JP2688373B2 - セメント混和材及びポリマー・セメント組成物 - Google Patents

セメント混和材及びポリマー・セメント組成物

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JP2688373B2 JP1315746A JP31574689A JP2688373B2 JP 2688373 B2 JP2688373 B2 JP 2688373B2 JP 1315746 A JP1315746 A JP 1315746A JP 31574689 A JP31574689 A JP 31574689A JP 2688373 B2 JP2688373 B2 JP 2688373B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高強度で流動性の改善されたセメント混和
材及びポリマー・セメント組成物に関する。
(産業上の利用分野) 本発明は、高強度で流動性の改善されたセメント混和
材及びポリマー・セメント組成物に関し、特に、高強度
で密実な耐久性の優れたコンクリート、補修材、床材、
防水材、接着材及び建材等多岐にわたって使用されるセ
メント混和材及びポリマー・セメント組成物に関する。
(従来の技術及びその課題) 近年、コンクリート構造物の耐久性が問題となってき
ており信頼性を有する補修材などが要望されている。
即ち、コンクリート構造物において、 (1) コンクリート表面からの炭酸ガスの侵入による
中性化によりコンクリート内部のpHが低下し鉄筋が腐食
する。
(2) コンクリート外部から内部への塩素イオンの侵
入により鉄筋が腐食する。
(3) 骨材中のシリカが、セメントから溶出するアル
カリと膨張反応を起こす。
(4) 骨材として海砂を使用した場合、鉄筋が腐食す
る。
等の理由によりコンクリートの耐久性は低下するとい
う課題があった。
これらの課題、特に、(1)と(2)の課題を解決す
るために、鉄筋の腐食した部分のコンクリートをはつり
落とし、鉄筋の防錆処理を行なった後、コンクリートと
の付着を計るため、種々のポリマー、例えばアクリル
系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、
スチレンブタジエン系及びクロロプレン系等のポリマー
を用いた補修用ポリマーセメントを注型するなどの工法
が検討されてきた。
ポリマーを用いる理由は、 基材コンクリートとの接触強度を向上させるため。
薄層補修部分のひび割れを防止するため。
補修モルタルの曲げ強度を向上させかつ弾性を付与
させるため。
等である。
しかしながら、従来の種々のポリマーセメントでは流
動性を確保するためには水セメント比を高くする必要が
あり、生成した硬化体の組織は粗なものとなるため、有
害ガスや塩素イオンの透過速度が大きく、コンクリート
内部の鉄筋の腐食を充分防止できないという課題があっ
た。
また、従来よりコンクリートの耐久性を高めるため
に、流動性をそこなわず、水セメント比を低減させ、有
害ガスや塩素イオンの透過を防止し、コンクリートの耐
久性を改善するためのセメント混和剤として減水剤が知
られている。
即ち、減水剤としては、例えば、ナフタレンスルホン
酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物の塩、高分子量リグニンスルホン
酸塩及びポリカルボン酸塩等を主成分とするものが使用
され、そのうち、特に、ナフタレンスルホン酸ホルムア
ルデヒド縮合物の塩である、β−ナフタレンスルホン酸
ソーダの使用が好ましい。
しかしながら、β−ナフタレンスルホン酸ソーダを使
用した場合、ひび割れが生ずると、耐久性という面で劣
るという課題があり、ひび割れの生じにくいコンクリー
トの提供が望まれていた。
このようなことから、補修用ポリマーセメントに、特
に、コンクリートとの接着強度が良好でひび割れ抵抗性
を有するものとして、ポリマーのエマルジョンの添加が
従来より検討されているが、β−ナフタレンスルホン酸
ソーダを添加して、水セメント比を低くした場合に流動
性を確保することは非常に困難であるという課題があっ
た。
本発明者らは、以上の課題を解決すべく種々検討した
結果、特定の組成を使用することにより、高強度で、接
着力に優れ、流動性の改善されたポリマー・セメント組
成物を提供できる知見を得て本発明を完成するに至っ
た。
(課題を解決するための手段) 即ち、本発明は、超微粉と、酢酸ビニル系合成樹脂エ
マルジョンと、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物の塩、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、
高分子量リグニンスルホン酸塩及びポリスチレンスルホ
ン酸塩からなる群より選ばれた一種又は二種以上を含有
する分散剤とを主成分とするセメント混和材であり、さ
らに、該セメント混和材と水硬化性物質とを主成分とす
るポリマー・セメント組成物である。
以下本発明について詳しく説明する。
通常、ポリマーセメントに使用されるポリマーとし
て、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデ
ン系及び塩化ビニル系等のビニルポリマーである合成樹
脂エマルジョン、スチレンブタジエン系やクロロプレン
系などの合成ゴムラテックスなどが挙げられるが、本発
明で使用する酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンは、前
記ポリマーのうち、コンクリートとの接着力に最も優れ
たものである。
また、本発明で使用する酢酸ビニル系合成樹脂エマル
ジョンに酢酸ビニル以外のコモノマーを共重合させるこ
とは、耐候性、耐アルカリ性及び耐水性の向上の面から
好ましい。
これらのコモノマーとしては、エチレン及びアクリロ
ニトリル・メタクリロニトリルなどのシアノ化ビニルモ
ノマー、アクリル酸・メタクリル酸・イタコン酸・クロ
トン酸などの不飽和カルボン酸モノマー、メチルアクリ
レート・エチルアクリレート・ブチルアクリレート・ヘ
キシルアクリレート・シクロヘキシルアクリレート・オ
クチルアクリレート・ヒドロキシエチルアクリレート・
グリシジルアクリレートなどのアクリル酸エステルモノ
マー、メチルメタクリレート・エチルメタクリレート・
ブチルメタクリレート・ヒドロキシエチルメタクリレー
ト・グリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テルモノマー、メチルビニルエーテル・エチルビニルエ
ーテル・ブチルビニルエーテル・フエニルビニルエーテ
ルなどのビニルエーテルモノマー、アクリルアミド・メ
タクリルアミドなどのアミド系モノマー、マレイミド・
N−メチルマレイミド・N−エチルマレイミド・N−プ
ロピルマレイミド・N−フエニルマレイミド・N−トル
イルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、塩化ビニ
ル・塩化ビニリデンなどのハロゲン化オレフインモノマ
ー、及び、ジビニルベンゼン・エチレングリコールジメ
タクリレート・1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート・1,4−ブチレングリコールジメタクリレート・プ
ロピレングリコールジメタクリレート・ポリエチレング
リコールジメタクリレート・ポリプロピレングリコール
ジメタクリレート・エチレングリコールジアクリレート
・ポリエチレングリコールジアクリレート・シアヌル酸
トリアリル・イソシアヌル酸トリアリル・トリメチロー
ルプロパントリメタクリレート・アリルアクリレート・
アリルメタクリレートなどの多官能性ビニルモノマーな
どが挙げられる。
これら共重合性モノマーの使用量は、酢酸ビニルとコ
モノマーの合計100重量部に対して、50重量部までであ
る。前記重量部を越えると、酢酸ビニルが本来有する優
れた接着性が得られにくくなる。
なお、これら共重合性モノマーを組み合わせて酢酸ビ
ニルに共重合することも可能である。
酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンを乳化重合により
製造する際、乳化安定剤として、保護コロイドとして作
用する水溶性高分子を用いることは好ましい。
ここでいう水溶性高分子としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メ
チルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース
(HEC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等の
セルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、グアー
ガム、アラビアゴム、アカシアゴム、トラガントガム、
タマリンド種子、ゼラチン及びポリアクリルアミド等が
挙げられる。
特に、PVAやHECなどは、酢酸ビニル系合成樹脂エマル
ジョンの保護コロイドとして作用することにより、合成
樹脂エマルジョンを安定化すると共に、その他の特異な
性質を付与するうえで好ましい。
さらに、合成樹脂エマルジョンとしての安定性や接着
力の向上などの面らPVAの使用は最も好ましい。
水溶性高分子の使用量は、酢酸ビニル系合成樹脂エマ
ルジョンの固形分100重量部に対し、0.2〜30重量部程度
が好ましい。0.2重量部未満では安定性や接着力の向上
の面であまり効果がみられない。
また、水溶性高分子に、さらに界面活性剤を乳化安定
剤として併用することは好ましい。
これら界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性
及びノニオン性のものが挙げられる。
アニオン性としては、ビニルスルホン酸ソーダ、スチ
レンスルホン酸ソーダ、2−スルホエチルメタクリレー
トソーダ、アリルアルキルスルホコハク酸ソーダ、高級
アルコール硫酸エステルソーダ塩及びポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム
塩等が挙げられる。
カチオン性としては、2−アミノエチルメタクリレー
ト塩酸塩や2−ヒドロキシ−3−トリメチルアミノプロ
ピルメタクリレートクロライドが挙げられる。
また、ノニオン性としては、ポリオキシエチレン縮合
体、ポリオイシエチレンポリオキシプロピレンエーテル
及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が
挙げられる。
界面活性剤の使用量は、酢酸ビニル系合成樹脂エマル
ジョンの固形分100重量部に対して、0.1〜10重量部程度
である。0.1重量部未満では乳化重合を行なうことは困
難であり、10重量部を越える場合はこれら酢酸ビニル系
合成樹脂エマルジョンの耐候性、耐アルカリ性及び耐水
性等に悪影響をおよぼす傾向がある。
本発明においては、乳化安定剤として、水溶性高分子
や界面活性剤を使用するが、その他、重合過程で形成さ
れる水溶性オリゴマーが乳化安定剤として働くため、重
合開始剤を高濃度で使用することも有効である。
ここでいう重合開始剤としては、過硫酸カリウムなど
の過硫酸塩、過酸化水素及び各種有機過酸化物等が挙げ
られる。レドックス開始系の場合は、さらに還元性物質
としてホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレートな
どを組み合わせて用いることができる。
さらに、必要に応じ、公知のpH調整剤(バッファ)、
消泡剤及び防腐剤等の添加剤の使用も可能である。
このようにして得られた酢酸ビニル系合成樹脂エマル
ジョン中の粒子の粒径は0.05〜5μm程度である。
以上のようにして得られた本発明の酢酸ビニル系合成
樹脂エマルジョンは、水硬性物質100重量部に対して、
固形分として4〜150重量部となるように使用すること
が好ましい。4重量部未満では充分な接着力が得られ
ず、150重量部を越えて添加しても、接着力はこれ以上
増加せず、表面の摩耗性や強度特性さらには耐候性も不
十分なものとなる傾向がある。
ここでいう水硬性物質とは、セメント質物質を主成分
とするものである。
セメント質物質としては普通・早強・超早強及び白色
等の各種ポルトランドセメント、超速硬セメント及びア
ルミナセメント等が用いられる。
超速硬セメントとしては小野田セメント(株)製商品
名「ジェットセメント」や電気化学工業(株)製商品名
「デンカスーパーセメント」などが挙げられる。
アルミナセメントとしては電気化学工業(株)製商品
名「デンカアルミナセメント1号」や「デンカアルミナ
セメント2号」などが挙げられる。
また、中庸熱セメント、高炉セメント及びフライアッ
シュセメント等の低発熱セメント並びに耐硫酸塩セメン
ト等も使用でき、さらには、適当な養生方法を用いれば
水酸化カルシウムや酸化カルシウムなども使用可能であ
る。また、高炉スラグやフライアッシュを通常の混合セ
メント以上に含有したものの使用も可能であり、高硫酸
塩スラグセメントや改良高炉セメントなどの使用も考え
られる。
アルミナセメントを水硬性物質として使用する場合は
硬化調整剤として各種硫酸塩、硝酸塩及び炭酸塩等、そ
の他、リチウム塩やCaCl2などの無機塩、Ca(OH)2、ホ
ウ砂及びホウ酸等の無機物並びにクエン酸、トリポリリ
ン酸、ピロリン酸、酒石酸及びグルコン酸等の有機酸又
はそれらの塩のうち、一種又は二種以上を使用すること
が好ましい。
硬化調整剤の使用量はセメント質物質100重量部に対
して0.005〜2重量部程度が好ましい。
セメント質物質の粒径は、通常5〜30μmのものが使
用されているが、水硬性を有するものであれば勿論これ
より小さいもの、あるいは大きいものも使用できること
はいうまでもない。
また、セメント質物質と、通常セメントコンクリート
に用いられている急硬材、膨張材、高強度混和材及び各
種の化学混和剤を併用することも可能である。
急硬材としては電気化学工業(株)製商品名「デンカ
ナトミック」や「デンカコスミック」が、膨張材として
は電気化学工業(株)製商品名「デンカCSA#20」がさ
らに、高強度混和材としては電気化学工業(株)製商品
名「デンカΣ−1000」等が挙げられる。
本発明では、さらに、セメント質物質と無機質の超微
粉を併用し、より低水セメント比の水硬性物質としての
使用も有効である。
ここで使用する超微粉とはセメント質物質より1オー
ダー、好ましくは2オーダー小さい粒子であり、更に好
ましくは平均粒径が1μm以下のものである。
超微粉の成分的な制限は特にはないが、水に対して易
溶性のものは適当でない。また、その製造方法は液相、
気相、粉砕及び分級又はそれらの組み合わせなどいずれ
の方法でも良く、特に制限されるものではないが、経済
性の面からは粉砕、分級によって製造されるものや、副
生成物として気相によって製造されるものでシリコン、
含シリコン合金及びジルコニア等の製造時の副産物であ
るシリカ質ダスト(シリカヒューム)やシリカダストな
どが有効である。
その他、炭酸カルシウム、シリカゲル、オパール質珪
石、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、各種ガラス、ベントナイト等の粘土鉱物やその仮焼
物、無定形アルミノシリケート、酸化クロム、活性炭、
高炉スラブ及びフライアッシュ等の超微粉が使用可能で
ある。
超微粉の使用量は混練物の緻密性や高強度特性の面か
ら、セメント質物質100体積部に対し、5〜100体積部が
好ましく、より好ましくは10〜50体積部である。5体積
部未満では超微粉を加えない場合に比べて、混練物の良
好な緻密性を得ることは難しく、50体積部を超えるとや
はり超微粉を加えない場合に比べて、表面の耐摩耗性や
強度特性も不充分となる。なお、緻密性に依存する耐久
性のみを改善する場合には5体積部未満でも若干の効果
は現われる。
酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンを水硬性物質に添
加すると気泡が連行され、その後生成する硬化体の強度
や緻密性が低下することがある、その場合は、これらに
消泡剤を組み合わせて使用することは好ましい。
消泡剤はごま油などの油脂系、ステアリン酸などの脂
肪酸系、オクチルアルコールなどのアルコール系、ソル
ビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールと脂肪酸の
部分エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンエーテル、パラフィン及びシリコーン系等が挙げられ
る。
市販品としては、東芝シリコーン(株)製商品名「TS
A 732」(シリコーン系)、三洋化成工業(株)製商品
名「カラリン302」(アルコール系)、東邦化学(株)
製商品名「プロナール502」(ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンエーテル系)及び花王(株)製商品名
「アンチホームE−20」等が挙げられる。
これら消泡剤の使用量は、酢酸ビニル系合成樹脂エマ
ルジョンの固形分100重量部に対して、1〜5重量部程
度が好ましい。
本発明で使用する分散剤はメラミンスルホン酸ホルム
アルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸塩、ポリカ
ルボン酸塩、高分子量リグニンスルホン酸塩及びポリス
チレンスルホン酸塩等を主成分とするものの一種又は二
種以上である。
特に、凝結時間などの面から、メラミンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物の塩の使用が好ましい。
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩
は、β−ナフタレンスルホン酸ソーダとして一般的に良
く知られた分散剤であり、通常、セメントに添加され流
動性を改善するものであるが、本発明の酢酸ビニル系合
成樹脂エマルジョンとの組み合わせにおいては、流動性
を改善する効果が前記他の分散剤に比べ、著しく劣る。
本発明の分散剤が、水硬性物質と酢酸ビニル系合成樹
脂エマルジョンとの組み合わせにおいて、著しく流動性
を改善する理由は定かではないが、酢酸ビニル系合成樹
脂エマルジョンの分子鎖長と電荷密度が関係しているも
のと考えられる。
即ち、高分子というよりもオリゴマーといってよい、
電荷密度の高いβ−ナフタレンスルホン酸ソーダやその
他のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、
酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンと相互作用をして流
動性を悪化し、逆に、分子鎖長の長い本発明の分散剤
は、前記相互作用がなく、流動性を向上する効果が著し
いものと考えられる。
本発明の分散剤の市販品は、メラミンスルホン酸ホル
ムアルデヒド縮合物の塩としては、日本シーカ(株)製
商品名「シーカメント」や昭和電工(株)製商品名「メ
ルメント」などが挙げられ、リグニンスルホン酸塩とし
ては山陽国策パルプ(株)製商品名「サンフローK」や
神戸材料(株)製商品名「リグナールG」などが挙げら
れ、高分子量リグニンスルホン酸塩としてはボルガード
社製商品名「ウルトラジン」などが挙げられ、ポリカル
ボン酸塩としてはカルボキシル基含有重合体にアルキレ
ンイミン及び/又はアルキレンオキサイドを付加反応し
た、日本触媒化学工業(株)製商品名「600S」、オレフ
ィンとエチレン性布不飽和ジカルボン酸無水物を共重合
したものの加水分解である。日本ゼオン(株)製商品名
「ワーク500」や「M−10」及びオレフィンと無水マレ
イン酸との共重合体やスチレン又はその他の共重合性モ
ノマーと無水マレイン酸との共重合体などの加水分解物
であり、無水物でセメントからのアルカリにより徐々に
加水分解し、流動性を示す徐放型のものなどが挙げられ
る。
本発明の分散剤は粉体で添加されるほか、液体で添加
されることも当然可能である。
分散剤の使用量は、通常、水硬性物質100重量部に対
して、0.15〜5重量部が一般的である。水セメント比に
もよるが、本発明でも同様の添加量が好ましく、さらに
好ましくは0.15〜4重量部である。0.15重量部未満では
良好な流動性を得ることが難しく、5重量部を越えても
より以上の流動性は得られにくい傾向がある。
なお、練り混ぜる水量は本発明の趣旨からして水硬性
物質に対して低いほど好ましい。
酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンは大量の水を含有
するため、これらを乾燥した粉体を用いることにより水
量を低減することも可能である。
水硬性物質としてセメント質物質と超微粉を用い、分
散剤を水硬性物質100重量部に対して1〜3重量部使用
した場合には、水量を水硬性物質100重量部に対して45
重量部以下とすることが、非常に良好な流動性を確保す
る面から好ましい。水量が45重量部以下であることによ
り強度や緻密性は一層改善され、塩素イオンの拡散係数
や透水係数なども著しく小さな値となる。
さらに超微粉を併用する場合は、水量が30重量部以下
が好ましく、良好な流動性の確保の面から28重量部以下
がさらに好ましい。
本発明においては、前記の各種材料より大きな粒径を
持つ骨材を併用することが可能である。
骨材とは、100μmを越える粒径のものをいい、一般
の砂、砂利及び軽量骨材等も使用可能であり、モース硬
度6以上又はヌープ圧子硬度700kgf/mm2以上の基準で選
定された硬質骨材を使用することももちろん可能であ
る。また、それ以外にガラスや金属などを骨材として用
いることも可能である。
骨材の使用量は、通常、水硬性物質100重量部に対し
て、1,000重量部程度迄が好ましい。ただし、プレパッ
クド工法やポストパック工法などの特殊な工法において
はこの限りではない。
前記材料の練り混ぜ方法や投入順序には、均一に混練
されれば、特に制限はなく、混練物は流し込みはコテ塗
りなどにより使用される。
さらに、本発明では前記材料を鉄骨や鉄筋などの補強
材や繊維などと組み合わせることもでき、引張りや曲げ
などの補強をすることが可能である。
繊維の例としては、鋳鉄のびびり切削法による繊維、
スチール繊維及びステンレス繊維等の金属繊維、石綿や
セラミックファイバー、ポリプロピレンなどの合成繊
維、アルミナ繊維などの各種天然又は合成鉱物繊維、炭
素繊維及びガス繊維等が挙げられる。
また、補強材として従来より用いられている鋼棒やア
ルミナ繊維の成形体などを用いることも可能であり、特
に、大型のものにはこれら補強材がしばしば必要とな
る。
このようにして得られたポリマーセメント組成物を混
練した混練物の養生は特に制限されるものではないが、
初期に湿潤養生、引き続き乾燥養生することが好まし
い。
以上の方法により製造した本発明のポリマーセメント
組成物の混練物の用途は耐久性コンクリート構造物ある
いはコンクリート構造物の層剥離部分のグラウトや腐食
した鉄筋の防錆コーティング等の補修材、道路などの舗
装材、床材や屋根スラブなどの防水材、タイル用などの
接着剤、化粧仕上げ材、化学工場床材、耐酸タイルの目
地材などの防食材及びデッキカバーリング材等多岐にわ
たる。
(実施例) 以下実施例により本発明を更に説明する。
実施例1 エチレン(E)10重量%、酢酸ビニル(VAc)35重量
%及び水50重量%からなり、乳化剤として、ノニオン系
界面活性剤1.0重量%、ポリビニルアルコール(PVA)2.
8重量%及びヒドロキシエチルセルロース(HEC)0.7重
量%を使用した合成樹脂エマルジョンを製造し、表−1
に示す配合でモルタルを混練した。結果を表−1に併記
する。
〈使用材料〉 セメントI:小野田セメント(株)製商品名「小野田白色
セメント」、比重3.14 セメントII:電気化学工業(株)製商品名「デンカアル
ミナセメント1号」、比重3.10 超微粉 :日本重化学工業(株)製シリカヒューム、
TEMによる平均粒径0.2μm、比重2.2 骨材 :ひさご産業(株)製商品名「7号珪砂」 消泡剤 :東芝シリコーン(株)製商品名「TSA732」 分散剤−A:第一工業製薬(株)製商品名「セルフロー11
0P」主成分ナフレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 〃 −B:昭和電工(株)製商品名「メルメント」主成
分メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩 〃 −C:ボルガード社製商品名「ウルトラジン」主成
分高分子量リグニンスルホン酸塩 〃 −D:日本触媒化学工業(株)製商品名「600S」主
成分ポリカルボン酸塩 乳化剤 :ノニオン系界面活性剤;花王(株)製商品
名「エマルゲン985」主成分ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル PVA;電気化学工業(株)製商品名「デンカポ
バールB−17」 HEC;フジケミカル(株)製商品名「AH-15F」 〈合成樹脂エマルジョン製造条件〉 ステンレス製オートクレーブに,水、VAc及び乳化剤
を仕込み、攪拌しながら温度60℃に昇温後、さらに、エ
チレンを所定量圧入した。次いで過硫酸アンモニウムを
添加して、重合を開始し、残存モノマーが0.5重量%以
下となるまで重合を行なった後、冷却してエマルジョン
を得た。
参考例1 エチレン(E)4重量%、酢酸ビニル(VAc)20重量
%、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)21重量%及
び水50重量%からなり、乳化剤として、ノニオン系界面
活性剤1.0重量%、PVA2.5重量%及びHEC0.5重量%を使
用した合成樹脂エマルジョンを製造し、表−2に示す配
合でモルタルを混練したこと以外は、実施例1と同様に
行なった。結果を表−2に併記する。
実施例2 乳化剤として、ノニオン系界面活性剤1.0重量%、PVA
2.8重量%及びHEC0.7重量%を使用して合成樹脂エマル
ジョンを製造し、表−3に示す配合でモルタルを混練し
たこと以外は、参考例1と同様に行なった。結果を表−
3に併記する。
(発明の効果) 本発明のセメント混和材及びポリマー・セメント組成
物は、水セメント比を低くしても、流動性を損なうこと
がなく、圧縮強度や付着強度に優れ、緻密性や耐久性も
向上する効果を奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24/42 C04B 24/42 A (56)参考文献 特開 昭62−297251(JP,A) 特開 昭59−146960(JP,A) 特開 昭56−45857(JP,A) 特開 昭57−71842(JP,A) 笠井、小林共著「セメント・コンクリ ート用混和材料」、第1版、技術書院、 昭61−1−15、P.105−119

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超微粉と、酢酸ビニル系合成樹脂エマルジ
    ョンと、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の
    塩、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、高分子
    量リグニンスルホン酸塩及びポリスチレンスルホン酸塩
    からなる群より選ばれた一種又は二種以上を含有する分
    散剤とを主成分とするセメント混和材。
  2. 【請求項2】水硬性物質と請求項1記載のセメント混和
    材とを主成分とするポリマー・セメント組成物。
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