JP2681199B2 - 光磁気記録素子 - Google Patents

光磁気記録素子

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JP2681199B2 JP27407388A JP27407388A JP2681199B2 JP 2681199 B2 JP2681199 B2 JP 2681199B2 JP 27407388 A JP27407388 A JP 27407388A JP 27407388 A JP27407388 A JP 27407388A JP 2681199 B2 JP2681199 B2 JP 2681199B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光磁気記録素子に関し、より詳細には低バイ
アス磁界による磁界変調記録方式に適し、これによって
オーバーライト(重ね書き)を可能とした光磁気記録素
子に関するものである。
〔従来技術及びその問題点〕
近時、希土類金属元素と遷移金属元素から成る非晶質
金属合金を用いた光磁気記録が盛んに研究されており、
その記録方式は集束レーザー光を記録媒体に投光して局
部加熱し、これによってビットを書き込み、次に磁気光
学効果を利用して読み出しており、そして、記録ビット
を消去し、改めてビットを書き込むこともできる。
このような書き換えを光変調記録方式により行う場合
は記録と消去を別々に行わねばならず、これにより、光
磁気ディスクを少なくとも2回転させねばならず、その
ため、リアルタイムで書き換えることはできなかった。
この光変調記録方式に代わって磁界変調記録方式によ
って書き換えを行うことが提案されており、この方式に
よれば、オーバーライトが可能となるが、その反面、大
きなバイアス磁界を印加しながら高速でスイッチングで
きる磁気ヘッドを用いなければならず、そのため、この
磁気ヘッドは大きなドライブ電流並びに大きなリアクタ
ンスを有するという点で製作するのが難しい。
上記磁界変調記録方式によれば、小さな外部磁界で記
録できるような磁性材料が求められ、この要望に対し
て、近時、TbFeCo磁性合金が提案されている。この磁性
合金は室温下で希土類元素副格子磁化優勢であり、ま
た、キュリー温度と室温の間に補償温度があり、そし
て、約±200Oeにおける記録等が可能となることが報告
されている。
しかし乍ら、上記光磁気記録素子は比較的大きなバイ
アス磁界を必要としており、そのために磁界の強さが±
200Oe未満、特に±150Oe以下での記録が可能な素子の開
発が望まれている。
〔発明の目的〕
従って、本発明の目的は低バイアス磁界において記録
可能となった光磁気記録素子を提供することにある。
本発明の他の目的は低バイアス磁界による磁界変調記
録に有利に適用でき、これにより、オーバーライトを可
能とした光磁気記録素子を提供することにある。
本発明の更に他の目的は磁化Msと保磁力Hcの積が新規
で且つ一定の範囲内にある光磁気記録素子を提供するこ
とにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の光磁気記録素子は、基体上に誘電体層及び非
晶質垂直磁化膜を有し、垂直磁化膜が希土類金属成分と
して少なくともGd元素及び遷移金属成分としてFe元素を
含有し且つFe副格子磁化優勢であり、前記誘電体層が非
晶質窒化シリコンから成り、更にこの光磁気記録素子は
その垂直磁化膜の磁化Msが20emu/cc≦Ms≦70emu/ccに且
つ該磁化Msと保磁力Hcの積が100emu・kOe/cc≦Ms・Hc≦
500emu・kOe/ccの範囲内となるように設定されているこ
とを特徴とする。
本発明の光磁気記録素子は、(i)希土類金属成分と
して少なくともGd元素及び遷移金属成分としてFe元素を
含有し且つFe副格子磁化優勢な垂直磁化膜を用いるこ
と、(ii)誘電体層として非晶質窒化シリコンから成る
誘電体層を用いること、並びに(iii)垂直磁化膜の磁
化Ms及び磁化Msと保磁力Hcとの積が下記の式(1)及び
(2)の両方を満足する範囲にあることの組合せに特徴
を有するものである。尚、本願発明においては、磁気的
組成、磁化Ms及び保磁力Hcは20℃における値でもって規
定する。
20emu/cc≦Ms≦70emu/cc ・・(1) 100emu・KOe/cc≦Ms・Hc≦500emu・KOe/cc ・・(2) 希土類金属と遷移金属とを含有する合金磁性膜では、
両者の比率に応じて磁化Msがゼロの位置(補償組成)が
あり、該位置の一方の側に遷移金属副格子磁化優勢域
が、他方の側に希土類金属副格子磁化優勢域がある。
本発明において遷移金属成分としてFe元素を選ぶの
は、例えばCo元素を用いたものに比して高温におけるヒ
ステリシスループの角形性に優れているためである。ま
た、希土類金属成分として少なくともGd元素を用いるの
は、合金のキュリー点を実用的範囲(160℃以上)にも
たらすためである。
また、上記合成組成はFe副格子磁化優勢範囲となるこ
とも重要であり、これにより、小さなバイアス磁界での
記録が可能となる。この理由は、補償組成から組成が偏
よるにつれて磁化Msは大きくなり、保磁力は小さくなる
傾向があるが、希土類金属副格子優勢側では、補償組成
近傍において記録されるビットが小さく且つ不安定なた
め、補償組成よりもかなり離れた組成を用いる必要があ
り、これに伴って大きなバイアス磁界を用いる必要があ
るのに対して、遷移金属(Fe)副格子優勢側では補償組
成近傍でもビットが大きく安定しており、小さなバイア
ス磁界でも記録が可能となることによると思われる。
次に、本発明において誘電体層として非晶質窒化シリ
コンを用いるのは、このものが比較的大きな屈折率を有
していてカー回転角のエンハンスメントが大きく、酸素
や水に対するバリヤー性が大きく、しかも、その上に形
成される垂直磁化膜の保磁力Hcを減少せしめて、Ms×Hc
の値を前記式(2)の小さい範囲に抑制しやすいことに
よる。
本発明の素子は、前記式(1)で規定される磁化Msと
前記式(2)で規定される磁化(Ms)と保磁力(Hc)と
の積を有することも重要である。
磁界変調記録方式によってオーバーライトを行うに当
たっては、既に記録されたビットの磁化方向に対して反
対方向に磁化反転させるように磁界を印加する場合と、
その磁化方向と同じ方向に磁界を印加する場合とがあ
る。以下、前者の場合に印加される磁界を記録反転磁界
と呼び、後者の場合に印加される磁界を記録保持磁界と
呼ぶ。
そして、記録反転磁界を印加した場合にはその印加磁
界方向と同じ方向に漏洩磁界とビット内の反磁界が加わ
る。従って、記録反転磁界を小さくするためには、その
漏洩磁界と反磁界を大きくせねばならず、このような要
求に対しては磁性体層の磁化Msを大きくしなければなら
ない。
一方、記録保持磁界を印加した場合には、その印加磁
界方向と反対方向に漏洩磁界とビット内の反磁界が加わ
り、従って、記録保持磁界を小さくするためには、その
漏洩磁界と反磁界を小さくせねばならず、このような要
求に対しては磁性体層の磁化Msを小さくしなければなら
ない。
このように記録反転を行う場合と記録保持を行う場合
とでは磁化Msについて相反する所要特性となる。
本発明者等は、磁性体層(垂直磁化膜)の保磁力Hcは
下地層(誘電体層)の種類や表面状態(形状や圧縮応
力)によって大きな影響を受け(この影響は成長誘導異
方性乃至歪誘導異方性として知られている)、このこと
を利用して上記磁化Msを所定の範囲内に設定し、しか
も、磁化Msと保磁力Hcの積を所定値以下に設定した場
合、両者の印加磁界を小さくして所要通りにビットを保
持したり或いはビット反転させることができることを見
い出した。
即ち、本発明者等は磁性体層の磁化Msと保磁力Hcの積
を小さくした場合、記録保持磁界が印加され且つ集束レ
ーザー光が照射された場所では反転磁区が微小な芽とし
て発生しようとするが、冷却過程においてその反転磁区
が安定に存在し得るようなビット径よりも小さい場合に
は消滅し、その結果、記録保持磁界を印加する方向に磁
化の向きが安定に存在することを見い出し、更に本発明
者等は磁化Msを所定の範囲内に設定した場合、記録反転
磁化の閾値が小さくなり、しかも、ジッター量で表わさ
れる信号品質が向上することも見い出した。尚、上記ビ
ット径については、一般に安定に存在する最小ビット径
dσw/(2Ms・Hc)∝1/(Ms・Hc)・・・(σwは磁
壁エネルギーであり、磁性体層の材料により一義的に決
められる物理量である)で規定される。
前記磁化は保磁力との積、即ち、Ms・Hcが100emu・KO
e/cc≦Ms・Hc≦500emu・KOe/cc、好適には150emu・KOe/
cc≦Ms・Hc≦400emu・KOe/ccの範囲内に設定するとよ
く、そのMs・Hcが100emu・KOe/cc未満の場合にはジッタ
ー量が悪く、C/Nも低下し、更に磁界の極性反転に伴う
磁化反転が生じなくなり、磁化ヘッドの設計が複雑とな
り、一方、500emu・KOe/ccを越える場合には記録保持磁
界の閾値が−100Oeを越える。
前記磁化Msは20emu/cc≦Ms≦70emu/cc、好適には30em
u/cc≦Ms≦55emu/ccの範囲内に設定するとよく、そのMs
が20emu/cc未満の場合には記録反転磁界の閾値が150Oe
以上となり、一方、Msが70emu/ccを越えた場合には記録
保持磁界の閾値が大きくなるとともに保持力Hcが小さく
なりすぎ、更にジッター量も悪化する。
尚、上記記録反転磁界や記録保持磁界の閾値は記録再
生装置のシステムノイズの大小並びに磁界強度の測定誤
差により、装置が異なれば、±30Oe程度ずれる場合があ
る。
磁性体層の保磁力Hcを小さくして前記式(1)のMsの
範囲内において、前記式(2)の範囲内とするには、こ
れに必ずしも限定されるものでないが、一例として窒化
シリコン誘電体層として5×109乃至10×109dyne/cm2
圧縮応力を有するものを用いるのがよい。また、他の例
として基板に対する入射角度が30乃至70度となるよう
に、基板に対して直角からずれた角度でSi3N4ターゲッ
トのスパッタリングを行うのもよい。
このような窒化シリコン誘電体層及び磁性体層から成
る光磁気記録素子の典型的層構成は第1図に示す通りで
ある。
第1図によれば、基板1の上に窒化シリコン誘電体層
2を介して磁性体層3を形成し、この磁性体層3の上に
保護層4を形成し、更に保護層4の上に樹脂被覆層5が
形成される。
上記磁性体層3は希土類金属元素と遷移金属元素の組
合せにより垂直磁化膜が形成される。希土類金属元素は
Gdを必須不可欠とし、それにTb,Dy,Nd,Sm,Hoなどの元素
を加えてもよく、そして、遷移金属元素はFeを主体とし
ており、これにより、高温域における角型性に優れ、誘
電体層2の影響を受け易くなる。このような磁性合金に
はGdDyFe,GdTbFe,GdTbDyFe,NdGdTbFe,NdGdDyFe,NdGdTbD
yFeなどがある。
これらの磁性体層の内でも、下記式 (GdyDy1-yxFe1-x 式中、yは0.30乃至0.95、特に0.40乃至0.80、xは0.17
乃至0.25、特に0.19乃至0.23 の組成のものが好ましい。この磁性体層3の厚みは300
乃至1000Åの範囲内に設定するとよく、これによって記
録反転磁界や記録保持磁界のそれぞれの閾値を最も小さ
くすることができる。
そして、これらの磁性体層は周知の薄膜形成手段によ
り形成され、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法、イオン注入法、メッキ法等々が
ある。尚、上記磁性体層は希土類金属とFe金属以外の元
素の含有を排除するものではなく、例えば上記薄膜形成
手段によって不可避的に酸素、炭素等の他種元素が混入
されることが許容される。
前記窒化シリコン誘電体層2は窒化シリコンをターゲ
ットとしたスパッタリング法により形成することがで
き、そのスパッタ用ガスとしてアルゴンガスが用いら
れ、そして、そのガス圧を調整して所要通りの圧縮応力
や形状をもつ窒化シリコン誘電体層を形成することがで
きる。
本発明者等は、このようにして窒化シリコン誘電体層
の圧縮応力と磁性体層の保磁力Hcの関係を見い出した
が、その知見に係る因果関係については十分なる明確な
解答を出しているわけではない。しかし乍ら、本発明者
等が繰り返し行った実験によれば、上記スパッタリング
法によって窒化シリコン誘電体層を形成する場合、磁性
体層の保磁力低下をねらうにはアルゴンガス圧を3mTorr
以下に設定するとよく、このときに誘電体層の圧縮応力
が変化することを確認した。そして、本発明者等はこれ
と同時にその層の表面状態が変化していると考える。こ
のことはスパッタ粒子の基板面に対する入射角並びにそ
の運動エネルギーが上記磁性体層の低保磁力化に影響を
及ぼしており、そのため、スパッタ粒子の入射角分布を
調節することによっても磁性体層の保磁力を変化させる
ことができると考える。
また、上記のようなスパッタリング法により窒化シリ
コン誘電体層を形成した場合、その層は非晶質化してい
ることを確認した。
更にまた、上記窒化シリコン誘電体層を形成するに当
たって、前記ターゲットに窒化シリコン以外の原子を含
有させ、成膜に伴ってその他種原子を膜中に添加しても
よい。この添加成分にはY,La,Ceなどの周期律表第III a
族元素、Ti,Zrなどの第IV a族元素、Cr,Moなどの第VI a
族元素、Sb,Biなどの第V b族元素、Si,Ge,Sn,Pbなどの
第IV b族元素、B,Alなどの第III b族元素、Zn,Cdなどの
第II b族元素のそれぞれの単体もしくは酸化物、窒化
物、硫化物、ケイ化物などがある。そして、上記他種原
子は誘電体層2の非晶質状態が実質上維持されてる範囲
内で添加される。
前記保護層4はTi,Cr,Zr,Ta,Alなどの耐食性金属、S
i,Al,Tiなど窒化物、Si,Cd,Tiなどの炭化物、Zn,Cdなど
の硫化物、Mgなどのフッ化物、Al,Ce,Zr,Si,Cd,Biなど
の酸化物を単独で又は組合せて形成される。
前記樹脂被覆層5はエポキシ系、ポリエステル系、ア
クリル系、アクリルウレタン系の樹脂により形成され
る。そして、この樹脂にシリカ、アルミナ、チタニアな
どのフィラーを入れ、その樹脂の硬度を上げることがで
き、また、固体もしくは液体の潤滑剤を入れて表面潤滑
性を向上させることができる。
前記基板1にはガラス板やプラスチック板が用いら
れ、このプラスチック基板用材料としてポリカーボネー
ト系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系の樹脂
がある。
〔実施例〕
次に本発明を実施例により説明する。
(例1) 基板ホルダーの中心に対して120゜の回転対称の位置
に各ターゲット(5インチφ)を配置できる基板回転式
高周波三源マグネトロンスパッタリング装置にSi3N4
ラミック焼結体(焼結助剤にAl2O3とY2O3を含む)から
成るターゲットを配置し、更にポリカーボネート製ディ
スク基板を120mm離れた位置に備え、5×10-7Torrに到
るまで十分に真空排除し、次いでArガス(純度99.999
%)を33sccmの流量で導入した。そして、基板ホルダー
の回転数を60rpmに設定し、基板に100wの電力を印加
し、ボンバード処理を行った。然る後、Arガス圧を3通
りに変え、印加電力1kWで5分間プレスパッタし、続け
て厚み750Åの窒化シリコン層をスパッタリング形成
し、これによって上記Arガス圧の相違によって圧縮応力
が異なる3種類の窒化シリコン層を形成した。次いでFe
ターゲットの上にGdチップとDyチップを配置し、スパッ
タリング法によって上記各窒化シリコン層の上に厚み40
0ÅのGdDyFe磁性体層(その組成は遷移金属副格子磁化
優勢の(Gd0.6Dy0.4xFe1-x・・・・0.17≦x≦0.25)
を形成し、続けて同装置内で保護層4(酸化チタンから
成り、チタン原子に対する酸素原子比率が0.05乃至0.90
の範囲内に設定されている)を650Åの厚みで形成し、
然る後、保護層4の上に紫外線硬化型樹脂層を3乃至6
μmの厚みで塗布し、第1図に示す構成の光磁気記録素
子を3種類製作した。
かくして得られた各素子におけるArガス圧と窒化シリ
コン層の圧縮応力の関係は第1表に示す通りである。上
記圧縮応力はポリカーボネート基板に変えてガラス製薄
板(厚み75μm)を用意し、その基板に上記と同じ条件
で窒化シリコン層を形成し、窒化シリコン層の厚みと薄
板のソリを測定することによって求めた。
第1表に示した各素子A,B,Cについて磁性体層の前記
X値を代えて種々の磁化Msを作成し、次いでそれぞれの
保磁力Hcを測定し、Ms・Hcを求めたところ、第2図に示
す通りの結果が得られた。尚、本実施例における試料測
定の位置は基板ホルダーの回転中心により半径55mmの部
位であり、この部位においては基板面に対して約30乃至
70゜の斜めスパッタ粒子により成膜される。
同図において、横軸は磁化Msであり、左側縦軸は保磁
力Hc、右側縦軸はMs×Hcを示しており、,,は各
素子の保磁力特性曲線であり、a,b,cはそれぞれのMs・H
c特性曲線を示している。
第2図より明らかな通り、磁性体層の組成比及び磁化
Msが同じであっても窒化シリコン層の圧縮応力が大きく
なるに伴って保磁力Hcが低下する傾向にあり、従って、
Ms・Hcも低下傾向にあることが判る。
(例2) 本例においては、上記光磁気記録素子A,B,C(但し、
基板として130mmφのポリカーボネート製基板を用いて
おり、磁性体層の磁化MsはMs〜45emu/ccに設定されてい
る)にバイアス磁界を印加し、その磁界強度を変化させ
て光変調記録方式によってC/Nを測定したところ、第3
図に示す通りの結果が得られた。尚、このC/Nは半径55m
m、回転数1200rpm、記録周波数2.7MHz、記録パワー5.5m
w、再生パワー1.5mWに設定して求めた。
第3図中、d,e,fはそれぞれ素子A,B,CのC/Nのバイア
ス磁界依存特性曲線であり、また、D,Eは素子A,Cのそれ
ぞれの記録保持磁界の閾値、F,Gは素子A,Cのそれぞれの
記録反転磁界の閾値を示す。
第3図より明らかな通り、圧縮応力の大きい素子Cは
素子Aに比べて記録保持磁界及び記録反転磁界のそれぞ
れの閾値が小さくなっていることが判る。そして、D,E
によって表わされるバイアス磁界依存性は前述した反転
磁区の芽の消失機構が存在しているであろうことが示唆
されている。
(例3) 次に(例2)に用いられた素子について窒化シリコン
層の圧縮応力と磁化Msを幾通りにも変え、これにより、
Ms・Hcが異なる種々の素子を製作し、各々の素子におけ
る記録保持磁界と記録反転磁界の閾値を測定し、更に各
素子のディスク板より小片を切り出し、その小片より試
料振動型磁力計(VSM)によって磁化Msと保磁力Hcを測
定した。そして、記録反転磁界の閾値が+100乃至+150
Oeになったディスクの記録保持磁界の閾値とMs・Hcの関
係をプロットしたところ、第4図に示すように●印のプ
ロットとなった。
また窒化シリコン層に変えてZnS層を形成し、その他
の製作条件を同一にして得られた光磁気記録素子につい
て、記録保持磁界の閾値とMs・Hcの関係をプロットした
ところ、○印のプロットとなった。
そして、第4図中、k,lはそれぞれ窒化シリコン層が
形成された素子、ZnS層が形成された素子の特性曲線で
ある。
第4図より明らかな通り、窒化シリコン層を用いた場
合、ZnS層を形成した素子に比べて記録保持磁界の閾値
が小さく、また、Ms・Hcが500emu・KOe/cc以下の場合、
記録保持磁界の閾値が100Oe以下となり、これにより、
磁界変調記録に適していることが判る。
また、Ms・Hcが100emu・KOe/cc以下の場合、記録保持
磁界が零から正へ変化しており、これは漏洩磁界を想定
しただけでは全く説明ができない現象であり、そのこと
は前述したビット消去のメカニズムが存在するであろう
ことが示唆される。
更にまた、上記窒化シリコン層の原子構造をX線回折
法により測定したところ、いずれの窒化シリコン層も結
晶性のピークが検出されず、ハローパターンが検出され
ているだけであり、非晶質化していることが判った。一
方、ZnS層も同様に測定したところ、一軸配向性を示す
ことが確認できた。
(例4) (例2)に示された素子Cより磁性体層を第2表に示
すような材料に代え、それ以外の層構造並びに製法及び
成膜条件は素子Cと全く同じにして製作した素子H,I,J
について、バイアス磁界を印加し、その磁界の強度変化
に対するC/Nを測定したところ、第5図に示す通りの結
果が得られた。尚、いずれの上記磁性体層も補償組成近
傍の遷移金属副格子磁化優勢の組成のものを作成した。
第5図より明らかな通り、素子Hは素子Cと同様に記
録保持磁界が小さいことが判る。
然るに素子Iと素子Jは記録保持磁界が−200Oe以上
と大きくなっており、その原因は窒化シリコン誘電体層
の圧縮応力が大きくなってもMs・Hcの絶対値が大きく、
しかも、磁化Msと保磁力Hcの温度依存性が異なるためで
あると考える。
(例5) 次に本発明者等は素子Cを用いて下記条件によりオー
バーライトを行ったところ、光変調記録時にC/Nが46dB
であるのに対して、変調磁界強さ±100Oeを用いた磁界
変調記録時においてはC/Nが45dBであり、前者と概ね同
様な値が得られた。
半径・・・55mm 回転数・・・1200rpm 記録周波数・・・0.6MHz 記録パワー・・・5.5mW 再生パワー・・・1.5mW 〔発明の効果〕 以上の通り、本発明の光磁気記録素子によれば、磁界
変調記録方式に適しており、これによってオーバーライ
トを行っても優れた特性が得られる高性能な素子と成り
得た。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明光磁気記録素子の層構成を示す断面図、
第2図は磁化Msと保磁力Hcの関係並びに磁化MsとMs×Hc
の関係を表わす線図、第3図及び第5図はバイアス磁界
とC/Nの関係を表わす線図、第4図はMs×Hcと記録保持
磁界の閾値の関係を表わす線図である。 1……基板 2……窒化シリコン誘電体層 3……磁性体層 4……保護層 5……樹脂被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 梅岡 信幸 (56)参考文献 特開 昭62−149057(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に誘電体層及び非晶質垂直磁化膜を
    有する光磁気記録素子において、前記垂直磁化膜が希土
    類金属成分として少なくともGd元素及び遷移金属成分と
    してFe元素を含有し且つFe副格子磁化優勢であり、前記
    誘電体層が非晶質窒化シリコンから成り、更に前記光磁
    気記録素子はその垂直磁化膜の磁化Msが20emu/cc≦Ms≦
    70emu/ccに且つ該磁化Msと保磁力Hcの積が100emu・kOe/
    cc≦Ms・Hc≦500emu・kOe/ccの範囲内となるように設定
    されていることを特徴とする光磁気記録素子。
  2. 【請求項2】前記垂直磁化膜の磁化Msが30emu/cc≦Ms≦
    55emu/ccの範囲内となるように設定されている請求項
    (1)記載の光磁気記録素子。
  3. 【請求項3】前記垂直磁化膜の磁化Msと保磁力Hcの積が
    150emu・kOe/cc≦Ms・Hc≦400emu・kOe/ccの範囲内とな
    るように設定されている請求項(1)記載の光磁気記録
    素子。
  4. 【請求項4】前記非晶質窒化シリコン誘電体層が5×10
    9乃至10×109dyne/cm2の圧縮応力を有するものである請
    求項(1)記載の光磁気記録素子。
  5. 【請求項5】前記垂直磁化膜がGdDyFe,GdTbFe,GdTbDyF
    e,NdGdTbFe,NdGdDyFe又はNdGdTbDyFeの合金である請求
    項(1)記載の光磁気記録素子。
  6. 【請求項6】前記垂直磁化膜が下記式 (GdyDy1-yxFe1-x 式中のyは0.30乃至0.95であり、xは0.17乃至0.25であ
    る で表わされる合金から成る請求項(1)記載の光磁気記
    録素子。
JP27407388A 1987-10-30 1988-10-28 光磁気記録素子 Expired - Fee Related JP2681199B2 (ja)

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