とによって前記第2の筒状体を前記第1の筒状体の内周
面に沿って相対的に遊星回転させるスイッチング回路を
設け、さらに前記第2の筒状体から回転力を取出すよう
に構成したものである。
また、上記と同様の第1の筒状体及び第2の筒状体を
設けた上で、第1の筒状体の内周面若しくは第2の筒状
体の外周面にその周方向へ所定ピッチで配列される複数
個の第1の電極、及び前記第2の筒状体の外周面若しく
は前記第1の筒状体の内周面にその周方向全体に渡って
配設される第2の電極、並びにこれら第1及び第2の電
極間を選択的に充電して両電極間に静電力を作用させる
ことによって前記第2の筒状体を前記第1の筒状体の内
周面に沿って相対的に遊星回転させるスイッチング回路
を設け、前記第2の筒状体から回転力を取出す構成とし
ても良い。
そして、第1の筒状体及び第2の筒状体を、各筒状体
毎に連結された状態で複数対設けると共に、これら第1
の筒状体の各内周面及び第2の筒状体の各外周面に夫々
第1の電極及び第2の電極を設ける構成とすることもで
きる。
(作用) 複数個ずつの第1の電極及び第2の電極によりコンデ
ンサ群が構成されるものであり、スイッチング回路は、
これら第1及び第2の電極間を選択的に充電して両電極
に静電力を作用させることによって前記第2の筒状体を
弾性変形させながら前記第1の筒状体の内周面に沿って
相対的に遊星回転させる。この結果、内部減速機能を得
ることができ、第1の筒状体から回転力を取出す際に、
その回転力のトルクが上記減速比に応じて増大するよう
になる。
また、複数個の第1の電極と、第1の筒状体の外周面
若しくは第2の筒状体の内周面にその周方向全体に渡る
第2の電極を設けた場合も、スイッチング回路によって
第2の筒状体を弾性変形させながら第1の筒状体の内周
面に沿って相対的に遊星回転させることができ、これに
伴う内部減速機能によって、第2の筒状体から取出され
る回転力のトルクが増大するようになる。
さらに、第1の筒状体及び第2の筒状体を各筒状体毎
に連結した状態で複数対設けた場合には、各対で発生す
るトルクが重畳されることになり、以て上述のように取
出される回転力のトルクがより一層大きくなる。
(実施例) まず、本発明の第1の実施例について第1図及び第2
図を参照しながら説明する。
第1図及び第2図において、1は適宜静止部位に固定
された第1の筒状体たる太陽円筒で、これは剛性が大な
る非導電性材料によって偏平な有底状に形成されてお
り、その底壁部1aの内面側には、その中心部分に軸受2
が固着されている。そして、斯かる太陽円筒1の内周面
には、例えば36個の第1の電極101〜136が、その周方向
へ一定ピッチ(等配状のピッチ)で配列されている。ま
た、太陽円筒1の内周面全域には、第1の電極101〜136
を覆うようにして高誘電率の絶縁被膜3が均一に添設さ
れている。
4は第2の筒状体たる遊星円筒で、これは非導電性の
弾性材料によって前記太陽円筒1より径小な偏平有底状
に形成されており、その太陽円筒1内に底壁部4aを手前
側(太陽円筒1の開口縁側)にした状態で配置されてい
る。5は前記軸受2に支持された出力軸で、これは遊星
円筒4の底壁部4aにその中心部分を貫通するように一体
的に形成されている。従って、上記遊星円筒4が太陽円
筒1の内周面に沿って相対的に遊星運動された場合に
は、その太陽円筒1が固定された状態にあるから、遊星
円筒4の回転力を出力軸5から取出すことができる。そ
して、遊星円筒4の内周面には、前記第1の電極101〜1
36より少ない例えば30個の第2の電極201〜230が、その
周方向へ一定ピッチで配列されており、これら第2の電
極201〜230と前記第1の電極101〜136との間には絶縁被
膜3を挟んでコンデンサ群が形成されることになる。
しかして、第1図に示すように、第2の電極201〜230
はグランド端子に共通に接続されている。また、6はス
イッチング回路で、これは第1図では1個の切換スイッ
チ6aのみを示したが、実際には36個の第1の電極101〜1
36に夫々対応するように36個設けられており、各切換ス
イッチに対応する第1の電極101〜136を直流電源7の正
極側に接続した状態(つまり各第1の電極101〜136に電
圧を印加した状態)と、上記第1の電極101〜136をグラ
ンド端子に接続した状態とに切換可能となっている。
尚、上記直流電源7の負極はグランド端子に接続されて
いる。
次に、上記構成の作用について説明する。今、スイッ
チング回路6によって、例えば第1の電極101,102,103
に順次電圧を印加すると共に、これら各電極101,102,10
3と対称位置にある第1の電極119,120,121に対しても同
時に順次電圧を印加すると、第1の電極101,102,103と
第2の電極201,202,203の各対により形成されるコンデ
ンサ、並びに第1の電極119,120,121と第2の電極216,2
17,218の各対により形成されるコンデンサに順次充電さ
れて、これら各電極対間に静電力による吸引力が作用す
るようになり、これに応じて遊星円筒4が第1図(B)
に示すように上記電極対の近接部を長軸とする楕円形に
変形すると共に、この楕円形の長軸が時計回り方向へ回
転するようになる。このように遊星円筒4が回転された
場合において、第1の電極101と第2の電極201との間の
当接点、並びに第1の電極119と第2の電極216との間の
当接点が、電極101,201及び119,216の各中間点を過ぎた
場合には、それら電極101,201間及び119,216間に作用す
る吸引力が上記回転を妨げるようになる。このため実際
には、第1の電極101と第2の電極201間の当接点並びに
第1の電極119と第2の電極216間の当接点が、電極101,
201及び119,216の各中間点を過ぎる直前の時点で、スイ
ッチング回路6により、上記電極101,201間及び119,216
間の充電電荷を放電すると共に、第1の電極104と第2
の電極204との間並びに第1の電極122と第2の電極219
との間に新たに充電して静電力による吸引力を作用させ
る。これ以降においては、スイッチング回路6により上
述のような放電及び充電を順次切換えて行くことによっ
て、遊星円筒4を、時計回り方向へ回転(自転)させな
がら同方向へ公転させることができるものであり、斯様
な遊星円筒4の遊星回転に応じて出力軸5が回転される
ようになる。
ところで、遊星円筒4の電極数をn、太陽円筒1の電
極数をmとした場合、遊星円筒4が1回転するために
は、その遊星円筒4により形成される楕円形の長軸が太
陽円筒1の内周面をm/(m−n)回転する必要がある。
従って、出力軸5の出力トルクは、上記楕円形の長軸が
回転するときに発生するトルクの約m/(m−n)倍とな
る。つまり、m=36、n=30に設定された本実施例によ
れば、遊星円筒4により形成される楕円形の長軸が1回
転するときに発生するトルクの約6倍の高出力トルクを
得ることができる。また、この場合において、出力軸5
の最小回転変位量は、360°/(m×n)と小さくなる
から、その出力軸5の回転制御の分解能の低下を来たす
ことがないものである。勿論、第1の電極及び第2の電
極の数を増加させることによって、さらに大きな出力ト
ルクを得ることができるものであり、例えば第1の電極
数を「100」、第2の電極数を「99」とした場合には、
出力トルクは約100倍となり、しかも、この場合には遊
星円筒4の回転がより滑らかになる。
しかも、本実施例によれば、第1の電極101〜136を有
した太陽円筒1,第2の電極201〜230を有した遊星円筒4
の他に、軸受2及び出力軸5を設けるだけで主要部分を
構成できるものであって、その構造がきわめて簡単にな
る。さらに、ロータとして機能する遊星円筒4の慣性を
小さくできるので、始動停止特性の向上並びに振動,騒
音の抑制を同時に実現することができる。勿論、第1の
電極101〜136及び第2の電極201〜230間で構成されるコ
ンデンサのリークがない限り静電エネルギを全く消費し
ないから、遊星円筒4を任意の位置に静止させた状態を
長期に渡って保持できるようになり、これにより遊星円
筒4を間欠回転させる場合のエネルギ変換効率を飛躍的
に向上させ得る。さらに、太陽円筒1及び遊星円筒4を
製造するにあたっては、リソグラフィ,薄膜堆積法等の
半導体製造技術を応用することができて、これらをきわ
めて微細で精密な構造とし、猶且つ集積化を図ることが
できるから、従来の磁気式のアクチュエータでは不可能
であった超微小化を実現できるようになる。
尚、上記実施例において、第1の電極101〜136に対す
る通電順を逆にすれば、遊星円筒4により形成される楕
円形の長軸を反時計回り方向へ回転させることができ
る。
第3図は本発明の第2の実施例を示すものであり、以
下これについて前記第1の実施例と異なる部分のみ説明
する。即ち、この実施例では、太陽円筒1側の第1の電
極101〜136はそのままにした状態で、遊星円筒4の外周
面にその周方向全体に渡って第2の電極8を添設すると
共に、その第2の電極8をグランド端子に接続する構成
としたものである。この構成によっても、スイッチング
回路6による切換動作に応じて遊星円筒4が第1の実施
例と同様に回転されるものであり、太陽円筒1の内周寸
法をLs、遊星円筒4の外周寸法をLpとした場合、遊星円
筒4が1回自転するためには、その遊星円筒4により形
成される楕円形の長軸が太陽円筒1の内周をLs/(Ls−L
p)回転する必要がある。従って、出力軸5からの出力
トルクは、上記楕円形の長軸が回転する際に発生するト
ルクの約Ls/(Ls−Lp)倍となる。特に、この実施例に
よれば第2の電極8の構造が単純化するから、遊星円筒
4の加工が前記第1の実施例に比べて簡単になる。
尚、上記第2の実施例において、遊星円筒4側に前記
第1の実施例と同様の第2の電極201〜230を設けると共
に、太陽円筒1側に第2の電極8と同様の第1の電極を
設ける構成としても良い。
第4図及び第5図は、第1の電極及び第2の電極の表
面積を大きくすることが高出力トルク化に繋がることに
着目したなされた本発明の第3の実施例を示すものであ
り、以下これについて説明する。即ち、第4図及び第5
図において、9,10,11は第1の筒状体たる太陽円筒で、
これらは剛性が大なる非導電性材料によって形成され、
且つ基板12により一体的に連結された状態で同心状に設
けられている。13,14,15は上記太陽円筒9,10,11と対を
なす第2の筒状体たる遊星円筒で、これらは非導電性の
弾性材料により形成され、且つ剛性ある基板16により一
体的に連結された状態で同心状に設けられている。この
とき、各遊星円筒13,14,15は、対応する太陽円筒9,10,1
1より径小に形成されており、各太陽円筒9,10,11内に基
板16を手前側にした状態で配置されている。17は上記基
板16の中心部分に貫通状に設けられた出力軸で、これは
基板12側の軸受18に支持されている。そして、太陽円筒
9,10,11の各内周面には、多数個ずつの第1の電極19,2
0,21が夫々配列され、遊星円筒13,14,15の各外周面に
は、その周方向全体に渡る第2の電極22,23,24が形成さ
れている。尚、25,26,27は高誘電率の絶縁被膜で、これ
らは夫々太陽円筒9,10,11の内周面に第1の電極19,20,2
1を覆うように添設されている。
このように構成した本実施例では、太陽円筒9,10,11
及び遊星円筒13,14,15の各対間でトルクが発生すること
になるから、前記第1の実施例の約3倍の出力トルクを
得ることができる。
尚、この第3の実施例では、第2の電極22,23,24を前
記第2の実施例と同様に設ける構成としたが、これら第
2の電極22,23,24に代えて、前記第1の実施例と同様に
複数個の第2の電極を配列する構成としても良い。
また、第1の筒状体及び第2の筒状体は必ずしも円筒
形に限定されないものである。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に
限定されるものではなく、例えばスイッチング回路を半
導体スイッチング素子により構成しても良い等、その要
旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができ
る。
[発明の効果] 以上の説明によって明らかなように、請求項1の静電
アクチュエータにおいては、全体の小形化を図り得ると
共に、出力制御の分解能低下を来たすことなく高出力ト
ルク化を実現することが可能となるものであり、勿論、
低速で高トルクを得る用途に適用可能になるものであ
る。
また、請求項2の静電アクチュエータによれば、上記
効果に加えて、第2の電極の構成が単純化するため、製
造性の向上を図り得るものである。
さらに、請求項3の静電アクチュエータによれば、第
1の電極及び第2の電極の総表面積を大きくできて、出
力トルクの一層の増大を図り得るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は本発明の第1の実施例を異なる
状態で示す縦断正面図、第2図は同第1の実施例を示す
縦断側面図である。また、第3図は本発明の第2の実施
例を示す第1図(B)相当図、第4図及び第5図は本発
明の第3の実施例を示す夫々第1図(B)及び第2図相
当図である。 図中、1,9〜11は太陽円筒(第1の筒状体)、101〜136,
19〜21は第1の電極、4,13〜15は遊星円筒(第2の筒状
体)、5,17は出力軸、201〜230,8,22〜24は第2の電
極、6はスイッチング回路、7は直流電源を示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】剛性ある材料より成る第1の筒状体と、弾
    性材料により前記第1の筒状体より径小に形成されて該
    第1の筒状体内に配置された第2の筒状体と、前記第1
    の筒状体の内周面にその周方向へ所定ピッチで配列され
    た複数個の第1の電極と、前記第2の筒状体の外周面に
    その周方向へ所定ピッチで配列された複数個の第2の電
    極と、前記第1及び第2の電極間を選択的に充電して両
    電極間に静電力を作用させることによって前記第2の筒
    状体を弾性変形させながら前記第1の筒状体の内周面に
    沿って相対的に遊星回転させるスイッチング回路とを備
    え、前記第2の筒状体から回転力を取出すように構成し
    たことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】剛性ある材料より成る第1の筒状体と、弾
    性材料により前記第1の筒状体より径小に形成されて該
    第1の筒状体内に配置された第2の筒状体と、前記第1
    の筒状体の内周面若しくは前記第2の筒状体の外周面に
    その周方向へ所定ピッチで配列された複数個の第1の電
    極と、前記第2の筒状体の外周面若しくは前記第1の筒
    状体の内周面にその周方向全体に渡って配設された第2
    の電極と、前記第1及び第2の電極間を選択的に充電し
    て両電極間に静電力を作用させることによって前記第2
    の筒状体を弾性変形させながら前記第1の筒状体の内周
    面に沿って相対的に遊星回転させるスイッチング回路と
    を備え、前記第2の筒状体から回転力を取出すように構
    成したことを特徴とする静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】第1の筒状体及び第2の筒状体は、各筒状
    体毎に連結された状態で複数対設けられ、これら第1の
    筒状体の各内周面及び第2の筒状体の各外周面に夫々第
    1の電極及び第2の電極が設けられていることを特徴と
    する請求項1または2記載の静電アクチュエータ。
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