JP2686529B2 - 座部の傾斜角度が自由自在の椅子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 これまで椅子は座部が前後をに大きく傾くものがなか
った。また座部の基本線からみてどの方向に於ても座部
が自由自在に傾斜する椅子は無かつた。 即ち、これまでの椅子は座部が使用者の姿勢に応じて
大きく前傾するものがなく、とくに使用者の意志に合っ
た方位に傾斜するものでなかつたから好みの姿勢で腰掛
けをした場合、尻部の一部が座部から離れ、不安定な腰
掛けは状態になつていたが、このような状態が特に長時
間続くと後で腰痛がでたりするなど健康面において問題
があつた。 この発明は座部が使用者の姿勢に応じて大きく前傾す
る椅子を提供することを目的とする。さらに本発明は、
座部の傾斜がいずれの方向に於ても可能である座部の傾
斜方向が自由自在の椅子を提供することを目的とする。 即ちこの発明は伸長、圧縮および曲げの弾性変形が可
能な複数個のゴム体（４）からなる傾斜手段を、座部
（１）の下面と脚部（９）上端の座部の支持部（３）と
の間に介在させると共に、前記複数個のゴム体（４）を
座部を中心を前後左右から囲むように、かつ、使用者が
前傾姿勢で座った場合にその前傾の程度に応じて重心が
前側のゴム体（４）より後方および前方に位置するよう
に、座部（１）の中心部に寄せて配列し、中心部から前
方へ延びる支持部（３）の前端を前側のゴム体（４）を
支持する位置に留め、さらに前記ゴム体（４）の上面を
座部（１）側に固着し、下面を支持部（３）側に固着し
た、座部の傾斜方向が自由自在の椅子に係る。 このような構成により、使用者が前傾して座部の前方
に重心がかけた場合、その重心が前側のゴム体より後ろ
側にあるときは前後のゴム体が両方とも圧縮され、座部
がいくらか前傾する。そして使用者がさらに前傾し、重
心が前側のゴム体よりも前側に位置する場合は、前側の
ゴム体が圧縮され、後側のゴム体が伸長される。そのた
め座部の傾斜角度が大きい。そして座部が一定の角度だ
け傾くと、それぞれ上下面が固着されている前後のゴム
体の圧縮変形限度および伸長変形限度により、それ以上
は傾かない。それにより使用者の前傾姿勢の程度に応じ
て座部が小さくまたは大きく前傾する椅子が得られる。 またゴム体を中心まわりに同一半径の処に等間隔で設
けた場合は、座部はどの方向にも自由自在に設けること
ができる。 以下にこの発明の実施例を図面に従つて説明する。 第１図は本発明の第１実施例の正面図、第２図は傾斜
手段の要部拡大横断面図、第３図は第２実施例の側面
図、第４図は傾斜手段の要部拡大横断面図、第５図はゴ
ム体の装着状態における縦断面図、第６図は第１図の座
部の傾斜状態を示す腰部拡大側面図である。 傾斜手段（２）はいわゆる防振ゴムであつて、円柱形
のゴム体（４）と、このゴム体（４）の上面と下面に固
着しているこの径より大径の座鈑（５）と、前記各座鈑
（５）を貫通しゴム体（４）の上方と下方に別々に挿入
固着している螺子棒（６）と各螺子棒（６）に螺合して
いるナツト（７）とから成る。 ゴム体（４）は座部（１）の下面に固定している座鈑
（８）と脚部（９）を固定している支持部（３）との間
に介在されると共に前記螺子棒（６）のうち一方は座鈑
（８）を貫通してナツト（７）と止着し、他方は支持部
（３）を貫通してナツト（７）と止着する。 ゴム体（４）は同径大のものを第２図に示す（第１実
施例）如く座部の中心から同一半径の処に等間隔で適当
数取りつけられているもの、又、第４図に示す（第２実
施例）如く、大形大のものを左右間隔より上下間隔を短
かくしてとりつけられているものがある。 以上の実施例の構成に於ける共通の作用効果を以下に
述べる。 配設されているゴム体（４）の伸長及び圧縮について
は第６図に示す第１実施例をもつて説明すると仮に座部
（１）の前側に荷重がかかるような腰の掛け方をした場
合、ゴム体（４）は前側が圧縮し、後側が伸長するが、
配設されているゴム体（４）のうち最も前側に位置する
ゴム体（4a）が最も圧縮し、又、最も後側に位置するゴ
ム体（4b）が最も伸長することになる。傾斜角度の最大
の許容はゴム体（4a）あるいは（4b）の圧縮量あるいは
伸長量が最大限となつた状態が限度で、これ以上傾斜す
ることはなく、この限度内であれば荷重のかけ方で任意
の傾斜角度を得ることができるが、座部が回転すること
は防止されている。また傾斜角は前側に位置するゴム体
（4a）と後側に位置するゴム体（4b）の距離が長いほど
傾斜角度は小さくなる。又、先の荷重が解除すれば各ゴ
ム体（４）は原状に回復し、座部は水平に戻る。 次に各実施例の作用効果についても説明するが、先づ
第１実施例はゴム体（４）が座部の中心に等間隔で設け
られているので基本線からみてどの方位においても座部
（１）は同一の傾斜角度で傾斜することができる。従つ
て、左端から右端に至る距離の間での流れ作業において
は作業者の手が左あるいは右に延びるとき尻部が傾いて
も尻部は座部と一体に離れることはなく、又尻部を座部
に乗せておくことができるから、無理な姿勢でも始終安
定した、腰掛けを得ることができるし、又椅子の立居振
舞いがなく作業能率が極めて良い。 つまり腰をかけている者の意の向くまま座部の傾斜方
向並びに傾斜許容範囲内での任意角度を自由自在に得る
ことができる。 さらに椅子のほぼ全面に尻部をのせたままでも座部の
傾斜は得られるので長時間この姿勢をとるときには特に
安楽で無理がなく、又、背筋を延ばしたまま作業ができ
るので健康面においても特に良い。次に第２実施例につ
いては第４図に示す如くゴム体は上下間（第３図におい
ては前後間）の距離の方が左右間の距離よりも短かいの
で座部は前後方向の方がよく傾斜するようになつてい
る。また一定方向のみ得に傾斜角度を得る椅子としては
左右のゴム体の距離によつて左右の傾き規制が可能とな
る。従つて座部が前下りの方向においていろいろの傾斜
角度を必要とする、例えば机の天面角度が傾斜している
製図専用机での作業においては尻部と座部が始終一体で
安定した腰掛けを得ることが可能となる。又、背筋を延
ばしたまま作業ができるので健康面においても特に良
い。 尚、ゴム体が２個のときはゴム体の径が小さいと傾斜
角度が大きく、又、座部の安定性もなくなるので、ゴム
体の径を大きいのを選ぶか、又は傾斜角度を制御する手
段を付加しておく方が良い。 以上の通り、本発明は水平作用と360度の方向におけ
る傾斜作用あるいは水平作用と一定方向に規制された傾
斜作用の各各をゴム体の配設形態いかんで可能にしてい
る。又、この発明の傾斜作動は滑らかで腰をかけている
者の意に合うように自由自在に変換できる画期的な椅子
である。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の第１実施例の正面図、第２図は傾斜手
段の要部拡大横断面図、第３図は第２実施例の側面図、
第４図は傾斜手段の要部拡大横断面図、第５図はゴム体
の装着状態における縦断面図、第６図は第１図の座部の
傾斜状態を示す要部拡大側面図。 （１）……座部、（２）……傾斜手段、（３）……支持
部、（４）……ゴム体

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．それぞれ伸長、圧縮および曲げの弾性変形が可能な
   複数個のゴム体からなる傾斜手段を、座部の下面と脚部
   上端の支持部との間に介在させると共に、 前記複数個のゴム体を、座部の中心を前後左右から囲む
   ように、かつ、使用者が前傾姿勢で座った場合にその前
   傾の程度に応じて重心が前側のゴム体より後方および前
   方に位置するように、座部の中心部に寄せて配列し、 中心部から前方へ延びる支持部の前端を前側のゴム体を
   支持する位置に留め、 さらに前記ゴム体の上面を座部側に固着し、下面を支持
   部側に固着した、座部の傾斜角度が自由自体の椅子。 ２．上記複数個のゴム体のそれぞれの上面および下面に
   座鈑が固着されており、その座鈑に挿入固着された螺子
   棒とナットにより各ゴム体の上面を座部に、又、同下面
   を支持部に固定している特許請求の範囲第１項に記載の
   座部の傾斜角度が自由自在の椅子。 ３．上記複数個のゴム体の上面側の座鈑が１枚の大きい
   座鈑に固着されており、その大きい座鈑が座部の下面に
   固着されている特許請求の範囲第２項に記載の座部の傾
   斜角度が自由自在の椅子。 ４．上記ゴム体を同一半径の処に等間隔で適当数設けて
   いる特許請求の範囲第１項に記載の座部の傾斜角度が自
   由自在の椅子。 ５．上記ゴム体を左右対称および前後対称になるよう
   に、かつ左右の間隔が前後の間隔より大きくなるように
   配列している特許請求の範囲第１項に記載の座部の傾斜
   角度が自由自在の椅子。