JP2676821B2 - 機械式過給機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明はすべり軸受機構に特徴を有する内燃機関用機
械式過給機に関するものである。

（従来の技術） 第２図は特開昭62−199928号公報において従来提案さ
れている機械式過給機を示す。図において20はロータ
で、ロータ軸21とは半径方向の固定ピン22を介して一体
化されており、ロータ軸21の両端部はすべり軸受23を介
してハウジング24に回転自在に支持されている。ハウジ
ング24は、左右のすべり軸受23をそれぞ支持したセンタ
ハウジング25a,25bと、このセンタハウジング25a,25bの
両側に位置するサイドハウジング26a,26bからなってい
る。また前記ロータ20は、センタハウジング25a,25b内
に位置し、吸気バイパス通路はセンタハウジング25aに
開口している。

このルーツ式ポンプの被駆動軸となる図の下側のロー
タ軸21は、センタハウジング25aを貫通して図面左側の
サイドハウジング26a内に突出し、このサイドハウジン
グ26a内に、プーリ28の回転をこのロータ軸21に伝える
ための湿式多板クラッチ装置30が設けられている。プー
リ28の原動軸29は、内燃機関の直径駆動系によって回転
駆動される原動軸である。

また湿式多板クラッチ装置30自体は周知のものである
が、プーリ28及び原動軸29は、原動側クラッチ多板31を
支持するクラッチ板支持板32と共に、ころがり軸受33を
介してサイドハウジング26aに回転自在に支持されてい
る。他方ロータ軸21には、従動側クラッチ多板35を支持
したクラッチ板支持板36が固定されていて、従動側クラ
ッチ多板35は、前記原動側クラッチ多板31の間に挿入さ
れている。原動側クラッチ多板31と従動側クラッチ多板
35は、夫々回転方向にはクラッチ板支持板32及びクラッ
チ板支持板36と一体に回転し、軸方向に移動できるもの
である。そしてこの原動側クラッチ多板31と従動側クラ
ッチ多板35は、サイドハウジング26a側に固定した電磁
石37に通電すると、互い密着する傾向となり、その密着
力は電磁石37への通電量で制御できる。つまり原動軸29
からロータ軸（被駆動軸）21へ伝達するトルクを電磁石
37への通電量で制御できる。

この湿式多板クラッチ装置30は、原動側クラッチ多板
31と、従動側クラッチ多板35間にオイルを供給し、電磁
石37への通電量が小さい場合は、両者を積極的に滑らせ
るという性質を有する。オイルは潤滑と冷却の作用をす
るため、サイドハウジング26aの下部には、オイル38が
封入されており、クラッチ板支持板32と36（クラッチ多
板31と35）との下方の一部は、このオイル36内に浸って
いる。従ってクラッチ多板31と35の間には常にオイルが
介在する。

センタハウジング25aには、このオイル38をすべり軸
受23の潤滑に利用するため、図面の左方上部のすべり軸
受23の更に上部に位置するオイル溜り40と、このオイル
溜り40から上下のすべり軸受23に至るオイル通路41が設
けられている。オイル溜り40に対するオイルの供給は、
所謂はね掛け給油でサイドハウジング26a内でクラッチ
板支持板32と36が回転すると、これと接触しているオイ
ル38が上方に飛び、これがオイル溜り40内に入る。すべ
り軸受23に供給されるオイルは、ロータ軸21外周のオイ
ルシール42の潤滑にも用いられる。オイルをオイル通路
41に戻すオイル戻し通路41cは、オイル通路41のオイル
を湿式多板クラッチ装置30に導くクラッチ潤滑油路であ
る。

すべり軸受23は、二分割型の半円筒状のすべり軸受、
全円筒状のプッシュタイブの何れも使用することができ
る。オイル通路41は、このすべり軸受23の潤滑油孔23a
に連通し、すべり軸受23とロータ軸21との間にオイルク
リアランスにオイルを供給する。

一対のロータ軸21は、図面の右方のサイドハウジング
26b内に突出し、その突出部に互いに噛み合う同期ギヤ4
5が夫々固定されている。この噛み合いにより、一対の
ロータ20が同期して等速で回転する。この同期ギヤ45側
のサイドハウジング26bにも、湿式多板クラッチ装置30
側のサイドハウジング26aと同様に、オイル38が封入さ
れていて、下方の同期ギヤ45の一部はこのオイル38に浸
っている。そしてこの同期ギヤ45によって跳ね上げられ
るオイル38によって、すべり軸受23及びオイルシール42
が潤滑される。

この他に従来もころがり軸受におけるスラスト方向の
ガタ防止として、複列アンギュラ玉軸受にて行っている
ものが提案されているが、これにはメカロスがあり、か
つ騒音が大きい等の問題があった。

（発明が解決しようとする課題） 前記第２図のすべり軸受23は、ラジアル方向のガタに
しか対処できない構造になっており、またオイル潤滑は
跳ね掛け給油で行っているため、軸受へのオイル供給が
十分に行えない可能性があり、軸受が破損する虞れがあ
った。

本発明は軸受部にプレート部を持った軸受を有するこ
とにより、スラスト方向のガタを小さくでき、そのため
ロータとハウジングの端面クリアランスを少なくするこ
とができ、このため送風空気の洩れ量が少なくなって過
給機の効率向上を図ることができ、かつ軸受への十分な
潤滑を行うことができる機械式過給機を提供せんとする
ものである。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） このため本発明は、２個のロータを有し、ロータ軸を
フロント側及びリヤ側で支持するようにした２軸機械式
過給機において、ロータ軸の一方側の軸受は、ベアリン
グハウジング内に圧入された軸受部材と、該部材の外側
面側に位置するプレート部と、該部材の内周部に位置し
ロータ軸に嵌合されて一体回転する円筒部とよりなる軸
受と、前記軸受部材の外周外側面の一部に当接する外周
部と前記軸受のプレート部の外側面側に位置する側面部
とよりなるリテーナとにより形成され、ロータ軸の他方
側軸受は、ロータハウジング内に圧入されてロータ軸を
支持する軸受部材により形成されており、潤滑油は、フ
ロント側はベアリングハウジングに形成された供給通路
より前記フロント側軸受の各軸受部材の夫々の間に供給
され、リヤ側はロータハウジングに形成された供給通路
から前記リヤ側の軸受部材に供給されるようにしてなる
もので、これを課題解決のための手段とするものであ
る。

（作用） ラジアル方向のロータの振れは、一方の側は軸受によ
り、他方側は軸受部材により保持し、スラスト方向のロ
ータの振れは、一方の側で軸受のプレート部、リテーナ
の外周部及び側面部により保持し、潤滑油は、一方の側
はベアリングハウジングに形成された供給通路から該一
方側軸受の夫々の軸受部材の間に供給し、他方側はロー
タハウジングに形成された供給通路から該他方側の軸受
部材に供給する。

（実施例） 以下本発明を図面の実施例について説明すると、第１
図は本発明の実施例を示し、ロータ軸に取付けられた２
個のロータの組合せ構造は前記従来の第２図のものと同
じである。さて第１図においてはベアリングハウジング
４内に圧入された軸受部材２と、ロータ軸６と一体回転
するよう嵌合され、軸受部材２の外側面側に位置するプ
レート1aと該部材２の内周部に位置しロータ軸６を支持
する円筒部1bよりなる軸受１と、軸受部材２の外周側面
の一部に当接する外周部3aと軸受１のプレート部1aの外
側面側に位置する側面部3bとよりなるリテーナ３とによ
ってフロント側軸受が形成され、またロータハウジング
５内に圧入され、ロータ軸６を支持する軸受部材11によ
ってリヤ側軸受が形成されている。

またフロント側軸受の潤滑油は、ベアリングハウジン
グ４に形成された供給通路ａから軸受部材２、軸受１及
びリテーナ３の夫々の間に、軸受部材２内の通路2a及び
リテーナ３内の通路3cを経て供給される。更に供給通路
ａより供給された油はフロント側軸受を経て駆動伝達用
ギヤ８を潤滑し、また排出通路にはギヤ室ｅより下方に
延びるドレン通路ｃがある。一方リヤ側軸受の潤滑油
は、ロータハウジング５に形成された供給通路ｂからロ
ータハウジング５の軸受部材11に供給され、排出通路に
はリヤカバー12に形成されたドレン通路ｄが下方に延び
ている。またエア及びオイル洩れ防止としては、フロン
ト側には軸シール９、リヤ側には軸シール10が設置され
ている。なお、13はロータ、14はロータ室である。

次に作用を説明すると、内燃機関内に設置されたオイ
ルポンプによって加圧されて来る潤滑油が、フロント側
軸受には供給通路ａ、リヤ側には供給通路ｂを通じて軸
受部へ供給されることにより、ロータ軸６と一体回転す
る軸受１と軸受部材２、リテーナ３の間及び軸受部材11
とロータ軸６の間に潤滑油の層が出来、メタル部が接触
することなく回転する。

またスラスト荷重は、軸受１のプレート部1aと、軸受
部材２の外周側面に接するリテーナ３とによって受けら
れる。一方ラジアル荷重は、フロンド側は軸受１の円筒
部1bと軸受部材２の内面によって保持され、リヤ側は軸
受部材11の内面によって保持される。

軸受内を通った潤滑油は、フロント側はギヤ室ｅ内に
導かれ、ドレン通路ｃを通じて内燃機関側へ戻される。
またリヤ側も同様に軸受内を通った循環油は、リヤカバ
ー12内に導かれ、ドレン通路ｄを通って内燃機関側へ戻
される。また軸受内のオイルシール側に溜まった潤滑油
は、フロント側については通路ｇを通じてギヤ室ｅへ、
リヤ側については通路ｈを通じてリヤカバー12内へ流れ
出る。なお、リヤ側をスラスト受構造とし、フロント側
を単なるすべり軸受としてもよい。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明した如く本発明は構成されているた
め、ロータのラジアル方向及びスラスト方向の振れに対
し、フロント側軸受及びリヤ側軸受で十分に対応するこ
とができる。従って、スラスト方向の振れの減少によ
り、ロータとハウジング間のクリアランスを小さくして
過給機の効率アップを図ることができる。また潤滑油も
従来のように跳ね掛け給油でなく、供給通路から直接供
給するため、給油量が不足するようなことはなく、従っ
てメカロス低減、騒音低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す機械式過給機の側断面
図、第２図は従来の機械式過給機の側断面図である。 図の主要部分の説明 １……軸受、1a……プレート部 1b……円筒部、２……軸受部材 ３……リテーナ、3a……外周部 3b……側面部 ４……ベアリングハウジング ５……ロータハウジング、6,7……ロータ軸 ８……駆動伝達用ギヤ、9,10……軸シール 11……軸受部材、12……リヤカバー 13……ロータ、a,b……供給通路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２個のロータを有し、ロータ軸をフロント
   側及びリヤ側で支持するようにした２軸機械式過給機に
   おいて、ロータ軸の一方側の軸受は、ベアリングハウジ
   ング内に圧入された軸受部材と、該部材の外側面側に位
   置するプレート部と、該部材の内周部に位置しロータ軸
   に嵌合されて一体回転する円筒部とよりなる軸受と、前
   記軸受部材の外周外側面の一部に当接する外周部と前記
   軸受のプレート部の外側面側に位置する側面部とよりな
   るリテーナとにより形成され、ロータ軸の他方側軸受
   は、ロータハウジング内に圧入されてロータ軸を支持す
   る軸受部材により形成されており、潤滑油は、フロント
   側はベアリングハウジングに形成された供給通路より前
   記フロント側軸受の各軸受部材の夫々の間に供給され、
   リヤ側はロータハウジングに形成された供給通路から前
   記リヤ側の軸受部材に供給されることを特徴とする機械
   式過給機。