JP2677569B2 - 化粧用壁板の取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 イ．発明の目的 イ−1.産業上の利用分野 本発明は建物の壁面或いは躯体（以下壁面という）に
対する化粧用壁板の取付構造の改良に係り、特に作業性
が良く取付が確実に行なえるようにした取付構造に関す
るものである。 イ−2.従来技術と問題点 建物の内外装用には人工石や天然石或いはタイル等の
化粧用壁板が使用される。 そしてこれら使用される化粧用壁板は一般に、コンク
リートの壁面に対しモルタルや樹脂系の接着材を介して
貼り付け的に取り付けられる。 しかしながらこのような接着材を使用する取付構造に
おいては、接着材と化粧用壁板との熱膨脹係数に差があ
るため、特に化粧用壁板の厚みが薄い場合にはこの熱膨
脹係数の差による応力によって化粧用壁板にキレツを発
生させたり、さらには破損させたりする。 また、接着材による方法は、取り付ける化粧用壁材が
大形の場合には接着材の養生、または硬化中に自重によ
ってづれたり、傾いたりして定位置に取り付けることが
できなかったりする。 また接着材を使用する場合には養生、硬化時間が必要
なため連続的に作業が出来ず作業性が悪い等の問題もあ
る。 本発明は上記の問題を解決するためのものである。 ロ．発明の構成 ロ−1.問題点を解決するための手段 本発明は前記の問題点を解決するために、建物の壁面
等に複数の化粧用壁板を隣接的に配置して固着するもの
において、取付片（２）をその一部が化粧用壁板（１）
の側端面より突出するようにして化粧用壁板（１）の裏
面に固着すると共に、該取付片（２）の突出部が相互に
近接するように設定し、別に溝部の上端両側に係止部
（4c）（4c）を翼状に拡げた形状をなす押え金具（４）
を設け、その係止部の縦幅（ｂ）を形成予定の目地幅と
同一なものとし、且つ縦幅の両端面（4d）（4e）が隣接
壁板の間に当接的に介入され、前記係止部（4c）（4c）
が隣接する取付片（２）の上面に係合した状態で押え金
具（４）を、壁面（６）へ取付具により固定したことを
特徴とするものである。 ロ−2.実 施 例 次に本発明の実施例を図面に基づき説明する。 図中、（１）は人工石の化粧用壁板であり、同壁板は
ガラスカレット、アルミナ、粘度（ベントナイト）、さ
らには金属酸化物などの着色剤または模様剤を原料と
し、ロールによる成型（加圧）によって所定の幅で長尺
のものを連続的に形成し、それを所定の長さに切断した
後さらに短時間、低温で焼成して作るもので、図面では
全体が長方形の板状に形成されている。（２）は化粧用
壁板（１）の裏面（1a）側の適宜箇所に所定のピッチで
もって一体に固着した短形の取付片であり、その略半分
を上下および左右の側端面（1b）（1c）、（1d）（1e）
よりそれぞれ外方へ突出させて固着したもので、例えば
第１図の実施例では上下側端面の長片側に４個づつ、さ
らに左右側端面の短片側に１個づつ、合計10個設けられ
ている。なお、該取付片（２）は前記化粧用壁板（１）
と同一の原料によって形成された後、同様に焼成して作
られるもので、同片（２）は化粧用壁板（１）に対して
例えば低融点ガラスフリット等の無機系接着材（３）に
よって一体に固着されている。また該取付片（２）は、
隣接する化粧用壁板（１）の該取付片（２）が相互に近
接して並列的に位置するように配置されている。（４）
は凸形に形成したアルミ、亜鉛鋼板あるいはステンレス
製の押え金具であり、第５図に示す如く、その中央の凹
部（4a）には後述の取付ボルト（5b）が嵌装する取付穴
（4b）を形成すると共に、さらにその凹部の両側には、
取付時に化粧用壁板の取付片（２）を外表面から押え付
けるようにする翼状の係止部（4c）を設けている。 なお、押え金具（４）については第６図のような凹形
に折り曲げたものを使用されるが、これは最上部に位置
する化粧用壁板（２）の上側端面（1b）、または最下部
に位置する化粧用壁板の下側端面（1c）の取付片（２）
を取り付ける場合に使用するもので、したがって係止部
（4c）が片側に設けられていない。ただし、このような
場合にも両側に係止部（4c）を形成した第５図の押え金
具（４）を使用しても何等かまわない。（５）は取付を
予定している壁面（６）の所定の位置に固設した取付具
であり、例えばドリル等の工具によって壁面（６）に穴
をあけてその穴に接着剤にて埋込み固着した雌ねじアン
カー（5a）と、該雌ねじアンカー（5a）に螺着するボル
ト（5b）とによりなっている。これら取付具（５）間の
ピッチは上記の化粧用壁板の取付片（２）間のピッチ
（ａ）に合わせて決められる。 なお、前記雌ねじアンカーは、係止爪や係止溝を備え
たものであったり、あるいは割りが入っていて弾性が付
与された脱落防止構造のものを使用してもよく、この場
合は壁面に形成する取付穴を雌ねじアンカーの外径より
小径に形成することにより、該雌ねじアンカーを軽く打
ち込むだけで、特に接着材を使用することなく壁面に対
し簡単に固設することができる。 次に化粧用壁板（１）の壁面（６）への取付について
説明する。 取付を予定している壁面（６）に対し、化粧用壁板
（１）の取付片（２）の設置ピッチ（ａ）でもって穴を
あける。 穴をあけた後、次に同穴に雌ねじアンカー（5a）を
挿入固定する。 次に前記の如く、雌ねじアンカーの固定が終わったな
らば次に化粧用壁板（１）を次のようにして取り付け
る。 化粧用壁板（１）の取付は壁面（６）に対し下から
上に向って順次行なっていくもので、先ず、最下段の化
粧用壁板（１）を、前記の如く配設固定した雌ねじアン
カー（5a）に対し化粧用壁板の取付片（２）をそれぞれ
位置合わせして配置する。 位置合わせした状態でもって次に最下段の化粧用壁
板の裏面（1a）と壁面（６）との間にジェットセメント
等の速効性接着材（７）を所定の箇所に点状に介在さ
せ、同壁板（１）を壁面（６）側に押し付けるようにし
て壁面に仮付けする。 最下段の化粧用壁板（１）の仮付けが終わったなら
ば、その壁板（１）の下辺部を、第６図に示す押え金具
（４）とボルト（5b）とによって取付を行なう。すなわ
ち、上記の押え金具（４）を、その係合部（4c）が取付
片（２）の表面に係合するようにすると共にその取付穴
（4b）が壁面（６）側でかつ前記雌ねじアンカー（5a）
上に位置するようにして配置し、その取付穴（4b）にボ
ルト（5b）を嵌装すると共に前記雌ねじアンカー（5a）
にネジ込む。このネジ込みによって上記押え金具の段部
が取付片（２）の側部に位置し、係止部（4c）が取付片
（２）を外表面に保持し、同壁板（１）は押圧された状
態で壁面（６）に取り付け保持される。 この場合、最下段の壁板（１）の上側端面（1b）の取
付片（２）の押え金具（４）については仮締め状態にし
ておくか、取り外した状態にしておく。 上記のごとく最下部（１段目）の化粧用壁板（１）
の取付が終わったならば次に２段目の化粧用壁板（１）
を取り付ける。 ２段目の化粧用壁板（１）は上記１段目の場合とほぼ
同様な手順で行なうが、２段目の化粧用壁板（１）の場
合は、その下側端面（1c）の各取付片（２）を第１段目
の上側端面（1b）の各取付片（２）に対しそれぞれ組状
になるように平行配置させると同時に雌ねじアンカー
（5b）の取付位置とも合わせるようにする。 取付位置を合わせた状態において次に第２段目の化
粧用壁板（１）の裏面（1a）と壁面（６）との間に上記
同様速効性接着材（７）を介在させ同壁板を仮付けす
る。 仮付けが終わったならば第５図に示す押え金具
（４）を用いて、これを、その両係止部（4c）（4c）が
両化粧用壁板（１）（１）の夫々の取付片（２）（２）
に共通的に係合させて後前記と同様に、この押え金具
（４）をボルト（5a）により壁面（６）に固定する。こ
の場合、押え金具（４）の中央部（4a）は、両取付片
（２）（２）間に介在され、両化粧用壁板（１）（１）
の左右方向の位置ズレが防止される。 このようにして以降、第３段目・・・、第４段目・・
・と順次取り付けていく。 第１列目の取付が終了したならば次に左右に配置さ
れる第２列目の化粧用壁板の取付を行なう。第２列目に
取り付ける化粧用壁板（１）も第１列目と同様に取り付
けるのであるが、左右の側端面（1d）（1e）側に位置す
る取付片（２）についても第１列目と第２列目の各取付
片を組状に対向させ、さらに雌ねじアンカー（5a）の取
付位置とも合わせてそれらを取付具のボルト（5b）と押
え金具（４）とによって同時に取り付けていく。ただ
し、この場合は押え金具（４）は90゜回転させた状態、
つまりは両側の係止部（4c）が上下（縦）方向に向いた
状態で取り付ける。 壁面（６）の所定取付位置に対し上記のごとく化粧
用壁板（１）を全て取り付けたならば最後に、化粧用壁
板（１）と隣接する化粧用壁板（１）とで形成する上下
方向ならびに左右方向のそれぞれの間隙（ｇ）に対し目
地材（８）を注入してシールを行ない、取付作業を終了
する。 なお、上記において、押え金具（４）の縦幅の両端部
（4d）と（4e）とを平行に形成し、同金具の取付時にそ
の一方の端部（4d）を化粧用壁板（１）の下側端面（1
c）に当接させて支持するようにすれば化粧用壁板
（１）の取付はさらに確実なものになる。 さらに上記の押え金具（４）の縦幅の両端部間の幅
（ｂ）を形成予定の目地幅と同一なものとし、隣接する
化粧用壁板（１）の上側端面（1b）の下側端面（1c）間
に、さらに左右の側端面（1d）（1e）間にそれぞれ当接
させるようにすれば、上下方向あるいは左右方向に形成
される間隙（ｇ）が整然となってきっちりとした筋目の
通った目地に仕上げることができる。 また、第10図乃至第14図のように化粧用壁板に固着す
る取付片（２）を大きく延出させたもの、すなわち、化
粧用壁板（１）の側端面（1b）、（1c）、（1d）、（1
e）からの突出寸法を大きくするようにすれば取付時に
その延出した部分（2b）が隣接する化粧用壁板（１）の
裏面（1a）に対し第12図、第14図の如く接することにな
るため、隣接する化粧用壁板（１）とが表裏面方向に相
互に位置決めされてこれら壁板間の表面（1f）側のレベ
ルを同一にすることができると同時に目地幅設定の場合
には同部分（2b）がガイドとして働くため作業がしやす
くなる。 なお上記の取付時、押え金具（４）の中央の凹部（4
a）と壁面（６）との間に、高さ調整用のスペサーを介
在させたりさらに押え金具の係止部（4c）と取付片
（２）との間にゴム等の緩衝体を介在させることが必要
に応じて行なわれる。 第15図乃至第17図は更に他の実施例を示すもので、こ
の実施例は、隣接する化粧用壁板の両取付片（２）
（２）を図示のごとく対向的に突出させて設け、取付時
には、これら両取付片（２）（２）を第16図に示す如く
相互に当接させ、凸状の押え金具（４）を、この突部を
両取付片（２）（２）の外表面に共通するように係合さ
せて、前記と同様な雌ねじアンカー（5a）及びボルト
（5b）で壁面（６）に固着したものである。 第18図乃至第20図は更に他の実施例を示すもので、前
記第15図の実施例における両取付片（２）（２）の先端
面にボルト挿通穴（2c）を形成し、押え金具（４）を１
体のボルト（5b）で固着するようにしたものである。 ハ．発明の効果 以上のようであるから，本発明の取付構造によれば、
接着材を使用することなく所謂乾式工法による取付けの
ため従来の接着材を使用した取付方法の場合のように接
着材の養生、硬化時間を不要とし、施行期間の短縮化が
図れる。また、化粧用壁板は、これに固着した複数の取
付片によって、壁面に対する確実な取付が行なえる。ま
た、化粧用壁板の取付に際しては壁面に対する取付具及
び押え金具の取付作業が前方からできるため作業がしや
すい。 また、上記のごとく接着材が不要のため接着材と化粧
用壁板との間で発生する両者の熱膨脹係数の差によって
招くキレツ等の破損事故を発生させない。 また、万が一化粧用壁板が破損した場合には取付具を
外して同壁板の取り替えができるため修理がしやすいと
同時に経済的でもある。 また、取付片を側端面から外方へ大きく突出させて隣
接する化粧用壁板の裏面に接するようにすれば、同取付
片によって各化粧用壁板間の表面側のレベルを同一にす
ることができると共に目地幅を設定する時に作業がしや
すくなる等の特長を有するものである。 押え金具（４）の上辺部（4d）と下辺部（4e）とを平
行に形成したので、同金具の取付時にその上辺部（4d）
を化粧用壁板（１）の下側端面（1c）に当接させて支持
するようにすれば化粧用壁板（１）の取付はさらに確実
なものになる。

【図面の簡単な説明】 図面は本発明の取付構造を示すもので、第１図は目地材
を注入しない前の化粧用壁板の取付状態図、第２図は化
粧用壁板の正面図、第３図は第２図の側面図、第４図は
取付片の固着部を示す拡大斜視図、第５図は押え金具の
斜視図、第６図は異なった例の押え金具の斜視図、第７
図は目地材を注入しない前の化粧用壁板の取付部分にお
ける拡大図、第８図は第７図のＡ−Ａ線断面図、第９図
は第７図のＢ−Ｂ線断面図、第10図は第７図のＣ−Ｃ線
断面図、第11図は延出した取付片を固着した場合の化粧
用壁板の取付部分の拡大図、第12図は第11図におけるＤ
−Ｄ線断面図、第13図は第11図におけるＥ−Ｅ線断面
図、第14図は延出した取付片を有する化粧用壁板の取付
過程を示す側面図、第15図乃至第17図は他の実施例を示
すもので、夫々１部の平面図、取付時の平面図、Ｆ−Ｆ
線断面図である。第18図乃至第20図は更に他の実施例を
示すもので、夫々１部の平面図、取付時の平面図、Ｇ−
Ｇ線断面図である。 （１）……化粧用壁板 （1a）……裏面 （４）……押え金具 （4b）……取付穴 （4c）……係止部 （５）……取付具 （5a）……雌ねじアンカー （5b）……ボルト

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．建物の壁面等に複数の化粧用壁板を隣接的に配置し
   て固着するものにおいて、取付片（２）をその一部が化
   粧用壁板（１）の側端面より突出するようにして化粧用
   壁板（１）の裏面に固着すると共に、該取付片（２）の
   突出部が相互に近接するように設定し、別に溝部の上端
   両側に係止部（4c）（4c）を翼状に拡げた形状をなす押
   え金具（４）を設け、その係止部の縦幅（ｂ）を形成予
   定の目地幅と同一なものとし、且つ縦幅の両端面（4d）
   （4e）が隣接壁板の間に当接的に介入され、前記係止部
   （4c）（4c）が隣接する取付片（２）の上面に係合した
   状態で押え金具（４）を、壁面（６）へ取付具により固
   定したことを特徴とする化粧用壁板の取付構造。 ２．特許請求の範囲第１項記載の取付片（２）が、隣接
   する化粧用壁板（１）の取付片相互が並列的に配置され
   ていると共に、その突出部の長さが相手側の化粧用壁板
   （１）の裏面まで達する長さに形成されている化粧用壁
   板の取付構造。