JP3664498B2 - バキュームポンプ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はバキュームポンプに係わり、特にエンジンを駆動源とする車両用として好適なバキュームポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のブレーキ倍力装置の負圧源としてバキュームポンプが用いられている。この種のバキュームポンプは、一般に特開昭61−145390号公報に開示されるようにオルタネータの端部に設けて、オルタネータから動力を得ている。また、近年、エンジンに直付けしてエンジンから直接動力を得る方式が提案されている。例えば、特開昭63−105295号公報に開示されるバキュームポンプは、エンジンに直付けし、エンジンのクランクシャフトとポンプシャフトとを平行に配置して、これらのシャフトをギヤ機構などを介して接続している。
【0003】
また、上記特開昭61−145390号公報、特開昭63−105295号公報等に記載のように、バキュームポンプは増速機構を内蔵しておらず、かつロータを包囲するケーシング自体にバキュームポンプを相手部材に装着するためのブラケット部を形成していた。また、実開昭63−104695号公報に開示されるように、回転軸用のころがり軸受やオイルシールを装着対象である相手部材のブラケット部に固定し、ロータを包囲するケーシングをそのブラケット部に取付けたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的にエンジン直付けタイプのバキュームポンプを使用する場合、オルタネータから動力を得るものに比べて回転数が落ちるため、必要性能を確保するためポンプ容量を増大しなければならない。特に、エンジン回転数の1/2で回転するカムシャフトを駆動源とする場合は、オルタネータ駆動のバキュームポンプの4倍程度のポンプ容量が必要となり、このため取付けスペースも4倍程度必要となる。また、必要性能を確保するため増速機構を介して回転数を上げることも考えられるが、この場合はその増速機構の取付けスペースが必要となる。しかし、実際にはエンジン回りはスペースの制約があり、エンジン直付けタイプではポンプ容量を大きくしたり増速機構を取付けたりすることは難しく、必要性能を得ることが難しいのが現実である。
【0005】
一方、エンジン直付けタイプ、特にカムシャフトを駆動源とするタイプのバキュームポンプでは、ポンプとしての必要容量が同じ場合でも、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様は異なる。したがって、従来のようにロータを包囲するケーシング自体にブラケット部を設けているバキュームポンプでは、装着仕様に見合った数だけのケーシングが必要となっていた。しかし、このケーシングはシリンダプロフィールを内面に形成するための精密な加工が必要であり、装着仕様に見合った数のケーシングを用意することはコストアップになる。
【0006】
本発明の第1の目的は、エンジン直付けタイプの必要性能を確保した上でコンパクト化を可能とするバキュームポンプを提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、装着仕様が異なる場合でも、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用可能にするバキュームポンプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記第1及び第2の目的を達成するために次の構成を採用する。すなわち、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を持つバキュームポンプにおいて、外部から入力を得る第1シャフトと、ポンプ機構を駆動する第2シャフトと、前記第1シャフトと第2シャフトを連結する増速機構と、前記第1シャフトを回転自在に支持し前記増速機構を内蔵するギアケースと、前記第2シャフトを回転自在に支持しポンプ室を形成するケーシングとを備え、前記ギアケースとポンプ室ケーシングを別部材で構成し、前記ギアケースに装着仕様に対応する形状を持ち、装着時に取付け足となるブラケット部を設けるとともに、前記第2シャフトの中心部軸方向に貫通穴を設け、前記貫通穴をギアケース内空間に開口させ、ポンプ室内摺動部を潤滑した潤滑油の一部を前記貫通穴を経由しギアケース内空間へ導き、更にギアケース内空間とポンプ室の低圧作動室を細孔で連通させ、増速機構を潤滑した潤滑油を前記ポンプ室の低圧作動室を経由して外部へ帰還させる構成とする。
【0010】
また、上記バキュームポンプにおいて、好ましくは、前記第1シャフトと第2シャフトの少なくとも一方の周囲にポンプ内圧と大気を遮断するオイルシールを設け、前記オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成する。
【0011】
また、好ましくは、前記第2シャフトは前記第1シャフト及び外部の駆動源の少なくとも一方との直結を可能とする継手機構を備える。
【0012】
更に、好ましくは、前記第1シャフトを前記ギアケース内にころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記ころがり軸受の外輪を前記ギアケースに固定しかつ前記ころがり軸受の内輪を前記第1シャフトに固定し、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持する構成とする。
【0013】
代わりに、前記第2シャフトの少なくとも増速機構側端部を前記ポンプ室ケーシング内でころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記第1シャフトの一部を前記ころがり軸受の内輪或いは外輪の端面に接触可能とし、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持する構成としてもよい。
【0015】
【作用】
以上のように構成した本発明では、エンジンのカムシャフトから動力を得る場合は、第1シャフトはエンジン回転数の1/2となるが、第2シャフトはギアケース内の増速機構により増速されて回転するため、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができる。
【0016】
また、ギヤケースに装着仕様に対応する形状を持ち、装着時に取付け足となるブラケット部を設けたため、車種やエンジンにより装着箇所や、装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、装着仕様に応じてギヤケースを変えるだけで取付けが可能であり、必要ポンプ容量が同じであれば、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用することができる。一方、装着仕様が同じであれば、ポンプ部を変えることでポンプ容量を変えることができる。すなわち、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット(ギヤケース)を使用することができる。
【0017】
また、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を採用するものにおいて、増速機構を包囲するギアケース内空間を当該潤滑方式の潤滑経路の一部とすることにより、増速機構を潤滑することが可能となる。更に、ポンプ室内摺動部を潤滑した潤滑油の一部を第2シャフトに設けた貫通穴を経由しギアケース内空間へ導き、増速機構を潤滑した潤滑油を細孔を介して前記ポンプ室の低圧作動室から外部へ帰還させることにより、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0018】
更に、オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成することにより、高圧の潤滑油が瞬時にギアケースの内部空間に供給される場合でも、緩和された圧力がオイルシール部にかかるようになり、このため直接オイルシール部に高圧がかかることはなく、オイルシールの破損、オイルシールの破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。
【0019】
第2シャフトに第1シャフト及び外部の駆動源の少なくとも一方との直結を可能とする継手機構を設けることにより、増速が不要の場合は、増速機構を取外し、第1シャフトと第2シャフトを直結するか、外部の駆動源と第2シャフトを直結し、増速せずに直接ポンプを駆動することができる。
【0020】
第1シャフトを回転自在に支持するころがり軸受の外輪をギヤケースに固定し、内輪を第1シャフトに固定し、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することにより、第1シャフトに図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、スラスト力が第2シャフトに伝わることはなく、サイドプレートのロータ接触面或いはケーシングのロータ接触面にかかる荷重を軽減でき、接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0021】
第2シャフトの少なくとも増速機構側端部を回転自在に支持するころがり軸受の内輪或いは外輪の端面に第1シャフトの一部を接触可能とし、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することによっても、同様に接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0022】
【実施例】
本発明の一実施例を図面により説明する。
図1は本発明の一実施例に係る可動翼型バキュームポンプの縦断面図であり、図2及び図3はそれぞれ図1のII−II線断面図及びIII−III線断面図である。
【0023】
図1〜図3において、ギアケース1内には増速機構2が内蔵され、かつ例えばエンジンのカムシャフトなど図示しない外部からの回転力を導入する第1シャフト3がころがり軸受4を介して回転自在に支持されている。ころがり軸受4は止め輪4Aにより第1シャフト3に対し軸方向に移動しないように固定されている。また、前記ギアケース1にはオイルシール12が固定され、前記第1シャフト3との間でギアケース1内と大気をシールしており、前記オイルシール12の上流側のギヤケース1内には、前記第1シャフト3との隙間にラビリンス溝を形成したラビリンスピース13が固定されている。また、前記ギアケース1の外周には装着用のブラケット部1aが形成されている。
【0024】
シリンダプロフィールを内面に形成したケーシング5内には、そのシリンダプロフィールに対し偏心した位置で回転するロータ6が内蔵され、ロータ6にはその外周に開口する径方向のベーン溝7Aが形成され、そのベーン溝7Aにベーン7が摺動可能に挿入されている。また、ロータ6には第1シャフト3に増速機構2を介して連結された第2シャフト10が圧入されている。ケーシング5の開口側端面はサイドプレート8で密封され、第2シャフト10はケーシング5に外輪を圧入固定されたころがり軸受9とサイドプレート8に設けられたメタル軸受11を介して回転自在に支持されている。これらケーシング5、ロータ6、ベーン7、サイドプレと8、ころがり軸受9、第2シャフト10及びメタル軸受11でポンプ部Aを形成している。
【0025】
増速機構2は、図2に示すように、1つの太陽歯車2aとこれに噛合う3つの遊星歯車2b,2b,2bとからなり、太陽歯車2aは第2シャフト10の一端に形成され、遊星歯車2bは第1シャフト3の内端に設けられたピン3aに回転自在に固定されている。
【0026】
次に、上記バキュームポンプの動作を説明する。第1シャフト3にエンジンカムシャフトなど外部から回転力が伝達されると、増速機構2を介して回転力が第2シャフト10に伝わり、第2シャフト10に固定されたロータ6は第1シャフト3に対し、増速して回転する。ケーシング5のシリンダプロフィールは、遠心力によりケーシング5の内面に接触しながら回転するベーン7のストロークが正弦波で変化するよう設定されており、第2シャフト10の回転中心、即ちロータ6の回転中心は、シリンダプロフィールに対し偏心した位置関係にあるため、ロータ6が回転すると、ケーシング5、ロータ6、ベーン7及びサイドプレート8で形成される空間の容積が変化し、ケーシング5の内面に開口する吸入口5aから流入した空気は、同じくケーシング5の内面に開口する排気口5bから排出され、ポンプ作用が行われる。この際、第1シャフト3に図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、第1シャフト3は止め輪4A及びころがり軸受4を介して前記ギアケース1に固定されているため、前記スラスト力が第2シャフト10に伝わることはない。
【0027】
したがって本実施例によれば、例えばエンジンのカムシャフトから動力を得る場合は、第1シャフト3はエンジン回転数の1/2となるが、第2シャフト10は増速機構2により増速されて回転するため、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができる。
【0028】
また、第1シャフト3にかかるスラスト力はころがり軸受4で支持し、第2シャフト10に伝わることがないため、サイドプレート8のロータ接触面(或いは、図8及び図9に示すようにケーシング5の開口部端面がギアケース1側に位置する場合は、ケーシング5のロータ接触面)にかかる荷重を軽減でき、前記接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0029】
次に、本実施例のバキュームポンプは、ギヤケース1とポンプ部Aのケーシング5を別部材で構成し、ギヤケース1に設けられたブラケット部1aによりエンジンに装着される。このブラケット部1aは例えば図2に示すような形状をしており、車種やエンジンにより異なる装着個所や装着寸法等、装着仕様に応じて決められる。図示のブラケット部1aの形状は1つの装着仕様に対応するものであり、装着仕様が異なれば、例えば想像線Xで示すようにブラケット部の形状の異なるギアケースを用い、ギヤケースのみを変えて取付ける。ポンプ部Aのケーシング5はシリンダプロフィールを内面に持つなど精密な加工が必要であり、ケーシング5を装着仕様に見合った数だけ用意することはコスト高となる。これに対し、ギヤケース1の加工は容易であり、これを装着仕様に見合った数だけ用意することはコスト的に余り問題とならない。
【0030】
このように、本実施例ではギヤケース1に取付け足となるブラケット部1aを設けたため、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、装着仕様に応じてギヤケース1を変えるだけで取付けが可能であり、必要ポンプ容量が同じであれば同一のポンプ部A(即ちケーシング5)を使用することができる。一方、装着仕様が同じであれば、ポンプ部Aを変えることでポンプ容量を変えることができる。すなわち、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット部1a(ギヤケース1)を使用することができる。
【0031】
次に潤滑方式について図4及び図5を用いて説明する。図4において、ケーシング5の一部に導入される外部からの潤滑油は、ケーシング5の径方向に設けられた導入孔5cを通り、ロータ6の片側端面に供給され、ロータ6とケーシング5の接触部を潤滑する。また、ロータ6には、両端面に通じる貫通穴6aが複数個設けられており、ロータ6の片側端面に供給された潤滑油の一部を、逆側端面にも供給し、逆側のロータ6とサイドプレート8の接触部を潤滑する。第2シャフト10の中心には貫通穴10aが設けられ、貫通穴10aの一端は前記メタル軸受11内の空間に開口し、他端は前記増速機構2が内蔵されているギアケース1の内部空間14に開口している。また、ギアケース1の内部空間14は、細孔15によりポンプの低圧作動室16と連通している。このため、前記内部空間14の圧力は常に低圧作動室16の圧力近くまで低下している。したがって、ロータ6とケーシング5及びサイドプレート8の接触部を潤滑した潤滑油の一部は、直接ころがり軸受9の隙間から、また一部はメタル軸受11と第2シャフト10の隙間を介して、第2シャフト10の中心に設けられた貫通穴10aから前記ギアケース1の内部空間14へ流入し、前記増速機構2の潤滑を行う。増速機構2の潤滑を行った後、潤滑油は細孔15を通り低圧作動室16へ吸入され、ロータ6の回転により、高圧作動室17へ移動した後、排気口5bから空気と共に外部へ帰還する。
【0032】
図5に空気の流れと潤滑油の流れの系統図を示す。エンジン20内の潤滑回路に潤滑ポンプ21にてオイルパン22内の潤滑油が供給され、その潤滑油の一部が配管23を介して本実施例のバキュームポンプ24に供給され、上記のように導入孔5cより内部に導入される。また、バキュームポンプ24にはエアタンク(真空源)25からの空気が吸入口5aより吸入される。バキュームポンプ24内を潤滑した潤滑油は排気口5bから空気と共に配管26を介してオイルパン22に回収される。
【0033】
このように本実施例のバキュームポンプ24は、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式により、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0034】
図1及び図4に戻り、本実施例では、また、前記オイルシール12と第1シャフト3との隙間からの潤滑油の漏洩を極力防止するため、前記オイルシール12の上流側に、内周にラビリンス溝を有するラビリンスピース13を設けている。前記ラビリンス溝が存在することで、高圧の潤滑油が瞬時にギアケース1の内部空間14に供給される場合でも、緩和された圧力が前記オイルシール12部にかかる。したがって、直接オイルシール12部に高圧がかかることはなく、オイルシール12の破損、オイルシール12の破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。尚、本実施例では、ギアケース1と別部材でラビリンス溝を形成しているが、ギアケース1にラビリンス溝を一体成形しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0035】
本実施例の応用例を図6及び図7を用いて説明する。バキュームポンプの使用条件から増速の必要性がなくなった場合は、図6に示すように、第1シャフト3に変えもう1つの第1シャフト3Aを用い、第1シャフト3Aを第2シャフト10に直結する。この場合、第2シャフト10の太陽歯車2aをスプライン継手の外歯として利用し、第1シャフト3Aの片側端部にそれに噛合うスプライン継手2dの内歯を形成し、このスプライン継手により両シャフトを直結する。この場合ギヤケース1は軸受ケースとなる。
【0036】
また、図7に示すよう、第2シャフト10の太陽歯車2aを連結部として利用し、この太陽歯車2aに駆動用のギア30を直接固定することで、外部から直接第2シャフト10を駆動することができる。即ち、ポンプ部Aを単独で使用することができる。ここで、ポンプ部Aを単独で使用する方式では、ポンプ部Aが有する前記ギアケース1ヘの固定手段であったケーシング5のブラケット部5dを外部への取付け手段として利用できることは言うまでもない。
【0037】
なお、図8及び図9に示すように、ケーシング5Aの開口側端面をギアケース1側で密封するサイドプレート8Aを備えるものでは、ギヤケース1Aにブラケット部1aを設けてもよく(図8)、ギヤケース1Aでなくサイドプレート8Bにブラケット部8aを設けてもよい(図9)。
【0038】
また、図10に示すように、止め輪4A(図1参照)を設けず、第1シャフト3の一部であるピン3bをころがり軸受4の内輪或いは外輪の端面に接触可能とし、ころがり軸受4で第1シャフト3にかかるスラスト力を支持してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、増速機構を内蔵させたので、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができると共に、バキュームポンプのブラケット部とポンプ部を別部材で構成するため、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、必要ポンプ容量が同じであれば、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用することができる。また、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット(ギヤケース)を使用することができる。
【0040】
また、ギアケース内空間を潤滑経路の一部とするので、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を採用しかつ増速機構を潤滑することができる。更に、貫通穴及び細孔を介して各部所を連通するので、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0041】
更に、オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成するので、オイルシールの破損、オイルシールの破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。
【0042】
また、第2シャフトに継手機構を設けるので、増速が不要の場合は増速機構を取外して、第2シャフトを第1シャフト及び外部の駆動源と直結し、増速せずに直接ポンプを駆動することができる。
【0043】
更に、ころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持するので、第1シャフトに図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、スラスト力が第2シャフトに伝わることはなく、サイドプレートのロータ接触面或いはケーシングのロータ接触面にかかる荷重を軽減でき、接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】上記実施例のバキュームポンプの潤滑方式を示す説明図
【図5】図5に示す潤滑方式の潤滑油と空気の流れを示す図である。
【図6】本発明において増速機構を排除した場合の実施例を示す可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図7】本発明において増速機構を排除した場合の実施例を示す可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図8】図1に示す実施例の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図9】図1に示す実施例の他の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図10】図1に示す実施例の更に他の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【符号の説明】
1 ギアケース
2 増速機構
2a 太陽歯車(スプラインの外歯:継手機構)
2d スプラインの内歯
3;3A 第1シャフト
3a,3b ピン
4 ころがり軸受
4A 止め輪
5 5A ケーシング
6 ロータ
7 ベーン
8;8A;8B サイドプレート
8a ブラケット部
9 ころがり軸受
10 第2シャフト
10a 貫通穴
11 メタル
12 オイルシール
13 ラビリンスピース
14 内部空間
15 細孔
16 低圧作動室
17 高圧作動室
30 駆動用歯車
A ポンプ部
【産業上の利用分野】
本発明はバキュームポンプに係わり、特にエンジンを駆動源とする車両用として好適なバキュームポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のブレーキ倍力装置の負圧源としてバキュームポンプが用いられている。この種のバキュームポンプは、一般に特開昭61−145390号公報に開示されるようにオルタネータの端部に設けて、オルタネータから動力を得ている。また、近年、エンジンに直付けしてエンジンから直接動力を得る方式が提案されている。例えば、特開昭63−105295号公報に開示されるバキュームポンプは、エンジンに直付けし、エンジンのクランクシャフトとポンプシャフトとを平行に配置して、これらのシャフトをギヤ機構などを介して接続している。
【0003】
また、上記特開昭61−145390号公報、特開昭63−105295号公報等に記載のように、バキュームポンプは増速機構を内蔵しておらず、かつロータを包囲するケーシング自体にバキュームポンプを相手部材に装着するためのブラケット部を形成していた。また、実開昭63−104695号公報に開示されるように、回転軸用のころがり軸受やオイルシールを装着対象である相手部材のブラケット部に固定し、ロータを包囲するケーシングをそのブラケット部に取付けたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的にエンジン直付けタイプのバキュームポンプを使用する場合、オルタネータから動力を得るものに比べて回転数が落ちるため、必要性能を確保するためポンプ容量を増大しなければならない。特に、エンジン回転数の1/2で回転するカムシャフトを駆動源とする場合は、オルタネータ駆動のバキュームポンプの4倍程度のポンプ容量が必要となり、このため取付けスペースも4倍程度必要となる。また、必要性能を確保するため増速機構を介して回転数を上げることも考えられるが、この場合はその増速機構の取付けスペースが必要となる。しかし、実際にはエンジン回りはスペースの制約があり、エンジン直付けタイプではポンプ容量を大きくしたり増速機構を取付けたりすることは難しく、必要性能を得ることが難しいのが現実である。
【0005】
一方、エンジン直付けタイプ、特にカムシャフトを駆動源とするタイプのバキュームポンプでは、ポンプとしての必要容量が同じ場合でも、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様は異なる。したがって、従来のようにロータを包囲するケーシング自体にブラケット部を設けているバキュームポンプでは、装着仕様に見合った数だけのケーシングが必要となっていた。しかし、このケーシングはシリンダプロフィールを内面に形成するための精密な加工が必要であり、装着仕様に見合った数のケーシングを用意することはコストアップになる。
【0006】
本発明の第1の目的は、エンジン直付けタイプの必要性能を確保した上でコンパクト化を可能とするバキュームポンプを提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、装着仕様が異なる場合でも、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用可能にするバキュームポンプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記第1及び第2の目的を達成するために次の構成を採用する。すなわち、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を持つバキュームポンプにおいて、外部から入力を得る第1シャフトと、ポンプ機構を駆動する第2シャフトと、前記第1シャフトと第2シャフトを連結する増速機構と、前記第1シャフトを回転自在に支持し前記増速機構を内蔵するギアケースと、前記第2シャフトを回転自在に支持しポンプ室を形成するケーシングとを備え、前記ギアケースとポンプ室ケーシングを別部材で構成し、前記ギアケースに装着仕様に対応する形状を持ち、装着時に取付け足となるブラケット部を設けるとともに、前記第2シャフトの中心部軸方向に貫通穴を設け、前記貫通穴をギアケース内空間に開口させ、ポンプ室内摺動部を潤滑した潤滑油の一部を前記貫通穴を経由しギアケース内空間へ導き、更にギアケース内空間とポンプ室の低圧作動室を細孔で連通させ、増速機構を潤滑した潤滑油を前記ポンプ室の低圧作動室を経由して外部へ帰還させる構成とする。
【0010】
また、上記バキュームポンプにおいて、好ましくは、前記第1シャフトと第2シャフトの少なくとも一方の周囲にポンプ内圧と大気を遮断するオイルシールを設け、前記オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成する。
【0011】
また、好ましくは、前記第2シャフトは前記第1シャフト及び外部の駆動源の少なくとも一方との直結を可能とする継手機構を備える。
【0012】
更に、好ましくは、前記第1シャフトを前記ギアケース内にころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記ころがり軸受の外輪を前記ギアケースに固定しかつ前記ころがり軸受の内輪を前記第1シャフトに固定し、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持する構成とする。
【0013】
代わりに、前記第2シャフトの少なくとも増速機構側端部を前記ポンプ室ケーシング内でころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記第1シャフトの一部を前記ころがり軸受の内輪或いは外輪の端面に接触可能とし、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持する構成としてもよい。
【0015】
【作用】
以上のように構成した本発明では、エンジンのカムシャフトから動力を得る場合は、第1シャフトはエンジン回転数の1/2となるが、第2シャフトはギアケース内の増速機構により増速されて回転するため、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができる。
【0016】
また、ギヤケースに装着仕様に対応する形状を持ち、装着時に取付け足となるブラケット部を設けたため、車種やエンジンにより装着箇所や、装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、装着仕様に応じてギヤケースを変えるだけで取付けが可能であり、必要ポンプ容量が同じであれば、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用することができる。一方、装着仕様が同じであれば、ポンプ部を変えることでポンプ容量を変えることができる。すなわち、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット(ギヤケース)を使用することができる。
【0017】
また、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を採用するものにおいて、増速機構を包囲するギアケース内空間を当該潤滑方式の潤滑経路の一部とすることにより、増速機構を潤滑することが可能となる。更に、ポンプ室内摺動部を潤滑した潤滑油の一部を第2シャフトに設けた貫通穴を経由しギアケース内空間へ導き、増速機構を潤滑した潤滑油を細孔を介して前記ポンプ室の低圧作動室から外部へ帰還させることにより、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0018】
更に、オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成することにより、高圧の潤滑油が瞬時にギアケースの内部空間に供給される場合でも、緩和された圧力がオイルシール部にかかるようになり、このため直接オイルシール部に高圧がかかることはなく、オイルシールの破損、オイルシールの破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。
【0019】
第2シャフトに第1シャフト及び外部の駆動源の少なくとも一方との直結を可能とする継手機構を設けることにより、増速が不要の場合は、増速機構を取外し、第1シャフトと第2シャフトを直結するか、外部の駆動源と第2シャフトを直結し、増速せずに直接ポンプを駆動することができる。
【0020】
第1シャフトを回転自在に支持するころがり軸受の外輪をギヤケースに固定し、内輪を第1シャフトに固定し、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することにより、第1シャフトに図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、スラスト力が第2シャフトに伝わることはなく、サイドプレートのロータ接触面或いはケーシングのロータ接触面にかかる荷重を軽減でき、接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0021】
第2シャフトの少なくとも増速機構側端部を回転自在に支持するころがり軸受の内輪或いは外輪の端面に第1シャフトの一部を接触可能とし、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することによっても、同様に接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0022】
【実施例】
本発明の一実施例を図面により説明する。
図1は本発明の一実施例に係る可動翼型バキュームポンプの縦断面図であり、図2及び図3はそれぞれ図1のII−II線断面図及びIII−III線断面図である。
【0023】
図1〜図3において、ギアケース1内には増速機構2が内蔵され、かつ例えばエンジンのカムシャフトなど図示しない外部からの回転力を導入する第1シャフト3がころがり軸受4を介して回転自在に支持されている。ころがり軸受4は止め輪4Aにより第1シャフト3に対し軸方向に移動しないように固定されている。また、前記ギアケース1にはオイルシール12が固定され、前記第1シャフト3との間でギアケース1内と大気をシールしており、前記オイルシール12の上流側のギヤケース1内には、前記第1シャフト3との隙間にラビリンス溝を形成したラビリンスピース13が固定されている。また、前記ギアケース1の外周には装着用のブラケット部1aが形成されている。
【0024】
シリンダプロフィールを内面に形成したケーシング5内には、そのシリンダプロフィールに対し偏心した位置で回転するロータ6が内蔵され、ロータ6にはその外周に開口する径方向のベーン溝7Aが形成され、そのベーン溝7Aにベーン7が摺動可能に挿入されている。また、ロータ6には第1シャフト3に増速機構2を介して連結された第2シャフト10が圧入されている。ケーシング5の開口側端面はサイドプレート8で密封され、第2シャフト10はケーシング5に外輪を圧入固定されたころがり軸受9とサイドプレート8に設けられたメタル軸受11を介して回転自在に支持されている。これらケーシング5、ロータ6、ベーン7、サイドプレと8、ころがり軸受9、第2シャフト10及びメタル軸受11でポンプ部Aを形成している。
【0025】
増速機構2は、図2に示すように、1つの太陽歯車2aとこれに噛合う3つの遊星歯車2b,2b,2bとからなり、太陽歯車2aは第2シャフト10の一端に形成され、遊星歯車2bは第1シャフト3の内端に設けられたピン3aに回転自在に固定されている。
【0026】
次に、上記バキュームポンプの動作を説明する。第1シャフト3にエンジンカムシャフトなど外部から回転力が伝達されると、増速機構2を介して回転力が第2シャフト10に伝わり、第2シャフト10に固定されたロータ6は第1シャフト3に対し、増速して回転する。ケーシング5のシリンダプロフィールは、遠心力によりケーシング5の内面に接触しながら回転するベーン7のストロークが正弦波で変化するよう設定されており、第2シャフト10の回転中心、即ちロータ6の回転中心は、シリンダプロフィールに対し偏心した位置関係にあるため、ロータ6が回転すると、ケーシング5、ロータ6、ベーン7及びサイドプレート8で形成される空間の容積が変化し、ケーシング5の内面に開口する吸入口5aから流入した空気は、同じくケーシング5の内面に開口する排気口5bから排出され、ポンプ作用が行われる。この際、第1シャフト3に図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、第1シャフト3は止め輪4A及びころがり軸受4を介して前記ギアケース1に固定されているため、前記スラスト力が第2シャフト10に伝わることはない。
【0027】
したがって本実施例によれば、例えばエンジンのカムシャフトから動力を得る場合は、第1シャフト3はエンジン回転数の1/2となるが、第2シャフト10は増速機構2により増速されて回転するため、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができる。
【0028】
また、第1シャフト3にかかるスラスト力はころがり軸受4で支持し、第2シャフト10に伝わることがないため、サイドプレート8のロータ接触面(或いは、図8及び図9に示すようにケーシング5の開口部端面がギアケース1側に位置する場合は、ケーシング5のロータ接触面)にかかる荷重を軽減でき、前記接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0029】
次に、本実施例のバキュームポンプは、ギヤケース1とポンプ部Aのケーシング5を別部材で構成し、ギヤケース1に設けられたブラケット部1aによりエンジンに装着される。このブラケット部1aは例えば図2に示すような形状をしており、車種やエンジンにより異なる装着個所や装着寸法等、装着仕様に応じて決められる。図示のブラケット部1aの形状は1つの装着仕様に対応するものであり、装着仕様が異なれば、例えば想像線Xで示すようにブラケット部の形状の異なるギアケースを用い、ギヤケースのみを変えて取付ける。ポンプ部Aのケーシング5はシリンダプロフィールを内面に持つなど精密な加工が必要であり、ケーシング5を装着仕様に見合った数だけ用意することはコスト高となる。これに対し、ギヤケース1の加工は容易であり、これを装着仕様に見合った数だけ用意することはコスト的に余り問題とならない。
【0030】
このように、本実施例ではギヤケース1に取付け足となるブラケット部1aを設けたため、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、装着仕様に応じてギヤケース1を変えるだけで取付けが可能であり、必要ポンプ容量が同じであれば同一のポンプ部A(即ちケーシング5)を使用することができる。一方、装着仕様が同じであれば、ポンプ部Aを変えることでポンプ容量を変えることができる。すなわち、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット部1a(ギヤケース1)を使用することができる。
【0031】
次に潤滑方式について図4及び図5を用いて説明する。図4において、ケーシング5の一部に導入される外部からの潤滑油は、ケーシング5の径方向に設けられた導入孔5cを通り、ロータ6の片側端面に供給され、ロータ6とケーシング5の接触部を潤滑する。また、ロータ6には、両端面に通じる貫通穴6aが複数個設けられており、ロータ6の片側端面に供給された潤滑油の一部を、逆側端面にも供給し、逆側のロータ6とサイドプレート8の接触部を潤滑する。第2シャフト10の中心には貫通穴10aが設けられ、貫通穴10aの一端は前記メタル軸受11内の空間に開口し、他端は前記増速機構2が内蔵されているギアケース1の内部空間14に開口している。また、ギアケース1の内部空間14は、細孔15によりポンプの低圧作動室16と連通している。このため、前記内部空間14の圧力は常に低圧作動室16の圧力近くまで低下している。したがって、ロータ6とケーシング5及びサイドプレート8の接触部を潤滑した潤滑油の一部は、直接ころがり軸受9の隙間から、また一部はメタル軸受11と第2シャフト10の隙間を介して、第2シャフト10の中心に設けられた貫通穴10aから前記ギアケース1の内部空間14へ流入し、前記増速機構2の潤滑を行う。増速機構2の潤滑を行った後、潤滑油は細孔15を通り低圧作動室16へ吸入され、ロータ6の回転により、高圧作動室17へ移動した後、排気口5bから空気と共に外部へ帰還する。
【0032】
図5に空気の流れと潤滑油の流れの系統図を示す。エンジン20内の潤滑回路に潤滑ポンプ21にてオイルパン22内の潤滑油が供給され、その潤滑油の一部が配管23を介して本実施例のバキュームポンプ24に供給され、上記のように導入孔5cより内部に導入される。また、バキュームポンプ24にはエアタンク(真空源)25からの空気が吸入口5aより吸入される。バキュームポンプ24内を潤滑した潤滑油は排気口5bから空気と共に配管26を介してオイルパン22に回収される。
【0033】
このように本実施例のバキュームポンプ24は、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式により、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0034】
図1及び図4に戻り、本実施例では、また、前記オイルシール12と第1シャフト3との隙間からの潤滑油の漏洩を極力防止するため、前記オイルシール12の上流側に、内周にラビリンス溝を有するラビリンスピース13を設けている。前記ラビリンス溝が存在することで、高圧の潤滑油が瞬時にギアケース1の内部空間14に供給される場合でも、緩和された圧力が前記オイルシール12部にかかる。したがって、直接オイルシール12部に高圧がかかることはなく、オイルシール12の破損、オイルシール12の破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。尚、本実施例では、ギアケース1と別部材でラビリンス溝を形成しているが、ギアケース1にラビリンス溝を一体成形しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0035】
本実施例の応用例を図6及び図7を用いて説明する。バキュームポンプの使用条件から増速の必要性がなくなった場合は、図6に示すように、第1シャフト3に変えもう1つの第1シャフト3Aを用い、第1シャフト3Aを第2シャフト10に直結する。この場合、第2シャフト10の太陽歯車2aをスプライン継手の外歯として利用し、第1シャフト3Aの片側端部にそれに噛合うスプライン継手2dの内歯を形成し、このスプライン継手により両シャフトを直結する。この場合ギヤケース1は軸受ケースとなる。
【0036】
また、図7に示すよう、第2シャフト10の太陽歯車2aを連結部として利用し、この太陽歯車2aに駆動用のギア30を直接固定することで、外部から直接第2シャフト10を駆動することができる。即ち、ポンプ部Aを単独で使用することができる。ここで、ポンプ部Aを単独で使用する方式では、ポンプ部Aが有する前記ギアケース1ヘの固定手段であったケーシング5のブラケット部5dを外部への取付け手段として利用できることは言うまでもない。
【0037】
なお、図8及び図9に示すように、ケーシング5Aの開口側端面をギアケース1側で密封するサイドプレート8Aを備えるものでは、ギヤケース1Aにブラケット部1aを設けてもよく(図8)、ギヤケース1Aでなくサイドプレート8Bにブラケット部8aを設けてもよい(図9)。
【0038】
また、図10に示すように、止め輪4A(図1参照)を設けず、第1シャフト3の一部であるピン3bをころがり軸受4の内輪或いは外輪の端面に接触可能とし、ころがり軸受4で第1シャフト3にかかるスラスト力を支持してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、増速機構を内蔵させたので、必要性能を確保しかつポンプ容量を小さくすることができると共に、バキュームポンプのブラケット部とポンプ部を別部材で構成するため、車種やエンジンにより装着個所や装着寸法等、装着仕様が異なる場合でも、必要ポンプ容量が同じであれば、同一のポンプ(即ちケーシング)を使用することができる。また、必要ポンプ容量が異なる場合でも、同一のブラケット(ギヤケース)を使用することができる。
【0040】
また、ギアケース内空間を潤滑経路の一部とするので、外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を採用しかつ増速機構を潤滑することができる。更に、貫通穴及び細孔を介して各部所を連通するので、増速機構及びポンプ部を含む全体を適切に潤滑することが可能となる。
【0041】
更に、オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成するので、オイルシールの破損、オイルシールの破損に伴う潤滑油の異常漏洩を防止することができる。
【0042】
また、第2シャフトに継手機構を設けるので、増速が不要の場合は増速機構を取外して、第2シャフトを第1シャフト及び外部の駆動源と直結し、増速せずに直接ポンプを駆動することができる。
【0043】
更に、ころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持するので、第1シャフトに図示しない駆動系からスラスト力が加わっても、スラスト力が第2シャフトに伝わることはなく、サイドプレートのロータ接触面或いはケーシングのロータ接触面にかかる荷重を軽減でき、接触面のかじり、焼き付き等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】上記実施例のバキュームポンプの潤滑方式を示す説明図
【図5】図5に示す潤滑方式の潤滑油と空気の流れを示す図である。
【図6】本発明において増速機構を排除した場合の実施例を示す可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図7】本発明において増速機構を排除した場合の実施例を示す可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図8】図1に示す実施例の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図9】図1に示す実施例の他の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【図10】図1に示す実施例の更に他の変形例の可動翼型バキュームポンプの縦断面図である。
【符号の説明】
1 ギアケース
2 増速機構
2a 太陽歯車(スプラインの外歯:継手機構)
2d スプラインの内歯
3;3A 第1シャフト
3a,3b ピン
4 ころがり軸受
4A 止め輪
5 5A ケーシング
6 ロータ
7 ベーン
8;8A;8B サイドプレート
8a ブラケット部
9 ころがり軸受
10 第2シャフト
10a 貫通穴
11 メタル
12 オイルシール
13 ラビリンスピース
14 内部空間
15 細孔
16 低圧作動室
17 高圧作動室
30 駆動用歯車
A ポンプ部
Claims (5)
- 外部から潤滑油を導入しポンプ内を潤滑した後、再び外部へ帰還させる潤滑方式を持つバキュームポンプにおいて、外部から入力を得る第1シャフトと、ポンプ機構を駆動する第2シャフトと、前記第1シャフトと第2シャフトを連結する増速機構と、前記第1シャフトを回転自在に支持し前記増速機構を内蔵するギアケースと、前記第2シャフトを回転自在に支持しポンプ室を形成するケーシングとを備え、前記ギアケースとポンプ室ケーシングを別部材で構成し、前記ギアケースに装着仕様に対応する形状を持ち、装着時に取付け足となるブラケット部を設けるとともに、前記第2シャフトの中心部軸方向に貫通穴を設け、前記貫通穴をギアケース内空間に開口させ、ポンプ室内摺動部を潤滑した潤滑油の一部を前記貫通穴を経由しギアケース内空間へ導き、更にギアケース内空間とポンプ室の低圧作動室を細孔で連通させ、増速機構を潤滑した潤滑油を前記ポンプ室の低圧作動室を経由して外部へ帰還させることを特徴とするバキュームポンプ。
- 請求項1記載のバキュームポンプにおいて、前記第1シャフトと第2シャフトの少なくとも一方の周囲にポンプ内圧と大気を遮断するオイルシールを設け、前記オイルシールによるシール部上流側にラビリンス部を形成したことを特徴とするバキュームポンプ。
- 請求項1記載のバキュームポンプにおいて、前記第2シャフトは前記第1シャフト及び外部の駆動源の少なくとも一方との直結を可能とする継手機構を備えることを特徴とするバキュームポンプ。
- 請求項1記載のバキュームポンプにおいて、前記第1シャフトを前記ギアケース内にころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記ころがり軸受の外輪を前記ギアケースに固定しかつ前記ころがり軸受の内輪を前記第1シャフトに固定し、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することを特徴とするバキュームポンプ。
- 請求項1記載のバキュームポンプにおいて、前記第2シャフトの少なくとも増速機構側端部を前記ポンプ室ケーシング内でころがり軸受を介して回転自在に支持し、前記第1シャフトの一部を前記ころがり軸受の内輪或いは外輪の端面に接触可能とし、そのころがり軸受で第1シャフトにかかるスラスト力を支持することを特徴とするバキュームポンプ。
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