JP2685796B2 - 水車の非常停止装置 - Google Patents

水車の非常停止装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は水車なかでもカプラン水車の非常停止装置に
係り、特に安全性などを考慮して制御電源を二重化した
水車の非常停止装置に関する。
(従来の技術) 一般に、カプラン水車の非常停止装置にあっては、調
速機の起動停止用電磁弁を閉動作させて起動停止弁シリ
ンダ内の油圧を排除して起動停止弁を閉じ、機械的に強
制的に調速機配圧弁を閉動作させて水口操作サーボモー
タを介してガイドベーンを閉じ、さらに水車及び発電機
の回転上昇を低く抑えるためランナーベーン制御装置の
ランナーベーン制御弁シリンダ内に油圧を送り、ランナ
ーベーン制御装置をガイドベーン開度とは連動しない云
わゆるオフカム状態に切換てランナーベーンを全開し、
これによって水中の撹拌抵抗を有用し水車を急速に停止
せしめるようにしている。
第3図はカプラン水車が正常に運転している状態を示
し、第4図は非常停止装置が働いた後の停止状態を示し
ている。ここで、第一の電磁弁1には非常停止用電源が
接続され、第二,第三の電磁弁2,3には一般の制御電源
が接続されている。
カプラン水車が運転状態(第3図)のときには、第
一,第二,第三の電磁弁1,2,3はいずれもソレノイドコ
イルaが励磁された状態にあり、調速機の起動停止弁プ
ランジャ5は圧油で押上げられてパイロットバルブ10は
自由に動くことが可能な状態にある。また、ランナーベ
ーン制御プランジャ19はスプリング20により押し下げら
れてパイロットバルブ24もまた自由に動くことが可能な
状態にある。さらに、安定運動状態にあるときには、調
速機コンバータ8と連結されたパイロットバルブ10及び
主配圧弁9は中立状態にある。従って、水口操作サーボ
モータ12及びガイドベーン14は一定の開度にて安定状態
にある。一方、ランナーベーン制御用カム25につながる
パイロットバルブ24及びランナベーン主配圧弁23は中立
状態にある。ランナーベーン制御用カム25によりランナ
ーベーン29はガイドベーン14の開度に対して最適な開度
で安定状態にあり、したがって、水車及び発電気は安定
して運転されている。
水車あるいは発電機に異常が生じ、非常停止信号が発
せられると、第二,第三の電磁弁2,3のソレノイドコイ
ルbが励磁され、スプール30はそれぞれ電磁力によって
図面の左方向に動く。すると、第二の電磁弁2のポート
P1とポートA2はしゃ断され、起動停止弁シリンダ4の圧
油は、ポートA2よりポートT2へ通じて排出される。この
結果、起動停止弁プランジャー5はスプリング6によっ
て押し下げられ、レバー7によってパイロットバルブ10
を押し上げて圧油を閉状態に切換えるので、配圧弁9は
下方へ動いて水口サーボモータ12の閉シリンダへ圧油を
送る。それと同時に開シリンダを排油に導くので、水口
操作サーボモータ12は閉方向に動き、ガイドベーン14は
全閉してランナベーン29を通過する圧力水の流れを止め
水車を停止させる。
一方、第三の電磁弁3も上記電磁弁2と同様に切換る
ので、ポートP3からの圧油はポートB3に通じ、さらに配
圧器15のポートXに導かれてプランジャー16を押し下
げ、ポートZより出てランナーベーン制御弁シリンダ18
に入り、プランジャ19を押し上げてフローチングレバー
21の他端を押し下げ、パイロットバルブ24を開位置に切
換える。そして、ガイドベーン開度により決定されるラ
ンナベーン開度には無関係にランナーベーン29を全開ま
で開いて、ランナーベーン29によるランナー室の水の撹
拌抵抗により生じる制動力により急速に水車の回転速度
を減じて停止に至らしめる。
また、水車の停止指令が発せられても制御電源の喪出
により水車を停止出来ない場合でも、第一の電磁弁1に
より水車を停止させることができる。
以下、第4図により説明する。
水車の停止指令が発せられても第二,第三の電磁弁2,
3は電源喪出により停止動作せず、運転中の状態を保っ
ている。すなわち、電磁弁1のポートP1からの圧油はポ
ートA1を通り、電磁弁2のポートP2及びポートA2を通っ
て起動停止弁シリンダー4内に導入されたままである。
したがって、プランジャー5は押し上げられた開状態の
ままである。
一方電磁弁3のポートP3の圧油は、プラグされたポー
トA3でしゃ断されたままとなっており、しかも、ランナ
ーベーン制御シリンダ18は配圧器15のートZからポート
Xに通じており、電磁弁3のポートB3からポートT3へ排
出されているため、プランジャー19はスプリング20の力
で押し下げられている。したがって、ランナーベーン制
御カム25につながるカムロッド26、制御レバー27、フロ
ーチングレバー21およびパイロットバルブ24などはオン
カム状態となったままである。
しかし、非常用電源により駆動される第一の電磁弁1
のソレノイドコイルbが励磁されれば、ポートP1とポー
トB1とが通じると共に、ポートA1とポートT1とが通じ、
起動停止弁シリンダ4の圧油は第二の電磁弁2のポート
A2よりポートP2を通過し、さらには第一の電磁弁1のポ
ートA1よりポートT1を通って排出される。したがって、
プランジャー5はスプリング6によって押し下げられて
配圧弁9を閉動作させる。これによって、水口操作サー
ボモータ13が閉じガイドベーン14が全閉して水車は停止
される。
一方、電磁弁1のポートP1よりポートB1へ通じた圧油
はポートYへ入り、配圧器15のプランジャー16を押し上
げて、ポートZより出てランナベーン制御弁シリンダ18
に入る。したがって、プランジャ19を押し上げ前述した
第三の電磁弁3による停止動作と全く同様にランナベー
ン29を全開して制動力を発生させて急速に水車を停止に
至らしめる。
(発明が解決しようとする課題) ところで、上述した従来技術の構成では、ガイドベー
ン14を全閉することにより水車を停止させ、ランナベー
ン29を全開することにより急速に停止させている。これ
は非常停止用電源による非常停止時も同じである。
しかしながら、ガイドベーン14が全閉の状態でも隣接
するガイドーベーン14との間あるいは図示しない上下カ
バーとガイドベーンとの間隙などから漏水があれば水車
が停止しないことがある。特に、入口弁のないカプラン
水車の場合は、停止の際、ガイドベーン14からの漏水に
より水車が停止しないことも多い。
以上の様にガイドベーン漏水により非常停止用電源回
路で非常停止させても主機が停止しない場合には次のよ
うな問題が発生する。
すなわち、通常、図示しない水車発電機に設けられた
推力軸受は回転速度が定格速度に達すると、安定した楔
状の油膜を形成し、回転部重量を支え、摺動トルクを低
減するわけであるが、ガイドベーン漏水量は定格流量に
競べ極く小さくガイドベーン漏水による水車回転数は低
いので、水車及び発電機の各軸受メタルの油膜が形成さ
れずメタル損傷に至るという問題が生じる。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有す
る問題点を解消し、制御用電源喪失などの事故時に、非
常用電源にて確実に水車を停止させることができる水車
の非常停止装置を提供することにある。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明は、非常停止用電
源を制御電源とは別に設け、この制御電源の喪失時に前
記非常停止用電源によりガイドベーンを急閉鎖し、水車
を停止に至らしめるようにした水車の非常停止装置にお
いて、前記非常停止用電源によりガイドベーンを急閉鎖
すると同時に作動するタイマーを設け、このタイマーに
より作動し、しかも水車回転速度が減速したのち一定時
間経過後に前記非常停止用電源で作動するブレーキ操作
用の電磁弁を設け、この電磁弁の操作によりブレーキ操
作して水車または発電機の回転部に制動力を掛けるよう
にしたことを特徴とするものである。
(作 用) 本発明によれば、制御電源喪失で非常停止信号が発せ
られると、第一の電磁弁のソレノイドコイルが励磁さ
れ、起動停止プランジャ下部の圧油がポートより排出さ
れ、水口操作サーボモータが閉動作し、これにより、水
車の回転数が低下する。水車の回転数がブレーキ動作設
計回転数に低下するまでの間、タイマにより遅れを持た
せて第四の電磁弁を作動させると、圧油がブレーキシリ
ンダに導びかれ、水車または発電機の回転部にブレーキ
力が作用され、このブレーキ力にて水車が停止されるも
のである。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を第3図と同一部分に同一符
号を付して示した第1図を参照して説明する。なお、第
3図に示した従来のものと同様の構成部分は説明を省略
する。
本実施例によれば、も第四、第五の電磁弁31,32が設
けられ、これら電磁弁31,32はソレノイドコイルaを励
磁すればポートPとポートAとが通じ、またポートBと
ポートTとが通じ、他方のソレノイドコイルbを励磁す
ればポートPとポートBとが通じ、またポートTとポー
トAとが通じるよう構成されている。これら第四、第五
の電磁弁31,32のポートP4,P5には圧油が供給され、ポー
トT4,T5には図示しない排油管が接続され、ポートB4,B5
にはプラグされている。また、第四の電磁弁31のポート
A4は配圧器33のポートRに接続され、第五の電磁弁32の
ポートA5は配圧器33のポートNに接続されている。
さらに、第四の電磁弁31の電源には非常停止用電源が
接続され、第五の電磁弁32の電源には制御電源が接続さ
れている。
配圧器33は第4,第5の電磁弁31,32から送られてくる
圧油を配圧器34に送るものである。配圧器33のプランジ
ャ35はスプリング36により押し上げられ、この状態では
ポートNとポートQとが通じ、ポートRはプランジャ35
によりブロックされる。また、ポートRに圧油が導入さ
れれば、プランジャ35はスプリング36の力に抗して押し
下げられ、ポートRに導入された圧油はポートQに通じ
ると共に、ポートNはプランジャ35によりブロックされ
る。
一方、配圧器34は、電磁弁31,32からの油圧シーケン
スを進行させるか否かを確認するものであり、配圧器34
のポートMは、配圧器33のポートQに、配圧器34のポー
トKは図示しない排油管に、配圧器34のポートLはブレ
ーキシリンダ37のポートHに接続されている。
ここで、配圧器34のプランジャ38がスプリング39によ
り押し上げられると、ポートMはプランジャ38によりブ
ロックされ、ポートLはポートKに通じて排油される。
また、プランジャ38がガイドベーン14のレターンシャ
フト40に設けられたカム41の変位量によりスプリング39
に抗して押し下げられると、プランジャ38に断たれてい
たポートMがポートLに通じ、ブレーキシリンダ37のポ
ートHに圧油が導かれ、ブレーキピストン42はスプリン
グ43に抗して押し上げられ、発電機にブレーキ作用が与
えられる。なお、ポートKはプランジャ38によりブロッ
クされる。
次に、第2図により電気系の構成を説明する。
第一,第四の電磁弁1,31には非常停止用電源が接続さ
れ、他の電磁弁2,3,32には制御電源が接続されている。
そして、電源喪出などにより非常停止信号45が出力され
ると、第一の電磁弁1が動作すると共に、非常停止用電
源に接続されたタイマー46が動作し、このタイマー46に
より、第一の電磁弁1の動作より所定の時間を遅れて第
四の電磁弁31が動作するよう構成されている。
次に、電源喪失などの事故時における非常停止装置の
作用を説明する。
制御電源が喪出した場合、第一の電磁弁1により水車
を急速に停止に至らしめるのは従来のものと同じであ
る。
第一の電磁弁1の動作と同時に作動するタイマー46の
設定時間は、あらかじめ設計または試験結果により求め
ておく。この設定時間は水車の回転数がブレーキ動作可
能な回転数になるまでの時間である。このタイマー46の
設定時間の経過により第四の電磁弁31のソレノイドコイ
ルaは励磁され、ポートP4はポートA4に通じ、圧油はポ
ートP4からポートA4を経て配圧器33のポートRに導かれ
る。配圧器33に導かれた圧油はプランジャ35をスプリン
グ36の力に抗して押し下げる。すると、ポートRとポー
トQとが通じ、圧油はボートRからポートQを経て配圧
器34のポートMに導かれ、ポートNはプランジャ35によ
りブロックされる。
第一の電磁弁1により既にガイドベーン14は全閉状態
にあり、この全閉状態から、リンク,ワイヤロープ,オ
モリ,アーム(図示せず)及びレターンシャフト40など
に連結されたカム41を変位させて、プランジャ38を押し
下げると、配圧器のポートMとポートLとが通じ、圧油
はポートMからポートLを経てブレーキシリンダ37のポ
ートHに導かれる。ブレーキピストン42はスプリング43
に抗して押し上げられ、発電機内に設けられたブレーキ
リングとブレーキピストン42の上部に設けられたブレー
キシュとが当接し摩擦ブレーキが作用する。
このブレーキ効果は一般にガイドベーン漏水での水車
回転トルクに比較して、十分にブレーキ力が大きいた
め、経年変化によるガイドベーン漏水トルクが生じて
も、ブレーキ効果を十分に期待することができる。
また、第四の電磁弁31が仮に人間系などで誤動作され
た場合、水車が正常運転中でガイドベーン14が開いてい
る状態から、リンク,ワイヤロープ,オモリ,アーム
(図示しない)及びレターンシャフトなどに機械的に接
続されたカム41を回転させると、このカム41はプランジ
ャ38を下げる変位量はないので、プランジャ38はスプリ
ング39により押し上げられ、配圧器33のポートQに導か
れた圧油は配圧器34のポートMでブロックされ、ブレー
キシリンダ37へは導かれない。
しかして、水車運転中はブレーキシリンダ37へは配圧
器34によって圧油が導かれないので、水車運転中の過大
な回転トルク時にはブレーキ動作しないことになる。な
お、第五の電磁弁32が動作した時も同様である。以上、
配圧器34はブレーキのインターロックとして作用し、こ
れによりブレーキ装置の保護装置として作用している。
〔発明の効果〕
以上のように構成したので、本発明によれば、電源が
喪出したのち非常停止用電源で非常停止させる場合、第
一の電磁弁により水車の回転速度を急速に低下せしめ、
そののち第四の電磁弁により確実に停止させることがで
きる。その結果、水車及び発電機の低回転運転でのメタ
ルの油膜切れによるメタル損傷などを起こすことがな
い。すなわち、非常の際の停止時に、水車及び発電機を
ダメージなく確実に停止させることができる。また、第
4の電磁弁、タイマー及び配圧器を単に従来システムに
追加するだけの簡単な構成で信頼性の高い非常停止装置
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のカプラン水車の非常停止装置の一実施
例を示す系統断面図、第2図は本発明の制御系統を示す
ブロック図、第3図は従来のカプラン水車の非常停止装
置を示す系統断面図、第4図は従来のカプラン水車の非
常停止状態を示す系統断面図である。 1……第一電磁弁、2……第二電磁弁、3……第三電磁
弁、12……水口操作サーボモータ、13……ガイドリン
グ、14……ガイドベーン、15……配圧器、28……ランナ
ベーンサーボモータ、29……ランナベーン、31……第四
電磁弁、32……第五電磁弁、33……配圧器、34……配圧
器、40……レターンシャフト、41……カム、42……ブレ
ーキピストン、46……タイマー。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御電源によって作動され、ガイドベーン
    を全閉する第二の電磁弁と、上記制御電源によって作動
    され、ランナーベーンを全開する第三の電磁弁と、制御
    電源喪失時にその制御電源とは別に設けられた非常停止
    用電源により作動され、ガイドベーンを全閉し、ランナ
    ーベーンを全開する第一の電磁弁と、その第一の電磁弁
    と同時に作動されるタイマーを介し、上記第一の電磁弁
    の作動後一定時間経過後に上記非常停止用電源で作動さ
    れ、水車または発電機を制動する第四の電磁弁を有する
    ことを特徴とする、水車の非常停止装置。
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