JP2692968B2 - 熱搬送装置 - Google Patents

熱搬送装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、冷媒を加熱するときの圧力上昇を利用して
熱を利用側に移動させる熱搬送装置に関するものであ
る。
従来の技術 冷媒をバーナなどの燃焼熱で加熱し、蒸発する冷媒の
圧力を利用して冷媒を循環させる熱駆動型の熱搬送方式
を行うために、受液器に満たされた液冷媒を間欠的に冷
媒加熱器に供給する。
この間欠的に供給する周期は、冷媒の物性値の制約上
(例えば冷媒をフロンとし、暖房運転に利用する圧力上
限値を30kg/cm2と考えた場合、冷媒の単位重量当たりの
潜熱量kcl/kgは圧力の増大とともに減少する)から熱搬
送条件の中でも最も高い圧力、言い換えると、最も高い
温度に合わせて設定していた。すなわち、暖房などの利
用において最も高い温度で冷媒の潜熱が最小になるた
め、所定の熱量を利用側に搬送するには、冷媒の単位時
間当たりの循環流量kg/hは利用上限温度で最大となる。
このため、システムの動作範囲のうち最も高い温度(ま
たは圧力)で冷媒の循環流量が決まり、この循環流量に
合わせて液冷媒を受液器から冷媒加熱器に間欠的に送る
単位時間当たりの回数を設定していたもので、システム
の動作範囲のうち最も高い温度(または圧力)に最適と
なるように定めた最も短い周期で間欠的に冷媒加熱器に
供給するようにしていた。
発明が解決しようとする課題 しかし上記のような従来の方式では、システムの動作
温度(または圧力)の低い条件の下では、冷媒の潜熱が
大きくなるため冷媒加熱器に供給された液冷媒流量に対
して冷媒加熱器で加熱されて蒸発するガス冷媒流量が少
なくなり、次第に冷媒加熱器内の液冷媒量が増大すると
ともに利用側の放熱器内に滞留する液冷媒量が減少す
る。
このとき放熱器内において熱伝達性が悪い液冷媒域が
減少し、ガス冷媒と液冷媒の混ざった熱伝達性の二層域
が増大し、放熱器の放熱性能が上がるため放熱温度が低
下するとともに同時に圧力が低下する。ところが、冷媒
加熱器に滞留する液冷媒量がさらに増大して冷媒加熱器
内の液面高さが上昇すると、蒸発するガス冷媒とともに
液冷媒が大量に流出するようになり、冷媒加熱器内の、
液冷媒量が急減するとともに利用側の放熱器に急速に液
冷媒が流入し、放熱器内の液冷媒域が急増して放熱性能
の低下を招くため放熱温度が上昇するとともに同時に圧
力が上昇する。このように、加熱器に入る冷媒量と加熱
器を出る冷媒量がバランスしないことに起因する温度
(または圧力)の下降、上昇を周期的に繰り返すハンチ
ングを生じることがある。しかも、このハンチングが激
しい場合には、蒸発したガス冷媒に連れられて一度に大
量の液冷媒が冷媒加熱器から流出し、液冷媒不足となっ
た冷媒加熱器に局所的な過熱が発生することがあり、こ
の場合には、冷媒の熱分解や冷媒過熱器の耐久性などシ
ステムの信頼性の問題があった。
本発明は上記従来の問題を解決するもので、サイクル
の運転動作条件にかかわらず、冷媒加熱器に必要な液冷
媒を安定して供給し、しかも加熱装置の熱出力の低減時
にも即座に対応でき、安定した冷媒加熱が行われ、シス
テムの信頼性を向上させることができる熱搬送装置を提
供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の熱搬送装置は、加
熱装置を有する冷媒加熱器と気液セパレータを配管接続
した環状通路部を設け、前記気液セパレータの上方に設
けた受液器を第1逆止弁を有する落込み管と開閉弁を有
する均圧通路とで前記環状通路部に接続するとともに、
前記気液セパレータ、放熱器、第2逆止弁、前記受液器
を順次配管接続して形成した環状熱搬送路と、前記冷媒
加熱器の出口側に設けた温度検出器または圧力検出器
と、前記加熱装置の熱出力を低減させた時には前記開閉
弁の開閉動作周期は所定値だけ長くするとともに、熱出
力を低減させた後に温度検出器または圧力検出器で検知
する温度または圧力が下降している間は開閉動作周期を
一定値に保持する制御装置を設けたものである。
作用 上記構成により、システムの運転動作条件の変動時、
特に冷媒加熱器の加熱装置の熱出力が急速に低減し熱搬
送量が低下した場合では、冷媒加熱器から蒸発して流出
する冷媒量の急減に合わせるため、開閉弁の開閉動作周
期を長くして単位時間当たりの開閉動作回数を急減する
ことで、冷媒加熱器への冷媒供給量を低減し、冷媒加熱
器から流出する冷媒量と冷媒加熱器に流入する冷媒量の
バランスを図ることで、冷媒加熱器および放熱器での冷
媒量の分布が適正な状態を維持してハンチングの発生を
防止し、安定した加熱運転が継続される。
さらに、熱出力を低減させた後にシステムの温度また
は圧力が下降している間は開閉動作周期を一定値に保持
することで、余計な開閉動作周期の偏向を省いて放熱器
に過剰な冷媒が滞留し始めるのを早く検知できるため、
システムの安定動作に短時間で移行できる。このため、
システムのハンチングによる冷媒加熱器での冷媒の局所
異常過熱を防ぎ、短時間でシステムを安定化できるた
め、システムの信頼性を向上できる。
実施例 以下、本発明の一実施例について、図面を参照しなが
ら説明する。
第1図は、本発明の1実施例を示す熱搬送装置のシス
テム構成図である。第1図において、気液セパレータ1
は冷媒加熱器2の上方に配置されるとともに、冷媒加熱
器2の入口管3と冷媒加熱器2の出口管4とで連結され
て環状通路部を形成している。
また、受液器5は気液セパレータ1の上方に配置さ
れ、受液器5は環状通路部を構成する気液セパレータ1
に第一逆止弁6を有する落込み管7で接続され、さら
に、受液器5は、開閉弁8を有する均圧通路9で環状通
路部を構成する冷媒加熱器出口管4に接続されることに
より、受液器5と冷媒加熱器2とは連結されている。
気液セパレータ1と放熱器10とはガス冷媒往き管11で
接続され、放熱器10と受液器5とは第2逆止弁12を有す
る液冷媒戻り管13で接続されている。
このように、気液セパレータ1、放熱器10、第2逆止
弁12、受液器5および第1逆止弁6は順次配管接続され
た環状熱搬送路を形成している。
温度検出器14は冷媒加熱器2の出口管4に設けられて
いる。また、制御装置15は、開閉弁8および温度検出器
14と電気的に接続されている。加熱装置としてのバーナ
16は冷媒加熱器2に設けられ、冷媒を加熱する。熱量切
換装置17はバーナ16の熱量を切換える。18は放熱器10に
設けられた送風機である。
なお、均圧通路9は受液器5と気液セパレータ1とを
連通させて圧力差をなくし均圧にするもので、本実施例
では均圧通路9の一端は受液器5に接続し、他端は環状
通路部を構成する出口管4に接続して気液セパレータ1
に連通する例を示したが、均圧通路9の他端は環状通路
部を構成する気液セパレータ1に直接接続して連通させ
ても良いのは言うまでもない。
上記構成において、以下に定常状態における動作を説
明する。
冷媒加熱器2において、バーナ16の燃焼熱で加熱され
た冷媒は、ガスと液の混合した2相状態で冷媒加熱器出
口管4を通り、気液セパレータ1に流入し、液冷媒は冷
媒加熱器入口管3を通って、再び冷媒加熱器2に流入す
る。一方、気液セパレータ1に流入した2相状態の冷媒
のうちガス冷媒は、ガス冷媒往き管11を通り、放熱器10
で送風機18の運転により利用側の空気へ放熱して凝縮液
化する。
ここで、蒸発する冷媒の圧力に押されていた過冷却液
冷媒は、開閉弁8が閉じるとともに受液器5に流入す
る。受液器5に過冷却液冷媒が流入すると、受液器5内
のガス冷媒がこの過冷却液冷媒により冷やされて液化し
てその体積を急減させるため、受液器5内の圧力が急減
する。この受液器5の急減圧と冷媒加熱器2で蒸発する
冷媒の圧力の相乗作用のため、放熱器10内の液冷媒は液
冷媒戻り管13および第2逆止弁12を通って受液器5内に
一気に流入する。このとき、過冷却液冷媒により冷やさ
れた受液器5の圧力は、気液セパレータ1の圧力よりも
低いため、第1逆止弁6は閉止状態になっている。
この状態で開閉弁8を開状態にすると、受液器5と気
液セパレータ1とは均圧通路9により連通して均圧状態
となり、受液器5内の液冷媒は重力により第1逆止弁6
を通って気液セパレータ1内に流入し、冷媒加熱器2に
液冷媒が供給される。
なお、受液器5内の液冷媒が流出し終わるのに要する
時間は、液冷媒が重力により落下するためほぼ一定であ
り(液冷媒の比重量は動作条件により若干変化するがそ
の影響はわずかである)。このため、開閉弁8の開時間
はほぼ一定に設定できる。
次に、開閉弁8を再び閉にすると、受液器5は過冷却
液冷媒の再流入とともに急減圧を起こして過冷却液冷媒
で一気に満たされる。
このように、開閉弁8を開として受液器5内の液冷媒
を冷媒加熱器2に供給し、開閉弁8を閉として受液器5
内に液冷媒を流入させることを順次繰返して熱搬送運転
を継続する。
このように、気液セパレータ1と冷媒加熱器2との間
は蒸発した冷媒圧による自然循環サイクルであり、受液
器5から気液セパレータ1および冷媒加熱器2への液冷
媒の供給は開閉弁8の開閉周期による間欠動作サイクル
である。
この間欠動作サイクルで開閉弁8の開閉動作周期を制
御装置15により変化させる(言い替えると、開閉弁8の
単位時間当たりの開閉回数を増減させる)ことで、冷媒
加熱器2に適正冷媒量を供給することができる。
第2図は、開閉弁8の開時間を一定とし、閉時間を冷
媒加熱器2の出口側に設けた温度検出器14で検知した温
度で制御装置15により変化させ、加熱装置であるバーナ
16の燃焼量を熱量切換装置17でHi燃焼からLo燃焼に低減
した時の、検知した温度と開閉弁8の閉時間の時間経過
による変化を示している。
図において時間T0から時間T1まではバーナ16はHi燃焼
し、温度検出器14で検知した温度θが時間経過とともに
上昇する増加部A、あるいは温度θが時間経過とともに
下降、上昇あるいは上昇、下降を繰返すハンチング部B
など温度θの変化に応じて制御雄値15により開閉弁8の
閉時間τは後述のようにτ,τ,τ・・・,τ
と変化させている。
まず温度θの増加部Aでは、温度θが上昇するにつれ
て、τをτ,τ,τと順次短く(τ>τ>τ
)することで、開時間と閉時間からなる開閉動作周期
を順次短くして単位時間当たりの開閉動作回数を多くし
て冷媒の循環量を増大させている。次に温度θのハンチ
ング部Bでは、ハンチングの開始とともに閉時間τをτ
,τ,τ,τと順次長く(τ>τ>τ
τ)することで開閉動作周期を順次長くして単位時間
当たりの開閉動作回数を少なくして冷媒の循環量を低減
させ、この冷媒循環量の低減により温度θが時間経過と
ともに上昇を始めると、閉時間τをτからτに再び
短く(τ>τ)している。
このようにして、バーナ16のHi燃焼状態で冷媒加熱器
2に対する冷媒の流入量と流出量の流量バランスを図る
ことで安定した冷媒加熱運転が続行される。
次に、時間T1において熱量切換装置17によりバーナ17
によりバーナ16の熱出力である燃焼量Hi燃焼からLo燃焼
に低減させると、開閉弁8の閉時間τは、Lo燃焼に切換
える直前のHi燃焼での最終の閉時間τに対して所定の
変化幅ΔτHLだけ増やしたτ(τ<τ)として時
間を増大させることで開閉動作周期を長くし、単位時間
当たりの開閉動作回数を少なくして冷媒加熱器2へ供給
する冷媒量を低減している。
このLo燃焼が継続される時間T1からT2において、燃焼
量の低減に伴い温度θが下降する下降部Cでは開閉弁8
の閉時間はτのまま変化させずに一定値に保持して開
閉動作を繰返す。
ところが、下降部Cの後に示すように温度θが上昇、
下降を繰返すハンチングを検知すると、閉時間τをτ
10,τ11と順次長く(τ<τ10<τ11)変化させるこ
とで、Hi燃焼時と同じようにLo燃焼においても冷媒加熱
器2に対する冷媒の流入量と流出量の流量バランスを図
ることで安定した冷媒加熱運転が続行される。
以上のものはHi燃焼からLo燃焼への切換えと同時に閉
時間を増加させる場合を示したが、冷媒加熱器2にはHi
燃焼時の余熱が残っているため、時間遅れを設けて開閉
弁8の閉時間を増加させてもよい。
このようにして、搬送熱量が急速に低減した過度時に
も即座に変化に対応することにより、冷媒加熱器2で蒸
発し、放熱器10に圧送されて凝縮する冷媒量と、受液器
5から間欠的に冷媒加熱器2に送られる冷媒量とのバラ
ンス化を自動的に行って、安定な冷媒加熱を実現し、冷
媒加熱器での冷媒の局所異常過熱を防ぐことができる。
なお、本実施例では温度検出器14で開閉弁8の開閉動
作周期を制御する場合を示したが、冷媒加熱器2の出口
側の冷媒は気液2相状態でらい、温度と圧力には一定の
関係があるので、温度検出器14の代わりに圧力検出器で
開閉動作周期を同様に制御できることは明らかである。
発明の効果 以上のように本発明の熱搬送装置によれば、加熱装置
の熱出力を低減させた時には開閉弁の開閉動作周期は所
定値だけ長くするとともに、熱出力を低減させた後に温
度検出器または圧力検出器で検知する温度または圧力が
下降している間は、開閉動作周期を一定値に保持する制
御装置を設けたので、加熱装置の熱出力が低減した過度
時にも開閉弁の開閉動作周期を即座にこの変化に対応さ
せて安定した冷媒加熱を実現し、冷媒加熱器での冷媒の
局所異常過熱を防止し、その実用性が高く、信頼性の高
いシステムを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す熱搬送装置のシステム
構成図、第2図は同熱搬送装置のシステム動作を説明す
るための開閉弁の開閉間制御図である。 1…気液セパレータ、2…冷媒加熱器、3…入口管、4
…出口管、5…受液器、6…第1逆止弁、7…落込み
管、8…開閉弁、9…均圧通路、10…放熱器、11…ガス
冷媒往き管、12…第2逆止弁、13…液冷媒戻り管、14…
温度検出器、15…制御装置、16…バーナ(過熱装置)、
17…熱量切換装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱装置を有する冷媒加熱器と気液セパレ
    ータを配管接続した環状通路部を設け、前記気液セパレ
    ータの上方に設けた受液器を第1逆止弁を有する落込み
    管と開閉弁を有する均圧通路とで前記環状通路部に接続
    するとともに、前記気液セパレータ、放熱器、第2逆止
    弁、前記受液器を順次配管接続して形成した環状熱搬送
    路と、前記冷媒加熱器の出口側に設けた温度検出器また
    は圧力検出器と、前記加熱装置の熱出力を低減させた時
    には前記開閉弁の開閉動作周期は所定値だけ長くすると
    ともに、熱出力を低減させた後に温度検出器または圧力
    検出器で検知する温度または圧力が下降している間は開
    閉動作周期を一定値に保持する制御装置を設けた熱搬送
    装置。
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