JP2680802B2 - 偏心重錘の起振力制御方法、および、同起振力制御装置 - Google Patents

偏心重錘の起振力制御方法、および、同起振力制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、杭打ち用のロータ
リ式起振機を回転駆動するとともに、起振機能を制御す
る方法、および同機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土木建設工事に用いられる振動装置は一
般に、偏心重錘を取り付けた複数対の回転軸を平行に配
設した構造である。このような構造によれば、反対方向
に回転する偏心重錘の遠心起振力を所望の方向について
は相加せしめるとともに、不要の方向については相殺せ
しめることができる。上述した起振機を用いて杭打作業
を行なう場合、振動公害の防止と騒音公害の防止とが重
要な問題となる。次に、第5図について振動公害に関す
る技術的問題を説明する。図5(A)は杭打ち作業にお
ける振動公害を説明するための模式図である。本図は、
クレーンブーム5で振動装置6を吊持するとともに、該
振動装置6のチャック6aで杭7の上端を把持し、この
杭7に振動を与えて地中に打設している状態を描いてあ
る。杭7の下端を地表に接せしめて杭打作業を開始する
際、最初から振動装置6をフル稼働させると、杭打ち地
点の地表で発生する地表波aが殆ど減衰せずに付近の民
家8に到達するので振動公害の問題を生じる。ここで、
振動装置6の起振力を任意に調節できるならば、杭7の
自重に加えて僅かな振動を与えながら杭打ち作業を開始
し、数メートル打ち込んでから次第に振動を強くすれば
良い。杭7の下端に相当する震源位置が深くなれば、地
中波bは民家8に到達する途中で減衰するので振動公害
は軽微である。
【0003】図5(B)は振動装置の運転開始時および
運転停止時における振動数の変化を示す図表で、横軸は
時間である。運転開始時点t0から、定格運転状態に到
達する時点t1までの間、振動数は矢印cの如く急激に
上昇する。上記の振動数上昇中に、地盤の固有振動数n
1、およびクレーンブームの固有振動数n2を通過する。
しかし、運転開始時における回転数上昇時間T1は一般
に短時間(例えば約3秒間)であるから、振動装置の振
動数が固有振動数に一致したときの共振の問題は通常、
著しく深刻ではない。しかし、振動装置6のモータ(図
示せず)の通電を停止した時点t2から回転軸を停止す
る時点t3までの間は、回転軸が慣性で回転を続けなが
ら矢印dの如く次第に減速する。上記の回転数低下時間
2は比較的長時間(例えば約50秒間)であるから、
その途中でクレーンブームの固有振動数n2を通過する
際、該クレーンブームが共振して損傷を被る虞れが有
る。また、地盤の固有振動数n1を通過する際、地盤の
共振により振動公害を生じる虞れが有る。前記の時刻t
2でモータの通電を停止するとともに、振動装置の回転
重錘の回転位相を変化させて起振力を零にすることがで
きれば、振動装置の運転停止操作の際の共振に関する問
題を防止することができる。
【0004】次に、振動装置に供給されるエネルギー量
について見ると、前記の時刻t0からt1まで振動装置6
の回転数が上昇する間、該振動装置の偏心重錘(図示せ
ず)によって振動を発生させつつ増速すると、これを駆
動するために大容量のモータや大容量の電源設備が必要
になる。この場合、振動装置の偏心重錘の回転位相を変
化させて起振力を零にした状態で運転を開始し、定格回
転数に達した後に起振力を発揮させるこことが出来れ
ば、モータ容量や電源容量を縮小できるので経済的であ
る。定格回転数に達した後は、回転部材にそれ以上回転
エネルギーを蓄積する必要が無く、振動数の減衰を補う
だけのエネルギーを補充することによって運転を継続で
きるからである。
【0005】以上の事情に鑑みて、起振機の起振力を増
減させる調節技術が開発され、公知になっている。次
に、起振機の起振力を増減調節する原理について述べ
る。図6は4軸4重錘式の起振機の作用を説明するため
の模式図であって、(A)は偏心重錘が下降している状
態を示し、(B)は約90度回転した状態を示し、
(C)はさらに約90度回転して重錘が上昇した状態を
表している。図6(A)に比して(B)においては、4
個の偏心重錘3A〜3Dの重心位置が寸法hだけ上昇し
ている。このため、該偏心重錘を持ち上げる力の反力に
よってケース1は押し下げられる。このようにして4個
の偏心重錘それぞれの重心位置は上昇するが、偏心重錘
3Aと同3Bを対照し、偏心重錘3Cと同3Bとを対照
して観察すると、(A)図の状態に比して(B)図の状
態においては、 ○偏心重錘3Aと同3Bとは離間してその距離がL2
拡大し、 ○偏心重錘3Cと同3Dとは接近し、その距離がL1
縮小しているが、 偏心重錘3Aと同3Bとの総合重心位置は左右方向に移
動しておらず、偏心重錘3Cと同3Dとの総合重心位置
も左右方向に移動していない。従って、左右方向には起
振力を生じない。起振装置は以上のように、複数の偏心
重錘を設けて、左右方向の起振力を相殺させながら上下
方向の起振力を取り出すように構成されているが、先に
述べたように振動公害の防止のために起振力を増減制御
するため、1対の偏心重錘について上下方向起振力を一
部ないし全部相殺させることもできる。図7は2個の偏
心重錘の組合せによって起振力を変化させる公知技術を
説明するために示したものであって、(A)は2個の偏
心重錘が最大起振力を発揮する状態を示す模式図、
(B)は起振力中程度である状態を表す模式図、(C)
は起振力がやや小さい状態を表す模式図、(D)は起振
力がゼロの状態を表す模式図である。図7(A)に示し
た2個の偏心重錘のうち、9は回転軸2B′に固着され
た固定偏心重錘であり、10は回転軸2C′に対して相
対的に回動し得る可動偏心重錘である。本発明において
固定偏心重錘とは回転軸に対する相対的回動を係止され
た偏心重錘の意であって、回転軸と一緒に回転する部材
であるから、固定とは静止の意ではない。図7(A)に
おける2個の偏心重錘9,10の相対的位置は、先に説
明した図6(A)における偏心重錘3Bと同3Cとの相
対的位置と同様である。従って、この図7(A)の状態
で、2個の偏心重錘9,10を歯車4B′,4C′で同
期させて回転させると、図6について説明したようにし
て起振力が発生する。
【0006】図7(D)の状態では、2個の偏心重錘
9,10それぞれの重心が、常に参考線M−M(2本の
回転軸2B′,2C′を結ぶ線分の垂直2等分線)に関
して対称位置に在るので上下方向の起振力はゼロであ
る。図7(B),(C)は、それぞれ前記(A),
(D)の中間的状態であるから(A)図の場合よりも小
さく(D)図の場合よりも大きい上下方向起振力を発生
する。そして、(B)図の方が(C)図よりも(A)図
の状態に近いから、起振力の大きい方から順番に挙げる
と(A),(B),(C),(D)となる。前掲の図7
において起振力増減制御の原理を示すため、2本の回転
軸2B′,2C′を同期伝動歯車4B′,4C′で同期
回転させる形に描かれているが、構造を簡単にするため
1本の回転軸に2個の偏心重錘を配設することもでき
る。図8は共通の回転軸に対して固定偏心重錘を固着す
るとともに可動偏心重錘を上記共通の回転軸に対する相
対的な回動角位置を調節できるようにした機構の模式図
である。固定偏心重錘9は回転軸2に固着されて一緒に
回転する。可動偏心重錘10は回転軸2に対する取付角
位置を円弧矢印i−jのごとく変化させて調節すること
と、調節した状態を維持することとが出来るようになっ
ている。本図8に描かれている状態は前掲の図7(B)
に示した状態に対応し、起振力が中程度である。この状
態から、可動偏心重錘を矢印i方向に回動させて固定す
ると図7(D)の状態に近づいて起振力が減少する。ま
た矢印j方向に回動させると図7(A)の状態に近づい
て起振力が増大する。以上のようにして起振力が調節さ
れる。図9は上掲の図8に原理を示したように、共通の
1軸に対して固定偏心重錘と可動偏心重錘とを配設して
起振力を増減調節できるようにした起振力の従来例を示
す斜視図である。2本の回転軸2A,2Bを水平方向に
並べて駆動余プーリ11および同期回転用伝動歯車4
A,4Bによって反対方向に(時計回りと反時計回り
に)同期回転させているのは、水平方向の起振力を相殺
させるためである。固定偏心重錘9Aは回転軸2Aに固
着されている。そして可動偏心重錘10Aは上記回転軸
2Aに対して回動自在に支承されるとともに、固定偏心
重錘9Aに対する回動を調節・固定できるようになって
いる。すなわち、可動偏心重錘10Aには複数個の調節
用メネジ穴(本図に置いて1個のみ現れている)12が
穿たれている。セットボルト14を上記メネジ穴12に
螺合して六角レンチ15で締めつけ、ノックピン13で
回り止めを施すと可動偏心重錘10Aの角位置が固定さ
れる。図10は前掲の図9に示した従来例の調節機構を
備えた起振機における回転軸と固定偏心重錘と可動偏心
重錘との関係を説明するために示したもので、(A)は
部分的に切断して描いた外観斜視図であり、(B)は回
転軸と平行な方向に見たところを描いた模式図である。
図10(A)に示した23a,23b,23cは目盛で
あって、単位はkg・cmである。目盛を合わせてセッ
トボルトを螺合することにより、図10(B)に示した
ように、可動偏心重錘か3つの角位置をとり、10a,
10b,10cのように相対的に回動して起振力を変化
させる。図7ないし図10に示した従来技術に係る起振
機は、以上に説明したようにして起振力の増減調節を行
なうことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図7ないし図10を参
照して説明した従来技術に係る起振機において起振力を
増減調節しようとすると、図9に表されている構造から
容易に理解されるように、運転を止め、ノックピン13
を抜き取ってセットボルト14を抜き出し、可動偏心重
錘10を手動で回して目盛(図10において符号23a
〜23c)を合わせた後、再びセットボルト14を螺合
し緊定してノックピン13で回り止めを施さねばならな
い。従来技術において起振力の増減調節を行なうには、
以上のような操作を必要とする。図5について既に述べ
たように、起振装置6は杭7の上端に取り付けられてい
るので、これをクレーンブーム5で吊り降して調節した
後、再びクレーンブーム5で吊り上げて杭7の上端に取
り付ける作業は多大の時間と労力とを費やさねばならな
い。起振機の運転を中断することなく、遠隔操作によっ
て起振力の増減調節を行なうため図11に示すような偏
心重錘の回転駆動・起振力制御機構が考えられる。この
構成(図11)は本発明者らの内の一人が創作し、本出
願人によって別途特許出願中の未公知の発明(特願平7
−159480号・以下、先願の発明という)である。
【0008】(図11参照)2個の同期伝動歯車33
A,33Bおよび位相制御歯車・甲35Aは大きさ(歯
数)が等しく、歯車列を構成している。上記2個の同期
伝動歯車33A,33Bのそれぞれに対して同期伝動歯
車軸34A,34Bが固着されるとともに、それぞれの
同期伝動歯車軸に対して固定偏心重錘9A,9Bが固着
されている。1対の可動偏心重錘10A,10Bは、そ
れぞれ同期伝動歯車軸34A,34Bによって相対的に
往復回動が可能なように支承されている。そして、上記
1対の可動偏心重錘10A,10Bは、1対の可動偏心
重錘同期歯車37A,37Bを介して、相互に反対方向
に同一回転速度で回転するように連結されている。さら
に、大きさ(歯数)の等しい1対の位相制御歯車・乙3
5Bと同・丙35Cとが相互に噛合しており、これら1
対の歯車の片方である位相制御歯車・丙35Cは前記の
可動偏心重錘10Bに固着されるとともに、前記の同期
伝動歯車軸34Bによって相対的回動可能に支承されて
いる。そして、上記位相制御歯車・乙と位相制御歯車軸
36とはクラッチ手段40を介して接・断操作可能に連
結されている。本図11に示した起振機に回転エネルギ
ーを供給して振動を発生させるための駆動モータ32に
取り付けられた駆動歯車31が、前記の同期伝動歯車3
3Aに噛み合わされている。
【0009】以上のように構成された未公知の先願の発
明に係る装置において、クラッチ手段40を「接」にし
て駆動モータ32を回転させると、固定偏心重錘9A,
9Bおよび可動偏心重錘10A,10Bが相互に同期し
て回転せしめられる。前記クラッチ手段40を「断」に
すると、固定偏心重錘9A,9Bが同期回転駆動され
る。この状態で可動偏心重錘10Aと同10Bとは相互
に同期せしめられたまま、上記固定偏心重錘9A,9B
に対する同期回転の拘束を解除される。上記のようにし
て、固定偏心重錘に対する可動偏心重錘の拘束(同期回
転拘束)を解除した状態で、制御操作用モータ41を回
転させ、制御操作用歯車44を介して可動偏心重錘同期
歯車37A,37Bを回転させつつ、前記制御操作用モ
ータ41の回転速度を調節すると、(本図11に表され
ている9個の歯車は総べて等径・等歯数であるから)、 ○駆動モータ32よりも制御操作用モータ41を速く回
転させると、固定偏心重錘9A,9Bに比して可動偏心
重錘10A,10Bの回転位相が遅れ、 ○駆動モータ32よりも制御操作用モータ41を遅く回
転させると、固定偏心重錘9A,9Bに比して可動偏心
重錘10A,10Bの回転位相が進む。可動偏心重錘の
位相を所望のごとく調節してクラッチ手段を「接」にす
ると、その位相の状態が保たれる。 上述のように位相を制御することによって起振力の増減
調節操作を任意に行なうことができる。
【0010】本発明者は前記未公知の先願の発明につい
て実用化試験研究を続行した結果、所期の効果(運転を
中断せずに起振力を増減調節する)を達成したことを確
認するとともに、次に述べるような改良の余地が有るこ
とを発見し、これを確認した(図11参照)。 (イ)駆動歯車31と制御操作用歯車44とを除外して
数えた場合、7個の歯車が3系列の歯車列を形成してい
る。このため、装置の幅寸法Wが大きくなる。これに伴
ってケーシング(図示せず)も大きくなるので製造コス
トが高く、装置重量が大きくなる。 (ロ)前述のように7個の歯車を相互に噛合させた構造
であるため歯車騒音が大きい。
【0011】本発明は上述の事情に鑑みて為され、前記
未公知の先願に係る発明をさらに改良して前記(イ),
(ロ)の不具合を解消するために創作されたのであっ
て、請求項1の発明の目的は、運転を中断することなく
迅速かつ容易に起振力を増減制御することができ、歯車
騒音が小さく、装置全体を小形軽量ならしめ得る、偏心
重錘の起振力制御方法を提供することである。請求項2
の発明の目的は請求項1の発明の目的に加えて、杭打ち
作業における振動公害を抑制するに有効な偏心重錘の起
振力の実用的な制御方法を提供することである。請求項
3の発明の目的は請求項1,2の発明の目的に加えて、
簡単な市販の機構を用いて制御操作を行ない得る、偏心
重錘の起振力制御方法を提供することである。請求項4
の発明の目的は請求項1,2の発明の目的に加えて、容
易かつ確実に遠隔操作を行なうことができ、しかも耐久
性に優れた偏心重錘の起振力制御方法を提供することで
ある。請求項5の発明の目的は請求項1〜4の発明の目
的に加えて、比較的小さい操作力によって起振力を増減
せしめ得る偏心重錘の起振力制御方法を提供することで
ある。請求項6の発明の目的は請求項3の発明の目的に
加えて、小形,軽量のアクチュエーターによって制御操
作を行ない得る偏心重錘の起振力制御方法を提供するこ
とである。請求項7の発明の目的は請求項1の発明の目
的に加えて、専用の機器を用いることなく起振力を所望
の値に保持し得る偏心重錘の起振力制御方法を提供する
ことである。
【0012】請求項8の発明の目的は請求項1〜7の発
明に係る制御方法を実施するに好適な偏心重錘の起振力
制御装置を提供することである。請求項9の発明の目的
は請求項8の発明の目的に加えて、クラッチ手機構部分
を小形,軽量かつ安価に構成することのできる、偏心重
錘の起振力制御装置を提供することである。請求項10
の発明の目的は請求項8の発明の目的に加えて、クラッ
チ手機構の伝達トルクが大きく耐久性に優れた偏心重錘
の起振力制御装置を提供することである。請求項11の
発明の目的は請求項8〜10の発明の目的に加えて、簡
単,軽量かつ安価な構成で遠隔操作し得る、偏心重錘の
起振力制御装置を提供することである。請求項12の発
明の目的は請求項8〜11の発明の目的に加えて、専用
のストッパ手段を設ける必要の無い、偏心重錘の起振力
制御装置を提供することである。請求項13の発明の目
的は請求項12の発明の目的に加えて、固定偏心重錘と
可動偏心重錘とを高密度で配設し得る偏心重錘の起振力
制御装置を提供することである。請求項14の発明の目
的は請求項12〜13の発明の目的に加えて、専用のク
ラッチ手段を省略することのできる、偏心重錘の起振力
制御装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると、位相制御歯車
・甲24Aに対する位相制御歯車・乙24Bの回転位相
を変化させる動力源として流体式の可逆回動機構17を
用い、上記回転位相を一定に保持するためにクラッチ手
段16を用いる。前記の流体式可逆回動機構の1例とし
て油圧式ベーンモータが有り、また他の1例として油圧
揺動モータが有るが、本発明における流体式可逆回動機
構は油圧式に限らず、水圧式や空気圧式であっても良
い。ここに可逆とは、回転方向を正,逆転せしめ得る意
であって、モータ機能とポンプ機能とを逆転せしめ得る
ことを要しない。流体式可逆回動機構は、そのケーシン
グと出力軸を同心状に構成し得るので、これを1対の位
相制御歯車の間に配設するに適しており、装置全体を小
形化,軽量化することができ、その結果として製造コス
トを低減することができる。以上説明した原理に基づい
て、請求項1の発明の構成は、偏心重錘歯車軸によって
支承されている固定偏心重錘に固着された固定偏心重錘
歯車に噛合している位相制御歯車・甲、および、上記偏
心重錘歯車軸によって支承されている可動偏心重錘に固
着された可動偏心重錘歯車に噛合している位相制御歯車
・乙を、前記偏心重錘歯車軸と別体の位相制御歯車軸に
よって相対的な回転自在に支承し、前記位相制御歯車・
甲に対して位相制御歯車・乙を相対的に回動させる流体
式の可逆回動機構を設け、上記流体式可逆回動機構を往
復回動せしめて前記位相制御歯車・乙を同・甲に対して
進相,遅相せしめて位相を調節し、所望の位相になった
状態で前記位相制御歯車・乙と位相制御歯車・甲との相
対的回動をクラッチ手段によって解除可能に固定するこ
とを特徴とする。以上に説明した請求項1の発明による
と、流体式可逆回動機構を作動せしめて可動偏心重錘を
固定偏心重錘に対して進相,遅相せしめることにより、
起振機の運転を継続しつつ起振力を増減調節することが
できる。その上、前記の流体式可逆回動機構は、歯車列
を介することなく1対の位相制御歯車・甲と同・乙とを
相対的に回動せしめることができるので所要歯車の個数
が少なく歯車騒音を軽減することができる。また、歯車
の個数が少なくなるので、歯車および偏心重錘を収納す
るケースが小形となり、装置全体が小形,軽量,安価と
なる。
【0014】請求項2の発明の構成は前記請求項1の発
明の構成に加えて、前記のクラッチ手段を「断」にして
流体式可逆回動機構を作動させ、固定偏心重錘と可動偏
心重錘との総合起振力を減少せしめた状態で前記のクラ
ッチ手段を「接」にし、該固定偏心重錘および可動偏心
重錘の回転を開始して次第に加速し、振動加速度が重力
加速度よりも小さい状態で地盤の固有振動数に相当する
回転数、および、起振機を吊持しているクレーンブーム
の固有振動数に相当する回転数を通過し、前記のクラッ
チ手段を「断」にして流体式可逆回動機構を作動させ、
固定偏心重錘と可動偏心重錘との総合起振力を最大なら
しめて定常運転に移行し、前記のクラッチ手段を「断」
にして流体式可逆回動機構を作動させ、固定偏心重錘と
可動偏心重錘との総合起振力を減少せしめた状態で前記
のクラッチ手段を「接」にし、上記固定偏心重錘および
可動偏心重錘の回転を次第に減速し、振動加速度が重力
加速度よりも小さい状態で地盤の固有振動数に相当する
回転数、および、起振機を吊持しているクレーンブーム
の固有振動数に相当する回転数を通過した後、停止する
ことを特徴とする。以上に説明した請求項2の発明によ
ると、杭を固定されている起振機の振動加速度が重量加
速度よりも小さい状態では杭の振動が外見に現れないの
で、この状態で危険回転数領域(共振による弊害を発生
する虞れの有る回転数範囲)を通過するので、地盤と共
振して振動公害を生じたり、クレーンブームと共振して
破損せしめたりする虞れが無い。
【0015】請求項3の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記のクラッチ手段としてベア
ロック形の軸受を用い、ベアロック形軸受のスリーブを
前記位相制御歯車・甲もしくは位相制御歯車・乙の何れ
か一方に対して同心状に連結するとともに、ベアロック
形軸受のシャフトを前記位相制御歯車・甲もしくは位相
制御歯車・乙の何れか他方に対して同心状に連結し、前
記スリーブとシャフトとの間に圧力油を送給した状態で
前記流体式可逆回動機構を作動させ、該スリーブとシャ
フトとの間への圧力流体送給を停止して上記流体式可逆
回動機構の回動をロックし、位相制御歯車・甲と位相制
御歯車・乙との位相差を固定して前記固定偏心重錘と可
動偏心重錘との総合起振力を一定の値に保持することを
特徴とする。前記のベアロック形の軸受は、圧力流体を
送給しない状態ではスリーブに圧入されているシャフト
が摩擦力で固定され、スリーブとシャフトとの間に圧力
流体を送給するとスリーブが拡開される形に弾性変形し
て前記の固定が解除されるようになった公知の機器であ
る。以上に説明した請求項3の発明によると、大量生産
して市販されているベアロック形軸受の各種仕様の中か
ら適正なものを選択して使用することができるので安価
であり、選択の自由度も大きい。その上、流体圧力を送
給しない場合にクラッチ「接」の状態となるから、起振
機を運転している間の殆ど全部の期間では圧力流体の送
給を停止していれば良いので流体圧力エネルギーの消費
が少なくて経済的である。また、運転中に何れかの事情
によって圧力流体の送給が中断されても起振機を喪失せ
しめないので作動信頼性が高い。さらに、ベアロック形
の軸受は通常のクラッチ手段に比して小形かつ軽量であ
るから起振機全体のコンパクト化にも有効である。
【0016】請求項4の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記のクラッチ手段として圧力
流体作動式の摩擦クラッチを用いるとともに、該圧力流
体作動式摩擦クラッチを作動させるための圧力源として
前記流体式可逆回動機構を駆動するための圧力源を共用
し、該共用の圧力源から操作弁を介して前記圧力流体作
動式摩擦クラッチに対する圧力流体の送給を制御して遠
隔操作することを特徴とする。前記圧力流体作動式摩擦
クラッチの代表的なものは油圧作動式摩擦クラッチであ
るが、本発明を実施する際は油圧作動式に限らず、水圧
式でも空気圧式でも良い。特に、漏油が絶対的に許され
ない場合は水圧式もしくは空気圧式の使用が望ましい。
【0017】以上に説明した請求項4の発明によると、
請求項1,2の発明の構成に欠くことのできない流体式
可逆回動機構を作動させるエネルギー源とクラッチ手段
を作動させるエネルギー源とを共用できるのでパワーユ
ニットの構成が単純となり、形状寸法,重量,製造コス
トの面で有利であるのみでなく、駆動・制御のためのエ
ネルギー送給系統も単純になる。単純になることの結果
として作動信頼性が向上することも期待し得る。
【0018】請求項5の発明の構成は前記請求項1〜4
の発明の構成に加えて、前記固定偏心重錘および可動偏
心重錘のそれぞれを厚肉の縦割り円筒形に形成して、そ
れぞれを共通の偏心重錘歯車軸に対して同心状に装着
し、前記固定偏心重錘と可動偏心重錘とが偏心重錘歯車
軸に関して対称に位置した状態を基準として、可動偏心
重錘が固定偏心重錘に対して位相を変化せしめ得る角度
を約30度に抑制することを特徴とする。以上に説明し
た請求項5の発明によると、厚肉の縦割り円筒形の固定
偏心重錘および可動偏心重錘が、相互に組み合わされる
とともに相手部材の軸受ボスと干渉することなく、高密
度でコンパクトな構成となる。可動偏心重錘が偏心重錘
歯車軸に関して固定偏心重錘と対称位置にある基準の状
態から位相を変化させて非対称位置に移動させる操作の
際は位相制御に必要なエネルギーは少ないが、その反対
に非対称位置から対称位置に移動させる位相制御操作は
所要エネルギーが大きく、大きい力を必要とする。この
際に必要な力は、ほぼ位相角度の正弦曲線に沿って変化
するので、本請求項5を適用して、30度の範囲内で操
作すると操作力が比較的少なくて済む。
【0019】請求項6の発明の構成は前記請求項5の発
明の構成に加えて、前記の流体式可逆回動機構を高トル
ク・小ストローク形に構成し、その回動ストローク角度
が30度以上となる範囲内で、仕切壁とベーンとの組数
を多く設定することを特徴とする。以上に説明した請求
項6の発明によると、流体式可逆回動機構の回動ストロ
ーク角度を必要最小限に抑えることにより、所要トルク
を発生し得る流体式可逆回動機構を小形,軽量化するこ
とができる。こうした効果が得られるのは、流体式可逆
回動機構の特性として、「仕切壁とベーンとの組数」と
回動ストローク角度とがほぼ反比例し、「仕切壁とベー
ンとの組数」と発生トルクとがほぼ反比例することを、
起振力制御に応用したからである。
【0020】請求項7の発明の構成は前記請求項1の発
明の構成に加えて、前記のクラッチ手段として専用の機
器を用いることなく、前記流体式可逆回動機構の圧力流
体送入管路および圧力流体排出管路を操作弁で閉塞して
その回動をロックすることにより、固定偏心重錘に対す
る可動偏心重錘の位相を一定に保持することを特徴とす
る。以上に説明した請求項7の発明によると、専用のク
ラッチ機器を省略し得るので、装置全体の小形,軽量
化、および製造コスト低減に有利である。ここに、流体
式アクチュエータ一般について作動流体の流出,入を閉
塞してロックすることは公知であるが、流体式可逆回動
機構(例えば油圧揺動モータ)は、ベーン周囲のリーク
を防止する技術が確立されておらず、ロックしてもリー
クしてしまうのが現在技術の実情である。しかし乍ら、
偏心重錘の起振力制御においては、ロック機能の保持が
要求される時間が短い(例えば数十秒程度)。このた
め、リーク防止が不完全であっても実用可能である。
【0021】請求項8の発明の構成は、それぞれ1対の
固定偏心重錘に取り付けられて、相互に噛合している1
対の固定偏心重錘歯車、および該1対の固定偏心重錘歯
車のそれぞれを支承する1対の偏心重錘歯車軸と、 上記
1対の偏心重錘軸のそれぞれに支承されている1対の可
動偏心重錘、および該1対の可動偏心重錘に取り付けら
れて、相互に噛合している1対の可動偏心重錘歯車とを
具備している起振機において、前記1対の固定偏心重錘
歯車の何れか一つに噛合している位相制御歯車・甲と、
前記1対の可動偏心重錘歯車の何れか一つに噛合してい
る位相制御歯車・乙とが、前記1対の偏心重錘軸と別体
に構成された位相制御歯車軸によって相互の回動可能に
支承されており、上記位相制御歯車・甲に対して位相制
御歯車・乙を相対的に回動せしめる流体式可逆回動機構
が設けられるとともに、上記位相制御歯車・甲と位相制
御歯車・乙とが、相対的な回動を阻止したり、阻止を解
除したりすることのできるクラッチ手段を介して連結さ
れていることを特徴とする。
【0022】以上に説明した請求項8の発明によると、
固定偏心重錘に同期して回転する位相制御歯車・甲と、
可動偏心重錘に同期して回転する位相制御歯車・乙との
間の位相関係が流体式可逆回動機構(例えば油圧揺動モ
ータ)によって任意に調節されるので、起振機の運転を
継続しつつ可動偏心重錘と固定偏心重錘との位相差を制
御して起振力を増減調節することができる。その上、位
相制御歯車・甲と位相制御歯車・乙との相対的回動を直
接的に駆動できるので所要歯車の個数が少なく、従って
起振機全体を小形,軽量,安価に構成することができ、
しかも歯車騒音小さい。
【0023】請求項9の発明の構成は、前記請求項8の
発明の構成に加えて、前記のクラッチ手段がベアロック
軸受によって構成されており、ベアロックスリーブが位
相制御歯車・甲と位相制御歯車・乙との何れか一方に取
り付けられるとともに、ベアブロックシャフトが位相制
御歯車・甲と位相制御歯車・乙との何れか他方に取り付
けられていることを特徴とする。以上に説明した請求項
9の発明によると、各種の仕様が定められて市販されて
いるベアロック形軸受を適宜に選定して用いることがで
きるので選択の自由度が大きく、良質のクラッチ手段を
安価に入手することができる。その上、ベアロック形軸
受の特性として小形,軽量であり、かつ、クラッチ
「接」の状態を保持する期間中は圧力流体の送給を要し
ない。従って、クラッチ「接」の状態で運転中にクラッ
チ操作用圧力流体の送給が何らかの事情で中断されても
運転に別段の支障を生じないので作動信頼性が高い。
【0024】請求項10の発明の構成は、前記請求項8
の構成に加えて、前記のクラッチ手段が流体圧作動式の
多板クラッチによって構成されており、上記多板クラッ
チのドライブプレートが位相制御歯車・甲と位相制御歯
車・乙との何れか一方に対して相対的回動を係止して装
着されるとともに、上記多板クラッチのドリブンプレー
トが位相制御歯車・甲と位相制御歯車・乙との何れか他
方に対して相対的回動を係止して装着されていることを
特徴とする。以上に説明した請求項10の発明による
と、多板クラッチの特長である「伝達トルクが大きいこ
と」を有利に用いることができ、かつ、多板クラッチの
短所である「軸心方向の長さ寸法が比較的大きいこと」
は、別段の不具合を生じないように2個の位相制御歯車
・甲,同・乙の間に収納してカバーすることができる。
さらに、流体圧作動式クラッチは、ロッドやリンクなど
の連結部材を用いることなく遠隔操作することができる
ので杭打抜用起振機の場合に好適である。
【0025】請求項11の発明の構成は前記請求項8〜
10の発明の構成に加えて、前記位相制御歯車軸内にそ
の長手方向に、少なくとも3本の流体圧力送給孔が設け
られており、上記少なくとも3本の流体圧力送給孔の中
の少なくとも2本が前記流体式可逆回動機構に連通され
るとともに、少なくとも1本が前記クラッチ手段に連通
されていることを特徴とする。以上に説明した請求項1
1の発明によると、運転中に絶えず回転している流体式
可逆回動機構およびクラッチ手段に対して、駆動・制御
用の圧力流体を送給することができ、しかも回転部材に
ホースなどを取り付ける必要が無いので動バランスに悪
影響を及ぼす虞れが無く、かつ、ホースが遠心力で破損
される虞れも無いので耐久性が高い。
【0026】請求項12の発明の構成は前記請求項8〜
11の発明の構成に加えて、前記固定偏心重錘と可動偏
心重錘とがほぼ同形,同寸に形成されており、これらの
偏心重錘の、固定軸と垂直な面による断面形状は、頂角
θの扇形に類似した2辺と円弧とを有しており、上記の
頂角θの値は180°−αであり、上記αの値は約60
°であることを特徴とする。以上に説明した請求項12
の発明によると、固定偏心重錘と可動偏心重錘とがほぼ
同形,同寸であるから、製作工程管理が容易で、大量生
産効果によるコスト低減および製品安定を期待すること
ができる。
【0027】請求項13の発明の構成は前記請求項12
の発明の構成に加えて、前記の、扇形に類似した断面形
状を有する固定偏心重錘および可動偏心重錘は、内径寸
法rの厚肉円筒を縦割りした形状をなしており、かつ、
前記固定偏心重錘は固定偏心重錘歯車、および、前記厚
肉円筒と嵌合する外径寸法r−εの円筒状の歯車ボスと
一体に連設されるとともに、前記可動偏心重錘は可動偏
心重錘歯車、および、前記厚肉円筒と嵌合する外径寸法
r−εの円筒状の歯車ボスと一体に連設されていること
を特徴とする。以上に説明した請求項13の発明による
と、円筒状の歯車ボスの周囲360度をほぼ2分して半
割り厚肉円筒状の可動偏心重錘と固定偏心重錘とが配設
され、比較的狭い空間内に高密度で偏心重錘機構が収納
されるので、大出力の起振機をコンパクトに構成するこ
とができる。さらに、偏心重錘機構をコンパクトに構成
すると、偏心重錘軸が短くなって、大きい遠心荷重を受
けても該偏心重錘軸に大きい曲げ応力が掛からないので
破損する虞れが無い。
【0028】請求項14の発明の構成は前記請求項8〜
12の発明の構成に加えて、前記のクラッチ手段が、前
記流体式可逆回動機構の作動流体の流出,流入路を閉塞
して該流体式可逆回動機構をロックせしめる操作弁によ
って構成されていることを特徴とする。以上に説明した
請求項14の発明によると、専用のクラッチ機器を設け
なくても良いので装置全体を小形,軽量,低コストなら
しめることができる上に、クラッチ手段専用の操作系統
を設けなくても良いので機構が簡単になり、故障発生の
要因が減少して作動信頼性が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、図1ないし図4を順次に参
照しつつ、本発明の実施形態について述べる。図1は本
発明に係る偏心重錘の起振力制御方法を実施するために
構成した本発明に係る偏心重錘の起振力制御装置を備え
た杭打抜用起振機の要部を示し、模式的に描いた断面図
である。本図1は1平面上に展開して描いてあるが、本
図に現れている4本の軸のうちで、偏心重錘歯車軸21
Aと同21Bとは水平に、かつ平行に配置されるが、そ
の他の2軸は同一平面外(本実施形態においては偏心重
錘歯車軸の上方)に配設される。
【0030】前記の偏心重錘歯車軸21Aに、固定偏心
重錘歯車20Aがキーを介して固着されるとともに、該
偏心重錘歯車軸21Aに可動偏心重錘歯車22Aが回動
自在に嵌合されている。上記固定偏心重錘歯車20Aに
対して固定偏心重錘9Aが同心状に固着されるととも
に、可動偏心重錘歯車22Aに対して可動偏心重錘10
Aが同心状に固着されている。図2は、上掲の図1の実
施形態における偏心重錘歯車軸と固定偏心重錘歯車と固
定偏心重錘、および可動偏心重錘歯車と可動偏心重錘と
を抽出するとともに、上記偏心重錘歯車軸を垂直な座標
軸Zの回りに角φだけ折り曲げて描いた分解斜視図であ
る。本実施形態における固定偏心重錘9Aおよび可動偏
心重錘10Aは、それぞれ厚肉の円筒を縦割りにした形
状をなし、その横断面は頂角θの扇形に類似した形状を
なしている。図示の26は歯車ボスであって、外径寸法
約rの円筒状をなしている。これに対して、前記厚肉円
筒縦割り状の偏心重錘9A,10Aの内径寸法はrに設
定されていて、円筒形の内周面に対して前記の歯車ボス
26が入り込んで緩やかに嵌合するようになっている。
緩やかに嵌合するために歯車ボス26の外径寸法約rと
は、詳しくはr−εであり、εは微小寸法である。
【0031】本図2の右半部に描かれている固定偏心重
錘9Aと固定偏心重錘歯車20Aと歯車ボス26とは一
体に連設されている。ただし、本発明を実施する際、こ
れらの構成部材を別体に形成してから相互に固着しても
良い。本図2の左半部に描かれている可動偏心重錘10
Aと可動偏心重錘歯車と歯車ボス26とも、前記と同様
に一体連設されている。本図2の右半部と左半部に描か
れている双方の一体構成部材は、相互にほぼ同様の形状
寸法である。ここに、ほぼ同様とは、図には隠れている
が偏心重錘歯車軸21Aに固着するためキー溝の有無と
いった程度の差異を除いて同形同寸であることを意味し
ている。本図に示すように、固定偏心重錘9Aを偏心重
錘歯車軸21Aの上方に位置せしめるとともに、可動偏
心重錘10Aを偏心重錘歯車軸21Aの下方に位置せし
めて、可動偏心重錘歯車22Aの歯車ボス26を偏心重
錘歯車軸21Aに沿わせて矢印e方向に摺動させると、
固定偏心重錘9Aと可動偏心重錘10Aとがほぼ上下に
対向,離間して組み合わされる。
【0032】図示の角θを、180°−αで表すと、本
実施形態において上記の角αは60°に設定されてい
る。このため、前述のようにして組み合わされた固定偏
心重錘9Aと可動偏心重錘10Aとは、相対的な回動角
度を60°に制約されている。すなわち、固定偏心重錘
9Aと可動偏心重錘10Aとが偏心重錘歯車軸21Aに
関して対称に位置した基準状態から±30°だけ回動で
きるようになっている。図2に、紙面の左右に対向せし
めて分解斜視図を示した双方のブロック状の部材(偏心
重錘と歯車ボスと歯車との一体連設部材)を相互に組み
合わせたところを、中心線を含む面で切断した断面形状
は図1に現れている。このように、比較的狭い空間の中
に構成部材が高密度で配置されるので、大出力の起振機
をコンパクトに構成することができる。
【0033】図1に示した固定偏心重錘9Bは固定偏心
重錘歯車20Bと一体に連設されて偏心重錘歯車軸21
Bに固着されている。可動偏心重錘10Bは可動偏心重
錘歯車22Bと一体に連設されて偏心重錘歯車軸21B
により回転自在に支承されている。前掲の図2につい
て、固定偏心重錘9Aを同9Bと読み替え、固定偏心重
錘歯車20Aを同20Bと読み替え、偏心重錘歯車軸2
1Aを同21Bと読み替え、可動偏心重錘10Aを同1
0Bと読み替え、可動偏心重錘歯車22Aを同22Bと
読み替えることができる。図2に表されている構成から
容易に理解できるように、固定偏心重錘9Aと可動偏心
重錘10Aとは、相対的に60°以上回動することがで
きない。このため、いま仮りに、可動偏心重錘歯車22
Aを拘束するとこなく固定偏心重錘歯車20Aを或る一
定方向(例えば円弧矢印ψ方向)に回転させると、固定
偏心重錘9Aはこれと一緒に回転する。そして可動偏心
重錘10Aは位相差60°だけ遅れて、同方向に、同回
転速度で回転せしめられる。
【0034】図1において、駆動モータ32により、駆
動歯車31を介して固定偏心重錘歯車20Aを回転させ
ると、固定偏心重錘9Aがこれと一緒に(同方向,同回
転速度で)回転せしめられるとともに、固定偏心重錘歯
車20Bが反対方向に同期回転せしめられる。上記固定
偏心重錘歯車20Bと噛合している位相制御歯車・甲2
4Aは同じ大きさ(同一歯数)に構成されているので、
この位相制御歯車・甲24Aは固定偏心重錘9A,同9
Bと同期回転する。一方、可動偏心重錘歯車22Aと可
動偏心重錘歯車22Bとは噛合し、かつ、これらと同じ
大きさ(同じ歯数)の位相制御歯車・乙24Bと共に歯
車列を構成して同期回転している。本図1について以上
に説明した構成部分のみによれば、固定偏心重錘9Aと
固定偏心重錘9Bとは同期回転し、一方、可動偏心重錘
10Aと可動偏心重錘10Bとも同期回転するが、固定
偏心重錘9A,9Bと可動偏心重錘10A,10Bとの
位相差は制御されない。ただし、図2について説明した
ように、上記の位相差は±30°を越えることができな
いようになっている。
【0035】上記の位相差を制御するため、固定偏心重
錘歯車20Bに噛合させた位相制御歯車・甲24Aと、
可動偏心重錘歯車22Bに噛合させた位相制御歯車・乙
とを位相制御歯車軸25により同心状に、かつ相対的回
動可能に支承する。上記1対の位相制御歯車・甲と同乙
との相対的な回動角(つまり位相差)を調節できるよう
に、両者の間に流体式可逆回動機構17を設けるととも
に、上記相対的な回動角(位相差)を一定に保持し得る
ように、両者の間にクラッチ手段16を設ける。上記ク
ラッチ手段16の具体的な構成については、図3および
図4について後に詳しく述べる。前記の流体式可逆回動
機構17として、本実施形態においては油圧揺動モータ
を用いた。本発明を実施する際、外部漏油が絶対的に禁
忌される場合は油圧揺動モータでなく水圧揺動モータそ
の他の液圧揺動モータもしくは空気圧揺動モータを使用
することもできる。
【0036】図3は、流体式可逆回動機構として油圧揺
動モータを用いるとともにクラッチ手段としてベアロッ
ク形軸受を用いた実施形態を示し、(A)は油圧揺動モ
ータの横断面を描いた模式図、(B)は位相制御歯車軸
の中心を通る面で切断して描いた模式図である。油圧揺
動モータは、円筒状のケース内空間を放射状の仕切壁に
よってn個に区画するとともに、各区画内にはシャフト
に固着された1枚のベーンが配設される。従って、仕切
壁の数とベーンの数とは等しく、n組が設けられること
になる。本実施形態はn=3の場合であり、図3(A)
に示すように油圧揺動モータ17のケース17aの中に
3個の仕切壁17b1,17b2,17b3が設けられ3
室に区画された空間内に各1枚のベーン17c1,17
2,17c3が配置されている。本実施形態において
は、図3(B)に表されているように前記のケース17
aが位相制御歯車・乙24Bに対して同心状に固定され
るとともに、位相制御歯車軸25が油圧揺動モータ17
の出力軸を兼ねている。前記のベーン17c1,17
2,17c3は上記位相制御歯車軸25に固着されてい
る。
【0037】図3(B)に示されているように、位相制
御歯車軸25の図示左端面から該軸の長手方向に2本の
油孔が設けられている。上記の油孔の左端はロータリー
ジョイントおよび油圧操作弁(共に図外)を介して油圧
源に接続され、上記油孔の右端は油圧揺動モータ17に
連通している。図3(A)には前記位相制御歯車軸25
の横断面、および、その中に穿たれた2本の油孔が現れ
ている。そして、油圧揺動モータ17のケース17a内
の空間は仕切壁17b1〜17b3によって3つに区画さ
れるとともに、さらにベーン17c1〜17c2によって
6つの油圧室(f)〜(k)に区画されている。前記2
本の油孔の内の一方は、一つ置きに油圧室(f),同
(h),同(j)に連通され、該2本の油孔の内の他方
は一つ置きに油圧室(g),同(i),同(k)に連通
されている。本実施形態のように仕切壁とベーンとの組
を3組設けると、位相制御歯車軸25の可動可能角度は
120°弱である。一般にn組設けると回動可能角度
は、360°/n弱となる。上記のnの値を大きくとれ
ば回動ストローク角度が反比例的に小さくなるとともに
発生トルクは比例的に大きくなる。従って、所要の回動
ストローク角度が得られる範囲内でnの値を大きく設定
することが望ましい。所要発生トルクが一定であると仮
定すれば、nの値を大きくすると油圧揺動モータをコン
パクトに構成し得るようになる。本発明者らが試作テス
トによって確認したところによると、先に説明した可動
偏心重錘の位相調節角度(固定偏心重錘に対する相対的
な回動角度)は、30°ないし60°の範囲内が実用に
適し、この範囲内において30°に近いことが望まし
い。従って前記nの値は、上記位相調節角度を可能なら
しめる範囲内で、なるべく大きく設定すると良い。
【0038】図3(B)の実施形態においては、クラッ
チ手段としてベアロック(商標名)18を用いた。この
ベアロックは、スリーブの中にシャフトを圧入した構造
の公知の機器であって市販されており、各種仕様の製品
を任意に選択して用いることができる。スリーブ18a
は前記油圧揺動モータ17のケース17aに対して同心
状に固着されている。すなわち、該ケース17aを介し
て位相制御歯車・乙24Bに対して同心状に固定されて
いる。そして、の油圧揺動モータ17のシャフトは、前
記位相制御歯車軸25が兼ねている。すなわち、該シャ
フトは位相制御歯車・甲24Aに対して同心状に固定さ
れている。前記のスリーブ18aの内周面の、長さ方向
について両端付近にOリング18cが設けられ、オイル
シールとして機能する。そして、上記両端付近のOリン
グで挟まれている部分に螺旋状の油溝18bが設けられ
ている。本図3(B)に示されている位相制御歯車軸2
5の右端面から該軸の長手方向に油孔が穿たれており、
前記の油溝18bに連通している。上記長手方向の油孔
の右端はローターリジョイントおよび操作弁を介して油
圧源(いずれも図外)に接続されている。図示を省略す
るが、前述した油圧揺動モータ17を作動させるための
油圧源と、上述のベアロック18を作動させるための油
圧源とを共用することができるので、パワーユニットの
構成が簡単で足り、エネルギー効率が良い上に、該パワ
ーユニットの製造コストが安価になる。
【0039】前記ベアロック18の油溝18bに連通す
る油孔に矢印Pのように圧力油を送給すると、スリーブ
18aの内周面に油圧が掛かって該スリーブ18aの内
径が拡大する形に弾性変形し、位相制御歯車軸25が自
由に回動できるように(すなわち、クラッチ「断」の状
態に)なる。前記矢印Pの圧力送給を停止すると、スリ
ーブ18aが弾性で復元収縮し、シャフトである位相制
御歯車軸25に圧着し、摩擦によって該位相制御歯車軸
25の回動を拘束する(すなわち、クラッチ「接」の状
態に)なる。以上の構造,機能から容易に理解できるよ
うに、クラッチ「接」の状態にして位相制御歯車・甲2
4Aと位相制御歯車・乙との相対的回動を阻止し、固定
偏心重錘と可動偏心重錘との位相差を一定に保ちながら
起振機を運転している期間中、ベアロック18に対する
圧力油送給を停止しておけば良い。圧力油の送給は、位
相を変化させる、比較的短い時間だけで足りる。このた
め、クラッチ手段としてベアロック形の軸受を用いる
と、クラッチ手段を作動させるに要するエネルギー量が
少ない。また、運転中になんらかの事情(例えば油圧ホ
ースの破損)によって圧力油の送給が途絶してもクラッ
チ機能の「接」状態が消失しない。後に詳述するよう
に、クラッチ手段を「接」に保持すべき時間は「断」に
保持すべき時間に比して著しく長いから、ベアロック軸
受を用いて「接」状態保持を容易ならしめることは作動
信頼性を向上せしめるために有効である。
【0040】図3に示した実施形態のように、位相制御
歯車軸25の長手方向に油孔を穿つと、別体の部材とし
ての油圧ホースを設ける必要が無い。これを上意概念で
考察すると、位相制御歯車軸に流体圧送給用の孔を設け
ると、別体のホース部材を設ける必要が無い。別体のホ
ース部材を取り付けることは構造を複雑ならしめるのみ
でなく、該ホース部材に遠心力が働いて故障の要因を増
加せしめるので、前述のごとく位相制御歯車軸に孔を設
けてホース部材を省略すると、耐久性,信頼性の向上に
有効である上に、ホース部材の取り付けによって回転系
の動バランスを崩す虞れが無いので好ましい。
【0041】図4は、流体式可逆回動機構として油圧揺
動モータを用いるとともに、クラッチ手段として油圧作
動式多板クラッチを用いた実施形態を示し、位相制御歯
車軸の中心を通る面によって切断して描いた断面図であ
る。位相制御歯車・乙24Bに対して油圧揺動モータ1
7のケースが同心状に固定されていること、および、位
相制御歯車軸25が上記油圧揺動モータ17の出力軸を
兼ねていることは前掲の図3に示した実施形態における
と同様ないし類似の構成である。図示の19は多板クラ
ッチであって、そのクラッチドラム19aは前記揺動モ
ータ17のケース17aに対して同心に固着され、該ケ
ース17aを介して位相制御歯車・乙24Bに固定され
ている。本実施形態における位相制御歯車軸25は前記
多板クラッチ19の入力軸として機能する構成部材であ
って、複数板のドライブプレートが相対的回動を係止さ
れて外嵌されている。一方、前記クラッチドラム19a
に対して複数枚のドリブンプレート19cが相対的回動
を係止されて内嵌されており、前記ドライブプレート1
9bとドリブンプレート19cとは1枚ずつ交互に重ね
合わされている。前記の重ね合わされたドライブプレー
ト19bとドリブンプレート19cとは、プレッシャプ
レート19dを介してクラッチピストン19eで押圧さ
れると摩擦力によってクラッチ「接」の状態になる。ク
ラッチを接続させるための押圧力は、クラッチピストン
19eと位相制御歯車・甲24Aとの間に圧縮介装され
ているクラッチスプリング19gによって与えられる。
前記のクラッチピストン19eはクラッチシリンダ19
fの中に収納されていて、油圧室19hに圧力油を送入
されるとクラッチスプリング19gを圧縮しつつ図の右
方に後退し、前記ドライブプレート19bとドリブンプ
レート19cととの押圧力を解除してクラッチ「断」な
らしめる。
【0042】油圧作動クラッチは、圧力油を送給してい
るとき「断」となり、圧力油の送給を停止したとき
「接」となるように構成することもでき、また、その反
対に作動するように構成することもできるが、前掲の図
3の実施形態について既に述べたように、圧力流体送給
によって「断」となり、送給停止によって「接」となる
ように構成することが、エネルギー消費低減の面から
も、また作動信頼性向上の面からも望ましい。
【0043】図示を省略するが、図4の実施形態におけ
る多板クラッチ19をコーンクラッチで代替することも
可能であり、コーンクラッチは多板クラッチに比して構
造が簡単で製造コストが安いが、伝達可能トルクが小さ
い。従って、起振機の起振力制御装置の全体的設計条件
に照らして、クラッチ手段の所要伝達トルク(偏心重錘
の位相を一定に保持するための、位相制御歯車甲,乙の
相対的回動を係止するに必要なトルク)を小さく設定し
得る場合は、コーンクラッチを採用することが適正であ
る。こうした事情を総合的に考察すると、本発明装置に
用いられるクラッチ手段は、流体圧によって作動せしめ
られる摩擦クラッチとすることが、通常の設計条件にお
いては好ましい。
【0044】しかし、前掲の図3,図4の実施形態にお
ける油圧揺動モータ17の作動油の流出,流入を閉塞し
て、いわゆる油圧ロックの状態にすると、位相制御歯車
・甲24Aと位相制御歯車・乙24Bとの相対的な回動
が阻止されて、クラッチ手段を「接」にしたのと同様の
機能が果たされる。こうした作用を利用して、流体式可
逆回動機構の作動流体の流出,入を閉塞する操作弁(図
示せず)によってクラッチ手段を構成することもでき
る。油圧揺動モータによって代表される流体式可逆回動
機構は、内部リーク防止技術が未だ確立されていないの
で、例えば油圧シリンダにおけるがごとく完全なロック
機能を期待できないが、次に述べる理由により本発明に
おけるクラッチ手段として適用することができる。 (イ)本発明における起振力の増減制御は、起振力最大
と起振力最小との2値制御によって実用に供することが
でき、最大,最小の間における無段階制御が出来なくて
も良い。また、最大,最小の間で起振力中等度という状
態に保持することは必ずしも求められない。こうした事
情を勘案すると、1対の位相制御歯車の相対的な回動
を、その回動ストロークの両端それぞれの位置で停止せ
しめれば足りる。このように、中間位置での停止を要求
されずに両端位置での停止のみが求められる場合は、流
体式可逆回動機構(例えば油圧揺動モータ)の内部リー
クが零でなくても、リーク流量に相当する圧力流体の補
給を続けながら、回動ストロークエンドでベーンを停止
させることができる。
【0045】(ロ)図5(B)を参照して後に詳しく説
明するように、起振力最小の状態に保持すべき時間は比
較的短く(数十秒以下)、起振力最大の状態に保持すべ
き時間は比較的長い。しかも、起振力最小の状態を保持
するためのクラッチ伝達トルクは大きいが、起振力最大
の状態に保持するためのクラッチ伝達トルクは非常に小
さく、クラッチ手段(この場合は流体式可逆回動機構の
ロック機能)をフリーにしておいても、可動偏心重錘は
固定偏心重錘に対して最大起振力を発生する角位置に安
定する(実際には、ストッパ手段に当接して角位置を保
つ)。
【0046】図4と図5(B)とを交互に参照しつつ本
発明装置の使用例を略述すると、時刻t0で多板クラッ
チ19の油圧室19hに圧力油を送給してクラッチ
「断」とし、油圧揺動モータ17に圧力油を送給・排出
して回動させ、偏心重錘の位相制御により起振力最小
(ゼロ、もしくは重力加速度以下)とした後、前記多板
クラッチ19を「接」にし、起振機の回転を開始して、
時間T1の後、時刻t1で定格回転数に到達し(矢印
e)、クラッチ「断」にして油圧揺動モータ17を作動
させて起振力を最大ならしめた状態で再びクラッチ
「接」にして可動偏心重錘と固定偏心重錘との位相差を
固定し、定格運転状態(時刻t1〜t2)に移行する。上
記の起振力最大の状態は、偏心重錘の位相差が安定状態
にあるから、多板クラッチに代えて流体式可逆回動機構
のロックを利かせている場合、内部リークが有っても起
振機能に悪影響を及ぼす虞れが無い。時刻t2でクラッ
チを「断」にした後、油圧揺動モータ17を作動させて
起振力最小(ゼロ、または重力加速度以下)の状態とし
てクラッチ「接」とし、回転速度を減少させて(矢印
d)、停止する(時刻t3)。前述した時間T1の間、お
よび時間T2の間は偏心重錘の位相差が不安定であるか
らクラッチ手段を「接」にして、1対の位相制御歯車・
甲,同乙相互の回動を外的な力で阻止しなければならな
い。流体式可逆回動機構のロック機能によって回動を阻
止する場合は、内部リークに相当する流量の圧力流体を
供給し続けなければならないが、この時間T1,T2は比
較的短時間(数十秒以下)であるから別段の不具合を生
じない。
【0047】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明に
よると、流体式可逆回動機構を作動せしめて可動偏心重
錘を固定偏心重錘に対して進相,遅相せしめることによ
り、起振機の運転を継続しつつ起振力を増減調節するこ
ととができる。その上、前記の流体式可逆回動機構は、
歯車列を介することなく1対の位相制御歯車・甲,同乙
とを相対的に回動せしめることができるので所要歯車の
個数が少なく歯車騒音を軽減することができる。また、
歯車の個数が少なくなるので、歯車および偏心重錘を収
納するケースが小形となり、装置全体が小形,軽量,安
価となる。
【0048】請求項2の発明によると、杭を固定されて
いる起振機の振動加速度が重力加速度よりも小さい状態
では杭の振動が外見に現れないので、この状態で危険回
転数領域(共振による弊害を発生する虞れの有る回転数
範囲)を通過するので、地盤と共振して振動公害を生じ
たり、クレーンブームと共振して破損せしめたりする虞
れが無い。
【0049】請求項3の発明によると、大量生産して市
販されているベアロック形軸受の各種仕様の中から適正
なものを選択して使用することができるので安価であ
り、選択の自由度も大きい。その上、流体圧力を送給し
ない場合にクラッチ「接」の状態となるから、起振機を
運転している間の殆ど全部の期間では圧力流体の送給を
停止していれば良いので流体圧力エネルギーの消費が少
なくて経済的である。また、運転中に何らかの事情によ
って圧力流体の送給が中断されても起振機の機能を喪失
せしめないので作動信頼性が高い。さらに、ベアロック
形の軸受は通常のクラッチ手段に比して小形かつ軽量で
あるから起振機全体のコンパクト化にも有効である。
【0050】請求項4の発明によると、請求項1,2の
発明の構成に欠くことのできない流体式可逆回動機構を
作動させるエネルギー源とクラッチ手段を作動させるエ
ネルギー源とを共用できるのでパワーユニットの構成が
単純となり、形状寸法,重量,製造コストの面で有利で
あるのみでなく、駆動・制御のためのエネルギー送給系
統も単純になる。単純になることの結果として作動信頼
性が向上することも期待し得る。
【0051】請求項5の発明によると、厚肉の縦割り円
筒形の固定偏心重錘および可動偏心重錘が、相互に組み
合わされるとともに相手部材のボスと干渉することなく
高密度でコンパクトな構成となる。可動偏心重錘が偏心
重錘歯車軸に関して固定偏心重錘と対称位置にある基準
の状態から位相を変化させて非対称位置に移動させる操
作の際は位相制御に必要なエネルギーは少ないが、その
反対に非対称位置から対称位置に移動させる位相制御操
作は所要エネルギーが大きく、大きい力を必要とする。
この際に必要な力は、ほぼ位相角度の正弦曲線に沿って
変化するので、本請求項5を適用して、30度の範囲内
で操作すると操作力が比較的少なくて済む。
【0052】請求項6の発明によると、流体式可逆回動
機構の回動ストローク角度を必要最小限に抑えることに
より、所要トルクを発生し得る流体式可逆回動機構を小
形,軽量化することができる。こうした効果が得られる
のは、流体式可逆回動機構のの特性として、「仕切壁と
ベーンとの組数」と回動ストローク角度とがほぼ反比例
し、「仕切壁とベーンとの組数」と発生トルクとがほぼ
反比例することを起振力制御に応用したからである。
【0053】請求項7の発明によると、専用のクラッチ
機器を省略し得るので、装置全体の小形,軽量化、およ
び製造コスト低減に有利である。ここに、流体式アクチ
ュエータ一般について作動流体の流出,入を閉塞してロ
ックすることは公知であるが、流体式可逆回動機構(例
えば油圧揺動モータ)は、ベーン周囲のリークを防止す
る技術が確立されておらず、ロックしてもリークしてし
まうのが現在技術の実情である。しかし乍ら、偏心重錘
の起振力制御においては、ロック機能の保持が要求され
る時間が短い(例えば数十秒程度)。このため、リーク
防止が不完全であっても実用可能である。
【0054】請求項8の発明によると、固定偏心重錘に
同期して回転する位相制御歯車・甲と、可動偏心重錘に
同期して回転する位相制御歯車・乙との間の位相関係が
流体式可逆回動機構(例えば油圧揺動モータ)によって
任意に調節されるので、起振機の運転を継続しつつ可動
偏心重錘と固定偏心重錘との位相差を制御して起振力を
増減調節することができる。その上、位相制御歯車・甲
と位相制御歯車・乙との相対的回動を直接的に駆動でき
るので所要歯車の個数が少なく、従って起振機全体を小
形,軽量,安価に構成することができ、しかも歯車騒音
が小さい。
【0055】請求項9の発明によると、各種の仕様が定
められて市販されているベアロック形軸受を適宜に選択
して用いることができるので選択の自由度が大きく、良
質のクラッチ手段を安価に入手することができる。その
上、ベアロック形軸受の特性として小形,軽量であり、
かつ、クラッチ「接」の状態を保持する期間中は圧力流
体の送給を要しない。従って、クラッチ「接」の状態で
運転中にクラッチ操作用圧力流体の送給が何らかの事情
で中断されても運転に別段の支障を生じないので作動信
頼性が高い。
【0056】請求項10の発明によると、多板クラッチ
の特長である「伝達トルクが大きいこと」を有利に用い
ることができ、かつ、多板クラッチの短所である「軸心
方向の長さ寸法が比較的大きいこと」は、別段の不具合
を生じないように2個の位相制御歯車・甲,同・乙の間
に収納してカバーすることができる。さらに、流体圧作
動式クラッチはロッドやリンクなどの連結部材を用いる
ことなく遠隔操作することができるので杭打抜用起振機
の場合に好適である。
【0057】請求項11の発明によると、運転中に絶え
ず回転している流体式可逆回動機構およびクラッチ手段
に対して、駆動・制御用の圧力流体を送給することがで
き、しかも回転部材にホースなどを取り付ける必要が無
いので動バランスに悪影響を及ぼす虞れが無く、かつ、
ホースが遠心力で破損される虞れも無いので耐久性が高
い。
【0058】請求項12の発明によると、固定偏心重錘
と可動偏心重錘とがほぼ同形,同寸であるから、製作工
程管理が容易で、大量生産効果によるコスト低減および
品質安定を期待することができる。
【0059】請求項13の発明によると、円筒状の歯車
ボスの周囲360度をほぼ2分して半割り厚肉円筒状の
可動偏心重錘と固定偏心重錘とが配設され、比較的狭い
空間内に高密度で偏心重錘機構が収納されるので、大出
力の起振機をコンパクトに構成することができる。さら
に、偏心重錘機構をコンパクトに構成すると、偏心重錘
が短くなって、大きい遠心荷重を受けても該偏心重錘軸
に大きい曲げ応力が掛からないので破損する虞れが無
い。
【0060】請求項14の発明によると、専用のクラッ
チ機構を設けなくても良いので装置全体を小形,軽量,
低コストならしめることができる上に、クラッチ手段専
用の操作系統を設けなくても良いので機構が簡単にな
り、故障発生の要因が減少して作動信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏心重錘の起振力制御方法を実施
するために構成した本発明に係る偏心重錘の起振力制御
装置を備えた杭打抜用起振機の要部を示し、模式的に描
いた断面図である。
【図2】上掲の図1の実施形態における偏心重錘歯車軸
と固定偏心重錘歯車と固定偏心重錘、および可動偏心重
錘歯車と可動偏心重錘とを抽出するとともに、上記偏心
重錘歯車軸を垂直な座標軸Zの回りに角θだけ折り曲げ
て描いた分解斜視図である。
【図3】流体式可逆回動機構として油圧揺動モータを用
いるとともにクラッチ手段としてベアロック形軸受を用
いた実施形態を示し、(A)は油圧揺動モータの横断面
を描いた模式図、(B)は位相制御歯車軸の中心を通る
面で切断して描いた模式図である。
【図4】流体式可逆回動機構として油圧揺動モータを用
いるとともに、クラッチ手段として油圧作動式多板クラ
ッチを用いた実施形態を示し、位相制御歯車軸の中心を
通る面によって切断して描いた断面図である。
【図5】振動杭打装置に関する振動公害の説明図であっ
て、(A)は振動波の伝達状態を表し、(B)は共振現
象を説明するための時間−回転速度の関係を表した図表
である。
【図6】起振機の作用を説明するための模式図であっ
て、(A)は偏心重錘が下降している状態を表し、
(B)は約90度回転した状態を表し、(C)はさらに
約90度回転して重錘が上昇した状態を表している。
【図7】2個の偏心重錘の組み合せによって起振力を変
化させる公知技術を説明するために示したものであっ
て、(A)は2個の偏心重錘が最大起振力を発揮する状
態を表す模式図、(B)は起振力中程度である状態を表
す模式図、(C)は起振力がやや小さい状態を表す模式
図、(D)は起振力がゼロの状態を表す模式図である。
【図8】共通の回転軸に対して固定偏心重錘を固着する
とともに可動偏心重錘を上記共通の回転軸に対する相対
的な回動角位置を調節できるようにした機構の模式図で
ある。
【図9】上掲の図8に原理を示したように、共通の1軸
に対して固定偏心重錘と可動偏心重錘とを配設して起振
力を増減調節できるようにした起振機の従来例の模式図
である。
【図10】前掲の図9に示した従来例の調節機構を備え
た起振機における回転軸と固定偏心重錘と可動偏心重錘
との関係を説明するために示したもので、(A)は部分
的に切断して描いた外観斜視図であり、(B)は回転軸
と平行な方向に見たところを描いた模式図である。
【図11】未公知の先願の発明(特願平7−15948
0号)の1実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…起振機のケース、2,2A〜2D…回転軸、3,3
A〜3D…偏心重錘、4,4A〜4D…同期回転用の伝
動歯車、5…クレーンブーム、6…振動装置(起振
機)、7…杭、8…民家、9,9A,9B…固定偏心重
錘、10,10A,10B…可動偏心重錘、10a〜1
0c…可動偏心重錘の調整位置、11…駆動用プーリ、
12…メネジ穴、13…ノックピン、14…セットボル
ト、15…六角レンチ、16…クラッチ手段、17…油
圧揺動モータ、17a…ケース、17b…仕切壁、17
c…ベーン、18…ベアロック、18a…スリーブ、1
8b…油溝、18c…Oリング、19…多板クラッチ、
19a…クラッチドラム、19b…ドライブプレート、
19c…ドリブンプレート、19d…プレッシャプレー
ト、19e…クラッチピストン、19f…クラッチシリ
ンダ、19g…クラッチスプリング、19h…油圧室、
20A,20B…固定偏心重錘歯車、21A,21B…
偏心重錘歯車軸、22A,22B…可動偏心重錘歯車、
24A…位相制御歯車・甲、24B…位相制御歯車・
乙、25…位相制御歯車軸、26…歯車ボス、33,3
3A,33B…同期伝動歯車、34,34A,34B…
同期伝動歯車軸、35,35A,35B,35C…位相
制御歯車、40…クラッチ手段、41…制御操作用モー
タ。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏心重錘歯車軸によって支承されている
    固定偏心重錘に固着された固定偏心重錘歯車に噛合して
    る位相制御歯車・甲、および、上記偏心重錘歯車軸に
    よって支承されている可動偏心重錘に固着された可動偏
    心重錘歯車に噛合している位相制御歯車・乙を、前記偏
    心重錘歯車軸と別体の位相制御歯車軸によって相対的な
    回転自在に支承し、 前記位相制御歯車・甲に対して位相制御歯車・乙を相対
    的に回動させる流体式の可逆回動機構を設け、上記流体
    式可逆回動機構を往復回動せしめて前記位相制御歯車・
    乙を同・甲に対して進相,遅相せしめて位相を調節し、 所望の位相になった状態で前記位相制御歯車・乙と位相
    制御歯車・甲との相対的回動をクラッチ手段によって解
    除可能に固定することを特徴とする、偏心重錘の起振力
    制御方法。
  2. 【請求項2】 前記のクラッチ手段を「断」にして流体
    式可逆回動機構を作動させ、固定偏心重錘と可動偏心重
    錘との総合起振力を減少せしめた状態で前記のクラッチ
    手段を「接」にし、該固定偏心重錘および可動偏心重錘
    の回転を開始して次第に加速し、 振動加速度が重力加速度よりも小さい状態で地盤の固有
    振動数に相当する回転数、および、起振機を吊持してい
    るクレーンブームの固有振動数に相当する回転数を通過
    し、 前記のクラッチ手段を「断」にして流体式可逆回動機構
    を作動させ、固定偏心重錘と可動偏心重錘との総合起振
    力を最大ならしめて定常運転に移行し、 前記のクラッチ手段を「断」にして流体式可逆回動機構
    を作動させ、固定偏心重錘と可動偏心重錘との総合起振
    力を減少せしめた状態で前記のクラッチ手段を「接」に
    し、 上記固定偏心重錘および可動偏心重錘の回転を次第に減
    速し、振動加速度が重力加速度よりも小さい状態で地盤
    の固有振動数に相当する回転数、および、起振機を吊持
    しているクレーンブームの固有振動数に相当する回転数
    を通過した後、停止することを特徴とする、請求項1に
    記載した偏心重錘の起振力制御方法。
  3. 【請求項3】 前記のクラッチ手段としてベアロック形
    の軸受を用い、ベアロック形軸受のスリーブを前記位相
    制御歯車・甲もしくは位相制御歯車・乙の何れか一方に
    対して同心状に連結するとともに、 ベアロック形軸受のシャフトを前記位相制御歯車・甲も
    しくは位相制御歯車・乙の何れか他方に対して同心状に
    連結し、 前記スリーブとシャフトとの間に圧力油を送給した状態
    で前記流体式可逆回動機構を作動させ、該スリーブとシ
    ャフトとの間への圧力流体送給を停止して上記流体式可
    逆回動機構の回動をロックし、位相制御歯車・甲と位相
    制御歯車・乙との位相差を固定して前記固定偏心重錘と
    可動偏心重錘との総合起振力を一定の値に保持すること
    を特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載した偏
    心重錘の起振力制御方法。
  4. 【請求項4】 前記のクラッチ手段として圧力流体作動
    式の摩擦クラッチを用いるとともに、該圧力流体作動式
    摩擦クラッチを作動させるための圧力源として前記流体
    式可逆回動機構を駆動するための圧力源を共用し、該共
    用の圧力源から操作弁を介して前記圧力流体作動式摩擦
    クラッチに対する圧力流体の送給を制御して遠隔操作す
    ることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載
    した偏心重錘の起振力制御方法。
  5. 【請求項5】 前記固定偏心重錘および可動偏心重錘の
    それぞれを厚肉の縦割り円筒形に形成して、それぞれを
    共通の偏心重錘歯車軸に対して同心状に装着し、前記固
    定偏心重錘と可動偏心重錘とが偏心重錘歯車軸に関して
    対称に位置した状態を基準として、可動偏心重錘が固定
    偏心重錘に対して位相を変化せしめ得る角度を約30度
    に制限することを特徴とする、請求項1ないし請求項4
    の内の何れかに記載した偏心重錘の起振力制御方法。
  6. 【請求項6】 前記の流体式可逆回動機構を高トルク・
    小ストローク形に構成し、その回動ストローク角度が3
    0度以上となる範囲内で、仕切壁とベーンとの組数を多
    く設定することを特徴とする、請求項5に記載した偏心
    重錘の起振力制御方法。
  7. 【請求項7】 前記のクラッチ手段として専用の機器を
    用いることなく、前記流体式可逆回動機構の圧力流体送
    入管路および圧力流体排出管路を操作弁で閉塞してその
    回動をロックすることにより、固定偏心重錘に対する可
    動偏心重錘の位相を一定に保持することを特徴とする、
    請求項1に記載した偏心重錘の起振力制御方法。
  8. 【請求項8】 それぞれ1対の固定偏心重錘に取り付け
    られて、相互に噛合している1対の固定偏心重錘歯車
    および該1対の固定偏心重錘歯車のそれぞれを支承する
    1対の偏心重錘歯車軸と、 上記1対の偏心重錘軸のそれぞれに支承されている1対
    の可動偏心重錘、および該 1対の可動偏心重錘に取り付
    けられて、相互に噛合している1対の可動偏心重錘歯車
    とを具備している起振機において、 前記1対の固定偏心重錘歯車の何れか一つに噛合してい
    る位相制御歯車・甲と、前記1対の可動偏心重錘歯車の
    何れか一つに噛合している位相制御歯車・乙とが、前記
    1対の偏心重錘軸と別体に構成された位相制御歯車軸に
    よって相互の回動可能に支承されており、 上記位相制御歯車・甲に対して位相制御歯車・乙を相対
    的に回動せしめる流体式可逆回動機構が設けられるとと
    もに、 上記位相制御歯車・甲と位相制御歯車・乙とが、相対的
    な回動を阻止したり、阻止を解除したりすることのでき
    るクラッチ手段を介して連結されていることを特徴とす
    る、偏心重錘の起振力制御装置。
  9. 【請求項9】 前記のクラッチ手段がベアロック軸受に
    よって構成されており、ベアロックスリーブが位相制御
    歯車・甲と位相制御歯車・乙との何れか一方に取り付け
    られるとともに、ベアブロックシャフトが位相制御歯車
    ・甲と位相制御歯車・乙との何れか他方に取り付けられ
    ていることを特徴とする、請求項8に記載した偏心重錘
    の起振力制御装置。
  10. 【請求項10】 前記のクラッチ手段が流体圧作動式の
    多板クラッチによって構成されており、 上記多板クラッチのドライブプレートが位相制御歯車・
    甲と位相制御歯車・乙との何れか一方に対して相対的回
    動を係止して装着されるとともに、 上記多板クラッチのドリブンプレートが位相制御歯車・
    甲と位相制御歯車・乙との何れか他方に対して相対的回
    動を係止して装着されていることを特徴とする、請求項
    8に記載した偏心重錘の起振力制御装置。
  11. 【請求項11】 前記位相制御歯車軸内にその長手方向
    に、少なくとも3本の流体圧力送給孔が設けられてお
    り、 上記少なくとも3本の流体圧力送給孔の中の少なくとも
    2本が前記流体式可逆回動機構に連通されるとともに、
    少なくとも1本が前記クラッチ手段に連通されているこ
    とを特徴とする、請求項8ないし請求項10の何れかに
    記載された偏心重錘の起振力制御装置。
  12. 【請求項12】 前記固定偏心重錘と可動偏心重錘とが
    ほぼ同形,同寸に形成されており、 これらの偏心重錘の、固定軸と垂直な面による断面形状
    は、頂角θの扇形に類似した2辺と円弧とを有してお
    り、 上記の頂角θの値は180°−αであり、 上記αの値は約60°であることを特徴とする、請求項
    8ないし請求項11の何れかに記載された偏心重錘の起
    振力制御装置。
  13. 【請求項13】 前記の、扇形に類似した断面形状を有
    する固定偏心重錘および可動偏心重錘は、内径寸法rの
    厚肉円筒を縦割りした形状をなしており、 かつ、前記固定偏心重錘は固定偏心重錘歯車、および、
    前記厚肉円筒と嵌合する外径寸法r−εの円筒状の歯車
    ボスと一体に連設されるとともに、 前記可動偏心重錘は可動偏心重錘歯車、および、前記厚
    肉円筒と嵌合する外径寸法r−εの円筒状の歯車ボスと
    一体に連設されていることを特徴とする、請求項12に
    記載した偏心重錘の起振力制御装置。ただし、前記のε
    は微小寸法を表している。
  14. 【請求項14】 前記のクラッチ手段が、前記流体式可
    逆回動機構の作動流体の流出,流入路を閉塞して該流体
    式可逆回動機構をロックせしめる操作弁によって構成さ
    れていることを特徴とする、請求項8もしくは請求項1
    2または請求項13に記載した偏心重錘の起振力制御装
    置。
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