JP2683309B2 - 電磁誘導加熱調理器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電磁誘導加熱調理器に関
するもので、より詳しくは、加熱コイルをプリント基板
に形成した電磁誘導加熱調理器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来の電磁誘導加熱調理器の要部
断面斜視図である。

【０００３】図４において、２１は被加熱物である金属
鍋、２２は金属鍋２１を載置するための載置プレート、
２３は金属鍋２１を誘導加熱するための高周波交番磁束
を発生させる加熱コイル、２４は加熱コイル２３を保持
するコイル取付板であり、上記加熱コイル２３によって
発生された高周波交番磁束が金属鍋２１の底面を透磁す
る際に発生する渦電流のジュール熱損により、金属鍋２
１が加熱される。

【０００４】従来の加熱コイル２３は、銅線などの導体
上に絶縁層を設けた素線を撚り合わせて集合させたリッ
ツ線を用いて、平坦なコイル状に巻かれており、さらに
その加熱コイル２３をコイル取付板２４にワニス等の接
着剤で固定していた。

【０００５】さらに、載置プレート２２は、電磁誘導加
熱調理器の天面に配設され、加熱コイル部は、電磁誘導
加熱調理器の内部に設置されており、両者の間には空間
があった。

【０００６】図５は電磁誘導加熱調理器に使用される高
周波インバータの回路図である。

【０００７】図５において、１５は一般に広く用いられ
ている一石共振方式の高周波インバータ回路であり、１
８は制御回路、１７は入力回路である。加熱出力は上記
入力回路１７からの使用者の設定に応じ、上記制御回路
１８により高周波インバータ回路１５を制御して行われ
る。従来の電磁誘導加熱調理器においては、高周波イン
バータ回路１５及び制御回路１８は、各々別のプリント
基板として作られ、加熱コイル１３の下方に配設され、
加熱コイル１３とは、ネジ、コネクタ等で接続されてい
た。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】。

【０００９】しかし、従来の加熱コイルは、人がリッツ
線を平坦なコイル状に手巻きし、さらにコイル取付板に
接着して製作しており、製造工程数が多く、また手巻き
しているため加熱コイルのインダクタンス値のバラツキ
が大きく、歩留りも悪く、生産性も低いという問題があ
った。

【００１０】そして、コイル巻作業を自動化した場合で
も、加熱コイルに使用しているリッツ線自体が撚り構造
をしているため、コイル巻工程でのわずかなリッツ線へ
のテンションの掛け方によりリッツ線が潰れてコイル外
径が微妙に変化し、加熱コイルのインダクタンス値が変
わるという問題点もあった。

【００１１】また、従来の電磁誘導加熱調理器では、加
熱コイルに高周波電流を流す高周波インバータ回路やこ
の高周波インバータ回路の出力制御等を行う制御回路
は、独立したプリント基板で構成され、加熱コイルの下
方に設置されていたため、電磁誘導加熱調理器の厚みが
大きくなっていた。さらに、加熱コイルからの引出し線
を高周波インバータ回路基板にネジ等で接続し、この高
周波インバータ回路基板と制御回路基板とをコネクタ等
で接続していた。しかし、接続個所が多く、しばしば接
続不良が発生するという問題があった。

【００１２】さらに、不要輻射を防止するためのシール
ド用リングを設けなければならないという問題もあっ
た。

【００１３】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであって、加熱コイルをプリント基板に
渦巻状等のパターンで形成すると共に、この加熱コイル
の外周に高周波インバータ回路と制御回路の両方／又は
そのいずれか一方の回路パターンを形成し、インダクタ
ンス値のバラツキが小さく、生産性が良くコンパクトな
電磁誘導加熱調理器を提供することを目的とする。

【００１４】また、プリント基板の加熱コイルのパター
ンの外周にシールド用パターンを設け、シールド用リン
グを無くすことを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
この発明は、高周波交番磁束により金属鍋に渦電流を発
生させて加熱する加熱コイルと、この加熱コイルに高周
波電流を流す高周波インバータ回路と、この高周波イン
バータ回路の出力制御等を行う制御回路とを備えた電磁
誘導加熱調理器において、上記加熱コイルをプリント基
板に渦巻状等のパターンで形成すると共に、この加熱コ
イルの外周に上記高周波インバータ回路と制御回路の両
方／又はそのいずれか一方の回路パターンを形成したこ
とを特徴とする。

【００１６】また、上記加熱コイルのパターンの外周
に、不要な電磁波の輻射を遮蔽するためのシールド用パ
ターンを設けたことを特徴とする。

【００１７】

【作用】上記構成において、プリント基板にパターンで
加熱コイルを作製することにより、製造工程が簡略化で
き、インダクタンス値のバラツキも小さくなる。

【００１８】さらに、加熱コイルのパターンを作製する
際、除去していた加熱コイルのパターンの外周に、これ
まで別のプリント基板に作製していた高周波インバータ
回路や制御回路のパターンを同時に作製すれば、製造工
程をさらに簡略化でき、電磁誘導加熱調理器本体も小
型、薄型化できる。

【００１９】また、一枚のプリント基板に作製すること
で、接続点がパターンで形成されるため信頼性が向上す
ると共に、配線が短くなるため、ノイズに対して強くな
り誤動作がなくなる。

【００２０】また、シールド用パターンを加熱コイルの
外周に一体に設けているため、電磁波の輻射を効果的に
遮蔽でき、シールド用リングを無くすことができる。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

【００２２】図１は本発明の電磁誘導加熱調理器の一実
施例である加熱コイルを形成したプリント基板の平面図
である。

【００２３】図１において、１はプリント基板、３は加
熱コイルのパターン、５は高周波インバータ回路のパタ
ーン、６は制御回路のパターンである。これらのパター
ン３，５及び６は、通常のプリント基板と同様の方法即
ち、プリント基板の銅表面にパターンとして必要な部分
は、エツチング液で溶解されないように樹脂液を印刷、
写真製版等の方法で塗布し、その後、不要な部分はエツ
チング液で溶解して除去する。本実施例では、上記加熱
コイルのパターン３は渦巻状に形成されている。

【００２４】そして、加熱コイルの隣同士の導体間耐圧
は、加熱コイル両端にかかる電圧を加熱コイルのターン
数で割った値になり、通常は数十Ｖであるから導体間の
距離を０.５mm以上離していれば問題なく、特に導体表
面に絶縁物を設ける必要はない。このため、従来のリッ
ツ線のように素線に絶縁層を設ける必要がなく、載置プ
レート２２からの熱による温度上昇で、絶縁層が破壊す
る恐れもない。

【００２５】また、平板状の加熱コイルに高周波の電流
を流すため、導体表面にしか電流が流れない表皮効果の
問題がある。このため加熱コイルに用いるプリント基板
の銅板の厚みを、厚くしても導体抵抗は小さくならな
い。通常、加熱コイルに流す高周波電流は、２０kHz程
度であり、この周波数での表皮効果による表皮深さは、
約０.４７mmである。このため、銅板の厚みは、この表皮
深さの２倍が最適値であり約０.９４mmとする。加熱コ
イルの出力によっては、この厚みでは許容電流値が小さ
くて、出力が得られない場合もある。

【００２６】図２(ａ)は本発明の電磁誘導加熱調理器の
他の実施例である加熱コイルを両面に形成したプリント
基板の一方の面Ａの平面図、図２(ｂ)はＡ面の裏面Ｂの
平面図である。

【００２７】図２(ａ)及び(ｂ)において、プリント基板
１ａはフェノール樹脂等の絶縁板の両面Ａ，Ｂに銅の薄
板が設けられており、図２(ａ)に示したＡ面には、加熱
コイルのパターン３ａだけが形成され、図２(ｂ)に示し
たＢ面には、図１に示したような加熱コイルのパターン
３と、高周波インバータ回路のパターン５と制御回路の
パターン６が形成されている。

【００２８】従って、上記Ａ面のパターン３ａとＢ面の
パターン３を直列に接続すれば、加熱コイルのインダク
タンス値を増やすことができる。また、上記パターン３
ａと３を並列に接続すれば、加熱コイルに流す電流を増
やすことができる。

【００２９】図３(ａ)は本発明の電磁誘導加熱調理器に
係るシールド用パターンを併設したプリント基板の一実
施例を示す平面図、図３(ｂ)は同じくシールド用パター
ンを併設したプリント基板の他の実施例を示す平面図で
ある。

【００３０】図３(ａ)において、プリント基板１ｂの加
熱コイルのパターン３の外周には、このパターン３と同
心円状に円形のシールド用パターン２が設けられ、この
シールド用パターン２の外側には高周波インバータ回路
のパターン５ａと制御回路のパターン６ａが設けられて
いる。このような構成にすれば、加熱コイルのパターン
３から高周波インバータ回路のパターン５ａや制御回路
のパターン６ａとの距離を離すことができ、前記回路を
構成する電子部品に対する加熱コイルの熱の影響を低減
することができる。

【００３１】図３(ｂ)において、プリント基板１ｃの加
熱コイルのパターン３の外周には、高周波インバータ回
路のパターン５ｂと制御回路のパターン６ｂが設けら
れ、これらのパターン５ｂ，６ｂの外側に四角形のシー
ルド用パターン２ａが設けられている。

【００３２】従って、これらのシールド用パターン２，
２ａによって、不要な輻射波をシールドすることができ
るので、従来必要であったシールド用リングを無くすこ
とができる。

【００３３】

【発明の効果】本発明の電磁誘導加熱調理器は以上のよ
うに構成されたものであるので、プリント基板一体型加
熱コイルでは、加熱コイルを線材の巻き作業で製作する
のではなく、通常のプリント基板の製造方法で製作する
ため、加熱コイルのインダクタンス値のバラツキを抑え
ることができ、歩留まりを良くすることができ、品質並
びに性能の安定化が図れ、生産性を高めることができ、
大量生産が可能となって安価に製作できる。

【００３４】また、一枚のプリント基板に加熱コイルの
パターンと高周波インバータ回路及び制御回路のパター
ンを設けたので、接続点がパターンで形成されるため信
頼性を向上でき、ノイズに対して強くし、誤動作を無く
すことができる。

【００３５】また、プリント基板にシールド用パターン
を加熱コイルのパターンと一緒に設けたので、シールド
用リングを無くすことができ、製品の組み立て時間を短
縮でき、部品も減らすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電磁誘導加熱調理器の一実施例である
加熱コイルを形成したプリント基板の平板図である。

【図２】同図(ａ)は本発明の電磁誘導加熱調理器の他の
実施例である加熱コイルを両面に形成したプリント基板
の一方の面Ａの平板図、同図(ｂ)はＡ面の裏面Ｂの平面
図である。

【図３】同図(ａ)は本発明の電磁誘導加熱調理器に係る
シールド用パターンを併設したプリント基板の一実施例
を示す平面図、同図(ｂ)は同じくシールド用パターンを
併設したプリント基板の他の実施例を示す平面図であ
る。

【図４】従来の電磁誘導加熱調理器の要部断面斜視図で
ある。

【図５】電磁誘導加熱調理器に使用される高周波インバ
ータの回路図である。

【符号の説明】

２，２ａ：シールド用パターン ３，３ａ：加熱コイルのパターン ５，５ａ，５ｂ：高周波インバータ回路のパターン ６，６ａ，６ｂ：制御回路のパターン

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高周波交番磁束により金属鍋に渦電流を発
   生させて加熱する加熱コイルと、この加熱コイルに高周
   波電流を流す高周波インバータ回路と、この高周波イン
   バータ回路の出力制御等を行う制御回路とを備えた電磁
   誘導加熱調理器において、 上記加熱コイルをプリント基板に渦巻状等のパターンで
   形成すると共に、この加熱コイルの外周に上記高周波イ
   ンバータ回路と制御回路の両方／又はそのいずれか一方
   の回路パターンを形成したことを特徴とする電磁誘導加
   熱調理器。
2. 【請求項２】上記加熱コイルのパターンの外周に、不要
   な電磁波の輻射を遮蔽するためのシールド用パターンを
   設けたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の電
   磁誘導加熱調理器。