JP2689644B2 - 焦電型赤外線検知装置 - Google Patents

焦電型赤外線検知装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は焦電型赤外線センサを用いて物体の位置およ
び温度情報を検知する装置に関する。
従来の技術 近年、侵入者の検知や火災の発見などの防犯・防災・
HA(ホームオートメーション)の目的のために、赤外線
センサを用いて赤外線源の有無や動きを検知する装置が
使われるようになった。赤外線のセンサとしては化合物
半導体を用いた量子型のものと、焦電素子やサーミスタ
などを用いた熱型のものとがあり、量子型の赤外線セン
サは液体窒素などで冷却する必要があるため、防犯・防
災・HAなどの目的には熱型の赤外線センサが用いられ
る。特に焦電型のセンサは他の熱型のセンサに比べて感
度が高く、赤外線源の位置検知装置に最適である。
現在、防犯・防災・HAなどに用いられる焦電センサは
赤外線源の有無を判断する程度の単素子または複素子の
センサが主流であるが、さらに赤外線源の位置情報をも
読み取り高度な判断ができるように熱源を2次元情報と
して検知するセンサの開発が進められている。特に、空
調装置などへの応用を考えると、位置情報のみならず赤
外線源の温度情報も必要となる。
このような赤外線源の2次元情報を得る、従来の焦電
型赤外線検知装置の1例を第3図を用いて説明する。
光学チョッパ1により断続された赤外線2が1列の焦
電素子アレイ3に照射し、各焦電素子3には赤外線2の
明暗に対応した周知で、入射赤外線強度に対応した振幅
の交流起電力が発生する。発生した信号はインピーダン
ス変換4された後にバンドパスフィルター5によって信
号処理され、S/Nを向上している。各素子の信号処理後
の出力をアナログマルチプレクタ6によって順次切り替
えて焦電素子アレイ3の配列方向の走査を行い、光学チ
ョッパ1が閉のときの信号を1列分読み込み、光学チョ
ッパ1が開のときの信号を1列分読み込んで、開信号か
ら閉信号を差し引いて1列の赤外線強度を得ている。
つまり、光チョッパの開閉1周期で1列読み込み、レ
ンズ7の前に設けた可動ミラー8によって光軸を動か
し、次の列の情報を読み込む、ということを繰り返すこ
とによって2次元の赤外線情報を得ている。
発明が解決しようとする課題 焦電センサに於て、その応答時間は光学チョッパが開
閉する周期に相当し、それよりも速い温度変化や赤外線
源の移動には追従できない。
この光学チョッパの周期と温度分解能はほぼ反比例の
関係にあり、速い応答性を要求すると温度検出の精度が
悪くなり、温度の検出精度を要求すると応答速度が遅く
なる。
ところが、防犯・防災・HAなどの応用では、動く物体
に対応するためにはビデオ信号(30画面/秒)に近い速
度が求められ、人と物の区別などには温度分解能1℃程
度が求められると考えらえる。
安価で、この双方の要求を満たすセンサを作製するこ
とはきわめて困難である。
現状では、高速応答用のセンサと高精度温度検出用の
センサとを別個に設けてシステムを作り上げなくてはな
らず、システムが大型化し、高価になる。
本発明は赤外線源の変化や動きに対し高速な位置検出
と、高精度な赤外線源の温度検出とが1台で可能な焦電
型赤外線検出装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 少なくとも1列以上の焦電素子アレイを用いて赤外線
の2次元分布を得る焦電型赤外線検知装置において、2
次元走査する機構の速度設定が少なくとも2段階以上設
定でき、速度変化に伴う出力信号の周波数変化に応じて
信号処理に用いるフィルターの周波数特性を変えること
ができるようにすることによって前記問題点を解決する
ことができる。
作用 前述したように、応答時間は光学チョッパの周期に相
当するため、通常は光学チョッパを高速にし走査速度を
速くすることによって対象物の位置や動きを粗く知り、
対象物を検出した後に光学チョッパを低速にして高精度
温度検出を行なう。このように走査速度を少なくとも2
段階設けることによって、高速応答と高精度温度検出の
双方を1台の装置で可能とすることができる。
また、S/N向上に用いているフィルターに、周波数特
性が走査速度を変更したときの信号周波数の変化に追従
することのできるフィルターを用いることによって、走
査速度を変えられる焦電型赤外線検知装置が可能とな
る。
実施例 以下具体的実施例を示し、本発明をより詳細に説明す
る。
実施例1 第1図に本発明の焦電型赤外線検知装置の一実施例の
全体図を示す。円盤に放射状のスリットを多数設けた光
学チョッパ1により断続された赤外線2が1列の焦電素
子アレイ3に照射し、各焦電素子3には交流起電力が発
生する。発生した信号はインピーダンス変換4された後
にスイッチドキャパシターフィルター9からなるバンド
パスフィルターによって信号処理され、アナログマルチ
プレクタ6によって順次切り替えて焦電素子アレイ3の
配列方向の信号走査を行っている。レンズ7の前に設け
た可動ミラー8によって焦電素子アレイの垂直方向の光
学的走査を行なっている。
前記光学チョッパ1を駆動するモーターと、前記可動
ミラー8を駆動するモーターには可変速モーターを用
い、高速走査のときにはチョッパ1、ミラー8とも高速
駆動し、高精度温度検出のときにはどちらも低速駆動す
る。
信号処理に用いたスイッチドキャパシターフィルター
9は外付け部品の定数を変えることなく、与えるクロッ
ク周波数を変えるだけで中心周波数が変わるため、駆動
モーターと同期して信号周波数に追随させることが容易
である。
一例として、空調装置に本装置を用いて、人体を検出
してその温度を計測する場合を考えてみる。まず、高速
走査で36℃付近の物体がどこにあるか動いているかを検
出する。その物体の動きが微少になったときに低速走査
にしてその物体の温度を計測する。その物体の温度や形
状から人体と判断したときは測定温度を体温のデータと
し、より快適な空調を行なう。人体以外と判断したとき
はその物体を無視する。
低速走査では1画面走査に時間がかかりすぎる可能性
があるため、対象となる物体のあるべき位置の前後だけ
低速走査すると測定時間の短縮が行える。
さらに、高速走査を行なっている途中、対象物にさし
かかったときだけ低速走査することによっても時間の短
縮になる。
実施例2 他の構成の実施例を第2図に示す。
焦電薄膜21の両面に電極22,23を形成し、各焦電素子
を構成している。2次元に配した焦電素子のうち、横方
向の各焦電素子は隣同士間が電極22,23のパターンによ
って交互に配線され、一列に配した焦電素子が直列にな
っている。縦方向には前記焦電素子アレイを複数列配
し、2次元の焦電素子アレイを構成している。
前記焦電素子アレイの前面でスリット24を横方向に移
動させることによって、レンズ25を通過した焦電素子ア
レイに結像した赤外線26を走査し、各列の両端の電極2
7、28の間に発生する電圧を出力として信号処理回路に
接続している。
ここで横方向の焦電素子は隣同士が逆起電力になるよ
うに配線されているため、発生する電圧の時間変化は交
流波形になり、各焦電素子の出力は対応する上向きピー
ク値から下向きピーク値を引算することによって信号が
求められる。
この信号は第2図では省略したが実施例1と同様、イ
ンピーダンス交換された後に、スイッチドキャパシター
フィルターからなるバンドパスフィルターによって信号
処理され、アナログマルチプレクサを用いて焦電素子ア
レイの配列方向の信号走査を行っている。
高速走査のときにはスリットを高速で駆動し、高精度
温度計測のときにはスリットを低速駆動することによ
り、実施例1と全く同等の効果が得られる。
さらに、この構成に於るスリット24は、実施例1の光
学チョッパ1の赤外線を断続するという役割と可動ミラ
ー8の光学的に走査を行なうという役割を兼ね備えてい
るため、光学チョッパ1と可動ミラー8の同期を取ると
いうわずらわしさがなくなるという利点がある。
もちろん、ふたつの機構部品をひとつにできるため、
装置の簡素化、小型化、低価格化も可能である。
実施例2では縦横2次元の焦電素子アレイを用いてい
るが、同心円上に焦電素子を配列し、円盤型スリットを
用いても同等の効果が得られる。
発明の効果 本発明は2次元分布を得る焦電型赤外線検知装置にお
いて、2次元走査する機構の速度設定が少なくとも2段
階以上設定でき、速度変化に伴う出力信号の周波数変化
に応じて信号処理に用いるフィルターの周波数特性を変
えることができるようにした焦電型赤外線検知装置であ
るため、赤外線源の変化や動きに対する高速な位置検出
と、高精度な赤外線源の温度検出との双方とも1台の装
置で可能とする焦電型赤外線検知装置を作製することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はそれぞれ、本発明の実施例におけ
る焦電型赤外線検知装置の主要部を示す概念側面図、第
3図は従来の焦電型赤外線検知装置の主要部を示す概念
側面図である。 1……チョッパ、3……焦電素子アレイ、5……バンド
パスフィルター、8……可動ミラー、9……スイッチド
キャパシターフィルター、21……焦電体、24……スリッ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 幸治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 朝山 純子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 阿部 惇 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−29575(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1列以上の焦電素子アレイを用
    いて赤外線の2次元分布を得る焦電型赤外線検知装置に
    おいて、2次元走査する機構の速度設定が少なくとも2
    段階以上設定でき、速度変化に伴う出力信号の周波数変
    化に応じて信号処理に用いるフィルターの周波数特性を
    変えることを特徴とする焦電型赤外線検知装置。
  2. 【請求項2】焦電素子アレイの出力信号処理にスイッチ
    ドキャパシターフィルターを用い、走査速度を変えたと
    きの出力信号の周波数に応じて前記信号処理の周波数特
    性を変えることを特徴とする請求項1記載の焦電型赤外
    線検知装置。
  3. 【請求項3】焦電素子アレイが2次元に配列しており、
    1列を構成する各焦電素子が電気的に直列で、かつ隣接
    する焦電素子同士が逆起電力となるように配線され、ス
    リットが前記焦電素子アレイ上を列方向に移動すること
    によって各焦電素子に照射する赤外線像を順次走査する
    ことを特徴とする請求項1記載の焦電型赤外線検知装
    置。
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CN107101720B (zh) * 2017-06-07 2018-11-13 中国科学技术大学 一种用于红外天光背景测量的装置和方法
CN111380614A (zh) * 2018-12-29 2020-07-07 清华大学 红外探测器及红外成像仪

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