JP2687614B2 - 耐久性の優れた光学体の製造方法 - Google Patents
耐久性の優れた光学体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は各種光学的機能を有する耐久性の優れた光学
体の製造方法に関する。
体の製造方法に関する。
[従来の技術] 従来からガラス、プラスチックなどの透明基板に薄膜
を形成して光学的機能を付加したものとして、ミラー、
熱線反射ガラス、低放射ガラス、干渉フィルタ、カメラ
レンズやメガネレンズの反射防止コートなどがある。
を形成して光学的機能を付加したものとして、ミラー、
熱線反射ガラス、低放射ガラス、干渉フィルタ、カメラ
レンズやメガネレンズの反射防止コートなどがある。
通常のミラーでは、無電解メッキ法でAgが、または真
空蒸着法、スパッタリング法などでAlやCrなどが形成さ
れる。これらの中でCr膜は比較的丈夫なのでコート面が
露出した表面鏡としても一部用いられている。
空蒸着法、スパッタリング法などでAlやCrなどが形成さ
れる。これらの中でCr膜は比較的丈夫なのでコート面が
露出した表面鏡としても一部用いられている。
熱線反射ガラスは、酸化チタンや酸化錫などがスプレ
ー法、CVD法または浸漬法などで形成されてきた。最近
では、金属膜、窒化膜、錫をドープした酸化インジウム
(ITO)などがスパッタリング法でガラス板面に形成さ
れたものが熱線反射ガラスとして使われるようになって
きた。スパッタリング法は膜厚コントロールが容易でか
つ複数の膜を連続して形成でき、透明酸化物膜と組み合
せて、透過率、反射率、色調などを設計することが可能
である。このため意匠性を重視する建築用などに需要が
伸びている。
ー法、CVD法または浸漬法などで形成されてきた。最近
では、金属膜、窒化膜、錫をドープした酸化インジウム
(ITO)などがスパッタリング法でガラス板面に形成さ
れたものが熱線反射ガラスとして使われるようになって
きた。スパッタリング法は膜厚コントロールが容易でか
つ複数の膜を連続して形成でき、透明酸化物膜と組み合
せて、透過率、反射率、色調などを設計することが可能
である。このため意匠性を重視する建築用などに需要が
伸びている。
室内の暖房機や壁からの輻射熱を室内側に反射する低
放射ガラス(低放射率ガラス)は、銀を酸化亜鉛で挟ん
だZnO/Ag/ZnOの3層系またはZnO/Ag/ZnO/Ag/ZnOの5層
系(特開昭63-239043号参照)などの構成を持ち、複層
ガラスか合わせガラスの形で使われる。近年ヨーロッパ
の寒冷地での普及が目ざましい。
放射ガラス(低放射率ガラス)は、銀を酸化亜鉛で挟ん
だZnO/Ag/ZnOの3層系またはZnO/Ag/ZnO/Ag/ZnOの5層
系(特開昭63-239043号参照)などの構成を持ち、複層
ガラスか合わせガラスの形で使われる。近年ヨーロッパ
の寒冷地での普及が目ざましい。
レンズなどの反射防止コートは、酸化チタン、酸化ジ
ルコニウムなどの高屈折率膜と酸化シリコン、フッ化マ
グネシウムなどの低屈折率膜を交互に積層している。通
常は真空蒸着法が用いられ、成膜時は基板加熱をして耐
擦傷性の向上を図っている。
ルコニウムなどの高屈折率膜と酸化シリコン、フッ化マ
グネシウムなどの低屈折率膜を交互に積層している。通
常は真空蒸着法が用いられ、成膜時は基板加熱をして耐
擦傷性の向上を図っている。
[発明が解決しようとする課題] 表面鏡や、単板の熱線反射ガラスおよびレンズなどの
反射防止コートなどは、コートされた膜が空気中に露出
した状態で使用される。このため、化学的な安定性や耐
摩耗性に優れていなければならない。一方、低放射ガラ
スでも複層ガラスまたは合わせガラスになる前の運搬や
取り扱い時の傷などにより不良品が発生する。このため
安定で耐摩耗性に優れた保護膜も兼ねた光学薄膜が望ま
れている。
反射防止コートなどは、コートされた膜が空気中に露出
した状態で使用される。このため、化学的な安定性や耐
摩耗性に優れていなければならない。一方、低放射ガラ
スでも複層ガラスまたは合わせガラスになる前の運搬や
取り扱い時の傷などにより不良品が発生する。このため
安定で耐摩耗性に優れた保護膜も兼ねた光学薄膜が望ま
れている。
耐久性向上のためには通常化学的に安定で透明な酸化
物膜が空気側に設けられる。これらの酸化物膜としては
酸化チタン、酸化錫、酸化タンタル、酸化ジルコニウ
ム、酸化珪素などがあり、必要な性能に応じて選択さ
れ、使用されてきた。
物膜が空気側に設けられる。これらの酸化物膜としては
酸化チタン、酸化錫、酸化タンタル、酸化ジルコニウ
ム、酸化珪素などがあり、必要な性能に応じて選択さ
れ、使用されてきた。
しかし、酸化チタン、酸化ジルコニウムは化学的安定
性に優れているが、結晶質の膜になりやすく表面の凹凸
が大きくなる傾向があり、このため擦ったときの摩擦が
大きくなり耐摩耗性に劣る。
性に優れているが、結晶質の膜になりやすく表面の凹凸
が大きくなる傾向があり、このため擦ったときの摩擦が
大きくなり耐摩耗性に劣る。
一方、酸化錫、酸化珪素はそれぞれ酸、アルカリに弱
く長期間の浸漬には耐えない。酸化タンタルは、耐摩耗
性と化学的安定性の両方を兼ね備えているが、まだ耐摩
耗性に関して十分とはいえない。
く長期間の浸漬には耐えない。酸化タンタルは、耐摩耗
性と化学的安定性の両方を兼ね備えているが、まだ耐摩
耗性に関して十分とはいえない。
また、酸化チタン、酸化錫、酸化タンタル、酸化ジル
コニウムは屈折率が比較的高く、一方、酸化珪素は屈折
率が比較的低く、各種光学的機能を持たせるにあたり、
光学設計の自由度に制限がある。
コニウムは屈折率が比較的高く、一方、酸化珪素は屈折
率が比較的低く、各種光学的機能を持たせるにあたり、
光学設計の自由度に制限がある。
このように、高い耐久性を持ち、かつ広い光学設計の
自由度も併せもつ薄膜を有する光学体の製造方法は知ら
れていない。
自由度も併せもつ薄膜を有する光学体の製造方法は知ら
れていない。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前述の問題点を解決すべくなされた下記の
発明である。
発明である。
基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜が形成され
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中の硼素のジ
ルコニウムに対する原子比xが0.10<x≦3であり、酸
素のジルコニウムに対する原子比yが2<y≦6.5であ
る非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を反応性
スパッタリング法により形成することを特徴とする耐久
性の優れた光学体の製造方法。
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中の硼素のジ
ルコニウムに対する原子比xが0.10<x≦3であり、酸
素のジルコニウムに対する原子比yが2<y≦6.5であ
る非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を反応性
スパッタリング法により形成することを特徴とする耐久
性の優れた光学体の製造方法。
基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜が形成され
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中の硼素のジ
ルコニウムに対する原子比xが0.10<x<2.3であり、
酸素のジルコニウムに対する原子比yが2<y≦5.5で
ある非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を反応
性スパッタリング法により形成することを特徴とする耐
久性の優れた光学体の製造方法。
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中の硼素のジ
ルコニウムに対する原子比xが0.10<x<2.3であり、
酸素のジルコニウムに対する原子比yが2<y≦5.5で
ある非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を反応
性スパッタリング法により形成することを特徴とする耐
久性の優れた光学体の製造方法。
基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜が形成され
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とSi(珪素)
とを含む酸化物(ZrSizOy)を主成分とし、膜中の珪素
のジルコニウムに対する原子比zが0.05≦z≦19であ
り、酸素のジルコニウムに対する原子比yが2.1<y<4
0である非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を
反応性スパッタリング法により形成することを特徴とす
る耐久性の優れた光学体の製造方法。
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とSi(珪素)
とを含む酸化物(ZrSizOy)を主成分とし、膜中の珪素
のジルコニウムに対する原子比zが0.05≦z≦19であ
り、酸素のジルコニウムに対する原子比yが2.1<y<4
0である非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を
反応性スパッタリング法により形成することを特徴とす
る耐久性の優れた光学体の製造方法。
基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜が形成され
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
とSi(珪素)とを含む酸化物(ZrBxSizOy)を主成分と
し、膜中の硼素のジルコニウムに対する原子比をx、珪
素のジルコニウムに対する原子比をz、酸素のジルコニ
ウムに対する原子比をyとしたとき、0.05≦x+z≦19
(ただし、x+z−3>0かつx−3z+1>0の組成を
除く)であり、2<y<40である非晶質酸化物膜を用
い、前記非晶質酸化物膜を反応性スパッタリング法によ
り形成することを特徴とする耐久性の優れた光学体の製
造方法。
た光学体の製造方法において、空気側の最外層である非
晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)とB(硼素)
とSi(珪素)とを含む酸化物(ZrBxSizOy)を主成分と
し、膜中の硼素のジルコニウムに対する原子比をx、珪
素のジルコニウムに対する原子比をz、酸素のジルコニ
ウムに対する原子比をyとしたとき、0.05≦x+z≦19
(ただし、x+z−3>0かつx−3z+1>0の組成を
除く)であり、2<y<40である非晶質酸化物膜を用
い、前記非晶質酸化物膜を反応性スパッタリング法によ
り形成することを特徴とする耐久性の優れた光学体の製
造方法。
第1図は、本発明に係わる光学体の一例の断面図を示
したものであり、1は透明または着色したガラスやプラ
スチックなどからなる基板、2は金属、窒化物、炭化
物、酸化物またはこれらの複合物などからなる第1層、
3は空気側の最外層となる非晶質酸化物膜、特に少なく
ともジルコニウムと硼素を含んだ酸化物からなる第2層
を示す。
したものであり、1は透明または着色したガラスやプラ
スチックなどからなる基板、2は金属、窒化物、炭化
物、酸化物またはこれらの複合物などからなる第1層、
3は空気側の最外層となる非晶質酸化物膜、特に少なく
ともジルコニウムと硼素を含んだ酸化物からなる第2層
を示す。
第2図は、本発明に係わる光学体の別の一例の断面図
を示したものであり、10は上記基板1と同様の各種基
板、11は透明誘電体膜からなる第1層、12は窒化物膜か
らなる第2層、13は空気側の最外層となる非晶質酸化物
膜、特に、少なくともジルコニウムと硼素を含んだ酸化
物からなる第3層を示す。
を示したものであり、10は上記基板1と同様の各種基
板、11は透明誘電体膜からなる第1層、12は窒化物膜か
らなる第2層、13は空気側の最外層となる非晶質酸化物
膜、特に、少なくともジルコニウムと硼素を含んだ酸化
物からなる第3層を示す。
本発明による光学体は上記したように少なくとも2層
構成よりなるが、場合によっては第1図の基板1と第1
層2、第1層2と第2層3、あるいは、第2図の基板10
と第1層11、第1層11と第2層12、または第2層12と第
3層13との間に1層、または複数の層を形成して付着力
向上や光学特性の調整の機能、またはその他各種能を持
たしてもよい。本発明による光学体における最も大きな
特徴は、空気側の最外層に非晶質酸化物膜を形成するこ
とであり、これによって耐摩耗性と化学的安定性に優れ
る。
構成よりなるが、場合によっては第1図の基板1と第1
層2、第1層2と第2層3、あるいは、第2図の基板10
と第1層11、第1層11と第2層12、または第2層12と第
3層13との間に1層、または複数の層を形成して付着力
向上や光学特性の調整の機能、またはその他各種能を持
たしてもよい。本発明による光学体における最も大きな
特徴は、空気側の最外層に非晶質酸化物膜を形成するこ
とであり、これによって耐摩耗性と化学的安定性に優れ
る。
第1図の第2層3または第2図の第3層13の非晶質酸
化物膜としては特に限定されるものではなく、X線的に
みて非晶質であればよい。具体的には、ジルコニウム
と、硼素または珪素のうち少なくとも1種とを含む複合
酸化物膜であり、該複合酸化物膜は耐擦傷性、耐摩耗性
に優れていると同時に、十分な化学的安定性を有してい
る。
化物膜としては特に限定されるものではなく、X線的に
みて非晶質であればよい。具体的には、ジルコニウム
と、硼素または珪素のうち少なくとも1種とを含む複合
酸化物膜であり、該複合酸化物膜は耐擦傷性、耐摩耗性
に優れていると同時に、十分な化学的安定性を有してい
る。
硼素や珪素の含有割合が増加するにつれ、この膜の屈
折率は2.15から1.8以下まで減少する(第3図(a)〜
(c)参照)。したがって光学的に必要な屈折率を基に
して硼素や珪素の含有量を選択すればよい。
折率は2.15から1.8以下まで減少する(第3図(a)〜
(c)参照)。したがって光学的に必要な屈折率を基に
して硼素や珪素の含有量を選択すればよい。
表1は、本発明による光学体の空気側最外層に最適な
各種非晶質酸化物膜の性質を示したものである。それぞ
れ表に挙げた組成のターゲットを用いて、反応性スパッ
タリングにより製膜したものである。結晶性は、薄膜X
線回折により観測した。また、耐擦傷性は、砂消しゴム
による擦り試験の結果で、○は傷がほとんどつかなかっ
たもの、×は容易に傷が生じたものである。
各種非晶質酸化物膜の性質を示したものである。それぞ
れ表に挙げた組成のターゲットを用いて、反応性スパッ
タリングにより製膜したものである。結晶性は、薄膜X
線回折により観測した。また、耐擦傷性は、砂消しゴム
による擦り試験の結果で、○は傷がほとんどつかなかっ
たもの、×は容易に傷が生じたものである。
耐摩耗性は、テーバー試験(摩耗輪CS-10F、加重500
g、1000回転)の結果、ヘイズ4%以内のものを○、ヘ
イズ4%超のものを×とした。耐酸性は0.1規定の硫酸
中に240時間浸漬した結果、TV(可視光透過率)、R
V(可視光反射率)の浸漬前に対する変化率が1%以内
のものを○、1〜4%のものを△、膜が溶解して消滅し
てしまったものを×とした。耐アルカリ性は0.1規定の
水酸化ナトリウム中に240時間浸漬した結果、TV,RVの
浸漬前に対する変化率が1%以内のものを○、膜が溶解
してしまったものを×とした。煮沸テストは、1気圧
下、100℃の水に2時間浸漬した後、TV,RVの浸漬前に
対する変化率が1%以内であるとき○、1%超のとき×
とした。
g、1000回転)の結果、ヘイズ4%以内のものを○、ヘ
イズ4%超のものを×とした。耐酸性は0.1規定の硫酸
中に240時間浸漬した結果、TV(可視光透過率)、R
V(可視光反射率)の浸漬前に対する変化率が1%以内
のものを○、1〜4%のものを△、膜が溶解して消滅し
てしまったものを×とした。耐アルカリ性は0.1規定の
水酸化ナトリウム中に240時間浸漬した結果、TV,RVの
浸漬前に対する変化率が1%以内のものを○、膜が溶解
してしまったものを×とした。煮沸テストは、1気圧
下、100℃の水に2時間浸漬した後、TV,RVの浸漬前に
対する変化率が1%以内であるとき○、1%超のとき×
とした。
ZrBxOy膜に関しては、表1から明らかなように、膜中
のBが少ないと結晶性の膜ができ、Bが多いと非晶質の
膜ができる傾向があることがわかる。そして、結晶性の
膜は耐擦傷性および耐摩耗性が劣るのに対して非晶質の
膜は優れていることがわかる。これは非晶質の膜は、表
面が平滑であるためであると考えられる。したがって、
ZrBxOy膜(膜中のZrに対するBの原子比xが0.10<x)
の膜は耐擦傷性、耐摩耗性に優れている。B2O3膜は吸湿
性で空気中の水分を吸収して溶けてしまうので、ZrBxOy
膜においてx≦3である。
のBが少ないと結晶性の膜ができ、Bが多いと非晶質の
膜ができる傾向があることがわかる。そして、結晶性の
膜は耐擦傷性および耐摩耗性が劣るのに対して非晶質の
膜は優れていることがわかる。これは非晶質の膜は、表
面が平滑であるためであると考えられる。したがって、
ZrBxOy膜(膜中のZrに対するBの原子比xが0.10<x)
の膜は耐擦傷性、耐摩耗性に優れている。B2O3膜は吸湿
性で空気中の水分を吸収して溶けてしまうので、ZrBxOy
膜においてx≦3である。
ZrBxOy膜中のZrに対するO(酸素)の原子比は特に限
定されないが、多すぎると膜構造が粗になりボソボソの
膜になってしまうこと、また、あまり少ないと膜が金属
的になり透過率が低下したり膜の耐擦傷性が低下する傾
向があることなどの理由によりZrO2とB2O3の複合系とな
る量程度であることが好ましい。即ち、複合酸化物をZr
O2+xBO1.5と表すと、BがZrに対して原子比でx含まれ
るときに、y=2+1.5xである。
定されないが、多すぎると膜構造が粗になりボソボソの
膜になってしまうこと、また、あまり少ないと膜が金属
的になり透過率が低下したり膜の耐擦傷性が低下する傾
向があることなどの理由によりZrO2とB2O3の複合系とな
る量程度であることが好ましい。即ち、複合酸化物をZr
O2+xBO1.5と表すと、BがZrに対して原子比でx含まれ
るときに、y=2+1.5xである。
また、表1より、ZrBxOy膜中のBの量が増えるにつ
れ、膜の屈折率が低下する傾向があることがわかる。膜
の組成と屈折率nとの関係を第3図(a)に示す。膜中
のBを増やすことにより、屈折率nは2.0程度から1.5程
度まで低下する。
れ、膜の屈折率が低下する傾向があることがわかる。膜
の組成と屈折率nとの関係を第3図(a)に示す。膜中
のBを増やすことにより、屈折率nは2.0程度から1.5程
度まで低下する。
したがって0.10<x≦3、2<y≦6.5のZrBxOy膜は
良好な耐擦傷性および耐摩耗性を有し、かつ、Bの量に
よって自由に屈折率を選択できる。
良好な耐擦傷性および耐摩耗性を有し、かつ、Bの量に
よって自由に屈折率を選択できる。
さらに、表1に示したように、膜中のBの含有量が増
えるにつれ、耐酸性、耐アルカリ性が劣化する傾向があ
る。x≧2.3で耐酸性が悪くなり、x>4で耐アルカリ
性の低下および煮沸テストで劣化を示すようになる。し
たがって、空気中で露出した状態で使用される用途に
は、ZrBxOy(x<2.3)の非晶質酸化物膜が好ましく、
また、ZrBxOy(x≧2.3)の膜はこの他の用途におい
て、低屈折率膜として利用できる。
えるにつれ、耐酸性、耐アルカリ性が劣化する傾向があ
る。x≧2.3で耐酸性が悪くなり、x>4で耐アルカリ
性の低下および煮沸テストで劣化を示すようになる。し
たがって、空気中で露出した状態で使用される用途に
は、ZrBxOy(x<2.3)の非晶質酸化物膜が好ましく、
また、ZrBxOy(x≧2.3)の膜はこの他の用途におい
て、低屈折率膜として利用できる。
以上のように、ZrO2膜に酸化硼素B2O3を加えたことに
より、膜が非晶質化し、表面が平滑化し、これが耐摩耗
性および耐擦傷性の向上に寄与していると考えられる。
また、Bの量で屈折率の調節が可能となり、さらに、Zr
O2膜と比べて、内部応力が小さいため、接する膜との密
着性の点で有利である。これは特に厚い膜を形成する場
合に有利である。
より、膜が非晶質化し、表面が平滑化し、これが耐摩耗
性および耐擦傷性の向上に寄与していると考えられる。
また、Bの量で屈折率の調節が可能となり、さらに、Zr
O2膜と比べて、内部応力が小さいため、接する膜との密
着性の点で有利である。これは特に厚い膜を形成する場
合に有利である。
次に、ZrSizOy膜に関しては、やはりアモルファスで
あり、耐擦傷性、耐摩耗性の高い膜が得られる。
あり、耐擦傷性、耐摩耗性の高い膜が得られる。
屈折率については、ZrO2(n=2.15)とSiO2(n=1.
46)の間でその組成割合によって上下する(第3図
(b)参照)。さらに詳しくは、ZrSizOy膜において、
0.05≦z(膜中のZrに対するSiの原子比)≦19である。
z<0.05であると、膜が非晶質化せず、十分な物理的耐
久性が得られない。また、z>19であると、耐アルカリ
性が悪くなる。また、y(ZrSizOy膜中のZrに対するO
の原子比)は、ZrBxOy膜について述べたのと同様の理由
により、SiがZrに対して原子比でz含まれるときに、y
=2+2zである。
46)の間でその組成割合によって上下する(第3図
(b)参照)。さらに詳しくは、ZrSizOy膜において、
0.05≦z(膜中のZrに対するSiの原子比)≦19である。
z<0.05であると、膜が非晶質化せず、十分な物理的耐
久性が得られない。また、z>19であると、耐アルカリ
性が悪くなる。また、y(ZrSizOy膜中のZrに対するO
の原子比)は、ZrBxOy膜について述べたのと同様の理由
により、SiがZrに対して原子比でz含まれるときに、y
=2+2zである。
したがって空気中で露出した状態で使用する用途に
は、0.05≦z≦19、2.1≦y<40のZrSizOy膜が用いられ
る。
は、0.05≦z≦19、2.1≦y<40のZrSizOy膜が用いられ
る。
また、ZrBxSizOy膜も本発明の目的に合った膜であ
る。かかる膜中のZrに対するBの原子比x、Siの原子比
z、Oの原子比yは、x+z≧0.05であれば膜が非晶質
化し、耐擦傷性および耐摩耗性の高い膜となる。
る。かかる膜中のZrに対するBの原子比x、Siの原子比
z、Oの原子比yは、x+z≧0.05であれば膜が非晶質
化し、耐擦傷性および耐摩耗性の高い膜となる。
また、x+z≦19であれば耐アルカリ性も良好である
ので、ZrBxSizOy膜においては、0.05≦x+z≦19であ
る。ただし、上述のように、B2O3は吸湿性で空気中の水
分を吸収して溶けてしまうため、ZrBxSizOy膜中にあま
り多く含有されない方がよい。具体的には、膜中におい
て、ZrO2<25モル%かつSiO2<25モル%で残りがB2O3と
なるほどにB2O3が含まれていると化学的耐久性が不十分
となる。
ので、ZrBxSizOy膜においては、0.05≦x+z≦19であ
る。ただし、上述のように、B2O3は吸湿性で空気中の水
分を吸収して溶けてしまうため、ZrBxSizOy膜中にあま
り多く含有されない方がよい。具体的には、膜中におい
て、ZrO2<25モル%かつSiO2<25モル%で残りがB2O3と
なるほどにB2O3が含まれていると化学的耐久性が不十分
となる。
即ち、ZrBxSizOy膜中のZr:B:Si(原子比)を1:x:zと
すると、1/(1+x+z)<0.25かつZ/(1+x+z)
<0.25、即ち、x+z−3>0かつx−3z+1>0の組
成は化学的耐久性が好ましくない。yは、ZrBxOyの場合
に述べたのと同様の理由によりこの膜をZrO2+B2O3+Si
O2の複合系と考えて、yは2+1.5x+2zである。2<y
<40である。BやSiの含有量が多い程ZrBxSizOy膜の屈
折率は低下する。ZrBSizOy膜の例を第3図(c)に示
す。
すると、1/(1+x+z)<0.25かつZ/(1+x+z)
<0.25、即ち、x+z−3>0かつx−3z+1>0の組
成は化学的耐久性が好ましくない。yは、ZrBxOyの場合
に述べたのと同様の理由によりこの膜をZrO2+B2O3+Si
O2の複合系と考えて、yは2+1.5x+2zである。2<y
<40である。BやSiの含有量が多い程ZrBxSizOy膜の屈
折率は低下する。ZrBSizOy膜の例を第3図(c)に示
す。
本発明による光学体の空気側最外層の非晶質酸化物膜
は、Zr,B,Si,O以外の元素を微量に含んでいてもよい。
は、Zr,B,Si,O以外の元素を微量に含んでいてもよい。
本発明による光学体の空気側最外層の非晶質酸化物膜
は透明である必要はなく、酸素欠損の状態の吸収性膜
や、一部窒素を含有していても同様に有効である。
は透明である必要はなく、酸素欠損の状態の吸収性膜
や、一部窒素を含有していても同様に有効である。
最外層である第2層3または第3層13の膜厚は特に限
定されるものではない。用途に応じて透過色や反射色を
考慮して決定すればよいが、あまり薄いと十分な耐久性
が得られないため、50Å以上好ましくは100Å以上、特
に200Å以上であることが望ましい。
定されるものではない。用途に応じて透過色や反射色を
考慮して決定すればよいが、あまり薄いと十分な耐久性
が得られないため、50Å以上好ましくは100Å以上、特
に200Å以上であることが望ましい。
第2層3または第3層13の膜形成法としては、反応性
スパッタリング法を用いる。熱線反射ガラスなど、自動
車や建築用などの大面積コーティングが必要な場合に、
均一性に優れる反応性スパッタリング法は好適である。
スパッタリング法を用いる。熱線反射ガラスなど、自動
車や建築用などの大面積コーティングが必要な場合に、
均一性に優れる反応性スパッタリング法は好適である。
第1層2の膜材料は特に限定されず、用途によって、
あるいは要求仕様によって金属、窒化物、炭化物、硼化
物、酸化物、珪化物あるいはこれらの複合物から選択さ
れる。
あるいは要求仕様によって金属、窒化物、炭化物、硼化
物、酸化物、珪化物あるいはこれらの複合物から選択さ
れる。
熱線反射ガラスの場合は第1層2としてTi,Cr,Zr,Hf,
Ta等の金属、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフ
ニウム、窒化クロム、窒化タンタルなどの窒化物、ある
いはこれら金属の酸化物、窒酸化物または錫をドープし
た酸化インジウム(ITO)等が主に選ばれる。
Ta等の金属、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフ
ニウム、窒化クロム、窒化タンタルなどの窒化物、ある
いはこれら金属の酸化物、窒酸化物または錫をドープし
た酸化インジウム(ITO)等が主に選ばれる。
第1層2の窒化物膜の膜厚は、希望する透過率にもよ
るが、1000Å以下、特に500Å以下が好ましい。1000Å
を超えると窒化物膜の吸収が大きくなりすぎ、また、内
部応力のため剥離が生じやすくなる。
るが、1000Å以下、特に500Å以下が好ましい。1000Å
を超えると窒化物膜の吸収が大きくなりすぎ、また、内
部応力のため剥離が生じやすくなる。
窒化物膜を用いる場合、ガラス界面との付着力を増す
ために基板と窒化物膜間にもう1層を形成し第2図のよ
うな3層構成とするのは有効である。かかる第1層11と
しては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウ
ム、酸化錫、酸化タンタル、酸化インジウムなどの酸化
物や、硫化亜鉛などからなる透明誘電体膜が好ましい。
ために基板と窒化物膜間にもう1層を形成し第2図のよ
うな3層構成とするのは有効である。かかる第1層11と
しては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウ
ム、酸化錫、酸化タンタル、酸化インジウムなどの酸化
物や、硫化亜鉛などからなる透明誘電体膜が好ましい。
第2層12の窒化物膜との付着力やスパッタリングでの
生産性を考えると、第2層の窒化物膜と同様な元素を含
む誘電体膜が好ましいが、特にこれだけに限定されるも
のではなく、第1層11/第2層12の組み合わせは酸化タ
ンタル/窒化チタン、酸化ジルコニウム/窒化チタン、
あるいは酸化錫/窒化ジルコニウムなど種々とりうる。
かかる第1層11の透明誘電体膜は、前述したような非晶
質膜と同様なものを用いてもよい。
生産性を考えると、第2層の窒化物膜と同様な元素を含
む誘電体膜が好ましいが、特にこれだけに限定されるも
のではなく、第1層11/第2層12の組み合わせは酸化タ
ンタル/窒化チタン、酸化ジルコニウム/窒化チタン、
あるいは酸化錫/窒化ジルコニウムなど種々とりうる。
かかる第1層11の透明誘電体膜は、前述したような非晶
質膜と同様なものを用いてもよい。
かかる誘電体膜11の膜厚は特に限定されないが、これ
らの誘電体は屈折率も大きく、適当な膜厚を選択すれ
ば、干渉効果も利用して反射率や色調の調節も可能であ
る。特に、干渉効果を利用して可視域での高透過、低反
射を目的とする熱線反射ガラスに用いる場合は、第1層
11と第3層13の膜厚は光学的膜厚で1000Å〜1800Åの範
囲で調節されるのが好ましい。
らの誘電体は屈折率も大きく、適当な膜厚を選択すれ
ば、干渉効果も利用して反射率や色調の調節も可能であ
る。特に、干渉効果を利用して可視域での高透過、低反
射を目的とする熱線反射ガラスに用いる場合は、第1層
11と第3層13の膜厚は光学的膜厚で1000Å〜1800Åの範
囲で調節されるのが好ましい。
第1層11と第3層13の屈折率は2.0〜2.5の範囲で選択
されるのが望ましいが、この範囲外でも、光学的膜厚が
適正な範囲内であればよい。また、第2層12の窒化物膜
の膜厚は、希望する透過率にもよるが、1000Å以下が好
ましく、50Å〜500Åの範囲が最適である。1000Åを超
えると窒化物膜の吸収が大きくなりすぎ、また、内部応
力のため剥離が生じやすくなる。
されるのが望ましいが、この範囲外でも、光学的膜厚が
適正な範囲内であればよい。また、第2層12の窒化物膜
の膜厚は、希望する透過率にもよるが、1000Å以下が好
ましく、50Å〜500Åの範囲が最適である。1000Åを超
えると窒化物膜の吸収が大きくなりすぎ、また、内部応
力のため剥離が生じやすくなる。
第1層2と第2層3の間、または、第2層12と第3層
13の層間付着力を向上させ、かつ第1層2または第2層
12の内部応力を低減させるために、第1層2または第2
層12として硼素や珪素を含む窒化物、特に硼窒化ジルコ
ニウムや珪窒化ジルコニウムを用いることは有効であ
る。
13の層間付着力を向上させ、かつ第1層2または第2層
12の内部応力を低減させるために、第1層2または第2
層12として硼素や珪素を含む窒化物、特に硼窒化ジルコ
ニウムや珪窒化ジルコニウムを用いることは有効であ
る。
第1層2として錫をドープした酸化インジウム(IT
O)を用いる場合、熱線反射性能を上げるためにはキャ
リア濃度と移動度が大きく、かつ4000Å以上の膜厚のIT
Oが望ましい。干渉による反射色を抑えるためには、ITO
を7000Å以上形成するのが好ましい。その上に保護層と
して第2層3を形成する。このような低抵抗で透過率が
高く、かつ耐久性のある光学薄膜は熱線反射ガラスとし
てばかりではなく、単板で電磁波シールド用の窓ガラ
ス、自動車のフロントガラスの電熱風防、リアガラスの
曇り止め、あるいは透明アンテナとしても使用できる。
更に、化学的耐久性を利用してエレクトロクロミック表
示素子のITO(給電電極)の保護コートとしても使え
る。
O)を用いる場合、熱線反射性能を上げるためにはキャ
リア濃度と移動度が大きく、かつ4000Å以上の膜厚のIT
Oが望ましい。干渉による反射色を抑えるためには、ITO
を7000Å以上形成するのが好ましい。その上に保護層と
して第2層3を形成する。このような低抵抗で透過率が
高く、かつ耐久性のある光学薄膜は熱線反射ガラスとし
てばかりではなく、単板で電磁波シールド用の窓ガラ
ス、自動車のフロントガラスの電熱風防、リアガラスの
曇り止め、あるいは透明アンテナとしても使用できる。
更に、化学的耐久性を利用してエレクトロクロミック表
示素子のITO(給電電極)の保護コートとしても使え
る。
低反射ガラスの場合は、空気側の最外層3より高屈折
率を有する膜を第1層2として形成するか、または3
層、あるいはそれ以上の多層膜構成をとる。3層膜の場
合、第1図の基板1と第1層2、または第1層2と第2
層3の間にもう一層形成して、屈折率と膜厚を調整する
ことにより、反射率を低減させる。第1層2と新たに挿
入する層は、特に限定されないが、硼素や珪素の含有量
の異なる低屈折率膜と高屈折率膜を用いることも可能で
ある。
率を有する膜を第1層2として形成するか、または3
層、あるいはそれ以上の多層膜構成をとる。3層膜の場
合、第1図の基板1と第1層2、または第1層2と第2
層3の間にもう一層形成して、屈折率と膜厚を調整する
ことにより、反射率を低減させる。第1層2と新たに挿
入する層は、特に限定されないが、硼素や珪素の含有量
の異なる低屈折率膜と高屈折率膜を用いることも可能で
ある。
低放射ガラスの場合は、基板/酸化物膜/Ag/非晶質酸
化物膜(特に、硼素とジルコニウムを含んだ酸化物膜)
の3層構成、または、基板/酸化膜/Ag/酸化物膜/Ag/非
晶質酸化物膜の5層構成にすると有効である。かかる酸
化物膜としては、特に限定されないが、ZnOが一例とし
て挙げられる。また、ジルコニウムと硼素を含む酸化物
膜を用いてもよい。
化物膜(特に、硼素とジルコニウムを含んだ酸化物膜)
の3層構成、または、基板/酸化膜/Ag/酸化物膜/Ag/非
晶質酸化物膜の5層構成にすると有効である。かかる酸
化物膜としては、特に限定されないが、ZnOが一例とし
て挙げられる。また、ジルコニウムと硼素を含む酸化物
膜を用いてもよい。
表面鏡に応用する場合は、基板上に、金属としてガラ
スとの接着力の良好なクロムなどを第1層2として形成
し、その上に第2層3として本発明の硼素や珪素とジル
コニウムを含んだ酸化物膜を形成すればよい。
スとの接着力の良好なクロムなどを第1層2として形成
し、その上に第2層3として本発明の硼素や珪素とジル
コニウムを含んだ酸化物膜を形成すればよい。
基板1または10は、通常ガラス、プラスチックなどが
用いられる。ミラーとして用いる場合は、これに限定さ
れず、平滑であれば金属、セラミックスなどの不透明基
板であってもよい。
用いられる。ミラーとして用いる場合は、これに限定さ
れず、平滑であれば金属、セラミックスなどの不透明基
板であってもよい。
その他の応用として、光学薄膜ではないが、サーマル
ヘッドや磁気ディスクなどのメモリーディスクの保護膜
として用いることもできる。
ヘッドや磁気ディスクなどのメモリーディスクの保護膜
として用いることもできる。
また、本発明においては、第1図および第2図に示し
たように基板の片面だけに光学薄膜を形成してもよく、
基板の両面に形成してもよい。
たように基板の片面だけに光学薄膜を形成してもよく、
基板の両面に形成してもよい。
[作用] 本発明による光学体の空気側の最外層である非晶質酸
化物膜、即ち、第1図第2層3または第2図第3層13
は、ガラス構成元素である硼素や珪素を含むことで非晶
質化されており、表面の平滑さが増すため摩擦抵抗が低
減し、これによって高い耐久性を有しているので、本発
明による光学体において、耐摩耗性や耐薬品性を向上さ
せるための保護層の役割を持つ。更にその屈折率、膜厚
などの調整により、光学的な機能、即ち、透過率、反射
率、色調などの調整機能を有する。
化物膜、即ち、第1図第2層3または第2図第3層13
は、ガラス構成元素である硼素や珪素を含むことで非晶
質化されており、表面の平滑さが増すため摩擦抵抗が低
減し、これによって高い耐久性を有しているので、本発
明による光学体において、耐摩耗性や耐薬品性を向上さ
せるための保護層の役割を持つ。更にその屈折率、膜厚
などの調整により、光学的な機能、即ち、透過率、反射
率、色調などの調整機能を有する。
Zrの酸化物にBおよび/またはSiを添加すると、Bお
よび/またはSiが、かかる酸化物の格子を破壊し、かか
る酸化物の結晶粒の成長を妨げ、膜をより非晶質にする
と考えられる。
よび/またはSiが、かかる酸化物の格子を破壊し、かか
る酸化物の結晶粒の成長を妨げ、膜をより非晶質にする
と考えられる。
膜表面の凹凸は微結晶の集合である膜よりも非晶質の
膜の方が少ないと考えられ、その結果、本発明における
非晶質膜は摩擦係数を低減されているものと考えられ
る。このため、本発明における非晶質膜は非常に潤滑性
に優れ、引っかかりが少ないため、摩擦により疵つきに
くく、高耐擦傷性能および高耐摩耗性能が得られるもの
と考えられる。
膜の方が少ないと考えられ、その結果、本発明における
非晶質膜は摩擦係数を低減されているものと考えられ
る。このため、本発明における非晶質膜は非常に潤滑性
に優れ、引っかかりが少ないため、摩擦により疵つきに
くく、高耐擦傷性能および高耐摩耗性能が得られるもの
と考えられる。
ジルコニウムと硼素および/または珪素を含む酸化物
膜における硼素や珪素は、酸、アルカリなどに強い化学
的安定性を有する酸化ジルコニウムに硼素を添加するこ
とにより膜が非晶質化し、耐摩耗性と化学的安定性の両
方を満足するきわめて優れた耐久性を有する膜の実現に
寄与している。
膜における硼素や珪素は、酸、アルカリなどに強い化学
的安定性を有する酸化ジルコニウムに硼素を添加するこ
とにより膜が非晶質化し、耐摩耗性と化学的安定性の両
方を満足するきわめて優れた耐久性を有する膜の実現に
寄与している。
また、硼素や珪素は、膜の屈折率調節にも寄与する。
即ち、硼素や珪素の含有割合を増やすことにより屈折率
を下げることができる。
即ち、硼素や珪素の含有割合を増やすことにより屈折率
を下げることができる。
本発明による光学体において最外層以外の層は主に光
学的な面での作用を有し、透過や反射性能などを担って
いる。
学的な面での作用を有し、透過や反射性能などを担って
いる。
また、熱線反射性能を有する光学体において、窒化物
膜は熱線反射機能を受け持つものである。また、干渉効
果を利用して可視域での高透過、低反射を目的とした熱
線反射ガラスにおいては、第2図の第2層12は熱線反射
機能を担い、第1層11および第3層13は、窒化物膜の可
視域での反射を防止する機能を有する。
膜は熱線反射機能を受け持つものである。また、干渉効
果を利用して可視域での高透過、低反射を目的とした熱
線反射ガラスにおいては、第2図の第2層12は熱線反射
機能を担い、第1層11および第3層13は、窒化物膜の可
視域での反射を防止する機能を有する。
[実施例] (実施例1) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセットし
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと窒素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとした後、チタンを反応
性スパッタリングして窒化チタン(第1層)を約200Å
形成した。次にアルゴンと酸素の混合ガスに切り替え圧
力を2×10-3Torrにして、ジルコニウム/硼素ターゲッ
ト(原子比70/30)を反応性スパッタリングしてジルコ
ニウムと硼素からなる非晶質酸化物膜ZrBxOy(第2層)
を約500Å形成した。
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと窒素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとした後、チタンを反応
性スパッタリングして窒化チタン(第1層)を約200Å
形成した。次にアルゴンと酸素の混合ガスに切り替え圧
力を2×10-3Torrにして、ジルコニウム/硼素ターゲッ
ト(原子比70/30)を反応性スパッタリングしてジルコ
ニウムと硼素からなる非晶質酸化物膜ZrBxOy(第2層)
を約500Å形成した。
こうして得られた熱線反射ガラスの可視光透過率TVは
53%、太陽光線透過率TEは42%、コート面可視光反射率
RVFは6%、ガラス面可視光反射率RVGは28%、であっ
た。膜の耐久性を調べるために1規定の塩酸、水酸化ナ
トリウム中に6時間、または沸騰水中に2時間浸漬した
が、いずれも透過率、反射率の変化は1%以内であっ
た。
53%、太陽光線透過率TEは42%、コート面可視光反射率
RVFは6%、ガラス面可視光反射率RVGは28%、であっ
た。膜の耐久性を調べるために1規定の塩酸、水酸化ナ
トリウム中に6時間、または沸騰水中に2時間浸漬した
が、いずれも透過率、反射率の変化は1%以内であっ
た。
砂消しゴムによる擦り試験でも、傷はほとんどつかず
きわめて優れた耐摩耗性を示した。
きわめて優れた耐摩耗性を示した。
(実施例2) 実施例1と同様にガラス基板上に窒化チタン(第1
層)を約200Å形成した後、アルゴンと酸素の混合ガス
に切り替え圧力を2×10-3Torrにした。次にジルコニウ
ム/硼素ターゲット(原子比33/67)を反応性スパッタ
リングしてジルコニウムと硼素からなる非晶質酸化物膜
ZrBxOy(第2層)を約500Å形成した。
層)を約200Å形成した後、アルゴンと酸素の混合ガス
に切り替え圧力を2×10-3Torrにした。次にジルコニウ
ム/硼素ターゲット(原子比33/67)を反応性スパッタ
リングしてジルコニウムと硼素からなる非晶質酸化物膜
ZrBxOy(第2層)を約500Å形成した。
得られた熱線反射ガラスの光学性能は、TVが55%、TE
が42%、RVFが3%、RVGが20%、であった。また、実施
例1と同様な耐久性試験を行ったが、同様に優れた性能
を示した。
が42%、RVFが3%、RVGが20%、であった。また、実施
例1と同様な耐久性試験を行ったが、同様に優れた性能
を示した。
(実施例3) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセットし
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとし、基板を350℃程度
に加熱をしながらITOターゲットをスパッタリングしてI
TO(第1層)を約1μm形成した。次にアルゴンと酸素
の混合ガスの割合を変えたジルコニウム/硼素ターゲッ
ト(原子比33/67)を反応性スパッタリングして非晶質
酸化物膜ZrBxOy(第2層)を約760Å形成した。
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとし、基板を350℃程度
に加熱をしながらITOターゲットをスパッタリングしてI
TO(第1層)を約1μm形成した。次にアルゴンと酸素
の混合ガスの割合を変えたジルコニウム/硼素ターゲッ
ト(原子比33/67)を反応性スパッタリングして非晶質
酸化物膜ZrBxOy(第2層)を約760Å形成した。
このようにして得られた熱線反射ガラスの耐久性を、
実施例1と同様に評価したところ優れた耐久性を示し
た。
実施例1と同様に評価したところ優れた耐久性を示し
た。
(実施例4) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセットし
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとした後、タンタルを反
応性スパッタリングして酸化タンタル(第1層)を約62
0Å形成した。続けてジルコニウム/硼素ターゲット
(原子比33/67)を同じく反応性スパッタリングして非
晶質酸化物膜ZrBxOy(第2層)を約760Å形成した。一
旦、真空をリークし基板を裏返して、再び同様な二層膜
を裏面にも形成した。
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとした後、タンタルを反
応性スパッタリングして酸化タンタル(第1層)を約62
0Å形成した。続けてジルコニウム/硼素ターゲット
(原子比33/67)を同じく反応性スパッタリングして非
晶質酸化物膜ZrBxOy(第2層)を約760Å形成した。一
旦、真空をリークし基板を裏返して、再び同様な二層膜
を裏面にも形成した。
このようにして得られた低反射ガラスの反射率は約1.
5%であった。また耐久性も実施例1と同様にきわめて
優れていた。
5%であった。また耐久性も実施例1と同様にきわめて
優れていた。
(実施例5) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセット
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、硼素30原
子%を含むジルコニウムターゲットを高周波マグネトロ
ンパッタリングして非晶質酸化物膜ZrBxOy(x=0.43、
y=2.64)(第1層)を約600Å形成した。次に、アル
ゴンと窒素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrに
してチタンターゲットを高周波マグネトロンスパッタリ
ングして窒化チタン(第2層)を約120Å形成した。そ
の後、再び第1層と同じ条件でZrBxOy膜(第3層)を約
600Å形成した。
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、硼素30原
子%を含むジルコニウムターゲットを高周波マグネトロ
ンパッタリングして非晶質酸化物膜ZrBxOy(x=0.43、
y=2.64)(第1層)を約600Å形成した。次に、アル
ゴンと窒素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrに
してチタンターゲットを高周波マグネトロンスパッタリ
ングして窒化チタン(第2層)を約120Å形成した。そ
の後、再び第1層と同じ条件でZrBxOy膜(第3層)を約
600Å形成した。
こうして得られた試料の可視光透過率TVは約80%、太
陽光透過率TEは約60%、であった。また、実施例1と同
様の耐久性試験を行ったが、実施例1と同様に優れた性
能を示した。
陽光透過率TEは約60%、であった。また、実施例1と同
様の耐久性試験を行ったが、実施例1と同様に優れた性
能を示した。
(実施例6) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセットし
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとし、基板を350℃程度
に加熱をしながらITOターゲットをスパッタリングしてI
TO(第1層)を約2820Å形成した。次にアルゴンと酸素
の混合ガスの割合を変えたジルコニウム/珪素ターゲッ
ト(原子比20/80)を反応性スパッタリングして非晶質
酸化物膜ZrSizOy(第2層)を約100Å形成した。かかる
ガラスの光学特性は、TVが86%、TEが71%、RVが11%、
REが15%、であった。
1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合ガス
を導入して圧力を2×10-3Torrとし、基板を350℃程度
に加熱をしながらITOターゲットをスパッタリングしてI
TO(第1層)を約2820Å形成した。次にアルゴンと酸素
の混合ガスの割合を変えたジルコニウム/珪素ターゲッ
ト(原子比20/80)を反応性スパッタリングして非晶質
酸化物膜ZrSizOy(第2層)を約100Å形成した。かかる
ガラスの光学特性は、TVが86%、TEが71%、RVが11%、
REが15%、であった。
このようにして得られた熱線反射ガラスの耐久性を、
実施例1と同様に評価したところ優れた耐久性を示し
た。
実施例1と同様に評価したところ優れた耐久性を示し
た。
(実施例7) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセット
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/硼素ターゲット(原子比50/50)を反応性スパッ
タリングして非晶質酸化物膜ZrBxOy(x=1、y=3.
5)(第1層)を約540Å形成した。次に、アルゴンと窒
素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrにしてチタ
ンターゲットを反応性スパッタリングして窒化チタン
(第2層)を約140Å形成した。その後、再び第1層と
同じ条件でZrBxOy膜(第3層)を約530Å形成した。
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/硼素ターゲット(原子比50/50)を反応性スパッ
タリングして非晶質酸化物膜ZrBxOy(x=1、y=3.
5)(第1層)を約540Å形成した。次に、アルゴンと窒
素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrにしてチタ
ンターゲットを反応性スパッタリングして窒化チタン
(第2層)を約140Å形成した。その後、再び第1層と
同じ条件でZrBxOy膜(第3層)を約530Å形成した。
こうして得られた試料の可視光透過率TVは約69.2%、
太陽光透過率TEは約54.2%、膜面可視光反射率RVFは約
9.9%、膜面太陽光透過率REFは約14.8%、ガラス面膜面
可視光反射率RVGは約8.4%、膜面太陽光透過率REGは約
7.9%、であった。膜の耐久性を調べるために0.1規定の
塩酸、水酸化ナトリウム各水溶液中に室温で240時間、
または沸騰水中に2時間浸漬したが、光学性能に変化は
認められなかった。砂消しゴムによる擦り試験でも、き
わめて優れた耐擦傷性を示した。このことから実施例5
より厳しい耐久性試験によっても優れた性能を示すこと
がわかった。
太陽光透過率TEは約54.2%、膜面可視光反射率RVFは約
9.9%、膜面太陽光透過率REFは約14.8%、ガラス面膜面
可視光反射率RVGは約8.4%、膜面太陽光透過率REGは約
7.9%、であった。膜の耐久性を調べるために0.1規定の
塩酸、水酸化ナトリウム各水溶液中に室温で240時間、
または沸騰水中に2時間浸漬したが、光学性能に変化は
認められなかった。砂消しゴムによる擦り試験でも、き
わめて優れた耐擦傷性を示した。このことから実施例5
より厳しい耐久性試験によっても優れた性能を示すこと
がわかった。
(実施例8) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセット
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/珪素ターゲット(原子比33/67)を反応性スパッ
タリングして非晶質酸化物膜ZrSizOy(z=2、y=
6)(第1層)を約450Å形成した。次に、アルゴンと
窒素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrにしてチ
タンターゲットを反応性スパッタリングして窒化チタン
(第2層)を約65Å形成した。その後、再び第1層と同
じ条件でZrSizOy膜(第3層)を約360Å形成した。
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/珪素ターゲット(原子比33/67)を反応性スパッ
タリングして非晶質酸化物膜ZrSizOy(z=2、y=
6)(第1層)を約450Å形成した。次に、アルゴンと
窒素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrにしてチ
タンターゲットを反応性スパッタリングして窒化チタン
(第2層)を約65Å形成した。その後、再び第1層と同
じ条件でZrSizOy膜(第3層)を約360Å形成した。
こうして得られた試料のTVは約71.0%、TEは約60.3
%、RVFは約10.8%、REFは約11.5%、RVGは約8.9%、R
EGは約6.7%、であった。また、実施例7と同様の耐久
性試験を行ったが、実施例7と同様にきわめて優れた性
能を示した。
%、RVFは約10.8%、REFは約11.5%、RVGは約8.9%、R
EGは約6.7%、であった。また、実施例7と同様の耐久
性試験を行ったが、実施例7と同様にきわめて優れた性
能を示した。
(実施例9) ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセット
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/硼素/珪素ターゲット(原子比5/5/90)を反応性
スパッタリングして非晶質酸化物膜ZrBxSizOy(x=
1、z=9、y=39.5)(第1層)を約1130Å形成し
た。次に、アルゴンと窒素の混合ガスに切り替え圧力を
2×10-3Torrにしてチタンターゲットを反応性スパッタ
リングして窒化チタン(第2層)を約80Å形成した。そ
の後、再び第1層と同じ条件でZrBxSizOy膜(第3層)
を約550Å形成した。
し、1×10-6Torrまで排気した。アルゴンと酸素の混合
ガスを導入して圧力を2×10-3Torrとした後、ジルコニ
ウム/硼素/珪素ターゲット(原子比5/5/90)を反応性
スパッタリングして非晶質酸化物膜ZrBxSizOy(x=
1、z=9、y=39.5)(第1層)を約1130Å形成し
た。次に、アルゴンと窒素の混合ガスに切り替え圧力を
2×10-3Torrにしてチタンターゲットを反応性スパッタ
リングして窒化チタン(第2層)を約80Å形成した。そ
の後、再び第1層と同じ条件でZrBxSizOy膜(第3層)
を約550Å形成した。
こうして得られた試料のTVは約70.4%、TEは約58.3
%、RVFは約4.9%、REFは約8.0%、RVGは約8.2%、REG
は約6.8%、であった。実施例7と同様の耐久性試験を
行ったが、実施例7と同様にきわめて優れた性能を示し
た。
%、RVFは約4.9%、REFは約8.0%、RVGは約8.2%、REG
は約6.8%、であった。実施例7と同様の耐久性試験を
行ったが、実施例7と同様にきわめて優れた性能を示し
た。
(比較例1) 硼素を含まない酸化ジルコニウム膜(第1層)を約60
0Å形成した。次に、アルゴンと窒素の混合ガスに切り
替え圧力を2×10-3Torrにしてチタンターゲットを高周
波マグネトロンスパッタリングして窒化チタン(第2
層)を約120Å形成した。その後、再び第1層と同じ条
件で酸化ジルコニウム膜(第3層)を約600Å形成し
た。
0Å形成した。次に、アルゴンと窒素の混合ガスに切り
替え圧力を2×10-3Torrにしてチタンターゲットを高周
波マグネトロンスパッタリングして窒化チタン(第2
層)を約120Å形成した。その後、再び第1層と同じ条
件で酸化ジルコニウム膜(第3層)を約600Å形成し
た。
こうして得られた試料を砂消しゴム試験にかけたとこ
ろ、耐摩耗性は劣り多数の傷が生じた。
ろ、耐摩耗性は劣り多数の傷が生じた。
[発明の効果] 本発明は、基板からみて一番外側、即ち、空気側の最
外層に非晶質酸化物膜を用いることにより、実施例1〜
9に示すように、化学的安定性と耐摩耗性および耐擦傷
性に優れた光学体を得ることを可能にする。これにより
従来は使用できなかった苛酷な用途にも使用可能な光学
体を提供できる。
外層に非晶質酸化物膜を用いることにより、実施例1〜
9に示すように、化学的安定性と耐摩耗性および耐擦傷
性に優れた光学体を得ることを可能にする。これにより
従来は使用できなかった苛酷な用途にも使用可能な光学
体を提供できる。
本発明により得られる光学体は、例えば、建築用や車
輛等の熱線反射ガラス、バーコードリーダーの読取部の
保護板等や、反射防止膜、眼鏡用レンズ等として用いら
れる。
輛等の熱線反射ガラス、バーコードリーダーの読取部の
保護板等や、反射防止膜、眼鏡用レンズ等として用いら
れる。
本発明におけるZrBxOy(0.10<x<2.3、2<y≦5.
5)膜、ZrSizOy(0.05≦z≦19、2.1≦y<40)膜、ZrB
xSizOy(0.05≦x+z≦19(ただしx+z−3>0かつ
x−3z+1>0の組成は除く)、2<y<40、ただしx
+x−3>0かつx−3z+1>0の部分は除く)膜は、
耐擦傷性、耐摩耗性のみならず非常に優れた化学的耐久
性も有しているので、使用環境の厳しい用途、例えば、
単板で使用される建築用や車輛用等の熱線反射ガラスな
どにおいて、その最外層として用いることができる。
5)膜、ZrSizOy(0.05≦z≦19、2.1≦y<40)膜、ZrB
xSizOy(0.05≦x+z≦19(ただしx+z−3>0かつ
x−3z+1>0の組成は除く)、2<y<40、ただしx
+x−3>0かつx−3z+1>0の部分は除く)膜は、
耐擦傷性、耐摩耗性のみならず非常に優れた化学的耐久
性も有しているので、使用環境の厳しい用途、例えば、
単板で使用される建築用や車輛用等の熱線反射ガラスな
どにおいて、その最外層として用いることができる。
また、非晶質酸化物膜として硼素や珪素を含んでお
り、硼素や珪素の含有割合を変えることにより、かかる
酸化物膜の屈折率を調節することができ、光学的な膜設
計の自由度が拡大するという効果も奏する。
り、硼素や珪素の含有割合を変えることにより、かかる
酸化物膜の屈折率を調節することができ、光学的な膜設
計の自由度が拡大するという効果も奏する。
第1図は、本発明に係わる光学体の一例の一部断面図を
示したものであり、第2図は本発明に係わる熱線反射性
能を有する光学体の一例の一部断面図を示す。 第3図(a)はZrBxOy膜中のBの含有量と膜の屈折率n
との関係を示した図である。第3図(b)はZrSizOy膜
中のSiの含有量とnとの関係を、第3図(c)はZrBSiz
Oy膜中のSiの含有量とnとの関係を示した図である。 1、10:基板 2:金属、窒化物、炭化物、硼化物、酸化膜、珪化膜、あ
るいはこれらの複合物からなる膜(第1層) 3:非晶質酸化物膜(第2層) 11:透明誘電体膜(第1層) 12:窒化膜(第2層) 13:非晶質酸化物膜(第3層)
示したものであり、第2図は本発明に係わる熱線反射性
能を有する光学体の一例の一部断面図を示す。 第3図(a)はZrBxOy膜中のBの含有量と膜の屈折率n
との関係を示した図である。第3図(b)はZrSizOy膜
中のSiの含有量とnとの関係を、第3図(c)はZrBSiz
Oy膜中のSiの含有量とnとの関係を示した図である。 1、10:基板 2:金属、窒化物、炭化物、硼化物、酸化膜、珪化膜、あ
るいはこれらの複合物からなる膜(第1層) 3:非晶質酸化物膜(第2層) 11:透明誘電体膜(第1層) 12:窒化膜(第2層) 13:非晶質酸化物膜(第3層)
Claims (4)
- 【請求項1】基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜
が形成された光学体の製造方法において、空気側の最外
層である非晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)と
B(硼素)を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中
の硼素のジルコニウムに対する原子比xが0.10<x≦3
であり、酸素のジルコニウムに対する原子比yが2<y
≦6.5である非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化物
膜を反応性スパッタリング法により形成することを特徴
とする耐久性の優れた光学体の製造方法。 - 【請求項2】基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜
が形成された光学体の製造方法において、空気側の最外
層である非晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)と
B(硼素)を含む酸化物(ZrBxOy)を主成分とし、膜中
の硼素のジルコニウムに対する原子比xが0.10<x<2.
3であり、酸素のジルコニウムに対する原子比yが2<
y≦5.5である非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸化
物膜を反応性スパッタリング法により形成することを特
徴とする耐久性の優れた光学体の製造方法。 - 【請求項3】基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜
が形成された光学体の製造方法において、空気側の最外
層である非晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)と
Si(珪素)とを含む酸化物(ZrSizOy)を主成分とし、
膜中の珪素のジルコニウムに対する原子比zが0.05≦z
≦19であり、酸素のジルコニウムに対する原子比yが2.
1<y<40である非晶質酸化物膜を用い、前記非晶質酸
化物膜を反応性スパッタリング法により形成することを
特徴とする耐久性の優れた光学体の製造方法。 - 【請求項4】基板上に少なくとも2層からなる光学薄膜
が形成された光学体の製造方法において、空気側の最外
層である非晶質酸化物膜として、Zr(ジルコニウム)と
B(硼素)とSi(珪素)とを含む酸化物(ZrBxSizOy)
を主成分とし、膜中の硼素のジルコニウムに対する原子
比をx、珪素のジルコニウムに対する原子比をz、酸素
のジルコニウムに対する原子比をyとしたとき、0.05≦
x+z≦19(ただし、x+z−3>0かつx−3z+1>
0の組成を除く)であり、2<y<40である非晶質酸化
物膜を用い、前記非晶質酸化物膜を反応性スパッタリン
グ法により形成することを特徴とする耐久性の優れた光
学体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1224488A JP2687614B2 (ja) | 1989-03-07 | 1989-09-01 | 耐久性の優れた光学体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1-53009 | 1989-03-07 | ||
JP5300989 | 1989-03-07 | ||
JP1224488A JP2687614B2 (ja) | 1989-03-07 | 1989-09-01 | 耐久性の優れた光学体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03223703A JPH03223703A (ja) | 1991-10-02 |
JP2687614B2 true JP2687614B2 (ja) | 1997-12-08 |
Family
ID=26393695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1224488A Expired - Fee Related JP2687614B2 (ja) | 1989-03-07 | 1989-09-01 | 耐久性の優れた光学体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2687614B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018181444A1 (ja) * | 2017-03-30 | 2018-10-04 | 日東電工株式会社 | 遮熱断熱基板 |
WO2018181424A1 (ja) * | 2017-03-30 | 2018-10-04 | 日東電工株式会社 | 遮熱断熱基板 |
JP7145629B2 (ja) * | 2017-03-30 | 2022-10-03 | 日東電工株式会社 | 遮熱断熱基板 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57124301A (en) * | 1981-01-27 | 1982-08-03 | Asahi Glass Co Ltd | Highly durable multilayered film containing silicon oxide film |
JPS63141902U (ja) * | 1987-03-09 | 1988-09-19 |
-
1989
- 1989-09-01 JP JP1224488A patent/JP2687614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03223703A (ja) | 1991-10-02 |
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Legal Events
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