JP2690032B2 - フッ素樹脂積層体およびその製造法 - Google Patents

フッ素樹脂積層体およびその製造法

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JP2690032B2 JP3256361A JP25636191A JP2690032B2 JP 2690032 B2 JP2690032 B2 JP 2690032B2 JP 3256361 A JP3256361 A JP 3256361A JP 25636191 A JP25636191 A JP 25636191A JP 2690032 B2 JP2690032 B2 JP 2690032B2
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裕 中田
和弘 中井
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    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフッ素樹脂の積層体の製
造に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は、非粘着性、防汚性、耐熱
性、耐薬品性、透明性、耐紫外線劣化性、耐候性、撥水
撥油性など、他の樹脂にはみられない優れた特性を有し
ている。ところで、一般に樹脂成形体、特にフィルム状
のものは他の材料を接着して積層体として使用されるこ
とも多いが、フッ素樹脂はその特徴である非粘着性のた
め他の材料との積層が非常に困難である。そのため、前
記のような優れた特性をもちながら、広汎に使用されて
いないのが現状である。
【0003】フッ素樹脂に他の材料を被着させるために
は接着剤を介して行なう必要があるが、この接着剤とフ
ッ素樹脂との密着性がわるく、そのため、フッ素樹脂側
の接着表面を改質し、接着剤の密着性を高める試みが種
々なされてきている。
【0004】フッ素樹脂表面の改質法としては、たとえ
ば有機化合物の存在下または不存在下に不活性ガス雰囲
気中でコロナ放電などの電気的放電処理を行なう方法
(特公昭37-17485号、特開昭59-214620 号、特開昭63-9
533 号、特開昭63-218336 号、特開昭63-222838 号各公
報)、火炎処理または金属ナトリウム処理を行なう方法
(特公昭63-10176号公報)、その他サンドブラストなど
により粗面化処理を行なう方法などが知られている。
【0005】また、表面を改質すればそれだけでどのよ
うな接着剤とも充分な密着性を奏するというものではな
いため、接着剤の選定も鋭意検討されている。
【0006】たとえば、前記特公昭37-17485号公報記載
の方法ではエポキシ樹脂のプライマー層を改質表面に形
成したのちエポキシ樹脂を接着剤として使用しており、
特開昭59-214620 号、特開昭63-218336 号および特開昭
63-222838 号各公報記載の方法ではエチレン- エチルア
クリレート- 無水マレイン酸3元共重合体および/また
はエチレン- グリシジルメタクリレート- 酢酸ビニル3
元共重合体というホットメルト型の接着剤を用いてお
り、特公昭63-10176号公報記載の方法では不飽和ポリエ
ステル樹脂とイソシアネート化合物を配合した接着剤が
用いられている。また、特開昭63-9533 号公報には、改
質表面上にエポキシ樹脂のプライマー層を形成し、これ
に接着剤として熱可塑性ポリエステルまたはポリアミド
を用いて積層する方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、フッ素樹
脂の積層体を作製する試みが種々なされているが、エポ
キシ樹脂のプライマー層を形成する必要のある方法(特
公昭37-17485号、特開昭63-9533 号各公報)は工程的に
煩雑にならざるをえず、また、ホットメルト型の接着剤
を用いる方法(特開昭59-214620 号公報ほか)では高温
での処理が必要となるため被着体の熱劣化などが生ずる
ことがあり、不飽和ポリエステル樹脂とイソシアネート
化合物を用いる方法(特公昭63-10176号公報)は金属ナ
トリウム処理または火炎処理されたフッ素樹脂にのみ適
用可能とされており、しかもその表面処理自体がフッ素
樹脂の望まない変性を惹起することがあり、現在のとこ
ろ簡単で汎用性のある積層法は見い出されていない。
【0008】本発明は、被着体の望まない変性を伴わ
ず、しかも簡単でかつ用途に応じて種々の接着剤を使用
できる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、フッ
素樹脂成形体の表面の改質法と接着剤の選定とを関連づ
け、より一層強い密着力と被着体に合わせた接着剤の選
定を可能にしたものであり、官能基を有する有機化合物
を含む不活性ガス雰囲気中で放電処理することによって
改質されたフッ素樹脂表面に接着剤層を介して被着体を
積層するフッ素樹脂積層体の製造法において、該接着剤
が、前記有機化合物が有する官能基と同じまたは親和性
の官能基をもつ単量体を重合または共重合してえられる
重合体であることを特徴とするフッ素樹脂積層体の製造
法に関する。
【0010】
【実施例】本発明の製造法は、被着体に最適の接着剤を
選定し、その接着剤に親和性をもつ有機化合物を用いて
最適な状態にフッ素樹脂成形体表面を改質することによ
って堅固な積層体を製造するものであり、放電処理によ
る改質の際に存在させる有機化合物として、接着剤の製
造に用いる単量体が有する官能基と同じまたは親和性の
官能基をもつものを使用する点に特徴がある。
【0011】以下、本発明の好ましい実施態様を説明す
る。
【0012】本発明において用いられるフッ素樹脂とし
ては成形体を製造しうるものであれば特に限定されず、
たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはその
変性物、テトラフルオロエチレン- パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体(PFA) 、テトラフルオロエチ
レン- ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP) 、テト
ラフルオロエチレン- エチレン共重合体(ETFE)、テトラ
フルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VdF)
、テトラフルオロエチレン- ヘキサフルオロプロピレ
ン- パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EP
A) 、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロ
トリフルオロエチレン- エチレン共重合体(ECTFE) 、ク
ロロトリフルオロエチレン- フッ化ビニリデン共重合体
(CTFE/VdF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化
ビニル(PVF) などがあげられる。成形体の形状は積層可
能なものであれば特に限定されないが、フィルム状やシ
ート状、チューブ状、パイプ状、ブロック状、織物状、
繊維状のものなどがある。フッ素樹脂が最外層となるば
あいはフィルム状やシート状のものが好ましい。
【0013】フッ素樹脂成形体の表面改質は、従来より
行なわれているコロナ放電処理やグロー放電処理、プラ
ズマ放電処理、スパッタリング処理などによる放電処理
(特公昭37-17485号公報、特公昭49-12900号公報、米国
特許第3296011 号明細書)が採用できる。たとえば、コ
ロナ放電処理では有機化合物が含まれている不活性ガス
(たとえばチッ素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスな
ど)雰囲気に改質すべき表面を曝し、電極間に高周波電
圧をかけることによりコロナ放電を起こさせ、これによ
り表面に活性種を生成し、ついで有機化合物の官能基を
導入もしくは重合性有機化合物をグラフト重合すること
によって行なう。コロナ放電の条件はフッ素樹脂成形体
の誘電率などによって適宜選定すればよい。
【0014】本発明の特徴は、放電処理の際に、使用す
る接着剤に応じた特定の有機化合物を雰囲気中に存在さ
せる点にあるので、有機化合物については接着剤との関
係で後述する。放電処理によって改質されたフッ素樹脂
の表面は表面活性が増大しており、さらに反応性が著し
く高くなっている。
【0015】改質されたフッ素樹脂成形体表面に接着剤
により被着体を接着するのであるが、接着剤は被着体と
の濡れ性が良好なものが好ましい。本発明によれば接着
剤として汎用の多種多様のものが使用できるので、被着
体の種類の幅を拡げることができる。したがって被着体
としては特に限定されず、たとえば塩化ビニル系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリビ
ニルアルコール系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポ
リイミド系樹脂などの合成樹脂;紙、布、木材、金属、
セラミックなどの天然材料;それらの加工品である合成
紙、合板などがあげられる。これらのうち、特に塩化ビ
ニル系樹脂は、従来の接着法では接着強度の点で充分で
はなかったが、本発明の方法によれば容易にかつ充分な
強度をもって接着することができる。被着体の形状は特
に制限されず、たとえばフィルム状、シート状、板状、
チューブ状、パイプ状、繊維状、織物状、粉体状などで
よい。
【0016】積層法は、従来公知の方法をそのまま採用
することができるが、特にウェットラミネート法、ドラ
イラミネート法、プレス成形法が好ましい。ウェットラ
ミネート法は、接着剤を塗布して直ちに被着体を重ね合
せ加熱下に接着する方法であり、ドライラミネート法は
塗布した接着剤を一旦乾燥させたのち被着体を重ね、加
熱下に圧着する方法である。プレス成形法は、接着剤を
塗布したのち、直ちにあるいは一旦乾燥させ、被着体を
重ね、加熱下に圧着する方法である。接着時の加熱温度
は従来のホットメルト接着法が約200 ℃であるのに対
し、60〜200 ℃、好ましくは60〜170 ℃と低温でよく、
被着体の熱劣化を抑えることができる。このように、被
着体の熱特性に応じてより低い温度で実施できる。な
お、接着剤は被着体の方に塗布してもよい。
【0017】本発明によれば、多種多様の接着剤が被着
体または用途に応じて使用でき、またフッ素樹脂成形体
の表面処理時に存在させる有機化合物も接着剤に応じて
選定される。表面改質時に用いる有機化合物は、接着剤
の製造に使用する単量体がもつ官能基と同じまたは親和
性の官能基を有するものである。このような有機化合物
を表面改質時の雰囲気中に存在させることにより、フッ
素樹脂成形体の改質表面に接着剤と同種の構造の化合物
を結合させることができ、接着剤との親和性を大きく高
めることができる。官能基としては、たとえば水酸基、
エポキシ基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル
基、イソシアネート基、ニトリル基、アミノ基、エーテ
ル結合、重合性二重結合などがあげられるが、これらの
みに限られるものではない。
【0018】接着剤と有機化合物との組合せは、大別す
るとつぎの2つになる。
【0019】(1) 有機化合物として、接着剤の製造原料
である単量体と同じまたは親和性の官能基をもつ重合性
有機化合物を用いる。
【0020】(2) 有機化合物として、接着剤の製造原料
である単量体と同じまたは親和性の官能基をもつ非重合
性有機化合物を用いる。
【0021】有機化合物は不活性ガス雰囲気中にガス状
(蒸気)で存在する必要がある。その濃度は有機化合物
の種類によって異なるが、通常0.1 〜10.0モル%、好ま
しくは0.5 〜7.0 モル%である。したがって有機化合物
は放電処理温度(通常20〜100 ℃)で少なくとも1mmHg
以上の蒸気圧を有するものであることを要する。重合性
有機化合物のばあい、その重合性有機化合物を重合また
は共重合してえられた重合体からなる接着剤と組み合わ
せるのが特に好ましい。また、非重合性有機化合物のば
あい、放電処理によって活性化される必要があるため、
少なくとも1個の活性水素を有するか、あるいは結合解
離エネルギーが100kcal 以下の結合を有する化合物であ
ることを要する。
【0022】つぎに、接着剤の製造(重合)に使用する
単量体が有する官能基の種類ごとに好適な接着剤と有機
化合物の組合せを示すが、これらのみに限られるもので
はない。
【0023】(A) 単量体の官能基が水酸基であるばあい (A-1) 接着剤 ポリエステル系:不飽和二塩基酸と二価アルコールとの
共重合体 ウレタン系:イソシアネートとアルコール、アミン、フ
ェノールなどの活性水素との反応生成物 ポリビニルアルコール系:ポリ酢酸ビニルのケン化物 フェノール樹脂系:フェノールとホルマリンの反応生成
物 ポリエステルアクリレート系:無水フタル酸、エチレン
グリコール、アクリル酸の共重合物 (A-2) 有機化合物 重合性有機化合物:エチレングリコール、グリセリンな
どの多価アルコール 非重合性有機化合物:メタノール、エタノール、フェノ
ールなどの一価のアルコール;蟻酸、酢酸などのカルボ
ン酸類など (B) 単量体の官能基がエポキシ基であるばあい (B-1) 接着剤 エポキシ樹脂:分子内に
【0024】
【化1】
【0025】(B-2) 有機化合物 重合性有機化合物:グリシジルメタクリレート、エピク
ロルヒドリンなどのエポキシ基をもつ有機化合物 非重合性有機化合物:グリシジルエーテル類、エポキシ
アルカン類など (C) 単量体の官能基がカルボキシル基であるばあい (C-1) 接着剤 ポリエステル系:(A-1) のポリエステル類に同じ ポリアクリル酸系:アクリレートとアクリル酸との共重
合物 (C-2) 有機化合物 重合性有機化合物:フタル酸、マレイン酸などのカルボ
ン酸類;アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸
類;メタクリレート、エチルアクリレート、グリシジル
メタクリレートなどのエステル類 非重合性有機化合物:蟻酸、酢酸などのカルボン酸類 (D) 単量体の官能基がエステル基であるばあい (D-1) 接着剤 ポリエステル系:(A-1) のポリエステル類に同じ ポリアクリレート系:アクリル酸エステル類の重合体 ポリ酢酸ビニル系:ポリ酢酸ビニル、エチレン- 酢酸ビ
ニル共重合体など ポリジアリルフタレート系:ジアリルフタレートの共重
合体 (D-2) 有機化合物 重合性有機化合物:メタクリレート、エチルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレートなどのエステル類;ジア
リルフタレートなどの多官能のエステル類など 非重合性有機化合物:蟻酸エチル、酢酸エチルなどのカ
ルボン酸エステル類など (E) 単量体の官能基がカルボニル基であるばあい (E-1) 接着剤 カルボニル基含有重合体:ポリビニルアセタール、ポリ
アクリレート、ポリ酢酸ビニルなどのポリエステル類;
ポリウレタン類など (E-2) 有機化合物 重合性有機化合物:(C-2) と同じカルボン酸類、アクリ
ル酸類、エステル類;(D-2) と同じエステル類 非重合性有機化合物:アセトンなどのケトン類など;(C
-2) と同じカルボン酸類;(D-2) と同じエステル類 (F) 単量体の官能基がイソシアネート基(-NCO)であるば
あい (F-1) 接着剤 ウレタン系:(A-1) のウレタン系接着剤と同じ (F-2) 有機化合物 トリレンジイソシアネートとその誘導体などのイソシア
ネート類 (G) 単量体の官能基がニトリル基(-CN) であるばあい (G-1) 接着剤 ポリシアノアクリレート類:シアノアクリレートの重合
体および共重合体 (G-2) 有機化合物 重合性有機化合物:アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのアクリロニトリル類;シアノアクリレート類
など 非重合性有機化合物:アセトニトリル、プロピオニトリ
ルなどのニトリル類 (H) 単量体の官能基がアミノ基(-NH2 ) であるばあい (H-1) 接着剤 尿素樹脂系:尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物 メラミン樹脂系:メラミンとアルデヒド類との反応生成
物 ポリアクリルアミド系:アクリルアミド類の重合生成物 (H-2) 有機化合物 重合性有機化合物:メラミン類、ジアミン類、アクリル
アミド類など 非重合性有機化合物:各種アミン類およびアンモニウム
塩など (I) 単量体がエーテル結合をもつばあい (I-1) 接着剤 ポリビニルエーテル系:ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルエチルエーテルなど 例:
【0026】
【化2】
【0027】(I-2) 有機化合物 重合性有機化合物:ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテルなどのビニルエーテル類 非重合性有機化合物:ジエチルエーテル、グリシジルメ
チルエーテルなどの各種エーテル類 (J) 単量体が重合性二重結合のみをもつばあい (J-1) 接着剤 ポリオレフィン系:ポリエチレン、ポリプロピレンおよ
びそれらの共重合体 オレフィン- 酢酸ビニル共重合体:エチレン- 酢酸ビニ
ル共重合体など (J-2) 有機化合物 重合性有機化合物:エチレン、プロピレンなどのオレフ
ィン類;クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのパーハロゲ
ン化オレフィン類 以上に官能基ごとの接着剤と有機化合物の好適な組合せ
を示したが、たとえばポリエステル系接着剤のように種
々の官能基をもつ有機化合物が適用できるものもある。
また、官能基同士が親和性の高いばあい(たとえば、水
酸基とエポキシ基、アミノ基と水酸基、カルボキシル基
と水酸基、イソシアネート基とカルボニル基など)も、
同様に強い接着をうることができる。
【0028】特に好ましい組合せは、たとえば酢酸ビニ
ル(有機化合物)/エチレン- 酢酸ビニル共重合体(接
着剤)、グリシジルメタクリレート/エチレン- グリシ
ジルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル/ポリ
ウレタン系接着剤、各種アクリレート/アクリル系接着
剤、イソシアネート/ポリウレタン系接着剤、イソシア
ネート/メラミン系接着剤、アルコール類/アクリレー
ト系接着剤などがあげられる。
【0029】接着剤には、イソシアネート、ポリオー
ル、ポリアミン、エポキシなどの硬化剤や紫外線吸収
剤、充填剤、顔料、帯電防止剤など通常の添加剤を配合
してもよい。
【0030】塗布方法は、リバースロールコーター、ブ
レードコーター、スプレーコーター、グラビアコータ
ー、エアナイフコーター、マイヤーバーコーター、カー
テンコーター、ダイコーターなどを用いる通常の方法が
採用でき、フッ素樹脂成形体の改質表面あるいは被着材
表面に施用される。塗布量は、原液の濃度、粘度、塗布
速度などを調整することにより所望の量に制御すること
ができる。接着剤を塗布したのちは前記の方法によって
積層する。
【0031】接着剤は被着体の種類、積層体に要求され
る性質(耐水性、耐候性、耐熱性、外観など)などを考
慮して選定される。その好適な組合せは当業者によく知
られている。
【0032】本発明の製造法によってえられるフッ素樹
脂積層体は、フッ素樹脂の防汚性、撥水撥油性、耐薬品
性、耐紫外線性、耐候性、耐熱性などに優れた特性を具
備することになり、壁紙、家具、家電製品のキャビネッ
ト素材、風呂、台所、トイレなどの水回りなどの屋内用
に;屋根材、テント地、窓ガラス保護材、幌、看板、防
音壁(布)などの屋外用に;エレベーターや車輌、飛行
機などの内装もしくは外装用に;そのほかコンベアベル
ト、カーテンウォール、移送用シューター、ダクト、パ
ーテーションボード、薬品容器、樹脂燃料ホースなどの
自動車用部品、半導体や医薬、食品用搬送ホースなどの
産業用;イス、ベンチ、テーブルなどの屋外家具用など
の多種多様な製品に適用することができる。
【0033】つぎに本発明をフッ素樹脂成形体としてFE
P フィルムとETFEフィルムとを使用したばあいを例にと
って実施例および比較例をあげて説明するが、本発明は
かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、実
施例中の「部」は「重量部」である。
【0034】実施例1 (フッ素樹脂成形体のコロナ放電処理)厚さ50μmのテ
トラフロオロエチレン- ヘキサフロオロプロピレン共重
合体(FEP) フィルムの一方の面に、アセトン蒸気を7.0
モル%含有するチッ素ガス雰囲気下において、荷電密度
3Wsec/cm2 で放電処理することによって、一方の面が
アセトンで改質されたフッ素樹脂フィルムをえた。
【0035】(被着体の積層)アセトンで改質されたFE
P フィルムの面に、接着剤混合液(ウレタン系接着剤10
0 部、イソシアネート系硬化剤5部および水100 部)を
リバースコーターを用いて塗布し、電気炉中で80℃10分
間乾燥したのち厚さ200 μmの軟質塩化ビニル樹脂フィ
ルムを重ね、140 ℃で2分間熱プレス成形してフッ素樹
脂積層体をえた。
【0036】えられた積層体の剥離強度をつぎの方法で
測定したところ、2.2kgf/inch であった。
【0037】(剥離強度)万能引張試験機((株)オリ
エンテック製のテンシロン)を用い、180 度ピールを行
なった。引張速度は100mm /分とした。
【0038】実施例2〜3 実施例1の方法に従い、表1に示す条件でフッ素樹脂フ
ィルムを放電処理して表面改質した。
【0039】この表面改質フッ素樹脂フィルムに実施例
1の方法に従い表1に示す条件で接着剤層を形成し、同
表に示す条件で被着体を熱プレス成形してフッ素樹脂積
層体をえ、剥離強度を測定した。
【0040】結果を表1に示す。
【0041】なお、表1〜3中で用いている略号はそれ
ぞれつぎのものを示す。
【0042】(フッ素樹脂) FEP :テトラフルオロエチレン- ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体 ETFE:テトラフルオロエチレン- エチレン共重合体 (有機化合物) GMA :グリシジルメタクリレート (接着剤) EVA :エチレン- 酢酸ビニル共重合体 (被着体) PP合成紙:ポリプロピレン合成紙
【0043】
【表1】
【0044】比較例1 放電処理をしていないFEP フィルム(100 μm)に実施
例3と同じ接着剤混合液を用いて同実施例と同様にして
接着剤層を形成し、軟質塩化ビニル樹脂フィルムの積層
を試みたが、FEP フィルムと接着剤層とが全く接着しな
かった。
【0045】比較例2〜5 表2に示す有機化合物と接着剤の組合せを用いて同表に
示す条件でフッ素樹脂フィルムと被着体を積層し、剥離
強度を測定した。
【0046】結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例4 有機化合物としてグリシジルメタクリレートを用いたほ
かは実施例1と同様にしてFEP フィルム(100 μm)を
放電処理して表面を改質した。
【0049】この表面改質FEP フィルムに接着剤混合液
(ウレタン系接着剤100 部、イソシアネート系硬化剤5
部、酢酸エチル100 部)をバーコーターを用いて塗布
し、電気炉中で100 ℃10分間乾燥したのち、ポリプロピ
レン合成紙と重ね、60℃に加熱された加圧ロール間を通
過速度1m/分で通して熱プレスし(卓上ラミネート機
使用)、フッ素樹脂積層体をえた。
【0050】この積層体の剥離強度を測定しようとした
ところ、0.5kgf/inch で合成紙が材料破壊した。
【0051】実施例5〜10 実施例4の方法に従い、表3に示す条件でフッ素樹脂フ
ィルムを放電処理して表面改質した。
【0052】この表面改質フッ素樹脂フィルムに実施例
4の方法に従い表3に示す条件で接着剤層を形成し、同
表に示す条件で被着体を加圧ロール間を通して熱プレス
し、フッ素樹脂積層体をえ、剥離強度を測定した。
【0053】結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】比較例6 実施例1と同様にして放電処理したFEP フィルム(100
μm)にホットメルト型接着剤(変性酢酸ビニル共重合
体)を介してポリエステルフィルム(100μm)を重ね、
170 ℃に加熱された加圧ロール間を通過速度1m/分で
通して熱プレス成形した。
【0056】えられた積層体は、手で容易に剥がすこと
ができた。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、防汚性、耐薬品性、撥
水撥油性、耐候性などの特性に優れたフッ素樹脂成形体
と種々の被着体との積層体を所望の用途に応じた接着剤
を用いて容易に製造することができ、しかも堅固なフッ
素樹脂積層体をうることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/00 303 C08J 7/00 303 CEW CEW // C08L 27:12 (72)発明者 渡辺 康二 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキ ン工業株式会社淀川製作所内 (56)参考文献 特公 昭47−39939(JP,B1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 官能基を有する有機化合物を0.1〜1
    0モル%含む不活性ガス雰囲気中で放電処理することに
    よって改質されたフッ素樹脂表面に接着剤層を介して被
    着体を積層するフッ素樹脂積層体の製造法において、該
    接着剤が、前記有機化合物が有する官能基と同じまたは
    親和性の官能基をもつ単量体を重合または共重合してえ
    られる重合体であることを特徴とするフッ素樹脂積層体
    の製造法。
  2. 【請求項2】 有機化合物が重合性有機化合物であり、
    接着剤が該重合性有機化合物が有する官能基と同じまた
    は親和性の官能基をもつ単量体の単独重合体または共重
    合体である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 有機化合物が置換可能な水素原子を有す
    る非重合性有機化合物であり、接着剤が該非重合性有機
    化合物が有する官能基と同じまたは親和性の官能基をも
    つ単量体を重合または共重合してえられる重合体である
    請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 有機化合物が有する官能基が、水酸基、
    エポキシ基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル
    基、イソシアネート基、ニトリル基、アミノ基、エーテ
    ル結合または重合性二重結合である請求項1記載の製造
    法。
  5. 【請求項5】 官能基を有する有機化合物を0.1〜1
    0モル%含む不活性ガス雰囲気中で放電処理することに
    よって改質された表面を有するフッ素樹脂基材、該基材
    の改質表面上に形成されている前記有機化合物が有する
    官能基と同じまたは親和性の官能基をもつ単量体からえ
    られる重合体からなる接着剤層、および該接着剤層上に
    接着された被着体からなるフッ素樹脂積層体。
  6. 【請求項6】 フッ素樹脂基材がシート状またはフィル
    ム状である請求項5記載のフッ素樹脂積層体。
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